JPH1186761A - 陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】外囲器に作用する大気圧を効果的に支持できる
とともに、蛍光体スクリーン上に形成されたメタルバッ
ク層の剥がれを防止可能な陰極線管を提供することにあ
る。 【解決手段】内面に蛍光体スクリーンおよびメタルバッ
ク層が形成されたフェースプレートと、リアプレートと
の間には、これらに作用する大気圧荷重を支持するプレ
ート支持部材１６が設けられている。プレート支持部材
は、上記リアプレートに当接した基端部と、上記メタル
バック層に当接した先端部と、を有している。先端部
は、メタルバック層に向かって先細の楔状に形成され、
かつ、メタルバック層との接触端１６ａは、櫛歯状に形
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は陰極線管、特に、
１つの蛍光体スクリーンを複数の領域に分割して走査
し、各領域に描かれる画像を合成して１つの大きな画像
を描写する陰極線管に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、高品位放送用あるいはこれに伴う
大画面をもつ高解像度陰極線管が望まれており、そのス
クリーン表示性能については一段と厳しい性能が要望さ
れている。これらの要望を達成するためには、スクリー
ン面の平坦化、高解像度化、偏向収差低減が必須であ
り、同時に、陰極線管の軽量、薄型化も図る必要があ
る。

【０００３】このような要望を満たす陰極線管として、
特開平５−３６３６３号公報には、平坦なフェースプレ
ートの内面に形成された一体構造の蛍光体スクリーン
を、複数個の電子銃から射出される電子ビームを複数個
の偏向装置により偏向し複数個の領域に分割して走査す
るようにした陰極線管が示されている。

【０００４】この陰極線管によれば、一体化構造の蛍光
体スクリーンが形成された平坦なフェースプレートと、
側壁を介してフェースプレートに対向配置された平坦な
フェースプレートと、リアプレートに接合された複数の
ファンネルと、各ファンネルに接合されたネックと、に
より真空外囲器が構成されている。

【０００５】上記構成の真空外囲器では、スクリーン面
が大型になると、大気圧に耐えられるように、フェース
プレートやリアプレートの肉厚を厚くしたり、あるい
は、管軸方向の曲率を大きくする必要がある。肉厚を厚
くした場合、真空外囲器の重量が増加してしまうととも
に、曲率を大きくした場合には、周辺から画像を見にく
くなってしまう。

【０００６】そこで、この種の陰極線管においては、フ
ェースプレートとリアプレートとの間にプレート支持部
材を配置し、真空外囲器に作用する大気圧を支持する構
成を採用している。このプレート支持部材は、その一端
がリアプレートに接触し、他端がフェースプレート内面
に形成された蛍光体スクリーンに当接している。そし
て、プレート支持部材の蛍光体スクリーン側の端部は楔
状に形成されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たプレート支持部材を用いた場合、以下の問題が生じ
る。すなわち、一般に、フェースプレート内面に形成さ
れた蛍光体スクリーン上には、メタルバック層としての
アルミ膜が形成されている。通常、このアルミ膜は蒸着
により形成されているため、非常に薄く、また、剥がれ
易い。そして、フェースプレートとリアプレートとの間
に配置されて大気圧を支持するプレート支持部材は、楔
状の先端部が蛍光体スクリーンおよびアルミ蒸着膜に接
触することとなる。

【０００８】この場合、アルミ蒸着膜の内、プレート支
持部材先端に接触した部分は、当然破れることにる。プ
レート支持部材の先端部との接触部分のみでアルミ蒸着
膜が破れる場合には大きな問題とならないが、接触部分
が大きいと、接触部分近傍のアルミ蒸着膜にも張力が加
わり、周辺部のアルミ蒸着膜まで一緒に剥がれてしま
う。

【０００９】また、アルミ蒸着膜が剥がれた部分に、陰
極線管製造時の振動や負荷が作用すると、アルミ蒸着膜
は、プレート支持部材との接触部分周辺のみならず、か
なり広い面積に亘って蛍光体スクリーンから剥がれてし
まう。

【００１０】このようにアルミ蒸着膜が剥離した状態で
画像を描写した場合、アルミ蒸着膜が剥がれた部分のみ
輝度が低下してしまい、輝度ムラとなって画像品位を劣
化させるとともに、分割走査された各画像の継目が目立
つことになる。更に、剥離したアルミ蒸着膜が真空外囲
器内を浮遊することになり、耐電圧特性の劣化を招くこ
とになる。

