JPH1192627A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物

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JPH1192627A
JPH1192627A JP27341097A JP27341097A JPH1192627A JP H1192627 A JPH1192627 A JP H1192627A JP 27341097 A JP27341097 A JP 27341097A JP 27341097 A JP27341097 A JP 27341097A JP H1192627 A JPH1192627 A JP H1192627A
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聡和 濱尾
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嘉房 坪根
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱の移動量が大きく、かつ熱応力によるクラ
ックの発生のないエポキシ樹脂組成物を得る。 【解決手段】本発明のエポキシ樹脂組成物は、第1粒子
系が10μmから150μm、第2粒子系が1μmから
10μm未満、第3粒子系が0.1μmから1μm未満
の粒度分布をもつ3種類の平均粒径を有するハイブリッ
ドフィラー粒子系で構成している。第1粒子系は、熱膨
張率の小さなフィラーであり、第2の粒子系は、熱膨張
率の小さなフィラーまたは熱伝導率の大きなフィラーま
たはそれらの混合物のいずれかであり、第3粒子系は熱
伝導率の大きなフィラーとしている。したがって、熱膨
張率が小さく平均粒径が大きい粒子の隙間に当たる部分
に、熱伝導率の大きな微粒子を充填することにより、樹
脂組成物の熱伝導率が大きくなり、熱応力も低減される
ので、クラックが発生しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐クラック性に優れ
た高耐熱エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エポキシ樹脂に熱膨張率がエポキ
シ樹脂よりも小さい金属などの材料をインサートした場
合に、エポキシ樹脂にクラックが発生していた。このク
ラックを防止する手段として、熱膨張率の小さな充填
材、例えば溶融シリカを充填して、金属などとの熱膨張
率の差を小さくすることにより熱応力の発生を抑えたエ
ポキシ樹脂組成物を用いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のエポ
キシ樹脂組成物では、樹脂組成物が局所的に加熱された
場合、樹脂の熱伝導率が小さいため熱の移動量が小さ
く、樹脂組成物に大きな温度勾配が生じる。この温度勾
配による熱応力でクラックが発生するという問題があっ
た。そこで、本発明は熱の移動量が大きく、かつ熱膨張
率の小さい金属などを埋め込んでも熱応力によるクラッ
クが発生しない高信頼性のエポキシ樹脂組成物を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明は異なる平均粒径を複数持つ粒子系よりなる
ハイブリッドフィラーを含有したエポキシ樹脂組成物に
おいて、前記ハイブリッドフィラーは熱膨張率の小さい
フィラーと、熱伝導率の大きなフィラーとからなる構成
にしている。また、前記ハイブリッドフィラーは3種類
の平均粒径を有する粒子系からなり、第1粒子系が10
μmから150μm、第2粒子系が1μmから10μm
未満、第3粒子系が0.1μmから1μm未満の粒度分
布をそれぞれ有してい。また、前記第1粒子系は、熱膨
張率の小さな溶融シリカであり、前記第2の粒子系は、
熱膨張率の小さな溶融シリカ、または熱伝導率の大きな
フィラー、またはそれらの混合物であり、前記第3粒子
系は熱伝導率の大きなフィラーとしている。また、前記
3つの粒子系は、その平均粒径の比が、100:5〜5
0:1〜5であり、体積混合比が100:3〜40:1
〜52とするとなおよい。3つの粒子系の粒径ならびに
混合比について以下に述べる。均一粒径の大球が最も密
に充填された場合、大球は四面体配列(12配位)をと
り、空隙率は26%である。この大球4個の隙間に大球
と接するように中球を充填する場合、中球の径は大球の
0.26倍であり、中球の数は大球の数の2倍、すなわ
ち体積比は大球の3.3%であり、このとき混合物の空
隙率は24%である。大球は四面体配列よりは必ず疎に
配列されるため、中球は大球の3.3%以上充填するこ
とが望ましい。次に、均一粒径の大球が最も疎に充填さ
れた場合、大球は立方体配列(6配位)をとり、空隙率
は48%である。この大球4個の隙間に、大球と接する
ように中球を充填する場合、中球の径は大球の0.73
倍であり、中球の数は大球と同数、体積比は大球の40
%である。このとき混合物の空隙率は27%である。中
球を40%以上混合した場合、大球同士の間隔を広げ、
接触点が減少するため中球の混合比は大球の40%以下
とすることが望ましい。よって中球は大球の0.73倍
以下であり、混合比は体積比で大球の3.3%以上40
%以下とすることが望ましい。小球は大球や中球の隙間
に充填されるため、粒径は中球よりも小さく、大球との
体積混合比はつぎのように、大球に中球を充填した場合
の空隙率の最大値(立方体配列の場合の27%)を超え
ない値(52%以下)とする。すなわち、小球の混合比
は大球の立方体配列に中球を混合したときの空隙率を立
方体配列の大球の充填率で除した値に100を乗じた値
となる。上記手段により、熱膨張率が小さく平均粒径が
大きい粒子の隙間に当たるマトリックス樹脂のみであっ
た部分に、熱伝導率の大きな微粒子を充填することで、
樹脂組成物の熱伝導率が大きくなり、温度勾配が低減さ
れるので、発生する熱応力も低減される。さらに、粒度
分布を調整することで、フィラー同士の接触部分が増加
すると、熱はフィラー中やフィラー接触部を通っての移
動となるため、樹脂組成物の熱伝導率は大きくなり、温
度勾配が低減されるので、発生する熱応力も低減され
る。
【0005】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例を説明する マトリックスとなる樹脂に種々のフィラーを配合したエ
ポキシ樹脂組成物からなる試料を作製し、熱衝撃試験を
行って耐クラック性を調べ評価を行った。マトリックス
樹脂は、脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2021
A)70部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
(エピコート154)30部を90℃で混合後、無水メ
チルナジック酸121部(エポキシに対して0.9当
量)と、ベンジルジメチルアミン1部を常温にて混合し
た樹脂とした。フィラーは、平均粒径が大、中、小の3
種類のグループとした。平均粒径が大きい第1粒子系
は、粒度分布が10μmから150μmまでのもので、
熱膨張率の小さい球状溶融シリカおよび破砕型溶融シリ
カを用いた。平均粒径が中程度の第2粒子系は、粒度分
布が1μmから10μm未満のもので熱膨張率の小さい
球状溶融シリカおよび熱伝導率の大きい球状結晶性シリ
カを用いた。平均粒径が小さい第3粒子系は、粒度分布
が0.1μmから1μm未満のもので熱伝導率の大きい
球状結晶性シリカを用いた。エポキシ樹脂組成物は、常
温の種々のフィラーを種々の割合で配合しニーダによる
混合処理を行い、25℃の粘度が225Poise となるよ
うにした。なお、粘度測定は東京計器製、E型粘度計を
用い、ローターの回転開始30sec後の値を測定し
た。試料は、図1に示すように上記のエポキシ樹脂組成
物を封止した硬化物とした。すなわち、鉄製のM12の
スプリングワシャ1を設置した直径30mm、厚さ6.
