JPH1192352A - 歯垢形成酵素阻害剤及びこれを含有する飲食物又は口腔衛生剤 - Google Patents
歯垢形成酵素阻害剤及びこれを含有する飲食物又は口腔衛生剤Info
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- JPH1192352A JPH1192352A JP9251847A JP25184797A JPH1192352A JP H1192352 A JPH1192352 A JP H1192352A JP 9251847 A JP9251847 A JP 9251847A JP 25184797 A JP25184797 A JP 25184797A JP H1192352 A JPH1192352 A JP H1192352A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 う蝕症(虫歯)の原因である歯垢を形成する
酵素に対して選択的に強力な阻害活性を有し且つ安全性
の高い歯垢形成酵素阻害剤、および香味、香気に悪影響
を与えることがない低濃度でこれを含有する飲食物又は
口腔衛生剤を提供する。 【解決手段】 カバノキ科カバノキ属に属する特定種類
の樹木の葉、樹皮及び/又は心材を、水又は極性の有機
溶剤を使用して得られる抽出物からなる歯垢形成酵素阻
害剤であり、また当該阻害剤を0.0001〜0.01重
量%含有する飲食物又は口腔衛生剤である。
酵素に対して選択的に強力な阻害活性を有し且つ安全性
の高い歯垢形成酵素阻害剤、および香味、香気に悪影響
を与えることがない低濃度でこれを含有する飲食物又は
口腔衛生剤を提供する。 【解決手段】 カバノキ科カバノキ属に属する特定種類
の樹木の葉、樹皮及び/又は心材を、水又は極性の有機
溶剤を使用して得られる抽出物からなる歯垢形成酵素阻
害剤であり、また当該阻害剤を0.0001〜0.01重
量%含有する飲食物又は口腔衛生剤である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、う蝕症(虫歯)の
原因である歯垢を形成する酵素、特にグルコシルトラン
スフェラーゼに対して強力な阻害活性を有するカバノキ
科カバノキ属樹木抽出物からなる歯垢形成酵素阻害剤及
び当該阻害剤を含有する飲食物又は口腔衛生剤(以下、
両者を併せて「飲食物等」と略することがある)に関す
る。
原因である歯垢を形成する酵素、特にグルコシルトラン
スフェラーゼに対して強力な阻害活性を有するカバノキ
科カバノキ属樹木抽出物からなる歯垢形成酵素阻害剤及
び当該阻害剤を含有する飲食物又は口腔衛生剤(以下、
両者を併せて「飲食物等」と略することがある)に関す
る。
【0002】
【従来の技術】う蝕(齲蝕)症の主な病原菌はストレプ
トコッカスミュータンス(Streptococcus mutans;以
下、「虫歯菌」と略することがある)であり、一般に次
のようなメカニズムでう蝕が発症する。即ち、虫歯菌が
歯面に付着してグルコシルトランスフェラーゼ(以下、
「GTase」と略することがある)を産生し、当該酵素が
スクロース(ショ糖)に作用して非水溶性グルカンを合
成する。そして、係るグルカンにより虫歯菌は強力に歯
面に付着して歯垢を形成する。この歯垢中で虫歯菌が乳
酸等の有機酸を産生し、その結果、歯表面のpHが低下
し、エナメル質が脱灰してう蝕が発生し進行するのであ
る。
トコッカスミュータンス(Streptococcus mutans;以
下、「虫歯菌」と略することがある)であり、一般に次
のようなメカニズムでう蝕が発症する。即ち、虫歯菌が
歯面に付着してグルコシルトランスフェラーゼ(以下、
「GTase」と略することがある)を産生し、当該酵素が
スクロース(ショ糖)に作用して非水溶性グルカンを合
成する。そして、係るグルカンにより虫歯菌は強力に歯
面に付着して歯垢を形成する。この歯垢中で虫歯菌が乳
酸等の有機酸を産生し、その結果、歯表面のpHが低下
し、エナメル質が脱灰してう蝕が発生し進行するのであ
る。
【0003】こうしたう蝕症の一つの予防方法として、
スクロースに代替する甘味料の開発が盛んに行われてい
