JPS5813107Y2 - 機関点火時期制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は機関の吸気負圧に応じて機関の点火時期を制
御する機関点火時期制御装置に関するものである。

一般に、機関の負荷が重負荷から軽負荷に移行する時そ
れに追従して点火時期を進ませることは機関出力を向上
させる点から望ましいことであるが、上記重負荷から軽
負荷に移行する過程に於ては機関出力は要求されず、む
しろ排気ガス中のＮｏｘを減少させるためには点火時期
をしばらくの間遅らせて置く方が望ましく、機関が軽負
荷に移行してしまった後で機関を最高出力での軽負荷運
転を維持するために点火時期を進んだ位置に戻すことが
要求される。

この要求を満足するため、従来の真空式点火時期制御装
置の負圧室と機関の負圧源とを連通させる吸気径路であ
るゴム管の途中に、一方向にのみ流通抵抗を示し一方向
弁、空気抵抗素子を一体に組込んだオサツクと称する部
材を接続することが試みられている。

しかしながら、この方式は上記部材をゴム管のどこかに
取付けるための取付具とスペースを必要としまた上記部
材自体も高価である欠点があった。

また一方、機関の負圧源と負圧室とを連結するゴム管の
固有容積、及び負圧室の容積との合成容積によって吸気
負圧変化に対する負圧室の負圧変化、即ち負圧室を構成
するダイヤフラムの変位に時間遅れが生じるものである
。

従って、機関の軽負荷から重負荷への移行に於ける過渡
期の負圧変化に対する点火時期の変化時間が長くなり、
その結果、機関の加速性能、更にはフィーリングが著し
く悪化することになる。

このことは、上述したような排気ガス浄化対策及び燃費
対策が施こされていれば、機関出力が低下しているため
顕著に現われる。

この考案は、上記欠点を解消すると同時にダイヤフラム
の撓みに対抗するスプリングのセット長さを調整可能に
して点火進角特性の立上り特性を調整し得るようにする
と共に負圧室内の容積を増減可能にして吸気負圧変化に
対する点火時期の変化の応答性を調整し得ることを目的
とする機関点火時期制御装置を提供するものである。

以下、第１図乃至第７図に示す実施例について説明する
。

図に於て、１は図示しない機関によって回転駆動される
点火装置軸である回転軸、２はこの回転軸１を回転自在
に支持する配電器のハウジング、３はこのハウジング２
内に回動可能に取付けられた回動台板、４は上記回転軸
１に遊嵌され遠心式進角装置（図示せず）を介して回転
されるカム筒、５はこのカム筒４のカム山によって開閉
されて点火信号を発生する断続器接点で、上記回動台板
３に装着されている。

６は上記回動台板３に一端が連結した連動リンク、７は
このリンク６の他端にホルダ８を介して連結されたダイ
ヤフラム、９はこのダイヤフラム７と協働して負圧室１
０を構成する底のない略椀状の第１ケースで、上記底部
分にはねじが切っである。

１１は上記ダイヤフラム７と第１ケース９に密着させ、
この第１ケース９とによって挾持する第２ケース、１２
はこの第２ケース１１に固着され上記ハウジング２の側
部にねじ１３によって取付けられる取付板、１４は上記
ダイヤフラム７と後述する支持部材のスプリング受は部
との間に張架されたスプリング、１５は上記のねじ部に
螺合するわし部を有し、上記ダイヤフラム７の撓み方向
に移動可能であるケース９支持部材で、後述する一方向
弁、空気抵抗素子を装着し得る略断面コ字状で上記負圧
室１０内の容積の一部をなす如く形成された所定の体積
を有するものである。

また、この支持部材１５の内周部には段部が形成された
吸気負圧吸入穴１５ ａと上記スプノング１４の一端を
受けて支持するスプリング受は部１６がそれぞれ一体成
型により形成されている。

