JP2000191727A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JP2000191727A
JP2000191727A JP10369860A JP36986098A JP2000191727A JP 2000191727 A JP2000191727 A JP 2000191727A JP 10369860 A JP10369860 A JP 10369860A JP 36986098 A JP36986098 A JP 36986098A JP 2000191727 A JP2000191727 A JP 2000191727A
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reflux condenser
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monomer
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Keita Takami
圭太 高見
Akihiko Takahashi
明彦 高橋
Yoshihiro Umeda
佳裕 梅田
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】還流凝縮器を備えた大型重合機の徐熱割合を重
合徐熱量の少なくとも30%以上で繰り返し重合し、か
つ、該還流凝縮器の冷却効率の悪化を最小限に抑え高速
高生産性重合を長期間維持するとのできる塩化ビニル系
重合体の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。 【解決手段】攪拌機、外部ジャケットおよび伝熱面積が
120m2以上の還流凝縮器を備えた内容積100m3
上の重合機を用い、重合反応中における還流凝縮器によ
る除熱量が全除熱量の30%以上で、重合時間を6時間
以内とする条件下、塩化ビニル単量体または塩化ビニル
と共重合可能な単量体を含む単量体混合物から選ばれた
塩化ビニル系単量体を水性媒体中で油溶性重合開始剤お
よび分散剤の存在下に懸濁重合するに際し、該還流凝縮
器の伝熱面積1m2当たりスケール防止剤0.001〜
10gを塗布し、2〜30バッチ繰り返し懸濁重合する
ことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系重合
体の製造方法に関し、詳しくは還流凝縮器を設置した重
合機を使用し、懸濁重合法により塩化ビニル系重合体を
重合するに際し、高速高生産性重合を長期間維持する製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体の製造業界では、生
産効率を高めるため、従来の低容量の重合機から100
3以上の大型重合機への切り替えが検討されている。
この様な大型重合機で生産効率を高めるため開始剤を増
量して重合時間を短縮した場合、従来のジャケット方式
による除熱だけでは、冷却能力が追いつかないため、還
流凝縮器を付設した重合機を使用して、余剰の反応熱を
除去する方法が行われている。
【0003】しかしながら、生産効率を高めるため還流
凝縮器の除熱量を大きくすると、塩化ビニル系単量体蒸
気の冷却凝縮により該凝縮器内及び重合機気相部での塩
化ビニル系単量体の蒸気線速が上がるため重合機内で発
泡が起こりやすくなる。更に、発泡が発生してしまうと
凝縮器のチューブを通り凝縮器上部までスラリーが上が
ってしまう吹き上げという現象が発生しやすくなる。重
合反応中にこの現象が発生した場合、凝縮器のチューブ
内にスラリー中の樹脂分が付着して流動を悪くしそこで
塩化ビニル系単量体の重合が進み最終的にはチューブの
閉塞を引き起こすことが常識的に知られている。
【0004】又、吹き上げが無くてもチューブは冷却し
ている限り凝縮した単量体に晒されておりスケール付着
が発生し、更に進行すると閉塞する。これでは凝縮器の
伝熱面積が小さくなってしまい冷却効率が悪化してしま
う。閉塞の発生に至らなくても、薄膜状スケールが凝縮
器の伝熱面に付着するだけで、該凝縮器の総括伝熱係数
の低下を引き起こしてしまうので、冷却効率が悪化して
しまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この様な問題を回避す
