JPH045463B2 - - Google Patents

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JPH045463B2
JPH045463B2 JP60087847A JP8784785A JPH045463B2 JP H045463 B2 JPH045463 B2 JP H045463B2 JP 60087847 A JP60087847 A JP 60087847A JP 8784785 A JP8784785 A JP 8784785A JP H045463 B2 JPH045463 B2 JP H045463B2
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は血管補綴物に関し、更に詳しくは長期
開存性に優れ、殊に中口径、小口径の人工血管と
して適用可能な新しい血管補綴物の製造方法に関
する。 〔従来の技術〕 一般に血管系の欠陥の矯正は、病理部分を切除
した人工血管補綴材を縫合あるいは吻合して行わ
れる。 人工血管等の補綴物が生体内に受け入れられて
成功する条件の一つは、移植された人工血管補綴
物中に生体組織が成長して行けるように、該補綴
物を構成する壁が有孔性を有する事である。それ
故、人工血管等の移植体は、一般には通水性を有
する組み合わされた繊維状物質から成る多孔性構
造で、かつ可撓性のある管から成り立つている。 従来の人工血管は、この様な構造を有すること
によりそれが生体内の血管に縫合あるいは吻合さ
れると凝血によりこの内面に極めて薄い内膜が形
成され、更に内膜への新生血管の浸入により、内
膜に永続的に栄養が補強され、内膜の器質化が進
行する。即ち、血栓の固着や人工血管内面に新生
する内膜の器質化のための新生血管の浸入のため
に、人工血管壁は、適切な有孔性が必要である。
この網目構造は巨視的な網目(例えば繊維の編ん
だ網目)であつて100μ〜1μの間にある。 このような有孔性を有する人工血管として、現
在ポリエステル繊維の織物又は編物からなる人工
血管や、延伸によつて内表面をフイブリル化(小
繊維構造化)した多孔性四弗化エチレン人工血管
が実用に供されている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 これら現在実用に供せられている人工血管は内
径が比較的大きい時にはかなり高い成功率で実用
化されている。特に動脈への血管補綴では内径が
約7mm以上になると、良好な成績を治めている。
それにもかかわらず細い内径血管補綴物では臨床
的に許容できるものがない。特に静脈へ適用した
時の成功率は動脈の場合よりも更に悪い。動脈と
比べて静脈の血液速度が小さく、人工静脈におい
ては抗血栓性を獲得するための血小板の粘着、凝
集能を抑制することが特に重要となるがこれが十
分には満足されていない。 適当な有孔性血管を動脈に移植すると、有孔性
の故に移植初期に著しい漏血現象が生じる。この
ため予め患者の血液で処理して、凝血作用でこの
孔をつめるいわゆるプレクロツテイングという前
処理を必要とする。移植人工血管の内面は初期に
凝血層でおおわれる。この凝血層はフイブリンで
できており血管の材料、表面構造などによつてそ
の厚みが変化する。ポリエステル、四弗化エチレ
ン系の人工血管を用いた時のフイブリン厚みは
0.5〜1mmにも達するので、実際に安心して使用
できるのは口径10mm以上の動脈用人工血管であ
り、これより口径の小さい人工血管では、長期開
存に不安がありこのフイブリン層厚化によつても
閉塞しない程度の血管径即ち内径5〜6mm以上の
動脈でしか用いることができないし、その長期開
存成績も芳しくないのが現状である。 又静脈血管補綴の場合の開存成功率は動脈血管
補綴の開存成功率より遥かに低いことが知られて
おり、静脈用人工血管として使用出来るものは現
在存在していない。動脈用人工血管も口径6mm以
下で実用に供することが可能なものは現在出現し
ていない。人工血管としての必要要件として(1)毒
性のないこと、(2)異物反応がないこと、(3)耐久性
があり劣化しないこと、(4)弾性、伸展性があるこ
と、(5)抗血栓性があること、(6)器質化治療が良好
であること、(7)縫合し易いこと、(8)各種の形態が
つくれること、(9)漏血が少ないこと、(10)滅菌が可
能であることなど多くの要求性能があるが、何よ
りも重要なのは長期に亘つて血管としての機能を
示すこと、即ち長期開存性である。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは血管補綴物(人工血管や血管補綴
パツチを含む)の特殊な加工処理によつて、扱い
易く、優れた長期開存性を付与する方法について
