JPS5826183Y2 - 車輌におけるマニアル式スライディングル−フの自動変速装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車等の車輛に組み付けるマニアル式スライ
ディングルーフの自動変速装置に関する。

更に詳しくは、ハンドル操作に伴って回転するギヤにカ
ム手段を設け、カム手段にアイドルギヤを２個備える揺
動部材を係合し、揺動部材の揺動でスライディングルー
フを移動させる駆動ギヤと２個のアイドルギヤを選択的
に噛合させてギヤチェンジを威し、スライディングルー
フの水平送り時と上昇送り時とで要する人為力の均一化
を図り、併せてギヤ部品点数の削減、構造の簡素化を図
るようにした車輛におけるマニアル式スライディングル
ーフの自動変速装置に関する。

自動車のルーフ部分に開口部を設け、この開口部を摺動
自在なスライディングルーフによって開閉するようにし
た装置は知られている。

全開時にはスライディングルーフはルーフ部分の下面に
入り込み、全閉時にルーフ部分と同じ高さ位置まで上昇
し、水平方向へ所定距離移動した後、上昇送りが成され
てスライディングルーフはルーフ部分と同じ高さに達す
る。

従来のハンドル式（マニアル式）スライディングルーフ
装置はスライディングルーフの水平送り時と上昇送り時
とでハンドルの回転数は変わらず、全開から全閉までの
全ての過程を通してハンドルを一定角度回転させればス
ライディングルーフは一定距離送られるように構成され
ていた。

上昇送りを行わせる場合、デフレクタ−の押し下げ等が
同時に加わるため、以上の如く構成された装置において
は水平送り時よりも大きなハンドル操作力をスライディ
ングルーフの上昇送り時に必要とし、水平送り時と上昇
送り時とで人為力は異なっていた。

従ってスライディングルーフを無理なくスムーズに上昇
させようとすれば、人為操作力を上昇送りさせる時に適
切となるように設定しなければならないため、全開から
全閉までのハンドル総回転数は自ずと多くなり、ハンド
ル操作を運転者が運転時にこれを行うことを考慮すると
好ましくない。

以上の問題を解決するためにはスライディングルーフの
駆動機構に変速機構を組み込めばよいことになる。

従来において各種機器、装置に組み込まれている変速装
置は多数のギヤ等の部品を用い、錯綜した構造となって
いるのが一般的である。

スライディングルーフ用の変速装置を製作する場合、こ
の装置はスライディングルーフ及びハンドルに近接して
自動車に組み付けられ、それ程大きな占有スペースを与
えられていないため、部品点数を極力少数に抑え、構造
簡単、コンパクトに構成することが望まれる。

本考案者等は以上の如き従来における問題点、及び要望
に鑑み、問題点を有効に解決するとともに、部品点数の
削減、構造の簡単化等の要望を充足すべく本考案を成し
たものである。

本考案の目的は、スライディングルーフの水平送り時と
上昇送り時とでハンドル回転数を異ならせ、上昇させる
場合にハンドル回転数を増して大きなハンドル操作力を
必要としない水平送り時と略同等の人為力によって威し
得るようにし、以って人為力の均一化を図り、且つスラ
イディングルーフの全開から全閉までのハンドル総回転
数を従来よりも少くできるようにした車輛におけるスラ
イディングルーフの自動変速装置か提供する以上を達成
するために本考案は、ハンドルと一体化されたハンドル
ギヤにより回転するギヤにカム溝等のカム手段を設け、
アイドルギヤを２個備える揺動部材を該カム手段に係合
してこれを揺動自在とし、且つアイドルギヤをハンドル
ギヤに噛合させて夫々を回転させるとともに、ケーブル
を介してスライディングルーフを移動させる１個の駆動
ギヤに揺動部材の揺動により２個のアイドルギヤを選択
的に噛合させてギヤチェンジを威し得るようにしたこと
を特徴とする。

又本考案の目的とする処は、揺動部材に取り付けるアイ
ドルギヤを２個とすることにより、スライディングルー
フを開閉させ、移動させる７駆動ギヤを１個とすること
ができるようにし、以ってギヤボックスに組み込むギヤ
の数の削減、該ギヤを支持する軸の削減を図り、併せて
装置全体の構造簡素化、コンパクト化を企図し、コスト
を低減することができるようにした車輌におけるスライ
ディングルーフの自動変速装置を提供する。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に従って詳述す
る。

第１図はスライディングルーフの概略を示す自動車の平
面図で、自動車のルーフ部分１に車室内を開放する開口
部２が形成され、この開口部２はスライディングルーフ
３の移動によって開閉される。

開口部２の両側部にケーブル４，４を延設し、運転席前
部上面に取り付けたギヤボックス５の駆動ギヤ６にスク
リューケーブルとしたケーブル４゜４を噛合させ、駆動
ギヤ６の駆動によるケーブル４．４の押圧、或は引張作
用によりスライディングルーフ３を移動させる。

スライディングルーフ３は図示しないガイドレールに案
内されて移動し、全開から所定距離水平に移動して水平
送りが威され、この後上昇してルーフ部分１と同じ高さ
レベルに達し、上昇送りが威されて全閉となる。