るため、還流凝縮器の除熱割合を全重合除熱量の30%
未満として重合を行う方法が取られているが、この方法
では還流凝縮器の除熱性能を十分に引き出しているとは
いえず、重合時間を6時間以内とすることは困難であ
り、高速高生産性重合という面から課題を残している。
【0006】高速高生産性重合を行うには、大型重合機
を使用して還流凝縮器の除熱割合を重合除熱量の少なく
とも30%以上、望ましくは40%以上、さらには50
%以上として重合を行う必要がある。ところがこのよう
な重合条件とした場合、還流凝縮器の冷却効率悪化のた
め高速高生産性重合を長期間維持することは従来技術で
は困難であった。
【0007】しかるに大型重合機を使用して還流凝縮器
の除熱割合を重合除熱量の少なくとも30%以上で、ク
ローズド法による繰り返し重合で、且つ、該還流凝縮器
での冷却効率の悪化を最小限にした高速高生産性重合を
長期間維持する方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
鋭意研究を行った結果、スケール防止剤の塗布回数を短
縮できることを見いだし、本発明を完成するに至ったも
のである。すなわち本発明は、攪拌機、外部ジャケット
および伝熱面積が120m2以上の還流凝縮器を備えた
内容積100m3以上の重合機を用い、重合反応中にお
ける還流凝縮器による除熱量が全除熱量の30%以上
で、重合時間を6時間以内とする条件下、塩化ビニル単
量体または塩化ビニルと共重合可能な単量体を含む単量
体混合物から選ばれた塩化ビニル系単量体を水性媒体中
で油溶性重合開始剤および分散剤の存在下に懸濁重合す
るに際し、該還流凝縮器の伝熱面積1m2当たりスケー
ル防止剤0.001〜10gを塗布し、2〜30バッチ
繰り返し懸濁重合することを特徴とする塩化ビニル系重
合体の製造方法である。
【0009】
【発明実施の形態】本発明において使用される重合機
は、撹拌機、外部ジャケットおよび伝熱面積120m2
以上、好ましくは150m2以上、更に好ましくは18
0m2以上の還流凝縮器を付設した内容積100m3以上
の重合機である。内容積が100m3未満の重合機で
は、通常の外部ジャケット冷却方式で除熱の対応がで
き、必ずしも還流凝縮器を必要とせず、1バッチ当たり
の生産量が少ないため、生産量を上げるには多数の重合
機を持つ必要がある。このため、重合設備が煩雑化した
り、設備投資が膨らむなどのコスト的な問題があり、本
発明では対象としないものである。
【0010】又、この様に100m3を越える大容量の
重合機では、還流凝縮器の除熱量を大きくすれば、従来
のジャケット方式の重合機に比べ、著しく重合時間を短
縮することができ、これまで成し得なかった高速高生産
性重合が可能である。還流凝縮器の除熱割合は全重合除
熱量の30%以上、好ましくは40%以上、更に好まし
くは50%以上であり、除熱割合が30%未満では、ジ
ャケットでの除熱が大きくなるなどの問題から重合時間
の短縮ができず、生産効率が低下する。又、還流凝縮器
の除熱割合が30%未満では、還流凝縮器冷却効率の悪
化も余り大きな問題とはならないので、必ずしも本発明
の方法をとる必要はなく、除熱割合を30%以上とする
ことで重合時間の短縮が可能となり、特に40%以上と
することにより重合時間の大幅な短縮が可能となって生
産効率の向上が図られる。
【0011】本発明における重合機の撹拌翼に特に制限
はなく、通常塩化ビニル系単量体の重合に使用されるタ
ービン翼、ファンタービン翼、ファウドラー翼及びブル
ーマージン翼が例示され、その攪拌方法は上部攪拌でも
底部攪拌においても適用できる。
【0012】本発明の方法で使用する重合機に付設した
還流凝縮器は公知のものが使用でき、その制御方法につ
いても、還流凝縮器の除熱割合が重合除熱量の30%以
上で制御するならば、特に制限することは無く、公知の
方法、文献記載(例えば、佐伯、長見編著:新ポリマー
製造プロセス(工業調査会発行)第158頁表6.5記
載)の方法などが適用される。
【0013】本発明の方法は一般に当業界で行われてい
る水性懸濁重合法に使用でき、例えば、塩化ビニルと水
との割合は一般に塩化ビニル100重量部に対して水8
0〜300重量部であり、また重合温度は通常35℃〜
75℃である。
【0014】本発明における塩化ビニル系単量体とは、
