JPH07233207A - 塩化ビニルの重合方法 - Google Patents

塩化ビニルの重合方法

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JPH07233207A
JPH07233207A JP6321050A JP32105094A JPH07233207A JP H07233207 A JPH07233207 A JP H07233207A JP 6321050 A JP6321050 A JP 6321050A JP 32105094 A JP32105094 A JP 32105094A JP H07233207 A JPH07233207 A JP H07233207A
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JP
Japan
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polymerization
vinyl chloride
wall adhesion
wall
oxygen
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JP6321050A
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English (en)
Inventor
Seiichi Masuko
誠一 益子
Yoshihiro Umeda
佳裕 梅田
Katsuto Koketsu
克人 纐纈
Ichisaburo Nakamura
市三郎 中村
Akihiko Takahashi
明彦 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 クローズド化された塩化ビニルの重合におい
て、壁付着防止剤を塗布した重合機で重合を繰り返す操
作の過程で酸素を存在させることを特徴とする塩化ビニ
ルの重合方法。 【効果】 本発明の方法により壁付着防止剤の効果が充
分に発揮させることが可能になり、塩化ビニルのクロー
ズド化が達成でき、生産性の向上が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニルの重合方法
に関し、さらに詳細にはクローズド化された重合機を用
いた塩化ビニルの重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニルは優れた性質を有する汎
用樹脂としてきわめて有用な樹脂である。ポリ塩化ビニ
ルは通常水性懸濁重合で製造される。従来の塩化ビニル
の水性懸濁重合法では重合機の壁面にポリマーがかなり
強固に付着するので、重合後内容物を取りだした後に重
合機を開放してかなりの手間をかけて内部を掃除して次
の重合操作が行われていた。近年、大気汚染の防止や生
産性の向上のために壁面へのポリマーの付着を防止する
目的で、重合機の壁面に壁付着防止剤を塗布する方法が
開発され、壁付着ポリマーが大幅に減少し、また付着す
るポリマーも強固には付着しないようになった。それに
よって、塩化ビニルの重合後に重合機を開放して簡単に
高圧水で洗浄することにより壁付着ポリマーの除去が可
能になり、大幅に洗浄操作は合理化された。
【0003】さらに有効な壁付着防止剤が開発されて塩
化ビニルの重合後に重合機を実質的に開放しないで内部
を水で洗浄した後、次の重合操作を行ういわゆるクロー
ズド化重合が実施されるようになってきた。
【0004】しかしながら、本発明者らは従来重合機を
開放していた場合に有効であった壁付着防止剤によるポ
リマーの壁付着防止の効果が、クローズド化重合すると
壁付着防止剤の効果が低下するという問題点が存在する
ことを見いだした。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記問題を解決し、いわゆるクローズド化重合でも
壁付着防止剤の効果が充分に発揮できる塩化ビニルの重
合方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討を行なったところ驚くべきこと
にクローズド化して継続して重合を行う際に酸素が重要
であることを見いだして本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明はクローズド化された塩
化ビニルの重合において、壁付着防止剤を塗布した重合
機で重合を繰り返す操作の過程で重合機に酸素を存在さ
せることを特徴とする塩化ビニルの重合方法である。
【0008】本発明は、クローズド化された塩化ビニル
の重合において、壁付着防止剤を塗布した重合機で重合
を繰り返す操作の過程で重合機に酸素を存在させて壁付
着防止効果を持続させることを特徴とする塩化ビニルの
重合方法である。
【0009】塩化ビニルの水性懸濁重合はクローズド化
された重合機を用いて、懸濁媒体である水、分散剤、重
合開始剤、塩化ビニルモノマー等の原料を仕込み、温度
を昇温して重合が開始されるが、本発明では重合を開始
する時までに酸素を存在させ、その酸素存在量が重合時
の仕込み塩化ビニルモノマーに対して10〜1000w
tppmであることを特徴とする塩化ビニルの重合方法
である。
【0010】さらに本発明は壁付着防止剤の塗布前、塗
布中又は塗布後に、重合機の気相中に300〜1000
0wtppmの酸素を存在させて壁付着防止剤を塗布す
ることを特徴とする前記の塩化ビニルの重合方法であ
る。
【0011】さらにこの場合は、重合開始時に仕込み塩
化ビニルモノマーに対して10〜1000wtppmに
なるように酸素量を調節した後に塩化ビニルモノマーを
重合することが好ましい。
【0012】また上記方法において、壁付着防止剤がフ
ェノール系水酸基を有する縮合物またはフェノール系水
酸基を有する自己縮合物又はそれらの変性物であること
を特徴とする塩化ビニルの重合方法である。
【0013】本発明の方法でのクローズド化とは重合反
応を終了しスラリーの排出を行った後、重合機内部の気
相に塩化ビニルモノマーが残存したままで大気開放する
