JPH1198973A - 油脂含量の少ないルウ - Google Patents

油脂含量の少ないルウ

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JPH1198973A
JPH1198973A JP9261581A JP26158197A JPH1198973A JP H1198973 A JPH1198973 A JP H1198973A JP 9261581 A JP9261581 A JP 9261581A JP 26158197 A JP26158197 A JP 26158197A JP H1198973 A JPH1198973 A JP H1198973A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油脂の含有量が少ないにも係わらず、良好な
風味と滑らかな食感を有し、かつ調理に際して簡単に使
用できる低カロリー食品指向性のルウを提供すること。 【解決手段】 α化加工澱粉を1〜10重量%及び繊維
質を含み、油脂の含有量が10重量%以下であるルウ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉や野菜などの生
の食材とともに加熱調理することにより、カレー、カレ
ー味の食品やシチューなどをつくるのに好適に使用する
ことができるルウに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のカレールウ等のルウとしては、主
に固体脂を用い、これに小麦粉や香辛料等を含有してな
る固形ルウが一般的であり、このルウを、水、野菜や肉
などとともに混合加熱してカレーを調理している。この
カレールウは、油脂として多量の固体脂を用い、これに
小麦粉、カレー粉や香辛料等を混合加熱後冷却固化して
製造したものである。これに対して、油脂を用いないル
ウが種々提案されている。例えば、特開昭59−203
461号公報には、穀類を圧力2kg/cm2 ・G以上、
10kg/cm 2 ・G以下の飽和水蒸気で2分以上60分
以内加圧加熱し、次いで粉末化すること特徴とする穀類
ルウの製造方法が開示されている。このルウは、ポター
ジュやシチュー等を調理するときに、その粘度を整える
と共に優れた香味を付与できるとしている。又、特開昭
59−220163号公報には、小麦粉を圧力2〜8k
g/cm2 ・Gの飽和水蒸気を用いて5秒〜5分間加圧加
熱することを特徴とするホワイトルウの製造方法が開示
されている。このホワイトルウは、カレーなどを調理す
る際に使用できる。
【0003】しかしながら、これらのルウを用いてカレ
ーを調理する場合には、ルウとは別にカレー粉を使用す
る必要があるために不便であり、又、調味料も添加する
必要がある。一方、これらのルウはそのまま使用するこ
ともできるが、油脂などと混合して、粉状、糊状などと
して使用してもよいとされている。従って、上記のルウ
は最近の傾向である所望の料理が簡易に調理できること
及び低カロリー食品への指向性の両方を満足するもので
はない。一般に、カレーにおいて、油脂は特有のこく味
を呈し、香辛料などの風味を整え、かつ繊維質などによ
るざらつきがでないように、舌触りに滑らかさを与える
役割を果たしている。このため、低カロリー指向にそっ
て油脂を減らすと、カレーの風味が低下し、舌触りにざ
らつきがでてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、油脂の含有
量が少ないにも係わらず、良好な風味と滑らかな食感を
有し、かつ調理に際して簡単に使用できる低カロリー食
品指向性のルウを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、油脂の含有量
を10重量%以下(特に油脂を実質的に含有せず)と
し、特定量のα化加工澱粉及び繊維質を必須成分として
用いることにより、上記課題を効率的に解決できるとの
知見に基づいてなされたのである。すなわち、本発明
は、α化加工澱粉を1〜5重量%及び繊維質を必須成分
として含有し、油脂の含有量が10重量%以下であるこ
とを特徴とするルウを提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、「ルウ」とは、
必要に応じて、生の肉や野菜、茹でた肉や野菜等の食材
