JP3755251B2 - におい測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象物に含まれる低濃度のにおいを精度良く簡易に測定できるにおい測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本願発明における「におい」とはヒト、犬、魚、昆虫、植物などの生物の感覚(検知器官として鼻、触角を含む)によって検知できるものであり、含まれるモル濃度が10%程度以下の気体状態の物質のことである。言い換えれば、全気体に対して少量含まれる気体状態の物質のことである。
におい物質とは、においの原因となる気体状体物質である。におい分子とはにおい物質を構成する分子であり、1種類の場合もあれば複数種類の場合もある。このとき単に混合している場合もあれば、複数の分子が結合している場合もある。また、生物が同一のにおいと判断しても分子が異なる場合や、構成する分子の存在比が異なる場合や、異なる物質が異なる濃度で存在する場合もある。逆に生物が異なるにおいと判断しても、単ににおい物質の濃度が異なる場合もある。よって、被測定物のにおいとは、被測定物中に含まれるにおい物質が気体中に含まれるようになった状態でのにおい物質を表す。
【0003】
においを測定する方法としては、現在、訓練された人がにおいを判定する官能試験が行われており、例えば、刊行物(「上水試験方法」厚生省生活衛生局水道環境部監修、日本水道協会発行、P75)には、検水100mL(ミリリットル)を40〜50℃に温めた後、激しく振り、開栓と同時ににおいの有無および種類を人が判断するように記述されている。しかし、この方法ではにおいを感知する能力に個人差があること、体調により感知能力が変化すること等が問題となる。
これらの問題を克服する目的でにおいセンサによるにおいの識別の研究開発が盛んに行われてきている。これは導電性高分子、金属酸化物半導体、脂質、有機物等をガス感応膜とし、におい物質のガス感応膜に対する吸着や化学反応によって生ずる電気伝導度の変化や質量の変化を電気信号に変換するものである。そして、これを単一センサとして使用するのではなく、感応膜の種類を変えてアレイ状に配置して、そこから得られる各素子のセンサのパターンからにおいの識別ができるものである。これについては、例えば特開平4−186139号公報に記載されている。
【0004】
図26は、従来のにおい測定装置の要部を示す構成図である。図において、1はにおいセンサ、2は被測定溶液3を入れる容器、19は被測定ガスをにおいセンサに引き込むポンプである。
【0005】
図27は図26の方式で容器2に入れて20℃で2時間保持した後に測定した時の100ppb(ppbは109分の1を表す)の濃度のジオスミン(GEOSMIN)水溶液と水 (WATER)を比較した図である。この図は、32種類の導電性高分子膜をセンサ素子とするにおいセンサによる識別結果を2次元図に表したものである。この2次元図はセンサ素子をベクトル要素とみなした32次元空間を各測定点間の距離が保たれるように2次元空間に投影したものであり、X軸、Y軸とも空間的距離を表しているがその単位は任意(または無次元)である。これは以下の同様の図においても同様である。この図において●印はにおい物質を持つ試料(100ppbジオスミン水溶液)を測定したもの、黒四角印はにおい物質を持たない試料(水)を測定したものである。
各試料(●印および黒四角印)がクラスターに分かれた時ににおいセンサ1によりにおいが識別できたと判断でき、クラスターの重心間距離が離れていればいる程、においに対する識別能力が高いことを示し、クラスター内の分散が小さい程、安定性、再現性が高いことを示している。この図のようにクラスターが重なり合っている場合は識別が困難であることを示している。
なお、本法では、1ppm(ppmは106分の1を表す)の濃度のジオスミン水溶液を用いた場合にはクラスターが分離し識別ができた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のにおい測定装置は以上のように構成されており、感度および測定精度が悪く、しかも長時間かかるという問題があった。
【0007】
本発明は上記のような従来のものの問題点を解消するためになされたものであり、測定対象物中に含まれる低濃度のにおい物質を短時間で精度よく測定できるにおい測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るにおい測定装置は、被測定ガスをにおいセンサに供給し、上記被測定ガスのにおいを測定するものにおいて、容器に気体収納部を残して被測定溶液を封入し、上記溶液を上記気体を吸入しながら循環させて上記気体中ににおい物質を追い出し、被測定ガスを得るように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
第2の発明に係るにおい測定装置は、上記循環液が容器の法線に対して傾いた方向から上記容器中の溶液に流入するように構成したものである。
【0010】
第3の発明に係るにおい測定装置は、上記容器の被測定溶液収納部にキャリアガスを導入し、気体収納部から導出するように構成したものである。
【0011】
第4の発明に係るにおい測定装置は、上記被測定ガス中の水蒸気量を調整する手段を備えたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の一実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図である。測定対象物の一例としてかび臭物質の代表的なものの1つであるジオスミン水溶液のにおい測定について説明する。図において、1はにおいセンサであり、例えば32種類の導電性高分子をガス感応膜として用いた英国アロマスキャン社製においセンサ(商品名;AROMASCAN A32S)である。2は被測定水溶液用容器、3は被測定水溶液である。4は清浄空気発生器であり、周囲の環境が変化しても常に同条件で測定でき、精度の良い測定が再現性良くできるように、例えば活性炭およびモレキュラーシーブを用いて、においセンサ1で妨害物質となるにおいの除去および湿度を一定に調節した清浄空気を発生する。なお、標準空気ボンベを用いる場合もある。5は清浄空気を搬送するポンプ、6は超音波振動素子、7は超音波振動素子用電源である。8は被測定ガス中の水蒸気量を調整する調湿器である。
