JPH1183820A - におい測定装置 - Google Patents

におい測定装置

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JPH1183820A
JPH1183820A JP9235898A JP23589897A JPH1183820A JP H1183820 A JPH1183820 A JP H1183820A JP 9235898 A JP9235898 A JP 9235898A JP 23589897 A JP23589897 A JP 23589897A JP H1183820 A JPH1183820 A JP H1183820A
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odor
measured
aqueous solution
gas
component
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JP9235898A
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English (en)
Inventor
Yoshio Hanasato
善夫 花里
Saori Kimura
さおり 木村
Akira Nushihara
昭 主原
Tomotsugu Kamiyama
智嗣 上山
Izumi Oya
泉 大家
Shozo Yoshida
昌三 吉田
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被測定水溶液中に含まれるにおい物質を感度
および精度よく測定できるにおい測定装置を提供する。 【解決手段】 被測定水溶液12に存在ししかもにおい
検出部11の応答に妨害を与える成分、例えばIC成分
またはIC成分起源のガスをにおい検出部に供給する前
に除去し、被測定水溶液中のにおいを測定する。そのた
めに、におい追い出し部13前段にIC成分を除去する
手段10を備えた。また、におい追い出し部の前段に設
けない場合は、におい追い出し部とにおい検出部との間
に、ガス中のIC成分起源のガスを除去する手段を備え
た。さらに、におい測定を高感度、高精度にするため
に、におい追い出し部とにおい検出部の間でにおい物質
を含んだガスを循環する手段を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶液に含まれる
においを精度良く簡易に測定できるにおい測定装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明における「におい」とはヒト、
犬、魚、昆虫、植物などの生物の感覚(検知器官として
鼻、触角を含む)によって検知できるものであり、含ま
れるモル濃度が10%程度以下の気体状態の物質のこと
である。言い換えれば、全気体に対して少量含まれる気
体状態の物質のことである。また、本発明におけるにお
い物質とは、においの原因となる上記気体状態物質の
他、におい物質が水溶液にそのまま溶解あるいはイオン
化して溶解するか、気体状分子のまま水溶液中に溶存し
ている物質まで含めて定義する。におい分子とはにおい
物質を構成する分子であり、1種類の場合もあれば複数
種類の場合もある。このとき単に混合している場合もあ
れば、複数の分子が結合している場合もある。また、生
物が同一のにおいと判断しても分子が異なる場合や、構
成する分子の存在比が異なる場合や、異なる物質が異な
る濃度で存在する場合もある。逆に生物が異なるにおい
と判断しても、単ににおい物質の濃度が異なる場合もあ
る。さらに、本発明における水溶液中に含まれるにおい
とは、水溶液などの溶媒に含まれるにおい物質が、気体
中に追い出され、この気体に含まれるようになった状態
でのにおい物質、および、気液平衡で気体状におい物質
となりうる溶液中に溶解・溶存しているにおい原因物質
を表す。
【0003】本発明におけるIC(Inorganic Carbon)成
分とは、水溶液中の有機性成分を計測する計測器である
全有機炭素(Total Organic Carbon:TOC)計により
計測されるIC成分のことである。TOC計は、酸素あ
るいは空気流とともに試料水を数百度に加熱した酸化触
媒充填管に送り込み、有機物質に含まれる炭素を二酸化
炭素に酸化し、その濃度を非分散型赤外分光計で計測す
るのもであるが、この場合、炭酸塩や溶存二酸化炭素な
どの無機物起源のIC成分も含む全炭素(TotalCarbon:
TC)に相当する測定値となる。そこで、IC成分の炭
素濃度は、150℃に保った酸性触媒充填管に酸素ある
いは空気をキャリアーガスとして試料水を送り込み、こ
こで酸化生成した二酸化炭素を測定する。TOCはTC
とICの濃度の差から求められる。このように、本発明
におけるIC成分は、TOC計でICの炭素濃度をもた
らす無機系の炭素含有化合物のことを指す。すなわち、
炭素酸化物および酸化により無機系炭素化合物ガスを発
生する無機炭素化合物のことを指す。
【0004】また、水溶液とは、半導体製造用に使われ
るイオンや有機物、溶存ガスの存在を極力なくした超純
水や、有機物、イオンがかなり除去された蒸留水、イオ
ンがかなり除去されたイオン交換水、飲料水として使わ
れる水道水、水道水の原料となる河川から供給される原
水、家庭あるいは工場などで使用された後の排水、下水
などがある。本発明における水溶液とは、上記の水溶液
のうち、その中に無機化合物である炭素や炭素酸化物、
炭酸ガス、炭酸塩、重炭酸塩、炭酸イオンなどの成分が
少なくとも一つ以上含まれている水溶液で、上で記した
水溶液の内、製造されて間もない超純水、蒸留水、イオ
ン交換水以外の水溶液を指す。超純水、蒸留水、イオン
交換水でもしばらく大気中に保存しておくと、大気中の
二酸化炭素が溶解してしまい、この場合は本発明の水溶
液に相当することになる。また、炭酸塩などをこれらの
水に溶解させた水溶液も本発明の水溶液に相当すること
になる。したがって、本発明の水溶液は、TOC計で計
測した場合にIC成分が検出される水溶液が全て対象と
なる。
【0005】においを測定する方法としては、現在、訓
練された人がにおいを判定する官能試験が行われてお
り、例えば、刊行物(「上水試験方法」厚生省生活衛生
局水道環境部監修、日本水道協会発行、P75)には、
検水100mL(ミリリットル)を40〜50℃に温め
た後、激しく振り、開栓と同時ににおいの有無および種
類を人が判断するように記述されている。しかし、この
方法ではにおいを感知する能力に個人差があること、体
調により感知能力が変化すること等が問題となる。
【0006】これらの問題を克服する目的で気体中のに
おい物質を計測することが出来るにおいセンサや液体中
でにおい原因物質を計測することが出来る味センサによ
るにおいの識別の研究開発が盛んに行われてきている。
においセンサは導電性高分子、金属酸化物半導体、脂
質、有機物等をガス感応膜とし、におい物質のガス感応
膜に対する吸着や化学反応によって生ずる電気伝導度、
質量の変化などを電気信号に変換するものである。そし
て、これを単一センサとして使用するのではなく、感応
膜の種類を変えてアレイ状に配置して、そこから得られ
る各素子のセンサのパターンからにおいの識別ができる
ものである。これについては、例えば特開平4−186
139号公報に記載されている。そして、これらを検出
素子として用いたにおい測定装置が開発されてきてい
る。
【0007】味センサは脂質、有機物等を感応膜とし、
水溶液中にそのままの状態あるいはイオン化して溶解し
ているにおい物質、あるいはガスとして溶存している物
質の感応膜に対する吸着や化学反応によって生ずる電気
伝導度、膜電位、質量の変化を電気信号に変換するもの
である。そして、これを単一センサとして使用するので
はなく、感応膜の種類を変えてアレイ状に配置して、そ
こから得られる各素子のセンサのパターンからにおいの
識別ができるものである。これについては、例えばアン
リツ(株)発行の刊行物(アンリツテクニカル No.71 Ma
r. pp.159-166 (1996) )に記載されている。そして、
これらを検出素子としてにおいの起源となる物質を水溶
液中で測定するにおい測定装置が開発されてきている。
なお、本発明では、においセンサおよび味センサをまと
めてにおい検出部と表現する。
【0008】図24は、従来のにおい測定装置の要部を
