JPH1192177A - 撥水処理ガラス及びその製造方法 - Google Patents

撥水処理ガラス及びその製造方法

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JPH1192177A
JPH1192177A JP9253839A JP25383997A JPH1192177A JP H1192177 A JPH1192177 A JP H1192177A JP 9253839 A JP9253839 A JP 9253839A JP 25383997 A JP25383997 A JP 25383997A JP H1192177 A JPH1192177 A JP H1192177A
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water
repellent
glass
film
alcohol
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JP9253839A
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Hirofumi Kondo
洋文 近藤
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/28Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with organic material
    • C03C17/30Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with organic material with silicon-containing compounds

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  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
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  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 撥水性、耐久性を兼ね備えた撥水処理ガラス
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも表面が二酸化硅素からなる基
材上に、パーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシ
シラン化合物を主成分とする処理膜が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼鏡レンズ等のガ
ラス光学部品や、高級窓ガラス、自動車或いは航空機用
窓ガラス、装飾用ガラス等に利用される撥水処理ガラス
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窓ガラスや自動車用ガラス、或いは反射
防止性を持たせるためにプラスチック基材上に二酸化硅
素層が形成されるような光学部品においては、雨水や汚
染物が付着すると、これらを特に油汚れ等を拭き取り洗
浄するのに手間がかかる。
【0003】また、このように、ガラスをはじめ、表面
が主に二酸化硅素で形成されている基材は、高い表面硬
度を有する反面、手垢、指紋、汗、ヘアーリキッド、ヘ
アースプレー等による汚れが目立ちやすく、またそれが
除かれにくいという欠点があった。さらには、表面のす
べりが悪いために損傷時の傷が太くなりやすい等の問題
点を有している。また、水に対する濡れ性が大きいため
に雨滴、水の飛沫が付着すると大きく拡がり、例えば眼
鏡レンズ等においては大面積にわたって物体がゆがんで
見えるなどの問題点があった。
【0004】これら問題を解決するため、従来よりガラ
ス表面に撥水処理を施し、汚染防止を図る試みがなされ
ている。
【0005】例えば、特開平1−126244号公報で
は、ポリジメチルシロキサンと室温で液状の炭化水素と
からなる溶液中に無機ガラスを浸漬し、ディッピング法
により塗布した後250〜350℃で焼き付ける方法が
開示されている。また、特開平5−024885号公
報、特開平6−016455号公報、特開平8−267
74号公報では、ポリフルオロアルキル基含有シラン化
合物が開示されている。特開平5−170486号公報
では、フルオロアルキル基含有シラン化合物に対して、
アルコキシシシランを添加した混合物を塗布する方法が
開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
でのシリコーン系被覆剤やフッ素系被覆剤による処理膜
においては、水や各種溶剤に溶解しやすく、単に塗布し
ただけでは、溶剤処理によりその効果が劣化し、化学的
安定性が低いものであった。また、いずれの処理膜にお
いても、一時的に機能を付与するものであり、ワイパー
等による機械的な作用によりその効果は劣化し永続性が
なく耐久性に乏しいものであった。特に、これまでのフ