鋭意研究を進め、現在実用段階にある大口径人工
血管の長期開存成績を大幅に向上させるととも
に、中口径、小口径人工血管への実用化、更に静
脈用血管の実用化への路を開くことに成功したも
のである。本発明は血管補綴物の少なくとも血管
接触面の一部にポリシロキサン分子の架橋網目に
水溶性高分子又は水膨潤性高分子を交絡させて相
互浸入網目構造を形成させたことを特徴とするも
のであり又水溶性高分子及び/又は水膨潤性高分
子を有機溶剤に溶解してなる溶液に、水によつて
活性化する架橋性の含珪素化合物を混合し、得ら
れる溶液で血管補綴物を処理し、有機溶媒を蒸発
させて、雰囲気中の水分で含珪素化合物の架橋を
伴う縮合反応を惹起してポリシロキサンを形成さ
せることを特徴とする生体適合性のよい血管補綴
物の製造方法に関する。 ここでいう水溶性又は水膨潤性高分子にはヘパ
リン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロ
ピレングリコール共重合体、又はブロツク共重合
体(A−B型、A−B−A型等を含む)、ポリビ
ニルピロリドン、可溶性コラーゲン(アテロコラ
ーゲン)、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリメタ
クリル酸、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、
ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなど
の親水性アクリル酸又はその誘導体、さらにポリ
ビニルアルコール、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸、ジアセトンアクリルア
ミド、アルギン酸、水溶性澱粉、メチルセルロー
ス、コンドロイチン硫酸(又はその塩)、酸化澱
粉(ジアルデヒド澱粉)、天然多糖類(ポリサツ
カライド)などの天然水溶性高分子等が含まれ
る。 本発明にヘパリンを用いる場合にはヘパリンを
有機溶媒に溶けるように変性する必要がある。ヘ
パリンは通常ナトリウム塩として市販されている
が、これは通常の有機溶媒に不溶であるため、こ
れを有機溶媒に可溶な形に変換する。ヘパリンは
各種第四級アンモニウム化合物と容易に塩をつく
り、用いるアンモニウム化合物を選択することに
よつて有機溶媒に可溶化できる。このような目的
にあう第四級アンモニウム化合物の例としては、
トリドデシルメチルアンモニウムクロリド、トリ
カプリルメチルアンモニウムクロリド、セチルピ
リジニウムクロリド、セチルジメチルベンジルア
ンモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリ
ド、アルキルピコリニウムクロリドなどをあげる
ことができる。本発明にはヘパリン誘導体を単独
で、もしくは水溶性高分子を併用してポリシロキ
サンの架橋網目分子に交絡させヘパリンの抗血栓
機能をも充分に発揮させた特殊な加工処理、血管
補綴物に関するものも含まれる。 血管補綴物において小口径の人工血管の実用化
にたちはだかる最大の問題は、内皮膜生成の前段
階に生ずる血栓層(〜1mm)や、内皮膜の肥厚に
よる閉塞である。これを防ぐために人工血管を予
めヘパリン入り生理食塩水で処理したり、第3級
アンモニウム塩とヘパリンどをコンプレツクス
(第4級アンモニウム塩)として含浸させるなど
の方法も試みられているが、ヘパリン分子は容易
に流出してヘパリンの効果は極く初期の短時間し
かもたず、一方ヘパリンの流出を防ぐために、何
んらかの化学的方法でヘパリン分子を血液接触面
に化学結合させると、化学的変性によつてヘパリ
ンの効果が激減することが知られている。したが
つてヘパリン分子を人工血管の内腔に有効に固定
化する優れた方法は全くないといつてよい。 本発明者は人工血管の凝血を抑えるか表面に生
じる凝血層を出来るだけ薄くし、ひいては内皮膜
の肥厚を最小にする手段を鋭意研究し、血管補綴
物の少なくとも内表面に水溶性高分子をポリシロ
キサン分子網目に交絡させて交互浸入網目構造
(IPNと略す Interpenetrating Polymer
Networks L.H.Sperling Encyclopedia
Polymer Science and Technology、
Supplement Vol.1288.1976 Interscience
Publishers、New York)をつくらせることによ
りこの目的を達することを見出し本発明に到達し
たものである。ここで重要なのはポリシロキサン
のIPNをつくらせることにあり、この目的のため
には架橋性ポリシロキサン前駆体として分子中に
珪素原子が10ケ以下のポリシロキサンの単量体も