る。しかし、飲食物等は嗜好品であり食後の後味等の点
からスクロースの全てを代替甘味料に置き換えることは
困難である。
スクロースに代替する甘味料の開発が盛んに行われてい
る。しかし、飲食物等は嗜好品であり食後の後味等の点
からスクロースの全てを代替甘味料に置き換えることは
困難である。
【0004】また、他の予防方法としては、虫歯菌自体
に着目し、虫歯菌に対する殺菌作用を有する殺菌剤や抗
生物質の開発、或いは虫歯菌由来のGTaseのみに対する
阻害作用を有する物質の開発が行われている。前者の虫
歯菌殺菌剤に関してはカバノキ科樹木の萌芽由来の抽出
物(特許第2571201号公報)、或いはバーチ抽出
物(特開平5−201843号公報)が提案されてい
る。しかし、これらの殺菌剤は虫歯菌に対する十分な殺
菌作用を目的とし高濃度で飲食物等に添加するために素
材独特の味や匂いが飲食物等本来の香味や香気に悪影響
を及ぼして食感を損なう恐れがあり、また虫歯菌以外の
人体に有益な口腔細菌をも殺菌してしまう問題点もあ
る。なお、虫歯菌由来のGTaseに対する阻害作用を有す
る物質としてはイネ科植物由来の抽出物が提案されてい
る(特開平9−2968号公報参照)が、飲食物等に添
加した場合に香味に悪影響を与える恐れがある。
に着目し、虫歯菌に対する殺菌作用を有する殺菌剤や抗
生物質の開発、或いは虫歯菌由来のGTaseのみに対する
阻害作用を有する物質の開発が行われている。前者の虫
歯菌殺菌剤に関してはカバノキ科樹木の萌芽由来の抽出
物(特許第2571201号公報)、或いはバーチ抽出
物(特開平5−201843号公報)が提案されてい
る。しかし、これらの殺菌剤は虫歯菌に対する十分な殺
菌作用を目的とし高濃度で飲食物等に添加するために素
材独特の味や匂いが飲食物等本来の香味や香気に悪影響
を及ぼして食感を損なう恐れがあり、また虫歯菌以外の
人体に有益な口腔細菌をも殺菌してしまう問題点もあ
る。なお、虫歯菌由来のGTaseに対する阻害作用を有す
る物質としてはイネ科植物由来の抽出物が提案されてい
る(特開平9−2968号公報参照)が、飲食物等に添
加した場合に香味に悪影響を与える恐れがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題点を解決するために為されたものであり、その目
的の一つは、安全性に優れた素材であって、虫歯菌由来
のGTaseの活性を選択的に阻害する素材(歯垢形成酵素
阻害剤)を提供することである。また、他の目的は、か
かる素材が含有された飲食物等であって、飲食物等自体
の香味、香気に悪影響を与えることがない低濃度で且つ
GTaseに対する十分な阻害活性を有する濃度で添加され
た飲食物等を提供することである。
の問題点を解決するために為されたものであり、その目
的の一つは、安全性に優れた素材であって、虫歯菌由来
のGTaseの活性を選択的に阻害する素材(歯垢形成酵素
阻害剤)を提供することである。また、他の目的は、か
かる素材が含有された飲食物等であって、飲食物等自体
の香味、香気に悪影響を与えることがない低濃度で且つ
GTaseに対する十分な阻害活性を有する濃度で添加され
た飲食物等を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明者らは、虫歯菌由来のGTase阻害活性を指標とし
て低濃度で歯垢形成酵素阻害作用に優れた素材を見出し
て本発明を完成した。即ち、本発明の一は、カバノキ科
カバノキ属に属する特定種類の樹木の葉、樹皮及び/又
は心材を、水又は極性の有機溶剤を使用して得られる抽
出物からなることを特徴とする歯垢形成酵素阻害剤であ
る。さらに、極性有機溶剤が、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、ジエチルエーテ
ル、酢酸エチル及びアセトンからなる群より選ばれる少
なくとも1種の有機溶剤又は該溶剤と水との混合物であ
ることを特徴とする。また、本発明の二は、上記の歯垢
形成酵素阻害剤を0.0001〜0.01重量%含有する
ことを特徴とする飲食物又は口腔衛生剤である。
