JPH1180215A - 塩化ビニル系重合体の製造法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造法

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JPH1180215A
JPH1180215A JP23822997A JP23822997A JPH1180215A JP H1180215 A JPH1180215 A JP H1180215A JP 23822997 A JP23822997 A JP 23822997A JP 23822997 A JP23822997 A JP 23822997A JP H1180215 A JPH1180215 A JP H1180215A
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vinyl chloride
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water
polymer
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JP23822997A
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Masao Sawano
正雄 澤野
Toshihiko Tanaka
利彦 田中
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩比重の高い塩化ビニル系重合体を効率良く
製造する方法を提供すること。 【解決手段】 重合に使用する重合反応器として、重合
体の壁付着防止剤を塗布したものを用い、水性媒体と塩
化ビニル系単量体の仕込終了後の温度を40℃以下、水
モノマー比を0.40〜0.80の範囲とし、昇温後、
転化率10%までに水モノマー比を0.90〜1.20
とする塩化ビニル系重合体の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系重合
体の製造法に関するものであり、さらに詳しくは重合初
期の水モノマー比を低下させることで、嵩比重を高くす
ることができ、重合初期段階に大量の水を注入すること
で、この注入水の冷却効果により、重合初期の還流凝縮
器負荷量を減少させ、粗粒の防止あるいは発泡を抑制す
ることができ、塩化ビニル系重合体の1バッチあたりの
出来高の高い、塩化ビニル系重合体の製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル重合体の高嵩比重化技術とし
ては、特開平4−311708号公報には、重合途中で
回転数を変更する方法、また、特開昭61−11130
7号公報には初期仕込み時の水モノマー比を0.8〜
1.0にし、重合による体積収縮分を越えない水を注入
することで、嵩比重の高い塩化ビニル重合体の製造方法
等が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平4−3
11708号公報の方法においては、得られた塩化ビニ
ル重合体は、高嵩比重を有するものであるが、重合途中
で回転数を変更するために、重合反応装置が複雑になっ
たり、バッチごとの品質の安定性に欠けるという問題を
有している。
【0004】特開昭61−111307号公報の方法で
は、重合反応器が大きくなった場合、あるいは重合時間
を短縮する場合などの重合発熱量が高くなる場合、重合
初期段階から還流凝縮器を負荷しなければならず、この
ことから粗粒などの品質の悪化、重合反応器内の懸濁液
の発泡に由来する気液界面のスケールが増大する。ま
た、特開昭61−111307号公報の方法において
は、初期仕込み時の水モノマー比を0.8以下にした場
合、粒度が粗れ、嵩比重が低下することが記載されてい
る。このことについては、特開昭61−111307号
公報の方法は重合による体積収縮分を越えない水しか注
入しておらず、水モノマー比0.8以下の場合、重合初
期に塩化ビニル単量体の液滴が連続相になる現象(転
相)が起きるために、粗粒になったと考えられる。
【0005】さらに、通常の塩化ビニルの重合では水と
モノマーを重合前に全量重合反応器に仕込み重合を行う
が、この場合は塩化ビニルモノマーがポリマーになって
比重が大きくなった分だけ液面が低下するので、界面に
付着したポリマーは重合液では壁からの剥離が起こりに
くい。一方、特開昭61−111307号公報の方法に
類似したように重合の途中で水やモノマーを追加する方
法では、重合液の液面が変動し、界面にポリマースケー
ルが付着しやすいく、特に重合中に液面が上昇すると付
着したポリマーが器壁から剥離しやすくなり、得られた
ポリマーのフィッシュアイが増加する傾向にあり、特開
昭61−111307号公報の方法のように重合反応器
中の反応物の体積が変動しない範囲で水を注入するとい
うような制約が必要であった。
【0006】そこで、本研究の目的は、重合初期の水モ
ノマー比を低下させ、一定の転化率までに大量の水を注
入し、ある水モノマー比の範囲にすることで、塩化ビニ
ル系単量体の液滴が連続相になる現象(転相)が起こる
ことを防止し、注入する水の冷却効果により重合初期の
還流凝縮器負荷量を減少させることで、嵩比重が高く、
粗粒化などの品質の悪化、懸濁液に由来する発泡による
気液界面のスケール付着を防止し、なおかつ、塩化ビニ
ル系重合体の1バッチあたりの出来高の高い塩化ビニル
系重合体の製造法を提供することにある。
【0007】本発明の方法では、重合に使用する重合反
応器が重合体の壁付着防止剤を塗布したものを用いるこ
とによって、重合中の反応物の液面が変動しても塩化ビ
