JPH1195459A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

Info

Publication number
JPH1195459A
JPH1195459A JP27341397A JP27341397A JPH1195459A JP H1195459 A JPH1195459 A JP H1195459A JP 27341397 A JP27341397 A JP 27341397A JP 27341397 A JP27341397 A JP 27341397A JP H1195459 A JPH1195459 A JP H1195459A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon atoms
group
embedded image
formula
aryl group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27341397A
Other languages
English (en)
Inventor
Hajime Suzuki
一 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shindengen Electric Manufacturing Co Ltd
Yamanashi Electronics Co Ltd
Original Assignee
Shindengen Electric Manufacturing Co Ltd
Yamanashi Electronics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shindengen Electric Manufacturing Co Ltd, Yamanashi Electronics Co Ltd filed Critical Shindengen Electric Manufacturing Co Ltd
Priority to JP27341397A priority Critical patent/JPH1195459A/ja
Publication of JPH1195459A publication Critical patent/JPH1195459A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた電子写真特性を損なうことなく感光層表
面の摩擦係数を小さくするとともに、耐油性を向上さ
せ、光疲労のない電子写真感光体を提供する。 【解決手段】本発明の電子写真感光体は、感光層中に結
着樹脂として一般式〔I〕で表される繰り返し単位から
なるホ゜リカーホ゛ネート共重合体と、電荷移動剤として一般式
〔IV〕及び/又は〔V〕で表されるアミン化合物とを含
有する。 【化1】 〔式中、R1〜R12は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基又
は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表し、a〜cは各々
独立に2〜6の整数を表し、dは0〜200の整数を表す。〕 【化2】 〔式中、Z並びにR21、R22及びR23は、各々同一であっ
ても異なっていてもよく、各々独立に水素原子、ハロケ゛ン
原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基若しく
はアルコキシ基、置換アミノ基、又は無置換のアリ-ル基を表す。〕 【化3】 〔式中、Z並びにR21、R22及びR23の意味は、化2にて
定義した通りである。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、複写機や
レーザビームプリンタ等の電子写真装置に用いられる電
子写真感光体に関し、特に有機光導電材料を用いた電子
写真感光体に係るものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体の光導電材料には、一般
的に、セレン(Se)、硫化カドミウム(CdS)、酸化亜
鉛(ZnO)、アモルファスシリコン(a−Si)等の無機
材料が使用されているが、かかる無機材料を用いた感光
体は、暗所で例えば帯電ローラーにより帯電し、次い
で、像露光を行い露光部のみの電荷を選択的に消失させ
て静電潜像を形成し、更に、現像剤で可視化して画像形
成するごとく利用されている。かかる電子写真感光体に
要求される基本特性として、暗所で適当な電位に帯電
できること、光照射により表面電荷を消失することが
できる機能を備えていること等であるが、前記無機材料
は、各々長所、短所を有している。例えば、セレン(S
e)は、前記、の特性は十分満足するが、可撓性が
なくフィルム状に加工することが難しく、また、熱や機
械的衝撃に鋭敏であるため取扱いに注意を要する等の欠
点がある。更に、アモルファスシリコン(a−Si)は製
造条件が難しく、製造コストが高くなるという欠点があ
る。
【0003】このため、近年は、電子写真感光体とし
て、有機光導電物質として知られるフタロシアニンやア
ゾ化合物を電荷発生層として用い、更にヒドラゾン化合
物等からなる電荷移動層を積層して構成される機能分離
型の有機感光体が主流になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来より、
有機感光体の結着樹脂としては、ビスフェノールA型ポ
リカーボネート樹脂が最も一般的に用いられている。し
かしながら、結着樹脂としてビスフェノールA型ポリカ
ーボネート樹脂を用いて感光層を形成させる場合には、
感光層の塗工液が安定しない等の欠点がある。このた
め、かかる欠点のない電荷移動層の材料が要望されてい
る。
【0005】また、この樹脂を用いた感光層は表面の摩
擦係数が大きいため、この電子写真感光体を電子写真装
置に装着して電子写真プロセスを繰り返した場合、感光
層表面の残留トナーのクリーニングに一般的に用いられ
ているクリーニングブレードが反転したり、あるいは異
音を発する等の不具合が生じていた。
【0006】さらに、このポリカーボネート樹脂は耐油
性が悪いため、電子写真装置のメンテナンス時等におい
て、誤って感光層表面に触れてしまい指紋が付いてしま
うことがあり、その場合には、指紋が付いた部分にクラ
ックが発生して、その電子写真感光体が使用不可能とな
ってしまうことがしばしばあった。
【0007】他方、塗工液の安定性を考慮して、電子写
真感光体の感光層の材料としてビスフェノールZ型ポリ
カーボネート樹脂を用いることも提案されている。しか
し、このビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を用
いても摩擦係数が大きいことに起因するブレードの捲
(まく)れ、あるいは異音やクラックの発生等の問題解
決には至らなかった。
【0008】その後、例えば特開平4−179961号
公報に記載されるような、前記ビスフェノールA型、Z
型以外の様々な構造のポリカーボネート樹脂やポリカー
ボネート共重合体が開発されているが、前記諸問題を全
て解決できるものは未だ見出されていない。
【0009】その一方、メンテナンス時や電子写真感光
体の交換時において、電子写真感光体が室内光等に暴露
されることがあるが、電子写真感光体を長時間光に暴露
すると、電荷移動剤が劣化して電子写真感光体の残留電