しくはオリゴマーでなければならないことに注意
しなければならない。永田、伊予田らの(特開昭
52−111289号)の方法では有機珪素重合体(中間
体:高分子量)を用いているために、相互浸入網
目構造を形成しない。交互浸入網目構造をとらせ
るには重合体に完全に混じり合う状態で架橋反応
をおこすことが必須で、永田、伊予田らの2種以
上の重合体を混合すると完全に混じり合わず巨視
的には一見混合しているようにみえても微視的に
はミクロの相分離が生じており、換言すれば2種
以上の重合体が分子的に混じり合わず夫々同じ組
成の重合体がミクロの集合体(アグレゲート)を
つくり、このミクロ集合体が混じり合つている状
態になつている。 理想的に交互浸入網目構造をとらせるには架橋
性官能基をもつ分子すなわち架橋性単量体ないし
オリゴマーの状態で用いこの単量体ないしはオリ
ゴマーを架橋縮合させ、縮合に際して共存する重
合体分子を交絡しながら高分子に成長させるのが
よいことを本発明者らは見出し、これに改良を加
えて本発明に到達した。本発明者は又水溶性高分
子は、交互浸入網目構造の中に交絡されると水に
は膨潤するが溶けなくなることを見出し、しかも
水に不溶となつても絡み合つていて不溶なのであ
り水溶性高分子が化学変性を受けているわけでな
いため、その作用は本質的に全く変わつていない
のである。ヘパリンは従来の抗凝血性を発揮する
し、コンドロイチン硫酸やポリサツカライドは元
来の抗血栓性を発揮する。又プロピレングリコー
ルやポリエチレングリコールは血液中のアルブミ
ンを選択的に吸着する性質をもつていることを見
出した。 以下本発明について詳述する。 本発明は血管補綴物の少なくとも血液接触面を
水溶性高分子をポリシロキサン分子の網目に交絡
させた交互浸入網目構造物で処理したものであ
る。水溶性高分子としてはすでに述べた高分子を
含めて、水溶性の合成高分子、天然高分子が広く
用いられるが、殊に好ましいものはポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエ
チレングリコール−ポリプロピレングリコール共
重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアル
コール、ゼラチン、ヘパリン、アテロコラーゲ
ン、コンドロイチン硫酸、ポリサツカライド(多
糖類)、アルギン酸可溶性ヘパリン誘導体からな
る群から選ばれた少なくとも一つを用いることに
ある。本発明はこれらの水溶性及び/又は水膨潤
性高分子を、有機溶媒に溶かす点に特徴がありか
つ本発明で用いる珪素化合物は、重合体でなくモ
ノマー(単量体)もしくはオリゴマー(分子中に
珪素原子が10以下好ましくは3ケ以下)であり、
網目構造を有するポリシロキサンを形成させるた
めに、活性化処理によつて架橋性官能基(水酸
基)を3ケ以上生じるような低分子の含珪素架橋
剤を必須成分として使用する。 ここでいう含珪素架橋剤をその分子内に1ケ以
上10ケ以下好ましくは3ケ以下有し、適当な活性
化手法によつて架橋能を生じるような官能基を有
する化合物を指し、具体的にはシリコンゴムやシ
リコン樹脂の室温架橋剤、シランカツプリング剤
として知られている公知の化合物が広く用いられ
る。 これらの含珪素架橋剤として、水によつて活性
化される官能基を有するものが好ましく用いられ
る。これらの代表例は〓SiO−COR、〓Si−OR
(R:CH3、C2H5、C3H7、C4H9等の炭化水素)、
〓Si−OX、〓Si−X(X:Cl、Brなどのハロゲ
ン)、Si−NR2(R:上記と同じ)などがある。こ
のような含珪素架橋剤を用いたときに生成される
架橋含珪素重合体はポリシロキサン構造をとる。 水によつて活性化して架橋能を発揮し、ポリシ
ロキサン架橋体を形成する分子内に珪素原子1ケ
を有する含珪素架橋剤の例としては一般式 RnSiR′4-o(式中Rはアルキル基、アリール基
などの炭化水素残基を、R′はアルコキシ基、ア
シルオキシ基、ハロゲン又はアミン残基、nは
0、1を表す)で表される化合物がある。 具体的な例としては、たとえばテトラアセトキ
シシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチル
トリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシ
シラン、ブチルトリアセトキシシラン、フエニル
トリアセトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシ
シラン、フエニルトリエトキシシラン、プロピル
トリエトキキシシラン、ブチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルト
リメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、
あるいはテトラクロロシラン、メチルトリクロロ
シラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリク
ロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビス
−(N−メチルベンジルアミド)エトキシメチル
シラン、トリス−(ジメチルアミノ)メチルシラ
ン、ビニルトリクロロシラン、トリス−(シクロ
ヘキシルアミノ)メチルシラン、ビニルトリエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、テトラプロポキシシラン、ジビニル
ジエトキシシランなどを代表例として挙げること
ができる。 又、珪素をその分子中に2ケ含む含珪素架橋剤
の代表例しては、例えば、テトラアセトキシジシ
ロキサン、1,3−ジメチルテトラアセトキシジ
シロキサン、1,3−ジビニルテトラエトキシジ
シロキサンのような一般式 RnR3-o′−Si−O−SiRnR′3-o(式中n、m=
0、1、2、3、n+m=0、1、2、3のいず
れか、Rは架橋能のない炭化水素残基、R′、
R″は適当な活性化手段で架橋能を示す基を示す)
で表される化合物が挙げられる。 珪素をその分子中に3ケ含む含珪素架橋剤の例
としては1,3,5−トリメトキシ−1,1,
3,3,5,5ペンタメチルトリシロキサン、
1,1,3,3,5,5−ヘキサアセトキシ−
1、5−メチルトリシロキサンなどを挙げること
が出来る。 これらの含珪素架橋剤としては公知の室温架橋
型のシランカツプリング剤が広く用いられ、例え
ばPetrarch System Inc.(ペトラーチシステムイ
ンコーポレイテツド)発行のカタログSilicon
Compounds、Register&Review 1979や同
社のSilicones 1981に記載されているすべ
ての含珪素架橋剤を用いることが出来る。 以上に述べた架橋性(即ち3官能性)の含珪素
化合物に加えて2官能性の縮合によつてSi−O−
Si結合を順次生じてポリシロキサンを生じるよう
な低分子の含珪素化合物を併用してよいことは勿
論である。このような2官能性の含珪素化合物と
して、珪素原子に2ケの炭化水素基を有し、分子
中に2ケの水によつて活性化されて架橋能を生じ
る官能基を有する、たとえば一般式() (式中R1〜R4は同種又は異種の炭化水素基、n
は0,1,2,3等の正の整数、Y及びY′は同
種又は異種の水によつて活性化される架橋性官能
基をそれぞれ表す) で示される含珪素化合物がある。これらの化合物
は、珪素原子に2ケの架橋性のない炭化水素基と
分子中に2ケの架橋性官能基を含有するものの例
としてはジメチルジアセトキシシラン、ジエチル
ジアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジ
メトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ
メチルジクロロシラン、メチルフエニルジアセト
キシシラン、ジフエニルアセトキシシラン、ジベ
ンジルアセトキシシラン、ジビニルジエトキシシ
ラン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−
ジアセトキシシラン、1,1,3,3−テトラメ
チル−1,3−ジメトキシシラン、1,1,3,
3−テトラエチル−1,3−ジエトキシシラン、
1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5
−ジアセトキシシラン、1,1,3,3,5,5
−ヘキサエチル−1,5−ジエトキシシラン、
1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5
−ジメトキシシラン、1,1,1,5,5,5−
ヘキサメチル−3,3−ジアセトキシシラン、
1,1,1,3,5,5−ヘキサメチル−3,5
−ジアセトキシシランなどが挙げられる。 いずれにせよ本発明に用いられる含珪素化合物
は系に均一に溶解することが必要で、一分子中に
珪素原子が10ケ以下、好ましくは3ケ以下である
ことが望ましく珪素原子が多いと(分子量が高い
と)均一溶解がむずかしくなる。これは好ましい
交互浸入網目構造を形成させるのに大切な事柄で
ある。 本発明における架橋性の含珪素化合物なる言葉
には3官能以上の伝性基をもつ含珪素架橋剤と2
官能の縮合能のある含珪素化合物との混合物も含
むものとする。 さて本発明の血管補綴物の少なくとも内面を本
発明の親水性高分子の交互浸入網目構造に形成さ
せるには、まず加工用の処理液を調製するが、こ