ニル系重合体のフィッシュアイが増加しにくいので上記
のように液面の変動する条件でも高品質の塩化ビニル系
重合体を得ることを可能にしたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の懸濁液
温度で、特定の水モノマー比以下で塩化ビニル単量体の
液滴が連続相になる現象(転相)が起こること、温度が
高いほど転相しやすいこと、転相してない条件から温度
を上げることで転相は起こるが、転相するまでには30
分程度かかることを発見した(表1,2参照)。つま
り、特開昭61−111307号公報の方法は重合によ
る体積収縮分を越えない水しか注入してないことから、
水モノマー比0.8以下では、重合初期に転相が起き、
粗粒になったと考えられる。
【0009】しかし、水性媒体と塩化ビニル系単量体の
仕込み終了後の温度を低くすれば、より低い水モノマー
比でも転相が起こらないこと、また転相でない状態から
温度を上げて転相する条件にしても、転相が起こるまで
に30分程度の時間がかかるという転相の知見を巧妙に
利用して、最初の水モノマー比を転相しない条件に設定
することで、仕込終了後の水モノマー比を0.8以下で
重合することが可能になり、かつ重合初期に大量の水を
注水することによる冷却効果も見いだし本発明を完成さ
せるに至った。
【0010】すなわち、本発明は塩化ビニル系単量体を
油溶性重合開始剤及び分散安定剤の存在下、水性媒体中
で懸濁重合を行い塩化ビニル系重合体を製造する方法に
おいて、重合反応器として塩化ビニル系重合体の壁付着
防止剤を塗布したものを用い、重合反応器への水性媒体
及び塩化ビニル系単量体の仕込終了後の温度を40℃以
下、水モノマー比(水性媒体/装入塩化ビニル系単量体
重量比:以下同様)が0.40〜0.80の範囲であ
り、重合反応系を昇温した後、塩化ビニル系単量体の塩
化ビニル系重合体への転化率が10%になるまでに水性
媒体を追加して水モノマー比を0.90〜1.20とす
ることを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造法に関す
るものである。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明において用いられる水性媒体とは、
水又は水を主成分とする媒体であり、本発明の目的を逸
脱しない限りにおいていかなるものを含んでも問題な
い。
【0013】本発明の方法において用いられる塩化ビニ
ル系単量体とは、塩化ビニル単量体、塩化ビニル単量体
と塩化ビニル単量体との共重合可能な単量体からなる混
合物が挙げられる。
【0014】ここで、塩化ビニル単量体との共重合可能
な単量体としては、塩化ビニル単量体との共重合が可能
であればいかなるものでもよく、例えばエチレン,プロ
ピレン等のオレフィン類、酢酸ビニル,ステアリン酸ビ
ニル等のビニルエステル類、エチルビニルエーテル,セ
チルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリル酸
メチル,アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、
マレイン酸,フマル酸等のエステル類若しくは無水物、
スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル等
が挙げられる。そして、該共重合可能な単量体は、塩化
ビニル単量体に対し、通常20重量%以下の割合で使用
することが好ましい。
【0015】本発明において用いられる油溶性重合開始
剤としては特に限定はなく、一般的に油溶性重合開始剤
として使用されているものでよく、例えばジイソプロピ
ルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
パーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキ
シジカーボネート等のパーオキシカーボネイト化合物;
t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパー
オキシネオデカネート等のパーオキシエステル化合物;
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等の過
酸化物:アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,
4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等
が挙げられ、これらは一種単独でまたは二種以上組合せ
て使用することも可能である。
【0016】本発明において用いられる分散安定剤とし
ては特に限定はなく、一般的に懸濁重合の分散安定剤と
して使用されているもので良く、例えばメチルセルロー
ス,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピル
セルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の
セルローズ誘導体、部分けん化ポリビニルアルコール
(以下、PVAという。),アクリル酸重合体,ゼラチ
ン等の水溶性ポリマー、ノニオン界面活性剤、アニオン
界面活性剤等が挙げられ、これらは一種単独でまたは二
種以上組合わせ使用することも可能である。
【0017】そして、本発明において生産効率よく、安
定的に嵩比重の高い塩化ビニル系重合体が得られること
から分散安定剤として、(A)けん化度70〜85モル
%,平均重合度500〜3000であるPVAを1種あ
るいは2種以上を用いることが好ましく、特に、(A)