位が上昇してしまう。このような状況はメンテナンスの
簡略化の大きな障害となっている。そのため、メンテナ
ンスは熟練したサービスマンが行わなくてはならず、ま
た、サービスマンも細心の注意を払わなければならなか
った。
【0010】本発明は、このような従来の技術の課題を
解決するためになされたもので、優れた電子写真特性を
損なうことなく感光層表面の摩擦係数を小さくするとと
もに、耐油性を向上させ、しかも光疲労のない電子写真
感光体を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光層中に結着樹
脂として特定の構造のポリカーボネート共重合体と特定
の構造の電荷移動剤を用いた電子写真感光体が、前記従
来の技術の問題点がなく、しかも長期間にわたって優れ
た静電特性を維持することを見い出し、本発明を完成す
るに至った。
【0012】かかる見地に基づいてなされた請求項1記
載の発明は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生剤と
電荷移動剤と結着樹脂を有する感光層を形成した電子写
真感光体において、該感光層中に結着樹脂として一般式
〔I〕で表される繰り返し単位を含むポリカーボネート
共重合体と、電荷移動剤として一般式〔IV〕及び/又
は一般式〔V〕で表されるアミン化合物とを含有するこ
とを特徴とする。
【0013】
【化15】
【0014】〔式中、R1〜R12は、各々独立に炭素数1
〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素
基のいずれかを表し、a〜cは各々独立に2〜6の整数
を表し、dは0〜200の整数を表す。〕
【0015】
【化16】
【0016】〔式中、Z並びにR21、R22及びR23は、
各々同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水
素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1
〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基、置換アミノ
基、又は無置換のアリール基のいずれかを表す。〕
【0017】
【化17】
【0018】〔式中、Z並びにR21、R22及びR23は、
各々同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水
素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1
〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基、置換アミノ
基、又は無置換のアリール基のいずれかを表す。〕
【0019】かかる構成を有する請求項1記載の発明の
場合、感光層中に結着樹脂として一般式〔I〕で表され
るシロキサン構造からなる繰り返し単位を含むポリカー
ボネート共重合体を含有することによって、離型性及び
潤滑性が向上するため、感光層の摩擦係数が低減するも
のである。
【0020】また、電荷移動剤として一般式〔IV〕及
び/又は一般式〔V〕で表されるアミン化合物を含有す
ることによって、光疲労しにくくなる。
【0021】この場合、請求項2記載の発明のように、
請求項1記載の発明において、感光層中に結着樹脂とし
て一般式〔I〕、一般式〔II〕及び一般式〔III〕
で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重
合体を含有することもできる。
【0022】
【化18】
【0023】〔式中、R1〜R12は、各々独立に炭素数1
〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素
基のいずれかを表し、a〜cは各々独立に2〜6の整数
を表し、dは0〜200の整数を表す。〕
【0024】
【化19】
【0025】〔式中、Xは、−O−、−CO−、−S
−、−SO−、−SO2−、−CR1516−(但し、R
15及びR16は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチ
ル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12
のアリール基若しくは置換アリール基のいずれかを表
す。)、炭素数5〜8の1,1−シクロアルキリデン基、
又は炭素数2〜12のα,ω-アルキレン基のいずれかを
表す。また、R13及びR14は、各々独立にハロゲン原
子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12の
アリール基若しくは置換アリール基のいずれかを表し、
e及びfは、各々独立に0〜4の整数を表す。〕
【0026】
【化20】
【0027】〔式中、Yは、単結合、−O−、−CO
−、−S−、−SO−、−SO2−、−CR1920
(但し、R19及びR20は、各々独立に水素原子、トリフ
ルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素
数6〜12のアリール基若しくは置換アリール基のいず
れかを表す。)、炭素数5〜8の1,1−シクロアルキリ
デン基、又は炭素数2〜12のα,ω-アルキレン基のい
ずれかを表す。また、R17及びR18は、各々独立にハロ
ゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜
12のアリール基若しくは置換アリール基のいずれかを
表す。ここで、Yが−O−、−CO−、−S−、−SO
−、−SO2−、−CR1920−、炭素数5〜8の1,1
−シクロアルキリデン基、又は炭素数2〜12のα,ω-
アルキレン基のいずれかの場合、g及びhは、各々独立
に1〜4の整数を表す。Yが単結合の場合、g及びh
は、各々独立に0〜4の整数を表す。〕
【0028】請求項2記載の発明の場合、感光層中に結
着樹脂として一般式〔I〕で表される繰り返し単位に加
え、一般式〔II〕及び一般式〔III〕で表される繰
り返し単位を共重合させてなるポリカーボネート共重合
体を含有することによって、耐トナーフィルミング性が
向上するようになる。
【0029】特に、請求項3記載の発明のように、請求
項2記載の発明において、感光層中に結着樹脂として式
〔Ia〕、式〔IIa〕及び式〔IIIa〕で表される
繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体を含有
することもできる。
【0030】
【化21】
【0031】
【化22】
【0032】
【化23】
【0033】請求項3記載の発明は、摩擦係数が小さ
く、高耐刷性、耐油性の点で好ましいものである。
【0034】さらに、請求項4記載の発明のように、請
求項2記載の発明において、感光層中に結着樹脂として
式〔Ia〕、式〔IIa〕及び式〔IIIb〕で表され
る繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体を含
有することもできる。
【0035】
【化24】
【0036】
【化25】
【0037】
【化26】
【0038】請求項4記載の発明は、摩擦係数が小さ
く、高耐刷性、耐油性の点で好ましいものである。
【0039】さらにまた、請求項5記載の発明のよう
に、請求項1乃至4のいずれか1項記載の発明におい
て、電荷移動剤として式〔IVa〕及び/又は式〔V
