JPS5830837Y2 - 内燃式杭打機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は内燃式杭打機、特にその吸排気ポートの改良に係
るものである。

内燃式杭打機では同一のポートで燃焼ガスの排出、掃気
及び新気の吸込を行なっており、吸排気ポートの構造は
内燃式杭打機の性能を大きく左右する。

第１図によって従来の内燃式杭打機の作動を簡単に説明
する。

第１図は圧縮開始の状態を示し、シリンダ１内を自由落
下するラム２は吸排気ポート３を締切り、シリンダ１内
に封塞された新気を圧縮しつつアンビル４上に落下する
。

而してラム２がアンビル４に衝突するとき、ラム２の落
下に連動してシリンダ１内に供給された燃料と混合され
た新気が爆発を生起し、ラム２はシリンダ１内を上方に
押上げられる。

ラム２の上昇に伴って吸排気ポート３が開放されると燃
焼廃ガスは吸排気ポート３を経て外気中に放出される。

ラム２は引続きシリンダ１内を上昇するので、廃気ガス
の放出が終ると外部よりシリンダ１内に新気が吸込まれ
る。

この新気の吸込はラム２が更にシリンダ１内上部に上昇
するまで継続される。

ラム２がシリンダ１内の最上点まで到達したのち自由落
下を始め、以下上述の作動サイクルが反覆される。

第２図は従来の吸排気ポートの断面形状と、シリンダ内
におけるラムの運動に伴なう吸排気ポートの開口面積の
経時変化を示すものである。

従来の吸排気ポート３は製作上合理的であるという理由
から、吸排気ポートボス３ａ軸の直交断面は３′に示す
ように円形状に形成されており、従ってラム２の通過す
るシリンダ壁における開口部３“はシリンダ１の長手方
向、即ちラム２の運動方向に長い楕円形状になっている
。

第２Ｃ図のグラフは吸排気ポート３の楕円形開口部３“
の開口面積の経時変化曲線を示すもので、同開口面積Ａ
が時間ｔの経過とともにどのように変化するかを示した
ものである。

燃焼と膨張とが完了した廃ガスは比較的高い圧力を有し
ているため、吸排気ポート３を経て高速で外気中に放出
される。

かくして熱燃排ガスの排出が終了すると直ちに新気が同
一の吸排気ポート３を介してシリンダ１内（ご流入し、
シリンダ１内に残留した廃ガスを掃気する。

次に生起する爆発を効率よく遂行せしめるためには、こ
の段階での掃気を十分に行なわせることが肝要である。

従来の吸排気ポートにみられる開り面積の経時変化率は
緩徐であり、従って燃焼廃ガス排出時のシリンダ内圧力
変化が比較的緩除になり、廃ガスの流動が後述の本案の
場合に比して静的な傾向を帯びる。

このことは排気作用の直後に生起する新気吸入、掃気作
用も後述の本案の場合に比して静的な性格をもち、新気
は緩除に流入してシリンダ内の隅々にまで到達できない
。

このように従来の吸排気ポートの開口部の形状では新気
吸込、残留廃ガスの掃気が有効に行なわれない欠点があ
った。

本案はこのような欠陥を除去するために提案されたもの
であって、シリンダにＬ下方向に摺動可能なうｊ８を内
装し、前記シリンダ及びラム間に画成されたシリンダ室
と外気とを連通ずる吸排気ポートをシリンダ壁に設けて
なる内燃式杭打機において、前記吸排気ポートの通路が
吸排気ポートボス軸と直交する断面において、前記シリ
ンダの半径方向よりシリンダの周方向に長く形成されて
なることを特徴とする内燃式杭打機に係るものである。

本案に係る内燃式杭打機においては前記したように、シ
リンダ壁に設けられた吸排気ポートの通路が、吸排気ボ
ートボス軸と直交する断面において、前記シリンダの半
径方向よりシリンダの周方向に長くなるような断面形状
に構成されているので、シリンダ内を摺動するラムが吸
排気ポートのシリンダ内壁に対する開口部を通過する際
、同開口部の開口面積の経時変化率が従来の吸排気ポー
トの場合よりも大幅に増大するものである。

このように本案によれば吸排気ポートの開口部の開口面
積の経時変化率を大きくとることによって、燃焼排ガス
の排出、掃気過程中のシリンダ内圧力が急激に変化し、
外気とシリンダ内部との間に大きな、圧力差が生じる。

従って排気の掃気過程中のガス流動が大きな圧力差の下
に非定常性を有し、ダイナミックな様相を呈するように
なり、この結果瞬間的に排気がなされ、新気が急激に素
早く、且つ大量にシリンダ内に流入し、シリンダ内残留
廃ガスと新気との混合、干渉がシリンダ内の隅々に至る
まで促進される。