ッ素系被覆剤においては、撥水性は増すが、塗布厚が大
きくなり塗布ムラを作りやすいという欠点があり、摩擦
或いは摩耗に対して満足にいく結果が得られなかった。
【0007】そこで、撥水ガラスの処理膜においては、
化学的安定性、耐摩耗性を十分に持たせ、永続性を持た
せるために、処理膜の膜強度を上げること、ガラス基板
表面と処理膜との結合力を増加させることが求められて
いる。特に、処理膜の厚さを薄くしたい場合には、これ
らが重要となる。
【0008】本発明は、このような実情に鑑みて提案さ
れたものであり、撥水性及び耐久性に優れる撥水処理ガ
ラス及びその製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る撥水処理ガ
ラスは、上記課題を解決するため、少なくとも表面が二
酸化硅素からなる基材上に、パーフルオロポリエーテル
基をもつアルコキシシラン化合物を主成分とする処理膜
が形成されてなることを特徴とする。
【0010】パーフルオロポリエーテル基をもつアルコ
キシシラン化合物は、二酸化硅素よりなる基材表面と脱
アルコールによる縮合反応、所謂ゾルゲル反応を起こし
て強固な結合を形成し、分子中にフッ素化合物を含むこ
とにより撥水性効果を発揮し、パーフルオロポリエーテ
ル基を含むことにより潤滑効果を発揮する。
【0011】したがって、このような化合物よりなる処
理膜で被覆された撥水処理ガラスは、汚れにくく、さら
に汚れが付着した場合にもとれやすく、撥水性に優れ、
表面の滑りが良好なために傷つきにくい等の長所を有す
る。さらに、摩耗に対しても優れた耐久性を有し、溶剤
等に対しても優れた化学安定性を有する。
【0012】一方、本発明に係る撥水処理ガラスの製造
方法は、パーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシ
シラン化合物を、アルコールを主成分とする溶剤に希釈
して、0.01〜10重量%なる濃度の処理膜組成物を
調製した後、この処理膜組成物を少なくとも表面が二酸
化硅素からなる基材上に塗布乾燥して処理膜を形成する
ことを特徴とする。
【0013】本発明に係る撥水処理ガラスの製造方法に
よれば、膜厚を制御して最適な表面状態にすることがで
き、耐汚水性、撥水性に優れ、表面滑り性が良好で、摩
耗に対する耐久性や溶剤に対する化学安定性に優れた撥
水処理ガラスを得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る撥水処理ガラ
スについて、詳細に説明する。
【0015】本発明に係る撥水処理ガラスは、少なくと
も表面が二酸化硅素からなる基材上に、パーフルオロポ
リエーテル基をもつアルコキシシラン化合物を主成分と
する処理膜が形成される。
【0016】上記基材は、処理膜が形成される表面が酸
化硅素よりなる面であれば特に限定されるものではな
い。したがって、上記基材は、無機質の透明ガラス板で
あっても、有機質であってもよく、例えば、二酸化硅素
を主体とする窓ガラス、自動車用窓ガラス、装飾用窓ガ
ラス等であっても、またプラスチック基材の表面に反射
防止膜として二酸化硅素層が形成された眼鏡、顕微鏡等
のガラス光学部品であってもよい。
【0017】さらには、要求される性能、例えば耐熱
性、反射防止性に応じて、SiO2層の下層に他の無機
物膜を組み合わせた多層構造としてもよい。反射防止効
果をより顕著なものとするためには、SiO2層の下層
に、より屈折率の低い被膜を1層以上形成するとよい。
【0018】二酸化硅素を含めた無機物の被膜方法とし
ては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ
リング法等のいわゆるPVD(Physical Vapor Deposit
ion)技術によればよい。
【0019】このPVD技術に適した無機物としては、
SiO2以外に、Al23、ZrO2、TiO2、Ta2
5、SiO、HfO2、ZnO、In23/SnO2、T
iO、Ti23、Y23、Sb23、MgO、CeO2
等の無機物酸化物が好ましく適用される。
【0020】本発明に係る撥水処理ガラスは、上述した
基材上にパーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシ
シラン化合物を主成分とする処理膜が形成されてなるこ
とを特徴とする。
【0021】上述したパーフルオロポリエーテル基をも
つアルコシキシラン化合物は、特に限定されるものでは
ないが、下記の化3にて示される化合物であって好適で
ある。
【0022】
【化3】
【0023】パーフルオロエーテル基Rfは、アルキル
基の水素原子がフッ素原子に置換されたものであり、片
末端のものとして下記の化4〜化6にて示されるものが
挙げられ、両末端のものとして下記の化7にて示される
ものが挙げられる。ただし、全てのアルキル基の水素原
子がフッ素原子に置換されている必要はなく、部分的に
水素が含まれていてもよい。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】なお、化5中、m/lは、0.5〜2.0
の範囲にあることが好ましい。化7中、p/qは、0.