１７は上記負圧吸入穴１５ａにその段部に当接する位置
まで押されて嵌着され、上記負圧室１０の内外部に連通
した互いに並列な大径なる連通路１７ａと小径なる連通
路１７ ｂとが形成されている筒体、１８はこの小径な
る連通路１７ｂに圧入される支持部１８ ａとこの支持
部１８ａによって支持され、上記連通路１７ ｂを塞ぐ
べく径の小さい管１８ｂとからなる空気抵抗素子、１９
は上記大径なる連通路１７ａに圧入され、ストッパー１
９３を有する筒体、２０はこの筒体１９によって上記連
通路１７ ａに設けられ、負圧室１０の内部から外部方
向に空気が流通し得る時のみこの連通路１７ａを閉塞す
る一方向弁で、ゴム等によって形成されている。

２１は上記筒体１７を支持部材１５に嵌入した状態で上
記吸入穴１５ａの内周部に圧入され、上記筒体１７の抜
けを防止するばね材、２２は上記支持部材１５に上記負
圧吸入穴１５ ａに対応して固着されたニップル２３は
機関の吸気負圧源、例えば気化器２４に上記ニップル２
２を連通させるゴム等からなる導管２５は第１ケース１
１の下方部に固着されたニップルで、通常はゴムキャッ
プ２６によって閉塞されている。

次に動作について説明する。

先ず、機関が起動して、回転軸１が回転駆動されると、
カム筒４は遠心式進角装置を介して矢印方向に回転され
るため断続器接点１５は開閉作動を行ない機関の点火時
期に点火信号を発生する。

さて、機関の点火時期の制御について詳述する。

今、機関が重負荷状態にあり気化器２４の吸気負圧が低
い場合には負圧室１０の負圧も低くダイヤフラム７はス
プリング１４によって押されて図中最も左側に位置する
。

この状態から機関が軽負荷に移行すると気化器２４の吸
気負圧が高くなるため負圧室１０内の空気は空気抵抗素
子１８の管１８ｂ、フィルタ（図示せず）、負圧吸入穴
１５ａ及びニップル２２を通じて気化器２４に流入し、
空気抵抗素子１８の管１８ｂの空気抵抗によって決定さ
れる流入速度で負圧室１０内の負圧は上昇していく。

而して、スプリング１４の弾性力に抗してダイヤフラム
７が徐々に図中右側に撓み、これに応動して回動台板３
はリンク６を介して反矢印方向に回動変位され、断続器
接点５の開閉位置、即ち点火信号の発生時期（点火時期
）が第８図に示す如く徐々に進角する。

従って、機関が重負荷から軽負荷に移行する過程に於て
は機関の点火時期は徐々に進角するため排気ガス中のＮ
ｏｘを減少させることができる。

一方、機関が軽負荷から重負荷に移行すると気化器２４
の吸気負圧が急に低下するため一方向弁２０は押圧され
て大なる連通路１７ ａの閉塞を解除するので気化器２
４から導管、ニップル２２、フィルタ、大なる連通路１
７ａ及び筒体１９を通じて負圧室１０内に速やかには空
気が流入され、この負圧室１０内の負圧は速やかに低下
するため、スプリング１４の弾性力によってダイヤフラ
ム７、リンク６及び回動台板３は殆んど時間遅れなしに
元の位置、即ち最も左側の位置に復帰する。

従って、機関の急加速に際しては高出力を発揮させるこ
とができる。

然るに、上述した動作中、気化器２４から導管２３を通
じてガソリンを含有した空気が負圧室１０内に流入し、
液状のガソリンが負圧室１０内の下方に溜ることになる
が、一方向弁２０及び空気抵抗素子１８はガソリンに侵
されない最上部の位置に設けられているので、ガソリン
によって一方向弁２０が劣化させられることはなく、ま
た各連通路も目詰まりすることは防止される。

また、上記ガソリンが溜った場合、最下部に位置するニ
ップル２３のゴムキャップ２４を取外すことによって簡
単に流出させることができる。

ところで、バキューム装置の組立後、吸気負圧対進角特
角特性を試、験する場合にはニップル２２を閉塞し、ゴ
ムキャップ２４を取外してニップル２３に負圧源を接続
することにより、速かに時間遅れのない負圧対進角特性
を測定することができる。

