JPS5811921B2 - 液体殺菌剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は工業上、農業上、および製薬上の利用に適した
新規組成物に関する。

従来、飽和および不飽和の脂肪族カルボン酸は、工業お
よび農業において予備的にしか使用されなかった。

遊離酸のいやなにおいは、これらの酸の操作上の取り扱
いを不愉快にし、またその腐食性はこれらの使用を非常
に限られたものとしてきた。

過去において、これらの酸をその中性塩またはエステル
として使用することにより欠点を補えるという提案がな
されてきた。

しかしエステル化または中和によって酸の活性が大きく
損われるので、このエステルまたは中性塩の形でこれら
の酸を使用するという方法は不十分である。

水溶液の状態の酸に、完全な中和に要する化学当量より
少量の塩基を加えることにより、この組成物は遊離酸の
活性の大きく損われることなしに酸のにおいと腐食性が
かなり少くなることが今や見い出された。

加えて、驚くべきことに予想もされなかったのであるが
、かかる条件下での塩基と酸との結合は、水溶液中にお
いて安定な錯体を形成することもわかった。

この錯体はまた、遊離酸に比較して蒸気損失が無視しう
るほど小さく、それ故基質においてより長い間保存活性
を維持するという利点もある。

故に本発明とは、アンモニウムイオンおよび／またはメ
ンデレーエフの周期律表の第■族および第■族から選択
した金属イオンとギ酸および水よりなり、かつ酸対アン
モニウムおよび／または金属イオンとの割合が化学当量
に基いて４：１である液体組成物である。

本発明による組成物は、さらに加えて２−８個の炭素原
子、好ましくは２ないし４個の炭素原子の有する飽和ま
たは不飽和の脂肪族モノカルボン酸のうちから選択した
１種またはそれ以上のカルボン酸を含有する。

酢酸、プロピオン酸ｎ−酪酸イソ酪酸、ｎ−吉草酸、２
−メチル酪酸、ラウリン酸、アクリル酸およびメタクリ
ル酸が最も好ましい。

メンデレーエフの周期律表の第■族および第■族の金属
としては、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマ
グネシウムが好ましい。

銅、ストロンチウムおよびベリリウムの金属イオンも使
用できるが、これらの組成物はその陽イオンの既知の毒
性により、特殊な利用方法（たとえば殺虫または殺菌活
性を含む）にのみ使用できることが明らかである。

酸対陽イオンの化学当量の割合は１．１：１ないし６：
１の間が適しており、４：１の比が好ましい。

各成分の量はこの範囲内において、陽イオンの性質と組
成物の使用目的に応じて自然に変化する。

本発明による組成物中の水の最少量は、そこに含有され
る錯酸塩の溶解度による。

たとえばカルシウムおよびマグネシウム酸塩は、ナトリ
ウムおよびアンモニウム塩よりもいくぶん溶解しにくい
故に水の濃度は、均一な溶液を形成するのに必要な最少
量から９０重量％の最大量までの間が適当であり、組成
物全体の重量の１５ないし７５％の間が好ましい。

生成物の重量は利用する生成物の総重量として計算する
。

本発明による組成物は１種もしくはそれ以上の錯酸塩（
ｃｏｍｐｌｅｘ ａｃｉｄ ５ａｌｔ）を含有する。

たとえば、アンモニアをギ酸の水溶液に加えた結果形成
した組成物は、錯酸塩（類）として、各成分の濃度に応
じたギ酸アンモニウムおよびテトラギ酸アンモニウムの
混合物を含有する。

同様に陽イオンを適当に選択することにより多数の錯体
、たとえばジギ酸アンモニウム、ジギ酸ナトリウム。

テトラギ酸カルシウム、テトラギ酸マグネシウム等を与
えることができる。

これと同様の化合物のうちのいくつかの存在は文献にて
報告されてはいるが、これまではこれらの化合物が水溶
液中で安定であるということや、またこれらが遊離酸と
比較して有益な活性度が高いことを示す根拠がなかった
。