5〜2.0の範囲にあることが好ましい。
【0029】パーフルオロポリエーテル基をもつアルコ
キシシラン化合物の分子量は、特に限定されるものでは
ないが、安定性、取扱いやすさ等の点から、数平均分子
量で400〜10000のものが好ましく、500〜2
000のものがより好ましく用いられる。
【0030】パーフルオロポリエーテル基をもつアルコ
キシシラン化合物からなる処理膜の膜厚は、特に限定さ
れるものではないが、撥水性、耐汚染性、塗布性とのバ
ランス及び表面硬度の関係から、0.5〜100nmが
好ましく、0.5〜50nmがより好ましい。
【0031】また、パーフルオロポリエーテル基をもつ
アルコキシシラン化合物として、屈折率の低い材料を用
いることにより、反射防止性能を得ることができ、例え
ば、眼鏡レンズ等では、ゴースト、フレア等と呼ばれる
反射像が生じて目に不快感を与えることを防止すること
ができる。
【0032】上記パーフルオロポリエーテル基をもつア
ルコキシシラン化合物より形成される処理膜は、アルコ
キシシラノ基を分子構造中に含むので、二酸化硅素より
なる基材表面と所謂ゾルゲル反応を起こして強固な結合
を形成する。これにより、例えば、有機溶剤による払拭
や洗浄による特性劣化等の問題が克服され、これまで従
来不足とされていた化学安定性が向上し、上述した効果
が永続的に保持される。
【0033】従来使用されているパーフルオロアルキル
基含有シラン化合物でも、撥水性を得ることができる
が、この場合、分子が剛直であるために膜構造が安定化
しにくく、結果的に耐摩耗性や化学安定性に不満が残
る。そこで、本発明は、分子がフレキビリティであり、
潤滑特性に優れたパーフルオロポリエーテル基を分子構
造中にもつアルコキシシラン化合物を用いることによ
り、耐摩耗性や摩擦特性を解決するものである。
【0034】また、パーフルオロポリエーテル化合物の
みでも潤滑特性を得ることができるが、この場合、上述
したように、基材との結合が弱く化学安定性に欠ける。
そこで、本発明は、パーフルオロポリエーテル基をもつ
アルコキシシラン化合物を用いることにより、化学安定
性と耐摩耗性の両立を図るものである。
【0035】このように、上記処理膜は、パーフルオロ
ポリエーテル基をもつアルコキシシラン化合物を主成分
とすることから、通常の表面処理を施さないガラスより
汚れにくく、さらに汚れが付着した場合にもとれやす
く、撥水性に優れ、表面の滑りが良好なために傷つきに
くい等の長所を有する。さらに、摩耗に対しても優れた
耐久性を有し、溶剤等に対しても優れた化学安定性を有
する。
【0036】すなわち、上記処理膜は、下記のような特
性を有する。
【0037】(1) 指紋、手垢等による汚れがつきに
くく、また目立ちにくい。また、これらの効果が永続的
に持続される。
【0038】(2) 水垢等が付着し、乾燥されても容
易に除去することが可能である。
【0039】(3) 表面滑り性が良好である。
【0040】(4) ほこり等の汚れがつきにくく、使
用性がよい。
【0041】(5) 摩耗に対する耐久性がある。
【0042】一方、上述したような処理膜は、まず、上
記パーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシシラン
化合物を、アルコールを主成分とする溶剤に希釈して、
0.01〜10重量%なる濃度の処理膜組成物を調製
し、この処理膜組成物を上述した基材上に塗布乾燥して
形成することが好ましい。
【0043】パーフルオロエーテル基をもつアルコキシ
シラン化合物は、硬化性物質であるため、揮発性溶媒に
希釈して塗布するとよい。
【0044】塗布性の観点から、処理膜組成物の濃度
は、0.01〜10重量%が好ましい。濃度が低すぎる
と、有機層の膜厚が薄いために所望の効果を得ることが
できず、濃度が高すぎると、有機層の膜厚が厚すぎるた
め、塗布ムラが発生してやはり所望の効果を得ることが
できない。
【0045】また、上記溶剤は、沸点が50〜120℃
であるアルコールを主成分とすることが好ましい。アル
コールの沸点が高すぎると、乾燥しにくくなり、塗布ム
ラが発生しやすくなるため、好ましくない。他に添加す
る溶剤に関しては、その沸点は特に限定されない。
【0046】アルコールの含有量は、40%以上が好ま
