JPH1183375A - アルミニウム製熱交換器 - Google Patents

アルミニウム製熱交換器

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JPH1183375A
JPH1183375A JP25060797A JP25060797A JPH1183375A JP H1183375 A JPH1183375 A JP H1183375A JP 25060797 A JP25060797 A JP 25060797A JP 25060797 A JP25060797 A JP 25060797A JP H1183375 A JPH1183375 A JP H1183375A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 扁平チューブの接合部の外側に形成される窪
み部とヘッダープレートまたはヘッダーパイプの嵌合孔
との間の隙間へのろう材の充填度を従来より高めること
ができるとともにろう材をクラッドしないフィンを用い
ること。 【解決手段】 表面にSiを含有するろう材をクラッド
してなる板材を成形し、接合部を設けた扁平チューブ
と、表面にSiを含有するろう材をクラッドしてなるヘ
ッダープレートまたはヘッダーパイプと、フィンとを有
し、仮組時に、扁平チューブとフィンを積層するととも
に、扁平チューブ両端にヘッダープレートまたはヘッダ
ーパイプを取り付け、この仮組時に、扁平チューブ両端
とヘッダープレートまたはヘッダーパイプとの嵌合部に
隙間が形成され、ろう付け時に、扁平チューブとフィン
および扁平チューブとヘッダープレートまたはヘッダー
パイプがそれぞれろう接合されるアルミニウム製熱交換
器において、扁平チューブのろう材中のSi含有量を、
ヘッダープレートまたはヘッダーパイプのろう材中のS
i含有量より2重量%以上多くした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ラジエー
タ、ヒータコア、インタークーラ、オイルクーラ等のア
ルミニウム(アルミニウム合金を含む)製熱交換器に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のアルミニウム製熱交換器
は、図6ないし図10に示すように、作動流体通路用の
断面B型形状の扁平チューブ1と、ヘッダープレートま
たはヘッダーパイプ2と、フィン3とを有し、扁平チュ
ーブ1とフィン3を積層し、扁平チューブ1両端にヘッ
ダープレートまたはヘッダーパイプ2を取り付け、扁平
チューブ1とフィン3および扁平チューブ1とヘッダー
プレートまたはヘッダーパイプ2をろう接合することに
より形成されている(例えば、特開昭63−24243
2号公報、特開平6−123571号公報参照)。
【0003】ここで、断面B型形状の扁平チューブ1に
は、Al−Mn系のJIS3003合金を芯材とし、そ
の片面(外面となる面)にAl−Si系のJIS434
3合金ろう材(Si含有量7.5重量%程度)、他方の
面(内面となる面)にAl−Zn系のJIS7072合
金をそれぞれ10%前後のクラッド率で張り合せた厚さ
0.2〜0.4mm程度のブレージングシートが用いら
れている。
【0004】また、ヘッダープレートまたはヘッダーパ
イプ2には、扁平チューブ1と同様のクラッド材で外面
にAl−Si系のJIS4343合金ろう材(Si含有
量7.5重量%程度)、内面にAl−ZnまたはAl−
Zn−Mg系合金を張り合わせた厚さ0.8〜1.6m
m程度のブレージングシートが用いられている。フィン
3には、Al−Mn−Zn系合全からなる厚さ0.07
〜0.13mm程度の板をコルゲート加工したものが用
いられている。
【0005】なお、ヘッダープレート2を用いる場合
は、ナイロン樹脂製またはアルミニウム製のタンクが取
り付けられる。また、9は作動流体用の導出入管であ
る。この種のアルミニウム製熱交換器のろう付接合は非
腐食性フラックスを使用する場合、アルミニウム部材を
組合せ、治具組みした後、脱脂、5%フラックス塗布工
程をへてN2ガス中590〜620℃の温度に加熱する
ことにより行なわれる。ろう付炉中の露点は−30℃以
下、酸素濃度は1000ppm以下であることが望まし
い。
【0006】このようにして製造されたアルミニウム製
熱交換器では、図10に示すように、ヘッダープレート
またはヘッダーパイプ2の嵌合孔6が、扁平チューブ1
を嵌入できるように扁平形状をしているため、扁平チュ