塩化ビニル単量体、又は、塩化ビニル単量体およびこれ
と共重合可能な単量体の混合物をいう。また、塩化ビニ
ルと共重合可能な単量体としては、例えば酢酸ビニル及
びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル及びメ
タクリル酸エチル等のアクリル酸もしくはメタクリル酸
エステル、エチレン及びプロピレン等のオレフィン、ラ
ウリルビニルエーテル及びイソブチルビニルエーテル等
のビニルエーテル等が挙げられる。また、無水マレイン
酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等の
共重合可能なものが挙げられる。これらは一種またはそ
れ以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】本発明において使用する油溶性重合開始剤
としては、例えば、ジ−2エチルヘキシル)パーオキシ
ジカーボネートに代表されるパーカーボネート系開始
剤、ターシャリーブチルパーオキシネオデカネート、タ
ーシャリーヘキシルパーオキシネオデカノエート、ター
シャリーオクチルパーオキシネオデカネート、α−クミ
ルパーオキシネオデカネート、1−シクロヘキシル−1
−メチルエチルパーオキシネオデカネート、ターシャリ
ーヘキシルパーオキシピバレート等のパーエステル系開
始剤、3.5.5トリメチルヘキサノイルパーオキサイ
ドに代表されるジアシルパーオキサイド系開始剤、2.
2'アゾビスイソブチロニトリル、2.2'アゾビス−
2.4ジメチルバレロニトリル、等のアゾ系開始剤、
2.2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロ
クロライド、2.2'−アゾビス(N.N'−ジメチレン
イソブチルアミジン)ハイドロクロライド等の水溶性ア
ゾ化合物、ターシャリーヘキシルパーオキシジグリコレ
ート等のジ−ターシャリーアルキルパーオキシジグリコ
レート系開始剤等が挙げられ、これらは重合反応速度を
均一化する為に10時間半減期の異なる重合開始剤を2
種以上組み合わせて使っても良い。これらの重合開始剤
はそのまま使用しても構わないし、水エマルジョン、水
サスペンジョンにしても使用でき、またトルエン等の溶
媒に溶解して使用しても構わず、その使用量は塩化ビニ
ル系単量体に対して、通常100〜1000ppm、好
ましくは200〜800ppmである。しかし本発明で
は、重合時間が6時間以内で終了しなければならないの
で、それを達成できる開始剤量を使用する必要がある。
【0016】本発明に於いて使用される分散剤としては
公知の分散剤で良く例えば部分鹸化ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、酢酸ビ
ニル−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸−スチ
レン共重合体、ゼラチン等が挙げられる。
【0017】本発明で重要なのは、還流凝縮器にスケー
ル防止剤を塗布することであり、好ましくは重合に先立
ち塗布することで行われる。以下、スケール防止剤を例
示するが、本発明はこれに限定されない。例えば、フェ
ノール系水酸基を有する化合物の縮合物及びそれらの変
性物が挙げられる。具体的にはフェノール系水酸基を有
する化合物の自己縮合物としてはUSP4080173
に記載の1価または多価フェノール化合物、フェノール
系水酸基を有する化合物の縮合物は、1価または多価フ
ェノールとアルデヒド類の縮合物、さらにはこれを製造
する時に数種類の1価または多価フェノールとアルデヒ
ド類を使用したり、フェノール類以外の化合物を縮合し
た縮合物またはこれらの変性物が挙げられる。また、特
公昭60−59246で開示されているピロガロールと
アルデヒド類の縮合物、特公昭62−3841に開示さ
れているフェノール類の自己縮合物があげられる。
【0018】また、特開平9−176209記載のフェ
ノール系単量体を酸化重合した反応生成物、特開平10
−600082記載のナフトール類とアルデヒド類との
初期縮合物に多価フェノールをさらに反応させて得られ
る共縮合物、特開平10−231302記載のフェノチ
アジン類とアルデヒド類、またはフェノチアジン類およ
びナフトール類とアルデヒド類との初期縮合物に多価フ
ェノールをさらに反応させて得られる共縮合物、フェノ