示す構成図である。図において、1はにおいセンサを搭
載しているにおい検出部、2は被測定水溶液、3は被測
定水溶液からにおい物質を気相に追い出す役目を果たす
におい追い出し部、4は被測定水溶液2をサンプリング
しこれをにおい追い出し部3に供給する被測定水溶液供
給部、5はにおい検出部1ににおい物質を供給するため
のキャリアーガスを調整および供給するキャリアーガス
供給部、6はにおい検出部1ににおい物質を引き込むた
めのポンプ、7は測定後の被測定水溶液2をにおい追い
出し部3から引き抜く被測定水溶液排出部、8は気体を
輸送するための配管(図中実線)、9は液体を輸送する
ための配管(図中破線)である。
【0009】図25は図24に示した装置を用いて、超
純水と、油臭を添加した超純水との識別を行った結果を
示す。この時用いた油臭添加超純水は、以下のようにし
て調整した。超純水に使用済みガソリン自動車用潤滑油
を混合し、油成分を分離除去し油飽和超純水溶液を得
た。次にこれを超純水を用いて4倍に希釈した水溶液を
油臭添加超純水とした。以上の調製は室温で実施した。
この時の油成分の濃度は、概略3〜5ppm程度となっ
た。また、におい検出部1には、32種類の導電性高分
子膜をセンサ素子とし、におい物質との相互作用でこれ
らの電気伝導度が変化するタイプのにおいセンサを用い
た。図25は、においセンサによる識別結果を2次元図
に表したものである。この2次元図は各センサ素子の応
答量をベクトル要素とみなした32次元空間を各測定点
間の距離が保たれるように2次元空間に投影したもので
あり、X軸、Y軸とも空間的距離を表しているがその単
位は任意(または無次元)である。以下本発明で記述す
る2次元のマッピング図はすべてこれと同じ手法で表示
している。この図において●印は油臭つき超純水を、黒
□印は超純水を表し、両者ともに6回づつ同じ測定を繰
り返したものである。なお、用いた超純水には、当然I
C成分は含まれていなかった。各試料(●印および黒□
印)がクラスターに分かれた時ににおい検出部1により
においが識別できたと判断でき、クラスターの重心間距
離が離れていればいる程、においに対する識別能力が高
いことを示し、クラスター内の分散が小さい程、安定
性、再現性が高いことを示している。
【0010】次に、同じ実験を原水を用いて実施した。
試料の調製の仕方は超純水の時と同じであるが、原水に
含まれているごみや小粒子を除くためにフィルターで濾
過した後使用した。その識別評価結果を2次元マップで
図26に示す。この図においては、●印が油臭付きの原
水であり黒△印が原水の測定結果を示している。油臭の
濃度は超純水と同程度の濃度で実施した。この場合、各
クラスターが重なってしまうことから、原水を用いた場
合では、このにおいセンサでは油臭が識別できていない
ことがわかる。なお、TOC計で計測した原水のIC成
分濃度は6ppmCであった。
【0011】さらに、同じ実験を水道水を用いて実施し
た。水道水を用いる場合には塩素が添加されていること
から、この塩素によるにおいセンサに対する応答の妨害
を防ぐため、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)水溶液を加
えて塩素を中和して用いた。また、原水のようには濾過
をせずそのまま用いた。図27に2次元マッピングでの
識別結果を示す。図中●印が油臭付き水道水、黒▽印が
水道水を示している。この場合の油臭の濃度も、超純水
の実験と同程度の濃度のものを用いた。水道水の場合
も、原水と同様に各試料のクラスターが分離していない
ことから、水道水の場合も油臭の識別ができないことが
明らかになった。なお、TOC計で計測した水道水のI
C成分濃度は6.2ppmCであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来のにおい測定装置
は以上のように構成されており、IC成分が混入してい
る水溶液では、におい検出部の感度および測定精度が極
端に悪くなり、一般ににおい監視装置が使用される河川
水や水道飲料水、工業用水、飲料水原料などでは測定で
きなくなるという問題があった。
【0013】本発明は上記のような従来のものの問題点
を解消するためになされたものであり、におい物質を感
度および精度良く測定できるにおい測定装置を提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係わるにお
い測定装置は、被測定水溶液中に存在ししかもにおい検
出部の応答に妨害を与える成分を除去する手段を備えた
ものである。
【0015】第2の発明に係るにおい測定装置は、被測
定水溶液中に存在する炭素酸化物および酸化により無機
系炭素化合物ガスを発生する無機炭素化合物からなるI
C成分またはIC成分起源のガスを除去する手段を備え
たものである。
【0016】第3の発明に係るにおい測定装置は、被測
定水溶液中のIC成分を除去する手段、IC成分を除去
された被測定水溶液中のにおいを追い出して被測定ガス
を得るにおい追い出し部、および被測定ガス中のにおい
を検出するにおい検出部を備えたものである。
【0017】第4の発明に係るにおい測定装置は、被測
定水溶液中のにおいを追い出して被測定ガスを得るにお
い追い出し部、被測定ガス中のIC成分起源のガスを除
去する手段、および被測定ガス中のにおいを検出するに
おい検出部を備えたものである。
【0018】第5の発明に係るにおい測定装置は、イオ
ン交換によりIC成分を除去するものである。
【0019】第6の発明に係るにおい測定装置は、イオ
ン交換によるIC成分除去手段の後段に、イオンの有無
を計測する手段を備えたものである。
【0020】第7の発明に係るにおい測定装置は、イオ
ン交換体を複数備え、イオン交換機能が低下したイオン
交換体を別のイオン交換体と交換するように構成したも
のである。
【0021】第8の発明に係るにおい測定装置は、イオ
ン交換機能の低下したイオン交換体を再生する機構を備
えたものである。
【0022】第9の発明に係るにおい測定装置は、被測
定水溶液を熱または電磁エネルギーで沸騰させることに
よりIC成分を除去するものである。
【0023】第10の発明に係るにおい測定装置は、被
測定水溶液の水素イオン濃度を調整することによりIC
成分を除去するものである。
【0024】第11の発明に係るにおい測定装置は、I
C成分の吸収剤を被測定水溶液中に投与することにより
IC成分を除去するものである。
【0025】第12の発明に係るにおい測定装置は、被
測定水溶液中のにおいを追い出して被測定ガスを得るに
おい追い出し部、および被測定ガス中のにおいを検出す
るにおい検出部を備え、におい検出部でにおいを検出さ
れた被測定ガスを、再びにおい追い出し部に循環させる
ように構成したものである。
【0026】第13の発明に係るにおい測定装置は、測
定対象となるにおいおよびIC成分を除去した基準水溶
液を用いてにおい検出部の出力を補正するように構成し
たものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1に本発明の実施の形態1によるにお
い測定装置の構成を示す。図において、10はIC成分
を除去する手段であり、本実施の形態ではイオン交換体
を用いてイオン交換によりIC成分を除去している。イ
オン交換体10としては、蒸留水製造やイオン交換水を
製造するのに用いられる一般的なイオン交換樹脂を用
い、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を体積比で
1:2に混合したものを用いた。この樹脂50mlを30mmφ
の底部にガラスフィルターを装着したガラスカラムに充
填し、上部より適当な流速で原水を流すことにより原水
中のIC成分を除去した。11はにおいセンサを搭載し
ているにおい検出部であり、本実施の形態では、32種
類の導電性高分子をにおい感応膜に用いている英国アロ
マスキャン社製においセンサ(商品名:AromaScan A
32S型)を用いた。14は被測定水溶液をサンプリン
グしこれをにおい追い出し部13に供給する被測定水溶
液供給部であり、今回は原水を用いた。河川から直接サ
ンプリングした原水には、ゴミや浮遊固形物、粒子状物
質などの懸濁物質が含まれており、これらは配管19を
詰まらせる原因となることから、この部分でガラスフィ
ルターを用いて除去して使用した。12は被測定水溶液
であり、この場合、原水で調製した水溶液が被測定水溶
液となり、被測定水溶液供給部14で濾過および適当な