以−Ｌのように、この実施例は負圧対進角特性の立りり
特性を調整する時は、治具等によって第１ケース９に対
し支持部材１５を移動させてスプリング１４のセット長
さを調整すれば容易に行なえるものである。

また、この支持部材１５は所定の体積を有しているので
、負圧室１０内の容積が支持部材１５の体積分だけ減少
でき、吸気負圧変化に対するダイヤフラム７の変位に要
する時間遅れは最小限にできるものであり、機関の加速
性能は一段と向上し、フィーリングも良好となる。

一方、スプリング１４のセット長さを短縮するというこ
とは上述した時間遅れを最小限にするという目的と同じ
である。

即ち、支持部材１５がダイヤフラム７側に移動すればス
プリング１４のセット長さは短縮されると共に負圧室１
０内の容積も減少させられるため上記目的は同時に行な
うものである。

尚、以上の実施例は空気抵抗素子として径が極めて小さ
い管１８ ｂとしたが、その他のものとして焼結抵抗素
子を使用してもよい。

また、支持部材１５を移動すれば同時にスプリング１４
のセット長さが調整されるものであるが、更に細かな調
整しように思えば、支持部材１５とスプリング１４の第
１ケース９に対する移動可能関係を各々独立して取付け
ればよい。

以上のように、この考案は空気抵抗素子と一方向弁とを
負圧室内の容積の一部をなす如く体積を有する単一の部
材に取付け、この部材を負圧室内に、この負圧室を構成
するケースに対し、ダイヤフラムの撓み方向に移動可能
に設け、この部材とダイヤフラムとの間に、このダイヤ
フラムの撓みに対向するスプリングを張架したので、機
関や車体に取付けための取付具とスペースが不用となり
、真空式進角装置として小形、安価に装置が構成できる
。

また、スプリングのセット長さを調整して所望の点火進
角特性の立上り特性が得られる。

更にまた負圧室内の容積を増減して所望の吸気負圧変化
に対する点火時期の変化の応答性が得られる実用−ヒ顕
著なる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を一部断面して示す平面図
、第２図は支持部材１５の斜視図、第３図は筒体１７の
斜視図、第４図は空気抵抗素子１８の斜視図、第５図は
筒体１９の斜視図、第６図は一方向弁２０の平面図、第
７図はは゛ね材２１の平面図、第８図はこの考案の動作
説明用の線図である。 図に於て、１は回転軸、２はハｒタジング、３は回動合
板、４はカム筒、５は断続器接点、６は連動リンク、７
はダイヤフラム、９は第１ケース、１０は負圧室、１１
は第２ケース、１４はスプリング、１５は支持部材、１
７．１９は筒体、１８は空気抵抗素子、１８ ｂは管、
２０は一方向弁、２１はばね材、２２．２５はニップル
、２３は導管、２４は気化器、２６はゴムキャップであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機関によって回転駆動される点火装置軸の周りに配設さ
   れ、上記機関の点火時期を決定する点火時期決定部材が
   取付けられる回動合板、この回動台板に運動リンクを介
   して固定されたダイヤフラム、このダイヤフラムと協働
   して負圧室を構成するケース、上記負圧室内に、上記ケ
   ースに対し上記ダイヤフラムの撓み方向に移動可能に設
   けられ、上記ダイヤフラムの撓み量を調整し得、上記負
   圧室内の容積の一部をなす如く体積を有する部材、この
   部材と上記ダイヤフラムとの間に張架され上記ダイヤフ
   ラムの撓みに対抗するスプリング、上記部材に形成され
   上記負圧室の内外部に連通した互いに並列な一対の連通
   路、この一対の連通路の一方を塞ぐように上記部材に装
   着された空気抵抗素子、上記部材に取付けられ、上記負
   圧室の内部から外部方向に空気が流通し得る時は上記一
   対の連通路の他方を閉塞する一方向弁、及び上記各連通
   路を共に上記機関の吸気負圧源に連結させる導管を備え
   た機関点火時期制御装置。