JPH1197884A - 導電性膜の製造方法 - Google Patents

導電性膜の製造方法

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JPH1197884A
JPH1197884A JP20992898A JP20992898A JPH1197884A JP H1197884 A JPH1197884 A JP H1197884A JP 20992898 A JP20992898 A JP 20992898A JP 20992898 A JP20992898 A JP 20992898A JP H1197884 A JPH1197884 A JP H1197884A
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Junichi Shimizu
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性に優れ、透視性がよい電磁波遮蔽体を構
成できる導電性膜とその製造方法の提供。 【解決手段】Ti、Zr、Hfのうち1種以上の金属の
窒化物、ホウ窒化物、炭化物、またはホウ炭化物を主成
分とし、比抵抗が1.5×10-4Ω・cm以下である導
電性膜とその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁波遮蔽体および
それに用いる導電性膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近代的ビルの代表として、インテリジェ
ントビルが挙げられる。インテリジェントビルの需要の
増加とともに、電波を外に出さず、かつ外からの電波を
遮蔽する必要が生じる。電磁波遮蔽部材を使用して開口
部を構成し、ビル全体を電磁波遮蔽構造にすることによ
って、電磁波によるビル内の通信を可能にしたインテリ
ジェントビルは既に提案されている。このインテリジェ
ントビルでは、ビルの開口となる窓や出入口について、
メッシュ入りのガラスや導電性フィルムを張り付けたガ
ラスを使うことによってビル全体の電磁波遮蔽を行うよ
うにしている。また、ITO(錫をドープした酸化イン
ジウム)膜と金属膜の組み合わせによるシールド膜を構
成し窓ガラスに使うことも提案されている。また、これ
らのものを利用して電子機器の誤動作防止等にも用いら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】メッシュ入りのガラス
では、開口部を構成する際に視界を悪くし、きわめて目
障わりなものとなる。省エネ効果とビルの外観のカラー
デザイン効果を兼ねて、熱線反射ガラスが多く使われる
ようになってきたが、メッシュ入りのガラスではこの熱
線反射ガラスと組み合わせることは、熱割れの心配があ
り難しい。導電性フィルムを張り付けたガラスでは、安
価であるが、プラスチックフィルムのため、キズがつき
やすく、また劣化して透視性が悪くなったりする問題が
あり、そのため、長期に亘る遮蔽性能に不安がある。
【0004】ITO膜と金属膜との組み合わせではIT
O膜そのものがきわめて希少な金属であるために高価で
あり、かつ耐久性が他の金属膜に比べて弱い。また、熱
線反射ガラスの構成膜として用いられているTiN膜等
にも導電性はあるが、そのまま利用するには抵抗が高
く、例えばTiNを考えた場合、比抵抗が2×10-4Ω
・cm程度のものであった。この場合、20dBのシー
ルド性能を持たせるための表面抵抗を20Ω/□と仮定
すると約1000Å以上の厚膜が必要になり、可視光透
過率が0%に近くなってしまう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、透明基体上に、T
i、Zr、Hfのうち1種以上の金属の窒化物、ホウ窒
化物、炭化物、ホウ炭化物のいずれかを主成分とする導
電性膜を含む1層、または該導電性膜と誘電体膜を有す
る2層以上からなるコーティングが形成されてなる電磁
波遮蔽体を提供する。
【0006】これは、アーク蒸着法、プラズマエミッシ
ョンモニタを用いて行った反応性スパッタリング法、ア
ーク放電プラズマ流を用いたイオンプレーティング法に