けん化度70〜85モル%,平均重合度500〜300
0であるPVA、及び、(B)けん化度20〜50モル
%,平均重合度100〜1000であるPVA及び
(C)2%水溶液の20℃における粘度が200cps
以下であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(以
下、HPMCという)からなる群から選ばれた1種以上
を用いることが好ましい。
【0018】本発明では、重合反応器等の塩化ビニル系
単量体が接触する部分に壁付着防止剤(以下、薬剤と略
記する。)を塗布する必要があり、壁付着防止剤として
は公知のものを公知の方法で塗布することができる。そ
して、塗布については重合に先立ち行われることが好ま
しいが、必ずしも各重合バッチの装入前に塗布する必要
はない。
【0019】本発明における薬剤は、塩化ビニル系単量
体の壁付着防止剤として知られている公知のものが使用
でき、例えばフェノール系水酸基を有する化合物の縮合
物、特にフェノール系水酸基を有する化合物の自己縮合
物、フェノール系水酸基を有する化合物の縮合物及びそ
れらの変性物が挙げられる。具体的にはフェノール系水
酸基を有する化合物の自己縮合物としてはUSP408
0173に記載の1価または多価フェノール化合物の自
己縮合物が挙げられる。また、フェノール系水酸基を有
する化合物の縮合物は、1価または多価フェノールとア
ルデヒド類の縮合物、さらにはこれを製造する時に数種
類の1価または多価フェノールとアルデヒド類を使用し
たり、フェノール類以外の化合物を縮合した縮合物また
はこれらの変性物が挙げられ、これらの薬剤の具体的例
としては、例えばEPC0462284A1に開示され
ている薬剤、特公昭60−59246号公報で開示され
ているピロガロールとアルデヒド類の縮合物、特公昭6
2−3841号公報に開示されているフェノール類の自
己縮合物があげられる。特に好ましくはEPC0462
284A1に記載の請求項4から25及び27、ならび
に同公報第4頁第48行〜第9頁第35行に記載されて
いる薬剤、特に実施例3、11、13、17が例示され
る。
【0020】そして、本発明において好ましく使用され
る薬剤としては、フェノール類とアルデヒド類とを塩基
性触媒の存在下で反応して得られたレゾール型初期縮合
物およびこれをさらに種々の変性剤で変性された変性物
である。フェノール類としては、例えばフェノール,、
クレゾール,エチルフェノール等の1価のフェノール
類、レゾルシン,ハイドロキノン等の2価のフェノール
類、ビスフェノールA等のビスフェノール類またはこれ
らの置換体を包含し、これらを単独または2種以上を組
合わせて使用できる。アルデヒド類としては、例えばホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、プ
ロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイ
ン、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニル
アセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒ
ド、2−フェニルプロピオンアルデヒド等のCHO基を
有する有機化合物が含まれこれらを単独または2種以上
を組合わせて使用でき、特にホルムアルデヒド、アセト
アルデヒドが好ましい。
【0021】変性剤としては例えばアルキルフェノール
類、多価フェノール類があげられる。
【0022】塩基性触媒としては水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、アンモニア、アミン類が挙げられるが特
に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0023】薬剤を生成する際の各成分の量比は、フェ
ノール類1モルに対してアルデヒド類1.1〜3.0モ
ル、好ましくは1.2〜2.0モルの範囲であり、塩基
性触媒はフェノール類1.0モルに対して0.02〜
0.5モルを用いることが好ましく、その反応は一般的
に温度70〜150℃で1〜6時間行われる。以下、こ
の反応物を「レゾール型縮合物」と略記する。
【0024】本発明において用いられる薬剤としては、
上記フェノール類とアルデヒド類の縮合物にさらにヒン
ダードフェノール類、含窒素化合物及び多価フェノール
類から選ばれた少なくとも一種の変性剤を酸性触媒、特
に強酸性触媒の存在下に縮合したものが好ましく使用さ
れる。
【0025】この際に使用されるヒンダードフェノール
類としては、1価または2価のヒンダードフェノール類
を意味し、例えばo−sec−ブチルフェノール(OS
BP)、2−t−ブチルハイドロキノン等が挙げられ
る。多価フェノール類としては特に限定はないが、カテ
コール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール、
フルルグルシン等が挙げられ、含窒素化合物としてはニ
トロフェノール類、ニトロ安息香酸類、ニトロベンゼン
スルホン酸類、アミノフェノール類、アミノベンゼンス
ルホン酸類が挙げられる。そして、酸性触媒としては、
例えば硫酸、塩酸、過塩素酸、P−トルエンスルホン
酸、メタスルホン酸、トリフルオルメタスルホン酸等が
挙げられ、特に塩酸、P−トルエンスルホン酸が好まし
い。
【0026】これら各変性物は上記レゾール型縮合物に
上記多価フェノールを酸性触媒の存在下で、温度70〜
150℃で1〜6時間反応させる。この際、ヒンダード
フェノール類、含窒素化合物及び/又は多価フェノール
はレゾール型縮合物を製造するのに用いたフェノール類
1モルに対して0.01〜2.0モル、好ましくは0.
