JPS581031Y2 - 低音域スピ−カシステム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、音楽音などの低音域、特に１００Ｈｚ以下
の超低音域を専用に再生するスピーカシステムに関し、
特に小容積でありながら大出力で且つ歪の少い良好な聴
感を得ることを目的とする。

一般に、低音域を良好な特性と聴感で再生するためには
、大きな輻射面積（振動板面積）であることが望ましい
が、コーン形振動板の場合、その構造上、剛性に限界が
あり、不必要な共振を生じて好ましくない。

また、例えば第１図に示す様に、７０ｔの密閉箱１１に
３８ｃｒｒ１の口径を有するスピーカ１２を取付け、２
５Ｈ２まで再生しようとすると、振動系の必要等価質量
は５００ｆ以上となり、その支持及び駆動は極めて困難
である。

本考案は、以上の点に鑑みなされたものであり、小容積
の箱に、通常の小形スピーカと輻射板とで音響変成器を
構成させる。

第２図に従って以下説明する。

箱１の例えば前面壁１ａの開口部１ｂに、輻射板４が非
通気性の振動的に柔軟なエツジ部材４ａによって振動自
在に張設され、中間部陽壁３の開口部３ａには駆動スピ
ーカ２が気密的に取付けられ、スピーカ２と輻射板４と
の間は空気などの密閉された第１の空間５を形成し、ス
ピーカ２の後方もまた第２の密閉空間６を形成する。

今１．駆動スピーカ２に信号が印加されると、その音圧
はパスカルの原理によって第１の密閉空間５を伝播し、
一様に輻射板４に伝えられて該輻射板４が振動し、第１
外に音圧が輻射される。

輻射板４は全面駆動されるので平板形を採用することが
でき、その形状は、円形、方形その他いずれの形にする
ことも可能である。

さて、本構造のスピーカシステムは、その主要な構成素
子による機械的等価回路を第３図の如く表わせる。

ここで、２Ｒは輻射板２０等価機械インピーダンスであ
って等価質量ＭＲ１等価コングライアンスＣＲ，等無抵
抗ＲＲの直列囲障、Ｔは音響変成器であってその変成比
はスピーカ２の振動板実効面積ＡＤの自乗と輻射板４の
実効面積ＡＲの自乗の比、ｚＣ１第第１の密閉空間５０
等価機械インピーダンスであって等価コンプライアンス
Ｃ１と等無抵抗Ｒ１の直列回路、ＺＤは駆動スピーカ２
の等価機械インピーダンスであって等価質量ＭＤ ）等
価コンフライアンスＣＤ％等価抵抗ＲＤの直列回路、ｚ
Ｃ２は第２の密閉空間６０等価機械インピーダンスであ
って等価コンプライアンスＣ２で夫々表わせる。

また、Ｆは駆動力、Ｒは制動抵抗であって夫々、Ｆ ＝
ｅ？ ・Ｂ −１／ （Ｒ１？＋ ＲＥ ）Ｒ＝Ｂ２
ｔ２／（Ｒｙ＋ＲＥ） 但し、ｅ２は信号電圧、Ｒｆは信号源抵抗、ＲＥはスピ
ーカ２のボイスコイルの直流抵抗、ｔはボイスコイル線
の有効長、Ｂは有効磁束密度である。

従って、本スピーカシステムの出力音圧特性は、第４図
に示すような帯域通過特性をもつことが判る。

さて、輻射板４０面積ＡＲをスピーカ２の振動板の面積
ＡＩ）に比して大きく、即ち変成比を少くとも１０倍以
上に大きく選び、輻射板４に必要な質量（少くともスピ
ーカ振動板の１０倍以上）を与え、所望の再生周波数帯
域を得ると共に該輻射板４と第１の密閉空間５とで定ま
る共振周波数ｆを再生周波数帯域のは！中間部の適所に
なる如く、即ち、後述するように駆動スピーカ２の振幅
が制限される如く前記等価回路に示された各素子の値を
適値に設定する。