ーブ1の接合部4の外側に形成される窪み部5と、ヘッ
ダープレートまたはヘッダーパイプ2の嵌合孔6との間
に、隙間7が形成される。従って、ろう付け時に、この
隙間7にろう材が十分に行き渡らず、ろう付け不良を引
き起こす要因となっている。
【0007】この現象は、図9(b)に示すように、ろ
う付け時に、扁平チューブ1とヘッダープレートまたは
ヘッダーパイプ2にそれぞれクラッドされているろう材
1a、2aが流動して、扁平チューブ1とフィン3との
当接部および扁平チューブ1とヘッダープレートまたは
ヘッダーパイプ2の嵌合孔6との間に集まろうとする
が、肉厚の関係でヘッダープレートまたはヘッダーパイ
プ2より早く昇温するフィン3および扁平チューブ1に
より扁平チューブ1とフィン3との間の当接部における
フィレット8が優先的に容易に形成され、扁平チューブ
1とヘッダープレートまたはヘッダーパイプ2の嵌合孔
6との間に集まるろう材をフィレット8が引き寄せるた
めと思われる。
【0008】そこで、この不具合を解消するため、従来
では、図11に示すように、扁平チューブ1およびヘッ
ダープレートまたはヘッダーパイプ2と同様に、フィン
3の両面に、Al−Si系のJIS4343合金ろう材
(Si含有量7.5重量%程度)3a、3bをクラッド
していた。これにより、扁平チューブ1とフィン3との
間の当接部におけるフィレット8が優先的に容易に形成
されても、図12に示すように、扁平チューブ1とヘッ
ダープレートまたはヘッダーパイプ2の嵌合孔6との間
にもろう材が集まることが可能となり、扁平チューブ1
の接合部4の外側に形成される窪み部5と、ヘッダープ
レートまたはヘッダーパイプ2の嵌合孔6との間の隙間
7へのろう材9の充填度を高めることが可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11
に示す従来のアルミニウム製熱交換器では、扁平チュー
ブ1、ヘッダープレートまたはヘッダーパイプ2および
フィン3のいずれにもろう材をクラッドする必要がある
ため、コスト高となる。しかも、ろう材中のSi含有量
が、いずれも7.5重量%程度と同等であるため、図9
に示すアルミニウム製熱交換器よりも、隙間7へのろう
材の充填度向上が期待できるものの、確実性に欠ける虞
がある。
【0010】加えて、ろう材をクラッドしたフィン3で
は、ろう材をクラッドしないベアフィンに比しコルゲー
トカッターの寿命を半減するという問題もある。本発明
はかかる従来の問題点を解決するためになされたもの
で、その目的は、扁平チューブの接合部の外側に形成さ
れる窪み部とヘッダープレートまたはヘッダーパイプの
嵌合孔との間の隙間へのろう材の充填度を従来より高め
ることができるとともにろう材をクラッドしないフィン
を用いることができるアルミニウム製熱交換器を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
表面にSiを含有するろう材をクラッドしてなる板材を
成形し、接合部を設けた扁平チューブと、表面にSiを
含有するろう材をクラッドしてなるヘッダープレートま
たはヘッダーパイプと、フィンとを有し、仮組時に、扁
平チューブとフィンを積層するとともに、扁平チューブ
両端にヘッダープレートまたはヘッダーパイプを取り付
け、この仮組時に、扁平チューブ両端とヘッダープレー
トまたはヘッダーパイプとの嵌合部に隙間が形成され、
ろう付け時に、扁平チューブとフィンおよび扁平チュー
ブとヘッダープレートまたはヘッダーパイプがそれぞれ
ろう接合されるアルミニウム製熱交換器において、扁平
チューブのろう材中のSi含有量を、ヘッダープレート
またはヘッダーパイプのろう材中のSi含有量より2重
量%以上多くしたことを特徴とする。
【0012】(作用)請求項1に係る発明においては、
扁平チューブのろう材中のSi含有量が、ヘッダープレ
ートまたはヘッダーパイプのろう材中のSi含有量より
2重量%以上多くなっているので、ろう付け時の扁平チ
ューブのろう材の流動性がヘッダープレートまたはヘッ
ダーパイプのろう材の流動性より良く、しかも、扁平チ
ューブの肉厚が、ヘッダープレートまたはヘッダーパイ
プの肉厚より薄いため、ろう付け時の温度により扁平チ
ューブおよびフィンが先に加熱されて、昇温する。
【0013】そのため、扁平チューブのろう材がヘッダ
ープレートまたはヘッダーパイプのろう材より早く流動
化し、扁平チューブとフィンとの当接部にフィレットを
確実に形成する。
【0014】同時に、扁平チューブのろう材は、ヘッダ
ープレートまたはヘッダーパイプの嵌合孔に向かって流