02〜0.8モルの範囲であり、酸性触媒はレゾール型
縮合物を製造するのに用いたフェノール類1.0モルに
対して0.02〜0.5モルが好ましく、さらに好まし
くは0.05〜0.3モルの範囲である。
【0027】また、本発明においては、下記一般式
(1)で示されるジヒドロキシビフェニル類とアルデヒ
ド類との反応生成物もまた壁付着防止剤として好ましく
使用される。
【0028】
【化1】
(1)
【0029】(式中Rは水素原子または炭素数1〜8の
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラル
キル基であり、Xはカルボキシル基、アルキル基、シク
ロアルキル基であり、mは0〜2の整数、nは2〜50
0の整数を示す。) 上記ジヒドロキシビフェニル類の例としては2,2′−
ジヒドロキシビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−
5,5′−ジメチルビフェニル、2,2′−ジヒドロキ
シ−4,4′,5,5′−テトラメチルビフェニル、
2,2′−ジヒドロキシ−5,5′−ジクロロビフェニ
ル、2,2−ジヒドロキシ−5,5′−ジシクロヘキシ
ルビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−5,5′−ジ
−tert−ブチルビフェニル等が挙げられ、特に2,2′
−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。 上記ジヒドロ
キシビフェニル類とアルデヒド類との反応は前記の酸性
触媒の存在下に行われ、好ましくはジヒドロキシビフェ
ニル類に対するアルデヒド類のモル比は1以下、好まし
くは0.5〜1.0、より好ましくは0.6〜0.9で
あり、反応温度は好ましくは50〜200℃、より好ま
しくは100〜150℃で行われ、通常トルエン等の芳
香族炭化水素、ジクロルエタン、モノクロルベンゼン等
のハロゲン化炭化水素、ケトン類、エーテル類等の溶媒
の存在下で行うのが好ましい。本発明で使用されるジヒ
ドロキシビフェニル類とアルデヒド類との反応物は好ま
しくは分子量500〜100,000、より好ましくは
1,000〜50,000のものが壁付着効果が良好で
好ましい。
【0030】本発明で用いられる壁付着防止剤は、濃度
が0.1〜10wt%、好ましくは0.2〜6.0wt
%になるように0.05〜5wt%のアルカリ金属また
はアルカリ土類金属水酸化物水溶液に溶解される。そし
て、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物とし
ては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化カルシウムなどが用いられる。
【0031】上記薬剤は上述のように水溶液として使用
できるが、必要によりこれに水を加えて希釈し、酸を添
加してpH調節して薬剤成分を析出、分離して使用する
こともできる。
【0032】本発明の方法では、重合に先立ち、重合機
の壁面に薬剤を塗布する必要があり、壁付着防止剤は公
知のものを公知の方法で塗布することができる。
【0033】本発明においては、重合反応器に壁付着防
止剤を塗布する方法は任意であり、例えばこれら薬剤を
単に塗布またはスプレイする方法などがあり、特に制限
はないが、好ましい塗布方法としてはEPC04622
84A1の請求の範囲1項〜3項に記載の方法があげら
れるが、この方法にこだわらず一般的な方法で行うこと
ができる。
【0034】例えば特公昭61−843号公報の実施例
1〜3に記載されているようにモノマーが接触する重合
装置内の各部に薬剤を噴霧器でスプレーする方法、また
はEPC0462284A1の実施例8に記載されてい
るように薬剤溶液を重合器壁面に塗布する温度では溶解
しており、加熱された重合機表面で加熱されると析出す
るようなpHに調整された薬剤溶液を塗布する方法であ
る。このように塗布することで薬剤溶液が壁面に薄膜で
均一にしかも強固に被着された状態になり、優れた壁付
着防止効果が得られる。
【0035】本発明の方法で最も好ましい塗布方法は、
EPC0462284A1の請求項1から3、ならびに
同公報第4頁第4行〜4頁22行に記載されている方法
である。
【0036】より具体的には薬剤溶液を重合機壁面に塗
布する前の温度では溶解しており、加熱された重合機表
面で加熱されると析出するようなpHに調整された薬剤
溶液を塗布する方法である。このように塗布することで
薬剤溶液が壁面に薄膜で均一にしかも強固に被着された
状態になり、優れた壁付着防止効果が得られる。
【0037】上記の塗布剤の溶液中の薬剤成分はpHが
低くなると析出し、温度が高くなると析出する。したが
ってpHは、薬剤が常温で析出するpHよりも0.2〜
4.0、好ましくは0.3〜3.0だけ高く調整され
る。調整されたpHが上記析出するpHよりも0.2未
満しか高くない場合は経時変化により薬剤が塗布前に析
出することがあり好ましくない。また、4.0より高い
と壁面を高温にしても薬剤が析出しない場合があり好ま
しくない。
【0038】薬剤は前記のように通常はアルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属水酸化物水溶液に溶解されて塗布
される。したがって通常は酸を添加してpHが調整され
る。pH調整用の酸としては、例えば塩酸、硫酸、燐
酸、硝酸等の無機酸やアスコルビン酸、酢酸、クエン
酸、メルカプトプロピオン酸などの有機酸が挙げられ
る。
【0039】本発明において、薬剤溶液を重合器壁等へ
塗布する際は、薬剤による付着防止効果が効率よく発現
することから塗布する壁面を40℃以上、100℃まで
に加熱することが望ましい。そして、薬剤を塗布し、析
出させた後は製品の塩化ビニル系重合体の品質の面から
重合器内を水洗することが好ましい。
【0040】本発明では、薬剤を重合器の壁面等に存在
させる必要があり、その方法は特に制限はなく、薬剤溶
液を刷毛塗りもしくはスプレーで重合機の壁面に塗布し
たりまたは重合機を薬剤溶液でリンスする等の一般的方
法で行える。
【0041】その塗布量は通常、薬剤の重量で壁面に
0.005〜10g/m2、好ましくは0.01〜5g
/m2である。
【0042】本発明においては、水性媒体と塩化ビニル
系単量体の重合反応器への仕込終了後の温度を40℃以
下、好ましくは35℃以下とし、初期仕込み時の水モノ
マー比(水性媒体/装入塩化ビニル系単量体の重量比)
は0.40〜0.80であり、好ましくは0.5〜0.
