JPH1184693A - 電子写真用感光体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】感光層に新規な安定剤を添加し、オゾンや光に
よる感光体の劣化を防止して信頼性に優れる電子写真用
感光体を得る。 【解決手段】導電性基体１に支持された感光層６内の電
荷輸送物質を含む層４が一般式（Ｉ）で示されるキニン
化合物を0.010 〜5.0 重量％の範囲で含有する。（一般
式（Ｉ）においてＲはアルケニル基である。）

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電子写真方式のプリ
ンター，複写機などに用いられる電子写真用感光体に係
り、特に有機電子写真用感光体の感光層に添加して用い
られる酸化防止、光劣化防止用の安定剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】有機電子写真用感光体は導電性を有する
基板上に光導電性を有する有機化合物を含む感光層を積
層した構造を採り、感光層には単層型と積層型が知られ
ている。積層型は主として電荷発生の機能を有する電荷
発生層と、発生した電荷を輸送する電荷輸送層に機能分
離した構造であり、有機物質の選択性が高く、機能設計
も容易であり、また塗工法を採用して生産性が高いとい
った利点から複写機をはじめとして各種プリンターへの
応用が近年活発に研究されている。

【０００３】特に近年は電荷発生物質，電荷輸送物質の
開発が進んでいるが、該積層型の有機電子写真用感光体
を実用条件で長時間使用すると、帯電電位の低下，残留
電位の上昇，感度の低下等の問題が発生して鮮明な画像
が出なくなる。これらの外的な原因として、放電，帯電
プロセスで発生するオゾンに曝されることや、メンテナ
ンス時に強力な外光に曝されることなどがある。これら
の要因が感光体に与える影響は、該感光体をオゾン雰囲
気中に放置するか、あるいは所定光量を照射するといっ
た実験的方法で確認できる。

【０００４】上述の問題を解決するために酸化防止剤や
紫外線吸収剤として知られている添加剤を感光体に含有
させる試みが種々なされている。例えば酸化防止剤に
は、BHT,トコフェノールなどが用いられている。特開昭
５８−１６０９５７号公報には、電荷輸送層が持つ吸収
波長領域を包含した吸光特性を有する染料または紫外線
吸収剤の表面保護層中への添加が開示され、また特開昭
５８−１６３９４６号公報には電荷輸送層中への黄色染
料の添加が記載されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれらの
従来技術によってもいまだ十分な効果が得られていない
のが現状である。この発明は上述の点に鑑みてなされそ
の目的は、感光層に新規な安定剤を添加し、オゾンや光
による感光体の劣化を防止して信頼性に優れる電子写真
用感光体を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の目的はこの発明に
よれば導電性基体と前記基体に支持された感光層を有す
る電子写真用感光体において、感光層内の電荷輸送物質
を含む層が一般式（Ｉ）で示されるキニン化合物を0.01
0 〜5.0 重量％の範囲で含有することにより達成され
る。さらに好ましくは0.010 〜0.50重量％の範囲であ
る。

【０００７】（一般式（Ｉ）においてＲはアルケニル基
である。）

【０００８】

【化２】 感光層に含まれる一般式（Ｉ）のキニン化合物は、帯電
プロセスで発生するオゾンによる電荷輸送物質の酸化劣
化、あるいはメンテナンス時の強力な外光による電荷輸
送物質の光劣化を防止しあるいは著しくその進行を遅ら
せる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１はこの発明の負帯電積層型電
子写真用感光体を示す断面図である。図２はこの発明の
正帯電積層型電子写真用感光体を示す断面図である。図
３はこの発明の正帯電単層型電子写真用感光体を示す断
面図である。１は導電性基体、２は下引き層、３は電荷
発生層、４は電荷輸送層、５は表面保護層、６は感光層
である。

【００１０】以下負帯電積層型電子写真用感光体に適用
した場合について述べる。導電性基体としては、アルミ
ニウム製円筒やアルミニウム蒸着のフィルム等の導電性
基体単独，該導電性基体の表面をアルマイト化したも
の，あるいは樹脂皮膜などによる表面修飾を施したもの
等が用いられる。例えばアルミニウム製の肉厚1 mm、長
さ348 mm、外径30 mm の円筒基体を洗浄、乾燥したもの
が用いられる。表面修飾に用いられる高分子分散皮膜に
はカゼイン, ポリビニルアルコール,ナイロン, ポリア
ミド, メラニン, セルロースなどの絶縁性高分子、ポリ
チオフェン, ポリピロール, ポリアニリンなどの導電性
高分子、あるいはこれら高分子に金属酸化物粉末、低分
子化合物を含有させたものが用いられる。

【００１１】下引き層は例えばセルロース系樹脂，ポリ
アミド系樹脂，ポリビニルアルコール系樹脂，ポリエス
テル系樹脂等の樹脂あるいは樹脂中に無機フィラーを分
散させたものが用いられる。電荷発生層は電荷発生物質
と樹脂バインダーを用いて構成される。電荷発生物質と
しては、各種フタロシアニン化合物, アゾ化合物, 多環
キノン化合物, スクエアリウム化合物およびこれらの誘
導体を用いることができる。電荷発生層用のバインダー
としては、ポリカーボネート, ポリエステル, ポリアミ
ド, ポリウレタン, エポキシポリビニルブチラール, ポ
リビニルアセタール, フェノキシ樹脂, シリコーン樹
脂, アクリル樹脂, 塩化ビニル樹脂, 塩化ビニリデン樹
脂, 酢酸ビニル樹脂, ホマール樹脂, セルロース樹脂,
もしくはこれらの共重合体またはこれらのハロゲン化物
もしくはシアノエチル化合物が用いられる。