調湿器8としては例えば水冷式冷却管が用いられる。これは二重構造の管の一方に冷却水を流し、冷却水と被測定ガス間で熱交換させることにより、被測定ガス中の水分を凝縮して除去するものである。例えば二重管の螺旋状になった内管に4℃の冷却水を流し、外管に被測定ガスを約300mL/分の流速で流す。25℃の室温で、長さ0.3mの管を用いた場合、導入する被測定ガスの相対湿度を30〜90%の間で変化させても相対湿度30%と一定湿度に調湿された被測定ガスが得られた。
【0024】
においセンサ1の感ガス材料は一般に湿度の妨害を受けるため、特に、低濃度のにおい物質を測定するときには湿度の変動が妨害要因となると考えられる。図27に示した従来例で識別が困難であった理由は、被測定ガス中のにおい物質が水蒸気に比べ低濃度であることと、水蒸気の濃度が変動していることにより精度の高い測定ができないことによると考えられる。
そこで本実施の形態のように、被測定ガス中の水蒸気量(すなわち湿度)を相対湿度30%と一定に調整することにより、湿度による変動を抑制できにおい物質そのものの濃度変動を感知できるため、低濃度のにおいを精度良く測定することができる。しかも本実施の形態では、相対湿度を30〜90%から相対湿度30%に下げることにより被測定ガス中のにおい物質の濃度が上がることになり、低濃度のにおいを精度良く測定することができる。
【0025】
さらに、本実施の形態によるにおい測定装置は、超音波振動素子6により、振動エネルギーを被測定水溶液3に与えることにより被測定水溶液3を霧状化する。これにより、液体が例えば直径数十μm以下の微細粒子に変換され、気液界面の表面積が増えて気液平衡が促進され、気体中のにおい物質を短時間で増加させることができる。
【0026】
なお、前出の特開平4−186139号公報には、図28(a)、(b)にそれぞれ示すような被測定ガス発生部が記載されている。図28(a)は乾燥空気等のキャリアガスを被測定溶液3の表面に吹き付けて被測定ガスを発生させる例であり、(b)はキャリアガスを被測定溶液3中に導入し、バブルを発生させて被測定ガスを発生させる例である。しかしながら、これらの例は共に、液体が自然に蒸発するのとほぼ同等の作用しかなく、本実施の形態のように被測定水溶液3を霧状化することはできず、気体中のにおい物質を短時間で増加させることができない。
【0027】
図2は図1の装置で測定した場合の水中のかび臭物質であるジオスミンの1ppb水溶液と水とを比較したものであり、本実施の形態では30分で識別が可能となると共に、水溶液のにおい物質の検出感度を従来法の1000倍に高めることができた。
【0028】
図4は比較のために、調湿器8が無く他は図1と同様の図3に示すようなにおい測定装置で水中のかび臭物質であるジオスミンの100ppb水溶液とこれを含まない水を測定した結果を示したものである。従来例では100ppbのジオスミンの識別ができなかったものが、本比較例では30分で識別が可能となった。これは超音波振動子8により気体中のにおい物質を短時間で増加させることができた結果であると考えられる。
また、本実施の形態による図2と比較例の図4とでは本実施の形態によるものの検出感度が100倍に向上しているが、これは調湿器8による効果であることが分かる。
【0029】
なお、相対湿度は0〜90%の範囲で一定に調整することが望ましい。これは90%を越えると水がにおいセンサの妨害物質となると共に、配管やセンサセル上で結露し易くなるため精度の良い測定ができないからである。また、においセンサ1のガス感応膜が導電性高分子膜、脂質膜、有機膜等の場合には、相対湿度が0%であると、これらの感応膜が乾燥し、寿命に影響を及ぼすため、相対湿度1〜90%に調整することが望ましい。さらにいえば、湿度制御が正確に行える相対湿度20%〜70%が最適である。
【0030】
なお、上記実施の形態では調湿器8として水冷式冷却管を用いた場合について説明したが、冷却水の代わりに冷却したガスを用いる空冷式冷却管や、ペルチェ素子に電圧を加えて冷却する電子冷却器等が用いられ、冷却温度を変化させることにより、相対湿度0〜90%間で任意の値に調整することができる。
また、水分子を選択的に通過させる透過膜を用いてもよく、内側の管に透過膜を用いた二重管の内側に被測定ガス、外側に調整したい湿度のガスを流すことにより、管壁より水分のみの移動を行い、湿度調整ができる。例えば、二重管の外側に25℃で相対湿度30%に調整した空気を流速1000mL/分で、内側の透過膜の管に被測定ガスを150mL/分で流し、25℃の室温で、長さ0.3mの管を用いたとき、導入する被測定ガスの相対湿度を30〜90%の間で変化させても相対湿度30%で一定湿度の被測定ガスが得られた。
また、シリカゲルやモレキュラーシーブを用いてもよく、例えば、直径0.03m、長さ0.3mの筒に、直径2〜3mmのモレキュラーシーブを入れ、被測定ガスを300mL/分で流したところ、25℃で相対湿度1%で一定のガスが得られた。
【0031】
このように、本実施の形態によれば、被測定水溶液3に超音波を照射することにより、気体中のにおい物質を短時間で増加することができるため、水溶液中に存在する低濃度のにおい物質でも感度良く測定することができるとともに、においセンサ1に妨害を与える湿度を一定に調整することにより、におい物質そのものの濃度変動を感知できるため、低濃度のにおい物質を精度良く測定できる効果がある。
【0032】
実施の形態2.