7の範囲である。ここで、初期仕込み時の水モノマー比
が0.40〜0.80範囲で、水性媒体と塩化ビニル系
単量体の仕込終了後の仕込終了後の温度が40℃以上の
場合、塩化ビニル系重合体の異常凝集が起こり、スケー
ルが増大し品質に優れる塩化ビニル系重合体が得られず
好ましくない。また、初期仕込み時の水モノマー比が
0.40未満の場合は、塩化ビニル系重合体の異常重合
が起こり好ましくない。一方、初期仕込み時の水モノマ
ー比が0.80を越える場合、嵩比重の高い塩化ビニル
系重合体がえられず好ましくない。
【0043】本発明においては、塩化ビニル系単量体の
塩化ビニル系重合体への転化率(以下、転化率とい
う。)10%までに、水性媒体を追加し、水モノマー比
は0.90〜1.20、好ましくは1.0〜1.1とす
る。ここで、転化率10%までの、水モノマー比が0.
90未満の場合は、異常重合が起こり好ましくない。ま
た、転化率10%までの、水モノマー比が1.20を越
える場合は、得られる塩化ビニル系重合体の嵩比重が増
加せず、好ましくない。
【0044】本発明においては、重合反応時の重合発熱
による熱量を効率よく除去できることから還流凝縮器を
付設した重合反応器を用いることが好ましい。
【0045】また、本発明においては、重合初期の液滴
を安定化することにより、粒子径の安定化した塩化ビニ
ル系重合体が得られ、懸濁液の発泡が発生しにくく、ス
ケール付着が発生しにくいことから塩化ビニル系単量体
から塩化ビニル系重合体への転化率が10%になるまで
還流凝縮器での除熱割合を全除熱量の10%以下とする
ことが好ましい。
【0046】本発明において嵩比重が高く、粗粒化を防
止でき、スケール付着が少なく、1バッチあたりの塩化
ビニル系重合体の生産性を高くするために、仕込終了後
の温度を40℃以下、水モノマー比を0.40〜0.8
0の範囲とし、昇温後、転化率10%までに水モノマー
比を0.90〜1.20とすることの効果は、以下のよ
うに考えられる。
【0047】初期仕込み時の温度が40℃以上で仕込み
時の水モノマー比を0.40〜0.80とした場合、仕
込み時の水モノマー比を0.40以下あるいは、転化率
10%の水モノマー比を0.90以下にした場合、塩化
ビニル単量体の液滴の一部あるいは全部が連続相になる
現象(転相)が起こるため、異常凝集が起こり、粗粒
化,嵩比重の低下などの品質の低下,あるいはスケール
量の増大が起こると考えられる。
【0048】しかし、仕込終了後の温度を40℃以下、
水モノマー比を0.40〜0.80の範囲とし、昇温
後、転化率10%までに水モノマー比を0.90〜1.
20とすることで、塩化ビニル系単量体の液滴の一部あ
るいは全部が連続相になる現象(転相)が起こらず、重
合初期に塩化ビニル単量体の液滴が重合の早い段階で凝
集することで、球形状に近い塩化ビニル系重合体の粒子
が得られ、嵩比重が上がると考えられる。
【0049】また、重合温度到達点から、転化率10%
の範囲に大量の水を注入することで、この注入水の冷却
効果により重合初期の還流凝縮器負荷量を減少させるこ
とができる。塩化ビニルのポリマーへの転化率10%が
範囲では還流凝縮器での除熱割合を全除熱量の10%以
下、好ましくは5%以下にする。また、重合初期の還流
凝縮器負荷量を減少させると、重合初期に液滴の不安定
化を防止できることから粗粒化等の品質悪化防止がで
き、また、懸濁液に由来する発泡を抑制することから、
この発泡に由来すると考えられる気液界面のスケール付
着を防止しすることができる。以上のことから、本発明
により、嵩比重が高く、粗粒化を防止でき、スケール付
着が少なく、1バッチあたりの塩化ビニル系重合体の生
産性を高くすることができる。
【0050】本発明においては、塩化ビニル系単量体を
油溶性重合開始剤及び分散安定剤の存在下、水性媒体中
で懸濁重合を行い塩化ビニル系重合体を製造する方法に
おいて、水性媒体と塩化ビニル系単量体の仕込終了後の
温度を40℃以下、水モノマー比を0.40〜0.80
の範囲とし、昇温後、転化率10%までに水モノマー比
を0.90〜1.20とすることを除けば、その他の重
合条件、例えば反応器への水性媒体,塩化ビニル単量
体、重合開始剤、分散安定剤等の仕込み方法及び重合温
度条件等は従来の方法と同様にして行なえば良く、格別
の制限を受けない。また、必要に応じて、pH調整剤、
重合度調節剤等を本発明の目的に影響しない範囲内であ
れば使用して差し支えない。
【0051】
【実施例】以下、本発明の塩化ビニル系重合体の製造法
を実施例にもとづき説明するが、本発明はこれら実施例
に限定されるものではない。
【0052】実施例及び比較例により得られた塩化ビニ
ル系重合体の評価は下記の方法により行った。
【0053】〜塩化ビニル系重合体の平均粒子径〜 得られた塩化ビニル系重合体の粒子のうち、その50%
