JPS5826373B2 - セルロ−スエ−テルと無機酸とからなるメソフエイズド−プ - Google Patents

セルロ−スエ−テルと無機酸とからなるメソフエイズド−プ

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JPS5826373B2
JPS5826373B2 JP12071879A JP12071879A JPS5826373B2 JP S5826373 B2 JPS5826373 B2 JP S5826373B2 JP 12071879 A JP12071879 A JP 12071879A JP 12071879 A JP12071879 A JP 12071879A JP S5826373 B2 JPS5826373 B2 JP S5826373B2
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dope
mesophase
cellulose
weight
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邦彦 岡島
敏彦 松井
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、セルロースエーテル及びそれに対する溶媒で
ある無機酸とから構成されるメンフェイズドープ及び該
ドープの特徴を失なうことなくドープ粘度を紡糸、製膜
等の成形に適した領域にまで調整されたメソフェイズド
ープに関する。
本発明の目的は、力学的に優れた新規な繊維やフィルム
及び新規な構造を有する繊維やフィルム製造に有用なセ
ルロース系メンフェイズドープの提供にある。
ここでメンフェイズドープとは、エフ・シー・フランク
(F、C0Frank)、ディスカッジョン ファラデ
イー ソサイアテイー(Di 5cuss。
Faraday Soc、、25,19(1958):
]に定義されている如く、ドープを形成する分子の重心
の移動に関しては流動的であるが、分子の配向の変化に
対しては弾性的な性質を示す状態にあるドープを意味し
、流体力学的な場、例えば速度勾配を負荷した時に、そ
の剪断力によって流動複屈折を具現する状態にあるドー
プとは異なる。
換言すれば、外部からの刺激を加えずして、そのドープ
がドープを形成する分子の何らかの規則的配列のために
、肉眼観察に於いても明らかに干渉色を示すか、又は、
偏光顕微鏡の直交ニコル下で明視野を示す液体と固体の
性質を具備したドープをさし、液晶、光学的異方性液体
、オーダード リキッド(Ordered Liqui
d)と同義である。
特に本発明に於いては、溶媒によって誘起される液晶を
さす。
従って、かかるドープから紡糸される繊維は、延伸工程
を経ることなく高度に配夕1ルた糸条を与えるであろう
これまで分子鎖の堅いポリマー(rigidpolym
er)例えば、合成ポリペプチド、芳香族ポリアミド、
芳香族ポリアミドヒドラジド、芳香族ポリアゾメチン、
芳香族ポリエステル等の溶液又は、融液がメソフェイズ
ドープを形成する例は数多く知られている。
フロー’J−(Flory)、プロシーディンゲス オ
ブ ザ ロイアル ソサイエテイー シリーズ(Pro
c、 R,Soc、 、 Ser。
A234,73(1956))は、堅い粒子に関する統
計的扱いを行ない混合の自由エネルギーをモル数、溶質
分子の軸比、ディスオリエンテーション(disori
entatior)係数の関数とする一般的表現を提案
し、臨界濃度に於いて、光学的等方性相と異方検相との
分離を予言した。
この相分離は、粒子の非対称性の結果として起り、比較
的小さな正の相互作用エネルギーによって、異方検相の
濃度が著しく増加するとされている。
又、分子鎖がある程度の屈曲性を持つポリマー(sem
iflexible polymer)では、その溶液
の特性は、結合間の堅いセグメントの長さにより主に決
定されるとされている。
この様に分子鎖の堅いポリマーについては、その特定溶
液がメソフェイズを形成するのは実際的にも、又理論的
にも裏づけられていると云える。
一方、セルロース誘導体の分子鎖の屈曲性については、
フローリー等の時代から議論されてきた。
しかしながら、これら議論は、溶媒の素抜は効果を適切
に考慮していなかった為、正確な議論とは云い難かった