ことなく次の重合を行うことを意味する。重合機内部を
開放することなく重合機内の残存ポリマーを簡単な水洗
のみで除去して次の重合操作ができ、これによって塩化
ビニルモノマーの大気放出を避けること及び/又は機内
の塩化ビニルモノマーを回収する操作を合理化すること
ができ、それによって塩化ビニル重合が合理化できる。
大気開放することなくとは例えば重合機のマンホールを
開放したり、空気、窒素等の不活性ガスで系内を置換す
る操作をしないことを意味する。
【0014】本発明者らは、塩化ビニル重合時に壁面に
付着するポリマーを減少させるための壁付着防止剤の開
発について検討を行った。その結果、効果の充分な壁付
着防止剤およびその塗布方法を開発し、例えばEPC0
462284A1に記載のような優れた方法を見いだし
た。これらの優れた方法を適用してクローズド化するこ
とを目的として塩化ビニルの重合方法を検討し、上記の
優れた壁付着防止剤およびその塗布方法を用いてクロー
ズド化して塩化ビニルの重合を行ったところ、各バッチ
の塩化ビニル重合後に重合機を開放せずに、原料を仕込
み重合を繰り返すと本来持っていた壁付着防止剤の効果
が低下することが判った。その結果、ポリマーの品質を
高く保持するためには、重合機を開放して壁に付着した
ポリマーを除去する操作が必要になり、クローズド化で
きる重合バッチ数が減少することが明らかとなった。
【0015】本発明者はこの原因について検討を行い、
クローズド化の際に少量の酸素を装入することを検討し
たところ、驚くべきことにクローズド化の場合に存在さ
せる少量の酸素が壁付着防止剤本来の性能を発揮させる
ために重要であることを見いだし本発明に到達したもの
である。
【0016】本発明の方法の塩化ビニルの重合は、重合
機がクローズド化されていることと酸素を存在させるこ
と以外は公知の重合方法と同様に実施される。すなわ
ち、塩化ビニルモノマー、必要により塩化ビニルモノマ
ーと共重合可能なモノマーを、水、分散剤、重合開始剤
の共存下に加熱して重合され、重合後ポリマーの水スラ
リーを排出し、重合機内に残存するポリマーを水で洗浄
し、また重合するという操作が繰り返して行われる。
【0017】本発明の方法には、本発明の目的である生
産性の向上に有効である公知の重合機および装置が使用
でき、重合機の容積は20〜350m3、好ましくは4
0〜250m3のものが使用でき、重合熱の除去のため
に逆流コンデンサーを使用することが推奨される。
【0018】本発明の方法は塊状重合、懸濁重合に適用
できるが、特に懸濁重合に有効である。
【0019】懸濁重合は水を媒体として使用し、水と塩
化ビニルモノマーとの割合は公知の量比で、水/塩化ビ
ニル比=0.8〜1.5、好ましくは0.85〜1.
2、さらに好ましくは0.9〜1.0で行われる。
【0020】本発明の方法は塩化ビニルの重合または塩
化ビニルを主成分とする共重合、グラフト重合にも適用
できる。塩化ビニルと共重合されるモノマーとしては、
通常塩化ビニルの共重合に使用されているモノマーなら
特に限定はなく、例えば酢酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニル
エステル類、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチ
レン等のオレフィン類、イソブチルビニルエーテル、オ
クチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、フェ
ニルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニリ
デン、フッ化ビニル、塩化プロピレン、臭化ビニル等の
ハロゲン化オレフィン類、エチルアクリレート、n−ブ
チルアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、2ー
エチルヘキシルアクリレート、2ーエチルヘキシルメタ
アクリレート、ステアリルアクリレート等のアクリレー
ト類またはメタアクリレート類、アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、無水
イタコン酸、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル
等が例示でき、これらは1種以上用いてもよいが塩化ビ
ニルに対して15重量%以下で使用することが好まし
い。
【0021】グラフト重合は、重合体に塩化ビニルをグ
ラフト重合する公知のグラフト重合方法によって実施可
能であり、この際に使用される上記重合体は例えば、エ
チレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンーア
クリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリウ
レタン、ブタジエンースチレンーメチルメタクリレート
(MBS)、ブタジエンーアクリロニトリルー(αーメ
チル)スチレン共重合体(ABS)、ポリブチルアクリ
レート、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレンーブタジ
エン共重合体などが例示される。
【0022】本発明の方法では重合開始剤として通常塩
化ビニルの重合に使用される重合開始剤、特に油溶性ラ
ジカル開始剤が使用され、例えば、ジイソプロピルパー
オキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボ
ネート、ジラウリルパーオキシジカーボネート、ジミリ
スチルパーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシ
ジカーボネート、ジターシャリブチルパーオキシジカー
ボネート、ジ(エトキシエチル)パーオキシジカーボネ
ート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボ
ネート、ジ(3-メトキシブチル)パーオキシジカーボ
ネート、ジ(3-メトキシ-3-メチルブチル)パーオキ
シジカーボネート、ジ(ブトキシエチル)パーオキシジ