流速で運ばれイオン交換体10でIC成分を低減した水
溶液がこれにあたる。13は測定対象水溶液12からに
おい物質を気相に追い出して被測定ガスを得るにおい追
い出し部であり、本実施の形態ではキャリアーガスを水
溶液中でバブリングして気相に追い出し続けるダイナミ
ックストリッピング法を採用した。15はにおい検出部
11に被測定ガスとしてにおい物質を供給するためのキ
ャリアーガスを調整および供給するキャリアーガス供給
部であり、今回はArガスをガスボンベから供給し、こ
れに水蒸気を添加してガスの湿度を制御できるものを用
いた。16はにおい検出部11にに被測定ガスを引き込
むためのポンプであり、約150ml/minの流速に制御して
使用した。17は測定後の被測定水溶液12をにおい追
い出し部から引き抜く被測定水溶液排出部である。18
は気体を輸送するための配管(図中実線)であり、にお
いの吸着が少なくまたデッドボリュームが小さい内径1
mmφのテフロン管を用いた。19は液体を輸送するため
の配管(図中破線)であり、におい追い出し部13まで
はにおい物質の吸着が無いようテフロン管を使用した。
におい追い出し部13から後ろの排出側は特に材料に関
しての制約は無く、配管の機能を持っていればよいが、
今回はシリコンチューブを用い、脈動ポンプ17を用い
て水溶液が排出されるようにした。
【0028】まず、イオン交換樹脂によるIC成分除去
機能を評価するため、IC成分濃度6.0ppmCの原水に、
イオン交換体10として上記イオン交換樹脂を充填した
カラムを用い、原水の通過速度とIC除去能力の関係を
求めた。図2に結果を示す。なおここでのIC成分濃度
はTOC計を用いて計測した炭素換算濃度(ppmC)で表
記している。図2から、カラム通過時間を長くする、す
なわち水溶液の滞留時間を長くすることにより除去でき
るIC成分濃度が高くなっている。そして、6.0ppmCの
IC成分濃度を持つ原水においては、カラム内の滞留時
間が180秒以上であれば、IC成分を完全に除去できる
ことがわかった。そこで、本実施の形態によるイオン交
換樹脂を用いたIC成分の除去では、滞留時間を3分以
上としている。すなわちIC成分を完全に除去してい
る。
【0029】原水と、使用済みガソリン自動車用潤滑油
を用いて調製した飽和油原水を原水で4倍に希釈した試
料を用いて、図1の装置構成で油臭の識別評価を実施し
た。図3に両試料をそれぞれ6回ずつ測定したときの2
次元マッピングを示す。図中●印は油臭付き原水試料
(4倍希釈飽和原水溶液)の測定点であり、図中黒△印
が原水試料の測定点である。この図から両試料のクラス
ターが明確に分離していることから、本実施の形態によ
るにおい測定装置で油臭のにおい識別ができることがわ
かった。同じ試料を用いて従来のにおい測定装置で測定
した結果である図26では、前述したように両試料のク
ラスターの分離は認められず、においセンサでの油臭識
別はできなかった。このことから、IC成分を除去する
ことが、油臭を識別することに非常に有効であることが
実証された。
【0030】実施の形態2.上記実施の形態ではIC成
分を完全に除去した場合について示したが、本実施の形
態では、どの程度のIC成分の混在が識別性の妨害とな
るかを検討した。実施の形態1で用いたイオン交換樹脂
を充填したカラムからなるイオン交換体10を用いて、
カラムの滞留時間を変化させて表1に示すように数種類
のIC成分が残留する原水および油臭付き原水(4倍希
釈の油飽和原水)を調製した。これを実施の形態1に示
した装置で各試料を5回ずつ測定した時の、測定結果を
2次元マッピングで表したものを図4〜7に示す。図4
はIC成分濃度0.2ppmC、図5は0.6ppmC、図6は0.9ppm
C、図7は2.3ppmCの測定結果である。なお、IC成分濃
度0ppmCの場合の測定結果は図3に、6.0ppmCの場合の
測定結果は図26にそれぞれ示されている。図3〜6ま
では、各クラスターが分離しているので、におい測定装
置による油臭の識別は可能であるが、残存するIC成分
の増加とともにクラスター間の分離性が悪くなっている
ことがわかる。また、図7に示すように、IC残存成分
が2.3ppmCでは、クラスターが重なる領域ができ、十分
な判別が困難であることがわかった。
【0031】
【表1】
【0032】においセンサにおける導電性高分子からな
る32素子の応答量は、におい物質の存在しない時のi
番目のセンサの抵抗値をRoiとし、これににおい物質が
加わった時の抵抗値をRiとすると (RiーRoi)×100/Roi(%) で表され、これが1回の測定で32素子のデータが得ら
れるので、32次元のベクトルとして求められる。5回
の測定では5つのベクトルが得られ、それらの平均ベク
トルが重心として求められる。試料Aにおけるクラスタ
ーの重心ベクトルがA(X1,X2,・・・・・,X32)、試料
Bにおけるクラスターの重心ベクトルがB(Y1,Y2,・・
・・・,Y32)で与えられた場合、クラスター間の重心間
距離Eは、 E={(X1−Y12+(X2−Y22+・・・・+(X32−Y
3221/2 で定義される量を表す。測定されたクラスター内での測
定点のばらつきが同じ場合は、Eが大きければ大きいほ
どにおいセンサによる識別性が高くなることになる。こ
のクラスター間距離を表1に表す。表1から、IC成分
が増加するとともにクラスター間距離が短くなっている
ことがわかる。表には、油臭の判別ができないIC=6.
0 ppmC の値も示している。
【0033】クラスター間距離の最小値は理想的には0
となるが、各測定にばらつきが存在し、本実施の形態で
は、E<0.05では識別が困難であると判定される。この
判定基準は、においセンサの種類や検出感度、測定方法
の安定性、においの種類に依存し、一般的な数値での比
較は困難であり、あくまでも本実施の形態で用いた導電
性高分子膜のにおいセンサおよび測定方法において有効
な値であることを断っておく。したがって、本実施の形
態においてはIC≧1.0 ppmC では、油臭のにおいの識
別が困難であることから、IC成分を除去して1.0 ppmC
未満に減少させることにより油臭の識別が可能である
ことがわかった。なお、本発明では、IC成分を完全に
除去することと一部除去して低減することを合わせて、
除去すると表現する。
【0034】実施の形態3.図8は本発明の実施の形態
3によるにおい測定装置の構成を示す図である。図1と
基本的に同じ構成だが、図1のIC除去部(イオン交換
体)10の代わりに、におい追い出し部13からにおい
検出部11の間に、被測定水溶液12中のIC成分が原
因で生じた炭酸ガスなどのにおい識別を妨害する無機系
炭素化合物ガスを被測定ガス中から除去する吸着部20
を設けている。吸着部20としては、例えば、テフロン
やガラス容器内に、生石灰を水酸化ナトリウムの濃厚溶
液で処理して作製した混合水酸化物であるソーダライム
の粉末あるいは粒子を充填したものを用い、ここに炭酸
ガス等を含んだ被測定ガスを通過させると、ソーダライ
ムが炭酸ガスなどの無機系炭素化合物ガスを吸収し、出
口からこれらのIC成分起源のガスが減少あるいは除去
されたガスが得られる。図中の他の符号は図1と同じも
のを表している。
【0035】この装置構成で、原水と、使用済みガソリ
ン自動車用潤滑油を用いて調製した飽和油原水を原水で
4倍に希釈した試料を用いて、油臭の識別性能評価を実
施した。ソーダライムにガスを流す流速は150ml/min
で、ソーダライムとしては、直径約1mm程度の粒径を
持つものを用いた。また、ソーダライムは、直径30mm
φ、長さ10cmのテフロン製の円筒に充填して使用した。
その結果、2次元マッピングで図2に示したのとほぼ同
様のクラスターの分離性能が得られ、本構成でも油臭の
識別が可能であることがわかった。
【0036】なお、本実施の形態では、被測定ガス中の
炭酸ガスなどの無機系炭素化合物ガスを吸収する充填材
としてソーダライムを使用した例を示したが、炭酸ガス
などの無機系炭素化合物ガスを吸収できるものであれば
同様の効果を奏する。また、固体充填材以外にも、水酸
化カルシウム水溶液やアルカリ性水溶液などの水溶液に
吸収させても同様の効果を奏する。また、吸着部20の
種類および吸着部20に流すガスの流速に応じて除去で
きるIC成分起源のガスの量は異なるので、必要に応じ
て適宜調整するとよい。
【0037】実施の形態4.実施の形態1および2で示
したイオン交換樹脂で水溶液中のIC成分を除去するイ
オン交換体10の後段に、イオン交換樹脂の機能をモニ