次に、超音波照射によって被測定ガスを発生させるのに適した容器2の形状について図5を基に説明する。生じた被測定ガスが拡散漏出しないように密閉できる容器とする。ただし、被測定溶液3やキャリアガスを供給したり被測定ガスを次段の調湿器やにおいセンサ等に輸送するための管201,202を装着できる箇所が複数存在する。
基本的に超音波は直進するので、超音波エネルギーを効率よく利用するためには、同一体積の被測定物に照射する場合、被測定物の形状のうち超音波の進行方向の距離(高さ)が進行方向に垂直な方向の距離に比べて大きい、あるいは進行方向の定義が難しい場合には、超音波振動素子6の板面に平行な方向の被測定物の長さのうち最も長い長さ(ただし突起物を除く)が、超音波振動素子6の板面に垂直な方向の被測定物の長さに比べて小さい(例えば、被測定物の形状が円柱で底面が振動板に平行であれば高さが直径より大きい、あるいは直方体であれば底面の対角線より高さが大きいなど)方が、効率的である。
例えば100mLの被測定溶液3を円柱状の容器2に入れて超音波を照射する場合、容器2底面の円の直径を4cmとすれば、被測定物すなわち被測定溶液の高さが約8cmになり、容器底面円の直径を8cmとして被測定物高さを約2cmとする場合に比べて効率的である。
【0033】
図6に水中のジオスミンの減少量を比較した結果を示す。初期濃度1ppb、超音波周波数1.6MHz、入力30Wの場合、底面円直径が4cmの場合の方が2cmの場合に比べてかなり早くジオスミンが減少している。これはそれだけ、気体中にジオスミン分子が追い出されて効率的な被測定ガスの発生が行なわれていることを示している。さらにこの2種類の容器を用いてジオスミンを1ppb含む水と含まない水に超音波を照射して、発生した被測定ガスをにおいセンサに輸送し、測定した結果を図7、8に示す。なおこれは水とジオスミンを含む水を交互に5回づつ測定したデータをマッピングした結果である。図7が底面の直径4cm、図8が直径8cmの場合である。図7の方がクラスターの分離が大きい。すなわち、直径を小さくすることによりにおい物質の追い出し効果を高め、水溶液中のにおい物質の検出の感度を高めることができた。
【0034】
なお、上記説明では被測定物3の高さ(8cm)を底面直径(4cm)で割った値が2の場合を示したが、1〜5の場合でも同様な効果が得られた。
なお、他の値においてもにおい物質の追い出しは可能である。また、上記実施の形態では底面が平面の場合を示したが、全ての面について曲面で構成されていても、投影した形状が上記の条件を満たしていれば同様の効果が得られる。
【0035】
次に照射方法であるが、図5では円柱状に整形したステンレス容器2に、超音波振動子6を接着したものを用いた(これを直接照射法と呼ぶ)が、円柱状の代わりに他の形、例えば直方体でも同様な効果が得られる。
【0036】
さらに、図9に示すように、水などの液体を保持できるステンレスなどの外容器200に超音波振動子6を装着し、液体300を入れ、ここにガラスなどの円柱または角柱などの容器2(これに被測定物3を入れておく)を浸してもよい。これを間接照射法と呼ぶ。この場合にも、直接照射法と同様な効果が得られる。なお、図9において210は液体供給口、220は排出口である。
【0037】
次に、容器2内における被測定物3の体積と上部気体の体積の関係について説明する。発生した被測定ガスを上記実施の形態1のように調湿器8で水蒸気量を調整したり、後の実施の形態で説明するように吸着材等により濃縮したりすることなく、直接においセンサ1に供給してもよく、この場合には、追い出された被測定ガス中のにおい物質の濃度が高ければ高いほどにおいセンサ1の応答が高くなりその結果、被測定物中のより低濃度のにおい物質を検出することができる。そのためには上部気体体積を被測定物体積に比べて小さくすることが望ましい。また、濃縮手段を用いる場合にも、吸着剤に接する水蒸気が少ない方が望ましい場合もありそのときには気体体積がなるべく小さい方がよい。
【0038】
ジオスミンの場合には吸着剤を用いない場合、被測定物3の体積を気体体積で割った比が2〜200、その中でも3〜10の場合に最も効果的な検出を行なうことができた。上記比が大きすぎても気体に保持できるにおい物質の濃度に限界があるため、効率的な検出ができない。ただし、この比はジオスミンが含まれる被測定物の場合の一例であり、ジオスミンの場合にも被測定物の体積、被測定物中の濃度、連続的に被測定ガスを輸送するか間欠的に輸送するか、濃縮手段があるかないか等によって最適な比は異なる。後段に濃縮手段がありかつ連続的に被測定ガスを輸送する場合には被測定物体積を気体体積で割った比が10〜100の場合に最も効果的な検出を行なうことができた。また、他のにおい物質では、最適な比が異なる場合もある。
【0039】
このように、本実施の形態では、被測定物の形状を超音波照射に適したものとしたり、容器中の被測定物体積と気体体積の比を最適化したりすることにより、短時間でにおい物質を増加された被測定ガスを得ることができる。この結果、発生した被測定ガスは、実施の形態1と同様に調湿器8で水蒸気量を調整したり、後の実施の形態で説明するように吸着剤を用いて濃縮し、さらに調湿器で水蒸気量を調整したりした後ににおいセンサ1に供給してもよいのは勿論であるが、発生した被測定ガスを直接においセンサ1に供給してもよく、この場合にも高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【0040】
実施の形態3.