より最適制御することによって比抵抗が1.5×10-4
Ω・cm以下の導電性膜を形成すれば、単層膜または誘
電体膜との組み合わせにより可視光透過率10%以上を
確保でき、透視性のよい、ガラス側反射色を種々に調整
可能な電磁シールドガラスを作ることを可能としたもの
である。
【0007】以下本発明の実施例に従って説明する。図
1は本発明の基本的構成の断面図である。導電性膜1
は、比抵抗が1.5×10-4Ω・cm以下であることが
好ましく、この場合、20Ω/□の表面抵抗であれば2
0dB程度の遮蔽性能があり、膜厚は約750Å以下で
よく、可視光透過率は誘電体膜2、例えばTiO2 膜に
より、反射を低減させ10%以上を確保できる。また誘
電体膜2、例えばTiO2 の膜厚を変えることにより反
射色を変化させることができ、熱線反射ガラス等で要求
される反射色のバリエーションが可能となり商品価値と
してきわめて大きなメリットとなる。
【0008】図2は3層構成にしたものを示している。
透過率を向上させることと、導電性膜4や誘電体膜3、
5の膜厚を変化させることにより、反射色をさらに変え
ることができる。また、図3のように多層の組み合わせ
にして所望の光学性能を持たせることもできる。
【0009】導電性膜1、4としてはTi、Zr、Hf
のうち1種以上の金属の窒化物、ホウ窒化物、炭化物ま
たはホウ炭化物を主成分とする膜が、耐久性、コスト等
の点で用いられる。これらの材料はそれぞれ色調が異な
るので、さらに反射色に変化をつけることができる。こ
れらの材料中でも特にTiN、ZrN、HfNは熱線反
射性能がよく、熱線反射ガラスとしての機能も兼ね備え
ている。
【0010】誘電体膜2、3、5としては、例えばTi
2 、SnO2 、ZnO、ZnS、SiO2 、Ta2
5 、ZrO2 、酸化クロム、酸化ハフニウム等の高耐久
性を有する金属酸化物等を採用できる。
【0011】誘電体膜を図1、図2に挙げた例のように
導電性膜に含まれる金属の酸化物とすれば、出発原料と
してともに同一金属材料から成膜でき、反応性スパッタ
リング、反応性イオンプレーティング等の手法により安
価に作製できる。
【0012】導電性膜1、4の膜厚としては電磁波遮蔽
体に使用する場合は20Ω/□程度以下のシート抵抗お
よび所望の可視光透過率が得られるように、適宜設計す
ればよく、熱線反射体に使用する場合は、熱線反射性
能、可視光透過率等を考慮して適宜決定すればよい。誘
電体膜2、3、5の膜厚については、導電性膜との干渉
を利用して所望の透過率、反射率、色調等が得られるよ
うに決定すればよい。
【0013】導電性膜の製造方法としては、(1)T
i、Zr、Hf等の金属または金属ホウ化物を電極と
し、N2 、CH4 等の雰囲気中でアーク放電を起こさせ
てアーク蒸着を行う方法、(2)Ti、Zr、Hf等の
金属または金属ホウ化物をターゲットとし、N2 、CH
4 等の反応ガスとAr等の不活性ガスの混合雰囲気中で
発光スペクトルの強度ピークをプラズマエミッションモ
ニタ等で検出し、それに応じて導入ガス量を制御してタ
ーゲット近傍の放電のプラズマを遷移状態に保ちつつ反
応性スパッタリングを行う方法、(3)Ti、Zr、H
fのうち1種以上の金属、または、かかる金属の窒化
物、ホウ窒化物、炭化物、ホウ炭化物のいずれかからな
る蒸発材料上にアーク放電プラズマ流を導いて蒸発材料
を蒸発させてN2 、CH4 等の雰囲気中でイオンプレー
ティングを行う方法、等が挙げられる。
【0014】これらの方法においてはエネルギの高いイ
オン状態を経て導電性膜形成材料が基体上に付着するの
で、大面積にわたり低比抵抗の導電性膜を形成できる。
特に(3)のアーク放電プラズマ流を用いたイオンプレ
ーティング法においてはアーク放電プラズマ流を磁界に
よってシート状に変形して大面積のシートプラズマを形
成することによって大面積にわたり高速で低比抵抗の膜
を形成できる。図4にそのような装置の例を示す。
【0015】図4にはアーク放電プラズマ発生源41と
して、複合陰極21と、環状永久磁石を含む第1中間電
極22、空芯コイルを含む第2中間電極を有する第2中
間電極23を有するものを用いた場合を示した。
【0016】図4の装置においては、アノード(ハー