しく、50%以上がより好ましい。アルコールの含有量
が少ないと、処理膜組成物の溶解性が低下して塗布がう
まくできず、処理膜としてうまく作用しない。
【0047】アルコール以外の溶剤としては、特に限定
されないが、その使用にあたっては組成物の安定性、基
材(SiO2)に対する濡れ性、揮発性などを考慮して
決められるべきである。
【0048】溶剤調製時には、触媒として酸塩基を用い
ることは一般的に知られていることであるが、その際に
アセチルアセトンのようなカルボニル化合物を添加する
とその反応性が高まる。触媒として、燐酸エステルを添
加しても、その反応速度を高めることができる。
【0049】処理膜の塗布方法としては、通常のコーテ
ィング作業で用いられる方法が適用可能であるが、均一
性、さらには反射干渉色のコントロールという観点から
スピン塗布、浸漬塗布、カーテンフロー塗布等が好まし
く用いられる。また作業性の点から紙、布などの材料に
液を含浸させて塗布流延させる方法も好ましく使用され
る。
【0050】そして、撥水性、耐汚染性、塗布性とのバ
ランス及び表面硬度の関係から、膜厚0.5〜100n
m、より好ましくは膜厚0.5〜50nmで形成すると
よい。膜厚が厚く成りすぎた場合には、表面を溶剤によ
り払拭して余分な有機層を取り除いて適当な厚みに調整
してもよい。
【0051】また、パーフルオロポリエーテル基を持つ
アルコキシシラン化合物を塗布するに際しては、塗布さ
れるべき基材(SiO2)の表面が清浄化されているこ
とが好ましいことは勿論である。清浄化に際しては、界
面活性剤による汚れ除去、有機溶剤による脱脂、フレオ
ンによる蒸気洗浄等が適用される。さらに、密着性、耐
久性の向上を目的として各種の前処理を施すことも有効
な手段であり、とくに好ましく用いられる方法としては
活性化ガス処理、酸、アルカリなどによる薬品処理など
が挙げられる。
【0052】このように、上記パーフルオロポリエーテ
ル基をもつアルコキシシラン化合物を、アルコールを主
成分とする溶剤に希釈して、0.01〜10重量%なる
濃度の処理膜組成物を調製した後、この処理膜組成物を
少なくとも表面が二酸化硅素からなる基材上に塗布乾燥
して、処理膜を形成することにより、該処理膜の膜厚を
制御して最適な表面状態を得ることができる。そして、
上述したように、通常の表面処理を施さないガラスより
汚れにくく、さらに汚れが付着した場合にもとれやす
く、撥水性に優れ、表面の滑りが良好なために傷つきに
くい等の長所を有し、さらに、摩耗に対しても優れた耐
久性を有し、溶剤等に対しても優れた化学安定性を有す
る撥水処理ガラスを得ることができる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例をもとに具体的に説明
するが、本発明に限定されるものでないことは言うまで
もない。
【0054】実施例1 まず始めに、基材として厚さ2mmのスライドガラス板
を用い、このスライドガラス板を予めピラニア水(濃硫
酸と過酸化水素水の混合溶液)中80℃で20分加熱し
た後、蒸留水、エタノールの順で洗浄し乾燥させた。
【0055】次に、パーフルオロポリエーテル基を持つ
アルコキシシラン化合物として、下記の表1にて示され
る被覆剤1(平均分子量約1000)4重量部に、アル
コール200重量部を添加混合し、更にアセチルアセト
ンを1ccと濃塩酸を0.01cc加え均ーな溶液とし
たのち、さらにメンブランフィルターでろ過を行なって
処理膜組成物を得た。
【0056】そして、上記スライドガラスの表面に、上
述のように調整した処理膜組成物を5cm/分の引き上
げ速度でディップコーティングした後、乾燥させ、膜厚
2nm程度の処理膜を成膜した。
【0057】実施例2〜実施例10 パーフルオロポリエーテル基を持つアルコキシシラン化
合物として、被覆剤1の代わりに表1にて示される被覆
剤2〜被覆剤10を使用する以外は、実施例1と同様に
サンプルを作製した。なお、表1中、PhはC64、B
zはCH264CH2を示す。nは任意の整数を示す。
【0058】
【表1】
【0059】比較例1 被覆剤のコーティングを行なわず、ガラス基板のみとし
た。
【0060】比較例2 被覆剤1の代わりに、ポリテトラフルオロエチレン(以
