JP2005082641A - 重合体スケール付着防止剤 - Google Patents
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Abstract
一段塗布により十分なスケール付着防止性能を有するスケール防止性塗膜が形成でき、工程時間を短縮して生産性を向上すると共に、高温の重合反応条件において多数回の重合バッチを繰り返しても、重合器内壁面等に対する重合体スケールの付着を防止して、品質の向上した重合体製品を得ることができる重合体スケール付着防止剤を提供する。
【解決手段】
(A)アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物、および(B)重量平均分子量が 110,000〜400,000のポリビニルアルコールを含有する、エチレン性二重結合を有する単量体重合用の重合体スケール付着防止剤。
【選択図】 図2
Description
この重合体スケールの付着は、重合バッチ数を重ねるに従い顕著なものとなり、重合体の収率、重合器内の冷却能力等を低下させる。また、重合器内壁面等から剥離した重合体スケールが得られた重合体に混入して製品の品質が低下するという問題がある。そして、重合器内壁面等に付着した重合体スケールの除去作業は、過大な労力と時間を要するのみならず、重合体スケール中に含まれる未反応の単量体が人体に傷害を及ぼす危険性もある。
即ち、本発明は、(A)アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物、および(B)重量平均分子量が 110,000〜400,000のポリビニルアルコールを含有する、エチレン性二重結合を有する単量体重合用の重合体スケール付着防止剤(以下、「スケール防止剤」ともいう)を提供するものである。
[(A)縮合反応生成物]
上記(A)成分は、アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物とを溶媒の存在下で縮合反応させて得られた縮合反応生成物である。
この(A)成分を得る縮合反応等について、以下、詳しく説明する。
(A)成分の反応原料であるアルデヒド化合物としては、アルデヒド基(-CHO)を有する有機化合物であれば、特に制限なく使用することができる。このアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記に例示したアルデヒド化合物の中でも、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが工業的および経済的観点からみて好適である。
(A)成分の反応原料であるヒドロキシナフタリン系化合物としては、ナフタリン環骨格を有する有機化合物であって、前記骨格を形成する炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子がヒドロキシル基によって置換された化合物であれば、特に制限なく使用することができる。このヒドロキシナフタリン系化合物としては、例えば、1-ナフトール、2-ナフトール、1,3−ジヒドロキシナフタリン、1,5-ジヒドロキシナフタリン、1,7-ジヒドロキシナフタリン、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、8-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記に例示したヒドロキシナフタリン系化合物の中でも、1-ナフトールおよび 2-ナフトールが好適である。
縮合反応に供するアルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との使用割合は、前記両者の種類、溶媒および触媒の種類、縮合反応条件等によって調整することが必要となる場合があるので、一概にいえないが、ヒドロキシナフタリン系化合物中に含まれるヒドロキシル基1モルに対する、アルデヒド化合物中に含まれるアルデヒド基(-CHO)のモル数が、通常、0.1〜10モル、特に 0.5〜5モルとなる割合とすることが好ましい。
上記両反応原料の縮合反応に際して用いられる溶媒は、水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒である。
前記有機溶媒としては、上記両反応原料を溶解し、均一な溶液を形成できるものであればよく、特に制限されないが、水溶性有機溶媒が好ましい。この有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;下記一般式(1):
(式中、R1 は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、Xはメチレン基(-CH2-)または式:-NR2-(R2 は炭素原子数1〜3のアルキル基である)で表される2価の基である)