ス)42をプラズマ発生源41の下方に位置するように
配置し、空芯コイル46によってプラズマ発生源41か
ら発生したアーク放電による高密度のプラズマ流を真空
室43に引き出す。さらに、引き出したプラズマをシー
ト状にするために、一対の永久磁石45をN極面を対向
させてプラズマをハース42と基体47方向から挟み、
かつ、永久磁石45のN極面またはS極面を、ハース4
2面と、または、被膜を形成する基体47面と平行にな
るように配置し、プラズマをハース42または基体47
と平行な方向におしつぶし、シートプラズマ48を形成
する。
【0017】図4において、一対の永久磁石45によっ
てシート状に変形されたシートプラズマ48は、図4の
上から下方向の厚さおよび図4に垂直な方向に幅を有し
ている。かかるシートプラズマ48はハース42の下に
置かれた永久磁石49のつくる磁場によって約90°で
曲げられ、ハース42に集束し、ハース42内の蒸発原
料50を蒸発させ、蒸発した粒子がハース42の上方に
置かれた基体47上に付着して被膜が形成される。
【0018】
【作用】かかるイオンプレーティング法においては、使
用されるシートプラズマはアーク放電を利用しているた
め従来のイオンプレーティングに利用されているグロー
放電型プラズマに比べて、プラズマの密度が50〜10
0倍高く、ガスの電離度は数十%となり、イオン密度、
電子密度、中性活性種密度もきわめて高い。このような
高密度のプラズマを蒸発原料上に収束させることで、蒸
発原料からきわめて多数の粒子を取り出すことが可能と
なり、従来のイオンプレーティング法に比較して3〜1
0倍の高速成膜を実現できる。さらに、N2 、CH4
Arなどの雰囲気ガスの多くは、反応性の高いイオンや
中性の活性状態をとり、加えて蒸発した粒子も基板に到
達する前に、高密度のシートプラズマの中を通り、反応
性の高い中性の活性種となる。その結果、基板上での反
応性が高まり、基板加熱がなくとも、比抵抗の低い導電
性膜が従来よりも高速の成膜速度で実現できる。
【0019】
【実施例】基体47としてガラス板を用い、以下の方法
で蒸着した。まず真空室43の真空度を2×10-5To
rrまで引き、その後N2 ガスを導入して4.0×10
-4Torrにし、図4のような装置を用いて、直流電源
44を250A、70Vに設定しアーク放電を行った。
蒸着材料としてTiを有するハース42と基体47の間
の距離を約60cmとし、基板固定で行った。膜厚55
0Å、比抵抗1.1×10-4Ω・cm、可視光透過率1
2%(基板ガラス92%)の膜を得た。これは成膜速度
2000Å/minであり、EB(エレクトロンビー
ム)ガンなどによる方法に比べてきわめて早い。基板無
加熱で行った蒸着としては比抵抗もかなり低いものが得
られた。
【0020】次に雰囲気ガスをO2 に変更し、TiN膜
上に、TiO2 からなる誘電体膜を300Å形成し、電
磁波遮蔽ガラスを形成した。シート抵抗は20Ω/□
で、100MHz〜1GHzの波長域において約20d
Bの遮蔽効果を示した。また、全体の可視光透過率は2
0%で、外観はシルバー色であった。
【0021】
【発明の効果】従来電磁遮蔽ガラスとして用いられてき
た金属メッシュを挟みこんだ複層ガラスに対しては、大
幅な低価格とデザイン性の向上が可能であり、またA
g、ITOを用いた系に対しては、低価格、物理的、化
学的、耐久性の向上、デザイン性の付与が期待できる。
電磁遮蔽ガラスとしては、その性能として、20dB、
30dB、60dB等各段階があるが、特に20dB品
のように電子機器の誤動作を防ぐことを主なターゲット
とした比較的レベルの低いものに関しては、特にその価
格が重要である。金属材料を出発原料にすることにより
大幅な低価格を実現し、耐久性を向上させることができ
る。窒化物膜はその成膜条件によって電気的特性は大き
く変化しそれを最適化することで、低抵抗膜が作製でき
る。TiN、ZrN、HfNは高い熱線反射性能を持っ
ているため、熱線反射ガラスとしても、大きな効果を持
っている。
【0022】また、電磁遮蔽性能に関しては、単に窓ガ
ラスとして用いられるだけでなく、電子機器の誤動作防
止のために直接保護板として使われたり、電子レンジの