ール類とアルデヒド類とを塩基性触媒の存在下で反応し
て得られたレゾール型初期縮合物、さらに好ましくはこ
れを更に種々の変性剤で変性された変性物である。
【0019】フェノール類としては、例えばフェノー
ル、クレゾール、エチルフェノール等の1価のフェノー
ル類、レゾルシン、ハイドロキノン等の2価のフェノー
ル類、ビスフェノールA等のビスフェノール類またはこ
れらの置換体を包含し、これらを単独または2種以上を
組合わせて使用できる。また、アルデヒド類としては、
例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラ
ール、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アク
ロレイン、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フ
ェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアル
デヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド等のCHO
基を有する有機化合物が含まれこれらを単独または2種
以上を組合わせて使用でき、特にホルムアルデヒド、ア
セトアルデヒドが好ましい。
【0020】変性剤としては例えばアルキルフェノール
類、多価フェノール類があげられ、塩基性触媒としては
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミ
ン類が挙げられるが特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0021】これら反応する場合の各成分の量比は、フ
ェノール類1モルに対してアルデヒド類1.1〜3.0
モル、好ましくは1.2〜2.0モルの範囲である。ま
た塩基性触媒はフェノール類1.0モルに対して0.0
2〜0.5モルが好ましい。反応は一般的に温度70〜
150℃で1〜6時間行われる。この反応物を以下レゾ
ール型縮合物と略記する。
【0022】上記フェノール類とアルデヒド類の縮合物
にさらにヒンダードフェノール類、含窒素化合物及び多
価フェノール類から選ばれた少なくとも一種の変性剤を
酸性触媒、特に強酸性触媒の存在下に縮合したものであ
る。
【0023】この際に使用されるヒンダードフェノール
類としては1価または2価のヒンダードフェノール類を
意味し、例えばo-sec-ブチルフェノール(OSB
P)、2−t−ブチルハイドロキノン等が挙げられる。
多価フェノール類としては特に限定はないが、カテコー
ル、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール、フル
ルグルシン等が挙げられ、含窒素化合物としてはニトロ
フェノール類、ニトロ安息香酸類、ニトロベンゼンスル
ホン酸類、アミノフェノール類、アミノベンゼンスルホ
ン酸類が挙げられる。酸性触媒としては硫酸、塩酸、過
塩素酸、P−トルエンスルホン酸、メタスルホン酸、ト
リフルオルメタスルホン酸等が挙げられ、特に塩酸、P
−トルエンスルホン酸が好ましい。
【0024】各変性物は上記レゾール型縮合物に上記多
価フェノールを酸性触媒の存在下で温度70〜150℃
で1〜6時間反応させる。この際、ヒンダードフェノー
ル類、含窒素化合物及び/又は多価フェノールはレゾー
ル型縮合物を製造するのに用いたフェノール類1モルに
対して0.01〜2.0モル、好ましくは0.02〜
0.8モルの範囲であり、酸性触媒はレゾール型縮合物
を製造するのに用いたフェノール類1.0モルに対して
0.02〜0.5モルが好ましく、さらに好ましくは
0.05〜0.3の範囲である。
【0025】このようにして得られるスケール付着防止
剤は通常濃度が0.1〜10wt%、好ましくは0.2
〜6.0wt%になるように、0.05〜5wt%のア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物水溶液に溶
解される。アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化
物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
