JPH1178778A - エアベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアベルトの摩耗等の表面劣化を検知し易く
する。表面劣化の程度がエアベルトを交換すべき程度の
ものであるか否かを判別し易くする。 【解決手段】 エアベルト１０は、細長い帯状に折り畳
まれた袋状ベルト１１と、該袋状ベルト１１を覆うカバ
ー１２とを備えてなる。袋状ベルト１１の一端はタング
１３に接続されている。カバー１２は伸縮性に富む編物
にて構成されている。カバー１２の表層１２ａは染料の
色に染色されており、カバー１２の深層１２ｂはカバー
１２の織物の元の色のままとなっている。カバー１２が
減耗すると深層１２ｂが現われ、減耗が認識される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は車両乗員を車両衝突
時等に保護するためのシートベルトに関するものであ
り、特にガスによって膨張するエアベルトに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】この種のエアベルト装置は、例えば特開
平５−８５３０１号公報等にみられる通り公知となって
いる。第２図（ａ）は同号公報のエアベルト装置の全体
斜視図、同（ｂ）は同（ａ）のＢ−Ｂ線に沿う断面図で
ある。

【０００３】このエアベルト装置１は、乗員の右側から
左側へ斜めに延設されるショルダーベルト２と、乗員の
右側から左側へ延設されるラップベルト３と、車体床部
等に配設されたバックル装置４と、ベルト装着時にバッ
クル装置４に挿入係止されるタング５と、ショルダーベ
ルト２を案内する中間ガイド６とを備えている。

【０００４】ショルダーベルト２は、従来の一般的なシ
ートベルトと同様のノーマルベルト２ａと、このノーマ
ルベルト２ａの一端に連結された袋状のベルト２ｂとか
ら構成されている。ノーマルベルト２ａは中間ガイド６
に摺動自在に案内掛通されている。ノーマルベルト２ａ
の他端は、車体に固定された緊急時ロック機構付きシー
トベルトリトラクタ（ＥＬＲ）７に連結されている。こ
のシートベルトリトラクタ７にノーマルベルト２ａは巻
き取り可能とされている。

【０００５】袋状ベルト２ｂは乗員が当接する部分に位
置するようになっており、ノーマルベルト２ａとの連結
端部と反対側の端部がタング５に連結されている。

【０００６】ラップベルト３は、一般的なシートベルト
と同様のノーマルベルトにより形成され、その一端がタ
ング５に連結されているとともに、他端が車体に固定さ
れたシートベルトリトラクタ（ＥＬＲ）８に連結されて
いる。更にバックル装置４には、車両衝突時等の緊急必
要時に作動して高圧のガスを発生するガス発生装置９が
連結されている。

【０００７】タング５及びバックル装置４には、ガス発
生装置９からのガスを袋状ベルト２ｂに導くための通路
が設けられている。

【０００８】ショルダーベルト２の袋状のベルト２ｂ
は、第２図（ｂ）に実線で示すように袋状のベルト本体
２ｃを折り畳んで例えばカバー２ｄにより覆うと共にこ
のカバー２ｄの両端を縫製２ｅすることにより、通常時
には帯状に保形されている。このカバー２ｄは、ガス発
生装置９の作動時には縫製部２ｅがショルダーベルト２
の膨張力で簡単に外れ、袋状ベルト２ｂは二点鎖線で示
すように膨張展開する。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記の袋状ベルト２ｂ
は例えばゴムライニングされた布などよりなり、カバー
２ｄは伸縮性に富む軟質なニット（編物）よりなる。こ
のカバー２ｄは長年の使用により摩耗、ほつれ等の劣化
が生じる。

【００１０】また、場合によってはカバー２ｄが破れ、
袋状ベルト２ｂにも同様の摩耗、ほつれ等が生じるおそ
れがある。もちろん、カバー２ｄを用いないタイプのエ
アベルトにあっては、長年の使用によりエアベルトが摩
耗したり、ほつれが生じたりする。

【００１１】本発明は、このようなエアベルトの摩耗等
の表面劣化を検知し易くすることを目的とする。

【００１２】また、本発明はこのような表面劣化の程度
がエアベルトを交換すべき程度のものであるか否かを判
別し易くすることを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明のエアベルトは、
車両の座席乗員を保護するためのベルトであって、内部
にガスが導入されることにより膨張するエアベルトにお
いて、該エアベルトの少なくとも一部において、該エア
ベルトの表層から所定深さの深層を該表層とは異なる色
としたことを特徴とするものである。

【００１４】かかるエアベルトにあっては、表層が摩
耗、ほつれ等により減耗した場合、この減耗が所要程度
に達すると深層が表面に露出して現われるようになる。
この深層はエアベルト表層とは色が異なるので、当該箇
所が減耗していることが一目で視認できる。また、この
ように深層が現われる減耗の程度がエアベルトを新品と
交換すべき減耗度合いとなるように深層の配置深さを設
定しておくことにより、色の異なる深層が露出してきた
ことを視認することにより、エアベルトの交換時期が来
たことを認識することが可能となる。