3mmの円筒鋳型内に上述のエポキシ樹脂組成物2を流
し込み、100℃,2hrの加熱と170℃,5hrの
加熱および210℃,5hrの加熱の条件にて硬化させ
たものである。耐クラック性の評価は、図1の試料を用
いて図2に示す条件で定義した耐クラック性指数測定法
にて熱衝撃試験を行った。すなわち、指数1の条件より
熱衝撃を加え、クラックが発生した場合の指数を各試料
の耐クラック性指数とし、クラックが発生しなかった試
料は次の指数の条件にて熱衝撃を加えた。各試料にクラ
ックが発生したときの指数の総和を、試料数で除したも
の( 平均値) を、その実施例または比較例の耐クラック
性指数とした。なお、硬化時にクラックの発生した試料
は指数0とし、全サイクルを通過した試料は指数16と
した。耐クラック性の主な評価結果を表1に示す。本発
明のエポキシ樹脂組成物2は耐クラック性指数が10以
上の優れた耐クラック性を有しているのに対し、最も小
さい第3粒子系を含まないものや、最も大きい第1粒子
系のみ含有した比較例では耐クラック性指数が10以下
の小さな値を取っており、本発明の顕著な効果を確認す
ることができた。また、最も小さな第3粒子系を本発明
の体積混合比よりも過剰に混合した場合も検討した結
果、耐クラック性指数が全て0となった。これは最も小
さな粒子系として使用した結晶性シリカは溶融シリカよ
り熱膨張率が1桁大きいため、溶融シリカによる樹脂組
成物の熱膨張率の低下を阻害したと考えられる。さら
に、第1粒子系として平均粒径150μm以上の溶融シ
リカを混合した場合と、第3粒子系として平均粒径0.
1μm以下の結晶性シリカを混合した場合も耐クラック
性指数はほぼ0であった。150μm以上の粒子を混合
した場合、粒子と樹脂の熱膨張率の差による粒子界面の
熱応力でクラックが生じ、0.1μm以下の粒子を混合
した場合、粘度上昇が高く充填量が低下し、組成物の熱
伝導率が低下したためと考えられ。なお、本実施例では
熱伝導率の大きなフィラーとして球状結晶性シリカを用
いたが、この他にアルミナ、窒化ホウ素、ホウ酸アルミ
ニウム、グラファイト、炭化ジルコニウム、各種金属等
を用いても良い。また、熱膨張率の小さいフィラーも溶
融シリカ限定されるものではない。
【0006】
【表1】
【0007】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、エポ
キシ樹脂組成物を3種類の平均粒径を有する粒子系で構
成し、平均粒径が大きい粒子系に熱膨張率が小さいフィ
ラーを、平均粒径が小さい粒子系に熱伝導率の大きいフ
ィラーを配合したので、それぞれの機能が効果的に発現
され熱膨張率が小さく、熱伝導率の大きな樹脂組成物が
得られ、熱応力によるクラックの発生を防止できるとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱衝撃試験に供した試験片の断面図
である。
【図2】 熱衝撃試験の試験条件と、耐クラック性を示
す指数の定義図である。
【符号の説明】
1 スプリングワシャ 2 エポキシ樹脂組成物

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる平均粒径を複数持つ粒子系よりなる
    ハイブリッドフィラーを含有したエポキシ樹脂組成物に
    おいて、 前記ハイブリッドフィラーは、第1粒子系が10μmか
    ら150μm、第2粒子系が1μmから10μm未満、
    第3粒子系が0.1μmから1μm未満の粒度分布をも
    つ3種類の平均粒径を有する粒子系からなることを特徴
    とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記第1粒子系は、熱膨張率の小さなフィ
    ラーであり、前記第2の粒子系は、熱膨張率の小さなフ
    ィラーまたは熱伝導率の大きなフィラーまたはそれらの
    混合物のいずれかであり、前記第3粒子系は熱伝導率の
    大きなフィラーである請求項2記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】前記3つの粒子系は、その平均粒径の比
    が、100:5〜50:1〜5であり、体積混合比が1
    00:3〜40:1〜52である請求項1または2に記
    載のエポキシ樹脂組成物。
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