溶液中におけるこれらの錯体の存在が、今やラマン分光
学（Ｒａｍａｎ ５ｐｅｃｔｒｏｓｃｏｐｙ）により証
明された。

錯酸塩は水性溶媒中で、ギ酸と所望の陽イオンの塩基の
計算量とを混合することにより製造できる。

たとえば、アンモニウムイオンを含有する組成物の製造
においては、酸を濃アンモニア水と混合すれば良い。

他方、カルシウムイオンを含有する組成物を製造するに
は、酸のカルシウム塩の全量を適当量の遊離酸中に溶解
するか、または遊離酸を部分的に石灰で中和するか、も
しくは石灰石と反応させればよい。

組成物は使用に先立って製造しておくか、または利用時
において組成物を形成するところの酸および塩基の各成
分を別々に、しかし同時に加えてもよい。

適当な陽イオンを有する本発明による組成物は、動物飼
料および農作業のかび、バクテリアおよび菌類の成育を
防ぐ保存剤として使用できる。

この組成物を次に定めるところの基質に塗布するとよい
。

ここで、また本明細書を通じて、「基質」なる語は、草
、農作物および／または配合動物飼料、および以下の諸
材を使用して製造した物質を意味する；大麦、小麦、カ
ラス麦、ライ麦、とうもろこし、米、まぐさ、わら、生
牧草、干草、チックビーンズ（ｔｉｃｋ ｂｅａｎｓ）
、大豆、砂糖きびのしぼりかす、ひまわりの種子、砂糖
きび、なたね、落花生、魚粉、肉および骨粉、そばがら
およびかんなくず。

本発明により組成物は生牧草の添加物に特に適している
。

本発明によるこの保存剤組成物はまた、他の常用の添加
物、特に殺菌性または殺バクテリア性を有するもの（ホ
ルマリン、ソルビン酸、デヒドロ酢酸および重亜硫酸塩
のような）を含有することもできる。

基質の保存のため使用する組成物の量は、保存する基質
によるのみではなく、その酸および陽イオンの各成分に
も基く。

たとえば、栄養上価値があり動物飼料中の成育促進剤と
して知られる銅は低濃度で用いる。

他方、アンモニウムイオンを含有する組成物は、有害な
影響なしに広い濃度範囲で使用することができる。

故に本発明による液体組成物は、保存剤として基質に塗
布する際、処理を施す基質の重量に基いて０．１ないし
５％の間の無機錯酸塩を含有するのが適当である。

処理を施す基質の重量の０．１ないし２．５％の間が好
ましい。

この液体組成物は収穫前、収穫中、収穫後の基質、また
は刈り入れのすまない作物にも塗布できる。

本発明による組成物のその他の利用法としては、パイプ
およびボイラーの湯あかの除去のための工業的使用法が
ある。

製薬工業における使用法の１種に菌性の伝染、たとえば
水虫の治療があげられる。

この溶液にはまた緩衝活性もあり、写真面での利用法も
見い出すことができる。

アンモニウムおよびナトリウムイオンを含有する溶液は
不凍剤としても有用である。

銅を含有する溶液として使用できる。

以下の語例を参照し本発明をさらに説明する。

実施例 １ 新たに刈入れた、かもがや草／欧州アルファルファの５
０１５０混合物の試料１Ｋｇを被験組成物で処理し、３
ケ月間嫌気条件下で貯蔵した。

期間経過後、この生牧草を臭気、水溶性炭化水素、遊離
アンモニア、ｎ−酪酸および乳酸について分析する。

良好な生牧草の条件は、臭気が許容範囲内であること、
乳酸と水溶性炭化水素の濃度が高いこと、アンモニアお
よびｎ−酪酸の濃度が低いことである。

この実験でテトラギ酸アンモニウムの７５％水溶液を、
テトラギ酸アンモニウム（４５％ｗ／ｗ）、ホルムアル
デヒド（１４，８％ｗ／ｗ）、メタノール（４，８％ｗ
／ｗ）及び水（３５，４％ｗ／ｗ）の混合物と比較しな
がら試験した。