カーボネート、ジ(2-イソプロポキシエチル)パーオ
キシジカーボネート、ジ(2-イソプロポキシエチル)
パーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカ
ーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジターシャリーブチルシクロヘキシルパーオキシジ
カーボネート等のパーカーボネート、ターシャリーブチ
ルパーオキシネオデカネート、アミルパーオキシネオデ
カネート、ターシャリーオクチルパーオキシネオデカネ
ート、α−クルミパーオキシネオデカネート、ターシャ
リーブチルパーオキシピバレート、アミルパーオキシピ
バレート、ターシャリーオクチルパーオキシピバレー
ト、α─クルミパーオキシトルエンピバレート、パーヘ
キシルオキサレート、ジターシャリーブチルパーオキシ
オキザレート、アセチルシクロヘキシルサルフォニルパ
ーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパ
ーオキシフェノキシアセテート等のパーエステル、ラウ
ロイルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキサイド、
2-エチルヘキサノイルパーオキサイド、3,5,5-ト
リメチルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパー
オキサイド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、
2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレ
ロニトリル等のアゾ化合物等が例示され、これらは通常
行われているように数種類を組み合わせて使用できる。
これらは重合反応速度を均一化する為に組み合わせて使
用し、ポンプで重合機に装入する方法が推奨される。こ
れらの重合開始剤はそのまま使用しても良いし、水エマ
ルジョン、水サスペンジョンにしても使用でき又トルエ
ン等の溶媒に溶解しても使用できる。
【0023】本発明の方法では、通常塩化ビニルの重合
で使用されている公知の分散剤が使用でき、分散剤とし
ては、例えば、完全鹸化もしくは部分鹸化のポリビニル
アルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、無水マレ
イン酸−酢酸ビニル共重合体等の合成高分子化合物、デ
ンプン、ゼラチン等の天然高分子物質等が例示され、こ
れらを2種以上組み合わせた公知の分散剤が使用でき
る。
【0024】具体的には、一例として、本発明では高嵩
比重のPVCを得るためには、鹸化度90モル%以上の
ポリビニルアルコールを分散剤の全量に対して30−7
0重量%を使用することにより達成される。また、別の
一例として、フィッシュアイの少ないPVCを得るため
には、鹸化度40−50モル%で重合度200−300
のポリビニルアルコールを分散剤の全量に対して30−
60重量%使用することにより達成される。
【0025】分散剤の使用量は通常、塩化ビニルモノマ
ー100重量部に対して0.02〜0.2重量部、好ま
しくは0.04〜0.18重量部、更に好ましくは0.
06〜0.15重量部である。
【0026】本発明の方法では、重合機等の塩化ビニル
モノマーの接触する壁面に壁付着防止剤(以下薬剤と略
記する)を塗布する必要があり、壁付着防止剤は公知の
ものを公知の方法で塗布することができる。好ましくは
重合に先立ち行われるが必ずしも各重合バッチの装入前
に塗布する必要はない。
【0027】薬剤は塩化ビニルの壁付着防止剤として知
られている公知のものが使用できる。例えばフェノール
系水酸基を有する化合物の縮合物が使用でき、特にフェ
ノール系水酸基を有する化合物の自己縮合物、フェノー
ル系水酸基を有する化合物の縮合物及びそれらの変性物
が挙げられる。具体的にはフェノール系水酸基を有する
化合物の自己縮合物としてはU.S.P4080173
に記載の1価または多価フェノール化合物の自己縮合物
が挙げられる。フェノール系水酸基を有する化合物の縮
合物は、1価または多価フェノールとアルデヒド類の縮
合物、さらにはこれを製造する時に数種類の1価または
多価フェノールとアルデヒド類を使用したり、フェノー
ル類以外の化合物を縮合した縮合物またはこれらの変性
物が挙げられる。これらの薬剤の具体的例としては、例
えば、EPC0462284A1に開示されている薬
剤、特公昭60ー59246で開示されているピロガロ
ールとアルデヒド類の縮合物、又は特公昭62ー384
1に開示されているフェノール類の自己縮合物があげら
れる。特に好ましくはEPC0462284A1に記載
の請求項4から25及び27、ならびに同公報第4頁第
48行〜第9頁第35行に記載されている薬剤、特に実
施例3、11、13、17が例示される。
【0028】本発明の方法で好ましく使用される薬剤は
フェノール類とアルデヒド類とを塩基性触媒の存在下で
反応して得られたレゾール型初期縮合物、さらに好まし
くはこれを更に種々の変性剤で変性された変性物であ
る。フェノール類の例は、例えばフェノール、クレゾー
ル、エチルフェノール等の1価のフェノール類、レゾル
シン、ハイドロキノン等の2価のフェノール類、ビスフ
ェノールA等のビスフェノール類またはこれらの置換体
を包含し、これらを単独または2種以上を組合わせて使
用できる。アルデヒド類としては、例えばホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、プロピオンア
ルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、クロトン
アルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデ
ヒド、3ーフェニルプロピオンアルデヒド、2ーフェニ
ルプロピオンアルデヒド等のCHO基を有する有機化合
物が含まれこれらを単独または2種以上を組合わせて使