【００１２】電荷輸送層は、電荷輸送物質と樹脂バイン
ダーを用いて構成される。電荷輸送物質としては各種ヒ
ドラゾン化合物もしくはこれらの誘導体を単独あるいは
組み合わせて用いることができる。電荷輸送用の樹脂バ
インダーとしては、ポリカーボネート, ポリスチレン,
ポリフェニレンエーテルアクリル樹脂などを用いること
ができる。

【００１３】

【実施例】

実施例１ アルミニウム素管上に、以下の組成の下引き層用分散液
を浸漬により塗布し、135 ℃で30 min. 乾燥して膜厚0.
5 μm の下引き層を形成した。下引き層用分散液の組成
は以下の通りである。

【００１４】 ポリアミド (商品名：T171, ダイセルーヒュルス製) 4 重量部 スチレン- マレイン酸樹脂 ( 商品名：スプラパールAP, BASF JAPAN Ltd. 製) 1重量部 メタノール 200重量部 1-ブタノール 100重量部 次に、以下の組成の電荷発生層用分散液を浸漬により塗
布し、90℃で30min.乾燥して膜厚0.3 μm の電荷発生層
を形成した。

【００１５】電荷発生層用分散液の組成は以下の通りで
ある。 ビスアゾ化合物 1 重量部 ジアリルフタレート樹脂 ( 商品名: ダップK,大阪ソーダ製) 1 重量部 メチルエチルケトン 150 重量部 次に以下の組成の電荷輸送層用塗布溶液を浸漬により塗
布し、90℃で60min.乾燥して膜厚27μm の電荷輸送層を
形成した。

【００１６】電荷輸送層用塗布溶液の組成は以下の通り
である。 ヒドラゾン化合物 1000重量部 ビスフェノールA 型ビフェニル共重合ポリカーボネイト (商品名:BP-Pc, 出光興産製) 1000重量部 化学式（Ｉ‐１）に示すキニン化合物 0.02〜222 重量部※ 塩化メチレン 7000重量部 ※上述のキニン化合物の添加量は(0.001〜10重量％) の範囲に相当する。

【００１７】

【化３】 比較例１ 実施例１において化学式（Ｉ‐１）で示すキニン化合物
を配合しない他は実施例１と同様にして感光体を作製し
た。 比較例２ 実施例１において化学式（Ｉ‐１）で示すキニン化合物
に替えてBHT(50重量部) を配合する他は実施例１と同様
にして感光体を作製した。 比較例3 実施例１において化学式（Ｉ‐１）で示すキニン化合物
に替えてトコフェノール(50 重量部) を配合する他は実
施例１と同様にして感光体を作製した。 〔感光体の評価〕上述実施例1 と比較例1,2,3 に示す感
光体につき、耐オゾン性と耐強光疲労性を評価した。耐
オゾン性を評価する目的で各感光体をオゾン濃度100 pp
m の環境下に2 時間暴露し、暴露後の画像に履歴がある
かどうか調べた。さらに耐強光疲労性を評価する目的で
各感光体に1000 lx の光を5 min.照射し、照射後の画像
に履歴があるかどうか調べた。結果を表１に示す。

【００１８】

【表１】 以上の結果から明らかなように、比較例１〜３に示す感
光体は、オゾン暴露あるいは強光照射によって著しく感
光体特性が低下するが、実施例１に示す感光体はキニン
化合物の添加量が0.010 ないし5.0 重量％の範囲にある
場合にさらに好ましくは0.010 ないし0.50重量％の範囲
にある場合にオゾンによる画ボケ発生がなく強光照射に
よって画像に履歴を残さない特性の安定した電子写真用
感光体が得られる。

【００１９】

【発明の効果】この発明によれば感光層内の電荷輸送物
質を含む層が一般式（Ｉ）で示されるキニン化合物を0.
010 ないし5.0 重量％の範囲で含有するので、オゾン雰
囲気下あるいは強光照射下において特性の安定した電子
写真用感光体が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の負帯電積層型電子写真用感光体を示
す断面図

【図２】この発明の正帯電積層型電子写真用感光体を示
す断面図

【図３】この発明の正帯電単層型電子写真用感光体を示
す断面図

【符号の説明】

１ 導電性基体 ２ 下引き層 ３ 電荷発生層 ４ 電荷輸送層 ５ 表面保護層 ６ 感光層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】導電性基体と前記基体に支持された感光層
   を有する電子写真用感光体において、感光層内の電荷輸
   送物質を含む層が一般式（Ｉ）で示されるキニン化合物
   を0.010 〜5.0 重量％の範囲で含有することを特徴とす
   る電子写真用感光体。 （一般式（Ｉ）においてＲはアルケニル基である。） 【化１】