動する。この状態で、ヘッダープレートまたはヘッダー
パイプのろう材が流動化し始め、嵌合孔に嵌入されてい
る扁平チューブの外周に沿ってフィレットを形成すると
ともに、扁平チューブの外側に形成される窪み部と、ヘ
ッダープレートまたはヘッダーパイプの嵌合孔との間の
隙間へ流入し、この隙間を埋めることができる。
【0015】なお、請求項1に係る発明において、扁平
チューブのろう材中のSi含有量を、ヘッダープレート
またはヘッダーパイプのろう材中のSi含有量より2重
量%以上多くしたが、2重量%未満では従来と同様にフ
ィレット形成時に引き寄せられ、ろう材の流動性を利用
することができない。また、この種のアルミニウム製熱
交換器におけるろう材としては、通常、Si含有量が平
均で7.5重量%〜10重量%であるから、この範囲の
ものから選択し、上述のように2重量%を越えると、流
動性が確実に良好になることが確認できた。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態により説明する。図1は、請求項1記載のアルミニウ
ム製熱交換器の一実施形態を示す。なお、図1は、図8
のB−B線に沿った拡大断面図と同様の箇所を示す。ま
た、本実施形態に係るアルミニウム製熱交換器は、図6
に示す従来のアルミニウム製熱交換器と外観形状をほぼ
同様とするものである。
【0017】図1(a)は、ろう付け前の状態を示す断
面図である。。ここで、扁平チューブ10には、Al−
Mn系のJIS3003合金を芯材10aとし、その片
面(外面となる面)にAl−Si系のJIS4343合
金ろう材10b、他方の面(内面となる面)にAl−Z
n系のJIS7072合金犠牲材10cをそれぞれ10
%前後のクラッド率で張り合せた厚さ0.2〜0.4m
m程度のブレージングシートが用いられている。
【0018】そして、扁平チューブ10は、ろう付け時
の流動性を良くするために、扁平チューブ10のろう材
10b中のSi含有量を、ヘッダープレートまたはヘッ
ダーパイプ20のろう材20b中のSi含有量より2重
量%以上多くしてある。また、扁平チューブ10は、板
材の両端部11を同一方向に折り曲げるとともに、両端
部11同士を接合することによって、断面B型形状に成
形されている。
【0019】また、ヘッダープレートまたはヘッダーパ
イプ20には、扁平チューブ10と同様に、Al−Mn
系のJIS3003合金を芯材20aとし、その片面
(外面となる面)にAl−Si系のJIS4343合金
ろう材20b、他方の面(内面となる面)にAl−Zn
系のJIS7072合金20cをそれぞれ10%前後の
クラッド率で張り合わせた厚さ0.8〜1.6mm程度
のブレージングシートが用いられている。
【0020】フィン15には、Al−Mn系のJIS3
003合金からなる厚さ0.07〜0.13mm程度の
板をコルゲート加工したものが用いられている。このよ
うに構成したアルミニウム製熱交換器によれば、非腐食
性フラックスを使用する場合、図6に示す従来例と同様
に、扁平チューブ10とフィン15を積層し、扁平チュ
ーブ10両端にヘッダープレートまたはヘッダーパイプ
20を取り付け、治具組みした後、脱脂、5%フラック
ス塗布工程(フラックス塗布量3〜5g/m2)をへて
2ガス中590〜620℃の温度で5分間加熱するこ
とにより行なわれる。ろう付炉中の露点は−30℃以
下、酸素濃度は1000ppm以下であることが望まし
い。
【0021】かくして、扁平チューブ10とフィン15
および扁平チューブ10とヘッダープレートまたはヘッ
ダーパイプ20をろう接合することができる。このよう
にして製造されたアルミニウム製熱交換器では、図1
(b)に示すように、扁平チューブ10のろう材10b
中のSi含有量が、ヘッダープレートまたはヘッダーパ
イプ20のろう材20b中のSi含有量より2重量%以
上多くなっているので、ろう付け時の扁平チューブ10
のろう材10bの流動性がヘッダープレートまたはヘッ
ダーパイプ20のろう材20bより良く、しかも、扁平
チューブ10の肉厚が、ヘッダープレートまたはヘッダ
ーパイプ20の肉厚より薄いため、ろう付け時の温度に
より扁平チューブ10およびフィン15が先に加熱され
て、昇温する。
【0022】そのため、扁平チューブ10のろう材10
bがヘッダープレートまたはヘッダーパイプ20のろう
材20bより早く流動化し、扁平チューブ10とフィン
15との当接部にフィレット14を確実に形成する。同
時に、扁平チューブ10のろう材10bは、ヘッダープ
