JPS5823028Y2 - 回転斜板式圧縮機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、はねかけ式のオイル供給手段を有する回転
斜板式圧縮機の改良に関し、特にオイル消費量の減少と
、斜板がオイル攪拌によって費やされるエネルギー損失
を最少限に押されるようにしたものである。

従来、この種の回転斜板式圧縮機にあっては、第１図に
示すように、駆動軸２の回転に伴って斜板室３内で回転
する斜板１により、シリンダブロック７ａ 、７ｂの下
方に設けられたオイル溜り１２のオイルがはね上げられ
オイルミストとなり、このオイルミストがストラストベ
アリング４ａ、４ｂ・ラジアルベアリング５ａ、５ｂ、
ピストン６、ボールベアリング１３ａ 、１３ｂ等に導
びかれて、これら各部の潤滑がなされるよう構成されて
いた。

斜板１とオイルの関係において、斜板１の周縁部がオイ
ル中に深く浸たされてオイルとの接触が大きいことから
、斜板１の回転に伴なって多量のオイルをはね上げオイ
ルミストが過剰となり、ピストン６のヘッド６ａ 、６
ｂとシリンダベア１０ａ。

１０ｂとのすきまよりオイルが洩れてオイルの消費が激
しく、また駆動軸２の回転エネルギーの一部が斜板１の
オイル攪拌エネルギーとして費やされ、エネルギー損失
を招いていたのである。

そこで、この考案は上記のような欠点を解消するため、
斜板室とオイル溜りとを分ける皿状の隔壁を設け、この
隔壁にオイル溜りのオイルレベルより高い位置にオイル
逃し孔を形成すると共に、オイルレベルより低い位置に
オイル供給孔を形成して、運転中においては、このオイ
ル供給孔より必要最少限のオイルが斜板室内へ導入され
るようにすることで、斜板とオイルとの接触面積を減少
させ、オイルミスト量を適宜量としてオイル消費量を押
さえると共に、斜板のオイル攪拌に費やされるエネルギ
ー損失を最少とするような回転斜板式圧縮機を提供せん
とするものである。

次に、この考案の実施例を図面により説明する。

第２図、第３図において、この考案の回転斜板式圧縮機
が示され、斜板１は、駆動軸２に固定されて、シリンダ
ブロック７ａ、７ｂに形成された斜板室３内に配されて
おり、駆動軸２はスラストベアリング４ａ、４ｂ及びラ
ジアルベアリング５ａ。

５ｂによって一対のシリンダブロック？ａ、７ｂに回転
自在に装着されている。

シリンダブロック？ａ 、７ｂの左右両端には、バルブ
プレート８ａ 、ａｂを挾んでフロントシリンダヘッド
９ａとリアシリンダヘッド９ｂが固装されている。

このシリンダブロック？ａ 、７ｂは円筒状で、３個の
シリンダボア１０ａ 、１０ｂ 、１０ｃと、それらの
間に３個の室１．１ａ、１１ｂ、１１ｃが形成され、前
記シリンダボア１０ａ、１０ｂ、１０ｃには、複動形の
ピストン６が挿入され、そのヘッド６ａ 、６ｂとシリ
ンダボア１０ａ、１０ｂ、１０ｃ及びバルブプレート８
ａ 、ａｂによって圧縮室が形成されている。

ピストン６の中央部分は、斜板１の周縁部分を挾持する
形になっており、そこにはボールポケット１２ａ 、１
２ｂ内に収納されるボールベアリング１３ａ、１３ｂと
シュー１４ａ。

１４ｂとが設けられている。

したがって、駆動軸２が回転されると、斜板１が揺動回
転し、ピストン６はシリンダボア１０ａ。

１０ｂ、１０ｃ内を往復動し、バルブプレート８ａ、８
ｂに形成の吸入及び吐出用の弁（図示せず）と協動して
圧縮作用を行なうようになる。

前記シリンダブロック７ａ 、７ｂの室１１ａ。

１１ｂ、１１ｃのうち、上方の室１１ａ、１１ｂは、吐
出及び吸入冷媒が一時的に貯えまたは通過する通路とし
て利用され、下方の室１１ｃは、オイル溜り１２として
オイルが溜められている。

オイル溜り１２と斜板室１との間には、画室を分離する
隔壁１５が設けられ、この隔壁１５は、平面をなす底部
と、この底部から斜板揺動方向両側へ緩やかに立上がる
側部とから戒る。

この隔壁１５の側部には、オイル溜り１２のオイルレベ
ルＬより高い位置にオイル逃し孔１６．１６が形成され
、このオイル逃し孔１６，１６は、斜板室３とオイル溜
り１２とを連通している。

また、この隔壁１５の底部には、オイルレベルＬより低
い位置に斜板室３とオイル溜り１２とを連通ずるオイル
供給孔１７が形成され、このオイル供給孔１７は、オイ
ル溜り１２のオイルを斜板室３側へ適宜量供給するよう
に穿設されているものである。