用でき、特にホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが好
ましい。
【0029】変性剤としては例えばアルキルフェノール
類、多価フェノール類があげられる。 塩基性触媒とし
ては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、
アミン類が挙げられるが特に水酸化ナトリウムが好まし
い。
【0030】反応する場合の各成分の量比は、フェノー
ル類1モルに対してアルデヒド類1.1〜3.0モル、
好ましくは1.2〜2.0モルの範囲である。また塩基
性触媒はフェノール類1.0モルに対して0.02〜
0.5モルが好ましい。反応は一般的に温度70〜15
0℃で1〜6時間行われる。この反応物を以下「レゾー
ル型縮合物」と略記する。
【0031】本発明の薬剤としては上記フェノール類と
アルデヒド類の縮合物にさらにヒンダードフェノール
類、含窒素化合物及び多価フェノール類から選ばれた少
なくとも一種の変性剤を酸性触媒、特に強酸性触媒の存
在下に縮合したものが好ましく使用される。
【0032】この際に使用されるヒンダードフェノール
類としては1価または2価のヒンダードフェノール類を
意味し、例えばo-sec-ブチルフェノール(OSB
P)、2ーt−ブチルハイドロキノン等が挙げられる。
多価フェノール類としては特に限定はないが、カテコー
ル、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロール、フル
ルグルシン等が挙げられ、含窒素化合物としてはニトロ
フェノール類、ニトロ安息香酸類、ニトロベンゼンスル
ホン酸類、アミノフェノール類、アミノベンゼンスルホ
ン酸類が挙げられる。酸性触媒としては硫酸、塩酸、過
塩素酸、P−トルエンスルホン酸、メタスルホン酸、ト
リフルオルメタスルホン酸等が挙げられ、特に塩酸、P
−トルエンスルホン酸が好ましい。
【0033】各変性物は上記レゾール型縮合物に上記多
価フェノールを酸性触媒の存在下で温度70〜150℃
で1〜6時間反応させる。この際、ヒンダードフェノー
ル類、含窒素化合物及び/又は多価フェノールはレゾー
ル型縮合物を製造するのに用いたフェノール類1モルに
対して0.01〜2.0モル、好ましくは0.02〜
0.8モルの範囲であり、酸性触媒はレゾール型縮合物
を製造するのに用いたフェノール類1.0モルに対して
0.02〜0.5モルが好ましく、さらに好ましくは
0.05〜0.3の範囲である。
【0034】本発明の方法では、下記一般式(化1)で
示されるジヒドロキシビフェニル類とアルデヒド類との
反応生成物もまた壁付着防止剤として好ましく使用され
る。
【0035】
【化1】 (但し、式中Rは水素原子または炭素数1〜8のアルキ
ル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基
であり、Xはカルボキシル基、アルキル基、シクロアル
キル基であり、mは0〜2の整数、nは2〜500の整
数を示す。) 上記ジヒドロキシビフェニル類の例としては2,2'-ジヒ
ドロキシビフェニル、2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジメチ
ルビフェニル、2,2'-ジヒドロキシ-4,4',5,5'-テトラメ
チルビフェニル、2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジクロロビ
フェニル、2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジシクロヘキシル
ビフェニル、2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジ-tert-ブチル
ビフェニル等が挙げられ、特に2,2'-ジヒドロキシビフ
ェニルが好ましい。 上記ジヒドロキシビフェニル類と
アルデヒド類との反応は前記の酸性触媒の存在下に行わ
れ、好ましくはジヒドロキシビフェニル類に対するアル
デヒド類のモル比は1以下、好ましくは0.5〜1.
0、より好ましくは0.6から0.9であり、反応温度
は好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜
150℃で行われ、通常トルエン等の芳香族炭化水素、
ジクロルエタン、モノクロルベンゼン等のハロゲン化炭
化水素、ケトン類、エーテル類等の溶媒の存在下で行う
のが好ましい。本発明で使用されるジヒドロキシビフェ
ニル類とアルデヒド類との反応物は好ましくは分子量5
00〜100,000、より好ましくは1,000〜5
0,000のものが壁付着効果が良好で好ましい。
【0036】上記の壁付着防止剤は通常濃度が0.1〜
10wt%、好ましくは0.2〜6.0wt%になるよ
うに、0.05〜5wt%のアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属水酸化物水溶液に溶解される。アルカリ金属
またはアルカリ土類金属水酸化物としては水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどが用いら
れる。
【0037】上記薬剤は上述のように水溶液として使用
できるが、必要によりこれに水を加えて希釈し、酸を添
加してpH調節して薬剤成分を析出、分離して使用する
こともできる。
【0038】本発明の方法では、重合に先立ち、重合機
の壁面に薬剤を塗布する必要があり、壁付着防止剤は公
知のものを公知の方法で塗布することができる。
【0039】これら薬剤の塗布方法としては、薬剤を単
に塗布またはスプレイする方法などがあり、特に制限は
ないが、好ましい塗布方法はEPC0462284A1
の請求の範囲1項〜3項に記載の方法があげられるが、
この方法にこだわらず一般的な方法で行うことができ
る。
【0040】例えば特公昭61ー843の実施例1〜3
に記載されているようにモノマーが接触する重合装置内
の各部に薬剤を噴霧器でスプレーする方法、またはEP
C0462284A1の実施例8に記載されているよう
に薬剤溶液を重合機壁面に塗布する温度では溶解してお