カルシウムなどが用いられる。これらスケール防止剤
は、水溶液として、また、必要に応じて水を加えて希釈
し、酸を添加してpH調節してスケール防止剤成分を析
出、分離して使用することもできる。
【0026】本発明では、還流凝縮器伝熱面積1m2
たり上記のスケール防止剤純分として0.001〜10
gを、好ましくは0.01〜3g、さらに好ましくは
0.03〜1gを塗布する。0.001g/m2未満で
は、スケール付着防止効果が不足し、10g/m2を越
えてもポリマー付着防止がより効果的になるわけでもな
く、スケール防止剤を無駄に使用し不経済であるばかり
か、還流凝縮器の総括伝熱係数低下を引き起こし、本発
明の目的である高速高生産性重合を長期間維持する事が
達成できなくなる。
【0027】スケール防止剤の塗布方法は、スケール防
止剤を単に塗布またはスプレイする方法などがあり、特
に制限はない。例えば特公昭61−843の実施例1〜
3に記載されているようにモノマーが接触する重合装置
内の各部にスケール防止剤を噴霧器でスプレーする方
法、または、EP−0462284A1に記載のスケー
ル防止剤溶液を重合機壁面に塗布する前の温度では溶解
しており、加熱された重合機表面で加熱されると析出す
るようなpHに調整されたスケール防止剤溶液を塗布す
る方法である。このように塗布することでスケール防止
剤溶液が壁面に薄膜で均一にしかも強固に被着された状
態になり、優れたスケール付着防止効果が得られる。上
記塗布剤の溶液中のスケール防止剤成分はpHが低くな
ると析出し、温度が高くなると析出する。したがってp
Hは、スケール防止剤が常温で析出するpHよりも0.
2〜4.0、好ましくは0.3〜3.0だけ高く調整さ
れる。調整されたpHが上記析出するpHよりも0.2
未満しか高くない場合は経時変化によりスケール防止剤
が塗布前に析出することがあり好ましくない。また、
4.0より高いと壁面を高温にしてもスケール防止剤が
析出しない場合があり好ましくない。
【0028】本発明におけるスケール防止剤溶液を還流
凝縮器壁等へ塗布する際は、塗布する壁面を40℃以
上、100℃までに加熱することが望ましい。40℃未
満では規定通りのpHに調整してもスケール防止剤が析
出せずにスケール付着防止効果が発現しない。また10
0℃を超える場合は昇温に時間がかかり実用的でない。
したがって壁面の温度はより好ましくは45〜95℃、
さらに好ましくは50〜90℃である。その方法は特に
制限はなく、スケール防止剤溶液を刷毛塗りもしくはス
プレー、もしくはスチームで還流凝縮器の壁面に塗布し
たり、または還流凝縮器をスケール防止剤溶液でリンス
する等の一般的方法で行える。
【0029】本発明の方法では、2〜30バッチに1
回、好ましくは3〜10バッチに1回、さらに好ましく
は4〜8バッチに1回、還流凝縮器にスケール防止剤を
塗布する。1バッチに1回塗布では、スケール防止剤を
無駄に使用し不経済であるばかりか、還流凝縮器の総括
伝熱係数低下を引き起こし、本発明の目的である高速高
生産性重合を長期間維持する事が達成できなくなる。ま
た、1回の塗布で30バッチを越えて重合すると、スケ
ール付着防止効果が不足する。
【0030】本発明における重合時間は、6時間以内、
好ましくは1〜6時間、さらに好ましくは1〜4時間と
する。このようにすることによって生産性の高い塩化ビ
ニル系重合体の製造を実現することができる。ここで重
合時間とは、重合原料を仕込み、昇温して内温が所定の
温度に達した時点から、重合機内の圧力が初期の圧力よ
り1.8kg/cm2低下した時点までの時間を重合時
間とする。なお、内圧の低下幅が1.8kg/cm2
りも小さい時点で重合を終了させる重合方法であって
も、そのまま通常の条件下で重合を継続したときに6時
間以内に内圧の低下幅が1.8kg/cm2となる重合
は、本発明の範囲に含まれる。このような重合は、重合
終了時点を上記のように定義した上で6時間以内と規定
した本発明の重合方法と実質的に変わりはなく、どの時
点で重合を終了させるかは、用途によっても異なるから
である。
【0031】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0032】製造例1(フェノール系変性スケール防止
剤) 温度計、攪拌機、還流冷却器付きステンレススチール製
1.5m3 容積の反応機にフェノール154kg(1.