の調製方法は、まず水溶性又は水膨潤性高分子を
有機溶剤に溶解し、均一の溶液となし、この溶液
に、上述の架橋性含珪素化合物を添加して均一な
溶液とする。この溶液に適当量の水を添加し、あ
る程度珪素化合物を一部活性化し、共存する水溶
性又は水膨潤性高分子の間をぬつて架橋反応溶液
がゲル化をおこさない程度におこさせてもよい。
含珪素化合物は水と反応してシラノールを生じる
が低分子であるためと生じた親水性−OHの作用
で水系媒体中で水溶性高分子と自由に混じり、そ
の状態で含珪素化合物間で縮合反応が進み、水溶
性高分子を交絡しつつ溶液を形成する。このよう
に予め、初期の交互浸入網目前駆体をつくつた溶
液で血管補綴物の処理をすると、被処理血管補綴
物において更なる架橋を伴つた縮合反応が進行し
てより完全な交互浸入網目構造をとらせることが
出来る。 この処理溶液での重要な特徴は縮合によつて生
成するポリシロキサンと水溶性又は水膨潤性高分
子とは原則として化学的に反応しておらず、分子
に交絡していることである。これまでに水溶性高
分子、たとえばゼラチンをコーテイングし、これ
を水に不溶性にするためにホルムアルデヒドやグ
ルタルアルデヒドで架橋処理する方法などが試み
られているが、この場合には2官能のアルデヒド
基が水溶性高分子のゼラチンと反応して架橋する
ものであり、架橋はゼラチン分子自身をとりこん
だ架橋となつている。 本発明の溶液を塗布すると溶媒が蒸発して濃度
が上昇し適度のミクロ相分離を生じるが水溶性又
は水膨潤性高分子と縮合ポリシロキサンとはから
まつており、空気中の水分を吸つて含珪素化合物
は次第に活性化し、時間とともに、結合、架橋が
進行しポリシロキサンも不溶性の架橋構造となり
この網目に前記水溶性高分子、水膨潤性高分子が
交絡する。興味あることは水溶性高分子又は水膨
潤性高分子を用いているが、水を用いていないの
で塗布時にはポリマーは全く膨潤していない状態
で塗布される。すなわち人工血管の組織物や
PTEF人工血管のフイブリル内、あるいはポリウ
レタンの血管の多孔質の孔の中に水溶性又は水膨
潤性ポリマーが疎水性のポリシロキサンに囲まれ
て非膨潤状態で存在する。このことが大変重要で
ある。すなわちこれらの血管に生理食塩水なり血
液が接すると、水溶性高分子も水膨潤性高分子も
吸水して膨潤して孔をふさぎ漏血を防止するので
ある。本発明では架橋ポリシロキサン分子のみに
おいて生じ水溶性高分子は物理的な交絡によつて
不溶化している点に重要な意義がある。この方法
では水溶性高分子は化学変性を受けていないの
で、たとえば水溶性高分子がヘパリンやゼラチン
の場合、これらが固定された不溶になつているが
本来の性能、生体適合性は全く失われておらず、
しかもこれらの化合物はポリシロキサン網目に包
蔵されているのではなく交絡しているため、これ
らの分子鎖は、血液と接したときに水和して自由
に泳ぐように運動出来るものである。換言すれば
このような交互浸入網目分子に交絡した水溶性高
分子又は水膨潤高分子は血液の流れに流出せず、
しかも血管補綴物の表面に高濃度に存在すること
になる。又ここで重要なことは縮合によつて生じ
たポリシロキサンは疎水性となり交絡した水溶性
高分子との間で疎水性−親水性のミクロ不均質構
造を生じ、このような構造は生体の血管壁のミク
ロ構造と酷似しており、生体適合性ないし抗血栓
性に大きい寄与をしていると本発明者は考えてい
る。しかも水溶性高分子も水には膨潤するが溶け
ないので適度に血液の漏れを防ぎプレクロツテイ
ングが不要となる。これら高分子はいずれ生体に
吸収され内皮細胞に血管は覆われることになる。 本発明では、ポリシロキサン分子の網目分子構
造ネツトワークに可溶性ヘパリンを交絡させると
血管補綴物の血液接触面に生じる凝血を防止し、
もしくは凝血膜の生成のスピードを著しく遅延さ
せるか、もしくは生成した凝血栓膜の厚さを著し
く薄く抑制するのに卓効があり、交絡した高分子
化合物は、生体との親和性に富み内皮細胞の成育
を促進する。 このような水溶性高分子や水膨潤性高分子(い
ずれも親水性)をポリシロキサン網目分子(疎水
性)に交絡させたもので血液接触面を処理した血
管補綴物はまず血栓を生じ難いこと、血栓膜を生
じても非常に長時間を要し、しかも血栓膜が薄い
こと、内皮膜の生成にも時間を要するが、その間
に血栓の成長がなく、内皮膜の肥厚がないことな
ど長い間涎の的であつた小口径人工血管実用への
道を開いたものである。又漏血防止に与つた水溶
性高分子は、時間とともに生体に吸収され、つい
に完全に生体化する。生体吸収性のよい水溶性高
分子としてポリビニルアルコール、ポリエチレン
グリコール、ポリサツカライド、コンドロイチン
硫酸、アテロコラーゲン、ゼラチン、アルギン酸