で表される化合物、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上の混合溶媒としても使用することができる。また、上記のとおり、これらの有機溶媒と水との混合溶媒を用いることもできる。
この上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N'-ジエチル-2-イミダゾリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N,N'-ジプロピル-2-イミダゾリドン等を挙げることができ、好ましくは N-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドンである。上記のとおり、該化合物は1種単独でも2種以上を併用しても用いることができる。
また、溶媒の使用量も、上記両反応原料を溶解し、均一な溶液を形成することができ、縮合反応終了後に縮合反応生成物の均一な溶液を得ることができる量であればよく、特に制限されないが、上記両反応原料の合計 100重量部に対して、通常、2〜500重量部、好ましくは5〜200重量部の範囲とするのがよい。
縮合反応は、上記両反応原料を上記溶媒に均一に溶解させた後に、通常、室温〜200℃、好ましくは 30〜150℃の温度条件において行われる。縮合反応に要する時間は、上記両反応原料の合計量により調整される場合があるが、通常、2〜100時間、好ましく3〜30時間程度である。
上記縮合反応において、縮合反応の開始前、縮合反応中および縮合反応終了後から成る群から選ばれる少なくとも1つの段階で、反応系もしくは縮合反応生成物の溶液に還元剤を添加することが好ましい。特に、縮合反応終了後に、縮合反応生成物の溶液に還元剤を添加することが好ましい。還元剤の添加によって、縮合反応によって得られる縮合反応生成物溶液の均一安定性が向上し、また、長期間保存してもゲル化物を生成することがなく、ゲル化物が重合体製品中に混入することを未然に防止して製品の品質に影響を及ぼすことがないという利点がある。更に、本発明のスケール防止剤から得られるスケール防止性塗膜のスケール付着防止効果が向上するという利点もある。
亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、ロンガリット等が挙げられる。
また、上記に例示した還元剤の中でも、亜硫酸塩および二酸化チオ尿素が好ましい。
本発明のスケール防止剤は、上記(A)成分の縮合反応生成物とともに、(B)成分として重量平均分子量が 110,000〜400,000、特に好ましくは 114,000〜394,000のポリビニルアルコールを組み合わせた点に、最大の特徴を有する。前記組み合わせにより、一段塗布のみによってスケール防止効果が顕著に優れたスケール防止性塗膜の形成が可能となり、品質上全く問題のない重合体製品を製造することができる。
本発明のスケール防止剤には、上記(A)および(B)成分に加えて、更に(C)無機コロイドおよび非コロイド状アルカリ金属ケイ酸塩から成る群から選ばれる少なくとも1種を配合してもよい。この(C)成分を併用すると、スケール防止性塗膜の重合器内壁面への吸着力が強くなり、スケール防止効果が向上するという効果があるので、好ましい場合がある。
スケール防止剤を調製するに際しては、例えば、上記(A)成分と、上記(B)成分の溶液とを混合する。なお、上記(A)成分の縮合反応によって得られた縮合反応生成物の溶液をそのまま用いて、上記(B)成分の溶液と混合しても差し支えない。また、必要であれば、この混合工程において、任意配合成分である上記(C)成分をも一緒に混合する。
上記溶媒の中でも、水、水と上記アルコール性溶媒との混合溶媒、または水と上記一般式(1)で表される化合物との混合溶媒を用いることが、上記(B)成分の溶解性が良好な点および臭気が比較的少ない点から好ましい。
また、上記(B)成分の溶液の調製に際し、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチレンジアミン等のpH調整剤を添加して混合してもよい。
また、塗布液のpHは、縮合物が析出しない程度のアルカリ性とすることが望ましいことから、通常、9〜13.5、好ましくは 10.5〜13.0の範囲内とすることが望ましい。このpH値は、必要に応じ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチレンジアミン等のpH調整剤の量を調整することにより設定することができる。
本発明のスケール防止剤を用いるスケール防止性塗膜の形成工程について、図1を参照しながら説明する。なお、本発明のスケール防止剤の塗布方法は特に限定されないが、例えば水蒸気をキャリアーとして用い、重合器の内壁面等に塗布されることが好ましい。また、図1はスケール防止性塗膜形成に用いる装置の概略図である。