64kモル)、37.0%ホルマリン199.3g
(2.46kモル)、および水酸化ナトリウム2.62
kg(0.066kモル)を装入し、攪拌下85℃まで
30分間で昇温した。さらにこの温度に保ちながら2時
間40分反応させた。このようにして得られたレゾール
は、B型粘度計を用いて85℃で粘度を測定したところ
10.3cpsを示した。また亜硫酸ソーダ法で残存ホ
ルマリンを分析したところ不検出であった。さらにゲル
パーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平
均分子量(Mw)は400であった。
【0033】この反応生成物を50℃まで冷却し、変性
剤としてoーsecーブチルフェノール6.1kg
(0.041kモル)、オルタニル酸30.0kg
(0.174kモル)およびレゾルシン36.0kg
(0.328kモル)を徐々に装入し、攪拌下75℃ま
で30分間で昇温し、さらにこの温度に保ちながら反応
を続けた。B型粘度計を用いて1300cpsになった
ところで降温し水酸化ナトリウム水溶液を装入すること
より反応を停止させた。なお、得られた縮合物のpHは
11.2であり、Mwは1740であった。得られた縮
合物をスケール防止剤として濃度2%の水酸化ナトリウ
ム0.4%水溶液になるように調製した。このようにし
て得られたアルカリ水溶液をクエン酸でpH8.0に調
整し、スケール防止剤溶液とした。
【0034】実施例1 攪拌翼及び伝熱面積220m2多管式還流凝縮器を備え
た内容積150m3の外部ジャケット式重合機に、重合
に先立ち、スケール防止剤を還流凝縮器伝熱面積1m2
当たり、製造例1で得たスケール防止剤を純分として
0.05gを該還流凝縮器上部に設けられた、回転式ノ
ズルよりスプレー塗布し、余分のスケール防止剤は水洗
操作により除去した。
【0035】水52t、分散安定剤としてケン化度80
モル%、平均重合度2000の部分ケン化ポリビニルア
ルコール600ppmを装入した。重合機を攪拌しなが
ら塩化ビニル単量体58tを装入した。重合開始剤とし
て、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート
水エマルジョン400ppm、及びクミルパーオキシネ
オデカノエート水エマルジョン180ppmを添加し、
重合機内の温度を25.0℃から57.8℃に40分で
昇温した。
【0036】この温度を保ちながら重合を開始するとと
もに還流凝縮器に冷却水を通水し、負荷を調整しなが
ら、還流凝縮器の除熱割合が重合発熱量の50〜60%
となる条件で重合を進めた。重合温度に到達後の重合機
内の圧力は8.8kg/cm2-Gであった。内部の圧力
が7.0kg/cm2-Gに達したところで反応を停止し
た。昇温開始から反応停止までは5時間であった。
【0037】重合体スラリーの排出中に還流凝縮器上部
の回転式ノス゛ルより該還流凝縮器へ通水した。排出した重
合体スラリーは、未反応塩化ビニル単量体を回収したの
ち、スラリーを脱水乾燥し塩化ビニル系重合体を得た。
【0038】還流凝縮器の総括伝熱係数は480kca
l/m2.hr.℃であった。これを初期総括伝熱係数
(100%)とする。スケール防止剤を還流凝縮器に塗
布する操作を5バッチに1回とし、同様の操作を1日3
バッチ、合計550バッチ(約半年)繰り返し重合を行
った。
【0039】還流凝縮器の総括伝熱係数は、初期総括伝
熱係数100%に対して、85%となった。還流凝縮器
を目視により確認したが、熱交換チューブ内の詰まりも
無く、スケールも殆ど確認されなかった。
【0040】比較例1 スケール防止剤を還流凝縮器に塗布する操作を1バッチ
に1回とする以外は、実施例1と同様の操作を1日3バ
ッチ、合計550バッチ(約半年)繰り返し重合を行っ
た。還流凝縮器の総括伝熱係数は、初期総括伝熱係数に
対して、65%まで低下し、還流凝縮器の除熱割合が重
合発熱量の50〜60%となる条件で重合行うことが困