【００１１】上述したようなアルミ蒸着膜の剥離を防止
するためには、プレート支持部材先端部の面積を小さ
く、例えば、針状とすることで、アルミ蒸着膜との接触
面積を小さくすることが考えられる。しかしながら、接
触面積を小さくした場合には、プレート支持部材の本来
の機能である大気圧支持機能が低下する。そのため、プ
レート支持部材先端部を針状として接触面積を減少させ
た場合、真空外囲器全体を大気圧から支持するめには、
プレート支持部材の数を大幅に増加する必要があり、実
用的ではない。

【００１２】この発明は上記問題点に鑑みなされたもの
で、その目的は、平坦なフェースプレートの内面に形成
された蛍光体スクリーンを複数の領域に分割して走査す
る陰極線管において、外囲器に作用する大気圧を効果的
に支持できるとともに、蛍光体スクリーン上に形成され
たメタルバック層の剥がれを防止可能な陰極線管を提供
することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る陰極線管は、実質的に矩形状のほぼ
平坦なフェースプレート、およびフェースプレートとほ
ぼ平行に対向配置された実質的に矩形状の平坦なリアプ
レートを有する真空外囲器と、上記フェースプレートの
内面に形成された蛍光体スクリーンと、上記蛍光体スク
リーンに重ねて形成されたメタルバック層と、上記フェ
ースプレートとリアプレートとの間に配設され、上記真
空外囲器に作用する大気圧荷重を支える複数のプレート
支持部材と、上記蛍光体スクリーンを複数に分割した分
割画面の各々に電子ビームを照射する複数の電子銃と、
を備えている。

【００１４】そして、上記各プレート支持部材は、上記
リアプレートに当接した基端部と、上記メタルバック層
に当接した先端部と、を有し、上記先端部は、上記メタ
ルバック層に向かって先細の楔状に形成され、かつ、上
記メタルバック層との接触端は、櫛歯状に形成されてい
ることを特徴としている。

【００１５】上記のように、フェースプレートとリアプ
レートとの間に配置される各プレート支持部材のフェー
スプレート側の先端部を楔形状とし、かつ、メタルバッ
ク層との接触部を櫛歯状とすることにより、フェースプ
レートに加わる大気圧荷重をプレート支持部材の櫛歯状
先端部の全域で支え、大気圧によりフェースプレートに
生じる応力集中を分散して均一化し、実質的な接触面積
が減少することなく大気圧荷重を支持することが可能と
なる。

【００１６】また、プレート支持部材は、その接触端が
櫛歯状であるため、蛍光体スクリーン上に形成されたメ
タルバック層との接触面積を最小限とすることができ、
その結果、メタルバック層の剥離を低減することが可能
となる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態に係る陰極線管について詳細に説明する。図
１ないし図４に示すように、陰極線管は真空外囲器５を
備え、この真空外囲器は、実質的に矩形状の平坦なフェ
ースプレート１と、このフェースプレート１の周縁部に
接合され、フェースプレート１に対して実質的に垂直に
延在する枠状の側壁２と、側壁２に接合されフェースプ
レート１と平行に対向配置された実質的に矩形状の平坦
なリアプレート３と、リアプレート３に接合された複数
個のファンネル４と、を有している。

【００１８】リアプレート３には、複数個、例えば、２
０個の矩形状の開孔６が形成され、マトリックス状に並
んで、例えば、縦５列、横４列に並んで設けられてい
る。複数個のファンネル４は、それぞれ対応する開孔６
を囲むようにリアプレート３の外面に接合され、水平方
向（Ｘ方向）に５個、垂直方向（Ｙ方向）に４個、計２
０個設けられている。

【００１９】図５に示すように、フェースプレート１の
内面には、青、緑、赤に発光する垂直方向に延びたスト
ライプ状の３色蛍光体層Ｒ、Ｇ、Ｂと、この３色蛍光体
層間に設けられたブラックストライプ（光遮蔽層）９
と、を有する一体構造の蛍光体スクリーン８が形成され
ている。また、蛍光体スクリーン８上には、メタルバッ
ク層として機能するアルミ蒸着膜１１が形成されてい
る。

【００２０】真空外囲器５内には、蛍光体スクリーン８
に対向して、平坦なシャドウマスク７が配置されてい
る。このシャドウマスク７は、後述するように電子ビー
ムにより分割走査される蛍光体スクリーン８の複数個の
領域Ｒ１〜Ｒ２０に対応する有効部１０を有し、各有効
部には多数の電子ビーム通過孔が形成されている。