本発明者らは、虫歯菌由来のGTase阻害活性を指標とし
て低濃度で歯垢形成酵素阻害作用に優れた素材を見出し
て本発明を完成した。即ち、本発明の一は、カバノキ科
カバノキ属に属する特定種類の樹木の葉、樹皮及び/又
は心材を、水又は極性の有機溶剤を使用して得られる抽
出物からなることを特徴とする歯垢形成酵素阻害剤であ
る。さらに、極性有機溶剤が、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、ジエチルエーテ
ル、酢酸エチル及びアセトンからなる群より選ばれる少
なくとも1種の有機溶剤又は該溶剤と水との混合物であ
ることを特徴とする。また、本発明の二は、上記の歯垢
形成酵素阻害剤を0.0001〜0.01重量%含有する
ことを特徴とする飲食物又は口腔衛生剤である。
【0007】
(1) 原材料 本発明において使用する原材料はカバノキ科カバノキ属
の樹木であって下記に列挙した群から選ばれる樹木(以
下、カバノキ樹木と略することがある)である。これら
は、単独で又は併用することができる。なお、括弧内は
いずれも学名である。
の樹木であって下記に列挙した群から選ばれる樹木(以
下、カバノキ樹木と略することがある)である。これら
は、単独で又は併用することができる。なお、括弧内は
いずれも学名である。
【0008】シラカンバ(Betula platyphylla Sukatch
ev var. japonica(Miq.)Hara) アメリカシラカンバ(Betula papyrifera Marsh) ウダイカンバ(Betula maximowicziana Regel) オノオレカンバ(Betula scmidtii) シセンシラカンバ(Betula szechuanica Schneid) シダレカンバ(Betula pendula Roth) ダケカンバ(Betula ermanii Cham.var. ermanii) ポプリフォリアカンバ(Betula populifolia) ヤエガワカンバ(Betula davurica Pallas) ヤチカンバ(Betula tatewakiana) ヨーロッパカンバ(Betula pendula) ヨーロッパケカンバ(Betula pubescens)
ev var. japonica(Miq.)Hara) アメリカシラカンバ(Betula papyrifera Marsh) ウダイカンバ(Betula maximowicziana Regel) オノオレカンバ(Betula scmidtii) シセンシラカンバ(Betula szechuanica Schneid) シダレカンバ(Betula pendula Roth) ダケカンバ(Betula ermanii Cham.var. ermanii) ポプリフォリアカンバ(Betula populifolia) ヤエガワカンバ(Betula davurica Pallas) ヤチカンバ(Betula tatewakiana) ヨーロッパカンバ(Betula pendula) ヨーロッパケカンバ(Betula pubescens)
【0009】上記に列挙したカバノキ樹木の中でも、シ
ラカンバ(通称シラカバ(白樺)ともいう)は、日本の
本州中部から北はシベリア東部、西は中国の山西省まで
の温帯地域に広く分布しているため入手がし易いこと、
また、古来よりその樹液は飲料や化粧品の原材料として
使用され人体への安全性が確認されていることから特に
好ましい原材料である。本発明においては、カバノキ樹
木の葉、樹皮、心材の部分を各々使用し又はこれらを併
用して原材料とし、以下の抽出処理に付される。
ラカンバ(通称シラカバ(白樺)ともいう)は、日本の
本州中部から北はシベリア東部、西は中国の山西省まで
の温帯地域に広く分布しているため入手がし易いこと、
また、古来よりその樹液は飲料や化粧品の原材料として
使用され人体への安全性が確認されていることから特に
好ましい原材料である。本発明においては、カバノキ樹
木の葉、樹皮、心材の部分を各々使用し又はこれらを併
用して原材料とし、以下の抽出処理に付される。
【0010】(2) 抽出処理 抽出処理に使用される溶剤は、水又は極性有機溶剤であ