a〕で表されるアミン化合物を用いることもできる。
【0040】
【化27】
【0041】
【化28】
【0042】請求項5記載の発明は、感光体の感度が高
感度になり、光疲労にも強くなる点で好ましいものであ
る。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電子写真感光
体の好ましい実施の形態を詳細に説明する。本発明は、
例えば、導電性支持体の上に少なくとも電荷発生剤が含
有される電荷発生層が形成され、その上に少なくとも電
荷移動剤が含有される電荷移動層が形成される機能分離
型電子写真感光体に適用されるものである。この場合、
電荷発生層と電荷移動層とにより感光層が形成される。
【0044】また、本発明は、電荷発生剤と電荷移動剤
が同一の層に含有される単層型電子写真感光体や、電荷
移動層、電荷発生層の順に積層された逆積層型電子写真
感光体等に対しても適用することができる。
【0045】本発明に用いることができる導電性支持体
としては、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、ニッケ
ル、クロム、チタン、金、銀、銅、錫、白金、モリブデ
ン、インジウム等の金属単体やその合金の加工体や、上
記金属や炭素等の導電性物質を蒸着、メッキ等の方法で
処理し、導電性を持たせたプラスチック板およびフィル
ム、さらに酸化錫、酸化インジウム、ヨウ化アルミニウ
ムで被覆した導電性ガラス等、種類や形状に制限される
ことなく、導電性を有する種々の材料を使用して導電性
支持体を構成することができる。また、導電性支持体の
形状については、ドラム状、棒状、板状、シート状、ベ
ルト状のものを使用することができる。
【0046】本発明に用いることができる電荷発生剤と
しては、ジスアゾ顔料やオキシチタニウムフタロシアニ
ンが感度の相性が良い点で望ましいが、それに限定され
るものではない。その他、例えば、セレン、セレン−テ
ルル、セレン−砒素、アモルファスシリコン、無金属フ
タロシアニン、他の金属フタロシアニン顔料、モノアゾ
顔料、トリスアゾ顔料、ポリアゾ顔料、インジゴ顔料、
スレン顔料、トルイジン顔料、ピラゾリン顔料、ペリレ
ン顔料、キナクリドン顔料、多環キノン顔料、ピリリウ
ム塩等を用いることができる。
【0047】これらの電荷発生剤は単体で用いてもよい
し、適切な光感度波長や増感作用を得るために2種類以
上を混合して用いてもよい。
【0048】本発明の電子写真感光体は、その感光層中
に結着樹脂として一般式〔I〕で表されるシロキサン構
造からなる繰り返し単位を含むポリカーボネート共重合
体を含有するものである。前記シロキサン構造単位を有
することにより、感光層の摩擦係数を小さくすることが
できる。
【0049】
【化29】
【0050】〔式中、R1〜R12は、各々独立に炭素数1
〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素
基のいずれかを表し、a〜cは各々独立に2〜6の整数
を表し、dは0〜200の整数を表す。〕
【0051】また、本発明のポリカーボネート共重合体
は、前記シロキサン構造単位の他に一般式〔II〕及び
一般式〔III〕で表されるポリカーボネート構造単位
を繰り返し単位とすることができる。これらポリカーボ
ネート構造単位は、その特性、合成の容易さ、あるいは
樹脂の用途等により適宜選択することができる。
【0052】
【化30】
【0053】〔式中、Xは、−O−、−CO−、−S
−、−SO−、−SO2−、−CR1516−(但し、R
15及びR16は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチ
ル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12
のアリール基若しくは置換アリール基のいずれかを表
す。)、炭素数5〜8の1,1−シクロアルキリデン基、
又は炭素数2〜12のα,ω-アルキレン基のいずれかを
表す。また、R13及びR14は、各々独立にハロゲン原
子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12の
アリール基若しくは置換アリール基のいずれかを表し、
e及びfは、各々独立に0〜4の整数を表す。〕
【0054】
【化31】
【0055】〔式中、Yは、単結合、−O−、−CO
−、−S−、−SO−、−SO2−、−CR1920
(但し、R19及びR20は、各々独立に水素原子、トリフ
ルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素
数6〜12のアリール基若しくは置換アリール基のいず
れかを表す。)、炭素数5〜8の1,1−シクロアルキリ
デン基、又は炭素数2〜12のα,ω-アルキレン基のい
ずれかを表す。また、R17及びR18は、各々独立にハロ
ゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜
12のアリール基若しくは置換アリール基のいずれかを
表す。ここで、Yが−O−、−CO−、−S−、−SO
−、−SO2−、−CR1920−、炭素数5〜8の1,1
−シクロアルキリデン基、又は炭素数2〜12のα,ω-
アルキレン基のいずれかの場合、g及びhは、各々独立
に1〜4の整数を表す。Yが単結合の場合、g及びh
は、各々独立に0〜4の整数を表す。〕
【0056】この場合、例えば、式〔Ia〕、式〔II
a〕及び式〔IIIa〕あるいは式〔Ia〕、式〔II
a〕及び式〔IIIb〕で表される繰り返し単位からな
るポリカーボネート共重合体を用いることができる。
【0057】
【化32】
【0058】
【化33】
【0059】
【化34】
【0060】
【化35】
【0061】繰り返し単位を2種類以上有するポリカー
ボネート共重合体の場合、一般式〔I〕で表される繰り
返し単位の含有割合が、一般式〔I〕で表される繰り返
し単位のモル数と全ての繰り返し単位のモル数の合計に
対するモル比で、0.0001以上であることが望まし
い。一般式〔I〕で表される繰り返し単位の含有割合が
0.0001以下の場合には耐フィルミング性向上の効
果が十分に発揮されない。
【0062】また、前記ポリカーボネート共重合体は、
塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の
20℃における還元粘度(ηSP/c)が0.70dl/
g以上であると、成膜された感光層の硬度が高くなり好
ましい。
【0063】また、感光層の構成を積層型あるいは逆積
層型とした場合には、電荷発生層及び電荷移動層の片方
あるいは両方に本発明の結着樹脂が用いられてもよい
が、前記結着樹脂はその特性上、最表面層に含有される
と、所望の特性が十分に発揮され好ましいものである。
【0064】一方、本発明の電子写真感光体において
は、感光層中に、上述した特定のポリカーボネート共重
合体以外の結着樹脂を含有させることもできる。
【0065】感光層を形成するために用いることができ
る結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、スチレン
樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エチレ
ン−酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル
樹脂、塩素化ポリエーテル、塩化ビニル−酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ニトリル樹脂、ア
ルキッド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリメチルペンテ
ン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリレート樹脂、ポリス
ルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルス
ルホン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、
EVA(エチレン・酢酸ビニル・共重合体)樹脂、AC
S(アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレ
ン)樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・ス
チレン)樹脂、エポキシアリレート等の光硬化樹脂等が
ある。これらは、1種でも2種以上混合して使用するこ
とも可能である。また、分子量の異なった樹脂を混合し
て用いれば、硬度や耐摩耗性を改善できるのでより好ま
しい。
【0066】本発明の電子写真感光体は、その感光層中
に電荷移動剤として一般式〔IV〕及び/又は一般式
〔V〕で表されるアミン化合物を含有するものである。
【0067】
【化36】
【0068】〔式中、Z並びにR21、R22及びR23は、
各々同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水
素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1
〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基、置換アミノ
基、又は無置換のアリール基のいずれかを表す。〕
【0069】
【化37】
【0070】〔式中、Z並びにR21、R22及びR23は、
各々同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水
素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1
〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基、置換アミノ
基、又は無置換のアリール基のいずれかを表す。〕
【0071】ここで、一般式〔IV〕及び〔V〕で表さ
れるアミン化合物の置換基Z並びにR21、R22及びR23
の組み合わせとしては、例えば、表1の(1)〜(16)に示
すようなものがあげられる。
【0072】
【表1】
【0073】この場合、電荷移動層中の一般式〔IV〕
及び/又は一般式〔V〕で表されるアミン化合物の含有
量は、結着樹脂1重量部に対し、0.3〜2.0重量部
とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2
重量部である。
【0074】これらのアミン化合物の含有量が0.3重
量部より少ないと、残留電位が上昇するなど電気特性が
悪化する。他方、2.0重量部より多いと、耐摩耗性等
の機械特性が低下する。
【0075】これらのアミン化合物のうちでも、特に、
式〔IVa〕及び/又は式〔Va〕で表されるアミン化
合物を用いることが光疲労しない点で効果的である。
【0076】
【化38】
【0077】
【化39】
【0078】さらに、本発明の電子写真感光体の感光層
中には、他の電荷移動剤を添加することもできる。その
場合には、感光層の感度を高めたり、残留電位を低下さ
せることができるので、本発明の電子写真感光体の特性
を改良することができる。
【0079】そのような特性改良のために添加できる電
荷移動剤としては、ポリビニルカルバゾール、ハロゲン
化ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビ
ニルインドロキノキサリン、ポリビニルベンゾチオフェ
ン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、
ポリビニルピラゾリン、ポリアセチレン、ポリチオフェ
ン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビ
ニレン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリジ
アセチレン、ポリヘプタジイエン、ポリピリジンジイ
ル、ポリキノリン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフ
ェロセニレン、ポリペリナフチレン、ポリフタロシアニ
ン等の導電性高分子化合物を用いることができる。
【0080】また、低分子化合物として、トリニトロフ
ルオレノン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノ
ジメタン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、ア
ントラキノン及びこれらの誘導体等、アントラセン、ピ
レン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドー
ル、カルバゾール、イミダゾール等の含窒素複素環化合
物、フルオレノン、フルオレン、オキサジアゾール、オ
キサゾール、ピラゾリン、トリフェニルメタン、トリフ
ェニルアミン、エナミン、スチルベン、前記以外のブタ
ジエン、前記以外のヒドラゾン化合物等を電荷移動剤と
して添加することができる。
【0081】また、同様の目的の電荷移動剤として、ポ
リエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリア
クリロニトリル、ポリメタクリル酸等の高分子化合物に
Li(リチウム)イオン等の金属イオンをドープした高
分子固体電解質等を添加することもできる。
【0082】さらに、同様の目的の電荷移動剤として、
テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタンで代
表される電子供与性物質と電子受容性物質で形成された
有機電荷移動錯体等も用いることができる。
【0083】なお、前記電荷移動剤は、1種だけ添加し
ても、2種以上の化合物を混合して添加しても所望の感
光体特性を得ることができる。
【0084】本発明の電子写真感光体は、光導電材料や
結着樹脂の酸化劣化による特性変化、クラックの防止、
機械的強度の向上の目的で、その感光層中に酸化防止剤
や紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
【0085】本発明に用いることができる酸化防止剤と
しては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-
4-メトキシフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェ
ノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-
ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、ブチル化ヒドロ
キシアニソール、プロピオン酸ステアリル-β-(3,5-ジ-
tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、α-トコフェロー
ル、β-トコフェロール、n-オクタデシル-3-(3′-5′-
ジ-tert-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト等のモノフェノール系、2,2′-メチレンビス(6-tert-
ブチル-4-メチルフェノール)、4,4′-ブチリデン-ビス
-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4′-チオビ
ス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、1,1,3-トリス
(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタ
ン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチ
ル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチ
レン-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕メタン等のポリフェノール系等が好まし
く、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層中に
含有することができる。
【0086】また、紫外線吸収剤としては、2-(5-メチル
-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒ
ドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニ
ル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-
2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-tert
-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベ
ンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキ
シフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-
tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2-(2′-ヒドロキシ-5′-tert-オクチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル
酸フェニル、サリチル酸-p-tert-ブチルフェニル、サリ
チル酸-p-オクチルフェニル等のサリチル酸系が好まし
く、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層に含
有することができる。
【0087】また、酸化防止剤と紫外線吸収剤を同時に
添加することもできる。これらの添加は感光層中であれ
ば何れの層でもよいが、最表面の層特に電荷移動層に添
加することが好ましい。
【0088】なお、酸化防止剤の添加量は、結着樹脂に
対して3〜20重量%とすることが好ましく、紫外線吸
収剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜30重量%とす
ることが好ましい。更に、酸化防止剤と紫外線吸収剤と
の両者を添加する場合には、両成分の添加量は、結着樹
脂に対して5〜40重量%とすることが好ましい。
【0089】前記酸化防止剤、紫外線吸収剤以外にも、
ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール化合物等の光
安定剤、ジフェニルアミン化合物等の老化防止剤、界面
活性剤等を感光層に添加することもできる。
【0090】感光層の形成方法としては、所定の感光材
料と結着樹脂と共に溶媒に分散あるいは溶解して塗工液
を作成し、所定の下地上に塗工する方法が一般的であ
る。
【0091】塗工方法としては、浸漬塗工、カーテンフ
ロー、バーコート、ロールコート、リングコート、スピ
ンコート、スプレーコート等、下地の形状や塗工液の状
態に合わせて行うことができる。また、電荷発生層は真
空蒸着法により形成させることもできる。
【0092】塗工液に使用する溶剤には、メタノール、
エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、ブタノ
ール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽
和脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホル
ム、クロロベンゼン等の塩素系炭化水素、ジメチルエー
テル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(TH
F)、メトキシエタノール等のエーテル類、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン類、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、
プロピオン酸メチル等のエステル類、N,N-ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド等がある。これらは
単独で用いても、2種類以上の溶剤を混合して用いても
よい。
【0093】本発明に係る電子写真感光体においては、
導電性支持体と感光層との間に、接着機能、バリヤー機
能、支持体表面の欠陥被覆機能などを持つ中間層を設け
てもよい。この中間層としては、酸化アルミニウム、ポ
リエチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、
酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ナイロン樹脂等を用いることができる。これら
の中間層は、単独の樹脂で構成しても良く、2種類以上
の樹脂を混合して構成しても良い。
【0094】また、樹脂中に金属化合物、金属酸化物、
カーボン、シリカ、樹脂粉体等を分散させた中間層を用
いることもできる。更に、特性改善のために各種顔料、
電子受容性物質や電子供与性物質等を含有させることも
できる。
【0095】加えて、感光層の表面に、ポリビニルホル
マール樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、シリコン樹脂等の有機薄膜や、シランカ
ップリング剤の加水分解物で形成されるシロキサン構造
体から成る薄膜を成膜して表面保護層を設けてもよく、
その場合には、感光体の耐久性が向上するので好まし
い。この表面保護層は、耐久性向上以外の他の機能を向
上させるために設けてもよい。
【0096】
【実施例】以下、本発明に係る電子写真感光体の実施例
を比較例とともに詳細に説明する。 〔実施例1〕直径30mmのアルミニウムからなる円筒
ドラム上に、結着樹脂としてポリビニルブチラールを用
いたジスアゾ顔料の分散液を浸漬塗工により0.1μm
塗布し、電荷発生層を形成した。
【0097】次いで、結着樹脂として式〔Ia〕、式
〔IIa〕及び式〔IIIa〕で表されるポリカーボネ