下、被覆剤11とする。)を使用した以外は、実施例1
と同様にサンプルを作製した。
【0061】比較例3 被覆剤1の代わりに、ポリビニリデンフルオライド(以
下、被覆剤12とする)を使用した以外は、実施例1と
同様にサンプルを作製した。
【0062】比較例4 被覆剤1の代わりに、テトラフルオロエチレン−エチレ
ン共重合体(以下、被覆剤13とする。)を使用した以
外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0063】比較例5 被覆剤1の代わりに、クロロトリフルオロエチレン−エ
チレン共重合体(以下、被覆剤14とする。)を使用し
た以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0064】比較例6〜比較例18 被覆剤1の代わりに表2にて示される被覆剤15〜被覆
剤27を使用した以外は、実施例1と同様にサンプルを
作製した。なお、被覆剤25のイソシアネートの構造を
下記の化8に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
【化8】
【0067】性能評価 実施例及び比較例で得られたサンプルに対し、以下に示
す方法に従って、試験を行った。これらの結果を表3〜
表5に示す。また、溶剤に対する安定性を調べる目的
で、表面をエタノールで洗浄した前後での値を測定し
た。表中評価項目で、前はエタノール洗浄前の評価を示
し、後はエタノール洗浄後の評価を示す。
【0068】(a)耐汚染性試験 水道水5mlを処理膜面(比較例1にあってはガラス基
板面)にしたたらせ、室温雰囲気下で48時問放置後、
布で拭いた時の水垢の残存状態を観察した。水垢が除去
できた時を○とし、除去できなかった時を×とした。
【0069】(b)表面すべり性 鉛筆で表面を引っかいた時の引っかかり具合を評価し
た。判定方法は次の通りである。全く引っかからない時
を○とし、強くすると引っかかる時を△、弱くしても引
っかかる時を×とした。
【0070】(c)手垢の付きにくさ 手垢の付きにくさについて、目視で評価した。ついても
めだたない時を○とし、付くが簡単に除去できる時を△
とし、付いた後が目立つ時を×とした。
【0071】(d)耐摩耗性試験 処理膜表面をスチールウール#0:200g荷重下で3
0回擦った後、傷が付くかどうかを調べた。傷が全く付
かない時を○とし、傷が若干付いたが目立たない時を△
とし、傷が付いた時を×とした。
【0072】(e)塗布ムラ 目視により評価した。塗布ムラが全くない時を○とし、
塗布ムラが若干見られる時を△とし、塗布ムラが発生す
る時を×とした。
【0073】(f)接触角 水(H2O)、又はヨウ化メチレン(CH22)の接触
角を測定することによって、処理膜の残存率、或いは水
及び油に対する汚染性を評価した。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】表3〜表5の結果から、パーフルオロポリ
エーテル基を持つアルコキシシラン化合物を用いた実施
例(実施例1〜実施例10)は、処理膜を設けない比較
例1と比べ、耐汚染性、表面滑り性、手垢のつきにく
さ、化学安定性に優れていることがわかる。
【0078】これに対して、単に表面エネルギーを低下
させるためにフッ素化化合物を使用した比較例(比較例
2〜比較例16)では、表面滑り性や手垢の付きにくさ
で大きな差が生じ、目的の撥水性、耐汚染性、耐摩耗性
をもった撥水処理ガラスを得ることはできない。また、
従来の炭化水素系のシランカップリング剤を用いた比較
例(比較例17、比較例18)でも、アルコール洗浄に
より、接触角が著しく低下し、目的の撥水性、耐汚染
性、耐摩耗性をもった撥水処理ガラスを得ることはでき
ない。
【0079】実施例11〜実施例17及び比較例19〜
比較例22 本実施例及び比較例では、表1で示される被覆剤6をi
−プロパノールに溶解させ、溶剤濃度を表6に示すよう
に変えて処理膜組成物を調整し、撥水性処理ガラスを作
製した。
【0080】そして、実施例1と同様に、耐汚染性、表
面滑り性、耐摩耗性、塗布ムラを調べた。その結果を表
6に併せて示す。
【0081】
【表6】
【0082】表6の結果から、溶剤濃度が0.01〜1