り、加熱された重合機表面で加熱されると析出するよう
なpHに調整された薬剤溶液を塗布する方法である。こ
のように塗布することで薬剤溶液が壁面に薄膜で均一に
しかも強固に被着された状態になり、優れた壁付着防止
効果が得られる。
【0041】本発明の方法で最も好ましい塗布方法は、
EPC0462284A1の請求項1から3、ならびに
同公報第4頁第4行〜4頁22行に記載されている。
【0042】より具体的には薬剤溶液を重合機壁面に塗
布する前の温度では溶解しており、加熱された重合機表
面で加熱されると析出するようなpHに調整された薬剤
溶液を塗布する方法である。このように塗布することで
薬剤溶液が壁面に薄膜で均一にしかも強固に被着された
状態になり、優れた壁付着防止効果が得られる。
【0043】上記の塗布剤の溶液中の薬剤成分はpHが
低くなると析出し、温度が高くなると析出する。したが
ってpHは、薬剤が常温で析出するpHよりも0.2〜
4.0、好ましくは0.3〜3.0だけ高く調整され
る。調整されたpHが上記析出するpHよりも0.2未
満しか高くない場合は経時変化により薬剤が塗布前に析
出することがあり好ましくない。また、4.0より高い
と壁面を高温にしても薬剤が析出しない場合があり好ま
しくない。
【0044】薬剤は前記のように通常はアルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属水酸化物水溶液に溶解されて塗布
される。したがって通常は酸を添加してpHが調整され
る。pH調整用の酸としては例えば塩酸、硫酸、燐酸、
硝酸等の無機酸やアスコルビン酸、酢酸、クエン酸、メ
ルカプトプロピオン酸などの有機酸が挙げられる。
【0045】本発明における薬剤溶液を重合機壁等へ塗
布する際は、塗布する壁面を40℃以上、100℃まで
に加熱することが望ましい。40℃未満では規定通りの
pHに調整しても薬剤が析出せずに壁付着防止効果が発
現しない。また100℃を超える場合は昇温に時間がか
かり実用的でない。したがって壁面の温度はより好まし
くは45〜95℃、さらに好ましくは50〜90℃であ
る。薬剤を塗布し、析出させた後は製品の品質の面から
好ましくは重合機内を水洗する。
【0046】本発明の方法では薬剤を重合機の壁面等に
存在させる必要があり、その方法は特に制限はなく、薬
剤溶液を刷毛塗りもしくはスプレーで重合機の壁面に塗
布したりまたは重合機を薬剤溶液でリンスする等の一般
的方法で行える。
【0047】その塗布量は通常、薬剤の重量で壁面に
0.005〜10g/m2、好ましくは0.01〜5g
/m2である。
【0048】本発明の方法では、壁付着防止剤を塗布し
た重合機で塩化ビニルを重合した後重合機を開放せず
に、続けて次のバッチの重合を行う操作を繰り返すクロ
ーズド化された塩化ビニルの重合において、上記重合の
過程で酸素の存在下で重合を行う。
【0049】この酸素は系内に酸素が添加されれば良
い。当然空気が好ましく使用できる。
【0050】酸素の添加時期は重合が終了して重合スラ
リーを排出してから塩化ビニルモノマーの重合機への装
入完了までが良く、好ましくは壁付着防止剤塗布直前か
ら塩化ビニルモノマーの重合機への装入完了までの期間
が良い。重合開始時に存在させる酸素量は塩化ビニルモ
ノマーあたり10〜1000wtppm、好ましくは1
5〜300wtppm、さらに好ましくは15〜100
wtppmである。この範囲では本発明の壁付着防止効
果が達成されるとともに生成ポリマーの粒度分布、熱安
定性などの品質を良好にすることができるので好まし
い。
【0051】また重合機の気相中に300〜10000
wtppmの酸素の存在下に壁付着防止剤を塗布するこ
とも好ましい実施態様であり、この際は重合開始時には
酸素量を塩化ビニルモノマーあたり10〜1000wt
ppm、好ましくは15〜300wtppm、さらに好
ましくは15〜100wtppmに調整する。
【0052】酸素の量については系内の酸素が上記範囲
に入るように調節する必要があり、塩化ビニルモノマ
ー、水中の酸素含有量なども考慮して制御される。
【0053】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するがこれに限定されるものではない。なお以下の説明
中、部は重量部を示し、phm は塩化ビニルモノマー
100 重量部あたりの他の物質の仕込み重量を示す。
【0054】物性測定方法は、次のようにして行った。 (1)重合系内の酸素は、系内の液相、気相の体積及び
酸素濃度を測定して求めた。 (2) カサ比重 JIS K6721によ
る。 (3) フィッシュアイ 下記配合物をよく混合し直径8インチ、回転数15/2
1rpmの2本ロールを145℃に加熱して5分間混練
し 0.3mmのロール間隔からシートを取り出す。し
かる後15×10cmの面積に存在するフィッシュアイ
の個数を数える。 樹脂 100g DOP 60g Cd−Ba系安定剤(東亜理化製 ADVASTABBC =1000J) 5g カーボン 0.1g (4) 熱安定性試験 JIS K6723に準ずる。下記に記した配合及びロ
ール条件で得られたロールシート2gを試験管[JIS
R3503(化学分析用ガラス器具 外径15mm、長
さ40mm)]の中に入れた。コンゴーレッド試験紙を
規定のグリセリン〔JIS K8295{グリセリン
(試薬)}特級〕で潤し、その余分をろ紙の間でぬぐっ
た後、精製綿で保持して試験紙の下端が試験管の底から
100mmの位置になるようにできるだけ管の中央に垂
直に差し入れ、固定する。温度 180±3℃に保った
油槽に前記のように用意した試験管を、その底が液面か
ら70mm以下になるように垂直に浸した。試験管を油
槽内に浸せきした時から試験紙の先端が明瞭な青に変化
する迄の時間を測定する。
【0055】 〔配合〕 PVC 100部 Pbst 2.2部 Bast 0.6部 TS(三塩基性硫酸鉛) 0.5部 〔ロール条件〕 温度 155℃ 厚み 0.7mm 混練時間 7min 壁付着防止剤の製造 壁付着防止剤の製造例1 (フェノール系壁付着防止剤A、およびその溶液)温度
計、攪拌機、還流冷却器付きステンレススチール製1.