最近上山等ポリマー、ジャナル(Polym、Jour
nal 、IM、4,409(1978)は、多くのセ
ルロース誘導体の溶液物性データをより正確に解析し、
それらの分子鎖の屈曲性について結論づけている。
注目すべき点は、ビニル系ポリマーと異なり、セルロー
ス誘導体は置換度にもよるが、極性OH基や、ヘテロ酸
素原子を分子間に持つため、その分子鎖の非摂動状態に
於ける広がり、ひいては堅さは、使用される溶媒によっ
て著しく異なり、かつその分子鎖の堅さはビニル系ポリ
マーに比し充分堅い点である。
この様にセルロース誘導体は特定溶媒との組合せでメン
フェイズドープを形成する潜在的能力を持つことが充分
予想される。
セルロース誘導体と構造の類似するキチン質が複屈折ゲ
ルを形成することも既に認められて居り〔マーチャサル
ト(Merchesault)等、ネイチャー(Nat
ure 、 )刊4 、補9,632(1959))、
前述の1つの証拠を与える。
特開昭52−96230号公報に於いても、置換度1以
上のセルロース誘導体とそれに対する特定溶媒との組合
せで光学的異方性ドープが得られることが述られている
が該公報中でも、光学異方性ドープ形成の為には、溶媒
の選択が最つとも重要であることが記載されており、そ
のような溶媒として有機溶媒が主に開示されている。
これは、該公報に開示されているセルロース誘導体の置
換度が1.0以上であることから来る当然の帰結である
既ち、セルロース化学の知らしむる所によれば置換基、
特に疎水基、例えばアルキル基、エステル基がセルロー
スの水酸基中の水素原子との置換が増大すると、より有
機溶媒可溶性に変化する事実は衆知のことである。
しかるに、有機溶媒を用いて、セルロース誘導体を溶解
する時、多くの場合、部分的ゲルの発生を伴ない均一な
溶液を得ることが難しいのが一般的であり、云んや、高
いポリマー濃度(15重量%以上)が必要なメソフェイ
ズ形成過程では、上記の点が大きな問題となり、かかる
ドープから均質な成形品を得ることは、はなはだ困難で
あるばかりか、最終成形品から有機溶媒を完全に除去す
ることは困難で、品質上の問題を発生することは良く経
験する所である。
一方、該公報中には、無機酸を溶媒として用いたセルロ
ース誘導体のメソフェイズ形成性には何ら触られていな
いが無機系溶媒を用いた例は数例示されている。
例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/水
、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC
Na)/水、CMCNa/苛性ソーダ水溶液、CNCN
a/塩化すl−IJウム水溶液、硫酸セルロースナトリ
ウム塩/水等がflhされている。
しかしながら、これらの殆んどが、そのメンフェイズド
ープ形成の為にポリマーの固体重量が50重量%以上必
要であり、実際の成形には、全く、適さない。
又、固体重量が30重量%程度でメンフェイズドープを
形成するものでも、全体が糊状を呈し、曳糸性等に問題
が発生する。
環系溶媒やアルカリ性溶媒を用いる場合は、上記に指運
した問題点の他に、成形品中の残留金属の問題や、排水
等の点に致命的問題を生ずる恐れがある。
他方、該公報には、全く触れられていない無機酸類は、
セルロースに対する解重合作用を利用して、種々の重合
度のパルプ製造等に応用されてはいるが、一般にセルロ
ース誘導体に溶媒として、無機酸を用いることは、工業
的見地からも学問的見地からも敬遠されてきた。
例えば酢酸セルロースや硝酸セルロースの製造に際し触
媒として加える硫酸の為、著しいポリマーの解重合やか
くして得られた原料中の残留5OX−イオンの為、その
ものの有機溶媒溶液中でのゲルの発生等を経験したセル
ロース工業に於いて、無機酸の使用は弔み嫌われてきた
し、又、セルロース化学全般を良くまとめであるセルロ
ース パートI〜II(CellulosePartI
〜■)、セルロースアントセルロース デリバテイブス
パート■、■(Celluose and Ce1l
ulose DerivativesParr JVX
以上、イー・オツトー・スパーリン(E、 0tto、
5purline共編、インターサイエンス(Int
er 5cience))に於いてさえ、セルロース誘
導体の溶解性については、それが、アルカリ可溶性か、