次に、超音波照射の作用について説明する。超音波によってにおい物質が被測定物から追い出される機構は様々考えられ、その一つは、実施の形態1ですでに記載の通り、超音波振動子6により振動エネルギーを被測定溶液3に与えることにより霧状化する。これにより気液界面の表面積が増えて気液平衡に達する時間が縮小され気体中のにおい物質を短時間で増加させることができるものである。また、例えば刊行物(「超音波技術便覧新訂版」日刊工業新聞社、昭和53年発行、p128)にはキャビテーションについて記されている。キャビテーションとは、超音波を照射された液体中に減圧によって空孔のできる現象である。これにより液体がにおい物質を含む場合、キャビテーションによって溶存している気体、例えば酸素、窒素が空孔中に放出され、同時ににおい物質も空孔に放出され、同時に他のにおい物質がこれらとともに上層の気体中に放出されることにより、被測定ガスが生成される。
【0041】
次に、超音波照射によるにおい物質追い出し作用の周波数依存性について説明する。図10に周波数1.6MHz、850kHz、40kHz、および26kHzで超音波照射した場合のジオスミン減少量を時間に対してプロットした図を示す。振動板はすべて円形でその直径はそれぞれ2cm、3cm、3cm、3cmである。入力電力はすべて30Wである。容器は、内径4cm、高さ15cmの円筒形のものを用い、そこに100ppbのジオスミン溶液を150mL入れた。図10より、ジオスミンの濃度の減少速度から判断すると、被測定ガスの発生のためには1.6MHzが最も良く26kHzが最も悪い結果を得た。また、発生した被測定ガスをにおいセンサに輸送してにおいを測定した場合にも上記順番で識別性が良かった。しかしながらいずれの場合にもジオスミンの濃度が減少していることから少なくとも26kHz〜1.6MHzの周波数の超音波は被測定ガスの発生に有効であった。さらに、10kHz〜10MHzの範囲の周波数の超音波によっても同様な効果が得られた。 なお、今回は振動板の大きさが2または3cmのものを選んだが、これよりも大きくても小さくてもよい。また、入力電力は30Wととしたが、入力電力は大きいほど早くジオスミンは減少する。しかし、被測定物3が加熱され温度上昇速度が速くなるため、被測定ガス中の水蒸気量が非常に増加するので、被測定ガスとして適さなくなる。
【0042】
ところで超音波によるにおい物質の追い出し機構は複数あることを示したが、周波数によって有効な機構は異なる。そこで、複数の機構によりにおい物質を追い出すためには複数の周波数の超音波を同時または交互に照射することが有効であり、そのためには1つの容器に2種類以上の超音波素子を接着することが有効である。図11に、例として850kHzと40kHzの超音波素子61,62を接着した場合を示す。なお、40kHz用超音波素子62の設置位置は、被測定溶液に接する位置であればどこでもよい。入力電力や容器の大きさ等上記と同様な条件で、両方の超音波を同時に照射して測定を行なったところ、ジオスミンの減少速度定数において、それぞれの周波数単独で行なった場合の合計の50%の増加が認められた。
同様に、超音波の出力によっても有効な追い出し機構は異なる。そこで、850kHzの超音波素子を2台容器に接着し、一方には30W、他方には10Wを同時に入力した場合のにおい物質の追い出し効果を調べた。この場合にも40W単独の入力の場合に比べて約20%の向上が見られた。
【0043】
このように、本実施の形態では、波長または出力の異なる複数の超音波を照射することにより、短時間でにおい物質を増加された被測定ガスを得ることができる。この結果、発生した被測定ガスは、実施の形態1と同様に調湿器8で水蒸気量を調整したり、後の実施の形態で説明するように吸着剤を用いて濃縮し、さらに調湿器で水蒸気量を調整したりした後ににおいセンサ1に供給してもよいのは勿論であるが、発生した被測定ガスを直接においセンサ1に供給してもよく、この場合にも高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【0044】
実施の形態4.
次に、超音波照射時の被測定物の温度制御について説明する。上述の直接または間接照射法において、被測定物の温度を制御する手段を設けてもよい。温度制御手段としては、温度を高めるヒーターや温度を下げるペルチェ素子などが挙げられ、さらに直接法であれば容器2または被測定物3の温度をモニターし、間接法であれば水などの液体300の温度をモニターする。モニターされた温度によってヒーターまたはペルチェ素子をコントロールして被測定物3の温度を制御する。
【0045】
設定する温度は被測定物によって異なるが、被測定物が水の場合、超音波を照射すると温度が上昇し気体の水蒸気量が増加する。におい物質は一般的に被測定物の温度が高いほど気体に追い出されるので、水蒸気量の増加とにおい物質の追い出し速度の両方の条件を鑑みて、被測定物温度を60℃程度に設定するのが望ましい。しかしながら、温度設定範囲は被測定物に依存し、水が主体の場合には20〜80℃の範囲とするのが望ましい。ただし、設定温度が周囲の環境温度と大きく異なる場合には直接法であれば容器2、間接法であれば外容器200に断熱材を配置するなどしてもよい。
【0046】
このように、本実施の形態では、超音波照射時の被測定物の温度を制御することにより、におい物質を増加された被測定ガスを得ることができ、さらに被測定物が水溶液の場合は蒸発する水蒸気量の調整も可能となる。この結果、発生した被測定ガスは、実施の形態1と同様に調湿器8で水蒸気量を調整したり、後の実施の形態で説明するように吸着剤を用いて濃縮し、さらに調湿器で水蒸気量を調整したりした後ににおいセンサ1に供給してもよいのは勿論であるが、発生した被測定ガスを直接においセンサ1に供給してもよく、この場合にも高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【0047】
実施の形態5.
ところで、におい物質の中には超音波の作用によって分解するものがある。これは超音波によって水素ラジカル、ヒドロキシルラジカルが生成し、これがにおい物質を酸化分解するためである。そこで、におい物質より多くの還元物質を被測定物に添加することによって上記ラジカルを消滅させることができ、その結果におい物質の分解を防ぐことができる。ジオスミンを含まない水およびジオスミンを10ppb含む水に対し1ppmの濃度になるようにブドウ糖を加え、1.6MHzの超音波を10分照射して被測定ガスを生成させ、においセンサのデータをマッピングしたところ、ブドウ糖を加えない場合に比べてクラスターの分離が優れていた。すなわち、ブドウ糖の添加によってジオスミンの分解を防ぐことができた。なお、この例ではブドウ糖をジオスミンの100倍量(重量比)加えたが、加える量は10〜1000倍程度またはその値が1ppmに達しない場合には1ppm以上が有効である。
【0048】
なお、上述のブドウ糖以外の非揮発性の有機物あるいはチオ硫酸ナトリウムなどの無機物など、ラジカル除去剤あるいは還元剤と呼ばれる物質の添加でも同様な結果が得られる。また、後述のように、メタンやエタンなどの有機性ガスを通気しても同様な効果がある。また、有機酸などの揮発性物質でも後述の水素イオン濃度(pH)調整を行なっておけば効果がある。
【0049】
このように、本実施の形態では、被測定溶液にラジカル除去剤を添加することにより、超音波照射によって発生した水素ラジカルやヒドロキシラジカルによってにおい物質が酸化分解されるのを防止でき、におい物質を増加された被測定ガスを得ることができる。この結果、発生した被測定ガスは、実施の形態1と同様に調湿器8で水蒸気量を調整したり、後の実施の形態で説明するように吸着剤を用いて濃縮し、さらに調湿器で水蒸気量を調整したりした後ににおいセンサ1に供給してもよいのは勿論であるが、発生した被測定ガスを直接においセンサ1に供給してもよく、この場合にも高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【0050】
実施の形態6.