後者の温湿合物は放置してもホルムアルデヒドのポリマ
ーを沈殿させない。

生牧草の分析結果を下記の第１表に示す。

結果には、添加剤なしの場合およびギ酸８５％水溶液も
比較のため挙げた。

テトラギ酸アンモニウムの添加、特にホルマリンとの混
合物が生牧草の品質改良を示している。

実施例 ２ 工業的に製造された獣肉／骨粉ミールについて最確数（
ＭＰＮ）のサルモネラ菌に対するテトラギ酸アンモニウ
ムの効果を次の通り分析した。

ＭＰＮが少ないときには、少量のミールを質量で約２５
％まで再湿潤して培養した。

次いで培養ミールをサルモネラ菌を含まないミールで希
釈してほぼ所望量のＭＰＮ含量とした。

汚染ミールの一部（１００ｇ）に試験処方物のクロマト
グラフィー用スプレィで噴霧する。

各試料はＭＰＮ測定前に環境温度で３日間放置する。

本発明組成物の処理しない対照試料はミール中に存在す
る初期のサルモネラＭＰＮを与えて各試験に供した。

試験方法は次の通り。

（ｉ）各試料から次の分割試料を採る。

３×１０ｇ ３× １ｇ ３×０．１ｇ （ｉｉ）各分割試料を緩衝ペプトン水中、１０倍希釈と
なるような量で予備富化する。

これらの分散液を１８時間３７℃で培養する。

（ｉｉｉ）各富化分散液から試料を採り、０．００１％
ｗ／ｗのブリリアントグリーンを含むテトラチオネート
寒天培地に添加する。

使用した希釈液は次の通り。

（イ）１０ｇ試料の予備富化分散液 １０ｃｍ３＋テトラチオネート培地９０ｃｍ３（ロ）１
ｇ試料の予備富化分散液 １ｃｍ３＋テトラチオネ一ト培地９ｃｍ３（ハ）０．１
ｇ試料の予備富化分散液 ０．５ｃｍ３＋テトラチオネート培地４．５ｃｍ３これ
らの富化した培地を２８時間４２℃で培養する。

（ｉｖ） この富化培地の白金耳量を１０ｃｍ３の“
Ｍ”培地に移し、１８時間３７℃で培養する。

サルモネラ菌の存在は抗血清を用いて凝集反応によって
測定する。

処理および未処理試料はＭＰＮ測定前に３日間環境温度
で放置する。

ミールの初期含湿分は質量で８％であった。

この結果からテトラギ酸アンモニウムはサルモネラ菌に
対してギ酸と同等に有効であることが判る。

テトラギ酸塩の方が僅か高濃度で使用されているが、こ
れは比較的腐蝕性が低く、不快臭のないこと、特に熱ミ
ールの処理では揮発損失のないことによって十分相殺で
きる。

テトラギ酸塩の種々の性状に関する試験結果を要約する
と次の通りである。

（イ）軟鋼に対する腐食試験 試料として研磨軟鋼試験片（ＢＳ４３６０゜４３Ａ級）
を用い、それぞれ０．６％ｗ／ｗのギ酸とテトラギ酸ア
ンモニウム（ＡＴＦ）の溶液に１７１時間浸漬した後の
重量損失は下表の通りであった。

両者の濃厚溶液に対する浸漬は金属表面上に結晶が沈着
するため行なわなかったが、上記の希釈液の腐食試験（
実際にサイロ添加物としては濃厚液を使用するが、サイ
ロ中の存在水分によって希釈される場合を想定）の結果
は、ＡＴＦ溶液がギ酸より腐食性が低いことを示してい
る。

これはｐＨと関係するものと思われる。

また、木綿、ポリエステル、ナイロンの布に対する８５
％ＡＴＦ溶液の影響は認められないか、同じ濃度のギ酸
溶液はナイロンを溶解する。

これらの結果はＡＴＦ溶液の処理上の安全性を示すもの
である。

上表から３０〜９０％の水濃度で、テトラギ酸ナトリウ
ムの蒸気圧はギ酸より可成り低く、またテトラギ酸塩は
過剰のギ酸分子を含んでいても、ジギ酸塩と殆んど同じ
蒸気圧を示すことが分る。