塗布液のキャリアーとして使用される水蒸気は、通常の飽和水蒸気であっても、過熱水蒸気であってもよく、通常、0.196〜3.43 MPa・G(2〜35 kgf/cm2・G)、特に0.196〜1.96 MPa・G(2〜20 kgf/cm2・G)の圧力を有するものが好ましい。水蒸気の温度は、通常、120〜260℃、特に 130〜200℃であることが好ましい。
工程1.(水蒸気による重合器内壁面等の予熱等)
重合器1に付設されているジャケット2に熱水等を通して重合器内壁面の温度を 50℃以上、好ましくは 50〜95℃の温度に予め加熱しておく。この重合器の上部には、環状のパイプからなり下方向きのノズル3aと上方向きのノズル3bを有する塗布リング4が設けられている。該塗布リング4には重合器1の外部から水蒸気および塗布液を一体的に供給できるライン5が接続している。
水蒸気を塗布リング4に供給し、更に塗布液タンク10内に収納された塗布液11をポンプ12またはアスピレーターバルブ(図示せず)によりライン7とライン5を介して塗布リング4に供給する。図中Pは圧力計である。塗布液は水蒸気と一体となったミスト状態で、重合器内壁面、バッフル表面、攪拌翼表面等の重合反応中に単量体が接触する表面に適用され、塗布される。この塗布と同時にこれら表面上で塗布された塗布液は塗布と同時に乾燥されて、スケール防止剤塗膜が形成される。したがって、乾燥のための特別の操作は必要ない。
水蒸気および塗布液の供給を止めた後、水タンク13に収納された洗浄用水14で重合器1内の水洗を行う。洗浄水はポンプ15によりライン16を介してノズル17から重合器内に供給される。なお、塗膜の形成状態が良好であり、該水洗工程を省略しても、重合体製品の品質に影響を与えない場合は、該水洗を行わず、工程の簡略化および生産性の向上を図ることができる。
本発明のスケール防止剤は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合時に適用される。この単量体の例としては、例えば、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらのエステルまたは塩;マレイン酸、フマル酸、およびこれらのエステルまたは酸無水物;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;スチレン;アクリロニトリル;ビニルエーテル等が挙げられる。
なお、表1の「塗布液No.」等に*を付したものは、本発明の条件を満たさない比較例であり、それ以外は実施例である。
以下の(A)成分である縮合反応生成物の調製例において、得られた生成物の縮合生成物の重量平均分子量は次のようにして測定した。
・重量平均分子量の測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の測定条件で、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
商品名:shim−pack GPC−800DP(島津製作所社製)
分析カラム
商品名:shim−pack GPC−803D、802D(島津製作所社製)
キャリア:LiBr/DMF=10 mmol/L
流量:1.0 mL/min
検出器:紫外線吸収スペクトル(波長=290 nm)
温度:60℃
耐圧反応器に 1-ナフトール 36.0kg(250モル)と1規定NaOH水溶液 180L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込み、撹拌しながら、70℃に昇温した。次に、反応混合物にホルムアルデヒドを溶解した水溶液 19.75kg(ホルムアルデヒド 1.92重量%含有)を 1.5時間かけて一定速度で滴下した。前記滴下が終了するまでの間、反応器の内温が80℃を越えないように調節した。次に、3時間かけて反応混合物の撹拌を続け、この間に温度を60℃にまで低下させた。次に、反応混合物を 98℃に昇温し、98℃で 1.5時間反応させた。その後、反応混合物を冷却し縮合反応生成物(縮合物 No.1)のアルカリ性溶液を得た。
次に、冷却した反応混合物の溶媒を除去した後残留物を洗浄して、50℃で減圧乾燥した。縮合物 No.1の重量平均分子量を測定した結果は、2,400であった。
特表平11-511495号公報記載の実施例1を参照して、スケール防止剤を次のとおりにして調製した。