などがある。 本発明に用いられるアテロコラーゲンは本来不
溶性のコラーゲンをペプシンで処理して可溶性と
したものであり、ゼラチンともども本来生体内に
存在するものであり、しかも抗原抗体反応はな
い。これらの天然の化合物は、内皮膜の生成に有
益な作用をするものと考えられる。 本発明に用いられるポリエチレングリコール又
はその共重合体、ポリビニルピロリドンは血液中
からアルブミンを選択的に吸着する特殊性があ
り、吸着したアルブミンは抗血栓付与に重要な役
割を果たす上、ポリエチレングリコールは繊維の
柔軟性を付与する性質があり、処理後の血管補綴
物が非常に柔軟性に富み、取り扱い易く、血管な
ど生体組織への縫合も容易である。柔軟性を与え
るにはポリエチレングリコールは液状のもの(分
子量600以下)のものを用いると最も効果がある
が、蝋状のもの(分子量800〜1500)、フレーク状
のもの(分子量1600〜3000)もいずれも用いるこ
とが出来る。ポリビニルアルコールは分子量300
〜5000までの間で用いることが出来るが鹸化度は
95%以上のものが好ましい。ポリビニルアルコー
ルは生体に対し異常な反応を全くおこさず、生体
適合性がよいので好ましく用いられる。ポリビニ
ルピロリドンは、代用血漿としても用いられるも
のであり分子量300〜10000までの間で好ましく用
いられる。又ジアセトンアクリルアミド重合体、
ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸(又はその塩)ポリヒドロキシエチル
メタクリレート、ポリヒドロキシアクリレートの
如き水膨潤性の大きい高分子も好ましく用いられ
る。これらの水溶性高分子あるいは水膨潤性高分
子は人工血管の組織の空隙の中にポリシロキサン
ネツトワークに交絡して存在し、水と接すると膨
潤して人工血管組織の空隙内にひろがりゲル状と
なるので血液の漏血を効果的に防止し、かつ血液
中のアルブミンを選択的に吸着して凝生体化する
ために血栓を生じないというおどろくべき特徴を
示すのである。 本発明に適用される人工血管は特に限定する必
要はないが、ポリエステル繊維編織物よりなる血
管補綴物、延伸フイブリル化処理した弗素樹脂系
のいわゆるEPTFE(Expanded Pobytetrafluor
Ehylene)及びポリウレタン製の血管補綴物が用
いられる。本発明はこれ以外の人工血管にも適用
出来、例えばコラーゲン繊維の編織血管補綴物や
動物の生体の一部を利用した例えば豚の尿道組織
を利用した人工血管、牛頚動脈を利用したもの、
人臍帯静脈血管などを利用したものにも適用出来
る。血管補綴物としては人工血管や心臓用パツ
チ、心臓血管系パツチ、抹消血管系パツチなども
含まれる。 処理する方法は、方法の処理液に、上記血管補
綴物を充分に浸漬し、血管補綴物の表面を充分に
接触させて編織網目、ないしフイブリル化した微
細繊維部に充分にぬらして乾燥すればよい。乾燥
によつて有機溶剤が蒸発し一方空気中より水分を
吸収して珪素化合物は架橋反応をも含んだ縮合重
合を行い不溶性のポリシロキサン分子架橋体とな
り、水溶性又は水膨潤性高分子を交絡して本発明
の加工処理が完成する。又この浸漬の前に予めグ
ロー放電、高周波単極火花放電を行つて処理液と
血管補綴物の内面の親和性をあげてもよい。溶剤
の蒸発に伴つて用いた高分子、シロキサン成分は
濃縮し、縮合架橋反応が進行して分子網目を遂次
完成し、本発明の加工処理が完成する。加工処理
むき血管補綴物が弗素樹脂系のPTFEの場合やポ
リウレタンの場合、処理表面の疎水性を減じるた
めに予め水溶性の有機溶剤、例えばテトラヒドロ
フラン、アセトン、アルコールなどで処理して、
これらの溶剤で加工表面をぬらした上で本発明の
加工処理を行うと、血管補綴物の表面を満遍なく
行えて好ましい。 〔作用〕 本発明の特徴は、すでに詳細にのべたように第
1に、血管補綴物の血栓膜の形成を遅延させかつ
生成膜が薄いこと、第2に内生膜が薄く、この膜
が肥厚しないこと、したがつて第3の特徴として
小口径人工血管が長期に亘つて開存性を保つこ
と、第4に本加工処理によつて、形成は漏血がほ
とんどなく従来のいわゆるプレクロツテイングが
不要であること、第5に本加工処理によつて編織
物繊維同志が接着するために、繊維のほつれがな
いことなどの特徴を有している。本発明において
従来ポリエステル繊維では、内皮膜生成を促進す
るため有孔性が必要であり、一方この有孔性のた
めに漏血が生じ、これを防ぐために、治療前に患
者の血液で処理してその孔を患者自身の血液で凝
血させることによつて穴ふさぎを行うプレクロツ
テイングが不可欠とされていた。本発明は水溶性
の高分子を分子交絡によつて不溶化しているため
に、これらの水溶性分子は溶出しないが水を吸収
して膨潤するために血液の漏出を防ぎプレクロツ