窓ガラスのように健康対策として中から電磁波が出ない
ようにするために用いられたりする。これらの用途に
は、耐久性特に耐擦傷性および低価格が必要であるが、
その要求を充分満たすことが可能となる。多層膜にすれ
ば、特殊な光学特性を持ったものも可能となり、応用範
囲はきわめて広いものとなる。
【0023】なお、本発明は上記の実施例に限定され
ず、種々の変形が可能である。基板としてガラスを用い
たが、樹脂その他の透明体を用いてもよい。また、熱線
吸収ガラスを用いてもよい。窓の開口部としては建築用
だけでなく、航空機、自動車等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波遮蔽体の1実施例(2層の例)
の断面図。
【図2】本発明の電磁波遮蔽体の1実施例(3層の例
で、導電性膜が、誘電体膜で挟まれてサンドイッチ構造
になっている)の断面図。
【図3】本発明の電磁波遮蔽体の1実施例(多層膜の
例)の断面図。
【図4】アーク放電プラズマ流を用いたイオンプレーテ
ィング法によって本発明の導電性膜を形成するための装
置の一例の概略断面図。
【符号の説明】
1:導電性膜 2:誘電体膜 21:複合陰極 22:環状永久磁石内蔵第1中間電極 23:空芯コイル内蔵第2中間電極 41:アーク放電プラズマ流発生源 42:ハース(アノード) 43:真空室 44:プラズマ発生用直流電源 45:永久磁石 46:空芯コイル 47:基体 48:シートプラズマ 49:永久磁石 50:蒸発原料 51:放電用ガス導入口 52:反応ガス導入口
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年8月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】導電性膜の製造方法
【特許請求の範囲】
【請求項Ti、Zr、Hfのうち1種以上の金属の
窒化物、ホウ窒化物、炭化物またはホウ炭化物を主成分
とする導電性膜の製造方法であって、Ti、Zr、Hf
のうち1種以上の金属、または、かかる金属の窒化物、
ホウ窒化物、炭化物またはホウ炭化物からなる蒸発材料
上にアーク放電プラズマ流を導いて該蒸発材料を蒸発さ
せるイオンプレーティング法によって基体上に導電性膜
を形成することを特徴とする導電性膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導電性膜の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近代的ビルの代表として、インテリジェ
ントビルが挙げられる。インテリジェントビルの需要の
増加とともに、電波を外に出さず、かつ外からの電波を
遮蔽する必要が生じる。電磁波遮蔽部材を使用して開口
部を構成し、ビル全体を電磁波遮蔽構造にすることによ
って、電磁波によるビル内の通信を可能にしたインテリ
ジェントビルは既に提案されている。このインテリジェ
ントビルでは、ビルの開口となる窓や出入口について、
メッシュ入りのガラスや導電性フィルムを張り付けたガ
ラスを使うことによってビル全体の電磁波遮蔽を行うよ
うにしている。また、ITO(錫をドープした酸化イン
ジウム)膜と金属膜の組み合わせによるシールド膜を
構成し窓ガラスに使うことも提案されている。また、こ
れらのものを利用して電子機器の誤動作防止等にも用い
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】メッシュ入りのガラス
では、開口部を構成する際に視界を悪くし、きわめて目
障わりなものとなる。省エネ効果とビルの外観のカラー
デザイン効果を兼ねて、熱線反射ガラスが多く使われる
ようになってきたが、メッシュ入りのガラスではこの熱
線反射ガラスと組み合わせることは、熱割れの心配があ
り難しい。導電性フィルムを張り付けたガラスでは、安
価であるが、プラスチックフィルムのため、キズがつき
やすく、また劣化して透視性が悪くなったりする問題が
あり、そのため、長期に亘る遮蔽性能に不安がある。
【0004】ITO膜と金属膜との組み合わせではIT
O膜そのものがきわめて希少な金属であるために高価で
あり、かつ耐久性が他の金属膜に比べて弱い。また、熱