水可溶性か、又は、有機溶媒可溶性かについての記述が
殆んどで無機酸についての溶解性の議論は皆無に等しい
のである。
この様に無機酸をセルロース誘導体に使用して、その利
点を見い出そうとする努力は皆無であったといっても過
言ではない。
本発明の基本的原理は、種々のセルロース誘導体の種々
の溶媒中でのその非摂動状態に於ける分子鎖の広がり、
ひいては堅さについての詳細な解析に基づいて、極性ポ
リマーは極性溶媒中に於いて、その非摂動状態での分子
鎖の広がりは増大するという真理に基づき、かつ有機溶
媒や無機塩系を溶媒として用いる場合の欠点を考慮し、
セルロース及びセルロース誘導体と溶媒とからなるメソ
フェイズ発現性につき鋭意検討した結果おどろくべき事
に、無機酸をセルロース誘導体に適用する困難性にもか
かわらず、無機酸/水系を溶媒とするセルロースエーテ
ルドープが広範なドープ濃度範囲及び広範な酸濃度範囲
で、極めて安定なメソフェイズドープを形成することを
見い出し本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は1種以上の無機酸を少なくとも5重
量%含む水溶液と、この水溶液中に少なくとも10重量
%の量で存在するセルロースエーテルとを主成分として
構成され、かつ、流体力学的外力を加えることなくして
メソフェイズ性を示す成形用ドープである。
本発明に於いて、セルロース誘導体として、セルロース
エーテル類を選択した理由は、多くのセルロースエーテ
ルが、広範な置換度範囲で無機酸に可溶であること、合
成自体が容易であること、又、場合によっては、強酸中
で置換度、重合度を調節でき、出発物質とは性質の異な
る成形品が製造可能である等の点である。
本発明におけるセルロースエーテルは、例えばメチルセ
ルロース(以下MCという)、エチルセルロース(EC
)、シアノエチルセルロース(CyEC)、カルバモイ
ルエチルセルロース(CmEC)、カルボキシエチルセ
ルロース(CEC)、シアノエチル−カルバモイルエチ
ルセルロース(Cy EC−CmEC)、シアノエチル
−カルホキジエチルセルロース(C!/ECCEC)、
カルボキシエチル−カルバモイルエチルセルロース(C
E C−CmE C)、ヒドロキシエチルセルロース(
HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHE
C)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボ
キシメチルセルロース(CMC)及びそれらの可能な塩
例えばナトリウム塩であり、本質的に無機酸水溶液に分
子分散状に溶解可能なものである。
殊にMC。CyBC,CEC,CyEC−CEC,Cy
EC−CmBC。
CEC−CmECが好適に用いられる。
これらは単独で、また二種以上混合して使用することが
できる。
これらセルロースエーテル類の無機酸類への高溶解性は
、メソフェイズドープ形成に際し、重要でアリ、セルロ
ースエーテルは少なくとも10重量%の濃度で溶解して
いることが必要である。
同一種、同一置換度のセルロースエーテルの平均重合度
が増すと、ある特定無機酸との組合せでメソフェイズを
発現するポリマー濃度は減少する。
セルロースエーテルの平均重合度(DP)は、限定的で
はないが、本発明のドープからの成形用途には100以
上であることが好ましい。
本発明は、無機酸系を溶媒とするため、置換度(以下D
Sという)が少さくても(例えばDS<1)、メソフェ
イズドープを形成出きる。
この事実は、特開昭52−96230号公報に記載のメ
ソフェイズ系にはない新発見である。
無機酸系に対するセルロースエーテル類の溶解度は、置
換基種、置換度に依って左右される。
例えばCyEC2CEC等は全置換度域、即ち0<DS
<3.0域で、無機酸との組合せでメソフェイズドープ
を形成し得る。
HPC,HEC等も同傾向を示す。ECやMC等では、
DS>2.3以上になると多くの無機酸類へ溶解度が減
少し、この為、これ以下の置換度のものが用いられる。
本発明のメソフェイズドープ形成に用いられる無機酸は
、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、メタリン酸、ピ
ロリン酸、次リン酸、亜硫酸、フルオロ硫酸、クロロ硫
