JPH1189928A - 人工血管 - Google Patents

人工血管

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JPH1189928A
JPH1189928A JP9256564A JP25656497A JPH1189928A JP H1189928 A JPH1189928 A JP H1189928A JP 9256564 A JP9256564 A JP 9256564A JP 25656497 A JP25656497 A JP 25656497A JP H1189928 A JPH1189928 A JP H1189928A
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JP
Japan
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blood vessel
artificial blood
thrombin
substance
group
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JP9256564A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Okuda
泰弘 奥田
Fumihiro Hayashi
文弘 林
Toshihiko Kumada
敏彦 熊田
Yoshio Hamaguchi
美穂 濱口
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JINKO KEKKAN GIJUTSU KENKYU CE
JINKO KEKKAN GIJUTSU KENKYU CENTER KK
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
JINKO KEKKAN GIJUTSU KENKYU CE
JINKO KEKKAN GIJUTSU KENKYU CENTER KK
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体組織適合性があり、移植後の細胞誘導機
能が高く、移植後長期間経過しても開存率が高い、冠状
動脈や末梢血管等の小口径領域に好ましく用いられる人
工血管を提供する。 【解決手段】 延伸ポリテトラフルオロエチレンチュー
ブなどの人工血管基材、およびこの人工血管基材の少な
くとも血流と接触する面に複合化したトロンビン様酵素
作用を有する物質、たとえばトロンビン、ヘモコアグラ
ーゼ、アンクロッド、バトロキソビン、クロタラーゼな
どを含んでなる人工血管。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工血管に関し、
さらに詳しくは冠状動脈や末梢血管等の小口径領域に用
いる人工血管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維の織物または編物や、
延伸ポリテトラフルオロエチレン(以下、「EPTF
E」という。)が従来より人工血管として用いられてい
る。EPTFEは、素材であるポリテトラフルオロエチ
レン自体が抗血栓性に優れる上、延伸加工によって形成
される微細直径の繊維とこれを連結する結節とからなる
高気孔率(空隙率)の多孔質構造が、生体組織適合性に
優れるため、ポリエステルに比較して、より小口径領域
で人工血管として実用されてきた。
【0003】しかしながら、EPTFEでも抗血栓性や
生体組織適合性が十分であるとはいえず、内径6mm以下
の人工血管では十分な開存率は得られていない。そこで
これを解決する方法として、抗血栓性高分子材料の開
発や抗血栓薬剤の人工血管への複合化による血栓形成の
抑制(特開昭58−180162号等)、生体組織誘
導性物質の複合化による移植後の生体組織形成の促進
(特開昭63−46169号、特開平5−269198
号等)、血液成分であるフィブリンの塗布による血栓
形成の抑制と、新生内膜の形成促進(特開平2−305
575号)などが検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のうち、抗血
栓性の高分子材料の開発や、抗血栓薬剤の複合化の研究
によって、移植後の短期間においては血栓形成を抑制す
る効果が得られ、優れた開存成績が得られているが、移
植後長期間経過すると、人工血管は閉塞する問題点が指
摘されている。移植後に生体組織の形成を促進するため
