JP2020065632A - 医療器具 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一形態は、vWFを分解しうる因子を結合可能な物質を表面に備える医療器具である。
vWFを分解しうる因子としては、ネイティブな立体構造を有するvWFを分解することができるものであれば、特に制限されない。vWFを分解しうる因子は、早期に抗血栓性を発揮するとの観点から、好ましくはADAM28、より好ましくはヒトADAM28を含む。
本形態に係る医療器具は、vWFを分解しうる因子を結合可能な物質を表面に備える。vWFを分解しうる因子を結合可能な物質を表面に備える方法は、使用するvWFを分解しうる因子を結合可能な物質に応じて、公知の方法から適宜選択することができる。
基材(例えば、ポリスチレン基材)を、0.01質量%の抗ADAM28抗体を溶解したアルカリ性緩衝液(例えば、リン酸緩衝液(pH7.4)、炭酸−重炭酸緩衝液(pH9.4))中に浸し、約4℃で約18〜24時間程度インキュベートしてディップコートする。アルカリ性緩衝液で洗浄して、未結合な抗ADAM28抗体を洗浄除去する。必要に応じて、乾燥処理を行うことで、抗ADAM28抗体を基材表面に吸着させることができる。
ステント(例えば、ステンレスSUS316L)をシランカップリング剤(例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン)の2質量%エタノール溶液の中に室温(23℃)で約30分間入れた後、約70℃のオーブンで約48時間、乾燥する。
本形態に係る医療器具について、その抗血栓性は、例えば以下のようにして評価することができる。
(i)健常人ドナーから採取した新鮮血25ml、抗凝固剤としてヘパリン9.0unit、生理食塩水20mlを混合し、抗凝固希釈血を調製する。
(ii)抗ADAM28抗体を表面に固定化した基材(コート基材)および未コート基材をそれぞれ、別の内径6mm全長400mmのチューブ内に留置し、上記の抗凝固希釈血液を8ml充填し、端部をコネクターで接続して、ループ状にする。
(iii)ループ状にしたチューブを回転装置にとりつけ、40rpmで120分間回転し、チューブ内の血液を循環させる。
(iv)循環終了後に、基材へのADAM28の結合および血栓の付着を評価する。
本形態に係る医療器具としては、血液と接触して用いられる器具が挙げられる。上述のとおり、本形態に係る医療器具は、vWFを分解しうる因子を結合可能な物質を表面に備えることにより、早期に抗血栓性を発揮することができる。そのため、本形態に係る医療器具は、抗血栓性を要求されるものであれば、いずれの用途で使用されてもよい。例えば、カテーテル、シース、カニューレ、針、三方活栓、ガイドワイヤーなどが挙げられる。また、他の例としては、血液回路、人工透析器、人工(補助)心臓、人工肺、留置針、人工腎臓、ステントなどが挙げられる。
本発明の別の形態は、vWFを分解しうる因子を結合可能な物質を含む液を基材にコートすることを有する、医療器具の製造方法である。
医療器具の基材の材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンや変性ポリオレフィン;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン(PVDC);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂等の各種高分子材料、金属、セラミック、カーボン、およびこれらの複合材料等が例示できる。上記の高分子材料は延伸処理がなされたもの(例えば、ePTFE)であっても良い。
上記液を基材にコートする方法は、特に制限されず、塗布・印刷法、浸漬法(ディッピング法、ディップコート法)、噴霧法(スプレー法)、スピンコート法、混合溶液含浸スポンジコート法など、従来公知の方法を使用できる。
上記液を基材にコートする前に、必要に応じて、基材表面をあらかじめシランカップリング剤などで処理してもよい。また、前記処理後に、必要に応じて、縮合剤の存在下で反応を行ってもよい。
まず、血管を模すための培養容器として、シリコーンゴムチューブを準備した。そして、以下の手法によりシリコーンゴムチューブ内腔にコラーゲンコートを行った。すなわち、まず、コラーゲン(5mg/mL;1mM HCl溶液、AteloCell Native collagen Bovine Dermis、高研)を希塩酸(pH3.0、10−3M)で10倍希釈し、チューブに充填した。次いで、4℃にて3日間インキュベートしてコーティングを実施した。そして、希釈コラーゲン溶液を廃棄した後、チューブをハンクス緩衝液で洗浄して、その後の試験に用いた。
上記の培養が終了した後、シリコーンゴムチューブから血管内皮細胞を回収し、RNeasy miniキット(キアゲン社)を用いて常法によりTotal RNAを調製および精製した。このようにして得られたTotal RNAを鋳型として、逆転写酵素(SuperScript IV VILO、サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)を用いて常法によりcDNAを合成した。得られたcDNAを用いたリアルタイムPCR法により、eNOS遺伝子、ADAM28遺伝子およびvWF遺伝子の発現量を解析した。なお、内部標準としてはGlyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)遺伝子を用いた。この際、PCR装置としては、7500 First Real−Time PCR System(アプライド・バイオシステムズ社)を用いた。なお、PCRプライマーは、Primer3(v.0.4.0) Pick primers from a DNA sequenceプログラムを用いて設計し、DNASIS Mac プログラム(日立ソフトウェアエンジニアリング社)によりin silicoでセルフアニーリングやミスアニーリングのリスクが低いことを確認した。遺伝子の発現量の解析に用いた各種プライマーの塩基配列を以下に示す。
上記で解析を行ったeNOS遺伝子の発現は、血管内皮細胞の機能の指標として一般的に用いられているものである。表1に示す結果から明らかなように、血管内皮細胞に対してメカニカルストレスが負荷される循環培養を行った系と比較して、メカニカルストレスが負荷されない静置培養においては、eNOS遺伝子の発現量が低下した。このことから、静置培養の系においては、生体内で血管の狭窄が進展して血流が低下した病変部のように、メカニカルストレスの低下によって、血管内皮細胞の機能が低下することが確認された。
表2に示すように、ADAM28遺伝子の発現量は、循環培養の系と比較して、静置培養の系においてより低い値を示した。このことから、血管内への医療器具の挿入または留置などによりメカニカルストレスが低下すると、血管内皮細胞の機能が低下して、血栓が形成されやすくなることが分かる。
Claims (5)
- フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor)を分解しうる因子を結合可能な物質を表面に備える、医療器具。
- 前記フォン・ヴィレブランド因子を分解しうる因子が、ADAM28を含む、請求項1に記載の医療器具。
- 前記結合可能な物質が、抗ADAM28抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項2に記載の医療器具。
- 前記抗ADAM28抗体が、モノクローナル抗体である、請求項3に記載の医療器具。
- 前記抗ADAM28抗体が、前記ADAM28のディスインテグリンドメイン、システインリッチドメイン、EGF様ドメインおよびC末端領域にあるエピトープの少なくとも一つを認識する、請求項3または4に記載の医療器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018199162A JP2020065632A (ja) | 2018-10-23 | 2018-10-23 | 医療器具 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2554349A1 (fr) * | 1983-11-08 | 1985-05-10 | Immunotech Sa | Procede d'obtention de materiaux biocompatibles, materiaux obtenus par ce procede et leurs applications |
JP2010280571A (ja) * | 2009-06-02 | 2010-12-16 | Chemo-Sero-Therapeutic Research Inst | Adamts13による細胞移植増強補助剤 |
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2018
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Patent Citations (2)
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J NATL CANCER INST., vol. 104(12), JPN6022031828, 2012, pages 887 - 888, ISSN: 0004839373 * |
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