（ハ）蒸発損失試験 開放ビーカーに溶液を入れて１４４時間後に測定した各
試料の蒸発損失を次表に示す。

上表の結果から、テトラギ酸−Ｎａのギ酸損失は同じ見
掛は酸濃度でギ酸自体よりも低いので、テトラギ酸塩で
は会合が起っていることが分る。

又、１０％以下のギ酸濃度では、２つの系の蒸発損失は
ほぼ一致するが、これは本願発明のテトラギ酸塩の希釈
液における会合の破壊を意味する。

に）臭気のパネル試験 試験溶液に対する臭気のパネル試験で得られたパネル員
の快、不快の感知結果は次の通りである。

実施例 ３ 新たに刈入れしたかもがや草／欧州アルファルファの５
０１５０混合物１Ｋｇを使用する。

分析値は次の通りである。

水分含量 ８６．５重量％ 乾物量 １３．５ 〃ｐＨ６，２７
〃 全窒素（乾物に基く） ４．３５重量％ 緩衝能 試料１００ｇ当り５．８ミリ当
量 複数試料について、次の物質で０．２２％ｖ／ｗおよび
０．４５％ｖ／ｗで処理して醗酵観察装置付の気密容器
中に３ケ月貯蔵する。

期間経過後、容器を開は内容物を分析して初期醗酵に対
する添加剤の効果を測定した。

対照試料の不快な臭気およびジギ酸アンモニウム（０，
２２％ｖ／ｗ）で処理した試料の僅かな不快臭に対して
、その他の試料は甘味のある臭気を有している。

全ての生牧草は適度の外観を有し、かびの発生は見られ
ない。

分析結果は第３表の通りである。上表から、ａ〜ｆの供
試液の乳酸含量に及ぼす保存効果はａ＞ｅ＞ｃ＞ｄ＞ｂ
の順に低下することが判る。

ｆは０．２２％ｖ／ｗのみであるが、ｅとｃの間である
と思われる。

本発明による組成物の使用における主要な利点を以下に
示す。

ａ）皮膚を侵すことが少ないので操作が非常に安全であ
り、 ｂ）金属に対する腐食性が遊離酸よりも小さく、ｃ）塗
料およびグリースを除去しないので設備低下をまねかず
、 ｄ）遊離酸より蒸気圧が低いので、蒸発による環境破壊
が低いばかりでなく、基質に対する保存剤としての塗布
組成物としてより有効に使用でき、 ｅ）やわらかな封およびパイプをも侵食しないので設備
設計が容易であり、 ｆ）保存剤の酸の悪臭を低下、または場合によっては除
去し、 ｇ）中性塩と比較するとめだって活性が高く、また遊離
酸と比較してもわずかに活性が低いだけであり、 ｈ）水中での溶解度が中性塩よりも非常に大きいので製
造が容易であり、 ｉ）保存処理を施す基質に栄養上有益な陽・イオンをと
りいれる際の媒質として使用できる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アンモニウムイオン、および／またはメンデレーエ
   フの周期律表の第■族および第■族から選択した金属の
   イオンと、ギ酸との錯塩を水溶液状で含みかつ酸対アン
   モニウムおよび／または金属イオンの割合が化学当量に
   基いて４：１であることを特徴とする液体殺菌剤組成物
   。 ２ 金属イオンをナトリウム、カリウム、カルシウムお
   よびマグネシウムのうちから選択する上記第１項に記載
   の液体組成物。 ３ 金属イオンを銅、ベリリウムおよびストロンチウム
   のうちから選択する上記第１項に記載の液体組成物。 ４ 組成中にさらに、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、
   ｎ−酪酸、ｎ−吉草酸、２−メチル酪酸、レブリン酸、
   アクリル酸、ソルビン酸およびメタクリル酸のうちから
   選択したモノカルボン酸を少くとも１種含有する上記第
   １項に記載の液体組成物。 ５ さらに加えて、ホルマリン、メタノール、デヒドロ
   酢酸および重亜硫酸塩のうちから選択した少くとも１種
   の添加物を含有する上記第１項に記載の液体組成物。