JPH1192391A - 月経困難症の予防又は治療に有効な医薬組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 生薬であるヤクモソウ（益母草）から水
により浸出、濃縮、乾燥して得たエキス。 【効果】 器質的疾患を伴わない原発性月経困難症の予
防、または治療にきわめて有効である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、月経困難症の予防
又は治療に有効な医薬組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】月経困難症は、月経開始前から月経時に
およぶ、主として、下腹痛を主訴として現れる症候群で
あり、大部分の女性が経験している。月経困難症には、
若い女性によく見られる、器質的疾患を伴わない原発性
月経困難症と、骨盤膣内の器質的病変や子宮筋腫などに
伴う続発性月経困難症がある。原発性月経困難症の成因
については、内分泌失調説、子宮発育不全説、神経要因
説、など多くの説があるが、いまだ見解の一致は得られ
ていない。

【０００３】原発性月経困難症の場合は、成因が不明で
あることから、根治は難しい。鎮痛剤や漢方製剤等の服
用、或いはホルモン療法などの対症療法が行われている
が、適用方法を誤ると副作用を伴う危険性がある。ま
た、精神身体の安静、食事療法（ビタミン、カルシウム
を多く摂取する）も行われているが、積極的な治療法で
はない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
技術の現状に鑑みてなされたものであって、月経困難症
の予防または治療に、安全で且つ優れた効果を有し、人
によっては、根治を可能とする新規な医薬組成物を提供
することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するために手段】上記目的を達成するため
に、漢方生薬について種々検討した結果、生薬のヤクモ
ソウ（益母草）の浸出エキスが、月経困難症の予防、ま
たは治療にきわめて効果があることを見出し、本発明を
完成した。すなわち、本発明は、特許請求の範囲の各請
求項に記載の発明からなる。

【０００６】

【発明の実施の形態】シソ科のメハジキは、中国、韓
国、日本の各地の原野に自生する二年草で、生薬益母草
は、開花周期のメハジキの地上部の茎葉を根ぎわから刈
り取り、日干しにしたものである。漢方で益母草は、止
血薬、或いは補精薬としての薬効があるとされており、
婦人産後の止血、月経不順などに対して、1 回用量 4
〜 6 g を、水 400 ccで煎じて服用されている（「薬草
事典」月刊さつき研究社、p404 〜405、昭和 61 年第 7
版）。

【０００７】しかしながら、益母草が、月経困難症の治
療に用いられた例は、これまでになく、また、益母草
が、月経困難症に有効であるとの文献も存在しない。一
般に、生薬は、複数の有効成分が薬効を発現している事
が多い。益母草の煎液が、月経困難症の治療に効果を示
さず、そのエキスが効果を示すのは、抽出水量、抽出温
度、或いは時間、などによる含有成分の変質、或いは違
いによるものかもしれないが、現在のところ、不明であ
る。

【０００８】エキス剤は、通例、生薬の抽出液を濃縮し
たもので、軟エキス剤と乾燥エキス剤の 2 種類があ
る。益母草エキス剤の製法は、日本薬局方製剤総則に収
載のエキス剤に準拠する。以下にその製造工程を記載す
る。 （１）原料生薬 益母草は、有効成分の抽出を容易にするために、粗切
（約1cmきざみ）したものを用いる。 （２）浸出 浸出剤として、水または水分含量の多い水性エタノール
を用い、一定時間（3〜 5 日）の冷浸（15 〜 25
℃）、数時間の温浸（35 〜 50 ℃）、またはパーコレ
ーション法により有効成分を浸出する。 （３）固液分離 浸漬法、或いはパーコレーション法により得られた浸出
液は、濾過、或いは遠心分離して、浸出液と残渣に分離
する。 （４）濃縮 本行程で水分含量の異なる 2 種類の濃縮液が調整され
る。濃縮程度の低い液は、次行程で乾燥され乾燥エキス
剤に、濃縮程度の高い水アメ状の液は、軟エキスに加工
される。濃縮は、95 ℃以下のなるべく減圧下で行う。 （５）乾燥 前工程で、ある一定の濃度に調整された濃縮液は、噴霧
乾燥機、或いは凍結真空乾燥機などで、乾燥エキスとさ
れる。凍結乾燥エキスは、粉砕・篩過行程で粉末エキス
とされる。

【０００９】以上の行程で得られた益母草エキスは、吸
湿性があり、苦みが強いので、1 個の服用単位としたカ
プセル剤にするのが好ましい。本発明の益母草エキス
は、乾燥エキスとして 、0.4 g を 1 日 3 回服用す
る。

【００１０】

【実施例】以下に本発明の実施例を記載するが、本発明
は、これらの実施例に限定されない。

【００１１】実施例１ 乾燥エキスの製造 中国石家荘（北京より南西 200 km）産の益母草粗切
（約1 cm きざみ）40 kgを攪拌装置付きの抽出槽に入
れ、酢酸でpH 5.0 に調整した水を、益母草が浸る程度
に加え 、50 ℃に昇温し２時間浸漬した。次に 50 ℃の
温水（pH 5.0）をシャワー状に上から注ぎながら、抽出
槽下部の排出口から、抽出液を回収した。抽出液の全量
は、900 kg であった。抽出液を濾過し、濾液を濃縮機
で全量 10 kgになるまで濃縮した。濃縮温度は 95 ℃に
設定した。次に、殺菌の目的で、濃縮液を 15 分間沸騰
させたのち、70 ℃で濃縮し、真空乾燥機で乾燥し、乾
燥粉末3.5 kg を得た。

【００１２】実施例２ カプセル製剤 実施例１で得られた乾燥エキス 3.5 kg に、1 kg ので
ん粉を加え、均一に混合したのち、一カプセルに 0.5 g
づつ充填し、9,000 個のカプセル剤を得た。

【００１３】実施例３ 臨床試験 上海中医大学の付属病院で、原発性月経困難症の女性 1
0 名を治験対象者とし、実施例２で得られた益母草カプ
セルの有効性に関する臨床試験を行った。 １．臨床資料 治験対象の女性 10 名は、年令 14 才〜 34 才、平均年
令 19.1 才、病歴 1〜 14 年、平均 4.2 年である。 ２．治療方法 治験対象の女性10名には、実施例２で得られた益母草カ
プセルを毎日 2 粒ずつ 3 回服用させた。治療期間は２
ヶ月であった。 ３．観察項目 観察項目は、以下の通りであれる。症状と体調、生理痛
の程度、緩和されるまでの時間等 ４．判断基準 治療効果の判断基準は、以下に記載の中華人民共和国衛
生部制定の漢方薬新薬臨床研究指導原則に従った。 （１）完治：薬品服用後の臨床積分が 0 点であり、服
用停止後 3 ヶ月間再発しない。 （２）顕著な効果：治療後の積分が治療前の 1/2 以下
になる。 （３）有効：治療後の積分が治療前の 1/2 〜 3/4 にな
る。 （４）無効：腹痛及びその他の症状に変わりがない。 ５．治療効果 治療効果を表１及び表２に示す。表１では、重度３名の
内２名が中度に、中度４名の内２名が軽度に移行し、軽
度３名の内１名が治癒している。表２は、表１の具体的
な臨床症状の改善状況を示したものである。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【表２】

【００１６】

【発明の効果】本発明の益母草エキスは、原発性月経困
難症の予防、または治療に有効である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】益母草エキスを有効成分とする月経困難症
   の予防又は治療に有効な医薬組成物。
2. 【請求項２】益母草エキスが粉末状の乾燥エキスである
   請求項１に記載の医薬組成物。