JPS5839003B2 - 圧延材の蛇行防止方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は板状材の圧延において圧延材の蛇行を防止す
る方法に関する。

板圧延における圧延材の蛇行は、圧延作業能率を著しく
低下させるものであり、解決されるべき重要な課題の一
つとなっている。

蛇行発生の主な原因は、圧延材において左右の圧下率ま
たは伸び率が異なり、長く伸びた側に圧延材が引き寄せ
られることにある。

そこで、従来はこのような左右の圧下率または伸び率を
均等にするため、左右の圧下量を変えたり、あるいは、
ロールペンディング力を左右独立に調整していた。

しかしながら、前者の場合には圧延荷重そのものも変化
するため、長手方向の板厚精度にまで悪い影響を与えて
しまう。

また、後者の場合には制御能力に限界があり、十分な蛇
行防止効果が得られていない。

上記方法の他に、サイドガイドを板幅方向に移動させ、
圧延ライン全体を蛇行の生じた方向にずらせるという方
法も考えられている。

しかしながら、この方法によれば、テンションリールや
ペイオフリールの位置をも移動させねばならず、特にタ
ンデム圧延機等の場合は装置が犬がかりになるという欠
点がある。

上記のような蛇行防止上の問題を解決するため、最近、
軸方向に移動可能な中間ロールを備えた新型の６段圧延
機を利用した方法が開発されている。

この方法は、移動可能な中間ロールのうちの少くとも一
本を圧延材の蛇行方向とは逆方向に移動させ、該ロール
位置を左右非対称に配置することにより圧延材の蛇行を
防止するものである。

しかしながら、この方法には、補強ロールの中間ロール
端部に接触する部分にスポーリングが発生し易いこと及
び中間ロール位置とロールペンディング力の効果が作業
ロール変形特性に相互に影響を及ぼし合うため制御が極
めて複雑となる。

この発明は板圧延の蛇行防止における上記のような問題
点を解決したもので、長手方向の板厚精度の低下を招く
ことなく、極めて簡便かつ確実に圧延材の蛇行を防止す
ることができる方法を提供することを目的としている。

しかしてその特徴とするところは作業ロールにロールベ
ンダを設けかつ補強ロールにクラウンを付与した圧延機
を用い、そのロールペンディング力を制御することによ
って蛇行を防止しようとすることにある。

以下この発明を図面に基いて詳細に説明する。

第１図は本発明方法を実施するための圧延機を示すもの
である。

同図において、上下の作業ロール２，２′の左右両端部
間にそれぞれ公知のロールベンダ４，４′を介説してい
る。

又、上下の補強ロール３，３′はその胴部側外側端に段
差を設けて作業ロール２，２′に接する有効ロール胴長
Ｌ′を作業ロール２，２′のそれよりも短かくするとと
もに、該有効胴長Ｌ′に凸状のクラウンを付与している
。

なお、１は幅Ｂの圧延材を示す。このように構成した圧
延機は適切な有効ロール胴長Ｌ′を設定すれば、補強ロ
ールの両端部に段差をもちかつ有効胴長Ｌ′に凸状クラ
ウンを付与せしめているため、作業ロール２，２′を有
効かつ広範囲にベンディングさせることができ、極めて
顕著なロールベンディング効果を発揮することが可能で
ある。

通常、この有効胴長Ｌ′は特に圧延材の最大板幅を圧延
する際の中伸限界、スポーリング限界等に基いて設定さ
れる。

この発明の方法はこのように構成された圧延機により実
施される。

すなわち、凸状クラウンを付与した補強ロール３，３′
の有効胴長Ｌ′を最適な値に設定し、次いで圧延材１の
蛇行方向及び量さらには板幅Ｂに応じて左右のロールペ
ンディング力を独立に制御して蛇行を防止する。

第２図は圧延材１の蛇行を説明するための図で、圧延材
ｌ ｏ）断面が右側が厚く左側が薄くなった場合で、こ
の状態では左側の薄くなった部分の伸び量が大きく、圧
延材１は左側へ蛇行す、る。