ブドウ糖などの有機物を添加したり、もとから被測定物に存在している場合、それらが酸化されることによって有機酸を生じることがある。また、窒素と酸素が反応して窒素酸化物を生じる場合がある。その結果被測定物が酸性に変化する場合がある。また、窒素含有有機物を添加したり、もとから被測定物に存在している場合、超音波処理によってアンモニアまたはアミン類が生じ、そのためアルカリ性に変化する場合がある。このようにpHが変化すると、超音波照射によって生じるか、もともと存在した酸やアンモニアなどが揮発して、それらににおいセンサが応答し、目的のにおいのセンシングのノイズとなり、におい検出を阻害する。そこで、超音波照射の前に、被測定物をわずかにアルカリ性にしたり、酸性にしておくことが有効である。
【0051】
以下に具体的な測定例を示す。河川アより採取した水にジオスミンを最終濃度100ppt(pptは1012分の1を表す)となるように溶解した。これを本サンプルとし、ジオスミンを加えない上記水を対照サンプルとした。これらに対し上記と同様に、1.6MHzの超音波を照射した場合、においセンサの出力結果をマッピング処理したところ、両方のデータポイントは交錯し、クラスターは重なった。そこで本サンプルおよび対照サンプルの両方に水酸化ナトリウムを添加することによりpHをあらかじめ8.5になるように調整した後、上記測定を行なったところ、クラスターは明瞭に分離し、ジオスミンの検出が可能となった。
pHを調整しないでクラスターが分離しなかったのは、河川水に存在した有機物が超音波により酸化され有機酸が生じこれにセンサが応答してノイズとなったためであると考えられる。もとから有機酸等が含まれていた可能性もある。
【0052】
また、ジオスミンの分解を防ぐために、前述のブドウ糖添加法をこの河川水に対しても用いた。ブドウ糖を最終濃度1ppmとなるように加えると同時に、水酸化ナトリウムを加えてpHをあらかじめ9とした。上記と同様な測定を行なったところ、クラスターはより明瞭に分離し、ジオスミンの検出が非常に明瞭に行なわれた。
なお、この例では水酸化ナトリウムを加えたが、他のアルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの他のアルカリ金属塩、金属水酸化物なども同様な効果を持つ。あるいは電気分解などによってアルカリ性にすることも同様な効果を持つ。
【0053】
ところで、超音波処理により生じる有機酸は、サンプルに存在する有機物および添加する還元剤のそれぞれの量に依存する上、有機酸生成に伴うpH変化は、サンプルに存在する水素濃度に対する緩衝効果の程度にも依存する。そのため、あらかじめ添加すべきアルカリ性物質の量は一概には決められない。正確に行なうためには、あらかじめ超音波処理によってどの程度の酸が生成するか調べた後、それを中和するアルカリ性物質の量を決める必要がある。しかしながら、経験上、pH8〜9.5の範囲で調整すると効果が認められた。
【0054】
一方、酸性にすることが有効な場合の例を示す。河川イから採取した水に対し、上記と同様な測定を行なったところ、何も加えない場合にはやはりクラスターの分離が認められなかった。そこで燐酸を加えてあらかじめpHを5.5に調整した後、超音波処理して測定したところ明瞭にクラスターが分離した。他の酸、硫酸、硝酸、塩酸、有機酸などでも効果があった。しかし燐酸や硫酸など揮発性の小さい酸が特に有効であった。このサンプルでは、水酸化ナトリウムの添加は効果がなかった。窒素含有有機物、アミン、アンモニアの少なくとも1つが河川水に含まれていたものと推定される。
添加する酸性物質の量は、やはりあらかじめ超音波処理によってどの程度アルカリ性になるか調べた後、それを中和する量を決める必要がある。しかしながら、経験からpH4.5〜6.5に調整すると効果が認められた。
【0055】
このように、本実施の形態では、被測定溶液の水素イオン濃度を調整することにより、超音波照射によって被測定溶液が酸性やアルカリ性になって酸やアンモニア等が揮発して目的物のセンシングのノイズとなるのを防止できる。この結果、発生した被測定ガスは、実施の形態1と同様に調湿器8で水蒸気量を調整したり、後の実施の形態で説明するように吸着剤を用いて濃縮し、さらに調湿器で水蒸気量を調整したりした後ににおいセンサ1に供給してもよいのは勿論であるが、発生した被測定ガスを直接においセンサ1に供給してもよく、この場合にも高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【0056】
実施の形態7.
超音波処理によって気体中の窒素と酸素あるいは窒素と水とが反応して窒素酸化物が生じることがある。このため上記のように被測定物を酸性にするだけではなく、センサに応答することによって目的のにおいの検出を阻害することがある。これを防ぐためには気体中の窒素を除去することが有効である。また、酸素を除去することも同様に有効である。これは気体中の窒素と酸素が反応することによって窒素酸化物が生じる反応が主反応であるからと考えられる。
そこで超音波処理の前段階において、空気以外の気体、特にアルゴン、ネオンなどの不活性ガスを被測定物に通気することにより、被測定物中の溶存気体および気体中の気体をそれらの不活性ガスに置換することが有効である。
【0057】
以下に具体的な測定例を示す。河川ウから採取した水を用いて、窒素や酸素を除去しないで上記と同様な測定およびマッピングを行なったが、クラスターの分離は認められなかった。そこで、ガラス管を通してアルゴンを100mL/分の流速で10分間通気した後に同様な測定およびマッピングを行なった結果、明瞭なクラスター分離が認められた。
なお、アルゴン通気量は何を通して通気するかにも依存している。すなわち単純なガラス管の場合には非効率なため100mL/分で10分かかったが、空気洗浄用の微細な穴の開いたフィルター等を利用すれば、より低流速でより短時間の処理で同様な効果が得られる。
なお、上記アルゴン、ネオンなどの不活性ガスの代わりに、酸素、窒素、酸素を含まない混合気体、窒素を含まない混合気体などでも同様の効果が得られる。さらに、メタン、エタンなど有機性ガスを用いるとラジカル除去剤の役割も果たす効果がある。
【0058】
このように、本実施の形態では、超音波を照射する前に、被測定溶液に酸素および窒素の少なくとも一方を除去する気体を通気することにより、超音波照射によって窒素酸化物が生じるのを防止でき、被測定溶液を酸性にしたりにおいセンサに応答して目的のにおいの検出を阻害するのを防止できる。この結果、発生した被測定ガスは、実施の形態1と同様に調湿器8で水蒸気量を調整したり、後の実施の形態で説明するように吸着剤を用いて濃縮し、さらに調湿器で水蒸気量を調整したりした後ににおいセンサ1に供給してもよいのは勿論であるが、発生した被測定ガスを直接においセンサ1に供給してもよく、この場合にも高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【0059】
実施の形態8.