【００２１】また、シャドウマスク７は、蛍光体スクリ
ーン８の領域の水平方向の分割数に対応して、水平方向
に５つの分割マスク１２に分割され、各分割マスクは複
数個のマスク支持部材１４を介してリアプレート３上に
支持されている。フェースプレート１とリアプレート３
との間には、これらフェースプレート１およびリアプレ
ート３に加わる大気圧荷重を支える複数個の金属柱から
なるプレート支持部材１６が配置されている。

【００２２】複数個のファンネル４に設けられた各ネッ
ク１８内には、蛍光体スクリーン８に向けて電子ビーム
を放出する電子銃２０が配設されている。更に、各ネッ
ク１８の外側には偏向装置２２が装着されている。電子
銃２０から放出される電子ビームは、偏向装置２２の発
生する磁界により水平方向および垂直方向に偏向され、
シャドウマスク１５を介して蛍光体スクリーン８を複数
個の領域、図示例では水平方向に５個、垂直方向に４
個、計２０個の領域Ｒ１〜Ｒ２０に分割して走査する。
そして、この分割走査によって蛍光体スクリーン８上に
描かれる画像は、電子銃２０や偏向装置２２に印加され
る信号により繋がり、蛍光体スクリーン８の全面に切れ
目のない１つの大きな画像を再生する。

【００２３】前述したプレート支持部材１６は、真空外
囲器５のフェースプレート１およびリアプレート３に加
わる大気圧荷重を支持するために設けられ、それぞれ金
属丸棒で形成されている。図４ないし図６に示すよう
に、各プレート支持部材１６は、その基端がリアプレー
ト３に固定され、先端がメタルバック層１１に当接して
いる。そして、プレート支持部材１６の先端部は蛍光体
スクリーン８に向かって先細の楔状に形成されていると
ともに、メタルバック層１１に接触する接触端１６ａに
は、長手方向に沿って離間した複数の凹所１６ｂが形成
され、全体として櫛歯状に形成されている。

【００２４】これら複数のプレート支持部材１６は、分
割走査される複数の領域の境界上に配置されている。ま
た、各プレート支持部材１６は、その接触端１６ａが蛍
光体スクリーン８のブラックストライプ９と対向してメ
タルバック層１１に接触し、かつ、接触端１６ａの長手
方向がブラックストライプ９の長手方向と一致するよう
に配置されている。

【００２５】上記のように構成された陰極線管におい
て、一般に、大気圧によってフェースプレート１に生じ
る応力は、プレート支持部材１６の個数、間隔にも関係
するが、フェースプレート１側に当接するプレート支持
部材の接触端１６ａの面積が小さい場合、プレート支持
部材の個数や間隔よりも当接端１６ａの面積および形状
に支配される。

【００２６】図７（ａ）、７（ｂ）は、フェースプレー
ト１とリアプレート３との間にプレート支持部材を配置
した場合に、フェースプレートに生じる応力分布をコン
ピュータによってシュミレーションした結果を示してい
る。

【００２７】図７（ａ）は、当接端１６ａの長さＬを１
０ｍｍとし、かつ、櫛歯状に加工した本実施の形態に係
るプレート支持部材１６を用いた場合の応力分布を示し
ている。また、図７（ｂ）は、比較例として、当接端の
長さを１０ｍｍとして、かつ、平坦に形成したプレート
支持部材を用いた場合の応力分布を示している。

【００２８】これらの比較から明らかなように、接触端
１６ａを櫛歯状とした本実施の形態に係るプレート支持
部材１６では、接触端の長手方向両端部での応力集中は
極めて小さくなり、接触端１６ａの全長に亘って応力が
均一化する。

【００２９】従って、上記プレート支持部材１６を用い
ることにより、フェースプレート１を効果的に支持する
ことができ、プレート支持部材とフェースプレートとの
接触面積が減少しても充分大気圧を支持することが可能
となる。

【００３０】同時に、プレート支持部材１６の接触端１
６ａが櫛歯状に形成されていることから、接触端の長手
方向長さが従来のプレート支持部材と同一の場合でも、
メタルバック層１１に対する接触面積を充分に小さくす
ることができる。そのため、メタルバック層１１に作用
する張力は最小限となり、メタルバック層の剥離を防止
することができる。また、櫛歯状接触端１６ａの面積が
小さいため、プレート支持部材１６が蛍光体スクリーン
８のブラックストライプ９に対して多少回転した状態で
配置されている場合でも、描写される画像中におけるプ
レート支持部材の存在を目立たなくすることができる。