ート共重合体と、電荷移動剤として式〔IVa〕及び
〔Va〕で表されるアミン化合物と、酸化防止剤として
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールと、紫外線吸収
剤として2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾト
リアゾ−ルを、ポリカーボネート共重合体/式〔IV
a〕,〔Va〕/酸化防止剤/紫外線吸収剤=1.0/
0.8/0.18/0.1の重量比でクロロホルムに溶
解して塗工液を調製した。
【0098】
【化40】
【0099】
【化41】
【0100】
【化42】
【0101】
【化43】
【0102】
【化44】
【0103】ここで、ポリカーボネート共重合体の繰り
返し単位のモル比は式〔Ia〕/式〔IIa〕/式〔I
IIa〕=0.01/0.85/0.14とし、その場
合の還元粘度は1.63dl/gであった。
【0104】そして、浸漬塗工によりこの塗工液を塗布
した後、100℃の温度下で1時間乾燥し、20μmの
膜厚の電荷移動層を形成した。以上のような方法で電子
写真感光体を作製した。
【0105】〔実施例2〕実施例1のポリカーボネート
共重合体に代えて、繰り返し単位のモル比が式〔Ia〕
/式〔IIa〕/式〔IIIa〕=0.001/0.8
5/0.149、還元粘度が0.77dl/gのポリカ
ーボネート共重合体を結着樹脂として用い、実施例1と
同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0106】〔実施例3〕実施例1の式〔IVa〕及び
〔Va〕で表される電荷移動剤に代えて、式〔IVb〕
及び〔Vb〕で表されるアミン化合物を用い、実施例1
と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0107】
【化45】
【0108】
【化46】
【0109】〔実施例4〕直径30mmのアルミニウム
からなる円筒ドラム上に、結着樹脂としてポリビニルブ
チラールを用いたα型チタニウムフタロシアニンの分散
液を浸漬塗工により0.1μm塗布し、電荷発生層を形
成した。
【0110】次いで、結着樹脂として、式〔Ia〕、式
〔IIa〕及び式〔IIIb〕で表されるポリカーボネ
ート共重合体と、電荷移動剤として式〔IVa〕及び
〔Va〕で表されるアミン化合物と、酸化防止剤として
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールと、紫外線吸収
剤として2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾト
リアゾ−ルとを、ポリカーボネート共重合体/式〔IV
a〕,〔Va〕/酸化防止剤/紫外線吸収剤=1.0/
0.8/0.18/0.1の重量比でクロロホルムに溶
解して塗工液を調製した。ここで、ポリカーボネート共
重合体の繰り返し単位のモル比は、式〔Ia〕/式〔I
Ia〕/式〔IIIb〕=0.01/0.85/0.1
4とし、その場合の還元粘度は1.62dlであった。
そして、浸漬塗工によりこの塗工液を塗布した後、10
0℃の温度下で1時間乾燥し、20μmの膜厚の電荷移
動層を形成した。以上のような方法で電子写真感光体を
作製した。
【0111】
【化47】
【0112】
【化48】
【0113】
【化49】
【0114】
【化50】
【0115】
【化51】
【0116】〔実施例5〕実施例4と同様の方法で電荷
発生層を形成し、次いで実施例4のポリカーボネート共
重合体に代えて、繰り返し単位のモル比が式〔Ia〕/
式〔IIa〕/式〔IIIb〕=0.001/0.85
/0.149、還元粘度が1.64dl/gのポリカー
ボネート共重合体を結着樹脂として用い、実施例1と同
様の方法で電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製
した。
【0117】〔比較例1〕実施例1のポリカーボネート
共重合体に代えて、式〔IIa〕を繰り返し単位とする
還元粘度が0.72dl/gのポリカーボネートを結着
樹脂として用いた。この場合、式〔IIa〕/式〔IV
a〕,〔Va〕/酸化防止剤/紫外線吸収剤=1.0/
0.8/0.18/0.1の重量比でクロロホルムに溶
解して塗工液を調製した。そして、実施例1と同様の方
法により電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製し
た。
【0118】
【化52】
【0119】〔比較例2〕比較例1のポリカーボネート
に代えて、式〔IIb〕を繰り返し単位とする還元粘度
が0.75dl/gのポリカーボネートを結着樹脂とし
て用い、比較例1と同様の方法により電荷移動層を形成
して電子写真感光体を作製した。
【0120】
【化53】
【0121】〔比較例3〕比較例1のポリカーボネート
に代えて、式〔IIa〕及び式〔IIIa〕を繰り返し
単位とするポリカーボネート共重合体を結着樹脂として
用いた。ここで、ポリカーボネート共重合体の繰り返し
単位の組成(モル)比は、式〔IIa〕/式〔IIIa〕
=0.8/0.2とし、その場合の還元粘度は0.76
dl/gであった。そして、実施例1と同様の方法によ
り電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製した。
【0122】
【化54】
【0123】
【化55】
【0124】〔比較例4〕比較例1のポリカーボネート
に代えて、式〔IIa〕及び式〔IIIb〕を繰り返し
単位とするポリカーボネート共重合体を結着樹脂として
用いた。ここで、ポリカーボネート共重合体の繰り返し
単位の組成(モル)比は、式〔IIa〕/式〔IIIb〕
=0.9/0.1とし、その場合の還元粘度は0.76
dl/gであった。そして、実施例1と同様の方法によ
り電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製した。
【0125】
【化56】
【0126】
【化57】
【0127】〔比較例5〕実施例1の式〔IVa〕及び
〔Va〕で表される電荷移動剤に代えて、式〔VIa〕
で表されるo-メチル-p-ジベンジルアミノベンズアルデ
ヒド ジフェニルヒドラゾンを用い、実施例1と同様の
方法で電子写真感光体を作製した。
【0128】
【化58】
【0129】〔比較例6〕実施例1の式〔IVa〕及び
〔Va〕で表される電荷移動剤に代えて、式〔VIb〕
で表される1,2,3,4-テトラヒドロキノン-6-カルボキシ
アルデヒド1,1ジフェニルヒドラゾンを用い、実施例1
と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0130】
【化59】
【0131】〔比較例7〕実施例1の式〔IVa〕及び
〔Va〕で表される電荷移動剤に代えて、式〔VIc〕
で表されるp-ジエチルアミノベンゾアルデヒドジフェ
ニルヒドラゾンを用い、実施例1と同様の方法で電子写
真感光体を作製した。
【0132】
【化60】
【0133】〔比較例8〕実施例1の式〔IVa〕及び
〔Va〕で表される電荷移動剤に代えて、式〔VId〕
で表されるN-〔3-3-ビス(4-メトキシフェニル)-2-プロ
ペニリデンアミノ〕-1,2,3,4-テトラヒドロキノリンを
用い、実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製し
た。