酸、塩素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、臭素酸
、過臭素酸、次亜臭素酸、フッ化水素酸、チオシアン酸
、チオ硫酸等があり、特に、硝酸、塩酸、リン酸、過塩
素酸が好適に用いられる。
これら酸類は単独又は2種以上混合して使用してもかま
わない。
実際の使用に当ってはこれら酸類を少なくとも5重量%
含む水溶液が溶媒として用いられる。
しかしより好ましい酸濃度は、用いる酸及びセルロース
エーテルの種類によって異なるが、MCの場合、リン酸
では30〜88重量%水溶液、硝酸では5〜67重量%
水溶液、CyECの場合には、硝酸で25〜75重量%
水溶液が溶媒として用いられる。
更に、この好ましい酸水溶液は用いるエーテル類の置換
度にもよりDS=2.89のCyECでは、40〜75
重量%硝酸が好適である。
又、例えばセルロースエーテル類の加水分解を制御した
いとか、酸自体の分解を防ぎたいなら第三成分を添加す
ることも可能であり、場合によっては酸自体の加熱処理
や、N2置換も有効である。
一般に酸濃度の低い水溶溶を溶媒として用いた場合、同
一種のセルロースエーテルがメソフェイズドープを形成
する濃度は高くなる。
又、メンフェイズを形成せしむるに必要な最低酸濃度(
水中での重量%)は、ポリマ一種、酸種によって異なる
例えばMC(DS18、DP=140)(7)場合、塩
酸濃度は20重量%、硝酸濃度は5重量%である。
無機酸を溶媒とするため、ある温度条件下で既存メソフ
ェイズドープの特性を変えることなく、ドープ粘度を適
宜調整できる。
例えば、MC(DP=650 、DS=1.8 )/リ
ン酸(85重量%)系でMCを40重量%含むメソフェ
イズドープの粘度を初期の%まで低下せしめてもメソフ
ェイズ特性を保持させることが出来る。
この事は、当初得られた高ドープ粘度下に於ける、ドー
プからの脱泡性、押しだし、流延操作等の困難性及びそ
れらより由来する製造エネルギーコストの上昇等を、ド
ープ粘度の低下により解決し得ることを示している。
前述の例にて説明すると、MC40重量%/リン酸(8
5重量%)系で得られる初期のメソフェイズドープでは
著しく粘度(約3500ポイズ)が高くドープより脱泡
するのに一昼夜以上(0℃で)必要で、かつ、得られた
ドープから成膜するのは困難であるが、とのドープを熱
処理し、0℃での粘度を約2200ポイズとなした場合
、脱泡も3〜5時間で行なえ、かつ、流延成形膜も容易
に得られるのである。
メソフェイズドープの特性は種々の方法によって決定で
きる。
本発明のドープでは、その殆んどが干渉色を示すため、
肉眼で容易に確認される。
又これを、ガラススライド及びカバーグラス間に置き偏
光顕微鏡直交ニコル下で観察する時、剪断力を与えるこ
となく明視野を呈すので確認できる。
メソフェイズドープを特長づけるポリマーの濃度範囲は
、そのドープの粘度−濃度プロットにより決定される。
即ち、メソフェイズドープ形成性をポリマー濃度につい
て考えると、等方性溶液中では、ポリマーを形成する分
子鎖同志がランダムにからまり合い、濃度上昇と共に溶
液粘度の増加がみられる。
しかし、メソフェイズ層を示す濃度域に於いて、分子鎖
が特定の配向(又は配列)をとることにより、分子鎖同
志のからみ合いが減少し、その結果粘度の急激な低下域
を経験すると考えられる。
第1図は、その代表例として重合度3201D82.6
のCyEC−73,5重量%硝酸系虱DP750.D8
1.8のMC−83重量%リン酸系[F])のプロット
を示しである。
ドープ粘度はコーンプレート型回転粘度計を用い、剪断
速度205ec−t、5℃下で測定したものである。
メソフェイズ相の分離が始まる濃度域でドープ粘度は急
激に低下しはじめ、分離が完結する濃度域で再びドープ
粘度は上昇する。
又第2図は、DP290゜D82.2のCEC−60重
量%硝酸系の可視光透過率とドープ濃度との関係を示す
図である。
(測定波長720wt、温度25℃)第2図に示す様に
波長720mμにおける可視透過率−濃度プロットから
も決定し得る。
水沫では、理論的背景は不明ではあるが、可視透過率が
、溶液の複屈折に相関つけられるため、メソフェイズ形
成濃度域に於ける分子鎖の配列によって、メソフェイズ
形成濃度域内で透過率は極大値を与えると考えられる。
第1図、第2図において、Xの領域は等方性を示し、Y