このための手法の一つとして、コンピュータ・シミュレ
ーションを対話的に行うことが有効であり、前記等価回
路について、一実施例としての数値（第１の密閉空間５
の容積＝３２ｔ、第２の密閉空間６の容積＝４０ｔ１ｅ
ｖ＝２．８ｖ１スピーカ２の振動板の実効半径−８の、
Ｒ１＝ Ｏ、，２Ｍ。

ｃｈａｎｉｃａＩΩ、円形の輻射板２０半径＝１６Ｃｒ
ｒ１、ＭＤ＝３０２１ＣＤ＝１．５ｒＩｒＩｎ／Ｎ１Ｒ
Ｄ＝１．７Ｍ。

ｃｈａｎｉｃａ １．Ｑ％ ＭＲ＝ ４００ ｆ、ＣＲ
＝ ０ 、７ ｙｙａ／Ｎｓ ＲＲ＝ ４ Ｍ ｅｃｈ
ａｎｉｃａＩΩ、Ｂ−１＝７．６Ｍ／ｍ、ＲＥ＝７．４
５Ω）を与えて計算した結果は、実測値とよく合致し、
第４図の出力音圧特性を得た。

また、この場合、輻射板４の振動振幅は第５図イの如く
なり、駆動スピーカ２の振動振幅は同図口の如く前記共
振周波数ｆにおいて極小値となる。

従って、本考案構成によると、以下に示す如く種々の特
徴を有する。

第４、駆動用信号電圧ｅｆは、現状では充分大きくとり
５るから、変成比を大きく選ぶと、スピーカ２振動板と
輻射板４０口径比の４乗倍にインピーダンス変換される
ので、Ｂ−を即ち磁束密度とボイスコイルの長さの積は
小さくてよく、輻射板４の質量が重くても、通常の小形
のスピーカ２で充分駆動しうる。

次に、駆動スピーカ２の振動振幅が制振されるので（第
５図口）これが原因の歪を軽減できる。

本考案によらなければ、例えば同図の破線へ〇の如くな
り、駆動スピーカ２に許される最大振幅ａに対応する周
波数ｆｂが使用限界となるが、本考案によれば、更に低
いｆａまで使用限界を広げることができる。

また、輻射板４は平板形が採用でき、その形状も自由で
あって、振動系の支持は容易である。

更にまた本考案システムは、帯域通過特性を有するので
高調波歪の改善ができると共に、第２の空間６も密閉で
あるため、コンプライアンス調整のための透孔がある場
合の様な箱１外での音響干渉に留意する必要がない。

従って、本システムを超低音用として、従来のスピーカ
システムと電気的低域通過フィルターなしで附加使用で
き、全体として超低音域まで歪の少い良好な聴感をうろ
ことができるなど、実用上極めて有用な考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来例を示す断面図であり、第２図は本考案
モデルの断面図、第３図は同機械的等価回路、第４図は
同周波数特性図の実例、第５図は同システムの輻射板と
スピーカ振動板の振動振幅特性図である。 １は箱、１ａはその一壁面、１ｂはその開口部、２は駆
動スピーカ、３は隔壁、３ａはその開口部、４は輻射板
、５は第１の密閉空間、６は第２の密閉空間である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉された第１及び第２の空間５，６を有する箱１の第
   １の空間５を形成する一壁面１ａの開口部１ｂに輻射板
   ４を振動自在に張設し、前記第１と第２の空間５，６の
   隔壁３の開口部３ａに駆動スピーカ２を取付けた構造に
   おいて、前記輻射板４と駆動スピーカ２振動板の変成比
   および等酒質量比をそれぞれ少くとも１０以上となして
   、所望の再生周波数帯域を得ると共に輻射板４と第１の
   密閉空間５とで定まる共振周波数を前記再生周波数帯域
   のほぼ中間値に各素子の値を設定した低音域スピーカシ
   ステム。