JPS5819377Y2 - センタクキ ノ ジクウケソウチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はパルセータの回転軸を支承する洗濯機の軸受装
置に関する。

従来例えば二槽式洗濯機の洗濯水流生成用のパルセータ
の回転軸を支承する軸受装置は、上端部外周に螺子部を
有し且つその螺子部の上部にフランジ部を有する円筒状
の軸受ケースを設け、この軸受ケースをそのフランジ部
が洗濯槽の内底部に当接するようにして該洗濯槽底部に
形設した挿通孔に挿通させ、前記軸受ケースの螺子部に
洗濯槽外底部からナツトを螺合させてこのナツトと前記
フランジ部とで洗濯槽底部を挾持するようにして軸受ケ
ースを該洗濯槽底部に固定し、更に軸受ケースの内部に
潤滑油を含んだ含浸フェルトを挿入した後前記軸受ケー
ス内部にこれの上下両端部より潤滑油を含浸した上、下
部軸受メタルを圧入し、これら上、下部軸受メタル及び
含浸フェルトに前記回転軸を挿通支承させる一方、前記
上部軸受メタルの上端と摺接して前記回転軸の軸方向の
移動を規制するスラストワッシャを該回転軸にこれと一
体に回転するように圧入した構成としていた。

しかしながら上記従来の軸受装置では、上、下部軸受メ
タル及び含浸フェルトに含浸された潤滑油はこれの表面
張力と回転軸の回転に伴なう遠心力で上、下部軸受メタ
ルと回転軸及び上部軸受メタルとスラストワッシャとの
摺接部を含浸フェルトが含油した初期においては潤滑す
るが、潤滑が進むにつれ潤滑油は前記スラストワッシャ
と上部軸受メタルの摺接部から飛散して次第にその量が
減少し、やがて潤滑不足となるばかりか、飛散しない残
りの潤滑油も不純物が多くなり潤滑を妨げて寿命を縮め
る欠点があった。

しかも、軸受ケースに挿通支承された回転軸の下端には
プーリが連結されてこのプーリと洗濯用モータ側に設け
られたプーリとの間に動力伝達用のベルトが張架される
関係上、該軸受ケースに曲げモーメントが作用したり、
ナツトの締付力が作用したりするから、特に軸受ケース
の洗濯槽底部に対する連結部分、即ち螺子部を有する上
端部分の強度を高める必要があってこの部分の肉厚を下
端部より厚くしなければならず、このため上部軸受メタ
ルを圧入するとき前記軸受ケース上端部の圧入部の嵌め
合い公差を下端部より小さくしなければ前記上部軸受メ
タルに変形を来たすので、前記軸受ケース上端部の圧入
部のリーマ等による精密仕上げ加工を要するなどのコス
トの高騰化を招く欠点があった。

本考案は上記事情に鑑みて成されたもので、その目的は
、洗濯槽底部に取付けられた筒状の軸受筐体の内周面に
溝体を形設し、前記軸受筐体内に配設された含油部材か
らの潤滑油がこの含浸フェルトの上部に位置して前記軸
受筐体に圧入された軸受メクルとパルセータの回転軸と
の摺接部を潤滑後前記溝体を介して再び含油部材へ循環
させる構成とすることにより、濾過後の潤滑油を軸受メ
タルとパルセータの回転軸との摺接部へ充分供給し得、
以って寿命を著しく伸ばすことが出来ると共に、このよ
うな効果を軸受筐体の強度を落すことなく得ることがで
き、しかもリーマ等による精密仕上げ加工を必要とせず
、総じて安価に威し得る等優れた効果を奏する洗濯機の
軸受装置を提供するにある。

以下本考案を二槽式洗濯機に適用した一実施例につき図
面を参照して説明する。

１は外箱で内部に洗濯槽２及び脱水槽３を並設し、その
脱水槽３内には脱水モータ４によって回転駆動される脱
水能５を配設する。

又、洗濯槽２の底部を若干傾斜させ、この傾斜部に凹部
６を形設すると共に、その最下部に排水口体７を下方に
向は突設する。

８は上端部に前記洗濯槽２の凹部６内底壁に当接するフ
ランジ部９を有し該凹部６に形設した透孔１０を下方に
貫通させた略筒状の軸受筐体としての軸受ケースで、こ
の軸受ケース８は、前記フランジ部９の下方に位置し外
周面に螺子部１１を有する径太部１２及びこれの下方の
径小部１３を有し、内周面には上部から下部の途中部位
例えば径太部１２と径小部１３の境界部分まで延びる例
えば五本の溝体１４を等間隔に即ち間欠的に形成した軸
受圧入孔１５を有し、この軸受圧入孔１５の上部に段部
１６ａを形設すべく前記五本の溝体１４の外径と同径の
径大孔１６を、更にその上端部には前記径太孔１６より
若干径太なるシール挿入孔１７を形成する。