5m3容積の反応機にフェノール154kg(1.64k
モル)、37.0%ホルマリン199.3g(2.46
kモル)、および水酸化ナトリウム2.62kg(0.
066kモル)を装入し、攪拌下85℃まで30分間で
昇温した。さらにこの温度に保ちながら2時間40分反
応させた。このようにして得られたレゾールは、B型粘
度計を用いて85℃で粘度を測定したところ10.4c
psを示した。また亜硫酸ソーダ法で残存ホルマリンを
分析したところ不検出であった。さらにゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量
(Mw)は410であった。
【0056】この反応生成物を50℃まで冷却し、変性
剤としてレゾルシン36kg(0.328kモル)を加
え攪拌下85℃まで30分間で昇温し、さらにこの温度
に保ちながら縮合反応を続けた。B型粘度計を用いて1
000cpsになったところで降温し水酸化ナトリウム
水溶液を装入することより反応を停止させた。なお、得
られた縮合物のpHは11.1であり、Mwは1550
であった。得られた縮合物を壁付着防止剤Aとして濃度
2%の水酸化ナトリウム0.4%水溶液になるように調
製した。このようにして得られたアルカリ水溶液をクエ
ン酸でpH7.0に調整し、壁付着防止剤Aの溶液とし
た。
【0057】壁付着防止剤の製造例2 (フェノール系変性壁付着防止剤Bおよびその溶液)温
度計、攪拌機、還流冷却器付きステンレススチール製
1.5m3容積の反応機にフェノール154kg(1.6
4kモル)、37.0%ホルマリン199.3g(2.
46kモル)、および水酸化ナトリウム2.62kg
(0.066kモル)を装入し、攪拌下85℃まで30
分間で昇温した。さらにこの温度に保ちながら2時間4
0分反応させた。このようにして得られたレゾールは、
B型粘度計を用いて85℃で粘度を測定したところ1
0.3cpsを示した。また亜硫酸ソーダ法で残存ホル
マリンを分析したところ不検出であった。さらにゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均
分子量(Mw)は400であった。
【0058】この反応生成物を50℃まで冷却し、変性
剤としてoーsecーブチルフェノール6.1kg
(0.041kモル)、オルタニル酸30.0kg
(0.174kモル)およびレゾルシン36.0kg
(0.328kモル)を徐々に装入し、攪拌下75℃ま
で30分間で昇温し、さらにこの温度に保ちながら反応
を続けた。 B型粘度計を用いて1300cpsになっ
たところで降温し水酸化ナトリウム水溶液を装入するこ
とより反応を停止させた。なお、得られた縮合物のpH
は11.2であり、Mwは1740であった。得られた
縮合物を壁付着防止剤Bとして濃度2%の水酸化ナトリ
ウム0.4%水溶液になるように調製した。このように
して得られたアルカリ水溶液をクエン酸でpH8.0に
調整し、壁付着防止剤Bの溶液とした。
【0059】壁付着防止剤の製造例3 (フェノール系変性壁付着防止剤Cおよびその溶液)温
度計、攪拌機付きステンレススチール製1.5m3容積
の反応機にフェノール154kg(1.64kモル)、
水81.2kgおよび水酸化ナトリウム6.56kg
(0.164kモル)を装入し、攪拌下90℃まで30
分間で昇温した。この温度に10分保った後、これに8
0%アセトアルデヒド水溶液135.2kg(2.46
kモル)を45分間かけて定速で装入した。さらに90
℃の温度に保ちながら3時間反応させた。その後冷却し
て50℃になったところで、oーsecーブチルフェノ
ール6.1kg(0.041kモル)、ピロガロール5
7.8kg(0.459kモル)および純度95.6%
のp−トルエンスルホン酸32.5kg(0.18kモ
ル)を装入し、温度を徐々に上げ85℃で4時間反応を
続けた。その後降温し、水酸化ナトリウム水溶液を装入
することより反応を停止させた。得られた縮合物を壁付
着防止剤Cとして濃度2%の水酸化ナトリウム0.4%
水溶液になるように調製した。このようにして得られた
アルカリ水溶液をクエン酸でpH10.5に調整し、壁
付着防止剤Cの溶液とした。
【0060】実施例1 内容積133m3の逆流コンデンサーを設置した重合反
応機の内部の空気を真空ポンプにより排除した。重合反
応機の内圧が0.1kg/cm2ーGになるように塩化
ビニルモノマーを重合反応機に装入した後、ジャケット
に温水を循環させ、重合反応機内壁温を80℃とした。
その後、前述の壁付着防止剤の製造例1に従って製造し
た壁付着防止剤Aの溶液をスプレーにて重合反応機の内
壁に噴霧して塗布し、重合反応機内を十分水洗した。次
に、後に装入する塩化ビニルモノマーに対して酸素の割
合が30wtppmとなるように圧縮空気を重合反応機