の領域は異方性を示す。
上記の如く得られるメンフェイズドープは、般に流体力
学的外力を加えることなくして、安定にメンフェイズ性
を維持する。
例えば、CyEC/硝酸系、MC/リン酸系、CEC/
硝酸系、MC/硝酸系CyEC/IJン酸系等では、O
′C〜室温間で保存すれば、数日〜数週間メンフェイズ
系を維持し得る。
これに対し、セルロースエーテル/有機溶媒及び特開昭
52−96230号公報に例示されている水系溶媒では
、EC/メタノール−塩化メチル系メソフェイズを除き
、殆んどすべてが、数分〜数秒の間で緩和してしまう。
しかも該公報に例示されているセルロースエーテル/溶
媒系メンフェイズの殆んどすべてが、流体力学的外力を
必要とする点、本発明と大きな相異がある。
本発明のドープは、セルロースエーテル及ヒ適当な無機
酸の水溶液を室温又は冷却もしくは加熱しながら攪拌す
ることによって製造出来る。
有機溶媒を用いる場合と異なり、ゲルの発生が著しく低
く、従って、短時間で容易に成形に有用なメソフェイズ
ドープを製造できる。
例えば、CyECを用い65重量%硝酸又はDMFを用
いてメソフェイズドープを製造する場合、前者ではゲル
の発生がなく3〜5時間で均一なメソフェイズドープの
製造が可能であるのに対し、後者の場合、ゲルの発生が
著しく、成形に有用なメソフェイズドープの製造は極め
て困難である。
ドープ濃度が高い為、濾過操作によって、かかるゲルを
濾別することがはなはだしく困難であることを考慮する
と、短時間で容易に成形に有用なメソフェイズの製造が
可能であることは、工業上極めて有利である。
又、かくして得られたメソフェイズドープ中のセルロー
スエーテルを適当な温度条件下で解重合し、所望のメン
フェイズドープを得ることも可能である。
一般Iこ、得られるメソフェイズドープは、温度の上昇
と伴にメソフェイズ性を失ない均一溶液となるが、温度
を下げると可逆的にメソフェイズ性を再現する。
このように、セルロースエーテルと無機酸とからなるメ
ソフェイズドープの効果は、■)溶媒が安価で経済的で
ある。
2)酸の加水分解作用により、メソフェイズドープの特
徴を保持した範囲内でドープ粘度を調整でき成形上有利
である。
3)メソフェイズの緩和時間が非常に長く、適当な温度
条件の保持下では、通常数日〜数週間以上安定に存在す
る。
4)置換度範囲の広いセルロースエーテル類からメソフ
ェイズドープを製造出来、種種の性質を有する新規な成
形品が製造可能である。
5)基本的に単独溶媒でメソフェイズ形成能をもつため
取り扱いが簡単でかつ溶媒回収が容易、6)繊維、フィ
ルム等への成形に於いて、成形物中への溶媒の残留は有
機溶媒系に比し、はるかに少なく、そのため成形された
繊維やフィルムの純度、自席等が優れる、7)力学的(
例えば強度)に優れた新規な繊維やフィルムかえられる
かかるドープから紡糸される繊維は、延伸工程を経るこ
となく高度に配夕(ルた糸条がえられる、等多岐にわた
る。
これらのメソフェイズドープは、有用でかつ新規な構造
を有するフィルム及び繊維に成形できる。
高強力セルロース系繊維の製造には、空中吐出湿式紡糸
が適当である。
本方法に於いては、紡糸口を凝固浴内に鉛直に通した後
、浴内のピンに沿って糸条を走らせ巻き取る。
凝固浴温度は0〜15℃が好ましい。
アルコール、水、アセトン、エーテル及びこれらと無機
酸、無機塩との混合物が凝固剤として用いられ、セルロ
ースエーテル種、溶媒として用いる無機酸種によって適
宜選択される。
これらの凝固剤は繊維内の無機酸を抽出するのに有利な
媒体であり、より完全な残存溶剤の除去には長時間(1
昼夜)浸漬することが有効である。
本発明のドープから製造されるフィルムは、メタノール
、アセトン、水及びこれに無機酸及び又はその塩を含む
浴を用い製膜できる。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例 1 本実施例は種々の重合度のメチルセルロース(DS=
1.8 )と各種酸との組合せによりメンフェイズが作
成できることを例示すると共に、かかるメソフェイズド
ープより、新規な構造を有するメチルセルロース繊維が
得られることを例示する。
表1には、メソフェイズドープ形成ポリマー濃度(ドー
プ全体がメンフェイズを呈するに要する最低ポリマー濃
度)(重量%)を表示しである。