ターできる検知器として電気伝導度検出器21を設けた
におい測定装置の構成を図9に示す。イオン交換樹脂
は、水溶液中に含まれる有機、無機の陽イオンおよび陰
イオンを除去することができる。水溶液中には、ナトリ
ウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムを始めとす
るその他金属、アンモニウム、有機アンモニウム、アミ
ン類などの陽イオンや、リン酸、硝酸、硫酸、炭酸、塩
酸、塩素、有機酸などの陰イオンが存在しており、陽イ
オン交換樹脂は陽イオンを、陰イオン交換樹脂は陰イオ
ンを除去することができる。
【0038】におい検出部11に対し妨害を与えるIC
成分の主要因は、炭酸塩、重炭酸塩より生ずる炭酸イオ
ンであるので、陰イオン交換樹脂を用いればIC成分の
除去が達成できるが、陰イオン交換樹脂のみの使用では
陽イオンの存在により溶液の水素イオン濃度(pH)が
高くなり、測定に妨害を与える他のガスの発生(例えば
アンモニアやアミン類ガスなど)を除去しなければなら
ない場合もあり、陽イオン、陰イオンを同時に除去する
方が望ましい。また、イオン交換能力としては、一般的
に陽イオン交換樹脂の方が陰イオン交換樹脂に比べて高
いことが知られているので、両者を混合して用いる場合
は、陽イオン樹脂の量にくらべ陰イオン樹脂の量の方が
多くなるようにする。
【0039】混合イオン交換樹脂を用いて両イオンを除
去すると、電気伝導性を与える物質が減少することによ
り、水溶液中に入れた電極間の電気抵抗が高くなる方向
に変化する。したがって、両イオン交換樹脂混合物の後
段に水溶液の電気伝導検出器21を備えることにより、
イオン交換体10に用いられているイオン交換樹脂のイ
オン交換能力を監視することが可能となる。
【0040】電気伝導を測定する場合、抵抗値は電極の
面積や電極間距離により変化するので、これらの要因に
左右されない抵抗率ρ(Ω-cm)がイオン除去能力を示
す指標となる。この値は、超純水では18MΩ-cmという
値になるが、実施の形態1および2で測定に問題を生じ
ない範囲は、1MΩ-cm以上の抵抗率である場合が多い
ので、この値を目安に、これ以下の抵抗率になった場
合、現在使用しているイオン交換体10の使用を中止
し、新しいイオン交換体10に交換することにより、安
定で信頼性の高い油臭のにおい測定が可能となった。
【0041】また、図9には示していないが、この電気
伝導検出器21の抵抗率の値の出力とあらかじめ設定し
た交換必要抵抗率値を比較し、設定値よりも測定値が下
がった場合、人間の五感に感知し得る信号(例えば、掲
示盤点灯や警報)などを発信する機能を連結させると、
さらににおい測定装置の安定性、信頼性を高めることが
できる。
【0042】実施の形態5.実施の形態4においては、
イオン交換体10を取り替える場合、におい測定装置の
一部あるいは全部を停止させる必要があり、その間測定
ができないという問題がある。図10は、このような問
題を克服するためのもので、予備のイオン交換体を備え
たにおい測定装置の構成図を示している。図において、
10a、10bはイオン交換体であり、バルブ23によ
り配管接続が切り替えられる。
【0043】図10の状態では、イオン交換体10aは
配管系に接続されて使用中の状態となっているのに対
し、イオン交換体10bは配管系に接続されておらず、
装着脱着が自由にできるようになっており、使用中のイ
オン交換体10aの機能が低下するまでの間に、手動あ
るいは自動でイオン交換体10bを新しいものに交換す
ることになる。イオン交換体10a、10bとして、実
施の形態4と同様の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹
脂を体積比で1:2に混合したものを用いて、原水中の
におい検出に適用したところ、におい測定装置の一部あ
るいは全部を停止することなく連続的に測定することが
できた。
【0044】なお、図10では、イオン交換体の数が2
個の場合を示したが、イオン交換体を3個以上装備する
と交換頻度を低くすることができ、さらに、自動で交換
できるようにすると操作がさらに簡便になる。
【0045】実施の形態6.上記実施の形態5では、機
能の低下したイオン交換体を配管系から脱着する必要が
あったが、イオン交換体は薬品で再生することができ
る。図11は実施の形態5の構成にさらにイオン交換体
を再生する手段を備えたものの構成を示しており、図に
おいて、24は交換体の中の陽イオン交換樹脂を再生す
るための溶液を貯蔵し供給する陽イオン再生用溶液供給
部であり、陽イオン再生用溶液としては塩酸あるいは硫
酸が使用される。本実施の形態では硫酸を用い、また、
再生薬品に対する耐腐食性を持たせるため容器はポリエ
チレン製のものを使用した。25は陰イオン交換体を再
生するための溶液を貯蔵し供給する陰イオン再生用溶液
供給部であり、陰イオン再生用溶液としては水酸化ナト
リウムなどのアルカリ水溶液が使用される。本実施の形
態では、水酸化ナトリウム水溶液を用い、容器は酸と同
じ耐薬品製のものを用いた。26は陽イオン、陰イオン
再生用溶液をイオン交換体10bに送るためのポンプ、
27は陽イオン再生用溶液と陰イオン再生用溶液とを切
り替えるための切り替え弁、28は再生用溶液をイオン
交換体10bに送るための耐薬品製の配管、29は再生
後の残余水溶液をイオン交換体22から排出させるため
の配管である。イオン交換体10a、10bとしては、
上記各実施の形態に示したものと同じものを用いた。
【0046】次に動作について説明する。イオン交換体
10a後部の水溶液の電気伝導度が検出器21により1
MΩ-cm以下になったら、イオン交換体を交換する駆動
機構(図示せず)の働きにより、機能低下したイオン交
換体10aが予備のイオン交換体10bと交換され、イ
オン交換体10bが使用中となる。そして、機能低下し
たイオン交換体10aは、再生機能部と結合され、ポン
プ26と配管28を用いて陽イオンあるいは陰イオン再
生用溶液供給部24あるいは25からの再生用溶液がイ
オン交換体10aに供給される。切り替え弁27によ
り、まず、陽イオン再生用溶液供給部24から再生用溶
液を20ml/minの流速で供給し排出配管29を用いて排出
することにより所定時間作用させた。その後、陰イオン
再生用溶液供給部25から再生用溶液を20ml/minの流速
で供給し排出配管29を用いて排出することにより所定
時間作用させ、陽イオンおよび陰イオン交換樹脂を再生
した。この再生済みのイオン交換体10aが予備用イオ
ン交換体となり、この操作を繰り返し行うことにより連
続的に使用できることを確認した。
【0047】実施の形態7.今までの実施の形態では、
IC成分の除去手段がイオン交換によるものである場合
について説明したが、それ以外の手段について以下の実
施の形態7〜9で説明する。図12はIC成分の除去手
段として被測定水溶液を沸騰させる手段を備えた本発明
の実施の形態7によるにおい測定装置の構成図であり、
図において、30は被測定水溶液を沸騰させるための加
熱手段であるヒーターである。におい検出部11には、
32種類の導電性高分子をにおい感応膜に用いた英国ア
ロマスキャン社製においセンサ(商品名:AromaScan
A32S型)を用いた。
【0048】次に動作について説明する。測定する試料
を被測定水溶液供給部14より配管19を通してにおい
追い出し部13に供給する。におい追い出し部13に所
定量の被測定水溶液12が供給されたら、ヒーター30
を加熱し被測定水溶液12を2分間沸騰させた。その
間、キャリアーガス供給部15よりキャリアーガスを供
給し、沸騰により被測定水溶液12中より追い出される
IC成分起源のガスをにおい追い出し部13の気相部か
ら導出して除去した。この操作により、溶存している二
酸化炭素や溶解している炭酸イオン、炭酸水素カルシウ
ムなどが二酸化炭素などの炭酸ガスとしてキャリアーガ
スとともに除かれる。なお、これらのガスの導出用配管
は図示していないが、配管18を兼用することも可能で
ある。その後、被測定水溶液12にキャリアーガスを供
給することにより、油臭など、高沸点成分で構成される
におい物質を追い出して被測定ガスを得、これをにおい
検出部11に供給することにより、これらのにおいを識
別できる。
【0049】本装置構成で、実施の形態1で示した油臭
の試料を用いて識別性能を評価したところ、実施の形態
1と同様の結果が得られ、本構成で、油臭の識別が可能
であることがわかった。ただし、本実施の形態では、水