8000Lの反応器に、水 1200kg、NaOH 30重量%水溶液 180kg、および 1-ナフトール 270kgをそれぞれ窒素ガス気流下で仕込んだ。次に攪拌しながら、90℃にまで昇温した。その後、反応系にヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム 31.5重量%水溶液 190kgを2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に 90℃で 12時間攪拌を続けた。次に、NaOH 30重量%水溶液 190kgを加えた。これにより、反応が終了したものとみなした。90℃の温度を保持しつつ、次いでポリビニルアルコール(商品名:C-20、信越化学工業社製、ケン化度 99%以上、重量平均分子量:約10,000)4重量%水溶液(20℃における粘度 45 mPa・s)800kgを反応混合物に加えた後、室温にまで冷却した。最後に、得られた反応生成物に、固形分(1-ナフトールとヒドロキシメタンスルフィン酸との反応生成物、およびポリビニルアルコール)の濃度が5重量%になるまで水を加えて希釈して、アルカリ性溶液を得た。これを縮合混合物 No.2とする。
調製例1に記載の方法において、ホルムアルデヒドの滴下が終了した直後に、更に、亜硝酸ナトリウムの 20重量%水溶液 17.25kg(亜硝酸ナトリウム含量 50モル)を 0.1時間かけて一定速度で滴下し、かつ前記ホルムアルデヒドの滴下および亜硝酸ナトリウムの滴下が終了するまでの間、反応器の内温が80℃を越えないように調節したこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.3、重量平均分子量 2,300)を得た。
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N-メチル-2-ピロリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.4、重量平均分子量 5,200)を得た。
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N-メチル-2-ピロリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例3と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.5、重量平均分子量 4,900)を得た。
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、エタノール 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.6、重量平均分子量 4,700)を得た。
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、エタノール 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと、およびホルムアルデヒド水溶液に代えて、1L当たり 980gのフルフラールを溶解した水溶液 24.51L(フルフラール含量 250モル)を使用したこと以外は、調製例3と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.6、重量平均分子量 4,500)を得た。
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))と2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.8、重量平均分子量 5,600)を得た。
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))と2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと、および亜硝酸ナトリウム水溶液に代えて、亜二チオン酸ナトリウムの 20重量%水溶液 43.53kg(亜二チオン酸ナトリウム含量 50モル)を使用したこと以外は、調製例3と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.9、重量平均分子量 5,400)を得た。
と記載する。また、上記調製例2で得られた縮合混合物 No.2をCP2として、表1中の「縮合物(A)」の欄に記載する。
塗布液 No.101〜119の調製
下記表1に示した、縮合物(A)、助剤(B)および助剤(C)を下記表1に示した (A)/(B)/(C) の重量比で使用した。なお、使用した助剤(B)および助剤(C)は、後述のとおり、表3〜4に具体的に示すとおりである。
上記表1記載の助剤(B)として略記したa〜gは、下記表3に記載のものである。(なお、下記表3に記載の助剤(B)a〜dは信越化学工業社製のものであり、e〜gはクラレ社製のものである。)
*bおよびdは、重量平均分子量が 110,000未満のポリビニルアルコールの例である。
なお、上記ポリビニルアルコールの重量平均分子量は次のようにして測定した。