を加え、あるいは加水して煮込み等で加熱調理すること
により、カレー、シチュー等の求める食品を調理するた
めの食品素材である。「ルウ系食品」とは、上記ルウよ
り調理されたものを含む調理済食品を指す。これらの食
品には、予め調理済の肉や野菜等の食材が含まれていて
もよい。ルウは、通常1〜15倍の水を加えて調理され
るものであることが望ましい。本発明のルウは、何れの
食品を調理するためのものであってもよいが、加熱調理
された状態でソース部分に粘性がでて食材に絡まり、香
辛料等の香味が融合された形態の食品を調理するための
ものであることが望ましく、特にカレー、シチュー、ソ
ース類、スープ類やこれらの類似品等の食品を調理する
ためのものであることが望ましい。つまり、これらの食
品では、本来加熱調理により油脂と小麦粉とで粘性・風
味を発現させることを要望するものであり、本発明のル
ウにより好適にこれと同等乃至より新規な品質が達成さ
れるからである。
【0007】先ず、本発明では、使用する油脂の含有量
を10重量%(以下、%と略称する)以下とすることが
重要である。好ましくは8%以下、より好ましくは5%
以下である。油脂の使用量が多くなると、低カロリー指
向性が達成できず、喫食時にカレー独特のスパイシィな
香辛風味が感じられ難くなり、本発明においては、特
に、油脂を実質的に含有しないのが最も好ましい。油脂
を使用する場合には、植物油脂を用いるのが好ましい。
具体的に、植物油脂としては、パーム油、綿実油、大豆
油、コーン油等を用いるのが好ましい。また、融点が5
℃以下、好ましくは−10℃以下の油脂が好ましい。こ
れらの油脂を用いることで、ルウがペースト状である場
合に、流動性が与えられ、加水して調理する際に溶解
性、分散性が向上し、また食品に良好な風味を付与し得
る。
【0008】ここで、油脂を実質的に含有しないとは、
油脂を積極的に添加しないことを意味し、香辛料などか
らもたらされる少量の油脂、例えば、1.5%程度の存在
を排除するものではない。尚、本発明では、例えば、ペ
クチンなどで調製した疑似油脂を用いることができる。
本発明では、油脂含量の少ないルウの品質を改善するた
めの原料として、α化加工澱粉を用いる。本発明におい
て使用するα化加工澱粉は、架橋澱粉、澱粉エステル、
澱粉エーテル、グラフト共重合体等の誘導体を常法によ
りα化処理したもので、具体的には、α化リン酸架橋澱
粉、α化エーテル化澱粉、α化エステル化澱粉、α化エ
ーテル化リン酸架橋澱粉、α化エステル化リン酸架橋澱
粉からなる群から選ばれた1以上であるのが好ましい。
また、α化架橋澱粉、特にα化リン酸架橋澱粉が好まし
く、α化エーテル化リン酸架橋澱粉が最もよい。
【0009】α化加工澱粉の使用量は、1〜10%、好
ましくは1〜5%である。これにより、低油脂含量又は
油脂無添加の場合にも、調理食品に求める良好な風味
と、繊維質のざらつきを抑えて、滑らかな食感を付与す
ることができる。かかる原料の使用量が多いと、ルウが
ペースト状の場合に粘性が高くなり、滑らかさ、流動性
が失われてしまい好ましくない。反対に、その使用量が
少ない場合には、上記の風味、食感の改善効果が十分に
得られない。本発明で使用する繊維質としては、野菜、
果物の磨砕物やその加工品、食物繊維、セルロース、下
記する香辛料、これらの複数に由来する繊維質原料が挙
げられる。繊維質により、ルウ系食品に粘性を付与する
ことができ、また、野菜、果物の使用により、自然なこ
く味を付与することができる。原料である野菜、果物の
磨砕物としては、種類に限定はなく、野菜として人参、
大根、ジャガイモ、サツマイモ等の根菜類、ホウレンソ
ウ、コマツナ、ケール、キャベツ、レタス等の葉菜類、
カボチャ、ナス、キュウリ、トマト、ピーマン等の果菜
類、タマネギ、アスパラガス等の茎、鱗茎菜類、グリー
ンピース等の豆類が、果物として、マンゴ、リンゴ、オ
レンジ、キウイ、バナナ等が挙げられる。野菜、果物は
生のものでも加熱したものでもよいが、野菜等の風味を
特徴づけるには前者が好ましく、粘性を付与するだけで
あれば後者が好ましい。野菜、果物、特に、人参、タマ
ネギ、カボチャ、ホウレンソウ等をブランチング、蒸煮
又は焙煎したものを用いれば、これらに基づいてルウに
良好なこく味、香りを付与し得るので望ましい。ブラン
チング、蒸煮又は焙煎の条件は、80〜150℃で、1
〜60分間がよい。