り、これらを各々単独で、或いは組み合わせて使用する
ことができる。極性の有機溶剤としては、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジエチル
エーテル、酢酸エチル及びアセトン又は当該有機溶剤と
水との混合物が例示され、これらの中でも安全性の観点
から水、エタノール又は両者の混合物が好ましい。抽出
処理方法としては、まず、上記カバノキ属樹木の葉等を
各種溶剤中に入れ、加熱還流法あるいは浸漬法で抽出す
る。なお、浸漬法による場合は加熱条件下、室温、或い
は冷却条件下のいずれであってもよい。次いで、溶剤に
不溶な残渣を除去して目的とする抽出液を得るが、残渣
除去方法としては遠心分離、濾過、圧搾等各種の固液分
離手段を用いることができる。得られた抽出液はそのま
ま、或いは例えば水、エタノール等の食品用に使用でき
る溶剤で適宜希釈して使用でき、さらに凍結乾燥や濃縮
して粉末状、ペースト状の抽出エキスとして使用するこ
ともできる。
り、これらを各々単独で、或いは組み合わせて使用する
ことができる。極性の有機溶剤としては、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジエチル
エーテル、酢酸エチル及びアセトン又は当該有機溶剤と
水との混合物が例示され、これらの中でも安全性の観点
から水、エタノール又は両者の混合物が好ましい。抽出
処理方法としては、まず、上記カバノキ属樹木の葉等を
各種溶剤中に入れ、加熱還流法あるいは浸漬法で抽出す
る。なお、浸漬法による場合は加熱条件下、室温、或い
は冷却条件下のいずれであってもよい。次いで、溶剤に
不溶な残渣を除去して目的とする抽出液を得るが、残渣
除去方法としては遠心分離、濾過、圧搾等各種の固液分
離手段を用いることができる。得られた抽出液はそのま
ま、或いは例えば水、エタノール等の食品用に使用でき
る溶剤で適宜希釈して使用でき、さらに凍結乾燥や濃縮
して粉末状、ペースト状の抽出エキスとして使用するこ
ともできる。
【0011】(3) 用途 上記抽出物は虫歯菌由来のGTase阻害剤として使用する
ことができ、GTaseに対する50%阻害活性率を勘案し
て好適には0.0001重量%以上、特に好ましくは0.
0004重量%以上の添加濃度であれば阻害剤として作
用することが判明した。従って、飲食物等に0.000
1重量%以上含有させることで十分なGTase阻害作用を
付与することができる。
ことができ、GTaseに対する50%阻害活性率を勘案し
て好適には0.0001重量%以上、特に好ましくは0.
0004重量%以上の添加濃度であれば阻害剤として作
用することが判明した。従って、飲食物等に0.000
1重量%以上含有させることで十分なGTase阻害作用を
付与することができる。
【0012】(4) GTase阻害剤を含有する飲食物等 上述のとおりGTase阻害作用の観点からすれば、当該阻
害剤を飲食物等に0.0001重量%以上の量で含有さ
せる必要がある。一方、飲食物等自体の香味、香気に悪
影響を与えることがない閾値の範囲内で当該阻害剤を添
加するという観点からすれば、0.01重量%以下の量
で含有させる必要があることが判明した。従って、本願
発明に係るGTase阻害剤を含有する飲食物等は、当該阻
害剤を0.0001〜0.01重量%、好ましくは0.0
01〜0.01重量%、特に好ましくは0.005〜0.
01重量%含有してなる飲食物である。なお、ここでい
う飲食物等とは清涼飲料や、キャンディ、チューインガ
ム等の各種菓子を飲食物とし、練り(液体)歯磨き等を
口腔衛生剤として総称するものである。
害剤を飲食物等に0.0001重量%以上の量で含有さ
せる必要がある。一方、飲食物等自体の香味、香気に悪
影響を与えることがない閾値の範囲内で当該阻害剤を添
加するという観点からすれば、0.01重量%以下の量
で含有させる必要があることが判明した。従って、本願
発明に係るGTase阻害剤を含有する飲食物等は、当該阻
害剤を0.0001〜0.01重量%、好ましくは0.0
01〜0.01重量%、特に好ましくは0.005〜0.