従ってこの場合には左方のロールベンダ４′のロールペ
ンディング力を適正に調整すれば蛇行は防止できる。

第３図はロールペンディング力と板幅方向における板厚
分布との関係を示しており、ＦＬは左側、ＦＲは右側の
ロールペンディング力を表わしている。

このグラフではｐ Ｌ ＝ ５０ｔｎｎ／チヨツク、Ｆ
Ｒ＝Ｏｔ０ｒＬ／チョックの場合においては、δｈの左
右板厚変化量が生じることを示している。

第４図はロールペンディング力の変化量（ΔＦ）と左右
板厚変化量δｈとの関係を板幅毎に示したグラフであり
、両者は直線的な関係にある。

従って、ここで蛇行量ｙとすると ΔＦ＝α・ｙ となる。

αは板幅によって決まる制御ゲインである。

このことから実際の圧延材の蛇行量及び板幅が測定され
れば、自動的に△Ｆが求まり、これに基いてロールベン
ダを制御すれば圧延材の蛇行が防止できることになる。

上記圧延材の蛇行防止は実際には自動的に行なわれるも
のである。

次にその方法について第５図に示す蛇行防止制御装置の
ブロック図に基いて説明する。

第５図において、５，５′は左右のロールベンダ４，４
′の制御装置にそれぞれ指令を与えるロールペンディン
グ力指令装置、６は演算器、７は板幅検出器又は板幅設
定器、８は蛇行検出器である。

第１図に示す圧延機により圧延作業中において、圧延材
１に蛇行が生じるとその蛇行量及び蛇行方向が蛇行検出
器８によって検出され、その検出値ｙ及び方向は演算器
６へ送られる。

一方、板幅Ｂ信号も板幅検出器又は設定器７より演算器
６へ送られる。

演算器６においてはこれら蛇行量ｙ及び板幅Ｂを基に蛇
行修正に必要なロールペンディング力△Ｆが演算され、
この演算されたロールペンディング力信号が蛇行方向位
置のロールベンディング指令装置５又は５′からの指示
によりいずれかのロールベンダ４又は４′が作動し、こ
れによって作業ロール２，２′のペンディング力が適正
に調整され圧延材１の蛇行が修正される。

なお、蛇行検出器８としては、たとえば光電素子、放射
線装置などが用いられる。

又、従来ではロールペンディング力を変化させた場合、
圧延荷重そのものが変化してしまい、長手方向の板厚精
度に悪影響を及ぼすものと考えられていたが、本発明者
らの実験によればロールペンディング力の変化は圧延荷
重に全く影響を与えないことが知見された。

以上説明したように、この発明では圧延作業中に圧延材
の蛇行を検出し、この検出値と板幅とに基いてロールベ
ンダのペンディング力を調整するだけであるから、極め
て簡便であり、しかも応答性が早い。

又、蛇行防止のために圧下率を調整することはないので
、長手方向の板厚精度に悪影響を与えることもない。

更に、この発明の方法では有効胴長が作業ロールのそれ
よりも短かくかつその胴部に凸状クラウンを付与した補
強ロールを備えた圧延機を用いるため、従来の圧延機に
比べ格段に優れたロールベンディング効果が得られ、圧
延材の蛇行防止に顕著な効果を発揮せしめることができ
る。

【図面の簡単な説明】 第１図はこの発明の方法を実施するために用いられる圧
延機を示す概略図、第２図は圧延材の蛇行を説明するた
めの略図、第３図はロールペンディングカと板幅方向の
板厚変化の関係を示すグラフ、第４図はロールペンディ
ングカ変化量と左右板厚変化量との関係を板幅に応じて
示すグラフである。 第５図はこの発明を実施する蛇行防止制御装置のブロッ
ク図である。 １・・・圧延材、２，２′・・・作業ロール、３，３′
・・・補強ロール、４．４’・・・ロールベンダ、５，
５′・・・ロールペンディングカ指令装置、６・・・演
算器、７・・・板幅検出又は設定器、８・・・蛇行検出
器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 作業ロールの左右の端部にそれぞれロールベンダを
   設け、前記作業ロールのそれよりも短かい有効胴長をも
   ちかつ胴部にクラウンを付与した補強ロールを上下に配
   置した圧延機にて圧延材の蛇行を防止するに際し、 圧延作業中圧延材の蛇行を検出し、該検出値と板幅に基
   づき左右のロールペンディング力をそれぞれ独立して調
   整し、圧延材の蛇行を防止することを特徴とする圧延材
   の蛇行防止方法。