レートまたはヘッダーパイプ20の嵌合孔21に向かっ
て流動する。
【0023】この状態で、ヘッダープレートまたはヘッ
ダーパイプ20のろう材20bが流動化し始め、嵌合孔
21に嵌入されている扁平チューブ10の外周に沿って
フィレット26を形成するとともに、扁平チューブ10
の外側に形成される窪み部13と、ヘッダープレートま
たはヘッダーパイプ20の嵌合孔21との間の隙間25
へ流入し、この隙間25を埋めることができる。
【0024】以上のように、本実施形態によれば、表面
にSiを含有するろう材10bをクラッドしてなる断面
B型形状の扁平チューブ10と、表面にSiを含有する
ろう材20bをクラッドしてなるヘッダープレートまた
はヘッダーパイプ20と、フィン15とを有し、扁平チ
ューブ10とフィン15を積層し、扁平チューブ10両
端にヘッダープレートまたはヘッダーパイプ20を取り
付け、扁平チューブ10とフィン15および扁平チュー
ブ10とヘッダープレートまたはヘッダーパイプ20を
ろう接合してなるアルミニウム製熱交換器において、扁
平チューブ10のろう材10b中のSi含有量が、ヘッ
ダープレートまたはヘッダーパイプ20のろう材20b
中のSi含有量より2重量%以上多くなっているので、
フィン15との当接部にフィレット14を形成するとと
もに、扁平チューブ10の接合部12の外側に形成され
る窪み部13とヘッダープレートまたはヘッダーパイプ
20の嵌合孔21との間の隙間25へろう材を確実に充
填させることができる。
【0025】なお、本実施形態では、扁平チューブ20
として、板材の両端部を折り曲げて、その折り曲げ部を
当接してなる特開昭63−242432号公報に開示さ
れる断面B型形状に成形されている扁平チューブについ
て説明したが、本発明は、これに限定することなく、例
えば、図2に示すように、板材の両端部11aが中央の
隔壁部11bの両側に位置するように折り曲げたもの、
または図4に示すように、板材の両端部11cを中央の
U字状に折り曲げた隔壁部11dの両側に位置するよう
に折り曲げたものであっても良い。要は、1枚の板材を
折り曲げることにより接合するとともに、接合部に窪み
部が形成される扁平チューブであれば、その形状および
形成手段は問わない。
【0026】また、扁平チューブ10として、Al−M
n系のJIS3003合金を芯材10aとし、その片面
(外面となる面)にAl−Si系のJIS4343合金
ろう材10b、他方の面(内面となる面)にAl−Zn
系のJIS7072合金犠牲材10cをそれぞれ10%
前後のクラッド率で張り合せた厚さ0.2〜0.4mm
程度のブレージングシートを用いたが、本発明では、こ
れに限らず、例えば、Al−Zn−Mg系合金、Al−
In−Mg系合金、Al−Sn−Mg系合金などからな
る犠牲材、Al−Mn系合金、Al−Mn−Cu系合
金、Al−Mn−Si系合金、Al−Mn−Cu−Si
系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Mg−Si−
Cu系合金などからなる芯材、Al−Si系のろう材を
用いて構成しても良い。
【0027】また、フィン15として、Al−Mn系の
JIS3003合金からなる厚さ0.07〜0.13m
m程度の板をコルゲート加工したものを用いたが、本発
明はこれに限らず、Al−Mn−Zn(必要に応じて、
Znの全部又は一部がIn又はSnで置換)系合金、A
l−Fe−Si−Zn(必要に応じて、Znの全部又は
一部がIn又はSnで置換)系合金、Al−Mn−Si
−Zn系合金(必要に応じて、Znの全部又は一部がI
n又はSnで置換)を用いて構成しても良い。
【0028】また、ヘッダープレートまたはヘッダーパ
イプ20として、扁平チューブ10と同様に、Al−M
n系のJIS3003合金を芯材20aとし、その片面
(外面となる面)にAl−Si系のJIS4343合金
ろう材20b、他方の面(内面となる面)にAl−Zn
系のJIS7072合金20cをそれぞれ10%前後の
クラッド率で張り合わせた厚さ0.8〜1.6mm程度
のブレージングシートが用いたが、本発明はこれに限ら
ず、例えば、Al−Zn−Mg系合金、Al−In−M
g系合金、Al−Sn−Mg系合金などからなる犠牲
材、Al−Mn系合金、Al−Mn−Cu系合金、Al
−Mn−Si系合金、Al−Mn−Cu−Si系合金、
Al−Mg−Si系合金、Al−Mg−Si−Cu系合
金、Al−Zn−Mg系合金などからなる芯材、、Al
−Si系のろう材を用いて構成しても良い。
【0029】また、各構成部品のろう付けには、例えば