第３図はギヤボックス５の平断面であり、このギヤボッ
クス５には計４本の軸１０〜１３が縦設されている。

軸１０はハンドル１４を支持する支軸であり、軸１１は
上記駆動ギヤ６を支持する駆動軸である。

駆動軸１１の上端は第４図に示す如くギヤボックス５か
ら突出し、この突出端に駆動ギヤ６が取り付けられてい
る。

ハンドル１４を軸止した支軸１０に大・小径ギヤ１５ａ
、１５ｂからなる段付ハンドルギヤ１５をハンドル１４
と同軸的に固定し、ハンドル１４と一体に回転するよう
にする。

ハンドルギヤ１５の小径ギヤ１５ｂを軸１２で支持した
中間ギヤ１６の大径ギヤ１６ａと噛合させ、且つ中間ギ
ヤ１６の小径ギヤ１６ｂを軸１３に設けたカムギヤ１７
と噛合させる。

以上のギヤ配列により各ギヤの径の違いによってハンド
ル１４の回転を減速させてカムギヤ１７に伝達する。

カムギヤ１７の下面にカム溝１８を形威し、このカム溝
１８をカムギヤ１７の中心から円弧状とした同心円の外
溝１８ａと内溝１８ｂとで形成するとともに、外溝１８
ａの終端と内溝１８ｂの始端とを直線状の連絡溝１８ｃ
で接続する。

カム溝１８に揺動プレート１９の端部に突設したカムピ
ン１９ａを遊合状態に係合し、外溝１８ａ、内溝１８ｂ
、連絡溝１８ｃに対して摺動可能とする。

揺動プレート１９はハンドル１４の支軸１０で枢支され
、支軸１０を中心として水平面で揺動自在である。

この揺動プレート１９には第４図で示すように駆動ギヤ
６の軸１１を挾むように２本の軸２０．２１を上方へ突
設し、夫々の軸２０，２１に同じ径で形成した２個のア
イドルギヤ２２゜２３を取り付ける。

夫々のアイドルギヤ２２゜２３を第３図の如く前記ハン
ドルギヤ１５の大径ギヤ１５ａと噛合させ、第４図の如
く揺動プレート１９の端部を上方へ折曲して一方のアイ
ドルギヤ２２よりも高くしたアイドルギヤ２３がアイド
ルギヤ２２とともに噛み込むことができるように大径ギ
ヤ１５ａの肉厚を厚くする。

これによりハンドル１４を回転操作すれば、ハンドルギ
ヤ１５を介して２個のアイドルギヤ２２，２３がともに
回転する。

駆動ギヤ６を支持した前記駆動軸１１には段付状の変速
ギヤ２４を取り付け、変速ギヤ２４と一体に駆動ギヤ６
が回転するようにする。

この変速ギヤ２４は上部の大径ギヤ２４ａと下部の小径
ギヤ２４ｂとからなり、大径ギヤ２４ａは揺動プレート
１９の一部を折曲して高さ位置を高くしたアイドルギヤ
２３と同じレベルに設けられ、小径ギヤ２４ｂはこれよ
りも低いレベルのアイドルギヤ２２と同じに設けられる
。

後述する如く２個のアイドルギヤ２２，２３が変速ギヤ
２４の犬・小径ギヤ２４ａ、２４ｂと選択的に噛合して
ギヤチェンジが威され、犬・小径ギヤ２４ ａ 、２４
ｂの径の違いに応じて駆動ギヤ６の回転速度が変わる
が、変速ギヤ２４を段付状とせず、これに代りに２個の
アイドルギヤ２２．２３の径を異ならせて駆動ギヤ６の
回転速度を変えるべくギヤチェンジを行うように構成し
てもよい。

次に作用について述べる。

第３図、第４図の図示の状態はスライディングルーフ３
がルーフ部分１の下面に入り込み、開口部２が全開とな
っている場合のギヤ位置関係を示し、アイドルギヤ２２
が変速ギヤ２４の小径ギヤ２４ｂに噛み込み、他方のア
イドルギヤ２３が変速ギヤ２４から解離し、且つ揺動プ
レート１９のピン１９ａがカムギヤ１７に設けたカム溝
１８の外溝１８ａ始端に係合している。

ハンドル１４を第３図に示す如くイ方向へ回転操作する
と、この回転はハンドルギヤ１５の小径ギヤ１５ｂ、中
間ギヤ１６の大径ギヤ１６ａを介して減速されつつカム
ギヤ１７に伝達され、カムギヤ１７が回転する。

この間、２個のアイドルギヤ２２，２３はハンドルギヤ
１５の大径ギヤ１５ａによって回転し、一方のアイドル
ギヤ２２が変速ギヤ２４の小径ギヤ２４ｂと噛合してい
るため、駆動ギヤ６は回転し、前記ケーブル４に牽引さ
れてスライディングルーフ３は閉じる方向へ水平移動す
る。

