JPS5825848B2 - 多気筒エンジンの過給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、吸気行程において吸気ポートから吸入する空
気あるいは混合気に加えて、過給ポートから加圧空気あ
るいは混合気を供給するようにしたエンジン、とくに多
気筒エンジンの過給装置の改良に関するものである。

一般に、エンジンの吸気行程における吸気のすべてを過
給機によって加圧させることにより充填効率を高め、エ
ンジンの出力性能の向上を図る技術思想は公知である。

しかしながら、この場合、エンジンに吸入される吸気が
全て過給機を通過するため、過給機自体が通気抵抗とな
り逆に充填効率が低下して出力性能の低下を招来すると
いった問題があり、また他方で、エンジンに吸入される
吸気の全てが過給機により断熱圧縮されて高温化されて
いるため、吸気の密度が低くなり充填効率が十分に向上
しないといった問題があり、これらの問題を回避するた
めには過給機を大型化しなければならないという問題が
ある。

そこで、従来、エンジンの吸気負圧により混合気を吸入
する主吸気ポートに加えて過給機により加圧した空気あ
るいは混合気を供給する過給ポートを設け、負圧による
自然吸入と過給機による過給とで吸気を行なうようにし
、比較的小容量の過給機でエンジンの全回転範囲にわた
って有効な充填効率の向上を図るようにしたものが提案
されている。

しかしながら、この従来のものにおいてもより有効な過
給を行なうためには解決すべき幾つかの問題がある。

即ち、過給ポートから供給する加圧空気は過給機による
断熱圧縮により高温化されているので、吸気ポートによ
る吸入能力に余裕がある時点において過給ポートから加
圧空気を供給すると圧力の高い過給ポートから吸気ポー
トへの吹返しが生じ、吸気ポートによる混合気の吸入能
力が阻害され、温度の高い加圧空気の供給比率が増大し
、十分なる過給効果が得られないという問題がある。

そのうえ、多気筒エンジンとくに４サイクル多気筒エン
ジンにおいて、共通の過給機から各気筒に加圧空気ある
いは混合気を過給するようにした場合、吸気−吸気のオ
ーバラップ時に、過給通路が両方の燃焼室を連通し、加
圧空気が各気筒に分流され、小容量の過給機では十分な
る過給効果が得られないといった問題が生じる。

本発明は、か５る問題に鑑みてなされたものであって、
各気筒への過給を気筒間の干渉なしに均等かつ確実に行
なうことができるうえ、各気筒への過給を最適なタイミ
ングで行なうことができる多気筒エンジンの過給装置を
提供することを基本的な目的としている。

このため、本発明においては共通の過給機に連通ずる過
給通路の途中を分岐させて、各気筒の燃焼室に開口させ
る一方、過給機の各分岐通路を選択的に連通ずるタイミ
ングバブルを設け、該タイミングバルブを出力軸に同期
して動作させ、各気筒への過給のタイミングを最適に制
御するようにしたことを基本的な特徴としている。

以下、図示の実施例について本発明を具体的に説明する
。

図において、１，２は夫々シリンダ３，４と該シリンダ
３，４内において往復動するピストン５゜６とで内部に
燃焼室７，８を形成した第１、第２気筒、９はエアクリ
ーナ１０の次段に設置した燃料供給系１１によって土族
される混合気を各気筒１．２の燃焼室７，８に開口する
吸気ポート１２゜１３に分配する吸気通路、１４は各気
筒１，２の排気ポー１−１５，１６から排出される排気
ガスを集めて外部に送出する排気通路、１７，１８は上
記各吸気ポーＨ２，１３を吸気行程において所定のタイ
ミングで開閉する吸気弁、１９．２０は各排気ポート１
５，１６を排気行程において所定のタイミングで開閉す
る排気弁で、これらは全体として４サイクル２気筒エン
ジンを構成する。

一方、２１は吸込側を吸入通路２２を介してエアクリー
ナ１０に連結し、吐出側をサージタンク２３に連結した
エンジンにより駆動されるベーンタイプの空気ポンプ、
２４はサージタンク２３の出口に連通し、下流において
、好ましくは第１、第２気筒１，２の隔壁２５内におい
て分岐した分岐通路２６．２７よりなる過給通路、２８
は過給通路２４の分岐部２４Ａにおいて設けた過給通路
２４の切換用タイミングバルブ、２９．３０は各分岐通
路２６．２７のピストン５，６が上死点にあるときにピ
ストン５，６とシリンダ３，４との間に形成される燃焼
室７，８への開口として形成された過給ポートで、これ
らは、４サイクル２気筒エンジンに対する過給装置を構
成している。

上記タイミングバルブ２８は、例えば弁体に各分岐通路
２６．２７を過給通路２４の上流と連通ずる切換通路２
８ａ 、２８ｂを設けたロークリバルブとして形威し、
出力軸（図示せず）に同期して駆動される。

そして、各分岐通路２６．２７を過給通路２４の上流に
連通ずるタイミング換言すれば過給のタイミングは、各
気筒１，２の吸気行程の後期、すなわち、吸気ポート１
２，１３が吸気弁１７．１８によってほぼ閉じられるか
ら圧縮行程にかけて過給通路２４を特定の気筒に連通ず
るように設定する。