0重量%である実施例(実施例11〜実施例17)で
は、良好な耐汚染性、表面滑り性、耐摩耗性、塗布ムラ
が得られることがわかる。
【0083】これに対して、溶剤濃度が低い比較例(比
較例19、比較例20)では、有機層が薄いため、耐汚
染性、表面滑り性、耐摩耗性に欠ける。一方、溶剤濃度
が高い比較例(比較例21、比較例22)では、有機層
が厚くなりすぎて、塗布ムラが目立ち、視覚的に好まし
くない。
【0084】このように、溶剤濃度を変化させることに
より、膜厚を制御して最適な表面状態にすることがで
き、所望の撥水処理ガラスを得られることがわかる。
【0085】実施例18〜実施例29 本実施例では、被覆剤として、表1で示される被覆剤6
を用い、被覆剤を希釈する溶剤として、表7に示すよう
に、種々のアルコール及び炭化水素系溶剤並びにケトン
系溶剤(溶剤1〜溶剤12)を用い、その比率を変えて
処理膜組成物を調整し、撥水処理ガラスを作製した。
【0086】そして、実施例1と同様に、耐汚染性、表
面滑り性、耐摩耗性、塗布ムラを調べた。その結果を表
8に示す。
【0087】
【表7】
【0088】
【表8】
【0089】表8の結果から、沸点が50〜120℃で
あるアルコールを主成分とする溶剤として用いた実施例
(実施例18〜実施例28)では、非常に優れた耐汚染
性、表面滑り性、耐摩耗性、塗布性が得られることがわ
かる。また、実施例28からわかるように、少量ならば
アルコールに添加する他の溶剤に関しては、その沸点の
影響を特に受けないことがわかる。
【0090】しかし、アルコールの含有量が低すぎる実
施例29では、被覆剤の溶解性が低下し、塗布がうまく
できずに膜としてうまく作用しない。アルコールの含有
量は、40容量%以上が好ましいことがわかる。
【0091】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、パーフルオロポリエーテル基をもつアルコ
キシシラン化合物からなる処理膜が形成されてなること
から、耐汚水性、撥水性に優れ、良好な表面滑り性を有
し、さらに摩耗等に対する耐久性、溶剤等に対する化学
安定性に優れた撥水処理ガラスを提供することが可能と
なる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面が二酸化硅素からなる基
    材上に、パーフルオロポリエーテル基をもつアルコキシ
    シラン化合物を主成分とする処理膜が形成されてなるこ
    とを特徴とする撥水処理ガラス。
  2. 【請求項2】 上記パーフルオロポリエーテル基をもつ
    アルコシキシラン化合物は、下記の化1にて示される化
    合物であることを特徴とする請求項1記載の撥水処理ガ
    ラス。 【化1】
  3. 【請求項3】 上記処理膜の膜厚は、0.5〜100n
    mであることを特徴とする請求項1記載の撥水処理ガラ
    ス。
  4. 【請求項4】 パーフルオロポリエーテル基をもつアル
    コキシシラン化合物を、アルコールを主成分とする溶剤
    に希釈して、0.01〜10重量%なる濃度の処理膜組
    成物を調製した後、 この処理膜組成物を少なくとも表面が二酸化硅素からな
    る基材上に塗布乾燥して処理膜を形成することを特徴と
    する撥水処理ガラスの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記パーフルオロポリエーテル基をもつ
    アルコシキシラン化合物は、下記の化2にて示される化
    合物であることを特徴とする請求項4記載の撥水処理ガ
    ラスの製造方法。 【化2】
  6. 【請求項6】 上記溶剤は、沸点が50〜120℃であ
    るアルコールを主成分とすることを特徴とすることを特
    徴とする請求項4記載の撥水処理ガラスの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記溶剤は、アルコールを40容量%以
    上含有することを特徴とすることを特徴とする請求項4
    記載の撥水処理ガラスの製造方法。
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