JPS5811473Y2 - ブロ−チカツタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、被加工物を積重ねた状態で引抜きにより内歯
を切削加工するブローチカッタ、とくに積重ねた被加工
物を引抜きに際して同芯に位置決めするブローチカッタ
の位置決め用ガイドの構造に関するものである。

従来より、第１図に示すように、切刃部１の前段に、被
加工物２，３の内径にほぼ等しい外径を有するガイド部
４を設け、加工台５上に積重ねた被加工物２，３をガイ
ド部４によって芯出ししつつ、切刃部１を矢印Ａで示す
引抜き方向に引抜くことにより、被加工物２，３の内周
面に内歯を切削加工するようにしたブローチカッタ６は
よく知られている。

ところで、上記の如く、円柱状のガイド部４を設けたブ
ローチカッタ６では、ガイド部４の外径を被加工物２，
３の内径より僅かに小さく設定し、引抜きに際して、ガ
イド部４と被加工物２，３の内周面との間に焼付きが生
じないように配慮する必要があるため、第１図に誇張し
て示すように、ガイド部４と各・被加工物２，３の内周
面との間に僅かな間隙７を生じ、ガイド部４を引抜いた
としても、間隙７分の偏心が生じ、かかる偏心によって
いわゆる歯振れを生ずるといった不具合がある。

本考案は、したがって、焼付きを生ずることなく積重ね
た被加工物を正確に同芯に位置決めすることができるガ
イド構造もしくは位置決め構造を備えたブローチカッタ
を提供することを基本的な目的としている。

このため、本考案に係るブローチカッタでは、被加工物
の内周に対して所定のクリアランスを設けた仮位置決め
用ガイドを設けるとともに、仮位置決め用ガイドと切刃
部との間の軸部外周に、被加工物の内周面に円周方向に
おいて線接触する断面円弧状の正位置決め用ガイドを被
加工物の数に等しい数だけ、油溜りを介して適当な間隔
で設はミ被加工物の加工に際しては、まず、仮位置決め
用ガイドで被加工物の大略の位置決めを行ない、次いで
位置決め用ガイドと被加工物内周面との線接触で被加工
物を正確に位置決めしたのち、切刃部による内歯加工を
行なうようにしたことを基本的な特徴としている。

以下、図示の実施例について本考案をより具体的に説明
する。

第２図に示すように、ブローチカッタ１０は、先端取付
部１１およびガイド部１２とを有するシャンク部１３と
、荒削刃部１４、中仕上刃部１５、仕上刃部１６を引抜
き側から順に設けた切刃部１７と、後端側シャンク部１
８とからなる。

第３図に示すように、加工台２０上に積重ねた、例えば
、２個の被加工物２１．２２に対して、ブローチカッタ
１０をシャンク部１３を先端にして矢印Ａで示す方向に
引抜くことにより、被加工物２１．２２を同時に切削加
工して内歯を形成する。

本案に係るブローチカッタ１０では、そのガイド部１２
を、仮位置決め用ガイド部２３と、正位置決め用ガイド
部２４とで構成する。

仮位置決め用ガイド部２３は、被加工物２１．２２の内
周面に対して催かのクリアランスＣを有するように、被
加工物２１．２２の内径より若干小さい外径を有する円
柱部として形成する。

また、仮位置決め用ガイド部２３と切刃部１７との間に
設ける正位置決め用ガイド部２４は、被加工物２１．２
２の内周面にクリアランスなしに円周方向において線接
触する断面円弧状のリング状の突条２５を、油溜り２６
を形成する円周溝を介して適当な間隔で、被加工物２１
．２２の数に等しい数だけ設けた構成としている。

上記のように、仮位置決め用ガイド部２３と正位置決め
用ガイド部２４を設けた場合には、加工台２０上に積重
ねた被加工物２１．２２に対して、ブローチカッタ１０
を引抜いて行くと、被加工物２１．２２は、まず仮位置
決め用ガイド部２３によってほぼ開幕に位置決めされる
。

さらに、ブローチカッタ１０を引抜いていくと、正位置
決め用ガイド部２４を構成する計２段の突条２５，２５
が積重ねた被加工物２１．２２の内周面に、夫々線接触
し、その結果、被加工物２１．２２を正確に芯出しし、
その芯出し状態において、切刃部１７の荒削刃部１４の
第１刃１４ａが内歯の切削を開始することができる。

そして、第１刃１４ａが、下側の被加工物２２の切削を
開始する時点では、下側の被加工物２２は上側の突条２
５によって依然として芯出し状態に保持されているため
、上側の被加工物２１と開幕のまま、下側の被加工物２
２の切削を開始することができ、したがって、上、下い
ずれの被加工物２１．２２も正確な内歯加工が行なえる
こととなる。

なお、仮位置決め用ガイド部２３との間および各突条２
５，２５間に設けた油溜り２６は、被加工物２１゜２２
の内面に切削油を供給し、突条２５と被加工物２１．２
２の間を潤滑し、焼付きを防止する。

実際、突条２５と被加工物２１．２２とは円周方向にお
いて線接触するに過ぎないため、上記の切削油の潤滑で
十分で焼付きを生じることはない。

また、正位置決め用ガイド部２４を構成する突条２５は
、上記実施例では、被加工物２１．２２の内周面に全周
において線接触させるようにしたが、芯出しを行なうた
めには、線接触する部分が、円周方向において等角度間
隔に存在するような間欠的な突条としてもよい。

以上の説明から明らかなように、本考案は、仮位置決め
用ガイドと切刃部との間に、仮位置決め用ガイドによっ
てほぼ同心に位置決めされた被加工物をさらに正確に芯
出しする正位置決め用ガイドを設けたブローチカッタを
提供するものである。

本考案にかかるブローチカッタを用いれば、被加工物を
正確に位置決めし、かつその位置決め状態のまま、切削
を開始することができるので、歯振れなしに切削を行な
うことができ、しかも、正位置決め用ガイドは、各被加
工物の内面と線接触するにすぎず、しかも中間には油溜
りを設けたので焼付を生ずることもないといった効果を
得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のブローチカッタのガイド部の構造を示す
要部正面図、第２図は本考案に係るブローチカッタの概
略全体図、第３図は本考案に係るブローチカッタのガイ
ド構造を示す要部正面図である。 １４・・・・・・切刃部、２１．２２・・・・・・被加
工物、２３・・・・・・仮位置決め用ガイド、２４・・
・・・・正位置決め用ガイド、２６・・・・・・油溜り
。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 引抜き方向の先端側に設けた被加工物の仮位置決め用ガ
   イドと、被加工物の切削を行なう切刃と、仮位置決め用
   ガイドと切刃の間の軸部外周に所定の間隔をおいて被加
   工物と同数設けられ、被加工物の内周面と少なくとも等
   角度間隔をおいて線接触する断面円弧状の正位置決め用
   ガイドと、各正位置決め用ガイドの間に設けた油溜りと
   を備え、正位置決め用ガイドで被加工物を同心に位置決
   めした後被加工物の切削を行なうようにしたブローチカ
   ッタ。