01重量%含有してなる飲食物である。なお、ここでい
う飲食物等とは清涼飲料や、キャンディ、チューインガ
ム等の各種菓子を飲食物とし、練り(液体)歯磨き等を
口腔衛生剤として総称するものである。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0014】〔試料の抽出例1〕シラカンバの葉の粉砕
物267gに2670gの50%エタノール水溶液(重
量%)を加え、加熱還流条件下で1時間撹拌した。次い
で、遠心分離及び濾過を行い不溶物を除去してろ液を得
た。このろ液を凍結乾燥して試料であるシラカンバ抽出
エキス45.4gの粉末を得た。
物267gに2670gの50%エタノール水溶液(重
量%)を加え、加熱還流条件下で1時間撹拌した。次い
で、遠心分離及び濾過を行い不溶物を除去してろ液を得
た。このろ液を凍結乾燥して試料であるシラカンバ抽出
エキス45.4gの粉末を得た。
【0015】〔試料の抽出例2〕シラカンバの樹皮の粉
砕物100gに1000gの70%アセトン水溶液(重
量%)を加え、加熱還流条件下で1時間撹拌した。次い
で、遠心分離及び濾過を行い不溶物を除去してろ液を得
た。このろ液を減圧濃縮してエタノールを留去した後、
さらに凍結乾燥して試料であるシラカンバ抽出エキス
4.7gの粉末を得た。
砕物100gに1000gの70%アセトン水溶液(重
量%)を加え、加熱還流条件下で1時間撹拌した。次い
で、遠心分離及び濾過を行い不溶物を除去してろ液を得
た。このろ液を減圧濃縮してエタノールを留去した後、
さらに凍結乾燥して試料であるシラカンバ抽出エキス
4.7gの粉末を得た。
【0016】〔実施例1〕(試料のGTase阻害作用) 粗GTaseの調製 ストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus muta
ns)OMZ176株をブレインハートインフュージョン
(BHI、日水製薬(株)製)液体培地500mlで37
℃、18時間培養後、遠心分離(6000×g、20分間、4
℃)により菌体を除去した上清を得た。この上清を1N
・NaOHでpH7とした後、50%飽和になるまで硫
酸アンモニウムを少量ずつ静かに加えた。これを4℃で
3日間静置し、生じた沈殿を遠心分離(12000×g、30
分間、4℃)で集めて、少量の50mMリン酸カリ緩衝液
(pH6.5)に溶解して、同緩衝液を外液として透析
(透析膜:SIGMA DIAGNOSTICS, DYALYSIS「SACKS」, Ca
t.No.250-7U)して脱塩した。4℃で一晩透析後、その
内液を粗酵素液とした。得られた粗酵素液は−80℃で
凍結保存しておき、使用時に溶解して使用した。
ns)OMZ176株をブレインハートインフュージョン
(BHI、日水製薬(株)製)液体培地500mlで37
℃、18時間培養後、遠心分離(6000×g、20分間、4
℃)により菌体を除去した上清を得た。この上清を1N
・NaOHでpH7とした後、50%飽和になるまで硫
酸アンモニウムを少量ずつ静かに加えた。これを4℃で
3日間静置し、生じた沈殿を遠心分離(12000×g、30
分間、4℃)で集めて、少量の50mMリン酸カリ緩衝液
(pH6.5)に溶解して、同緩衝液を外液として透析
(透析膜:SIGMA DIAGNOSTICS, DYALYSIS「SACKS」, Ca
t.No.250-7U)して脱塩した。4℃で一晩透析後、その
内液を粗酵素液とした。得られた粗酵素液は−80℃で
凍結保存しておき、使用時に溶解して使用した。
【0017】GTase阻害活性の測定方法 0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)1500μ
lに10%スクロース溶液(0.1%アジ化ナトリウム含
有)300μlおよび試料のジメチルスルホキシド(D
MSO)溶液30μlを混合し、前項で得た粗GTaseを2
0倍希釈した溶液100μlを加え、全量で3mlになる
ように蒸留水を加えて37℃で18時間反応させた。反
応終了後、生成した不溶性グルカンを超音波で粉砕して
波長550nmにおける濁度を測定した。GTase阻害活性
(%)は、試料を添加しないとき(コントロール)の濁度
を100%として以下の式により算出した。
lに10%スクロース溶液(0.1%アジ化ナトリウム含