そして、この軸受ケース８の前記螺子部１１に図示しな
いナツトを螺合させ、以ってこのカットと前記フランジ
部９との間で前記洗濯槽２の凹部６の底壁を挾持するよ
うにして軸受ケース８を洗濯槽２の底部に固定する。

１８は潤滑油を含んだ含油部材例えば短円筒状の三個の
含浸フェルト、１９及び２０は夫々鍔部１９ａ及び２０
ａを有し潤滑油を含浸させた円筒状の下部及び上部軸受
メタルで、下部軸受メタル１９を前記軸受圧入孔１５に
下方より圧入してその鍔部１９ｃを径小部１３の下端面
に当接させ、更に径小部１３内に前記三個の含浸フェル
ト１８を挿入して下部のものを下部軸受メクル１９の上
端に当接させ、且つ上部のものを前記溝体１４の下部に
面するようにさせ、そして軸受圧入孔１５に上方より上
部軸受メタル２０を圧入してこれの下端を前記含浸フェ
ルト１８の上部のものの上端に当接させると共に鍔部２
０ａを段部１６ａに当接させる。

２１は上端部の一部を段部２１ ａ ５２ ｌ ｂを形
成すべく径太にした回転軸としての１駆動軸で、この段
部２１ｂの下方に位置する部位に多数条の浅溝を形成し
てこの浅溝部に段部としてのスラストワッシャ２２を圧
入し、このスラストワッシャ２２を段部２１ｂに下方か
ら当接させる。

そして、この駆動軸２１を、前記スラストワッシャ２２
の下面と前記上部軸受メタル２０の鍔部２０ａの上端面
が摺接するようにして前記軸受ケース８の上部軸受メタ
ル２０、含浸フェルト１８及び下端軸受メタル１９に上
方から貫通し、上下両端部を上下方向に夫々突出させる
。

そして、その下方に突出した下端部には従動プーリ２３
を固定し、父上方に突出した上端部には段部２１ａに上
方から当接するようにしてワッシャ２５を取付け、この
ワッシャ２５に洗濯水流生成用のパルセータ２６を載置
固定する。

尚、図面中２４は前記シール挿入孔１７に装着され前記
洗濯槽２内の水が前記軸受ケース８内へ浸入することを
防ぐ密封シール、２７は前記従動プーリ２３をベルト２
８を介して回転駆動すべく駆動プーリ２９を具備した洗
濯用モータ、３０は外箱１の上面後部に突設した操作箱
で、この操作箱３０には図示しない洗濯用タイマー、脱
水用タイマー、切換スイッチ等を付設しである。

次に上記のように構成した本実施例の作用につき説明す
る。

洗濯用タイマーを所望時間にセットすれば、洗濯用モー
タ２７に通電してこれの回転軸を回転させ、更にこの回
転は駆動プーリ２９、ベルト２８によって従動プーリ２
３に伝達され、そしてこの従動プーリ２３を固定した駆
動軸２１が回転し、パルセータ２６を回転駆動して渦巻
水流を生成させる。

さて、この駆動軸２１の回転中においては、含浸フェル
ト１８及び上、下部軸受メタル２０，１９に含浸された
潤滑油は該潤滑油の表面張力や前記駆動軸２１の回転に
伴なう遠心力で該駆動軸２１と上、下部軸受メタル２０
，１９及び上部軸受メタル２０とスラストワッシャ２２
との摺接部を潤滑する。

そして、潤滑が進むにつれ潤滑油は前記上部軸受メタル
２０とスラストワッシャ２２の摺接部から軸受ケース８
の径大孔１６に飛散した後、この潤滑油は軸受ケース８
の溝体１４を流下し再び含浸フェルト１８へ戻るよう循
環するものである。

以上のように構成した本実施例によれば、含浸フェルト
１８及び上、下部軸受メタル２０，１９からの潤滑油が
駆動軸２１と上、下部軸受メタル２０．１９及び上部軸
受メクル２０とスラストワッシャ２２との摺接部を潤滑
した後溝体１４を流下し再び含浸フェルト１８へ戻るよ
う循環させるので、含浸フェルト１８で濾過した後の不
純物の極めて少ない潤滑油を常時充分に各摺接部へ供給
し得、従来のように潤滑不足となることもなく、以って
駆動軸２１、各軸受メタル１９，２０及びスラストワッ
シャ２２の寿命を著しく伸ばすことが出来るものである
。