【００３１】なお、この発明は上述した実施の形態に限
定されることなく、この発明の範囲内で種々変更可能で
ある。例えば、プレート支持部材は、円柱形状に限ら
ず、角柱形状としてもよく、また、接触端は平坦に限ら
ず、フェースプレート側に凸となる曲率が付けられた形
状と組み合わせてもよい。更に、複数叉は全部のプレー
ト支持部材を板状のプレート支持部材として用いること
も可能である。

【００３２】プレート支持部材は、金属に限らず、ガラ
ス、セラミック等の他の材料で形成されていてもよい。
また、上述した実施の形態においては、リアプレートに
接合されたファンネル内に電子銃を配置した陰極線管に
ついて説明したが、この発明は、例えば、線陰極と静電
偏向とを組み合わせた陰極線管にも適用可能である。更
に、この発明は、シャドウマスクを備えたカラー陰極線
管に限らず、シャドウマスクを持たない他の陰極線管に
も適用することができる。

【００３３】

【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、平坦なフェースプレートの内面に形成された蛍光体
スクリーンを複数の領域に分割して走査する陰極線管に
おいて、フェースプレートとリアプレートとの間に配置
される各プレート支持部材のフェースプレート側の先端
部を楔形状とし、かつ、メタルバック層との接触端を櫛
歯状とすることにより、外囲器に作用する大気圧を効果
的に支持できるとともに、蛍光体スクリーン上に形成さ
れたメタルバック層の剥がれを防止可能な陰極線管を提
供することができる。

【００３４】

【図面の簡単な説明】

【００３５】

【図１】この発明の実施の形態に係る陰極線管を示す斜
視図。

【００３６】

【図２】上記陰極線管の分解斜視図。

【００３７】

【図３】図１の線Ａ−Ａに沿った断面図。

【００３８】

【図４】図１の線Ｂ−Ｂに沿った断面図。

【００３９】

【図５】上記陰極線管の蛍光体スクリーンおよびメタル
バック層の断面図。

【００４０】

【図６】上記陰極線管におけるプレート支持部材を示す
斜視図。

【００４１】

【図７】上記実施の形態に係るプレート支持部材および
比較例に係るプレート支持部材を配置した場合に、フェ
ースプレートに生じる応力分布をコンピュータによって
シュミレーションした結果をそれぞれ示す図。

【００４２】

【符号の説明】

１…フェースパネル ３…リアパネル ４…ファンネル ５…真空外囲器 ７…シャドウマスク ８…蛍光体スクリーン ９…ブラックストライプ １１…メタルバック層 １６…プレート支持部材 １６ａ…接触端 １６ｂ…凹所 １８…ネック ２０…電子銃 ２２…偏向装置

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】実質的に矩形状のほぼ平坦なフェースプレ
   ート、およびフェースプレートとほぼ平行に対向配置さ
   れた実質的に矩形状の平坦なリアプレートを有する真空
   外囲器と、 上記フェースプレートの内面に形成された蛍光体スクリ
   ーンと、 上記蛍光体スクリーンに重ねて形成されたメタルバック
   層と、 上記フェースプレートとリアプレートとの間に配設さ
   れ、上記真空外囲器に作用する大気圧荷重を支えるプレ
   ート支持部材と、 上記蛍光体スクリーンを複数に分割した分割画面の各々
   に電子ビームを照射する複数の電子銃と、を備え、 上記プレート支持部材は、上記リアプレートに当接した
   基端部と、上記メタルバック層に当接した先端部と、を
   有し、 上記先端部は、上記メタルバック層に向かって先細の楔
   状に形成され、かつ、上記メタルバック層との接触端
   は、櫛歯状に形成されていることを特徴とする陰極線
   管。
2. 【請求項２】上記蛍光体スクリーンは、並列して形成さ
   れたストライプ状の多数の蛍光体層と、上記蛍光体層間
   に形成されたストライプ状の光遮蔽層と、を有し、 上記プレート支持部材の接触端は、上記光遮蔽層に対向
   して上記メタルバック層に当接しているとともに、上記
   光遮蔽層の長手方向に沿って延びていることを特徴とす
   る請求項１に記載の陰極線管。
3. 【請求項３】上記プレート支持部材の接触端は、上記分
   割走査される複数の領域の境界と対向するように配置さ
   れているとともに、上記境界に沿って延びていることを
   特徴とする請求項１叉は２に記載の陰極線管。
4. 【請求項４】上記プレート支持部材の接触端は、その長
   手方向に離間して設けられた複数の凹所を有し、全体と
   して櫛歯状に形成されていることを特徴とする請求項２
   叉は３に記載の陰極線管。