に、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリン等の生
体組織由来の物質を複合化した人工血管が検討されてお
り、移植後の内皮細胞による被覆を促進する効果が報告
されているが、フィブロネクチンやコラーゲンによって
人工血管上に血栓が形成され易くなり閉塞率が高まるこ
とに加え、血栓が形成することでフィブロネクチンやコ
ラーゲン本来の細胞誘導機能を十分に得られないという
問題があり、実用化には至っていない。また、フィブリ
ンを塗布した人工血管においては、自発的に形成される
フィブリン層に比較して、塗布したフィブリンの抗血栓
性は十分でない上、塗布したフィブリンが人工血管基材
から剥離しやすいため、フィブリン本来の特性が十分に
得られていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、人工血管
を移植後の血栓形成から細胞組織による被覆に至る過程
を詳細に検討した。この結果、トロンビン様酵素活性を
有する物質を複合化した人工血管では、移植後にフィブ
リンを主体とする血栓が積極的に形成され、その後閉塞
に至らしめることなく速やかに生体組織が誘導され、長
期間にわたって良好な開存率が維持されることを見いだ
した。
【0006】詳細に説明すると、人工血管を移植した
後、血液中のタンパク質が人工血管上に吸着し、その後
血小板の粘着、凝集、次にフィブリン形成、最後に器質
化という過程を経て、細胞組織が人工血管上に形成され
て治癒が完了する。本発明者らは、人工血管を移植した
後の血栓の形成過程を詳細に検討した結果、人工血管上
に吸着するタンパク質の内で特にフィブリノーゲンに着
目し、トロンビン様酵素によってフィブリノーゲンから
フィブリンへの転換を促進すると、移植後に人工血管内
面にフィブリンを主体とする薄く平滑な血栓膜が形成さ
れ、この表面には新たな血栓は付着せず、生体組織が良
好に誘導されることを見いだしたのである。
【0007】すなわち、従来のように抗血栓性の高分子
材料や薬剤によって血栓形成を抑制するのではなく、ト
ロンビン様酵素活性を有する物質を予め人工血管に複合
化すると、移植後の人工血管内面にはフィブリンを主体
とする血栓が積極的に形成され、この血栓はその後さら
に成長して閉塞に至らしめることはなく、その表面には
生体の内膜組織が速やかに誘導され、人工血管は長期的
に高い開存性を有することを見いだした。そこで、本発
明は、人工血管基材の少なくとも血流と接触する面にト
ロンビン様酵素作用を有する物質を複合化した人工血管
を提供する。
【0008】本発明の人工血管に用いる人工血管基材と
しては、人工血管として必要な力学特性を満たし、毒性
や発ガン性が全くまたはほとんど無く、長期的に分解劣
化しない材料であれば特に限定はされないが、従来より
臨床に用いられているポリエステル繊維の織物または編
物、若しくはEPTFEが、これらの点で優れている。
特にEPTFEは、ポリテトラフルオロエチレン素材自
体の抗血栓性に加えて、延伸加工によって形成される微
細直径の繊維とこれを連結する結節とからなる高気孔率
(空隙率)の多孔質構造が、移植後の生体組織の形成に
有効であることから、特に望ましい。
【0009】基材の形態としては、多孔質構造を有し、
多孔質の平均孔径が20μm以上、好ましくは20〜2
00μm、より好ましくは60〜200μmであることが
望ましい。EPTFEにおいては平均結節間距離が平均
孔径として用いられる。また気孔率(材料中に空気の占
める体積比率)が70%以上であり、多孔質によって生
じる凹凸の高さが血流接触面においては2μm以下であ
ることが好ましい。
【0010】トロンビン様酵素活性を有する物質として
はトロンビン、ヘモコアグラーゼ、アンクロッド、バト
ロキソビン、クロタラーゼなどの、フィブリノーゲンを
フィブリンに転化させる血液凝固活性を有する物質が適
している。この中でトロンビンでは、フィブリノーゲン
が3次元的に架橋されるため形成されるフィブリン層が
強固であるのに対し、蛇毒由来の酵素であるヘモコアグ
ラーゼ、アンクロッド、バトロキソビンおよびクロタラ
ーゼでは、フィブリノーゲンが2次元的に緩く架橋され
るだけなので、フィブリン層が厚くならず、人工血管は
閉塞に至りにくい。それ故、蛇毒由来のヘモコアグラー
ゼ、アンクロッド、バトロキソビン、クロタラーゼを用
いるのが好ましい。これらトロンビン様酵素活性を有す
る物質は、2種類またはそれ以上を混合して用いてもよ
い。
【0011】トロンビン様酵素活性を有する物質を人工