線反射ガラスの構成膜として用いられているTiN膜等
にも導電性はあるが、そのまま利用するには抵抗が高
く、例えばTiNを考えた場合、比抵抗が2×10-4Ω
・cm程度のものであった。この場合、20dBのシー
ルド性能を持たせるための表面抵抗を20Ω/□と仮定
すると約1000Å以上の厚膜が必要になり、可視光透
過率が0%に近くなってしまう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
解決された導電性膜を製造する方法を提供すべくなさ
れたものであり、Ti、Zr、Hfのうち1種以上の金
属の窒化物、ホウ窒化物、炭化物またはホウ炭化物を主
成分とする導電性膜の製造方法であって、Ti、Zr、
Hfのうち1種以上の金属、または、かかる金属の窒化
物、ホウ窒化物、炭化物またはホウ炭化物からなる蒸発
材料上にアーク放電プラズマ流を導いて該蒸発材料を蒸
発させるイオンプレーティング法によって基体上に導電
性膜を形成することを特徴とする導電性膜の製造方法
提供する。
【0006】特に、アーク放電プラズマ流を用いたイオ
ンプレーティング法により最適制御することによって比
抵抗が1.5×10-4Ω・cm以下の導電性膜を形成す
れば、単層膜または誘電体膜との組み合わせにより可視
光透過率10%以上を確保でき、透視性のよい、ガラス
側反射色を種々に調整可能な電磁シールドガラスを作る
ことができる。
【0007】以下本発明の実施例に従って説明する。図
1は本発明が適用される導電膜付基体の基本的構成の断
面図である。導電性膜1は、比抵抗が1.5×10-4Ω
・cm以下であることが好ましく、この場合、20Ω/
□の表面抵抗であれば20dB程度の遮蔽性能があり、
膜厚は約750Å以下でよく、可視光透過率は誘電体膜
2、例えばTiO2 膜により、反射を低減させ10%以
上を確保できる。また誘電体膜2、例えばTiO2 の膜
厚を変えることにより反射色を変化させることができ、
熱線反射ガラス等で要求される反射色のバリエーション
が可能となり商品価値としてきわめて大きなメリットと
なる。
【0008】図2は3層構成にしたものを示している。
透過率を向上させることと、導電性膜4や誘電体膜3、
5の膜厚を変化させることにより、反射色をさらに変え
ることができる。また、図3のように多層の組み合わせ
にして所望の光学性能を持たせることもできる。
【0009】導電性膜1、4としてはTi、Zr、Hf
のうち1種以上の金属の窒化物、ホウ窒化物、炭化物ま
たはホウ炭化物を主成分とする膜が、耐久性、コスト等
の点で用いられる。これらの材料はそれぞれ色調が異な
るので、さらに反射色に変化をつけることができる。こ
れらの材料中でも特にTiN、ZrN、HfNは熱線反
射性能がよく、熱線反射ガラスとしての機能も兼ね備え
ている。
【0010】誘電体膜2、3、5としては、例えばTi
2 、SnO2 、ZnO、ZnS、SiO2 、Ta2
5 、ZrO2 、酸化クロム、酸化ハフニウム等の高耐久
性を有する金属酸化物等を採用できる。
【0011】誘電体膜を図1、図2に挙げた例のように
導電性膜に含まれる金属の酸化物とすれば、出発原料と
してともに同一金属材料から成膜でき、反応性スパッタ
リング、反応性イオンプレーティング等の手法により安
価に作製できる。
【0012】導電性膜1、4の膜厚としては電磁波遮蔽
体に使用する場合は20Ω/□程度以下のシート抵抗お
よび所望の可視光透過率が得られるように、適宜設計す
ればよく、熱線反射体に使用する場合は、熱線反射性
能、可視光透過率等を考慮して適宜決定すればよい。誘
電体膜2、3、5の膜厚については、導電性膜との干渉
を利用して所望の透過率、反射率、色調等が得られるよ
うに決定すればよい。
【0013】導電性膜の製造方法としては、Ti、Z
r、Hfのうち1種以上の金属、または、かかる金属の
窒化物、ホウ窒化物、炭化物、ホウ炭化物のいずれかか
らなる蒸発材料上にアーク放電プラズマ流を導いて蒸発
材料を蒸発させてN2 、CH4等の雰囲気中でイオンプ
レーティングを行う方法が挙げられる。
【0014】前記方法においてはエネルギの高いイオン
状態を経て導電性膜形成材料が基体上に付着するアー
ク放電プラズマ流を用いたイオンプレーティング法にお