【0010】ルウ系食品に特有の滑らかな粘性、口どけ
を付与する上で、人参、タマネギ、リンゴ等が、特有の
色調を出して嗜好性を高める上で、人参、ホウレンソ
ウ、カボチャ等の有色素のものがそれぞれ望ましい。上
記磨砕物と併せてあるいはこれとは別に、野菜、果物等
に由来するかあるいはこれとは別に調製された食物繊
維、セルロースを用いることができる。繊維質は任意の
方法で調製し得るが、特に平均粒度約500μm以下、
好ましくは約300μm以下で、例えば平均粒度約10
0〜200μmのものが、ルウ系食品に特有の滑らかな
粘性と口どけを得る上で望ましい。ルウの保存性を向上
させるために、繊維質のパウダー品を用いることがで
き、この場合にも、食品の食感改善効果を良好に達成す
ることができる。繊維質は、ルウ中に水分を除く固形分
として0.1〜30%、好ましくは5〜20%、更に好ま
しくは5〜10%含有するのがよい。これにより、食品
に特有の滑らかな粘性と口どけを有する、新規な物性、
食感品質を比較的短時間の加熱調理(例えば1〜5分
間)で達成することができる。繊維質の含量が0.1%に
満たないと、上記効果が不十分で、粘性を改善し難い。
粘性材としては、小麦粉、増粘材等も適宜用い得るが、
小麦粉の使用量は、1〜20%とするのがよい。
【0011】本発明で使用する香辛料としては、カレー
粉、胡椒及び/又はその加工品、各種香辛料などの一種
又は二種以上の混合物があげられる。カレー粉を使用す
る場合、油脂の不存在下で、又は若干の油脂の存在下で
90〜150℃で1〜30分間加熱処理したものを用い
るのが好ましく、又、加熱処理として、飽和水蒸気処理
又は焙焼処理を行ったものを用いるのが好ましい。これ
により、カレー粉の生っぽさ、青臭さを消失し、カレー
のスパイシィな風味をより引き立たせることができる。
使用するカレー粉の量を3〜10%とするのが好まし
く、より好ましくは、5〜8%である。また、本発明で
使用する香辛料の粒度は、従来に比して細かいものであ
るのが好ましい。具体的には、含有される香辛料の全て
が、平均粒度90〜110μmのものであるのが好まし
い。これにより、低油脂含量・油脂無添加でも調理食品
に求められる滑らかな食感を付与するといった本発明の
効果が更に向上する。本発明では、上記成分の他に、
塩、砂糖、肉エキス、糖類等の1種又は2種以上の混合
物などの調味料を用いることができる。使用する調味料
の量は、所望のカレー等の香り、味覚に応じて適宜決定
すればよい。また、本発明では、90〜150℃で1〜
60分間加熱処理した肉エキス、糖類を含むのが好まし
い。更に、本発明では、酸化防止剤、着香料、着色料な
どを用いてもよい。
【0012】本発明のルウは、固形状(板状、粉状、顆
粒状など)、ペースト状、液状など種々の形態とするこ
とができる。本発明のペースト状ルウは、例えば、次の
方法で容易に製造することができる。上記原料を用い、
基本的にはこれらを混合した形態として得ることができ
る。原料の風味の調和を図る上で、原料を100℃を越
えない温度、好ましくは80〜90℃程度に加熱混合す
るのがよい。例えば、野菜、果物の磨砕物と油脂等とを
80〜90℃程度で1〜20分間程度加熱混合し、これ
にα化加工澱粉、香辛料、必要により他の原料を加えて
更に80〜90℃程度で3〜10分間程度加熱混合して
ルウを得るのがよい。油脂を用いない場合には、上記の
原料を一括して加熱混合してもよい。本発明のペースト
状ルウは、Awは0.90以下がよく、好ましくは0.75
〜0.90でこれにより好適な保存性が得られる。ルウの
粘度は、500〜200000cp、好ましくは500
0〜20000cp(25℃でB型粘度計で測定、以下
同じ)がよく、これにより溶解性、容器からの押し出し
適性が向上する。以上の構成により得られるルウは、加
水して調理するための素材として必要な原料を含み、主
にペースト状の形態のものとなる。一方、ペースト状以
外のルウは、上記成分を用いて常法により容易に調製す
ることができる。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、香辛料の香味がシャー
プに感じられスパイシィであり、さめた場合でもボテボ
テ感がなく粘性が良好であるとともに、ヘルシー(カロ
リー低減)なルウが提供される。特に、このルウを用い
て調理した各種料理では、特有のこく味を呈し、香辛料