より低沸点を持つにおい物質に関しては、沸騰操作によ
り同時に除去されてしまい、感度の良い測定は困難であ
った。すなわち、機械・エンジンなどの潤滑油などに使
われる重油、食用油は識別できたが、低沸点であるトル
エン、クロロホルム、キシレンなどの揮発性有機物には
適用できなかった。
【0050】なお、本実施の形態では、沸騰手段として
熱エネルギーを利用するヒーター30を用いたが、電磁
エネルギーを利用する家庭用電子レンジに用いられるよ
うな電磁波発生器を用いても同様の効果を奏する。
【0051】実施の形態8.図13はIC成分の除去手
段として被測定水溶液のpHを調整する手段を備えた本
発明の実施の形態8によるにおい測定装置の構成図であ
る。図において、51は被測定水溶液のpHを調整する
ための水溶液を貯蔵し供給するpH調整用水溶液供給部
であり、pHを低下させるには硫酸、リン酸、塩酸、過
塩素酸などが、pHを上げるには水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなどが供給される。53は被測定水溶液1
2のpHを検出するpH検出器であり、pHガラス電極
やイオン感応性電界効果型トランジスタ(Ion Sensitive
Field-Effect Transistor)などが用いられる。52は
pH検出器53を駆動して検出信号を検出し、さらに制
御信号56を発生させることができる電気回路からなる
制御器である。54はpH調整用水溶液供給部51とに
おい追い出し部13をつなぐpH調整水溶液用配管、5
5はpH調整用水溶液供給部51からpHを調整するた
めの水溶液をにおい追い出し部13に送るためのポンプ
であり、制御信号56により制御される。におい検出部
11には、32種類の導電性高分子をにおい感応膜に用
いている英国アロマスキャン社製においセンサ(商品
名:AromaScan A32S型)を用いた。
【0052】次に動作について説明する。測定する試料
を被測定溶液供給部14より配管19を通してにおい追
い出し部13に供給する。におい追い出し部13に所定
量の被測定水溶液12が供給されたら、pH検出器53
によりpHを計測し、この値がIC成分を除去できるp
Hになるまで、pH調整用水溶液51をポンプ55によ
り供給する。制御器52では、pH検出器53からの信
号を検出するとともに、あらかじめ設定され記憶されて
いるIC成分を除去できるpHとの差を検出し、この差
が正確にしかも円滑に0になるようにポンプ55に制御
信号56を送る。この間、キャリアーガス供給部15よ
りキャリアーガスを供給し、pH変化により被測定水溶
液12中より追い出されるIC成分起源のガスを除去し
た。この操作により、溶存している二酸化炭素や溶解し
ている炭酸イオン、炭酸塩、重炭酸塩などから発生する
二酸化炭素などの炭酸ガスがキャリアーガスとともに除
かれる。なお、これらのガスの導出用配管は図示してい
ないが、配管18を兼用することも可能である。その
後、被測定水溶液12中のにおい物質をキャリアーガス
で追い出して被測定ガスを得、被測定ガスをにおい検出
部11に供給することによりにおいを識別できる。
【0053】水溶液中に溶存した二酸化炭素は、水溶液
中に炭酸イオンとして溶解する。また、炭酸塩、重炭酸
塩からも炭酸イオンが生成する。炭酸イオンは、水溶液
中で酸解離反応を反応式(1)、(2)のように生ず
る。
【0054】
【数1】
【0055】(1)式の酸解離平衡での酸解離定数Ka1
は、室温で4.4×10-7、(2)式の酸解離平衡での酸解
離平衡定数Ka2は5.6×10-11である。したがって、解離
定数Ka1よりpHを低くすることにより、平衡をC
2、H2O側にずらすことができIC成分を低減、除去
することができる。pHを3以下にすることにより、炭
酸イオンをほとんど除去することが可能である。
【0056】実施の形態1で使用したのと同じ試料を用
いて、本実施の形態による油臭の識別の評価を実施し
た。原水試料のpHは6〜6.8の間に存在したので、p
H調整液として2mol/lの硫酸水溶液を用い、pH検出
器としてpH電極を用い、IC成分を低減、除去のpH
を3に設定した。また、pH調整液の供給は脈動ポンプ
55により実施したが、pH検出器53の測定値と設定
pHとの差の信号に基づき、制御器52で比例積分微分
制御によりポンプの回転数を制御することにより、pH
調整液の被測定水溶液12への滴下を行った。においの
測定方法は、実施の形態1と同様に実施した。その結
果、本実施形態でも、実施の形態1と同様に油臭の識別
ができた。
【0057】実施の形態9.図14は本発明の実施の形
態9によるにおい測定装置を示す構成図であり、IC成
分の除去のために吸収剤を用いている。その基本構成
は、図13に示した構成図とほぼ同様であるが、図13
に示されている被測定水溶液のpHを変化させるpH調
整用水溶液供給部51の代わりにIC成分吸収剤供給部
が備えられ、制御器52、pH検出器53、制御信号5
6というpH検出制御系を取り外したものになる。
【0058】上記構成で、IC成分吸収剤として水酸化
カルシウム(Ca(OH)2)の固形物を用いた。におい
検出部11には、32種類の導電性高分子をにおい感応
膜に用いている英国アロマスキャン社製においセンサ
(商品名:AromaScan A32S型)を用いた。被測定
水溶液12150mlが、におい追い出し部13に供給され
ると、容器に吸収剤が貯蔵された吸収剤供給部51か
ら、吸収剤が所定量被測定水溶液12中に投与される。
本実施の形態では、250mgのCa(OH)2を投与した。に
おい追い出し部13中の被測定水溶液12は、適当な溶
液攪拌手段を用いてCa(OH)2の固形物を混合縣濁さ
せた。混合は、15分間実施しIC成分をCa(OH)2
に吸収させた。
【0059】このようにして、調製した被測定水溶液1
2からダイナミックストリッピング法でにおいを追い出
してにおい検出部11に供給し、実施の形態1と同様に
油臭の識別評価を行ったところ、本実施形態でも、実施
の形態1で示したのと同様の結果が得られ、油臭の識別
ができた。なお、本実施の形態では、IC成分の吸収剤
としてCa(OH)2を用いた例を示したが、これに限る
ものではなく、例えば実施の形態1および2で示したI
C成分を除去できるイオン交換樹脂を用いても同様の効
果を奏する。
【0060】実施の形態10.図1、8〜13に示した
上記各実施の形態では、原水およびにおいのついた原水
を識別することができることが示されたが、さらに、識
別性の向上を図るためには、におい物質が始めから含ま
れていないかあるとしても検出対象以外のにおい物質が
いつも一定量ふくまれていてにおい検出部11の目的物
質の検出に影響を与えない基準となる水溶液を定期的に
測定し、それとの相対比較によりにおいの識別をする方
が良い。あるいはまた、におい検出部も長時間連続的に
使用すると、感度や安定性などがわずかに変化すること
があり、これらの影響をモニターし、場合によっては補
正すると良い。
【0061】図14は本発明の実施の形態10によるに
おい測定装置の構成を示す図である。図において、48
はにおい物質を除去するかあるいは測定対象に関係のな
い物質でしかも測定対象物質の測定を妨害しない一定量
のにおい物質を含んでいる基準水溶液の供給部、50は
基準水溶液と測定対象溶液を切り替えるためのバルブで
ある。
【0062】次に動作について説明する。基本的な動作
手順は、実施の形態1〜9に示したのと同様であるが、
本実施の形態においては、定期的に基準水溶液供給部4
8からIC成分を除去した水溶液として、におい追い出
し部13に基準水溶液を供給し、得られた被測定ガスを
におい検出部11に供給し、得られた測定値をにおい測
定装置の記憶部分に記録し、その値と過去に測定した値
とに差がなければ、その値を過去の値に含めて基準値デ
ータとするか、そのデータを棄却する処理をする。ま
た、過去のデータと違いがあれば、その違いに基づき、
今後の測定データに対する補正値を算出し、今後得られ
る被測定水溶液の測定データを補正して処理するように
する。
【0063】図15は、基準水溶液として超純水を用
い、被測定水溶液として、実施の形態1で示した原水と
油臭を添加した原水とを用いた時の識別結果を2次元マ
ッピングで示している。この場合、超純水のクラスター
が油臭のない原水のクラスターと重なっており、同じ信
号を与えていることから、超純水が油臭のない水溶液の
基準信号として使えることがわかった。