また、上記のような油の循環路において、その油煤環路
に相当する部分を溝体１４となし、この溝体１４を軸受
ケース８のみの内周面に形成しているので、油煤環路形
成用の専用の部材が不要であり部品数の増加を招いたり
、螺子部１１に螺合するナツトを特殊形状のものとしな
ければならない等のことを回避し得る。

しかも、本実施例において、軸受ケース８は洗濯槽２の
凹部６に固定するための螺子部１１を有することから前
記軸受ケース８の上部は比較的肉厚に形成しなければな
らず、さらにこの部分にはナツトの締付力の他に従動プ
ーリ２３及び駆動プーリ２９間に張架されたベルト２８
によって曲げモーメントが作用するから、その強度を高
める意味で肉厚の厚い径大部１２を有することとなるが
、特に、前記軸受ケース８の軸受圧入孔１５に例えば五
本の溝体１４を形成したので、該軸受圧入孔１５に上部
軸受メタル２０を圧入するときこれに加わる圧入応力を
相対的に均等にし得、その上、軸受ケース８の溝体１４
に対応した周壁の肉厚が薄くなるから、軸受メタル２０
の嵌め合い公差の精度を多少低くしても該軸受メタル２
０を変形させる程の力が加わる虞がなくてその圧入を容
易に行ない得、従来のように軸受ケース上部の圧入部の
嵌め合い公差を下部より小さくするため圧入部のリーマ
等による精密仕上げ加工を要することもないばかりか、
曲げモーメントやナツトの締付力が作用する軸受ケース
８の上部即ち径大部１２の強度は、溝体１４によって画
定されてリブ状に突出する厚内部によって確保でき、さ
らに、特に本実施例において軸受ケース８を鋳造により
一体成形する場合この軸受ケース８の径大部１２は例え
ば五本の溝体１４によって従来に比して肉厚を薄くし得
、成形時の巣の発生を防止出来るものとなる。

尚、上記実施例において溝体１４を五本形成したがこれ
は必要に応じてその本数を設定すればよく、又上記実施
例では駆動軸２１と一体に回転する段部としてのスラス
トワッシャ２２を該駆動軸２１に圧入したが、これは駆
動軸２１と一体に回転するものであれば如何なる構成で
もよく、例えば駆動軸２１と一体の部材で製作してもよ
いものである。

又、上記実施例は本考案を二槽式洗濯機に適用した場合
であるが、勿論洗濯機単体のものにも充分適用し得る。

その他、本考案は上記し且つ図面に示す実施例にのみ限
定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜
変更して実施し得ることは勿論である。

本考案は以上説明したように、洗濯槽底部に取付けられ
た筒状の軸受筐体の内周面に溝体を形設し、前記軸受筐
体内に配設された含油フェルトからの潤滑油がこの含油
フェルトの上部に位置して前記軸受筐体に圧入された軸
受メタルとパルセータの回転軸との摺接部を潤滑後前配
溝体を介して再び含油部材へ循環させる構成としたこと
により、濾過後の潤滑油を軸受メタルとパルセータの回
転軸との摺接部へ充分に供給し得、以って寿命を著しく
伸ばすことが出来ると共に、このような効果を軸受筐体
の強度を落すことなく得ることができ、しかも従来に比
し精密仕上げ加工を必要とせず、更には油煤環路形成用
の専用部材も不要であって部品数を増加することがなく
、総じて安価に成し得る等優れた効果を奏する洗濯機の
軸受装置を提供出来る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を二槽式洗濯機に適用した一実施例を示す
もので、第１図は全体の概略的縦断正面図、第２図は要
部の拡大縦断面図、第３図は第２図中の■−■線に沿う
断面図である。 図面中、１は外箱、２は洗濯槽、３は脱水槽、６は凹部
、８は軸受筐体としての軸受ケース、９はフランジ部、
１２は径大部、１３は径小部、１４は溝体、１５は軸受
圧入孔、１８は含油部材、１９は下部軸受メタル、２０
は上部軸受メタル、２１は回転軸としての駆動軸、２２
は段部としてのスラストワッシャ、２６はパルセータを
示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 洗濯槽底部に取付けられた筒状の金属製軸受筐体と、こ
   の軸受筐体の内周面に軸方向の途中部位までにわたり円
   周方向に間欠的に形成された複数個の溝体と、前記軸受
   筐体の前記溝体が形成された内周面に圧入された軸受メ
   タルと、この軸受メタルの下端より下方に位置するよう
   に前記軸受溝体内に配設され少なくとも一部が前記溝体
   に面する含油部材と、この含油部材及び軸受メタルを介
   して支承されパルセータと一体に回転する回転軸と、こ
   の回転軸と一体に回転するように設けられ前記軸受メタ
   ルの上端面と摺接して該回転軸の軸方向の移動を規制す
   る段部とを具備して成る洗濯機の軸受装置。