いてはアーク放電プラズマ流を磁界によってシート状に
変形して大面積のシートプラズマを形成することによっ
て大面積にわたり高速で低比抵抗の膜を形成できる。図
4にそのような装置の例を示す。
【0015】図4にはアーク放電プラズマ発生源41と
して、複合陰極21と、環状永久磁石を含む第1中間電
極22、空芯コイルを含む第2中間電極を有する第2中
間電極23を有するものを用いた場合を示した。
【0016】図4の装置においては、アノード(ハー
ス)42をプラズマ発生源41の下方に位置するように
配置し、空芯コイル46によってプラズマ発生源41か
ら発生したアーク放電による高密度のプラズマ流を真空
室43に引き出す。さらに、引き出したプラズマをシー
ト状にするために、一対の永久磁石45をN極面を対向
させてプラズマをハース42と基体47方向から挟み、
かつ、永久磁石45のN極面またはS極面を、ハース4
2面と、または、被膜を形成する基体47面と平行にな
るように配置し、プラズマをハース42または基体47
と平行な方向におしつぶし、シートプラズマ48を形成
する。
【0017】図4において、一対の永久磁石45によっ
てシート状に変形されたシートプラズマ48は、図4の
上から下方向の厚さおよび図4に垂直な方向に幅を有し
ている。かかるシートプラズマ48はハース42の下に
置かれた永久磁石49のつくる磁場によって約90°で
曲げられ、ハース42に集束し、ハース42内の蒸発原
料50を蒸発させ、蒸発した粒子がハース42の上方に
置かれた基体47上に付着して被膜が形成される。
【0018】
【作用】かかるイオンプレーティング法においては、使
用されるシートプラズマはアーク放電を利用しているた
め従来のイオンプレーティングに利用されているグロー
放電型プラズマに比べて、プラズマの密度が50〜10
0倍高く、ガスの電離度は数十%となり、イオン密度、
電子密度、中性活性種密度もきわめて高い。このような
高密度のプラズマを蒸発原料上に収束させることで、蒸
発原料からきわめて多数の粒子を取り出すことが可能と
なり、従来のイオンプレーティング法に比較して3〜1
0倍の高速成膜を実現できる。さらに、N2 、CH4
Arなどの雰囲気ガスの多くは、反応性の高いイオンや
中性の活性状態をとり、加えて蒸発した粒子も基板に到
達する前に、高密度のシートプラズマの中を通り、反応
性の高い中性の活性種となる。その結果、基板上での反
応性が高まり、基板加熱がなくとも、比抵抗の低い導電
性膜が従来よりも高速の成膜速度で実現できる。
【0019】
【実施例】基体47としてガラス板を用い、以下の方法
で蒸着した。まず真空室43の真空度を2×10-5To
rrまで引き、その後N2 ガスを導入して4.0×10
-4Torrにし、図4のような装置を用いて、直流電源
44を250A、70Vに設定しアーク放電を行った。
蒸着材料としてTiを有するハース42と基体47の間
の距離を約60cmとし、基板固定で行った。膜厚55
0Å、比抵抗1.1×10-4Ω・cm、可視光透過率1
2%(基板ガラス92%)の膜を得た。これは成膜速度
2000Å/minであり、EB(エレクトロンビー
ム)ガンなどによる方法に比べてきわめて早い。基板無
加熱で行った蒸着としては比抵抗もかなり低いものが得
られた。
【0020】次に雰囲気ガスをO2 に変更し、TiN膜
上に、TiO2 からなる誘電体膜を300Å形成し、電
磁波遮蔽ガラスを形成した。シート抵抗は20Ω/□
で、100MHz〜1GHzの波長域において約20d
Bの遮蔽効果を示した。また、全体の可視光透過率は2
0%で、外観はシルバー色であった。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、比抵抗の低い導電性膜
を高速で成膜できる。本発明により得られる導電性膜を
用いた電磁遮蔽ガラスは、従来電磁遮蔽ガラスとして用
いられてきた金属メッシュを挟みこんだ複層ガラスに対
しては、大幅な低価格とデザイン性の向上が可能であ
り、またAg、ITOを用いた系に対しては、低価格、
物理的、化学的、耐久性の向上、デザイン性の付与が期
待できる。電磁遮蔽ガラスとしては、その性能として、
20dB、30dB、60dB等各段階があるが、特に