【0064】なお、上記実施の形態では、超純水を用
い、これをIC成分を除去するイオン交換体10を通過
させた基準水溶液をにおい追い出し部13に供給する場
合を示したが、超純水の場合は、最初からIC成分は除
かれており、途中から混入するのは、空気中の二酸化炭
素が溶解して炭酸イオンとなって溶解する場合だけであ
るので、基準水溶液供給部48の超純水を保存する部分
を二酸化炭素に触れさせないようにすれば、IC成分を
除去する部分を省略することが可能である。
【0065】実施の形態11.今までの実施の形態で、
IC成分を除去することにより、におい検出器を用いた
河川水等のにおいの検出が可能であることを示した。し
かし、においの種類によっては、これらの実施の形態で
得られた感度では十分測定できない場合があり、さらに
におい物質に対し感度を高くする必要が生ずる場合があ
る。
【0066】図16、17にさらに感度を高くできるに
おい測定装置の概略構成図を示す。図において、33は
におい検出部11を通過したにおい物質を含んだ被測定
ガスをにおい追い出し部13に戻してガスを循環させる
ための配管であり、31、32は、循環用配管33にガ
スを流して循環させるか、循環させずにキャリアーガス
を流して被測定ガスをにおい追い出し部13とにおい検
出部11を通過させるだけにするかを選択するバルブで
ある。
【0067】上記実施の形態1〜10で示した構成で
は、におい追い出し部13でダイナミックストリッピン
グ法で追い出されたにおい物質は、キャリアーガス供給
部15で調製されたキャリアーガスで希釈されながら追
い出されるので、被測定ガス中のにおい物質の濃度は必
ず低くなる。また、水溶液中で問題となるにおい物質
は、長時間水の中ににおい物質が存在するものが多く、
その場合、一般的には気液平衡がそれほど早くなく、し
たがって、におい物質は気液平衡に達した気相濃度に比
べ低濃度になり、場合によっては、におい検出器11で
検出される下限濃度以下になり検出できなくなることが
ある。
【0068】そこで、におい物質の希釈を極力最小化す
るために、図16のような構成にし、バルブ31、32
によりにおい追い出し部13から排出され、におい検出
部11を通過した被測定ガスを再びにおい追い出し部1
3に戻し、におい検出部11で測定中は、この循環を繰
り返す方法が有効である。におい測定以外で、におい検
出器11の応答を回復させたり、におい検出器11を始
め測定装置の各部分の安定化を図る時には、図17のよ
うに、キャリアーガスが直接におい検出部11を通過
し、検出器内部を洗浄することができるようにする。図
16および17のモードを繰り返し実行することによ
り、におい物質の計測が可能となる。この構成では、キ
ャリアーガスによる希釈はなく、また、循環することに
より、気液平衡が遅いにおい物質においても、平衡状態
かあるいは平衡状態に近いガスをにおい検出部11に供
給することが可能である。
【0069】かび臭の一種であるジェオスミンを超純水
で適当に希釈した水溶液を用いて、循環方式の有効性を
評価した。実施の形態1〜10で示したキャリアーガス
により水溶液をバブリングして追い出すダイナミックス
トリッピング法と図16、17に示す循環方式とでかび
臭の検出を、におい検出器11として32種類の導電性
高分子をにおい感応膜に用いている英国アロマスキャン
社製においセンサ(商品名:AromaScan A32S型)
を用いて行った。その結果、ダイナミックストリッピン
グ法では、1ppm(ppm=mg/l)の濃度のジェオスミン水
溶液が検出下限であったのに対し、循環方式では10pp
b(ppb=μg/l)の濃度のジェオスミン水溶液まで検出可
能であることが認められ、循環方式の採用により、約1
00倍の感度が得られることが明らかになった。
【0070】実施の形態12.図18〜22に、実施の
形態1で示したのと同じ油臭の識別に本発明の実施の形
態12による循環方式を適用したにおい測定装置の要部
の構成を示す。なお、これらの図は煩雑性を避けるた
め、水溶液を供給、排出する部分は省略し、気体の流れ
の部分に限って示している。本実施の形態では、基本的
に図18に示す洗浄ガスモード、図19に示す被測定水
溶液のガスパージモード、図20に示す超音波素子によ
るにおい追い出しモード、図21に示すガス循環モード
の4つのモードを繰り返すことにより油臭の識別を評価
した。
【0071】図において、34はキャリアーガスとなる
Arを供給するガスボンベ、35はArガスの流速を制
御する流量制御器、36はキャリアーガスを加湿するた
めの加湿ビン、37は加湿ビンで加湿されたガスの湿度
を一定に制御するための湿度制御器、38はキャリアー
ガスをにおい検出部に所定量送るためのバッファービ
ン、39はにおい検出器を通過するガスの流量を調整す
る流量制御器、40、41、42はガス流路を切り換え
るための三方バルブ、43は水溶液からにおい物質を追
い出すために使用する超音波素子、46は超音波素子4
3を動作するとともにパワーを調節する制御部、45は
超音波素子43を水溶液に作用させたときに発生する水
蒸気のミストを捕獲するためのミストトラップ、44は
ミストトラップ45に溜まった凝縮水やトラップ45を
流れているガスを引き抜く時に開かれるバルブ、47は
超音波素子43を作用させたときに発生している水溶液
の霧である。
【0072】次に、動作について説明する。におい測定
装置は、バルブ31、32、40、41、42、44に
より、まず、図18に示す洗浄ガスモードに設定され
る。Arガスは、流量制御器35により、300ml/minの
流速に設定されバッファービン38に送られる。この
時、超純水を入れた加湿ビン36と湿度制御器37で一
定の湿度に加湿されたArガスに調整する。本実施の形
態では、ペルチェ素子を用いた湿度制御器で相対湿度50
%(以後50%RHと略す)に設定した。におい検出部1
1には、ポンプ16と流量制御器39により一定の流量
で、しかも、バッファービン38に流入するガス流量よ
りも少ないかあるいは同じ流量に設定する。本実施の形
態では150ml/minに設定した。におい検出部11を通っ
たガスは、バルブ32を通って装置外に排出される。こ
のモードにより、におい検出部11の配管および検出器
部分を50%RHArガスで洗浄することになる。このモ
ードで、前回測定した残余ガスの洗浄と、次の測定の準
備をすることになる。また、このモードの時に、におい
追い出し部13に被測定水溶液12が供給される。な
お、このモードにおいて、必要があれば、被測定水溶液
を供給する前に、バルブ41、42、44を調整して、
配管57を経由して、におい追い出し部13、ミストト
ラップ45を通ってバルブ44から装置外に廃棄し、に
おい追い出し部13を洗浄することもできる。
【0073】続いて、図19に示すように、におい追い
出し部13に供給された被測定水溶液12に溶存してい
る空気(酸素および窒素)をパージするためのパージモ
ードに移行する。図18でバルブ32を用いて装置外に
排出されていたキャリアーガスを、バルブ32、40、
41→におい検出部13→ミストトラップ45→バルブ
44という順序で装置系外に排出させるようにすること
により、被測定水溶液12をArガスでバブリングし、
被測定水溶液12中の溶存空気を追い出した。本実施の
形態では、このパージ時間を10〜15分に設定した。
【0074】パージ終了後、図20に示す配管系に変更
し、被測定水溶液12からにおい物質の追い出しを行っ
た。この時、におい検出部11には、洗浄モードと同様
に50%RHに調整されたArガスが供給されている。に
おい追い出し部13は、これらの周辺にあるバルブを調
整して閉鎖系となり、この状態で超音波素子43を動作
して水溶液を霧状化し、におい物質の気相への平衡反応
を促進する。本実施の形態で用いた超音波素子43は、
1.6MHzの発振周波数をもつもので、出力は約20W程度の
ものを用いた。動作時間は7分間に設定した。また、に
おい追い出部13の容量は約400mlであり、その中に注
入された被測定水溶液12容量は150mlであった。した
がって、気相の体積は約250mlの容積になる。超音波素
子43を停止しても、におい追い出し部13の気相部分
に水蒸気ミストが残存し、このままの状態でにおい検出
部11に送ると、途中の配管系でミストが凝縮し、配管
系内に水が詰まるので、超音波素子43を停止した後、
ミストを沈静化するために3分間そのまま放置した。
【0075】次に、図21に示すように、バルブ31、