の重合体粒子が通過するふるいの目の大きさ(μm)を
塩化ビニル系重合体の平均粒子径とした。
【0054】〜嵩比重〜 JIS K−6721に示される方法に準じて測定し
た。
【0055】〜可塑剤吸収量〜 得られた塩化ビニル系重合体に、室温で過剰の可塑剤
(ジオクチルフタレート;DOP)を加え、10分間放
置し、3000rpmで遠心後に、塩化ビニル系重合体
に保持されているDOPを測定し、塩化ビニル系重合体
に対するDOPの割合を百分率で表し、これを可塑剤吸
収量とした。
【0056】〜スケール付着分率〜 重合反応器及び撹拌翼に付着したスケールを得られた塩
化ビニル系重合体の重量分率として測定した。
【0057】〜重合生産性〜 重合反応器単位体積(1m3)あたり、重合時間単位時
間(1時間)あたりの塩化ビニル系重合体の生産量を重
合生産性とした(ただし、重合時間には、塩化ビニル系
単量体及び水性媒体の仕込時間,昇温時間,転化率85
%までの重合時間を含むものである。)。
【0058】さらに、塩化ビニル系単量体と水性媒体の
転相と温度,水モノマー比の関係については、以下のよ
うな測定を行った。
【0059】〜転相遷移水モノマー比の測定方法〜 内容積3リットルの撹拌翼付きステンレス製重合容器に
分散剤を仕込み、任意の水モノマー比、任意の温度で3
0分間撹拌し、その後、この懸濁液を1リットルのガラ
ス製重合容器に移液した後、静置させ、懸濁液の乳化状
態から転相が生じるか転相が生じないかを測定した(塩
化ビニル系単量体の透明な相ができる場合、転相が生じ
たとした。)。
【0060】特定温度で上記に示した操作を水モノマー
比を0.05変化させ繰り返すことにより、転相遷移水
モノマー比を測定した。
【0061】その結果を表1に示す。
【0062】この結果より、温度が高いほどより高い水
モノマー比で転相が生じた。
【0063】
【表1】
【0064】〜転相時間の測定方法〜 内容積3リットルの撹拌翼付きステンレス製重合容器に
分散剤を仕込み、水モノマー比を0.75とし、40℃
にした後、57℃まで昇温し、57℃に到達してから5
分ごとに、懸濁液を1リットルのガラス製重合容器に移
液した後、静置させ、懸濁液の乳化状態から転相が生じ
たか転相が生じていないかを測定し、57℃到達点から
転相が生じた時間を転相時間とした。表2にその結果を
示した。分散剤種によって異なるが、転相になるまでに
30分程度の時間を要した。
【0065】
【表2】
【0066】〜壁付着防止剤の製造(フェノール系壁付
着防止剤、およびその溶液)〜 温度計、撹拌機、還流冷却器付きステンレススチール製
1.5m3容積の反応器にフェノール154kg(1.
64キロモル)、37.0%ホルマリン199.3g
(2.46キロモル)および水酸化ナトリウム2.62
kg(0.066キロモル)を装入し、撹拌下85℃ま
で30分間で昇温した。さらにこの温度に保ちながら2
時間40分反応させ、レゾールを得た。
【0067】このようにして得られたレゾールは、B型
粘度計を用いて85℃で粘度を測定したところ10.4
cpsを示した。また亜硫酸ソーダ法で残存ホルマリン
を分析したところ不検出であった。さらにゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量
(Mw)は410であった。
【0068】この反応生成物を50℃まで冷却し、変性
剤としてレゾルシン36kg(0.328キロモル)を
加え、撹拌下85℃まで30分間で昇温し、さらにこの
温度に保ちながら縮合反応を続けた。B型粘度計を用い
て粘度が1000cpsになったところで降温し水酸化
ナトリウム水溶液を装入することより反応を停止させ
た。
【0069】なお、得られた縮合物のpHは11.1で
あり、Mwは1550であった。
【0070】得られた縮合物を壁付着防止剤Aとして濃
度2%の水酸化ナトリウム0.4%水溶液になるように
調製した。このようにして得られたアルカリ水溶液をク
エン酸でpH7.0に調整し、壁付着防止剤Aの溶液と
した。
【0071】実施例1 内容積1.6m3の逆流コンデンサーを設置した重合反
応器の内部の空気を真空ポンプにより排除した。重合反
応器の内圧が0.1kg/cm2Gになるように塩化ビ
ニル単量体を重合反応器に装入した後、ジャケットに温
水を循環させ、重合反応器内壁温を80℃とした。その
後、上述の壁付着防止剤Aの溶液をスプレーにて重合反
応器の内壁に噴霧して塗布し、重合反応器内を十分水洗
した。
【0072】次に、重合反応器に分散安定剤として、け
ん化度80モル%,平均重合度2600であるPVA
0.05重量部、重合開始剤として、t−ブチルパーオ
キシネオデカノエート0.08重量部、塩化ビニル単量
体100重量部(712kg)、40℃の水75重量部
(534kg)を攪拌しながら、反応器に仕込んだ(仕
込み終了後の懸濁液の温度35℃、水モノマー比は0.