フラックスろう付けが採用される。フラックスとして
は、例えば、NaCl,KCl,LiCl,ZnCl2
等の塩化物、KF,AlF3,LiF,KAlF4,K3
AlF6,ZnF2等のフッ化物、あるいはこれらの混合
物といったような通常のフラックスろう付けに用いられ
るフラックスであれば如何なるものでも良い。フラック
スの供給は上記のような化合物を、水、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール
類、アルデヒド類、ニトリル類、エステル類、ラクトン
類、エーテル類などの溶剤に溶かし、これをスプレー塗
布などの適宜な手段で行えば良い。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。先ず、表
1に示すように、A〜Gまでの7つの材料を用意し、こ
れらによって図1に示す扁平チューブ10とヘッダープ
レート20を用意する。ここで、扁平チューブ10は、
芯材10aがAl−1.1Mn、犠牲材10c、がAl
−1.1Mn−1.0Zn、ろう材成分は表1に示すと
おりである。また、ろう材クラッド率、犠牲材クラッド
率はともに10%である。また、板厚は0.2mmとし
た。
【0031】また、ヘッダープレート20は、芯材20
aがAl−1.1Mn、犠牲材20cがAl−1.1M
n−1.0Zn、ろう材成分は表1に示すとおりであ
る。また、ろう材クラッド率、犠牲材クラッド率はとも
に10%である。また、板厚は0.8mmとした。ま
た、フィン15は、Al−Mn系のJIS3003合金
からなる厚さ0.07mmの板をコルゲート加工したも
のを用いた。
【0032】次に、扁平チューブ10とフィン15を積
層し、扁平チューブ10両端にヘッダープレート20を
取り付け、治具組みした後、脱脂、5%フラックス塗布
工程(フラックス塗布量3〜5g/m2)をへてN2ガス
中590〜620℃の温度で5分間加熱することにより
行なわれる。ろう付炉中の露点は−30℃以下、酸素濃
度は1000ppm以下とした。
【0033】その結果を、表2、表3および図5に示
す。実施例1ないし実施例9では、扁平チューブ10の
ろう材10b中のSiの含有量が、ヘッダープレート2
0のろう材20b中のSiの含有量より、2.5〜4.
6重量%多くしてある。一方、比較例1ないし比較例6
では、扁平チューブ10のろう材10b中のSiの含有
量と、ヘッダープレート20のろう材20b中のSiの
含有量が同等、または、扁平チューブ10のろう材10
b中のSiの含有量が、ヘッダープレート20のろう材
20b中のSiの含有量より、1.8〜1.9重量%多
くしてある。
【0034】また、ろう付け工程において、扁平チュー
ブ10とヘッダープレート20は、表3に示されるよう
に、肉厚の薄い扁平チューブ10の方がヘッダープレー
ト20より先に昇温し、23分後には、逆に扁平チュー
ブ10の方がヘッダープレート20より早く冷めること
が理解できる。
【0035】その結果、扁平チューブ10のろう材10
b中のSiの含有量が、ヘッダープレート20のろう材
20b中のSiの含有量より、2.5〜4.6重量%多
くしてある実施例1ないし実施例6においては、ろう付
け性評価が○で示されるように、扁平チューブ10のろ
う材10bの方がヘッダープレート20のろう材20b
より先に流動化し、フィン15との間にフィレット14
を形成した後、扁平チューブ10の外側に形成される窪
み部13と、ヘッダープレート20の嵌合孔21との間
の隙間25に確実に流入し、扁平チューブ10をヘッダ
ープレート20の嵌合孔21に確実にろう付けすること
ができた。
【0036】特に、実施例6、7においては、良好な結
果を得ることができた。これに対し、扁平チューブ10
のろう材10b中のSiの含有量と、ヘッダープレート
20のろう材20b中のSiの含有量が同等である比較
例1ないし比較例3においては、ろう付け性評価が×で
示されるように、各部材における温度パターンは同様で
あるにも拘わらず、ろう材の組成が同じであるため、ろ
う材の流動性に差がなく、フィン15との間にフィレッ
ト14を形成した後は、このフィレット14がヘッダー
プレート20のろう材20bを引き寄せ、扁平チューブ
10の外側に形成される窪み部13と、ヘッダープレー
ト20の嵌合孔21との間の隙間25にろう材が流入す
ることができず、扁平チューブ10をヘッダープレート
20の嵌合孔21にろう付けすることができなかった。
【0037】また、扁平チューブ10のろう材10b中