図12は本発明の他の実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図である。図において、9は二重管の外側に流速の速い空気を流すことにより内側の細管に吸い上げられてくる被測定水溶液3と混ぜ合わせ微小粒子をつくる噴霧器であり、10は容器2内の空気を循環し噴霧器9に空気を供給する空気ポンプである。
被測定水溶液3を噴霧器9を通して微小粒子に変換することが試料を霧状化することに相当するので、実施の形態1と同様の効果を得ることができた。
【0060】
実施の形態9.
図13は本発明の他の実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図である。図において、11は細孔のあいたノズルであり、12は被測定水溶液3をノズル11に高圧力で送り込むポンプである。
被測定水溶液3をノズル11を通して微小粒子に変換することが試料を霧状化することに相当するので、実施の形態1と同様の効果を得ることができた。
【0061】
実施の形態10.
図14は本発明の他の実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図である。図において、13は電熱板、14は電熱板用電源である。
被測定水溶液3を水滴にして、電熱板13上に垂らし、熱エネルギーを加える。液が蒸発することにより気体中のにおい物質を短時間で増加させることができるため、実施の形態1と同様の効果が得られた。
【0062】
実施の形態11.
図15は本発明の他の実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図である。図において、15は回転板、16は回転板駆動用モーター、17は回転板駆動モーター用電源である。
回転板15を回転させて被測定水溶液3を撹拌するとことにより気体中のにおい物質を短時間で増加させることができるので、実施の形態1と同様の効果を得ることができた。
【0063】
実施の形態12.
図16は本発明の他の実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図である。図において、18は電磁波発生器であり、電磁波発生器18内で被測定水溶液3中の水分子間に振動を与えることにより生ずる熱で、気体中のにおい物質を短時間で増加させることができるので、実施の形態1と同様の効果を得ることができた。
【0064】
実施の形態13.
図17は本発明の他の実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図であり、被測定水溶液の一例としてジオスミンの1ppb水溶液のにおい測定を対象とした場合について説明する。図において、19は被測定ガスをセンサ1に引き込むポンプである。
【0065】
上記のように構成されたにおい測定装置は、実施の形態1と同様に超音波素子6により、被測定水溶液3を霧状化することができ、センサ1に応答するためにおい物質を検出する時の妨害物質となる水蒸気を調湿器8で一定量に調節するため、低濃度のにおいを精度良く短時間で測定することができる。
さらに、本実施の形態の場合、密閉系で測定が行われるため、被測定ガスが希釈されないという利点がある。
なお、ポンプ19は調湿器8とにおいセンサ1の間に配置されてもよい。
【0066】
図18に上記装置で測定した場合の1ppbのジオスミン水溶液と水を比較したものを示す。本実施の形態により、保持時間30分で1ppbのジオスミン水溶液と水との識別を行うことができた。
【0067】
なお、実施の形態8ないし12に示した、噴霧器9、細孔ノズル11、電熱板13、回転板15、電磁波18を用いた場合にも同様な効果が得られた。
【0068】
実施の形態14.
図19は本発明の他の実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図であり、被測定水溶液の一例として、ジオスミンの1ppb水溶液のにおい測定を対象とした場合について説明する。図において、20は疎水性物質の吸着剤であり、オクタデシルシランを膜状に加工したものやシリカゲルにオクタデシルシランを化学結合して微粒子化したもの等が用いられる。21は脱着用ヒーターである。
【0069】
被測定水溶液3(1リットル)を吸着剤20に吸着させることによりにおい物質の濃縮を行った後、ヒーター21で熱エネルギーを加えることによりにおい物質の脱着を行い濃縮被測定ガスを得る。得られた濃縮被測定ガスを調湿器8を通過させ水蒸気量を一定とした後、においセンサ1で測定を行うことで、極低濃度のにおい物質の測定が精度良くできる。
【0070】
図20に上記装置で測定した場合の1ppbのジオスミン水溶液とジオスミンの無い水を比較したものを示す。本実施の形態により1ppbのジオスミンと水の識別を行うことができた。なお、保持時間は30分であった。
【0071】
なお、上記実施の形態では被測定水溶液3を吸着剤20に吸着させたが、被測定ガスであってもよい。
また、におい物質の脱着には、ヒーター21による熱エネルギー以外のエネルギーを用いてもよく、例えば振動、回転等の運動エネルギーや電磁波のエネルギー等を用いてもよい。
【0072】
実施の形態15.
図21は本発明の他の実施の形態によるにおい測定装置を示す構成図であり、ジオスミン水溶液3を実施の形態1と同様にして短時間でにおい物質を高めた被測定ガスを得、さらに被測定ガス中のにおい物質を吸着剤20に吸着させることによりにおい物質を濃縮し、その後、ヒーター21で脱着することによりにおい物質を気体中に追い出し、外部より供給する清浄空気で搬送し、調湿器8によって含まれる水蒸気量を一定にした後、においセンサ1で測定を行う。
これは実施の形態1と実施の形態14を組み合わせたものであり、実施の形態1または実施の形態14と同等もしくはそれ以上の効果が期待される。
なお、実施の形態8ないし13の何れかと実施の形態14を組み合わせてもよい。
【0073】
なお、上記実施の形態14および15において、吸着剤20、ヒーター21、および調湿器8を兼ね備えた装置を用いてもよく、同様の効果が得られる。
【0074】
実施の形態16.