第４図乃至第６図において、上述のように構成された回
転斜板式圧縮機の潤滑油供給機構の概略が示されている
。

回転斜板式圧縮機の始動前においては、第４図に示す如
く、斜板室３とオイル溜り１２とは、隔壁１５のオイル
供給孔１７を介して連通されているので、オイル溜り１
２のオイルレベルＬと斜板室側のオイルレベルＬ′とは
一致している。

回転斜板式圧縮機の始動直後においては、第５図に示す
如く、斜板１の左右の揺動により、斜板室３側のオイル
は、左右に押しやられてオイルレベルＬ′が上昇する。

したがって、斜板１のオイルとの接触面積が増大され斜
板１の回転によるオイルのはね上げ量が増大し、オイル
ミスト量が多くなり、始動前にほとんど潤滑油のなかっ
た各部へ斜板１の１回転柱度の単時間で潤滑油が供給さ
れる。

その後、斜板１が数回転するうちには、隔壁１５の側部
が緩やかに立上がってそこにオイル逃し孔１６，１６が
形成されているので、斜板１に与える抵抗も少なく、直
ちに斜板室３側のオイルは、オイル逃し孔１６．１６よ
りオイル溜り１２側へ戻されて減少する。

そして、駆動軸２が通常回転数で回転されるようになる
と、第６図に示す如く、斜板室３側のオイルレベルＬ′
は、斜板１にごくわずか接触するまで下がるが、オイル
供給孔１７より絶えずオイル溜り１２側から斜板室３側
へ必要且つ最少量のオイルが供給されているので、斜板
３側のオイルレベルＬ′を斜板１にわずかに接触する位
置で維持している。

したがって、斜板１のオイルとの接触面積がわずかであ
るから、オイルミスト量も必要以上に多くならずオイル
消費量を減少することができ、また、斜板１のオイル攪
拌量の少ないことから、斜板がオイル攪拌によって費や
されるエネルギーを減少させることができるのである。

以上述べたように、この考案によれば、斜板式圧縮機に
おいて、斜板室とオイル溜りとを分ける隔壁を設け、該
隔壁にオイル溜りのオイルレベルよりも高い位置にオイ
ル逃し孔を形成し、オイルレベルよりも低い位置にオイ
ル供給孔を形成したので、斜板式圧縮機の始動直後にお
いては、斜板の左右の揺動により斜板室側のオイルが左
右に押しやられ、斜板のオイル接触面積が増大し、各部
へすばやく潤滑油を供給できる。

また、隔壁の側部が緩やかに立上がってそこにオイル逃
し孔が形成されているので、斜板が数回転すると抵抗も
なく直ちに斜板室側のオイルレベルは下がりオイル供給
孔から必要最少量のオイルしか斜板室側へ供給されない
ので、斜板のオイル接触面積は小さくなり、オイルミス
ト量を少なくしてオイル消費量を減少させることができ
ると共に、斜板のオイル攪拌エネルギーに費やされるエ
ネルギー損失を最少限に押さえることができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の回転斜板式圧縮機を示す縦断面図であり
、第２図及び第３図はこの考案の回転斜板式圧縮機を示
し、第２図は縦断面図、第３図はシリンダボア及び斜板
を省略した第２図のＡ−Ａ線断面図であり、第４図乃至
第６図はこの考案のの回転斜板式圧縮機の作用を示すも
ので、第４図は始動前の拡大断面図、第５図は始動直後
の拡大断面図、第６図は通常運転時の拡大断面図である
。 １・・・・・・斜板、２・・・・・・駆動軸、３・・・
・・・斜板室、６・・・・・・ピストン、７ａ、７ｂ・
・・・・・シリンダブロック、１０ａ、１０ｂ、１０ｃ
ｍシリンダボア、１２・・・・・・オイル溜り、１５・
・・・・・隔壁、１６・・・・・・オイル逃し孔、１７
・・・・・・オイル供給孔、Ｌ・・・・・・オイル溜り
のオイルレベル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 駆動軸２に傾斜して取付けられた斜板１の揺動回転によ
   りピストン６がシリンダブロック７ａ。 Ｉｂ内を往復動して圧縮作用を行なう回転斜板式圧縮機
   において、前記斜板１が配された斜板３とシリンダブロ
   ック７ａ 、７ｂの下部に設けられたオイル溜り１２と
   を分ける隔壁１５を設け、この隔壁１５は、平面をなす
   底部と、この底部から斜板揺動方向両側へ緩やかに立上
   がる側部とから成り、該隔壁１５の側部にオイル溜り１
   ２のオイルレベルＬより高い位置でオイル逃し孔１６，
   １６を形成すると共に、該隔壁１５の底部にオイル溜り
   １２のオイルレベルより低い位置でオイル供給孔１７を
   形成したことを特徴とする回転斜板式圧縮機。