血管基材に複合化する方法としては、物質の溶液を人工
血管表面に塗布してからグルタールアルデヒド等で架橋
固定してもよいし、基材表面に形成した官能基に物質を
共有結合させてもよい。しかし、前者の方法では溶液を
塗布することによって凹凸が形成されたり、固定された
物質が人工血管から剥離しやすく、これによって血栓が
形成されることがあるので、後者の方法がより好まし
い。後者の共有結合固定法のために、合成高分子材料の
表面に官能基を導入する方法としては、化学処理による
方法、γ線やコロナ放電、グロー放電などの物理的処理
による方法が挙げられるが、それぞれの高分子材料に適
した方法で処理をおこなえばよい。例えばポリエテレン
テレフタレート(PET)では、酸またはアルカリによ
ってエステル結合を加水分解してカルボキシル基を形成
させ、これから既知の反応によってエステル基、水酸
基、アミノ基、エポキシ基に変換すればよい。また紫外
線照射やコロナ放電処理によってエステル基、水酸基、
アミノ基、エポキシ基を有する物質をグラフト重合を行
ってもよい。EPTFEの場合は、特開平5−2691
98号公報に開示されている方法を用いることができ
る。
【0012】すなわち、EPTFEの表面に化学処理に
より水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基を
形成し、これらの官能基にトロンビン様酵素活性を有す
る物質を共有結合する。水酸基、カルボキシル基、エポ
キシ基、アミノ基を形成するためには、γ線や電子線な
どの放射線やグロー放電を用いることができる。しかし
ながら、既によく知られているように、放射線による処
理では、EPTFEの結晶内部深くまでポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)が分解されるためPTFEの
分子量が低下し、強度が著しく低下するので、人工血管
として実用に供するのは難しい[モレル(G.Morel)
ら、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエ
ンス(J.Appl.Polym.Sci.)Vol.24,771
(1979)]。また、グロー放電処理ではEPTFE
の多孔質内部のミクロな表面まで処理を施すことが難し
く、チューブのマクロな外表面または内表面のみしか処
理することができないので、EPTFEの多孔質内部表
面の全面にタンパク類を固定することが難しく、人工血
管の壁の中への生体組織や毛細血管の侵入を促進させる
ことが出来ない。
【0013】これに対し、アルカリ金属化合物による脱
フッ素処理によれば、EPTFEの内表面や外表面だけ
でなく、多孔質内部表面も含めた全面を均一に、表面か
ら約数百オングストロームの厚さだけが処理される。し
かもγ線や電子線などの放射線照射とは異なり、EPT
FEの結晶内部深くまでPTFEを分解することがない
ので、強度の低下を招くことがない。このため、タンパ
ク質やペプチドを内表面、外表面、多孔質内部表面を含
むEPTFEの全表面に共有結合固定することが可能で
あり、本発明による複合化人工血管を作製するために
は、アルカリ金属化合物で処理することが望ましい。こ
のように、アルカリ金属化合物を用いて脱フッ素化した
後に、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、エ
ポキシ基等を有する化合物を付加して、あるいはグラフ
ト重合して、これらの官能基を導入することができる。
【0014】アルカリ金属化合物としては、例えばメチ
ルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、
ナトリウム−ナフタレン、ナトリウム−ベンゾフェノ
ン、ビニルリチウムなどが挙げられ、これらを、エチル
エーテルなどの溶媒に溶解して使用する。ナトリウム−
ナフタレン、ナトリウム−ベンゾフェノンは、処理によ
ってEPTFE表面に黒褐色の層を形成する上、EPT
FEの多孔質表面を均一に処理することが困難であるの
で、本発明の人工血管を作製するためには、メチルリチ
ウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムを用いる
ことが望ましい。メチルリチウム、n−ブチルリチウ
ム、t−ブチルリチウムは、これ自体ではフッ素を引き
抜く作用が弱いので、キレート化試薬、例えばヘキサメ
チルホスホリックトリアミドや、N,N,N',N'−テト
ラメチルエチレンジアミン等を添加することが望まし
い。
【0015】分子内に水酸基、カルボキシル基を含有す