有)300μlおよび試料のジメチルスルホキシド(D
MSO)溶液30μlを混合し、前項で得た粗GTaseを2
0倍希釈した溶液100μlを加え、全量で3mlになる
ように蒸留水を加えて37℃で18時間反応させた。反
応終了後、生成した不溶性グルカンを超音波で粉砕して
波長550nmにおける濁度を測定した。GTase阻害活性
(%)は、試料を添加しないとき(コントロール)の濁度
を100%として以下の式により算出した。
【数1】 GTase阻害活性(%) = 100×(A−B)/A (式中Aはコントロールの濁度、Bは試料を添加したと
きの濁度である。)さらに各試料の適当な希釈系列にお
ける活性阻害率を算出し、試料濃度に対する活性阻害率
の近似式により、阻害率が50%のときの試料濃度を求
め、これを50%活性阻害濃度(以下、IC50と略する
ことがある)として表1に示した。
きの濁度である。)さらに各試料の適当な希釈系列にお
ける活性阻害率を算出し、試料濃度に対する活性阻害率
の近似式により、阻害率が50%のときの試料濃度を求
め、これを50%活性阻害濃度(以下、IC50と略する
ことがある)として表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示された結果からシラカンバの葉、
樹皮又は心材の抽出物のIC50は、従来、歯垢形成酵素
として知られている一般的なポリフェノール製剤のIC
50(0.0009)よりも低く、0.0001重量%以上の添
加量で阻害活性を有する有用な素材であることが判明し
た。
樹皮又は心材の抽出物のIC50は、従来、歯垢形成酵素
として知られている一般的なポリフェノール製剤のIC
50(0.0009)よりも低く、0.0001重量%以上の添
加量で阻害活性を有する有用な素材であることが判明し
た。
【0020】次に、シラカンバ抽出物のショ糖溶液中に
おける閾値を次のとおり測定した。この閾値は、後述の
各飲食物等における閾値が一般的な香味成分が含有され
ている場合であるのに対して、かかる香味成分に左右さ
れない場合の標準閾値である。すなわち、シラカンバ抽
出物を各々0.0001g、0.00005、0.000
025g、0.00001g、0.000005gを6%
ショ糖水溶液に添加して、10人のパネラーにより、香
味成分無添加飲料での標準閾値を測定した。その結果、
味の閾値は0.002%、臭いの閾値は0.003%であ
った。
おける閾値を次のとおり測定した。この閾値は、後述の
各飲食物等における閾値が一般的な香味成分が含有され
ている場合であるのに対して、かかる香味成分に左右さ
れない場合の標準閾値である。すなわち、シラカンバ抽
出物を各々0.0001g、0.00005、0.000
025g、0.00001g、0.000005gを6%
ショ糖水溶液に添加して、10人のパネラーにより、香
味成分無添加飲料での標準閾値を測定した。その結果、
味の閾値は0.002%、臭いの閾値は0.003%であ
った。
【0021】(GTase阻害剤含有飲食物等の製造)以下
の表2〜7に示す処方にて飲食物(清涼飲料、キャンデ
ィー、チューインガム)および口腔衛生品(練り歯磨
き)を製造した。いずれも市販品の一般的な処方(成分
配合割合)に拠った。
の表2〜7に示す処方にて飲食物(清涼飲料、キャンデ
ィー、チューインガム)および口腔衛生品(練り歯磨
き)を製造した。いずれも市販品の一般的な処方(成分
配合割合)に拠った。
【0022】〔実施例2〕(清涼飲料の製造) 表2に示す処方にてシラカンバ抽出物含有の清涼飲料を
製造した。シラカンバ添加量が、0.0001g、0.0
01g、0.01g、0.05g、0.1gの5種類を製
造した。また、水の添加量はシラカンバ添加量に応じて
全体が100gとなるように調整した。
製造した。シラカンバ添加量が、0.0001g、0.0
01g、0.01g、0.05g、0.1gの5種類を製
造した。また、水の添加量はシラカンバ添加量に応じて
全体が100gとなるように調整した。
【0023】
【表2】
【0024】次に、上記5種類の清涼飲料をシラカンバ
抽出物を配合しない無添加品のコントロールと比較して
異味、異臭についての官能評価を行った。官能評価は、
8人のパネラーを対象とし、各試料毎に以下の基準で採