・重量平均分子量の測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の測定条件で、ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量を測定した。
商品名:Shodex KB-800P(昭和電気化学工業社製)
分析カラム
商品名:Shodex KB-80M 2本(昭和電気化学工業社製)
キャリア:NaNo3/DMF=0.1 mol/L
流量:0.7 mL/min
検出器:紫外線吸収スペクトル(波長=290 nm)
温度:35℃
上記表1記載の助剤(C)として略記したh〜nは、下記表4に記載のものである。
図2に示す重合装置を用いて、以下の実験を行った。なお、図2において図1と共通する要素は同一番号で示す。
図2に示す重合装置の重合器の内壁等に下記の方法でスケール防止性塗膜を形成する。なお、当初すべてのバルブは閉じているものとする。
該前処理工程では、ジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面を予め加熱することなく塗布液の塗布を行う。これにより工程の簡略化が可能となる。
バルブV14、V19、V21、V6、V7およびV10を開き、重合器内を1分間水洗し、水洗後の水を廃水タンクMに排出する。その後、バルブV14、V19およびV21を閉じる。
バルブV1、V2およびV3を開き、純水 200部、部分ケン化ポリビニルアルコール 0.020部および 2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ、信越化学工業社製、メトキシル基置換度:1.9、2-ヒドロキシプロポキシル基置換度:0.25)0.026部を重合器1内に仕込む。その後、バルブV1、V2、V3、V6、V7およびV10を閉じる。
仕込んだ原材料を攪拌しながら、ジャケット2に熱水を通水して昇温し、内温が 66℃に到達した時点で、ジャケット2への冷却水の通水を開始して内温を 66℃に維持し重合を行う。重合器内の圧力が 490 kPa・G(5kgf/cm2・G)に降圧した時点で重合終了とする。
バルブV6、V8、V12およびV9を開き、重合器内圧がほぼ大気圧(101 kPa・G)となるまで、未反応VCMをガスホルダー25に排ガスする。その後バルブV12、V8およびV9を閉じる。バルブV11およびV10を開いてガスホルダー25内に回収されたVCMをライン26を介してVCM回収装置へ送り、その後、バルブV11およびV10を閉じる。
バルブV7およびV10を開き、重合器1の内圧とガスホルダー25の内圧とを同圧にする。
バルブV19およびV20を開き、重合体スラリーを、フィルター30を介して重合器内からスラリータンクに抜出す。なお、該フィルター30は、5〜7メッシュ(目開き 約3〜4mm)の金網状のものである。重合体スラリー中に重合器内壁面等から剥離したスケールが含まれる場合は、このフィルター30に捕集される。
スラリータンク(図示せず)に抜出された重合体スラリーは、その後、脱水乾燥されて塩化ビニル重合体製品となる。重合体スラリーの抜き出し後、バルブV20を閉じる。
バルブ21を開ける。次いで、バルブV14を開き重合器1内を5分間水洗し、洗浄水をフィルター30を介して廃水タンクへ送る。この重合器内の水洗中に、ジャケット2に熱水を通して重合器壁面の温度を 70℃にしておく。この水洗時に、重合器内壁面、特に気液界面付近、攪拌翼、バッフルの頭頂部およびサポート部等から剥離したスケールが洗浄水中に含まれる場合は、このフィルター30に捕集される。
その後、バルブV14、V19、V21、V6、V7およびV10を閉じる。
ジャケット2への熱水の通水を停止する。バルブV18、V21、V19、V15、V16およびV17を開き、240 kg/Hrの流量の 392 kPa・G(4kgf/cm2・G)(143℃)の水蒸気と、0.2 L/minの流量のスケール防止剤を含有する塗布液とをライン5を介して1分間供給し、水蒸気塗布および同時乾燥を行う。その後、バルブV18、V21、V19、V15、V16およびV17を閉じる。
バルブV14、V19およびV21を開き、重合器1内を1分間水洗し、水洗後の水を廃水タンクに排出する。その後、バルブV14、V19およびV21を閉じる。
・重合体スケール付着量の測定
各実験で、最終バッチ(例えば、計200バッチの重合を行った場合は、200バッチ目)終了後に重合器内液相部の重合体スケール付着量、攪拌翼およびバッフル表面、並びに、気相部と液相部との界面付近の重合体スケール付着量を下記の方法で求めた。
上記各対象表面の10cm×10cmの面積に付着したスケールを、肉眼で確認し得る限り完全にへらで掻き落として、天秤で計量した。その計量値を 100倍することにより、1m2当たりのスケール付着量(g)を求めた。その結果を表5に示す。