次に、被測定溶液と気体の気体を接触させることにより濃縮された被測定ガスを生成する例について説明する。図22において、50はアメリカ合衆国Mazzei Injector(マゼイ・インジェクター)社製のインジェクターである。インジェクター50は直管であるが途中にくびれがありそこに気体排出口202を介して容器2の気体31収納部とつながっている管接合部があり気体導入口51となっている。52は液体導入口であり、容器2の被測定溶液排出口203から導出された被測定溶液3がポンプ55および三方バルブ54を介して導入される。53は排出口であり容器2の循環溶液導入口204に接続されている。
また、この例ではインジェクター50直管は円筒容器側面の法線に対して水平方向に45度の角度を持つように水平方向に傾斜して接続されている。
【0075】
このように構成されたものにおいて、ポンプ55によって容器2内の被測定溶液3がインジェクター50を通りながら循環するが、インジェクター50内のくびれの部分では高速に被測定溶液が移動するので、低圧力になり気体31を引き込む。その結果、気体31が液相中で小さな気泡状態となって、大きい気液界面を作ると同時に気泡が激しく動くことによって被測定溶液中のにおい物質が気体に移動することにより被測定ガスを生成することができる。
また、インジェクター50直管が容器の法線方向と角度を持って接続されているために、循環液が容器の法線に対して傾いた方向から容器2中の被測定溶液3に流入し、被測定溶液と気体の循環に伴って容器2内で被測定溶液3が回転することにより撹拌される。その結果、におい物質追い出し効果がより高まると共に、後述の塩化ナトリウム等の添加物の溶解が促進される。ただし、この傾斜角度は20度〜70度であればよく、傾斜する方向も水平方向に限らず、上下方向でも任意の斜め方向でもよい。
【0076】
次に例を挙げて具体的に説明する。ガラス製の容積40.5L(リットル)の円筒容器2の側面に2カ所の被測定物の入出口204,203があり、また上部に気体の排出口202がある。これら3カ所をインジェクター50とポンプ55を通して管でつないでいる。
ジオスミンを10ppt含む40Lの水を被測定溶液とし、この被測定溶液に塩化ナトリウムを5kg加えて、最初0.5L/分の流速で被測定物を循環する。塩化ナトリウムが溶解した後、流速を5L/分に増加させると気体を引き込み、気体の気泡が生じインジェクター50管内及び容器2内で気液接触が起こる。
なお、塩化ナトリウムを溶解するときにも5L/分の流速で循環させてもよいが、溶解していない塩化ナトリウムがインジェクター50を損傷する可能性がある。
被測定溶液を時々取り出してジオスミンの濃度変化を追跡したところ、約30分でジオスミン濃度が1pptに減少した。すなわち、気体31と被測定溶液3を高速に接するようにすることにより、優れたにおい追い出し効果が得られ、水溶液中に存在する低濃度のにおい物質の検出を行なうことができた。
【0077】
なお、上記実施の形態ではマゼイ・インジェクター社製のインジェクターを用いたが、少なくとも3つの開口部、すなわち液体の導入口52、気体の導入口51、液体および気体の排出口53を有する装置であれば同様な効果が得られる。
なお上記実施の形態ではにおい物質の追い出し効果を高めるために塩化ナトリウムを加えたが、他の塩でもよい。また、塩を加えなくてもよいが、この場合、におい物質の追い出し速度は遅くなる。
また、流速はにおい物質の追い出しの場合1〜10L/分でも同様な効果がある。
また、容器2の容積は40Lとしたが、これに限るものではなく、これより少量でも多量でも同様な効果が見られた。最適な容器の大きさはにおい物質、塩などの添加物質の種類および濃度、流速等に依存する。例えば100pptのジオスミン濃度の被測定溶液を用いた場合、容積4Lの容器を用いても同様な効果が認められた。
また、上記実施の形態では塩の溶解に被測定溶液の循環を利用したが、被測定溶液3中でプロペラを回転させたり、容器2全体を揺らすなどの方法で、被測定溶液3に運動エネルギーを与えてもよい。また、別の容器を用いて塩を溶解した後に、被測定物容器2に送り込んで上記のような気液接触を行なうようにしてもよい。
また、上記実施の形態では循環液が容器2の法線に対して傾いた方向から容器中の溶液3に流入するように構成した場合について説明したが、循環液が容器の法線方向から流入するようにしてもよく、この方が装置の製作が容易である。
【0078】
また、本実施の形態では図22に示すように、容器2側面の最下部近傍にキャリアガスの供給口201、容器最上部に気体排出口202を設けている。このように、容器2の被測定溶液3収納部にキャリアガスを導入し、気体31収納部から導出するように構成したので、容器2内での被測定溶液の攪拌が促進されより短時間でにおい物質を増加された被測定ガスを得ることができる。
【0079】
具体的例としては、供給口201に逆止弁42を介して標準空気ボンベ41からの管が接続され、排出口202に例えばテナックスが詰められた管を有する濃縮装置(例えばテクマー社製、商品名:3000J型)が接続される。
テナックス管は室温程度に温度を制御し、30mL/分の流速で標準空気を追い出し容器2に送りながら、30分間インジェクター50を用いてジオスミンを10ppt含む被測定水溶液を循環した。塩添加等の条件は上記と同様である。その後、テナックス管を220℃に加温し、吸着されたジオスミンを脱着してにおいセンサに導入し、においの測定を行なった。同様にしてジオスミンを含まない試料についてもにおいの測定を行なった。その結果を用いてマッピングを行なった結果を図23に示す。図より、クラスターが分離しているのがわかる。すなわち10pptという非常に希薄な被測定溶液中ののジオスミンの検出が可能となった。
【0080】
なお、本実施の形態では、空気を連続的に導入したが、間欠的に導入してもよい。例えば密封して10分間の循環運転の後、3分間50mL/分の流速で気体を濃縮装置に導入することを5回繰り返しても同様なクラスター分離が認められた。
なお、気体排出口202とにおいセンサまたは濃縮装置の間に、気液分離槽、逆止弁、圧力調整弁等を付与してもよい。
また、気体排出口202とにおいセンサ間の管に加熱装置を設置して恒温状態にすることも、におい検出のために有効であった。
【0081】
このように、本実施の形態では、容器2に気体31収納部を残して被測定溶液3を封入し、溶液3を気体31を吸入しながら循環させて気体31ににおい物質を追い出すように構成したので、短時間でにおい物質を増加された被測定ガスを得ることができる。この結果、発生した被測定ガスは、実施の形態1と同様に調湿器8で水蒸気量を調整したり、実施の形態15のように吸着剤20を用いて濃縮し、さらに調湿器8で水蒸気量を調整したりした後ににおいセンサ1に供給してもよいのは勿論であるが、発生した被測定ガスを直接においセンサ1に供給してもよく、この場合にも高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【0082】
なお、上記各実施の形態はジオスミンのようなかび臭のみでなく、においのある物質で水分が共存する場合の測定に有効である。例えば、100ppbの2,4,6−トリクロロアニソールを実施の形態1と同様の測定装置を用いて測定した結果を図24に示す。上記測定装置により100ppbの2,4,6−トリクロロアニソールと水との識別を行うことができた。なお、保持時間は共に30分であった。