なお、上記タイミングバルブ２８としては、ロータリバ
ルブのほかに、ポペットバルブを用いることができ、ま
た、過給ポート２９，３０を夫々上記のタイミングで開
閉する開閉バルブを採用することが可能である。

上記の構成において、次にその作用を説明する。

図示の状態は、図の右側の第２気筒２は吸気ポート１３
から十分な量の混合気が吸入され吸気弁１８が閉じる直
前にある吸気行程後期にあり、第１気筒１は爆発行程後
期にある。

この段階では、タイミングバルブ２８は、切換通路２８
ｂによって、過給通路２４の上流側と第２気筒２側の分
岐通路２７とを連通し、サージタンク２３に蓄圧されて
いた加圧空気は、基本的に吸気ポート１３内に逆流する
ことなく過給ポート３０から燃焼室８内に所定のタイミ
ングで所定量だけ過給される。

したがって、第２気筒２は、吸気弁１８が開かれた吸気
ポート１３から吸入した混合気に加えて過給された加圧
空気を混合気とともに圧縮する圧縮行程に移行し、圧縮
、爆発、排気の行程を順次に行なう。

一方、第１気筒１は、爆発、排気の行程を経て、吸気行
程に移行し、まず、燃焼室７内の負圧によって吸気ポー
ト１２から十分な量の混合気が吸入され、ついで燃焼室
７内の負圧が弱まり吸気弁１７が閉じ始める吸気行程後
期においては、出力軸に同期して回転するタイミングバ
ルブ２８が、切換通路２８ａによって過給通路２４の上
流側と分岐通路２６とを所定のタイミングで連通し、第
２気筒２への過給以後サージタンク２３に蓄積された加
圧空気を第１気筒１の燃焼室７に過給ポート２９から過
給する。

この段階では、第２気筒２側の分岐通路２７はタイミン
グバルブ２８によって閉じられており、また一方で第１
気筒１の吸気ポート１２も吸気弁１７により閉じられて
おり、第１気筒１と第２気筒２との間の干渉および過給
ポート２９と吸気ポート１２との干渉は完全に防止され
る。

しかも過給ポーｔ−２９，３０の燃焼室７，８に対する
開口位置に自由度ができ、高い加工精度が必要とされる
シリンダ３，４のピストン摺動面から離れた位置に過給
ポー）２９，３０を開口できる利点をも有する。

なお、サージタンク２３は、空気ポンプ２１の吐出に伴
なう脈動を緩和するうえで有利であるが、過給通路２４
の容積が十分である場合には、サージタンク２３を省略
することができる０ また、上記実施例においては、４サイクル２気筒エンジ
ンについて述べたが４サイクル４気筒エンジンについて
も適用できることは言うまでもなしゝ０ 以上説明したことから明らかなように、本発明は、共通
の空気ポンプの吐出側に連結した過給通路を分岐させて
、多気筒の燃焼室に開口させた過給ポートに連通ずると
ともに、出力軸に同期して作動され、過給通路を各気筒
の燃焼室に対して選択的に連通ずるタイミングバルブを
設け、該タイミングバルブによって、各気筒への過給の
タイミングを制御するようにした多気筒エンジンの過給
装置を提供するものである。

本発明によれば、したがって、気筒間の干渉なしに必要
十分な過給を共通の加圧源によって行なうことができ、
また各気筒における吸気ポートからの吸入と過給ポート
からの過給とを相互の干渉なしに行なえ、よって有効な
過給による充填効率の向上を図ることができ、平均有効
圧力の向上による出力性能の向上を図ることができ、し
かも、高い加工精度が必要とされるシリンダのピストン
摺動面から離れた位置に過給ポートを開口できる利点を
も有する。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例に係る多気筒エンジンの過給装置を
示すエンジンの断面説明図である。 １．２・・・・・・気筒、３，４・・・・・・シリンダ
、５，６・・・・・・ピストン、７，８・・・・・・燃
焼室、９・・・・・・吸気通路、１２，１３・・・・・
・吸気ポート、１５．１６・・・・・・排気ポート、２
１・・・・・・空気ポンプ、２４・・・・・・過給通路
、２６ 、２７・・・・・・分岐通路、２８・・・・・
・タイミングバルブ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ それぞれバルブによって開閉される吸気ポートと排
   気ポートとを有するシリンダと、該シリンダ内を往復動
   するピストンとの間に形成される夫夫位相の異なる複数
   の気筒の燃焼室内に、過給機によって加圧された空気あ
   るいは混合気を供給するようにした４サイクル多気筒エ
   ンジンにおいて、上記過給機に連なり下流において複数
   に分岐する過給通路を各気筒のピストンが上死点にある
   ときにピストンとシリンダとの間に形成される燃焼室に
   夫々開口させる一方、出力軸に同期して作動され、吸気
   ポートのバルブがほぼ閉じられる吸気行程終期から圧縮
   行程にある気筒に対して過給通路と該気筒の燃焼室のみ
   とを選択的に連通ずるタイミングバルブを設けたことを
   特徴とする多気筒エンジンの過給装置。