【0134】
【化61】
【0135】なお、摩擦係数評価用として、100mm
×100mmのアルミニウムを蒸着したPET(ポリエ
チレンテレフタレート)フィルム上に実施例及び比較例
の感光層を塗布し、シート状電子写真感光体を作製し
た。
【0136】評価方法 〔静電特性の測定〕電子写真感光体評価装置(山梨電子
工業社製)を用い、実施例及び比較例によって作製され
た電子写真感光体の初期の表面電位、感度、残留電位、
暗減衰率等の静電特性を測定したが、いずれも良好な特
性であった。
【0137】〔光疲労試験〕常温常湿(24℃、40%
RH)の環境下にて、電子写真感光体評価装置(山梨電
子工業社製)を用い、実施例及び比較例によって作製さ
れた円筒状電子写真感光体を印加電圧−5KVで帯電さ
せ、波長780nm、露光光量20erg/cm2 の光
を用いて電子写真感光体を露光したときの残留電位VR
(−V)を測定した。
【0138】一方、前記電子写真感光体に照度800l
uxの蛍光灯光を10分間照射し、その後、前記電子写
真感光体評価装置により残留電位VR1(−V)を測定し、
蛍光灯光を照射する前後の残留電位の差(|VR −VR1
|)をΔVR (V)とした。その結果を表1に示す。
【0139】〔摩擦係数の測定〕摩擦係数評価用に作製
されたシート状電子写真感光体を平面上に固定し、摩擦
係数測定装置(HEIDON社製 トライボギア ミュ
ーズ TYPE94B)を用いて静摩擦係数を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0140】〔画像試験〕実施例及び比較例において作
製された円筒状電子写真感光体を、ブラシ帯電方式によ
り電子写真感光体を負に帯電し、LED露光、非磁性一
成分現像方式、ブレードクリーニング方式により画像形
成を行う電子写真装置に装着し、A4用紙を5,000
枚連続印字させ、連続印字後の画像を評価した。その結
果を表1に示す。
【0141】他方、実施例及び比較例において作製され
た円筒状電子写真感光体を、前記光疲労試験を行った後
に前記電子写真装置に装着し、画像印字を行い評価し
た。判定は、「○」が良好、「×」は画像不良等があり
実用上問題があるものとした。
【0142】〔ブレードの捲れ及び異音の発生の評価〕
画像試験における5,000枚連続印字の際にブレード
捲れの有無及びブレードの異音の発生有無を観測した。
その結果を表1に示す。この場合、判定は、ブレードの
捲れ又は異音が発生しなかったものを「○」、発生した
ものを「×」とした。
【0143】〔クラック発生の評価〕前記電子写真感光
体表面に指紋を付着させ24時間常温常湿下に放置し、
指紋の付いた部分についてクラック発生の有無を目視で
観察した。その結果を表1に示す。この場合、判定は、
クラックが発生しないものを「○」、クラックが発生し
たものを「×」とした。
【0144】
【表2】
【0145】表2から明らかなように、実施例1〜5の
電子写真感光体は摩擦係数が小さく、ブレードの捲れや
異音の発生が全くないため、連続印字後の画像において
も欠陥が全く発生しなかった。
【0146】また、指紋によるクラックの発生もなく、
光疲労もほとんどないため、熟練したサービスマンでな
くとも容易にメンテナンスをすることが可能である。
【0147】加えて、実施例2,5から理解されるよう
に、結着樹脂の繰り返し単位の組成比を変更しても良好
な結果が得られた。
【0148】これに対し、比較例1〜4の電子写真感光
体は、本発明に使用されるアミン化合物を用いているた
め光疲労は少ない。しかし、本発明に使用されるポリカ
ーボネート共重合体を用いないことから摩擦係数が大き
く、ブレードの捲れや異音が発生し、それに伴い連続印
字後における画像に、クリーニング不良が原因と思われ
る白地上の黒点、黒地上の白点、スジ状の欠陥が多く見
られた。また、連続印字の最中にブレードの捲れや異音
が発生したため、何度も電子写真装置を停止しなければ
ならなかった。
【0149】また、比較例1〜4においては、指紋の付
着に起因する多くのクラックが発生した。このようなク
ラックの発生した電子写真感光体を評価用の電子写真装
置に装着して印字させたところ、クラックが画像上に表
れてしまい、実用不可能なものであった。
【0150】一方、比較例5〜8においては、本発明に
使用されるポリカーボネート共重合体を用いているの
で、ブレードの捲れや異音、クラックの発生はなかった
が、本発明に使用されるアミン化合物を用いないため、
光疲労試験により電荷移動剤の劣化が生じ、光疲労後の
白地画像に黒点が生じ、実用不可能なものであった。
【0151】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の電子写真感
光体は、表面電位や感度等の静電特性に影響されること
なく、摩擦係数が非常に小さく、ブレードの捲れや異音
が全く発生せず、しかも指紋の付着に対しても強い耐久
性を示し、更に光疲労にも強いものである。よって、本
発明によれば、優れた電子写真特性、クリーニング性、
耐油性を有し、かつ、メンテナンスの簡略化が図れる電
子写真感光体を提供することができるものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に少なくとも電荷発生剤と
    電荷移動剤と結着樹脂を有する感光層を形成した電子写
    真感光体において、該感光層中に結着樹脂として一般式
    〔I〕で表される繰り返し単位を含むポリカーボネート
    共重合体と、電荷移動剤として一般式〔IV〕及び/又
    は一般式〔V〕で表されるアミン化合物とを含有するこ
    とを特徴とする電子写真感光体。 【化1】 〔式中、R1〜R12は、各々独立に炭素数1〜6のアルキ
    ル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基のいずれか
    を表し、a〜cは各々独立に2〜6の整数を表し、dは
    0〜200の整数を表す。〕 【化2】 〔式中、Z並びにR21、R22及びR23は、各々同一であ
    っても異なっていてもよく、各々独立に水素原子、ハロ
    ゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキ
    ル基若しくはアルコキシ基、置換アミノ基、又は無置換
    のアリール基のいずれかを表す。〕 【化3】 〔式中、Z並びにR21、R22及びR23は、各々同一であ
    っても異なっていてもよく、各々独立に水素原子、ハロ
    ゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキ
    ル基若しくはアルコキシ基、置換アミノ基、又は無置換
    のアリール基のいずれかを表す。〕
  2. 【請求項2】感光層中に結着樹脂として一般式〔I〕、
    一般式〔II〕及び一般式〔III〕で表される繰り返
    し単位からなるポリカーボネート共重合体を含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。 【化4】 〔式中、R1〜R12は、各々独立に炭素数1〜6のアルキ
    ル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基のいずれか
    を表し、a〜cは各々独立に2〜6の整数を表し、dは
    0〜200の整数を表す。〕 【化5】 〔式中、Xは、−O−、−CO−、−S−、−SO−、