一方、リン酸83重量%を溶媒とし、MC(DP=22
0 、DS=1.8)を30重量%含むメソフェイズド
ープを作成した。
このドープを脱泡した紡糸ドープを0.12ii〆、単
孔のノズルから、エアギャップ(凝固浴面とノズル間の
距離0、5 crrt )を通し、83重量%リン酸を
5重量%含むアセトンを凝固浴として紡糸し、20?7
L/分の速度でボビンに巻き取りモノフィラメントを得
た。
ボビンのままエーテル/メタノール混液にlhr浸漬洗
滌後、風乾せしめた得たモノフィラメント繊維の偏光顕
微鏡写真を第3図に示す。
従来のセルロース系繊維とは異なり繊維軸にほぼ垂直な
筋が観察され極めて特徴的である。
得られた糸の物性は、T、S(強度)/T、E(伸度)
/Mi(初期モジュラス)=3.5g/d15〜6%1
50〜80.9/dであった。
実施例 2 本実施例は、高強度、高配向した繊維が得られるシアノ
エチルセルロース(DS=2.89 、 DP=390
)のメソフェイズドープ及びその繊維の製造法を例示し
、同時に溶媒として無機酸を使用する場合(本発明)と
有機溶媒(比較例)を使用する場合の比較を明示する。
11の溶解容器中で73.5重量%硝酸300gとシア
ノエチルセルロース(CyEC)20051’を室温で
4時間攪拌溶解して、ゲルのない均一なメソフェイズド
ープを容易に得た。
これを0℃で1昼夜放置后減圧下で脱泡処理した紡糸ド
ープを0.07ii〆、50孔のノズルからエアギャッ
プ(凝固浴面とノズル間の距離0.5 crn )を通
し、吐出量2.5CC/分で、20重量%稀硝酸/溶液
(−5℃)を凝固浴として紡糸した。
得られる糸条を60m/分で巻き取り、ボビンのままで
水に一昼夜浸漬洗滌した后、風乾せしめた。
一方、特開昭52−96230号公報に記載しであるc
yEcのメソフェイズ形成溶媒、ジメチルホルムアミド
(DMF)を用い、メソフェイズドープの製造及び空中
吐出紡糸を試みた。
CyECの固型重量を35重量%とし、DMFと混合攪
拌した所、いわゆる“ままこ″状態を呈し均一なメソフ
ェイズドープを得るのに15〜18時間も要しtラ し
かも得られたドープは全体がゲル状を呈し曳糸性がなく
、紡糸できなかった。
そこで、実質的にメソフェイズドープを呈しないCyE
C/DMF(ポリマー固体重量25重量%)ドープを作
成し、メタノール/水を凝固浴として、上記と同一条件
で空中吐出紡糸を行ない得た糸をボビンのまま、メタノ
ール/水で一昼夜浸漬洗滌后、風乾し得た糸を比較例と
した。
上記二法により得られた糸の物性及び白変を表−3に示
す。
CVEC、CECのメソフェ イズドープ形成ポリマー濃度 (重量%) 単位 重量% 白変は、日立測色計EPR−II型を用い波長400η
mでキャリブレーションし、その反射率で示しである。
この白変は、相対的な繊維中の残留溶媒の差を反映して
いると見直し得る。
表より明らかな如く、得られた糸の白変は、本実施例に
得られたものの方が高く、純度も高いことが判かる。
又、有機溶媒を用いた場合には、ゲル等の発生で成形上
問題の多い事も明らかである。
実施例 3 本実施例は置換度(DS)が1以下のセルロースエーテ
ルによるメソフェイズドープの製造法を例示する。
表−4には、CyEC及びCECと各種無機酸との組合
せによるメソフェイズ形成に必要な最低ポリマー濃度を
示しである。
上記表中1.42のCEC/硝酸系メソフェイズドープ
をガラス板状に流延后、ガラス板ごとメタノール浴に浸
漬し、大部分の溶媒を除去したフィルム成形し、これを
更にエタノールで洗滌后、乾燥し、得た透明なフィルム
の偏光顕微写真を第4図に示している。
流延製膜時に与えたシェア一方向とほぼ直角方向に縞模
様に配列しているのが特長的である。
実施例 4 本実施例は、DS=1.8 、DP=140のMCにつ
いて、各種酸との混合でメンフェイズを形成するに必要
な無機酸/水系溶媒に於ける酸の最低濃度(重量%、水
)及びその時のドープ中でのポリマーの濃度範囲を表5
に例示する。
実施例 5 本実施例は、メソフェイズドープの特性を保持したまま
でそのドープ粘度を調整する方法を例示する。
実施例2の方法に従って、各種セルロースエーテルと無
機酸との組合せでメソフェイズドープを調製した後、任
意の温度の水浴中で該ドープを攪拌しながら、任意の時
間処理すれば、容易にドープ粘度を低下せしめることが