点し、8人の採点の平均値を評価点とした。 全く異味、異臭を感じない 0点 異味、異臭をやや感じる 3点 異味、異臭をかなり強く感じる 5点 結果は、表3のとおりである。表3に示す結果を勘案し
て、シラカンバ抽出物の添加量が0.0001〜0.00
1重量%(抽出物固形物換算)の範囲内であれば清涼飲
料本来の美味を損なうことがないことが判明した。本実
施例により求められた閾値である、添加量が0.000
1〜0.001重量%(抽出物固形物換算)の範囲は、
前記標準閾値(味閾値 0.002%、臭い閾値 0.003%)以
下であり、シラカンバ抽出物が飲料本来の味や匂いに影
響を及ぼさないことが明らかとなった。
抽出物を配合しない無添加品のコントロールと比較して
異味、異臭についての官能評価を行った。官能評価は、
8人のパネラーを対象とし、各試料毎に以下の基準で採
点し、8人の採点の平均値を評価点とした。 全く異味、異臭を感じない 0点 異味、異臭をやや感じる 3点 異味、異臭をかなり強く感じる 5点 結果は、表3のとおりである。表3に示す結果を勘案し
て、シラカンバ抽出物の添加量が0.0001〜0.00
1重量%(抽出物固形物換算)の範囲内であれば清涼飲
料本来の美味を損なうことがないことが判明した。本実
施例により求められた閾値である、添加量が0.000
1〜0.001重量%(抽出物固形物換算)の範囲は、
前記標準閾値(味閾値 0.002%、臭い閾値 0.003%)以
下であり、シラカンバ抽出物が飲料本来の味や匂いに影
響を及ぼさないことが明らかとなった。
【0025】
【表3】
【0026】〔実施例3〕(キャンディーの製造) 表4に示す処方にてシラカンバ抽出物含有のキャンディ
ーを製造した。シラカンバ配合量が、0.0001g、
0.001g、0.01g、0.05g、0.1gの5種類
を製造した。また、水の配合はシラカンバ添加量に応じ
て全体が100gとなるように調整した。
ーを製造した。シラカンバ配合量が、0.0001g、
0.001g、0.01g、0.05g、0.1gの5種類
を製造した。また、水の配合はシラカンバ添加量に応じ
て全体が100gとなるように調整した。
【0027】
【表4】
【0028】次に、上記5種類のキャンディーをシラカ
ンバ抽出物を配合しない無添加品のコントロールと比較
して異味、異臭についての官能評価を行った。官能評価
は、前記清涼飲料の場合と同様であり、8人のパネラー
を対象とし、各試料毎に以下の基準で採点し、8人の採
点の平均値を評価点とした。 全く異味、異臭を感じない 0点 異味、異臭をやや感じる 3点 異味、異臭をかなり強く感じる 5点 結果は、表5のとおりである。表5から勘案して、シラ
カンバ抽出物の添加量が0.0001〜0.01重量%
(抽出物固形物換算)の範囲内であればキャンディー本
来の美味を損なうことがないことが判明した。なお、本
実施例で求められた添加量は標準閾値を超えるものであ
ったが、キャンディー自体の香味によりシラカンバ抽出
物の異味や異臭がマスキングされたものと考えられる。
しかし、0.01重量%以上添加した場合は表5からも
明らかなように抽出物自体の異味や異臭が発現し、香味
に影響を及ぼすことも明らかになった。
ンバ抽出物を配合しない無添加品のコントロールと比較
して異味、異臭についての官能評価を行った。官能評価
は、前記清涼飲料の場合と同様であり、8人のパネラー
を対象とし、各試料毎に以下の基準で採点し、8人の採
点の平均値を評価点とした。 全く異味、異臭を感じない 0点 異味、異臭をやや感じる 3点 異味、異臭をかなり強く感じる 5点 結果は、表5のとおりである。表5から勘案して、シラ
カンバ抽出物の添加量が0.0001〜0.01重量%
(抽出物固形物換算)の範囲内であればキャンディー本
来の美味を損なうことがないことが判明した。なお、本
実施例で求められた添加量は標準閾値を超えるものであ
ったが、キャンディー自体の香味によりシラカンバ抽出
物の異味や異臭がマスキングされたものと考えられる。
しかし、0.01重量%以上添加した場合は表5からも
明らかなように抽出物自体の異味や異臭が発現し、香味
に影響を及ぼすことも明らかになった。
【0029】
【表5】
【0030】〔実施例4〕(チューインガムの製造) 表6に示す処方にてシラカンバ抽出物含有のチューイン
ガムを製造した。
ガムを製造した。
【0031】