テイングの必要をなくしたものでこの点のみをも
つてしても大きい意義を有するものである。 以下、本発明を更に具体例によつて詳細に説明
するが本実施例は決して特許請求の範囲を制限す
るものではない。 実施例 1 交互浸入網目高分子溶液の調製1−(1) ポリエチレングリコール(分子量6000)をテト
ラヒドロフランに溶解し、35%溶液として室温で
激しく撹拌しながら、トリアセトキシシランの30
%溶液を注意深く滴下した。ポリエチレングリコ
ールとトリアセトキシシランの重量比は3/2で
ある。滴下終了後、更に一時間撹拌を続行して得
た溶液を調製溶液(1−(1))とする。 交互浸入網目高分子溶液の調製1−(2) ポリビニルアルコール(重合度1800、鹸化度
99.8%)をジメチルスルホキシド18%溶液とし
た。35℃に保ち、用いたポリビニルアルコールに
対し40重量%のテトラアセトキシシラン−ジアセ
トキシジメチルシラン混合物(8:2)のジメチ
ルスルホキシド溶液を注意深く滴下した。溶液は
透明の清澄液である。これを調製溶液(1−(2))
とする。 交互浸入網目高分子溶液の調製1−(3) 調製溶液(1−(1))に2%に相当する水を加え
て時折撹拌して一週間熟成した溶液の性状は見か
け上ほとんど変わらない透明溶液である。これを
調製溶液(1−(3))とした。 交互浸入網目高分子溶液の調製1−(4)〜(7) ポリビニルピロリドン、アテロコラーゲン、ポ
リエチレングリコール−ポリプロピレングリコー
ルブロツク共重合物を夫々用い、これらのテトラ
ヒドロフラン溶液をつくり、これに用いた高分子
と同量(重量)のテトラエトキシシラン−ジエト
キシジメチルシラン混合物(1:2)を滴下し、
35℃で3時間撹拌した。このように調製した溶液
を夫々調製液1−(4)、1−(5)、1−(6)、1−(7)と
した。 実施例 2 交互浸入網目高分子溶液の調製2−(1) 市販ヘパリンナトリウム塩(164単位/mg)3.6
gの10%水溶液中に、セチルピリジニウムクロリ
ド7.4gの5%水溶液をかきまぜながら加え、生
じた白色析出物を、遠心分離し、くり返し水洗し
て単離、精製し、凍結乾燥後五酸化リン上で真空
下に2日間乾燥してヘパリンセチルピリジニウム
塩9.3gを得た。 ヘパリンセチルピリジニウム塩10重量部をジク
ロロメタンに溶かして4%溶液とし、これにメチ
ルトリアセトキシシラン−ジメチルジアセトキシ
シラン混合物(1:2)を12重量部加えて均一溶
液を得た。この溶液を調製溶液(2−(1))とし
た。 参考例 1 含ヘパリン溶液の調製−参考溶液(R−1) 実施例2で得られたヘパリンセチルピリジニウ
ム塩10重量部をジクロロメタンに溶かして4%溶
液とし、これに信越化学製−液型室温硬化シリコ
ーンゴムKE42RTV6重量部を加え激しく撹拌し
た。用いたシリコーンゴム液はジクロロメタンに
溶けず微粒子として分散した。放置するとシリコ
ーンゴム液は溶けずに二層に分離する。使用前に
激しく撹拌したものを参考溶液(R−1)とし
た。 交互浸入網目高分子溶液2−(2) 重合度20000のポリエチレングリコール(フレ
ーク状)と重合度500のポリエチレングリコール
(液状)の80:20混合物をジクロロメタンに溶か
し、8%溶液とした。これにポリエチレングリコ
ールの30重量%に相当するヘパリンセチルピリジ
ニウム塩を加えてよく混合し、均一な溶液とし
た。これに用いたポリエチレングリコールに対し
て80重量%のテトラアセトキシシランを加えて撹
拌した。これを調製溶液(2−(2))とする。 交互浸入網目高分子溶液の調製2−(3) ゼラチンをジメチルホルムアミドに溶かし濃度
を1.0%とした。これにメチルトリアセトキシシ
ラン−ジメチルジアセトキシシラン(3:7)を
ゼラチンと同量加えて均一溶液とし調製溶液(2
−(3))とした以外は上の例と同じである。得られ
た溶液を調製溶液(2−(3))とする。 交互浸入網目高分子の調製2−(4) 溶媒としてジメチルホルムアミド混合液を用い
た以外は2−(1)と同様である。この例の調製溶液
を2−(4)とする。 実施例 3 交互浸入高分子溶液の調製3−(1) (1) ポリビニルアルコールピロリドン(分子量
40000)5%、ポリエチレングリコール(重合
度1300)5%を含むジオキサン溶液にテトラエ
トキシシランをポリマーの3倍重量部添加し、
40℃で激しく撹拌均一な溶液を得た(調製溶液
3−(1))。この溶液は2ケ月を経ても全く安定
であつた。 (2) 分子量60000のポリエチレングリコール1%、
分子量360000のポリビニルピロリドン5%を含
む酢酸エチル−テトラヒドロフラン(1:2)
溶液をつくり、これに上記ポリマーの総重量と
同量のトリアセトキシシラン−ジアセトキシジ