    −SO2−、−CR1516−(但し、R15及びR16は、
    各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1
    〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基若
    しくは置換アリール基のいずれかを表す。)、炭素数5
    〜8の1,1−シクロアルキリデン基、又は炭素数2〜
    12のα,ω-アルキレン基のいずれかを表す。また、R
    13及びR14は、各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜6
    のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基若しく
    は置換アリール基のいずれかを表し、e及びfは、各々
    独立に0〜4の整数を表す。〕 【化6】 〔式中、Yは、単結合、−O−、−CO−、−S−、−
    SO−、−SO2−、−CR1920−(但し、R19及び
    20は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、
    炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリ
    ール基若しくは置換アリール基のいずれかを表す。)、
    炭素数5〜8の1,1−シクロアルキリデン基、又は炭
    素数2〜12のα,ω-アルキレン基のいずれかを表す。
    また、R17及びR18は、各々独立にハロゲン原子、炭素
    数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール
    基若しくは置換アリール基のいずれかを表す。ここで、
    Yが−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO
    2−、−CR1920−、炭素数5〜8の1,1−シクロア
    ルキリデン基、又は炭素数2〜12のα,ω-アルキレン
    基のいずれかの場合、g及びhは、各々独立に1〜4の
    整数を表す。Yが単結合の場合、g及びhは、各々独立
    に0〜4の整数を表す。〕
  3. 【請求項3】感光層中に結着樹脂として式〔Ia〕、式
    〔IIa〕及び式〔IIIa〕で表される繰り返し単位
    からなるポリカーボネート共重合体を含有することを特
    徴とする請求項2記載の電子写真感光体。 【化7】 【化8】 【化9】
  4. 【請求項4】感光層中に結着樹脂として式〔Ia〕、式
    〔IIa〕及び式〔IIIb〕で表される繰り返し単位
    からなるポリカーボネート共重合体を含有することを特
    徴とする請求項2記載の電子写真感光体。 【化10】 【化11】 【化12】
  5. 【請求項5】電荷移動剤が式〔IVa〕及び/又は式
    〔Va〕で表されるアミン化合物であることを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれか1項記載の電子写真感光
    体。 【化13】 【化14】
JP27341397A 1997-09-19 1997-09-19 電子写真感光体 Pending JPH1195459A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27341397A JPH1195459A (ja) 1997-09-19 1997-09-19 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27341397A JPH1195459A (ja) 1997-09-19 1997-09-19 電子写真感光体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1195459A true JPH1195459A (ja) 1999-04-09

Family

ID=17527552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27341397A Pending JPH1195459A (ja) 1997-09-19 1997-09-19 電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1195459A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004126592A (ja) * 2002-10-02 2004-04-22 Samsung Electronics Co Ltd 正帯電型有機感光体及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004126592A (ja) * 2002-10-02 2004-04-22 Samsung Electronics Co Ltd 正帯電型有機感光体及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4785745B2 (ja) 電子写真感光体
JP3273543B2 (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置
JP3986160B2 (ja) 電子写真感光体
JPH11282179A (ja) 電子写真感光体
JP4447187B2 (ja) 電子写真感光体
JPS61129648A (ja) 積層型電子写真感光体
JPH11153875A (ja) 電子写真感光体
JPH11153874A (ja) 電子写真感光体
JP3621779B2 (ja) 電子写真感光体
JP3674961B2 (ja) 電子写真感光体
JPH1195459A (ja) 電子写真感光体
JP3658469B2 (ja) 電子写真感光体
JP2008256851A (ja) 電子写真感光体及び電子写真装置
JP4166380B2 (ja) 電子写真感光体
JPH1020527A (ja) 電子写真感光体
JP3201134B2 (ja) 電子写真感光体
JP2841490B2 (ja) 積層型感光体
JP2002169309A (ja) 電子写真感光体
JP2002229236A (ja) 電子写真感光体
JPH0480382B2 (ja)
JP2004021265A (ja) 電子写真感光体,電子写真画像形成装置,電子写真カートリッジ,及び電子写真ドラム
JP3682119B2 (ja) 電子写真感光体
JP2004279938A (ja) 電子写真感光体
JP2005227491A (ja) 電子写真感光体
JP3849704B2 (ja) 電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040311

A977 Report on retrieval

Effective date: 20040929

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041019

A02 Decision of refusal

Effective date: 20050301

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02