JPS5842565Y2 - 内燃機関のバランサ軸用防油装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、クランク軸と連動回転しかつ重心位置が偏心
したバランスウェイトを有するバランサ軸を備えた内燃
機関において、前記バランスウェイトやバランサ軸に嵌
着された被動用歯車がオイルパン内の潤滑油に浸漬され
て回転するために発生する不具合を解消するためのバラ
ンサ軸用防油装置の改良に関するものである。

前記のようなバランサ軸を備えた内燃機関において、バ
ランスウェイトおよび被動用歯車の一部がオイルパン内
の潤滑油面より下方に位置することがある。

このような機関では、バランスウェイト、被動用歯車の
高速回転によって潤滑油が跳ね上げられたり、攪拌され
たりし、これらに起因してオイル上り、オイル吹き、機
関の不完全燃焼、動力の損失による有効出力の減少、騒
音の発生、オイルポンプのエアロツクなどの不具合を生
じる。

このような不具合を解消するために、バランサ軸の下方
に防油ケースを設け、バランサ軸のバランスウェイト部
をオイルパン内の潤滑油から隔離したものがあり、この
ような例としては実公昭４６−１２４０４号公報、ある
いは実開昭４７−３３４０３号明細書に記載のものが知
られている。

しかし、従来のものは、防油ケース内に潤滑油が満たさ
れている場合は、バランスウェイトによる潤滑油の跳ね
上げを防止できないため、前述の不具合を十分に解消で
きず、防油ケース内に潤滑油がなくなると、被動用歯車
を防油ケースでオイルパン内の潤滑油と隔離したもので
は、駆動用歯車の噛合い部などの潤滑に問題が生じる。

本考案は、前述のような事情に鑑みてなされたもので、
バランサ軸および被動用歯車の下方に設けた防油ケース
の上縁をオイルパン内の潤滑油面上に突出させると共に
、防油ケースの底部を被動歯車側が下位になるように構
成することにより、防油ケースにオイルパン内の潤滑油
が侵入しないようにすると共に、機関内部を潤滑した潤
滑油の一部を防油ケースで受けて被動用歯車側に集めて
その潤滑が十分にできるようにし、かつバランスウェイ
トによる潤滑油の跳ね上げを確実に防止できるようにし
たバランサ軸用防油装置を提供することを目的とするも
のである。

以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体的に説明
する。

本実施例は、４サイクル直列２気筒機関の１次バランサ
に適用したものであり、図に示すようにクランク軸１の
両側にこれと平行に１対のパランサ軸２，３が設けられ
、クランク軸１に嵌着された駆動用歯車４とバランサ軸
２，３の一端部に嵌着された被動用歯車５，６とが噛合
されていて、クランク軸１と連動してこれと同速度で反
対方向に、それぞれのバランサ軸２，３が互に同一方向
に回転されるようになっており、両バランサ軸２゜３に
は機関から発生する往復質量による１次起振力を打消す
ように任意に選んだバランスウェイト７．８がこれらの
重心位置を偏心させて設けられている。

下方のバランサ軸２およびこれに嵌着された被動用歯車
５の下方には防油ケース９が配設され、このケース９は
クランクケース１０に固定されたオイルパン１１内に設
置されている。

防油ケース９は上面が開放され、このケース９にこれと
隙間を有してバランサ軸２および被動用歯車５の一部が
包囲され、防油ケース９の上縁はその全体がオイルパン
１１内の潤滑油面０．Ｌ上方に突出しており、防油ケー
ス９の底部は被動用歯車５側が下方に位置するように傾
斜し、被動用歯車５の直下部に油溜り部１２が形成され
ている。

また、防油ケース９の両端部はオイルパン１１に固定さ
れ、防油ケース９の上縁両側には外方に突出するフラン
ジ部１３が形成されている。

なお、図中符号１４．１５はクランク軸１の軸受カバー
で、これは実施例ではクランクケース１０と一体に示し
であるが別体でもよく、これらにバランサ軸２の軸受１
６，１７が設けられており、符号１８はピストン１９は
コンロッドである。

以上のように構成されたバランサ軸防油装置は防油カバ
ー９の上縁が潤滑油面０．Ｌ上に突出しているので、防
油カバー９内にオイルパン１１内の潤滑油が侵入しない
。

従って、機関の運転によってクランク軸１の回転とバラ
ンサ軸２，３が連動回転する場合に、下方のバランサ軸
２のバランスウェイト７および被動用歯車５の一部が潤
滑油面下にあっても、これらがオイルパン１１内の潤滑
油を跳ね上げたり攪拌したりすることがない。

そして、機関内部を潤滑した潤滑油の一部を防油カバー
９によって受け、受けられた潤滑油は防油カバー９の底
部の傾斜によって被動用歯車５側に導かれ、油溜り部１
２に集められる。

このため、油溜り部１２に集められた潤滑油によって被
動用歯車５の噛合い部などが潤滑されるが、防油カバー
９のバランスウェイト７と対向する部分には潤滑油が溜
らない。

従って、バランスウェイト１が防油カバー９内の潤滑油
を跳ね上げることもなく、潤滑油のバランスウェイト７
、被動用歯車５による攪拌跳ね上げが確実に防止でき、
しかも被動用歯車５部の潤滑も行なえる。

なお、本考案において、防油カバー９はバランサ軸２の
軸受１６，１７にボルト締めなどによって固定し、ある
いはこの固定とオイルパン１１への固定の両方を行なっ
てもよい。

また、本考案の防油カバー９は、機関が傾斜または振動
した場合でも、防油カバー９の内部にオイルパン１１内
の潤滑油が流入しないようにその潤滑油面Ｏｔ Ｌ上に
防油カバー９上縁を突出させておくことが好ましく、さ
らに、通常時はバランスウェイト７が潤滑油面上に位置
し、その一部が機関の傾斜または振動時だけ潤滑油面下
方になるものに使用してもよい。

以上説明したように、本考案のバランサ軸用防軸装置は
、オイルパン内の潤滑油の跳ね上げ、攪拌および防油カ
バー内の潤滑油の跳ね上げが防止きるので、オイル上り
、オイル吹きなどの不具合を確実に防止できると共に、
バランサ軸の被動用歯車部の潤滑も良好にできるという
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略横断面図第２図は
第１図の■−■線に沿う細断説明図である。 １・・・クランク軸、２，３・・・バランサ軸、４・・
・駆動用歯車、５，６・・・被動用歯車、７，８・・・
バランスウェイト、９・・・防油カバー、１０・・・ク
ランクケース、１１・・・オイルパン、１２・・・油溜
り部、１３・・・フランジ部、１４．１５・・・軸受カ
バー、１６゜１７・・・軸受、１８・・・ピストン、１
９・・・コンロッド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク軸と連動回転しかつ重心位置が偏心したバラン
   スウェイトを有する防振用のバランサ軸を備えた内燃機
   関において、前記バランサ軸およびこれに嵌着された被
   動用歯車の下方に上面が開放された防油ケースを設け、
   このケースの上縁をオイルパン内の潤滑油面上に突出さ
   せると共に、防油ケースの底部を前記被動用歯車側が下
   位となるように構成したことを特徴とする内燃機関のバ
   ランサ軸用防油装置。