る物質としては、グリセロール(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が例示でき
る。また、無水マレイン酸等の酸無水物を付加後に加水
分解してカルボキシル基を形成してもよい。
【0016】カルボキシル基を形成する方法をより具体
的に説明する。アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、E
PTFEチューブをメチルリチウムのジエチルエーテル
溶液に浸漬しておき、ここにヘキサメチルホスホリック
トリアミドを添加して−5℃で60分間放置してEPT
FEのフッ素原子を引き抜く、その後、反応溶液を除去
し、ここにメタクリル酸のテトラヒドロフラン溶液を加
えて60℃で10時間反応する。反応後に余剰のメタク
リル酸またはその重合体を洗浄除去して、メタクリル酸
をグラフト重合したEPTFEを得る。化合物や試薬の
種類、または方法条件は上記のものに限定されず、他の
化合物や試薬、他の方法条件を適宜採用することができ
る。
【0017】形成した官能基にトロンビン様酵素活性を
有する物質を共有結合固定する方法は、各々の官能基に
適した方法を選択すればよい。好ましくは、固定するこ
とによって物質の活性が失われることがない方法を選択
すればよい。例えば水酸基、カルボキシル基およびアミ
ノ基に対しては脱水縮合により、エポキシ基に対しては
付加反応により共有結合を形成させる。水酸基に対して
は、そのままカルボジイミドを触媒として脱水縮合によ
り結合させてもよいし、水酸基については、例えばトリ
フルオロメタンスルホニル基等の脱離基を導入して反応
性を上げておいてからトロンビン様酵素活性を有する物
質のアミノ基と反応させてもよい。またカルボキシル基
に対しては、そのままカルボジイミド等の脱水縮合触媒
を用いて結合してもよいし、あるいは、N−ヒドロキシ
コハク酸イミドを反応させて活性エステルを導入して反
応性を上げておいてからトロンビン様活性を有する物質
と反応させてもよい。
【0018】カルボキシル基にトロンビン様酵素活性を
有する物質を共有結合する例を、より具体的に説明す
る。上記方法によって作製したメタクリル酸グラフト重
合EPTFEを、0℃で、N−ヒドロキシこはく酸イミ
ドとジシクロヘキシルカルボジイミドを1,4−ジオキ
サンの溶解した溶液に12時間浸漬することによって、
カルボン酸基をN−ヒドロキシこはく酸イミドエステル
基とする。この後に、トロンビン様酵素作用を有する物
質のリン酸緩衝液(pH=11)中溶液に浸漬して、ト
ロンビン様酵素作用を有する物質を固定する。
【0019】トロンビン様酵素活性を有する物質を血流
接触面だけに共有結合固定する方法としては、特願平8
−153880の明細書に記載されている方法を用いれ
ば良い。この方法では、人工血管基材の外壁側より一定
の深さまで加熱溶融したパラフィン等を浸透し、冷却固
化させ、パラフィンが浸透していない部分について、ア
ルカリ金属化合物による脱フッ素とメタクリル酸等のグ
ラフト重合を行い、パラフィンを洗浄除去する。これに
より、メタクリル酸等をパラフィンが浸透していない部
分だけに固定することができる。この後、上述の方法に
よってトロンビン様酵素活性を有する物質を共有結合固
定することにより、チューブの内壁面側だけ、すなわち
血流接触面だけに共有結合固定することが可能である。
共有結合固定する厚さは、最初に加熱溶融したパラフィ
ンを浸透する深さを制御することによって制御できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施例1 内径2mm、外径3mm、平均孔径60μm、気孔率78%
のEPTFEチューブ1mを、アルゴン雰囲気下、−5
℃でメチルリチウムのエチルエーテル溶液(1.4M)
20mlとヘキサメチルホスホリックアミド2mlの混合溶
液に30分間浸漬した。その後、溶液だけを除去し、メ
タクリル酸1gの水20ml中溶液を加え、60℃で10
時間反応させた。反応後に余剰のメタクリル酸または
(チューブに)グラフトしていないメタクリル酸重合体
を蒸留水で洗浄除去して、メタクリル酸135μg/cm
(チューブ長さ)をグラフト重合したEPTFEチュー
ブを得た。
【0021】上記で作製したメタクリル酸グラフト重合
EPTFEチューブを、0℃で、N−ヒドロキシこはく
酸イミド(361mg)とジシクロヘキシルカルボジイミ
ド(323mg)を1,4−ジオキサン(80ml)に溶解
した溶液に12時間浸漬することによって、酸基をN−