75である。)。その後、57℃まで昇温した。57℃
に到達後から塩化ビニル単量体の塩化ビニル重合体への
転化率10%にかけ水を注入し、水モノマー比を1.0
0とした(この注入水による冷却効果により、転化率1
0%までは還流凝縮器による冷却は必要なかった)。転
化率10%以降はジャケットと還流凝縮器で冷却し、定
温到達3時間後、未反応の塩化ビニル単量体を回収した
後、重合体スラリーを取り出し、脱水乾燥して塩化ビニ
ル重合体を得た。その製造条件を表3に示す。
【0073】得られた塩化ビニル重合体の平均粒子径、
嵩比重などを評価した。その結果を表4に示す。
【0074】得られた塩化ビニル重合体は、嵩比重が高
く、粒径も細かく、スケール量が少なかった。
【0075】実施例2 塩化ビニル単量体100重量部(712kg)、40℃
の水40重量部(285kg)を攪拌しながら、反応器
に仕込んだ(仕込み終了後の懸濁液の温度28℃、水モ
ノマー比は0.40であった。)。その後、57℃まで
昇温し、57℃に到達後から転化率10%にかけ水を注
入し、水モノマー比を0.90とした以外は、実施例1
と同様の方法で重合を行い塩化ビニル重合体を得た。そ
の製造条件を表3に示す。
【0076】また、得られた塩化ビニル重合体の評価に
ついても実施例1と同様にした。
【0077】その結果を表4に示す。
【0078】得られた塩化ビニル重合体は嵩比重が高
く、粒径も細かく、スケール量が少なかった。
【0079】実施例3 塩化ビニル単量体100重量部(712kg),40℃
の水80重量部(570kg)を攪拌しながら、反応器
に仕込んだ(仕込み終了後の懸濁液の温度37℃、水モ
ノマー比は0.80であった。)。その後、57℃まで
昇温し、57℃に到達後から転化率10%にかけ水を注
入し、水モノマー比を1.20とした以外は、実施例1
と同様の方法で重合を行い塩化ビニル重合体を得た。そ
の製造条件を表3に示す。
【0080】また、得られた塩化ビニル重合体の評価に
ついても実施例1と同様にした。
【0081】その結果を表4に示す。
【0082】得られた塩化ビニル重合体は嵩比重が高
く、粒径も細かく、スケール量が少なかった。
【0083】実施例4 分散安定剤として、(A)けん化度80モル%,平均重
合度2600であるPVA0.05重量部と(B)けん
化度35モル%,平均重合度600であるPVA0.0
2重量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で重合を
行い塩化ビニル重合体を得た。その製造条件を表3に示
す。
【0084】また、得られた塩化ビニル重合体の評価に
ついても実施例1と同様にした。
【0085】その結果を表4に示す。
【0086】得られた塩化ビニル重合体は嵩比重が高
く、粒径も細かく、スケール量が少なかった。
【0087】実施例5 分散安定剤として、(A)けん化度80モル%,平均重
合度2600であるPVA0.05重量部と(B)2%
水溶液の20℃における粘度が40cpsであるHPM
C0.02重量部用いた以外は、実施例1と同様の方法
で重合を行い塩化ビニル重合体を得た。その製造条件を
表3に示す。
【0088】また、得られた塩化ビニル重合体の評価に
ついても実施例1と同様にした。
【0089】その結果を表4に示す。
【0090】得られた塩化ビニル重合体は嵩比重が高
く、粒径も細かく、スケール量が少なかった。
【0091】比較例1 仕込み終了後の懸濁液の温度45℃であった以外は、実
施例1と同様の方法で重合を行い塩化ビニル重合体を得
た。その製造条件を表3に示す。
【0092】また、得られた塩化ビニル重合体の評価に
ついても実施例1と同様にした。
【0093】その結果を表4に示す。
【0094】得られた塩化ビニル重合体は嵩比重が低
く、粗粒になっており、撹拌機に付着しているスケール
が多かった。
【0095】比較例2 仕込み終了後の水モノマー比を0.35とし、57℃に
到達後から転化率10%にかけ水を注入し、水モノマー
比を1.00とした以外は、実施例1と同じ条件で重合
を行った。しかし、57℃に到達後30分間で冷却がで
きなくなったために、重合を緊急停止した。
【0096】比較例3 仕込み終了後の水モノマー比を0.95とし、57℃に
到達後から転化率10%にかけ、重合による体積収縮分
の水を注入し、水モノマー比を1.00とした。この条
件では、ジャケットと注水の冷却だけでは、冷却できな
いことから、57℃に到達後から還流凝縮器による冷却
を行った以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い塩
化ビニル重合体を得た。その製造条件を表3に示す。
【0097】また、得られた塩化ビニル重合体の評価に
ついても実施例1と同様にした。
