JPS5840369Y2 - 車輌の走行用高低速切換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、トラクタ等の車輌における走行用高低速切換
装置に関し、高負荷時に車速を減速してエンジンストッ
プを防止するようにしたものである。

トラクタ等の車輌では、走行系とは別にＰＴＯ系を備え
、これら両動力系を１個の投載エンジンで夫々駆動する
ようにしているので、例えば走行状態で作業機を駆動す
る場合等、作業形態によってはエンジンに高負荷が加わ
りやすく、不測にエンジンストップを招くと云う欠点が
あった。

本考案はこのような従来の問題点を解消したものであっ
て、その特徴とするところは、走行系中に変速装置を備
えた車輌において、走行系中に、遊星減速機を備えた高
低速切換装置を前記変速装置とは別に設け、遊星減速機
は、遊星キャリヤと、該遊星キャリヤに支持された遊星
ギヤーに連動する連動ギヤーとを出力軸に遊転自在に設
けると共に、遊星キャリヤと出力軸との間に、遊星キャ
リヤ側からのみ動力を伝達し出力軸を低速回転させるた
めの一方向クラッチを介装し、連動ギヤーと出力軸とを
接続して該出力軸を高速回転させるための油圧クラッチ
を、遊星キャリヤの内部に収めかつ連動ギヤーと一方向
クラッチとの軸方向間に配置した点にある。

以下、図示の実施例について本考案を詳述すると、第１
図はダブルクラッチ式トラクタのミッション系を示し、
同図において、１はエンジン、２はＰＴＯクラッチ、３
は走行うラッチで、これらクラッチ２，３は所謂ダブル
クラッチ構造となっており、ＰＴＯクラッチ２はＰＴＯ
系軸４．ＰＴＯ変速装置５を介してＰＴＯ軸６に連動し
、また走行うラッチ３はＰＴＯ系軸４に相対回転自在に
外嵌する走行系軸７を介して主変速装置６に連動する。

なお主変速装置８は副変速装置９、デフ装置１０等を介
して後輪に連動する。

走行系軸７には第２図に示す如く遊星減速機１１をオリ
用した高低速切換装置１２が組込まれている。

即ち第２図に示す如く走行系軸７は筒軸であって、入力
軸１３と出力軸１４とに前後２分割されており、その入
力軸１３と出力軸１４との間に減速機１１が組込まれて
いる。

減速機１１は入力軸１３の後端部に固定された太陽ギヤ
ー１５と、出力軸１４側に支持された遊星キャリヤ１６
と、この遊星キャリヤ１６に遊星軸１７を介して軸支さ
れた周方向複数個の遊星ギヤー１８と、クラッチハウジ
ング１９とミッションケース２０との間の遮断隔壁２１
側に設けられた内歯ギヤー２２とを備えて成る。

遊星キャリヤ１６は出力軸１４に遊転自在に套嵌される
と共に、ミッションケース２０の支持部２３にポール軸
受２４を介して支持されており、この遊星キャリヤ１６
の出力軸１４との間には、遊星キャリヤ１６側からのみ
動力を伝達するように一方向クラッチ２５が介装されて
いる。

遊星ギヤー１８は太陽ギヤー１５及び内歯ギヤー２２に
咬合する小径ギヤー１８ａと、これよりも大径の大径キ
ャー１８ｂとを備えた２連ギヤーであって、その大径ギ
ヤー１８ｂに咬合する運動ギヤー２６は出力軸１４の前
端部に遊転自在に套嵌されている。

運動ギヤー２６は油圧クラッチ２７により出力軸１４に
断続自在であり、その油圧クラッチ２７は、連動ギヤー
２６側の原動盤２８に内嵌されたピストン２９と、これ
に固設された受板３０との間で各ディスク３１．３２を
挟圧する湿式多板クラッチとされている。

なお、油圧クラッチ２７に対する作動油は、連動ギヤ２
６に形成された油路を通り、出力軸１４側の油路（図示
省略）から供給するようになっている。

次に作用を説明する。

通常の作業時には油圧クラッチ２７を接続しておくので
あるが、この場合、入力軸１３が第３図ａ矢示方向に回
転すると、この入力軸１３と一体回転する太陽ギヤー１
５を介して遊星ギヤー１８がｂ矢示方向へと回転する。

遊星ギヤー１８はその小径ギヤー１８ａが内歯ギヤー２
２と咬合状態にあるので、ｂ矢示方向へ自転しながら遊
星キャリヤ１６と共にａ矢示方向へと公転し、又遊星キ
ャ１）、ヤ１６は低速回転する。