20dB品のように電子機器の誤動作を防ぐことを主な
ターゲットとした比較的レベルの低いものに関しては、
特にその価格が重要である。本発明の方法を用いること
により大幅な低価格を実現し、耐久性を向上させること
ができる。窒化物膜はその成膜条件によって電気的特性
は大きく変化しそれを最適化することで、低抵抗膜が作
製できる。TiN、ZrN、HfNは高い熱線反射性能
を持っているため、熱線反射ガラスとしても、大きな効
果を持っている。
【0022】また、電磁遮蔽性能に関しては、単に窓ガ
ラスとして用いられるだけでなく、電子機器の誤動作防
止のために直接保護板として使われたり、電子レンジの
窓ガラスのように健康対策として中から電磁波が出ない
ようにするために用いられたりする。これらの用途に
は、耐久性特に耐擦傷性および低価格が必要であるが、
その要求を充分満たすことが可能となる。多層膜にすれ
ば、特殊な光学特性を持ったものも可能となり、応用範
囲はきわめて広いものとなる。
【0023】なお、本発明は上記の実施例に限定され
ず、種々の変形が可能である。基板としてガラスを用い
たが、樹脂その他の透明体を用いてもよい。また、熱線
吸収ガラスを用いてもよい。窓の開口部としては建築用
だけでなく、航空機、自動車等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られる導電性膜を用いた電磁波
遮蔽体の1例(2層の例)の断面図。
【図2】本発明により得られる導電性膜を用いた電磁波
遮蔽体の1例(3層の例で、導電性膜が、誘電体膜で挟
まれてサンドイッチ構造になっている)の断面図。
【図3】本発明により得られる導電性膜を用いた電磁波
遮蔽体の1例(多層膜の例)の断面図。
【図4】アーク放電プラズマ流を用いたイオンプレーテ
ィング法によって導電性膜を形成するための装置の
の概略断面図。
【符号の説明】 1:導電性膜 2:誘電体膜 21:複合陰極 22:環状永久磁石内蔵第1中間電極 23:空芯コイル内蔵第2中間電極 41:アーク放電プラズマ流発生源 42:ハース(アノード) 43:真空室 44:プラズマ発生用直流電源 45:永久磁石 46:空芯コイル 47:基体 48:シートプラズマ 49:永久磁石 50:蒸発原料 51:放電用ガス導入口 52:反応ガス導入口

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基体上に、Ti、Zr、Hfのうち1
    種以上の金属の窒化物、ホウ窒化物、炭化物またはホウ
    炭化物を主成分とする導電性膜を含む1層、または該導
    電性膜と誘電体膜を有する2層以上からなるコーティン
    グが形成されてなる電磁波遮蔽体。
  2. 【請求項2】上記導電性膜が1.5×10-4Ω・cm以
    下の比抵抗を有する請求項1記載の電磁波遮蔽体。
  3. 【請求項3】上記コーティングの可視光透過率が10%
    以上である請求項1または2記載の電磁波遮蔽体。
  4. 【請求項4】Ti、Zr、Hfのうち1種以上の金属の
    窒化物、ホウ窒化物、炭化物またはホウ炭化物を主成分
    とし、比抵抗が1.5×10-4Ω・cm以下であること
    を特徴とする導電性膜。
  5. 【請求項5】Ti、Zr、Hfのうち1種以上の金属、
    または、かかる金属の窒化物、ホウ窒化物、炭化物また
    はホウ炭化物からなる蒸発材料上にアーク放電プラズマ
    流を導いて該蒸発材料を蒸発させることによって基体上
    に導電性膜を形成することを特徴とする請求項4記載の
    導電性膜の製造方法。
  6. 【請求項6】アーク蒸着法を用いて基体上に導電性膜を
    形成する請求項4記載の導電性膜の製造方法。
  7. 【請求項7】プラズマを遷移状態に保ちつつ反応性スパ
    ッタリング法によって基体上に導電性膜を形成する請求
    項4記載の導電性膜の製造方法。
  8. 【請求項8】透明基体上に、請求項4記載の導電性膜を
    含む1層、または2層以上からなるコーティングが形成
    されてなる熱線反射体。
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