難となった。還流凝縮器を目視により確認すると、熱交
換チューブ内の詰まりはないが、スケール防止剤が主体
の薄膜状物質が、付着していた。
【0041】比較例2 スケール防止剤を還流凝縮器に塗布する操作を50バッ
チに1回とする以外は、実施例1と同様の操作を1日3
バッチ、合計550バッチ繰り返し重合を行う予定であ
ったが、300バッチ時点で、還流凝縮器の総括伝熱係
数は、初期総括伝熱係数に対して、50%まで低下し、
還流凝縮器の除熱割合が重合発熱量の50〜60%とな
る条件で重合を行うことが不可能となった。還流凝縮器
を目視により確認すると、熱交換チューブ内にスケール
詰まりが発生していた。
【0042】比較例3 スケール防止剤を還流凝縮器伝熱面積1m2当たりスケ
ール防止剤純分として0.0005g塗布する以外は、
実施例1と同様に合計550バッチ繰り返し重合を行っ
た。還流凝縮器の総括伝熱係数は、初期総括伝熱係数に
対して、65%まで低下し、還流凝縮器の除熱割合が重
合発熱量の50〜60%となる条件で重合行うことが困
難となった。還流凝縮器を目視により確認すると、スケ
ールが付着していた。
【0043】比較例4 スケール防止剤を還流凝縮器伝熱面積1m2当たりスケ
ール防止剤純分として15g塗布する以外は、実施例1
と同様に合計550バッチ繰り返し重合を行った。還流
凝縮器の総括伝熱係数は、初期総括伝熱係数に対して、
60%まで低下し、還流凝縮器の除熱割合が重合発熱量
の50〜60%となる条件で重合行うことが困難となっ
た。還流凝縮器を目視により確認すると、熱交換チュー
ブ内の詰まりはないが、スケール防止剤が主体の薄膜状
物質が層を成し付着していた。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、大型重合機を使用して
還流凝縮器の除熱割合を重合除熱量の少なくとも30%
以上で繰り返し重合しても該還流凝縮器の総括伝熱係数
低下を最小限にし、高速高生産性重合を長期間維持する
ことが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 EA03 EA06 EB03 EB08 EB14 JA06 JA07 JA08 JB24 4J100 AA02Q AA03Q AB02Q AC03P AC04Q AE05Q AE06Q AG02Q AG04Q AK32Q AL03Q AM02Q CA01 CA04 FA02 FA03 FA17 FA21 FA47

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】攪拌機、外部ジャケットおよび伝熱面積が
    120m2以上の還流凝縮器を備えた内容積100m3
    上の重合機を用い、重合反応中における還流凝縮器によ
    る除熱量が全除熱量の30%以上で、重合時間を6時間
    以内とする条件下、塩化ビニル単量体または塩化ビニル
    と共重合可能な単量体を含む単量体混合物から選ばれた
    塩化ビニル系単量体を水性媒体中で油溶性重合開始剤お
    よび分散剤の存在下に懸濁重合するに際し、該還流凝縮
    器の伝熱面積1m2当たりスケール防止剤0.001〜
    10gを塗布し、2〜30バッチ繰り返し懸濁重合する
    ことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002169334A (ja) * 2000-12-01 2002-06-14 Canon Inc 重合トナーの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002169334A (ja) * 2000-12-01 2002-06-14 Canon Inc 重合トナーの製造方法

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