32を切り換えて、超音波素子43で追い出したにおい
物質を含んだ被測定ガスをにおい検出部11とにおい追
い出し部13とを循環するように流した。この循環経路
内には、におい検出部11の前段に湿度制御器42が設
けられており、におい追い出し部13で変動した湿度を
一定に制御した。本実施の形態では、湿度制御器37と
同じペルチェ素子を用い、キャリアーガスの湿度よりも
高めの65%RHに調整してにおい検出部11に送った。
この状態を10分間保持し、この間におい検出部11で
におい物質の計測を実施した。
【0076】以上の手順で一つの被測定水溶液試料の測
定が終了し、連続測定においては、この後、図18に示
した洗浄モード以降の手順が繰り返されることになる。
【0077】以上の構成および測定方式に基づき、実施
の形態10と同様にして超純水、原水、油臭付き原水の
識別評価と原水、油臭付き原水に関しては、IC成分を
除去しないで評価を実施した。なお、本実施の形態では
各試料を4回ずつ測定した。
【0078】図22にIC成分を除去しないで実施した
識別評価結果を2次元マッピングで示す。この図より、
IC成分を含んでいる原水と油臭付き原水の2つのクラ
スターはわずかに分離する傾向を示したが、それらクラ
スターの重心間距離は小さかった。また、これらのクラ
スターと超純水のクラスターが大きな重心間距離を隔て
て分離した。図26でも示したように、ダイナミックス
トリッピング法でもIC成分が混入した場合、油臭付き
原水と原水は分離しない結果が得られ、今回の、におい
物質の濃度を高く保てる循環方法によっても分離性がそ
れほど向上しないことにより、IC成分の除去は、にお
い追い出し方法に関わらず必要不可欠であることがわか
った。
【0079】図23に実施の形態1で示したのと同様に
イオン交換樹脂を用いてIC成分を除去した時の測定結
果の2次元マッピングを示した。この図では、超純水と
原水のクラスターが重なり、におい検出部11では同じ
性質のものであると検出され、油臭付き原水のクラスタ
ーが分離したことにより、IC成分を除去することによ
り、油臭の識別ができた。また、超純水と原水は同じク
ラスターに存在し、人間の鼻による官能試験でも、超純
水、原水にはにおいが感じられなかったことから、本に
おい測定装置により油臭が識別できていることが確認さ
れた。なお、この時の重心間距離は6.1となり、表1の
IC成分0の時の値1.8の3.4倍にもなり、超音波素子4
3による追い出しならびに循環方式の採用により、感度
および測定の安定性の向上が図れた。
【0080】なお、上記実施の形態では超音波素子43
として1.6MHzのものを用いたが、においを追い出すこと
のできる10kHz以上の発振周波数をもつものであれば同
様の効果を奏する。
【0081】また、上記各実施の形態では、におい追い
出し方法としてダイナミックストリッピング法や超音波
素子を用いた方法を示したが、においを追い出せる方法
であれば同様の効果を奏する。例えば、被測定水溶液を
加温したときのヘッドスペースガスをサンプリングする
とか。捕集管に捕集して濃縮する方法なども同様に有効
である。
【0082】上記各実施の形態ではキャリアーガスとし
てArを用いたが、におい物質を酸化することのないガ
ス、例えば、He、Ne、Kr、N2などを用いても同
様の効果を奏する。
【0083】なお、上記各実施の形態は、油臭やジオス
ミンのようなかび臭のみでなく、においのある物質で水
分が共存する場合の測定にも有効である。例えば、上記
方法で2,4,6−トリクロロアニソール、2−メチル
イソボルネオール、クロロフェノール類、アルコール
類、アルデヒド類、低級有機酸類などの単一物質のにお
いの識別も同様の効果を奏する。また、単一物質からな
るにおいだけでなく複数の物質からなるにおいの識別も
可能であり、例えば、食品添加物として用いられる香り
エッセンス等も測定可能である。
【0084】また、上記各実施の形態ではにおい検出器
として32素子の導電性高分子膜を持ったアロマスキャ
ン社製のにおいセンサを用いたが、におい物質を検出す
ることができるマトリックスガスセンサで、例えば、酸
化物半導体のにおい物質の作用による電気伝導の変化を
検出するもの、水晶振動子上に形成したにおい吸着膜に
吸着したにおい分子の質量の変化を検出するもの(以後
水晶振動子センサと略す)、あるいは、表面弾性波素子
上に形成したにおい吸着膜ににおい分子が吸着したこと
による質量、電気伝導度、誘電率、容量、粘性等の物性
変化を検出するもの(以後表面弾性波素子センサと略
す)、色素膜に対するにおいの吸着による色の変化を光
学的に検出するもの(以後色素センサと略す)も同様の
効果を奏する。
【0085】また、上記各実施の形態のうち3と8を除
いた例では、水溶液中でにおい物質の起源となる物質を
検出することができるマトリックスセンサ、例えば、脂
質膜へのにおい起源物質の吸着による膜電位の変化を検
出するものや、水晶振動子センサ、表面弾性波素子セン
サ、色素センサを水溶液中で使用できるように改良した
もの等を用いても同様の効果を奏する。
【0086】また、上記各実施の形態では被測定水溶液
中に存在ししかもにおい検出部の応答に妨害を与える成
分としてIC成分およびIC成分に起因するガスの除去
について説明したが、この他に、アンモニア、アミン
類、チッソ酸化物、イオウ酸化物等が妨害成分として挙
げられ、上記各実施の形態で説明したのと同様の除去手
段により除去できる。
【0087】
【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、被
測定水溶液中に存在ししかもにおい検出部の応答に妨害
を与える成分を除去する手段を備えたので、高感度で高
精度のにおい測定が可能となる。
【0088】第2の発明によれば、被測定水溶液中に存
在する炭素酸化物および酸化により無機系炭素化合物ガ
スを発生する無機炭素化合物からなるIC成分またはI
C成分起源のガスを除去する手段を備えたので、高感度
で高精度のにおい測定が可能となる。
【0089】第3の発明によれば、被測定水溶液中のI
C成分を除去する手段、IC成分を除去された被測定水
溶液中のにおいを追い出して被測定ガスを得るにおい追
い出し部、および被測定ガス中のにおいを検出するにお
い検出部を備えたので、高感度で高精度のにおい測定が
可能となる。
【0090】第4の発明によれば、被測定水溶液中のに
おいを追い出して被測定ガスを得るにおい追い出し部、
被測定ガス中のIC成分起源のガスを除去する手段、お
よび被測定ガス中のにおいを検出するにおい検出部を備
えたので、高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【0091】第5、6、7、8の発明によれば、IC成
分の除去をイオン交換により行うので、簡便でしかも低
価格でIC成分の除去が可能となるとともに、交換体の
機能低下を検出したり交換体の交換および再生機能を付
加したりすることによりメインテナンスの低減が可能と
なる。
【0092】第9、10、11の発明によれば、被測定
水溶液を熱または電磁エネルギーで沸騰させたり、被測
定水溶液の水素イオン濃度を調整したり、IC成分の吸
収剤を被測定水溶液中に投与したりすることによりIC
成分を除去するので、簡便でしかも低価格でIC成分の
除去が可能となる。
【0093】第12の発明によれば、被測定水溶液中の
においを追い出して被測定ガスを得るにおい追い出し
部、および被測定ガス中のにおいを検出するにおい検出
部を備え、におい検出部でにおいを検出された被測定ガ
スを、再びにおい追い出し部に循環させるように構成し
たので、より高感度で高精度のにおい測定が可能とな
る。
【0094】さらに第13の発明によれば、測定対象と
なるにおいおよびIC成分を除去した基準水溶液を用い
てにおい検出部の出力を補正するように構成したので、
長期安定性に優れしかも高精度のにおい測定が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1によるにおい測定装置
を示す構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係わりイオン交換樹
脂を用いた場合のIC成分の除去特性を示す図である。
【図3】 図1の装置で測定した原水と油臭付き原水と
の測定結果を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態2に係わりIC成分を0.