【0098】その結果を表4に示す。
【0099】得られた塩化ビニル重合体は嵩比重が低
く、粗粒になっており、気液界面に付着しているスケー
ルが多かった。
【0100】比較例4 仕込み終了後の水モノマー比を0.75とし、57℃に
到達後から転化率10%にかけ水を注入し、水モノマー
比を0.80とした。この条件では、ジャケットと注水
の冷却だけでは、冷却できないことから、57℃に到達
後から還流凝縮器による冷却を行った以外は、実施例1
と同じ条件で重合を行った。しかし、57℃に到達後1
時間で冷却ができなくなったために、重合を緊急停止し
た。
【0101】比較例5 仕込み終了後の水モノマー比を0.75とし、57℃に
到達後から転化率10%にかけ水を注入し、水モノマー
比を1.30とした以外は、実施例1と同様の方法で重
合を行い塩化ビニル重合体を得た。その製造条件を表3
に示す。
【0102】また、得られた塩化ビニル重合体の評価に
ついても実施例1と同様にした。
【0103】その結果を表4に示す。
【0104】得られた塩化ビニル重合体は粒径は細か
く、スケール量も少ないが、嵩比重が低かった。
【0105】比較例6 壁付着防止剤を塗布しない以外は、実施例1と同様の方
法で重合を行い塩化ビニル重合体を得た。その製造条件
を表3に示す。
【0106】また、得られた塩化ビニル重合体の評価に
ついても実施例1と同様にした。
【0107】その結果を表4に示す。
【0108】評価結果は表4に記載のようにスケール量
が多かった。
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
【発明の効果】本発明によれば、嵩比重の高く、粗粒の
防止あるいは発泡を抑制することができ、なおかつ、塩
化ビニル重合体の1バッチあたりの生産性の高い塩化ビ
ニル重合体を製造することができるので、工業的効果が
極めて大である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系単量体を油溶性重合開始剤及
    び分散安定剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合を行い塩
    化ビニル系重合体を製造する方法において、重合反応器
    として塩化ビニル系重合体の壁付着防止剤を塗布したも
    のを用い、重合反応器への水性媒体及び塩化ビニル系単
    量体の仕込終了後の温度を40℃以下、水モノマー比
    (水性媒体/装入塩化ビニル系単量体重量比:以下同
    様)が0.40〜0.80の範囲であり、重合反応系を
    昇温した後、塩化ビニル系単量体の塩化ビニル系重合体
    への転化率が10%になるまでに水性媒体を追加して水
    モノマー比を0.90〜1.20とすることを特徴とす
    る塩化ビニル系重合体の製造法。
  2. 【請求項2】分散安定剤として、(A)けん化度70〜
    85モル%,平均重合度500〜3000である部分け
    ん化ポリビニルアルコールを1種又は2種以上を用いる
    ことを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系重合体
    の製造法。
  3. 【請求項3】分散安定剤として、(A)けん化度70〜
    85モル%,平均重合度500〜3000である部分け
    ん化ポリビニルアルコール、及び、(B)けん化度20
    〜50モル%,平均重合度100〜1000である部分
    けん化ポリビニルアルコール及び(C)2%水溶液の2
    0℃における粘度が200cps以下であるヒドロキシ
    プロピルメチルセルロースからなる群より選ばれる1種
    以上を用いることを特徴とする請求項1又は2のいずれ
    かに記載の塩化ビニル系重合体の製造法。
  4. 【請求項4】還流凝縮器を付設した重合反応器を用いる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の塩化ビ
    ニル系重合体の製造法。
  5. 【請求項5】塩化ビニル系単量体から塩化ビニル系重合
    体への転化率が10%になるまで還流凝縮器での除熱割
    合を全除熱量の10%以下とすることを特徴とする請求
    項4に記載の塩化ビニル系重合体の製造法。
  6. 【請求項6】重合温度到達時点での塩化ビニル系単量体
    の体積が重合反応器の体積の45〜60%であることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の塩化ビニル
    系重合体の製造法。
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