出来る。
ここでは、60℃の水浴中で10分、30分、60分、
ドープ類を処理し、室温(25℃)に戻した時のドー粘
度を表−4にまとめて示しである。
加熱処理時間30分次のドープは、それを冷やし室温に
戻すとメソフェイズを維持していた。
かくして得られたメソフェイズドープ類から、アセトン
又はメタノールを凝固浴として、容易に製膜できた。
特に81重量%リン酸/CyEC系に於ける熱処理前ド
ープの脱泡には、減圧下(20miHg)、0℃で12
〜16時間を要したが、60℃で、30分間処理したド
ープでは、同一条件下で4〜6時間で脱泡できた。
実施例 6 本発明の範囲に含まれるメンフェイズドープの例を表7
に記載する。
但し、本発明を限定するものではない。
比較例 1 実施例2に於けるCyEC/硝酸系でメソフェイズを形
成しないドープ(ポリマー濃度10重量%)を作成し、
実施例2に記載した紡糸条件で紡糸した。
得られた糸の物性はD e n、 /T、 SAT、
E 7M i =45/2.2/ 15 /24であり
、高配向性は認められなかった。
比較例 2 実施例1に於ける溶媒をリン酸から水にかえ、MCのポ
リマー濃度30重量%とじて、メンフェイズを形成しな
いドープを作成し、実施例1と同一条件で紡糸し池得ら
れた繊維の物性はT、S/T、E/Mi=1.2g/d
/10/15であり、その偏光顕微鏡写真に於いて、繊
維軸にほぼ垂直な筋は殆んど観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、メソフェイズを形成するドープのドープ粘度
とドープ濃度の関係を示す図である。 図中A及びBは、それぞれ重合度(DP)=320、f
換度(DS)=2.6のシアノエチルセルロース(cy
EC)/ 73.5%硝酸系、DP=750゜DS=
1.8のメチルセルロース(MC)783%)ン酸系を
示す。 第2図は、カルボキシエチルセルロース(CBC)/硝
酸系の可視光透過率とドープ濃度との関係を示す図であ
る。 第3図は、実施例1のMC/IJン酸系より得られた糸
の偏光顕微鏡写真(側面)である。 倍率は×520である。第4図は、実施例4のCEC/
i肖酸系より得られたフィルムの偏光顕微鏡写真である
。 倍率は×300゜図中の矢印は、フィルム成形時の流延
方向を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 11種以上の無機酸を少なくとも5重量%含む無機酸水
    溶液と、この水溶液中に少なくとも10重量%の量で存
    在するセルロースエーテルとを主成分として構成され、
    かつ、流体力学的外力を加えることなくしてメソフェイ
    ズ性を示す成形用ドープ。 2 セルロースエーテルがメチルセルロース、エチルセ
    ルロース、シアンエチルセルロース、カルボキシエチル
    セルロース、カルボモイルエチルセルロース、シアノエ
    チルカルボモイルエチルセルロース、シアンエチルカル
    ボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
    、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
    ピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
    、カルボキシメチルセルロース及びそれらの可能な塩類
    である特許請求の範囲第1項記載の成形用ドープ。 3 無機酸が塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、メタリン酸、
    ピロリン酸、次リン酸、亜硫酸、フルオロ硫酸、クロロ
    硫酸、塩素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、臭素
    酸、過臭素酸、次亜臭素酸、フッ化水素酸、チオシアン
    酸、チオ硫酸である特許請求の範囲第1項記載の成形用
    ドー714 セルロースエーテルがシアンエチルセルロ
    ースであり、無機酸が、硝酸である特許請求の範囲第1
    項記載の成形用ドープ。
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