のSiの含有量が、ヘッダープレート20のろう材20
b中のSiの含有量より1.8〜1.9重量%多くして
ある比較例4ないし比較例6においては、ろう付け性評
価が△で示されるように、比較例1ないし比較例3のろ
う付け性能より優れるものの、扁平チューブ10の外側
に形成される窪み部13と、ヘッダープレート20の嵌
合孔21との間の隙間25にろう材が流入することがで
きず、扁平チューブ10をヘッダープレート20の嵌合
孔21にろう付けすることができなかった。
【表1】
【表2】
【表3】
【0038】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係る発明によ
れば、扁平チューブのろう材中のSi含有量が、ヘッダ
ープレートまたはヘッダーパイプのろう材中のSi含有
量より2重量%以上多くなっているので、ろう付け時の
扁平チューブのろう材の流動性がヘッダープレートまた
はヘッダーパイプのろう材の流動性より良く、ろう材が
ヘッダープレートまたはヘッダーパイプのろう材より早
く流動化し、扁平チューブとフィンとの当接部にフィレ
ットを確実に形成するとともに、扁平チューブのろう材
は、ヘッダープレートまたはヘッダーパイプの嵌合孔に
向かって流動し、嵌合孔に嵌入されている扁平チューブ
の外側に形成される窪み部と、ヘッダープレートまたは
ヘッダーパイプの嵌合孔との間の隙間へ流入し、この隙
間を埋めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載のアルミニウム製熱交換器の一実
施形態を示す断面図であり、(a)はろう付け前の状
態、(b)はろう付け後の状態を示す。
【図2】図1に示す本実施形態に係るアルミニウム製熱
交換器の扁平チューブとヘッダープレートまたはヘッダ
ータンクとの嵌合部を示す平面図である。
【図3】請求項1記載のアルミニウム製熱交換器に使用
される扁平チューブの例を示す断面図である。
【図4】請求項1記載のアルミニウム製熱交換器に使用
される扁平チューブの例を示す断面図である。
【図5】実施例における扁平チューブとヘッダープレー
ト乗ろう付け時の温度パターンを示すグラフである。
【図6】アルミニウム製熱交換器の一例を示す正面図で
ある。
【図7】図6のA−A線に沿った断面図である。
【図8】図6の平面図である。
【図9】図8のB−B線に沿った断面図である。
【図10】図9に示すアルミニウム製熱交換器の扁平チ
ューブとヘッダープレートまたはヘッダーパイプとの嵌
合部を示す平面図である。
【図11】図8のB−B線に沿った別の従来例を示す断
面図である。
【図12】図11に示すアルミニウム製熱交換器の扁平
チューブとヘッダープレートまたはヘッダーパイプとの
嵌合部を示す平面図である。
【符号の説明】
10 扁平チューブ 10a,20a 芯材 10b,20b ろう材 10c,10c 犠牲材 20 ヘッダープレートまたはヘッダーパイプ 21 嵌合孔

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にSiを含有するろう材をクラッド
    してなる板材を成形し、接合部を設けた扁平チューブ
    と、表面にSiを含有するろう材をクラッドしてなるヘ
    ッダープレートまたはヘッダーパイプと、フィンとを有
    し、仮組時に、扁平チューブとフィンを積層するととも
    に、扁平チューブ両端にヘッダープレートまたはヘッダ
    ーパイプを取り付け、この仮組時に、扁平チューブ両端
    とヘッダープレートまたはヘッダーパイプとの嵌合部に
    隙間が形成され、ろう付け時に、扁平チューブとフィン
    および扁平チューブとヘッダープレートまたはヘッダー
    パイプがそれぞれろう接合されるアルミニウム製熱交換
    器において、 扁平チューブのろう材中のSi含有量を、ヘッダープレ
    ートまたはヘッダーパイプのろう材中のSi含有量より
    2重量%以上多くしたことを特徴とするアルミニウム製
    熱交換器。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009269037A (ja) * 2008-04-30 2009-11-19 Furukawa-Sky Aluminum Corp ろう付性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート
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