へ導入し、続いて脱イオン水を42.6t装入した。次
に、分散剤として鹸化度80mol%、重合度2000
のPVA−Aを0.015phm(塩化ビニルモノマー
100部に対する重量、以下同様)、鹸化度70mol
%、重合度700のPVA−Bを0.045phm、塩
化ビニルモノマー45.6t、重合開始剤として純度6
0重量%のジオクチルパーオキシジカーボネート水エマ
ルジョン(OPP水エマルジョン)28kg(純分1
6.8kg)、及び純度40重量%のα-クミルパーオ
キシネオデカネート水エマルジョン(CuND水エマル
ジョン)19kg(純分7.6kg)をポンプ装入し
た。重合反応機内の酸素濃度の実際の測定結果は30w
tppmであった。反応温度を57.5℃に上げ重合反応を
開始した。4時間10分後にフェノール系酸化防止剤の
水懸濁液をポンプにより装入し重合反応機よりスラリー
を排出し、塩化ビニルモノマーのストリッピング塔を経
由させ、このPVCスラリーを脱水ケークとし取り出
し、乾燥して製品PVCを取得した。得られたPVCの
物性(嵩比重、粒度分布、フィッシュアイ、熱安定性)
を測定した。PVCスラリーを排出した重合反応機はマ
ンホールの蓋を開けることなくして水洗し、内圧を0.
1kg/cm2ーGに調整し、ジャケットに温水を循環
させ、重合反応機内壁温を80℃とし、壁付着防止剤A
の溶液を塗布させて次回のバッチ反応の装入を行った。
連続してクローズド化重合を行った結果を表1に示す。
【0061】本実施例では重合反応機が大気開放されて
いる状態から初回バッチ反応を行う例を示したが、一般
には本実施例の次のバッチに見られるように、前バッチ
の反応が終わった後大気開放されずにそのまま重合が継
続される。本発明において、空気置換されずにという言
葉は初回バッチ反応が終わった後大気開放されずにその
まま重合が継続されることを意味する。
【0062】実施例2〜3 塩化ビニルモノマーに対する酸素の割合を変化させた以
外は実施例1と同様にして重合した。実験結果を表1に
示す。
【0063】比較例1 圧縮空気を敢て重合反応機へ導入せず、重合反応機内の
塩化ビニルモノマーに対して酸素を添加しなかった以外
は実施例1と同様にして重合を行った結果を表1に示
す。
【0064】実施例4 分散剤として鹸化度98mol%、重合度2000のP
VA−Cを0.05phm、鹸化度80mol%、重合
度2000のPVA−Aを0.05phm、0.1重量
%水溶液の表面張力が48dyne/cmのヒドロキシ
プロピルメチルセルロース(HPMC)0.01phm
を使用し、かつ、塩化ビニルモノマーに対する酸素の割
合を変化させた以外は実施例1と同様にして重合した結
果を表1に示す。なお酸素を添加しないばあいは嵩比
重、熱安定性等の物性の低下が認められた。
【0065】実施例5 壁付着防止剤の製造例2で製造した壁付着防止剤Bの溶
液を使用した以外は実施例1と同様にして重合した結果
を表1に示す。
【0066】比較例2 壁付着防止剤の製造例2で製造した壁付着防止剤Bの溶
液を使用し、かつ、重合前に圧縮空気を敢て重合反応機
へ導入せず、重合反応機内の塩化ビニルモノマーに対し
て酸素を添加しなかった以外は実施例5と同様にして重
合を行った結果を表1に示す。
【0067】実施例6 内容積133m3の逆流コンデンサーを設置した重合反
応機の内部の空気を真空ポンプにより排除した。重合反
応機の内圧が0.1kg/cm2ーGになるように塩化
ビニルモノマーを重合反応機へ装入した後、重合反応機
内の酸素濃度が3300wtppmになるように圧縮空
気を重合反応機へ導入した。
【0068】その後、ジャケットに温水を循環させ、重
合反応機内壁温を65℃とし、前述の壁付着防止剤の製
造例3で製造した壁付着防止剤Cの溶液をスプレーにて
重合反応機の内壁に噴霧して塗布し、重合反応機内を十
分水洗した。次に脱イオン水を42.6t装入した。続
いてPVA−Aを0.015phmPVA−Bを0.0
45phm、塩化ビニルモノマー45.6t、OPP水
エマルジョン28kg(純分16.8kg)、CuND
水エマルジョン19kg(純分7.6kg)をポンプ装
入した。この時点で重合反応機内の酸素濃度の実際の測
定結果は塩化ビニルモノマーに対して28wtppmで
あった。
【0069】反応温度を57.5℃に上げ重合反応を開
始した。4時間10分後にフェノール系酸化防止剤の水
懸濁液をポンプにより装入し重合反応機よりスラリーを
排出し、塩化ビニルモノマーのストリッピング塔を経由
させ、このPVCスラリーを脱水ケークとし取り出し、
乾燥して製品PVCを取得した。得られたPVCの物性
(嵩比重、粒度分布、フィッシュアイ、熱安定性)を測
定した。
【0070】PVCスラリーを排出した重合反応機はマ
ンホールの蓋を開けることなくして水洗し、内圧を0.