このように本案によればシリンダ内の燃焼廃ガスの殆ん
どをシリンダ外部に排出することが可能となり、内燃式
杭打機の掃気効率を向上しうるちのであり、この結果、
次に生起する爆発を効率よく達成させ、燃焼改善、延い
ては燃料の有効利用、煙公害の防止に寄与する。

また掃気効率を向−Ｌすることによって、連続運転等で
シリンダ壁が高温になっても燃料の過早着火による杭打
力低下を招来する惧れが少なくなる。

以下本案を図示の実施例について説明する。

第３図に示す実施例において、シリンダ１の周壁に配設
された吸排気ポー ト１１の通路１２を、中心点の異な
る一双の円よりなり、吸排気ボートボス１３軸と直交す
る断面において、シリンダ半径Ｊｊ向の長さ１１より、
シリンダ周方向の長さ１２の方が長い繭状断面に形成さ
れており、前記１吸排気ポー［１のシリンダ１内壁に対
する開１１部１４は周方向に圧縮された繭形に形成され
ている。

第４図は前記第３図に示す実施例における吸排気ポート
における開１」部１４の開口面積Ａの経時変化を示すグ
ラフで、同時に前記従来の吸排気ポートの開口面積の経
時変化が破線で示されている。

なおｔ。は吸排気ポート全開までの時間を示すものであ
る。

第４図から明らかなように、第３図に示した実施例にお
ける吸排気ポートにおいては、従来の吸排気ポー トに
比して同じ時間内で開１−１面積を大きくとることによ
って開口部１４の開口面積の経時変化率を大きくしたも
のであり、このように吸排気ポートのシリンダ内壁の経
時変化率を大きくとることにより、前述の如く内燃式杭
打機の掃気効率を同士ル、掃気過程に次いで生起する爆
発を効率よく達成させ、燃焼改善、延いては燃料の有効
利用、煙公害の防止に寄与するものであり、更に掃気効
率を向上することによって連続運転でシリンダ壁が高温
になっても、燃料の過早着火による杭打力低下が生起し
難くなるものである。

第５図に示す実施例においては、前記吸排気ポーｌ−１
１の通路１２を、吸排気ポートボス１３軸と直交する断
面において、シリンダ半径方向の長さよりシリンダ周方
向の長さの方が長い矩形断面に形成され、吸排気ポート
１１のシリンダ１内壁に対する開口部１４のシリンダノ
一方向の長さをシリンダ長手方向の長さより大ならしめ
、第６図の開口部の開口面積の経時変化を示すグラフよ
り明らかなように、吸排気ポート開口部全開までの時間
ｔ。

１を従来の吸排気ポートにおける開口部全開までの時間
ｔ。

２より短縮して、開口部の開口面積の変化率を大きくし
たものである。

第７図及び第８図は本案の他の実施例を示し、夫々吸排
気ポート１１の通路１２を吸排気ポートボス１３軸と直
交する断面においてシリンダ周方向の長さがシリンダ半
径方向の長さより大きい楕円状の断面に形成している。

【図面の簡単な説明】

第１図は内燃式杭打機の部分縦断面図、第２Ａ図は従来
の内燃式杭打機の吸排気ポート部分の縦断面図、第２Ｂ
図は吸排気ポートボスの横断平面図、第２Ｃ図は前記従
来の吸排気ポートにおける開口部の開口面積の経時変化
を示すグラフ、第３Ａ図及び第３Ｂ図並に第３Ｃ図は夫
々本案に係る内燃式杭打機の一実施例における吸排気ポ
ート部分の縦断面図前に平面回前に吸排気ポートボスの
横断平面図、第４図は前記吸排気ポートにおける開口部
の開口面積の経時変化を示すグラフ、第５Ａ図及び第５
Ｂ図は夫々本案に係る内燃式杭打機の他の実施例におけ
る吸排気ポート部分の縦断面図前に吸排気ポートボスの
横断平面図、第６図は第５図に示す吸排気ポートにおけ
る開口部の開口面積の経時変化を示すグラフ、第７Ａ図
及び第７Ｂ図は本案に係る内燃式杭打機の他の実施例に
おける吸排気ポート部分の縦断面図前に吸排気ポートボ
スの横断平面図、第８Ａ図及び第８Ｂ図は本案に係る内
燃式杭打機の更に他の実施例における吸排気ポート部分
の縦断面図前に吸排気ポート部分の横断平面図である。 １・・・・・・シリンダ、１１・・・・・・吸排気ポー
ｌ〜、１２・・・・・・通路、１３・・・・・・吸排気
ポートボス、１４・・・・・・開口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダに上下方向に摺動可能なラムを内装し、前記シ
   リンダ及びラム間に国威されたシリンダ室と外気とを連
   通ずる吸排気ポートをシリンダ壁に設けてなる内燃式杭
   打機において、前記吸排気ポートの通路が吸排気ポート
   ボス軸と直交する断面において、前記シリンダの半径方
   向よりシリンダの周方向に長く形成されてなることを特
   徴とする内燃式杭打機。