メチルシラン混合物(7:3)のテトラヒドロ
フラン溶液を撹拌下に滴下し、均一な溶液と
し、これに系の0.5%の水を加え充分に撹拌し
た。 2週間後も外見上全く変わらぬ透明溶液であ
る(調製溶液3−(2))。 (3) 重合度800のポリサツカライド7%、分子量
60000のポリエチレングリコール5%を含むジ
メチルアセトアミド溶液に、テトラアセトキシ
シラン−ジアセトキシジメチルシラン(1:
1)混合物のジオキサン溶液を添加して撹拌
し、均一な溶液を得た(調製溶液3−(3))。 (4) セラチンとアテロコラーゲン(1:1)混合
物1.5%、ポリエチレングリコール5%を含む
ジメチルホルムアミド溶液を60℃に保つて均一
の溶液とし、これにテトラメトキシシラン−ト
リメトキシシランの混合物(6:4)を添加
し、50℃で撹拌し均一溶液を得た(調製溶液3
−(4))。 実施例 4 加工処理−ポリエステル系人工血管 内径10mm、4mm、3mm、2mmのポリエステル繊
維(テトロン )の平織による、蛇腹加工をほ
どこした人工血管を用意した。 本人工血管の織物は0.3dのポリエチレンテレフ
タレート長繊維から織られたもので有孔度は120
(ml/cm2/120mlHg)であつた。 これらの人工血管を、実施例1、2、3で調製
した各処理液に夫々5分〜10分浸漬し、殊に人工
血管の内腔に満遍なく漬し、内部より外部へ溶液
が移動するように強制した。処理を終つた人工血
管は風乾した。 実施例 5 加工処理−ポリウレタン系人工血管 メデイカルグレードのポリエーテル系ポリウレ
タンをテトラヒドロフランに溶かし24%溶液とし
湿式法でチユーブをつくつた。このチユーブは膜
壁がスポンジ状の構造を有している。このように
用意したポリウレタン人工血管の内径は3mmと10
mmである。これらを用いて、実施例1、2、3で
調製した処理溶液で血管内面に浸漬処理するが、
このポリウレタン人工血管のスポンジ空隙間に処
理溶液がゆきわたるように、人工血管を適度に引
つ張つたり軽くおさえたりして充分に処理液が各
微細にフイブリルに接触するようにする。処理後
の人工血管は風乾した。 実施例 6 実施例4で加工処理した人工血管を用いて、雑
種成犬を用いて腸骨動脈と端一端結合で人工血管
の移植施術を夫々10例づつ行い、その結果を下記
に一括して示した。
【表】 実施例 7 実施例5でつくつた3mm血管を用いて雑種成犬
の大腿動脈に移植した結果を下記に示す。各10例
づつ行つた。
【表】 実施例 8 市販のダクロン織物製及びテフロンフエルト製
のパツチを夫々処理液2−(1)、2−(2)、3−(1)で
処理し、雑種成犬の下向大動脈に補綴した。3ケ
月後取り出してみる。ほとんど血栓がなく内皮細
胞も幼若であつた。 一方、処理しないものは一面に血栓が覆つてお
り、内皮細胞が成育していたがその厚みは約1mm
に達していた。 尚、短期での比較のために全く同じ条件で実験
して一週間後に取り出したものを比べると未処理
のものは一面に血栓が生じていたが、上記の処理
を行つたものは全く血栓がみられなかつた。 比較例 2 実施例2の2−(1)溶液と参考例R−1溶液で処
理した人工血管(ダクロン製4mm)を用いて37℃
の流れ巾でヘパリンの脱落量を調べた。経時的に
とつたデータをまとめると次のようである。
【表】 R−(1)はIPNになつていないので1ケ月後には
90%のヘパリンが流出してしまうが2−(1)はIPN
を形成するのでヘパリンは長時間保持されること
が示されている。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 水溶性及び/又は水膨潤性の高分子化合物を
    有機溶剤に溶解して得られる溶液に、水によつて
    活性化し、縮合反応によつてポリシロキサンを生
    成する同一分子中に10ケ以下の珪素原子を有する
    架橋性の含珪素化合物を加え、得られた溶液で血
    管補綴物を処理し、架橋ポリシロキサンと、これ
    によつて不溶化した水溶性及び/又は水膨潤性高
    分子とから構成される組成物を前記血管補綴物に
    形成させたことを特徴とする血管補綴物の製造方
    法。 2 水溶性及び/又は水膨潤性の高分子化合物と
    前記架橋性含珪素化合物とを含む有機溶液に、水
    を所定量加えたのち、血管補綴物を処理すること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の血管
    補綴物の製造方法。
JP60087847A 1985-04-24 1985-04-24 血管補綴物 Granted JPS61263448A (ja)

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