スライディングルーフ３のこの水平送りが威されている
間、揺動プレート１９のピン１９ａはカム溝１８の円弧
状外溝１８ａと係合し続けるため、揺動プレート１９は
揺動せず、アイドルギヤ２２と変速ギヤ２４の小径ギヤ
２４ｂとの噛合が継続する。

ハンドル１４を所定回転数回転し終え、更に回転操作す
ると、揺動プレート１９のピン１９ａはカムギヤ１７の
回転によりカム溝１８の外溝１８ａから前記連絡溝１８
ｃに係合し始め、内溝１８ｂに達する。

この時スライディングルーフ３は水平送りから上昇送り
に移行する。

ピン１９ａが外溝１８ａから内溝１８ｂに移動するに伴
って揺動プレート１９はハンドル１４の支軸１０を中心
として外溝１８ａと内溝１８ｂの径の大きさの差分だけ
第３図中口方向へ揺動することとなり、これにより変速
ギヤ２４の小径ギヤ２４ｂと噛合していたアイドルギヤ
２２が解離し、この代りに他方のアイドルギヤ２３が変
速ギヤ２４の大径ギヤ２４ａと噛合し、駆動ギヤ６はア
イドルギヤ２３、変速大径ギヤ２４ａの動力伝達系を介
して回転されることになり、ギヤチェンジが行われる。

ギヤチェンジが行われると、ハンドル１４の回転は変速
ギヤ２４の大径ギヤ２４ａ、小径ギヤ２４ｂの径の大き
さの差に従って減速されて駆動ギヤ６に伝達されること
になるため、水平送りと比較して大きな力を必要とする
スライディングルーフ３の上昇送りをハンドル１４に大
きな人為操作力を加えることなく行うことができ、水平
送りと略同等の人為力によってスライディングルーフ３
をルーフ部分２と同じ高さ位置まで上昇させることがで
きる。

又以上の如くスライディングルーフ３の上昇送り時にお
いて変速が成され、操作力の均一化が遠戚されるため、
水平送り時のハンドル回転数をそれ程多く設定すること
は不要で、上昇送り時にハンドル回転数が増しても全開
から全閉まで過程してのハンドル総回転数を従来よりも
少くずことができる。

第５図は本考案に係る自動変速装置の主要部を示す図で
、揺動プレート１９に２個のアイドルギヤ２２，２３が
取り付けられ、駆動ギヤ６と一体化された変速ギヤ２４
の犬・小ギヤ２４ａ、２４ｂにアイドルギヤ２２，２３
が揺動プレート１９の揺動に伴って選択的に噛合し、駆
動ギヤ６の変速が成される。

このように揺動プレート１９に２個のアイドルギヤ２２
，２３を設ければ、駆動ギヤ６を１個とすることができ
、大きな強度を必要とする駆動ギヤ６の削減を達威し、
他のギヤを製作容易な合成樹脂で形成することも可能と
なり、且つ駆動ギヤシャフトの減数これに伴うギヤボッ
クスのコンパクト化、構造簡単化を達成し得、更にはア
イドルギヤを１個とし、駆動ギヤを２個とした場合の如
く各駆動ギヤ毎に変速ギヤを設ける必要がないため、ギ
ヤ数の削減を達成することができる。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、ハンドル操
作に要する人為力をスライディングルーフの水平送り時
と上昇送り時とで均一化することができ、運転者等の操
作者が水平送り時と略同等の操作力でスライディングル
ーフを上昇送りさせることか可能で、且つハンドル総回
転数を従来よりも少くすることができる。

又本考案によれば、アイドルギヤを１個、駆動ギヤを２
個とせず、アイドルギヤを２個、駆動ギヤを１個とした
ため、変速装置の構造簡単化を達威し得、ギヤボックス
のスペースを有効に利用して装置をコンパクト化するこ
とができ、部品点数の削減によりコストを低減すること
も可能となる。

【図面の簡単な説明】 図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図はスライ
ディングルーフを示す自動車の平面図、第２図は第１図
２−２線断面図、第３図は自動変速装置の平断面図、第
４図は第３図４−４線に沿った断面図、第５図は主要部
を示す概略平面図である。 尚図面中、１はルーフ部分、２は開口部、３はスライデ
ィングルーフ、４はケーブル、６は駆動ギヤ、１４はハ
ンドル、１５はハンドルギヤ、１７はカムギヤ、１８は
カム手段であるカム溝、１９は揺動部材である揺動プレ
ート、２２ 、２３はアイドルギヤである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ルーフ部分に形成した開口部にスライディングルーフを
   摺動自在に組み付け、該開口部をスライディングルーフ
   で開閉するようにした車輌において、ハンドルと一体化
   したハンドルギヤにより回転するギヤにカム手段を設け
   、該カム手段にアイドルギヤを２個備える水平方向揺動
   部材を係合して揺動自在とするとともに、夫々のアイド
   ルギヤを上記ハンドルギヤと噛合させ、スライデングル
   ーフを移動させる１個の１駆動ギヤに２個のアイドルギ
   ヤの倒れか１個を揺動部材の水平揺動て選択的に噛合さ
   せてギヤチェンジを威すように構成したことを特徴とす
   る車輌におけるスライディングルーフの自動変速装置。