【表6】
【0032】〔実施例5〕(練り歯磨きの製造) 表7に示す処方にてシラカンバ抽出物含有の練り歯磨き
を製造した。
を製造した。
【0033】
【表7】
【0034】
【発明の効果】シラカンバは古くから生薬や香料等の食
品素材の原料に利用されてきた使用実績がある。従っ
て、本発明によれば安全性が高く、しかも阻害活性に優
れた歯垢形成酵素阻害剤を提供することができる。ま
た、本発明に係る歯垢形成酵素阻害剤は、微量で阻害活
性を有するので、味や香りを損なうことがない低濃度で
飲食物や口腔衛生品に添加することができる。
品素材の原料に利用されてきた使用実績がある。従っ
て、本発明によれば安全性が高く、しかも阻害活性に優
れた歯垢形成酵素阻害剤を提供することができる。ま
た、本発明に係る歯垢形成酵素阻害剤は、微量で阻害活
性を有するので、味や香りを損なうことがない低濃度で
飲食物や口腔衛生品に添加することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A23L 2/38 A61K 35/78 ACKC A61K 35/78 ACK C12N 9/99 C12N 9/99 A23L 2/00 F
Claims (3)
- 【請求項1】 カバノキ科カバノキ属に属する、シラカ
ンバ、アメリカシラカンバ、ウダイカンバ、オノオレカ
ンバ、シセンシラカンバ、シダレカンバ、ダケカンバ、
ポプリフォリアカンバ、ヤエガワカンバ、ヤチカンバ、
ヨーロッパカンバ、およびヨーロッパケカンバの群から
選ばれる少なくとも1種の樹木の葉、樹皮及び/又は心
材を、水又は極性有機溶剤を使用して得られる抽出物か
らなることを特徴とする歯垢形成酵素阻害剤。 - 【請求項2】 極性有機溶剤が、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、ジエチルエーテ
ル、酢酸エチル及びアセトンからなる群より選ばれる少
なくとも1種の有機溶剤又は該溶剤と水との混合物であ
る請求項1記載の歯垢形成酵素阻害剤。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の歯垢形成酵素阻害
剤を0.0001〜0.01重量%含有することを特徴と
する飲食物又は口腔衛生剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9251847A JPH1192352A (ja) | 1997-09-17 | 1997-09-17 | 歯垢形成酵素阻害剤及びこれを含有する飲食物又は口腔衛生剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9251847A JPH1192352A (ja) | 1997-09-17 | 1997-09-17 | 歯垢形成酵素阻害剤及びこれを含有する飲食物又は口腔衛生剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1192352A true JPH1192352A (ja) | 1999-04-06 |
Family
ID=17228813
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9251847A Pending JPH1192352A (ja) | 1997-09-17 | 1997-09-17 | 歯垢形成酵素阻害剤及びこれを含有する飲食物又は口腔衛生剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1192352A (ja) |
-
1997
- 1997-09-17 JP JP9251847A patent/JPH1192352A/ja active Pending
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040831 |
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050708 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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