などの繊維質によるざらつきがなく、舌触りが滑らか
で、低油脂含量・油脂無添加でも高い品質を得ることが
できる。更に、粘性材として繊維質を用いてペースト状
等に仕上げられたルウによれば、好ましい粘性が短時間
の調理で達成されると共に、品温が下がっても維持さ
れ、また、野菜、果物を含んで(低油脂分で)健康に優
れ、これらの色調が付与された嗜好性にも優れる新規で
高品質のカレー等のルウ系食品を得ることが可能とな
る。従って、本発明のルウは、カレールウ、シチュー用
ルウ、ハヤシライス用ルウなどとしてはもとより、各種
調味料としても幅広く使用することができる。次に実施
例により本発明を説明する。
【0014】
【実施例】
実施例1 100℃で2分間ブランチング処理した後で濃縮したホ
ウレンソウ磨砕物25重量部(以下部と略称する)と、
細断したタマネギを100℃で焙煎したタマネギ磨砕物
10部を85℃まで加熱混合し、これにα化エーテル化
リン酸架橋澱粉4部、カレー粉4部、ホウレンソウパウ
ダー15部、砂糖7部、食塩2部、粉末調味料16部を
加えて上記温度で15分間混合維持した後、袋状容器に
ホットパックしてカレールウを製造した。このカレール
ウは、平均粒度約250μmの繊維質の固形分を約7%
含み、油脂含量約3%、pH約5.0、Aw約0.85、粘
度約15000cpの容器から容易に押し出せるペース
ト状のものであった。上記のカレールウに加水し、適当
な具材を加えて煮込んでカレーを調理した。約5分間煮
込むことで、カレーに滑らかな粘性が付与され、食する
とサラッとした粘性で口どけがよく、油脂が少量でさっ
ぱりして風味にも優れ、舌触りも滑らかな高品質のもの
であった。また、ホウレンソウの緑色が映えた美麗な外
観のものであった。更に、カレーが冷めても上記粘性が
保たれた。
【0015】実施例2 ホウレンソウ磨砕物を粉砕した人参を98℃で30分間
ブランチング処理したニンジン磨砕物20部、ホウレン
ソウパウダーを人参パウダー12部に変更する以外は実
施例1と同様にしてカレールウを製造した。このカレー
ルウは、平均粒度約250μmの繊維質の固形分を約5
%含み、油脂含量約5%、pH約5.5、Aw約0.85、
粘度約15000cpの容器から容易に押し出せるペー
スト状のものであった。このカレールウより実施例1と
同様にしてカレーを調理したところ、実施例1の場合と
同様に、滑らかで安定な粘性と好適な風味・食感の高品
質のものであり、ニンジンの赤色が映えた美麗な外観の
ものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 明子 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α化加工澱粉を1〜10重量%及び繊維
    質を含み、油脂の含有量が10重量%以下であることを
    特徴とするルウ。
  2. 【請求項2】 α化加工澱粉がα化リン酸架橋澱粉であ
    る請求項1記載のルウ。
  3. 【請求項3】 繊維質の平均粒度が500μm以下であ
    る請求項1又は2記載のルウ。
  4. 【請求項4】 繊維質を固形分として0.1〜30重量%
    含む請求項3記載のルウ。
  5. 【請求項5】 油脂を実質的に含有しない請求項1〜4
    のいずれか1項記載のルウ。
  6. 【請求項6】 油脂が植物油脂である請求項1〜4のい
    ずれか1項記載のルウ。
  7. 【請求項7】 ペースト状である請求項1記載のルウ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011004684A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 House Foods Corp 実質的に動物肉由来の原料及び動物油脂を含まないソース
JP2012039897A (ja) * 2010-08-16 2012-03-01 Nisshin Foods Kk パスタソース用ルウ
JP2020018223A (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 日清フーズ株式会社 カボチャソース及びその製造方法

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