各実験で、上記各バッチの重合器内第2水洗工程後かつ仕込み工程前に、フィルター30に捕集された重合器内壁面等から剥離したスケールを分離・回収し、乾燥した後にその重量(g)を測定した。各実験の表5に記載の合計バッチ数分の合計重量(g)を表5に示す。
各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体をシ−トに成形したときのフィッシュアイ(個数)を、下記の方法で測定した。その結果を表6に示す。
重合体 100部、ジオクチルフタレート 50部、ジブチルすずジラウレート1部、セチルアルコール1部、酸化チタン 0.25部およびカーボンブラック 0.05部を、6インチロールを用いて 150℃で7分間混練した後、厚さ 0.2 mmのシートに成形した。得られたシートの100 cm2当たりに含まれるフィッシュアイの個数を光透過法により調べた。
重合体をシ−トに成形した際の抗初期着色性を評価するため、明度指数(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表6に示す。
得られた重合体 100部、ジブチル錫ラウレ−ト系安定剤(商品名:TS-101、昭島化学社製)1部、カドミウム有機複合体系安定剤(商品名:C-100J、勝田化工社製)0.5部、および可塑剤としてジオクチルフタレ−ト 50部の混合物を、2本ロールミルを用いて 150℃で5分間混練した後、厚さ 0.8mmのシ−トに成形した。得られたシ−トを4cm×4cmに裁断し、この裁断片を4cm×4cm×1.5 cmの型枠に入れ、次いで 160℃の温度で5分間予熱した後、2.84〜3.04 MPa(29〜31 kgf/cm2)の圧力をかけて5分間加圧成形することにより、測定用試料を作製した。この試料の明度指数Lを、以下のようにして求めた。
L=10Y1/2
に代入して、L値を算出した。その結果を表6に示す。なお、L値が大きいほど白色度が高い、即ち抗初期着色性が良好であることを意味する。
各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体 100部、安定剤として TVS N−2000E(商品名、日東化成社製)2部、および可塑剤としてジオクチルフタレート 20部の混合物を、十分に混錬した後、160mm×130mm×3mmの型枠に入れ、175℃の温度で、3.43 MPa(35 kgf/cm2)の圧力で加圧成形することにより、測定用試料を作製した。この試料について、着色粒子の個数を目視により測定した。その結果を表6に示す。
表5に記載の結果から明らかなように、本発明の上記(A)および(B)成分を含有するスケール防止剤を用いて、一段塗布で重合器内壁面等へスケール防止性塗膜を形成した実験 No.101、No.105〜No.119 では、66℃との高温の重合反応条件において、200バッチもの多数回の重合バッチを繰り返しても、特に、重合器内気液界面付近、攪拌翼部、およびバッフル部におけるスケール付着量が顕著に少ないことがわかる。
2.ジャケット
4.塗布リング
6.水蒸気供給ライン
7.塗布液供給ライン
16.洗浄水供給ライン
18.撹拌翼
21.バッフル
22.原材料供給ライン
23.排気、単量体回収ライン
25.ガスホルダー
30.フィルター
Claims (6)
- (A)アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物、および(B)重量平均分子量が 110,000〜400,000のポリビニルアルコールを含有する、エチレン性二重結合を有する単量体重合用の重合体スケール付着防止剤。
- 請求項1に係る重合体スケール付着防止剤であって、前記(B)成分のポリビニルアルコールのケン化度が 98モル%以上である、重合体スケール付着防止剤。
- 請求項1〜3の何れか1項に係る重合体スケール付着防止剤であって、前記(A)成分の縮合反応生成物が、縮合反応の開始前、縮合反応中および縮合反応終了後から成る群から選ばれる少なくとも1つの段階で、反応系もしくは縮合反応生成物の溶液に還元剤を添加して得られたものである、重合体スケール付着防止剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に係る重合体スケール付着防止剤であって、更に、(C)無機コロイドおよび非コロイド状アルカリ金属ケイ酸塩から成る群から選ばれる少なくとも1種を含有する、重合体スケール付着防止剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に係る重合体スケール付着防止剤であって、前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分を含有する場合には前記(C)成分とを、合計7〜20重量%の量含有する、重合体スケール付着防止剤。
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