ヒドロキシこはく酸イミドエステル基とし、この後に、
バトロキソビンのリン酸緩衝液(pH=11)中溶液
(濃度0.3mg/ml)に浸漬して、蛇毒酵素由来のバト
ロキソビン128μg/cmを固定した。
【0022】この人工血管3cmをウサギ(ニュージーラ
ンドホワイト)(12匹)の頚動脈に置換し、3日後に
内面の血栓形態を観察し、4週および12週後に開存率
および内皮細胞被覆率を計測した。血栓形成は走査型電
子顕微鏡を用いて観察した。厚さ評価の基準は以下の通
りである。 「薄い」:部分的に基材表面が露出しており、血栓の下
にある基材の多孔質形状が観察できる。 「厚い」:血栓が完全に基材表面を覆っており、基材の
多孔質形状は全く観察できない。 開存率は、「血流が維持されていた本数/全移植本数」
で表す。内皮細胞被覆率は、(内皮細胞で被覆されてい
る面積)×100/(人工血管内面積)(%)により求
めた。
【0023】実施例2 内径2mm、外径3mm、長さ1m、平均繊維長60μm、気
孔率78%のEPTFEチューブの外表面より約50μ
mの深さまで溶融パラフィンをコーティングし、冷却固
化した後、−5℃でアルゴン雰囲気下でメチルリチウム
のエーテル溶液(1.4M)20mlとヘキサメチルホス
ホリックアミド2mlの混合溶液に30分間浸漬した。そ
の後、溶液だけを除去し、メタクリル酸1gの水20ml
中溶液を加え、60℃で10時間反応させた。この後、
余剰のメタクリル酸、(チューブに)グラフトしていな
いメタクリル酸重合体、及びパラフィンを洗浄除去し、
メタクリル酸を76μg/cmグラフト重合したEPTF
Eチューブを得た。
【0024】作製したメタクリル酸グラフト重合EPT
FEを、0℃で、N−ヒドロキシこはく酸イミド(20
3mg)とジシクロヘキシルカルボジイミド(181mg)
を1,4−ジオキサン(80ml)に溶解した溶液に12
時間浸漬することによって、酸基をN−ヒドロキシこは
く酸イミドエステル基とし、この後に、バトロキソビン
のリン酸緩衝液(pH=11)中溶液(濃度0.3mg/m
l)に浸漬して、バトロキソビン128μg/cmを固定し
た。
【0025】この人工血管3cmを用いる以外は、実施例
1と同じ方法でウサギ(ニュージーランドホワイト)の
頚動脈に置換し、実施例1と同様の評価を行った。
【0026】実施例3 蛇毒酵素由来のアンクロッド85μg/cmを共有結合固
定する以外は実施例1と同様の手順を繰り返し、アンク
ロッド固定人工血管を得、ウサギ頚動脈に置換し、同様
の評価を行った。
【0027】比較例1 実施例1で用いたEPTFEチューブをそのまま用い
た。 比較例2 バトロキソビンを固定しない以外は実施例1と同様の手
順を繰り返し、メタクリル酸をグラフト重合した人工血
管を得、ウサギ頚動脈に置換し、同様の評価を行った。
【0028】結果を表1および表2に示す。
【表1】
【0029】
【表2】
フロントページの続き (72)発明者 林 文弘 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 熊田 敏彦 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号 第 一製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 濱口 美穂 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号 第 一製薬株式会社東京研究開発センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人工血管基材の少なくとも血流と接触す
    る面にトロンビン様酵素作用を有する物質を複合化した
    人工血管。
  2. 【請求項2】 人工血管基材が、延伸ポリテトラフルオ
    ロエチレンである請求項1に記載の人工血管。
  3. 【請求項3】 トロンビン様酵素作用を有する物質が、
    蛇毒由来の、凝固活性を有する酵素である請求項1また
    は2に記載の人工血管。
  4. 【請求項4】 蛇毒由来の酵素が、ヘモコアグラーゼ、
    アンクロッド、バトロキソビンおよびクロタラーゼから
    なる群から選択される少なくとも1種の酵素である請求
    項3に記載の人工血管。
JP9256564A 1997-09-22 1997-09-22 人工血管 Pending JPH1189928A (ja)

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