2ppmCに低減したときの原水と油臭付き原水との測定結
果を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態2に係わりIC成分を0.
6ppmCに低減したときの原水と油臭付き原水との測定結
果を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態2に係わりIC成分を0.
9ppmCに低減したときの原水と油臭付き原水との測定結
果を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態2に係わりIC成分を2.
3ppmCに低減したときの原水と油臭付き原水との測定結
果を示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態3によるにおい測定装置
を示す構成図である。
【図9】 本発明の実施の形態4によるにおい測定装置
を示す構成図である。
【図10】 本発明の実施の形態5によるにおい測定装
置を示す構成図である。
【図11】 本発明の実施の形態6によるにおい測定装
置を示す構成図である。
【図12】 本発明の実施の形態7によるにおい測定装
置を示す構成図である。
【図13】 本発明の実施の形態8によるにおい測定装
置を示す構成図である。
【図14】 本発明の実施の形態10によるにおい測定
装置を示す構成図である。
【図15】 図14の装置で測定した原水、油臭付き原
水、超純水との測定結果を示す図である。
【図16】 本発明の実施の形態11によるにおい測定
装置を示す構成図であり、キャリアーガスをにおい検出
部に供給している状態を示す図である。
【図17】 本発明の実施の形態11によるにおい測定
装置を示す構成図であり、被測定ガスをにおい検出部に
循環して供給している状態を示す図である。
【図18】 本発明の実施の形態12による循環方式で
しかもにおい追い出しを超音波素子を用いて構成したに
おい測定装置のガス配管部に限定して示した構成図であ
り、洗浄時のガスの流れを示す図である。
【図19】 本発明の実施の形態12による循環方式で
しかもにおい追い出しを超音波素子を用いて構成したに
おい測定装置のガス配管部に限定して示した構成図であ
り、被測定水溶液の溶存ガスパージ時のガスの流れを示
す図である。
【図20】 本発明の実施の形態12による循環方式で
しかもにおい追い出しを超音波素子を用いて構成したに
おい測定装置のガス配管部に限定して示した構成図であ
り、超音波素子でにおいを追い出している時のガスの流
れを示す図である。
【図21】 本発明の実施の形態12による循環方式で
しかもにおい追い出しを超音波素子を用いて構成したに
おい測定装置のガス配管部に限定して示した構成図であ
り、ガス循環時のガスの流れを示す図である。
【図22】 図18〜21に示す装置および方式で測定
したIC成分除去なしの原水、油臭付き原水および超純
水の測定結果を示す図である。
【図23】 図18〜21に示す装置および方法で測定
したIC成分を除去した原水、油臭付き原水および超純
水の測定結果を示す図である。
【図24】 従来のにおい測定装置を示す構成図であ
る。
【図25】 図24の装置で測定した超純水および油臭
付き超純水の測定結果を示す図である。
【図26】 図24の装置で測定した原水および油臭付
き原水の測定結果を示す図である。
【図27】 図24の装置で測定した水道水および油臭
付き水道水の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1、11 におい検出部、 2、12 被測定水溶液、
3、13 におい追い出し部、 4、14 被測定水
溶液供給部、 5、15 キャリアーガス供給部、
6、16 気体ポンプ、 7、17 被測定水溶液排出
部、 8、18、57 ガス配管、 9、19 液配
管、 10、10a、10b イオン交換体、 20
吸着部、 21 電気伝導度検出器、 23、27、3
1、32、40、41、44、50 バルブ、 24
陽イオン再生用溶液供給部、 25陰イオン再生用溶液
供給部、 26、55 液体ポンプ、 28 液体用配
管、29 排出用配管、 30 ヒーター、 33 循
環用配管、 34 Arボンベ、 35、39 流量制
御器、 36 加湿ビン、 37、42 湿度制御器、
38 バッファービン、 43 超音波素子、 45
ミストトラップ、46 超音波素子発振および出力調
整器、 47 霧、 48 基準水溶液供給部、 51
pH調整液容器、 52 pH検出器駆動および制御
器、 53pH検出器、 54 pH調整液用配管、
56 ポンプ制御信号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上山 智嗣 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 大家 泉 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 吉田 昌三 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液中のにおいを測定する装置におい
    て、被測定水溶液中に存在ししかもにおい検出部の応答
    に妨害を与える成分を除去する手段を備えたことを特徴
    とするにおい測定装置。
  2. 【請求項2】 被測定水溶液中に存在する炭素酸化物お
    よび酸化により無機系炭素化合物ガスを発生する無機炭
    素化合物からなるIC成分またはIC成分起源のガスを
    除去する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の
    におい測定装置。
  3. 【請求項3】 被測定水溶液中のIC成分を除去する手
    段、IC成分を除去された被測定水溶液中のにおいを追
    い出して被測定ガスを得るにおい追い出し部、および被
    測定ガス中のにおいを検出するにおい検出部を備えた請
    求項2記載のにおい測定装置。
  4. 【請求項4】 被測定水溶液中のにおいを追い出して被
    測定ガスを得るにおい追い出し部、被測定ガス中のIC
    成分起源のガスを除去する手段、および被測定ガス中の
    においを検出するにおい検出部を備えた請求項2記載の
    におい測定装置。
  5. 【請求項5】 IC成分を除去する手段は、イオン交換
    によるものである請求項2または3に記載のにおい測定
    装置。
  6. 【請求項6】 イオン交換によるIC成分除去手段の後
    段に、イオンの有無を計測する手段を備えた請求項5記
    載のにおい測定装置。
  7. 【請求項7】 イオン交換体を複数備え、イオン交換機
    能が低下したイオン交換体を別のイオン交換体と交換す
    るように構成した請求項5または6に記載のにおい測定
    装置。
  8. 【請求項8】 イオン交換機能の低下したイオン交換体
    を再生する機構を備えた請求項7記載のにおい測定装
    置。
  9. 【請求項9】 IC成分を除去する手段は、被測定水溶
    液を熱または電磁エネルギーで沸騰させるものである請
    求項2または3に記載のにおい測定装置。
  10. 【請求項10】 IC成分を除去する手段は、被測定水
    溶液の水素イオン濃度を調整するものである請求項2ま
    たは3に記載のにおい測定装置。
  11. 【請求項11】 IC成分を除去する手段は、IC成分
    の吸収剤を被測定水溶液中に投与するものである請求項
    2または3に記載のにおい測定装置。
  12. 【請求項12】 被測定水溶液中のにおいを追い出して
    被測定ガスを得るにおい追い出し部、および被測定ガス
    中のにおいを検出するにおい検出部を備え、におい検出
    部でにおいを検出された被測定ガスを、再びにおい追い
    出し部に循環させるように構成した請求項1ないし4の
    何れかに記載のにおい測定装置。
  13. 【請求項13】 測定対象となるにおいおよびIC成分
    を除去した基準水溶液を用いてにおい検出部の出力を補
    正するように構成した請求項2ないし4および12の何
    れかに記載のにおい測定装置。
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