JPS5815445Y2 - チヨツキ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はチョッキ、ベスト等と称される袖なしの短い
胴着に関する。

防寒のため保温性を高める手段として従来より採用され
ているものには、表裏の布地の間に綿を入れて縫いつけ
る方法、極めて厚手の布地、或は毛皮等を用いて縫製す
る方法などがある。

しかし、これら従来のものは保温性の点ではほぼ満足で
きても、伸縮性ないし撓曲性が劣り着心地の点では不満
足なものであった。

しかも通常のアクリル紡績糸などの合成繊維紡績糸を以
て製した編・織物の場合には、外衣との摩擦によって毛
羽玉、いわゆるピリングを生じるという欠陥もあった。

この考案は上記の諸問題を一挙に解消せんとするもので
あって、紡績糸、高弾性糸および耐ピリング性糸の３種
の糸を引揃え、この中の高弾性糸に高張力をかけつつ編
成したパイル組織の筒編地を以て縫製したチョッキを提
供する。

紡績糸のパイルは編地の内面に設けたものであるが、編
成と同時又は編成後に円周方向に起毛されている。

また、高弾性糸は編針通過後に強く収縮するため、編機
のシンカーで拘引される紡績糸はパイルを形成しつつ通
常以上に内方へ突出するとともに、耐ピリング性糸は筒
編地外面へやや浮き出た状態となる。

上記の高弾性糸とは、スパンテ゛ツクス糸、これを他の
繊維でカバーしたもの、或はゴム糸等である。

耐ピリング性糸としては、ポリエステル等の抗ピル綿を
紡績したもの、ナイロンフィラメント糸、或は特別に毛
足の長いアクリル紡績糸等々の中から選ばれる。

本考案における３本引揃給糸の編成は円編機のシンカー
形状を独特なものに変形することによって可能となるも
のであるが、その詳細は省略する。

以下、図によって一実施例を説明する。

第１図は、上記の如き構造の筒編地を以てシームレスの
胴部１となし、首穴２、腕穴３を設けたのち、衿４袖口
５を夫々縫いつけ、一方腰締付部６はパイルを形成せず
に編んだ前記筒編地の端末を折返して２重に縫いつけた
チョッキである。

第２図のように編地基層７よりパイル８が多数内向きに
突出すると共に、このパイルの頂部はループ状を留めつ
つ円周方向に起毛されているので柔毛層９を最内面に形
成している。

断面を拡大すれば第３図の如くであり、高弾性糸Ｘは編
地基層７のほぼ中央に位置し、耐ピリング性糸Ｙは絹地
基層を被覆したかたちに外面側（図の下方）へ突出して
いる。

符号Ｚは通常の紡績糸を示す。

以上に例示したところによって明らかなように、本考案
のチョッキにおいては、起毛後もループ状を留めている
パイル８の部分が、柔毛層９と編地基層７の間に介在し
ているため多量の空気がここに保持されることとなる。

つまり中間の空気層が両面でほぼ密閉されているかたち
であり極めて良好な保温性を与えているのである。

耐ピリング性糸Ｙがチョッキの外側を全面的に被覆して
いるので、外衣等との摩擦によっても紡績糸Ｚが毛玉を
つくる惧れかない。

耐ピリング性糸は、これと同時に絹地基層の目を密にす
る作用もなしているため、上記の保温性はさらに高めら
れることとなる。

なお、本考案が上記例のみに限定されないのは勿論で、
耐ピリング性糸としてループ系統の特殊撚糸、例えばル
ープヤーン、リングヤーン、ダイヤモンドヤーン等を用
いることにより風合、保温性を同時に向上させることが
できる。

第４図はリングヤーンＷを耐ピリング性糸Ｙとして用い
たものを示す。

以上の如く、本考案の実用的価値は極めて顕著である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例であり、第１図は正面図、第２図
は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は第２図のＢ部拡大
断面図、第４図は変形例の拡大断面図である。 １・・・・・・胴部、７・・・・・・編地基層、８・・
・・・・パイル、９・・・・・・柔毛層、Ｘ・・・・・
・高弾性糸、Ｙ・・・・・・耐ピリング性糸、Ｚ・・・
・・・紛績糸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 紡績糸、高弾性糸および耐ピリング性糸を引揃えて給糸
   するとともに、高弾性糸に高張力をかけつつ、かつ紡績
   糸を以てパイルを形成しつつ編成された筒編地であって
   、該パイルを円筒方向に起毛するとともに耐ピリング性
   糸が編地基層の外面を被覆した編地を以て縫製したこと
   を特徴とするチョッキ。