一方、遊星ギヤー１８の大径ギヤー１８ｂには連動ギヤ
ー１５が咬合状態にあるので、遊星ギヤー１８が回転す
ると、連動ギヤー２６はａ矢示方向へと回転し、その動
力が油圧クラッチ２７を介して出力軸１４へと伝達され
て行き、従って出力軸１４は高速回転状態になり、トラ
クタは主変速装置８及び副変速装置９で変速した車速で
走行する。

この時、遊星キャリヤ１６はａ矢示方向に回転状態にあ
るが、連動ギヤー２６より低速であるため、一方向クラ
ッチ２５で切断されて相互に動力が伝達されることはな
い。

このような状態での作業中にエンジン１負荷が高くなる
と、油圧クラッチ２７を切断して、出力軸１４を高速か
ら約３０俤程度低下させた低速状態で回転させるのであ
り、これによって主変速装置８及び副変速装置９側を何
等操作することなくトラクタの車速を落し、エンジン１
の負荷を軽減してエンジンストップを防止することがで
きる。

即ち遊星キャリヤ１６と連動ギヤー２６との間では連動
ギヤー２６側が高速であり、高速時には前述の如く該連
動ギヤー２６を油圧クラッチ２７で出力軸１４に結合し
ていたが、低速時には油圧クラッチ２７を切断して連動
ギヤー２６から出力軸１４側への動力の伝達を切るので
、一方向クラッチ２５を介して遊星キャリヤ１６が出力
軸１４に結合されることになり、従って遊星キャリヤ１
６側から一方向クラッチ２５を介して出力軸１４へと動
力を伝達するので、出力軸１４は低速回転状態となり、
トラクタの車速が低下する。

なお減速率は各部のギヤー比によって適宜決定できるが
、トラクタのニシジンストップ防止上は３０％程度が適
当である。

なお高低速切換装置１２は主変速装置８と副変速装置９
との間等に介装しても良いが、図例のように設ければ、
トルクを小さくできる利点がある。

以上実施例に詳述したように本考案では、走行系中に変
速装置８，９を備えた車輌において、走行系中に、遊星
減速機１１を備えた高低速切換装置１２を前記変速装置
８，９とは別に設け、遊星減速機１１は、遊星キャリヤ
１６と、該遊星キャリヤ１６に支持された遊星ギヤー１
８に連動する連動ギヤー２６とを出力軸１４に遊転自在
に設けると共に、遊星キャリヤ１６と出力軸１４との間
に、遊星キャリヤ１６側からのみ動力を伝達し出力軸１
４を低速回転させるための一方向クラッチ２５を介装し
、連動ギヤー２６と出力軸１４とを接続して該出力軸１
４を高速回転させるための油圧クラッチ２Ｔを設けてい
るので、通常、油圧クラッチ２７を接続して高速走行状
態としておき、エンジン負荷の増大時に油圧クラッチ２
７を切断すれば、他の変速装置８，９の煩わしい変速操
作をすることなく車速を落してエンジン負荷を軽減する
ことができ、不測のエンジンストップを防止できる。

また油圧クラッチ２１と一方向クラッチ２５とを組合せ
、油圧クラッチ２７側を高速用としているので、単一の
クラッチ操作で良く、この点でも操作性が向上する。

更に油圧クラッチ２７は、遊星キャリヤ１６の内部に収
めかつ連動ギヤー２６と一方向クラッチ２５との軸方向
間に配置しているので、全体をコンパクトにでき、設計
を容易に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はトラクタミッ
ションの構成図、第２図は要部の断面図、第３図は動作
説明図である。 １・・・・・・エンジン、１１・・・・・・遊星減速機
、１２・・・・・・高低速切換装置、１３・・・・・・
入力軸、１４・・・・・・出力軸、１６・・・・・・遊
星キャリヤ、１８・・・・・・遊星ギヤ２５・・・・・
・一方向クラッチ、２６・・・・・・連動ギヤ２７・・
・・・・油圧クラッチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行系中に変速装置８，９を備えた車輌において、走行
   系中に、遊星減速機１１を備えた高低速切換装置１２を
   前記変速装置８，９とは別に設け、遊星減速機１１は、
   遊星キャリヤ１６と、該遊星キャリヤ１６に支持された
   遊星ギヤー１８に連動する連動ギヤー２６とを出力軸１
   ４に遊転自在に設けると共に、遊星キャリヤ１６と出力
   軸１４との間に、遊星キャリヤ１６側からのみ動力を伝
   達し出力軸１４を低速回転させるための一方向クラッチ
   ２５を介装し、連動ギヤー２６と出力軸１４とを接続し
   て該出力軸１４を高速回転させるための油圧クラッチ２
   ７を、遊星キャリヤ１６の内部に収めかつ連動ギヤー２
   ６と一方向クラッチ２５との軸方向間に配置したことを
   特徴とする車輌の走行用高低速切換装置。