JPS5811454Y2 - チヤツク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は工作物を把持するチャックに関するものであり
、その目的とするところは１種類の把持爪で直径の異る
多種類の工作物の把持を可能にして工作物の変更に伴う
把持爪の取替え作業をなくし、段取替え時間を大巾に短
縮することである。

一般に直径の異る多種類の工作物を旋削加工する場合、
特定の円弧形状の把持面を有する把持爪で工作物を把持
すると、この形状以外の直径の工作物に対して点接触と
なり、接触部分に大きな把持力が作用し、工作物把持面
に傷をつけ、工作物を不良品にする問題があった。

この問題に対処するため、従来においては種々の円弧形
状の把持面を有する把持爪を多数用意し、把持すべき工
作物が変更される毎にその工作物の直径に見合った形状
の把持面を有する把持爪と交換していた。

しかしながら工作物の種類に応じた多数の把持爪を保管
するために大きなスペースを必要とし、また段取替えに
も多大な労力と時間を必要とする欠点があった。

本考案は従来のこのような欠点を解消するためになされ
たものであり、その特徴とするところは１種類の把持爪
で直径の異る多種類の工作物の把持を可能にしたチャツ
久に関するものである。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、第１
，２図において主軸台１に回転自在に支持されたスピン
ドル２の前端にチャック本体３が取付られ、このチャッ
ク本体３の前面に放射方向に移動可能に滑子４・・・・
・・が摺動自在に案内され、この滑子４・・・・・・に
セレーション５を介して夫々工作物把持爪６・・・・・
・が固定ボルト７により一体的に取付られている。

一方前記スピンドル２の中心には回転軸８が挿通支持さ
れている。

この回転軸８は後端を回転駆動装置（囲路）と連結され
ており、この回転駆動装置にて回転軸８が回転されると
、この回転はギヤ９、中間ギヤ１０、内歯ギヤ１１を介
してスクロール１２に伝達されるようになっている。

このスクロール１２の回転により、このスクロール１２
と噛合する滑子４・・・・・・ならびに工作物把持爪７
は放射方向に移動され、断面円形の工作物Ｗの外周面を
把持するようになっている。

このようなチャックにおいて直径の異る工作物Ｗを把持
するためにボルト７をゆるめて必要な把持爪７と交換す
るのは非常に面倒である。

このため本考案は、前記工作物把持爪７の先端に特殊な
形状の曲線よりなる把持面１３を形成することで、把持
爪７を交換することなく直径の異なる工作物Ｗを把持し
ても工作物外周面にきすをつけないようにしたものであ
る。

すなわち第４図はその把持面１３を構成する曲線の求め
方を示すものでチャック本体３の直径線り上、すなわち
工作物外周面の法線上の点０１を中心として半径Ｒ１の
円Ｃ１を描き、この円Ｃ１の中心０１に対してＳだけず
れた点０２を中心としかつ前記円Ｃ１の半径Ｒ１より大
きな半径Ｒ２の円Ｃ２を描き、この円Ｃ１とＣ２の交点
Ｐ１を求める。

この場合０１とＣ２の半径の差は少くとも中心のずれＳ
より小さくすることが必要である。

以下同様にしてＰ３・・・・・・Ｐｎを求めると、この
点は第４図に示すように直径線りに対して平行でかつα
の間隔を隔てた平行線ＬＬ、Ｌ２・・・・・・Ｌ、ｎ上
に並ぶ。

そしてこの交点ｐｎのうち順次３点を特定し、この３点
を結ぶ２枠曲線の式を求め、この式から前記交点間の形
状を補間することによりなめらかな曲線が得られる。

なお上記交点ＰＬ、Ｐ２・・・・・・Ｐｎならび交点間
の形状に関するデータはいずれも計算機処理で求めると
よい。

第５図は上記曲線でもって形成された把持面で工作物Ｗ
を把持した状態を示すもので、例えば直径の小なる工作
物Ｗ１の場合には可及的に広い範囲Ａで工作物に接触し
、また直径の大なる工作物Ｗ２の場合にも可及的に広い
範囲Ｂ、Ｃで工作物Ｗ２に接触するため工作物Ｗ２に対
して局部的に把持力が集中せず、工作物に傷をつける心
配もない。

しかもその接触状態も面接触に近い状態になるため、大
きな把持力が得られ工作物Ｗを強固に把持することがで
きる。

このような把持状態の差異は第６図により容易に理解で
きるであろう。

すなわち第６図は前記把持面１３を特定の円弧で構成し
たもので、これによると、例えば直径の小なる工作物Ｗ
１を把持する場合には０点で把持面１３と接触し、また
直径の大なる工作物Ｗ２を把持する場合にはＥ、Ｆ点で
把持面１３と接触するようになり、このように特定の直
径の工作物以外の工作物を把持する場合にはいずれも点
接触となり、工作物に傷をつける欠点があることは前記
したとおりである。

尚、前記把持面１３の加工は数値制御フライス盤を用い
、前記交点ＰＬ、Ｐ２・・・・・・Ｐｎの数値データお
よび交点ＰＬ、Ｐ２・・・・・・間の複間データに基づ
いて加工工具を制御することにより容易に加工すること
ができる。

前記したように本考案のチャックは、工作物把持爪の把
持面の工作物外周面方向の輪郭曲線を、前記工作物外周
面の法線方向に中心位置がずれかつこの芯ずれ量より若
干小さな長さだけ半径を順次大きくした多数の円の交点
を順次なめらかにつないだ曲線で構成したため、この１
種類の把持爪によって直径の異なる多種類の工作物を把
持することができ、工作物の変更に伴う把持爪の取替え
作業が不要となり、また工作物に傷をつける心配もなく
なる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断面図、第２図は第１
図のＩＩ矢視図、第３図は把持爪の斜視図、第４図は把
持面を構成する曲線の求め方を説明する図、第５図は本
考案の把持爪を用いた場合の工作物と把持面との関係を
示す説明図、第６図は従来の把持爪を用いた場合の工作
物と把持面との関係を示す説明図。 ３・・・・・・チャック本体、６・・・・・・工作物把
持爪、１３・・・・・・把持面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工作物把持爪を断面円形をなす工作物に対してその工作
   物外周面の法線方向に移動させて工作物を把持するチャ
   ックにおいて、前記工作物把持爪の把持面の工作物外周
   面方向の輪郭曲線を、前記法線方向に中心位置がずれか
   つこの芯ずれ量より若干小さな長さだけ半径を順次大き
   くした多数の円の交点を順次なめらかにつないだ曲線で
   構成したことを特徴とするチャック。