また、単一物質からなるにおいだけでなく複数の物質からなるにおいの識別も可能であり、例えば、食品添加物として用いられる香りエッセンス等も測定可能である。
さらに、上記各実施の形態は水溶液の測定のみでなく、においのある固形物で水分を含んでいるものの測定にも有効である。例えば、洋梨の熟度の識別を実施の形態12と同様の測定装置を用いて行った結果を図25に示す。上記測定装置により洋梨の熟度の識別を行うことができた。
【0083】
【発明の効果】
以上のように、第1の発明によれば、被測定ガスをにおいセンサに供給し、上記被測定ガスのにおいを測定するものにおいて、容器に気体収納部を残して被測定溶液を封入し、上記溶液を上記気体を吸入しながら循環させて上記気体中ににおい物質を追い出し、被測定ガスを得るように構成したので、短時間でにおい物質を増加された被測定ガスを得ることができる。
【0084】
さらに、第2の発明によれば、上記循環液が容器の法線に対して傾いた方向から上記容器中の溶液に流入するように構成したので、容器内での被測定溶液の攪拌が促進され、より短時間でにおい物質を増加された被測定ガスを得ることができる。
【0085】
さらに、第3の発明によれば、上記容器の被測定溶液収納部にキャリアガスを導入し、気体収納部から導出するように構成したので、容器内での被測定溶液の攪拌が促進され、より短時間でにおい物質を増加された被測定ガスを得ることができる。
【0086】
さらに、第4の発明によれば、上記被測定ガス中の水蒸気量を調整する手段を備えたので、においセンサの妨害物質である湿度を調整することによりその妨害要因を抑え、より高感度で高精度のにおい測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図2】 図1の装置で測定した1ppbジオスミン水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図3】 比較例によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図4】 図3の装置で測定した100ppbジオスミン水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態2によるにおい測定装置の要部を示す構成図である。
【図6】 本発明の実施の形態2に係わり被測定溶液中のジオスミンの減少量を比較した測定結果を示す図である。
【図7】 底面の直径4cmの容器を用いた場合の100ppbジオスミン水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図8】 底面の直径8cmの容器を用いた場合の100ppbジオスミン水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態2の他の例によるにおい測定装置の要部を示す構成図である。
【図10】 本発明の実施の形態3に係わり超音波の各周波数における被測定溶液中のジオスミンの減少量を比較した測定結果を示す図である。
【図11】 本発明の実施の形態4によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図12】 本発明の実施の形態8によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図13】 本発明の実施の形態9によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図14】 本発明の実施の形態10によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図15】 本発明の実施の形態11によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図16】 本発明の実施の形態12によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図17】 本発明の実施の形態13によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図18】 図17の装置で測定した1ppbジオスミン水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図19】 本発明の実施の形態14によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図20】 図19の装置で測定した1ppbジオスミン水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図21】 本発明の実施の形態15によるにおい測定装置を示す構成図である。
【図22】 本発明の実施の形態16によるにおい測定装置の要部を示す構成図である。
【図23】 図22の装置で測定した10pptジオスミン水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図24】 図1の装置で測定した100ppbの2,4,6−トリクロロアニソール水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図25】 図16の装置で測定した熟成洋梨と未熟洋梨の測定結果を示す図である。
【図26】 従来のにおい測定装置を示す構成図である。
【図27】 図26の装置で測定した100ppbジオスミン水溶液と水との測定結果を示す図である。
【図28】 従来の別のにおい測定装置の要部を示す構成図である。
【符号の説明】
1 においセンサ、 2 容器、 201 供給口、 202 被測定ガス排出口、 203 被測定溶液排出口、 204 循環液導入口、 3 被測定水溶液、 31 気体、 4 清浄空気発生器、 41 標準空気ボンベ、 5,55 ポンプ、 6,61,62 超音波振動素子、 7 超音波振動素子用電源、 8 調湿器、 9 噴霧器、 10 ポンプ、 11 細孔の空いたノズル、 12 ポンプ、 13 電熱板、 14 電熱板用電源、 15 回転板、 16 回転板駆動用モーター、 17 回転板駆動モーター用電源、 18電磁波発生器、 19 吸引ポンプ、 20 吸着剤、 21 脱着用ヒーター、 50 インジェクター、 51 気体導入口、 52 液体導入口、 53 排出口、 200 外容器、 300 液体。
Claims (4)
- 被測定ガスをにおいセンサに供給し、上記被測定ガスのにおいを測定するものにおいて、容器に気体収納部を残して被測定溶液を封入し、上記溶液を上記気体を吸入しながら循環させて上記気体中ににおい物質を追い出し、被測定ガスを得るように構成したことを特徴とするにおい測定装置。
- 上記循環液が容器の法線に対して傾いた方向から上記容器中の溶液に流入するように構成した請求項1に記載のにおい測定装置。
- 容器の被測定溶液収納部にキャリアガスを導入し、気体収納部から導出するように構成した請求項1または2の何れかに記載のにおい測定装置。
- 被測定ガスのにおい分子に感応するガス感応膜を有するにおいセンサと、冷却することにより上記被測定ガス中の水蒸気量を調整する手段とを備えた請求項1から3の何れかに記載のにおい測定装置。
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