1kg/cm2ーGに調整し、圧縮空気を重合反応機へ
導入し、ジャケットに温水を循環させ、重合反応機内壁
温を65℃とし、壁付着防止剤Cの溶液を塗布させて次
回のバッチ反応の装入を行った。連続してクローズド化
重合を行った結果を表1に示す。
【0071】比較例3 壁付着防止剤の製造例3で製造した壁付着防止剤Cの水
溶液を使用し、かつ重合前に圧縮空気を重合反応機に導
入せず重合反応機内の酸素濃度が塩化ビニルモノマーに
対して3wtppmであった以外は実施例6と同様にし
て重合を行った結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】本発明の方法により壁付着防止剤の効果
を充分に発揮させることが可能になり、塩化ビニルのク
ローズド化重合が達成でき、生産性の向上が可能となっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 市三郎 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 高橋 明彦 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クローズド化された塩化ビニルの重合に
    おいて、壁付着防止剤を塗布した重合機で重合を繰り返
    す操作の過程で重合機に酸素を存在させることを特徴と
    する塩化ビニルの重合方法。
  2. 【請求項2】 クローズド化された塩化ビニルの重合に
    おいて、壁付着防止剤を塗布した重合機で重合を繰り返
    す操作の過程で重合機に酸素を存在させて壁付着防止効
    果を持続させることを特徴とする請求項1記載の塩化ビ
    ニルの重合方法。
  3. 【請求項3】 重合時の仕込み塩化ビニルモノマーに対
    して10〜1000wtppmの酸素を重合系内に存在
    させて重合を開始することを特徴とする請求項1記載の
    塩化ビニルの重合方法。
  4. 【請求項4】 壁付着防止剤の塗布前、塗布中又は塗布
    後に、重合機の気相中に300〜10000wtppm
    の酸素を存在させることを特徴とする請求項1記載の塩
    化ビニルの重合方法。
  5. 【請求項5】 重合反応を終了しスラリーの排出を行っ
    た後、重合機内部の気相に塩化ビニルモノマーが残存し
    たままで大気開放することなく次の重合を行うことを特
    徴とする請求項1記載の塩化ビニルの重合方法。
  6. 【請求項6】 壁付着防止剤がフェノール系水酸基を有
    する化合物の縮合物であることを特徴とする請求項1記
    載の塩化ビニルの重合方法。
  7. 【請求項7】 壁付着防止剤がフェノール系水酸基を有
    する化合物の自己縮合物であることを特徴とする請求項
    1記載の塩化ビニルの重合方法。
  8. 【請求項8】 壁付着防止剤がフェノール系水酸基を有
    する化合物とアルデヒド類との縮合物又はその変性物で
    あることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニルの重合
    方法。
  9. 【請求項9】 壁付着防止剤がフェノール類とアルデヒ
    ド類の初期縮合物を更にヒンダードフェノール類、多価
    フェノール及び窒素含有化合物から選ばれた少なくとも
    一つの変性剤と共縮合させた共縮合物であることを特徴
    とする請求項1及び2記載の塩化ビニルの重合方法。
  10. 【請求項10】 壁付着防止剤がジヒドロキシビフェニ
    ル類とアルデヒド類の縮合物であことを特徴とする請求
    項1及び2記載の塩化ビニルの重合方法。
  11. 【請求項11】 壁付着防止剤がフェノール類の少なく
    とも一種及びホルムアルデヒドを除くアルデヒド類の少
    なくとも一種の初期縮合物とヒンダードフェノール類の
    少なくとも一種及び多価フェノール類の少なくとも一種
    を強酸性触媒の存在下でさらに反応して得られる変成さ
    れた共縮合物であることを特徴とする請求項1及び2記
    載の塩化ビニルの重合方法。
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