【００１５】

【発明の実施の形態】第１図は実施の形態に係るエアベ
ルトを示すものであり、（ａ）図は全体図、（ｂ）図は
断面斜視図、（ｃ）図は減耗状態を示す模式図である。

【００１６】このエアベルト１０は、細長い帯状に折り
畳まれた袋状ベルト１１と、該袋状ベルト１１を覆うカ
バー１２とを備えてなる。袋状ベルト１１の一端はタン
グ１３に接続されており、このタング１３にはタングプ
レート１４とガス導入用の筒状のソケット１５とが設け
られている。

【００１７】このタングプレート１４はバックル装置
（図示略）のタングプレート挿入部に挿入され、ラッチ
機構によってラッチされ、また該バックル装置のプレス
ボタンを押すことによりこのラッチが解除される。ソケ
ット１５はバックル装置のプラグに嵌合し、ガス発生器
（インフレータ）からのガスが該プラグを介してソケッ
ト１５を通って袋状ベルト１１内に導入される。

【００１８】このエアベルト１０はショルダーベルトの
一部を構成しており、袋状ベルト１１の他端にはショル
ダーベルトを構成するウェビング１６の先端が縫合等に
より結合されている。このウェビング１６の後端はショ
ルダーベルト用リトラクタの巻取軸（リールシャフト）
に連結されている。図示はしないがラップベルトの先端
がタング１３に連結され、後端がラップベルト用リトラ
クタの巻取軸に連結されている。

【００１９】カバー１２は伸縮性に富む編物にて構成さ
れている。このカバー１２は筒状とされ、その一端が袋
状ベルト１１と共に前記タング１３に連結され、他端が
袋状ベルト１１と共にウェビング１６に縫合等により連
結されている。

【００２０】このカバー１２は表側のみが染料によって
染色されている。この染料としては浸透性が低いものが
採用されており、カバー１２の表側から所定深さの範囲
だけが該染料によって染色され、深層は染色されていな
い。即ち、カバー１２の表層１２ａは染料の色に染色さ
れており、カバー１２の深層１２ｂはカバー１２の織物
の元の色のままとなっている。

【００２１】このように構成されたエアベルト１０にお
いては、長年使用してカバー１２が減耗してきた場合、
この減耗の程度が所要程度になると部分的に表層１２ａ
が消失し深層１２ｂが露出してくる。この深層１２ｂの
色が表層１２ａの色と異なるところから、深層１２ｂが
露出してきたことが一目で分り、エアベルト１０の減耗
がかなり進行したことが確実に識別される。

【００２２】そして、この深層１２ｂが露出した減耗度
合いがエアベルト１０の交換時期と合致するように表層
１２ａの厚みを設定しておくことにより、エアベルト１
０を交換すべき時期になったことを確実に認識すること
が可能となる。

【００２３】本発明は、上記から明らかな通りカバー１
２の表層１２ａと深層１２ｂとの色が異なっていること
を特徴とするものであり、カバー１２の材質や厚さ等、
あるいは袋状ベルト１１の材質、形状等は特に限定され
るものではない。ただし、本発明において好適に使用で
きるカバーの材質、色、厚さの一例を挙げると次の通り
である。

【００２４】材質：ポリエステル 表層の色と深層の色の組合せ：表層が黒。深層が黄色。 表層の厚さ：０．５ｍｍ 上記実施の形態では同一の編物の表層と深層とを染色に
よって色分けしているが、色の異なる２枚以上の編物を
重ねることにより表層と深層とが異なるカバーとしても
良い。

【００２５】上記実施の形態では袋状ベルトがカバーで
覆われているが、本発明はカバーを有しないタイプのエ
アベルトにも適用できる。

【００２６】

【発明の効果】以上の通り、本発明のエアベルトは表面
の減耗を容易に認識できる。また、本発明によると、エ
アベルトの減耗の程度がエアベルトを交換すべきほどの
ものであるか否かを簡単に識別することも可能としう
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態に係るエアベルトを示すものであ
り、（ａ）図は全体図、（ｂ）図は断面斜視図、（ｃ）
図は減耗状態を示す模式図である。

【図２】従来のエアベルトによるシートベルト装置を示
す構成図である。

【符号の説明】

１０ エアベルト １１ 袋状ベルト １２ カバー １２ａ 表層 １２ｂ 深層 １３ タング １４ タングプレート １５ ソケット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の座席乗員を保護するためのベルト
   であって、内部にガスが導入されることにより膨張する
   エアベルトにおいて、該エアベルトの少なくとも一部に
   おいて、該エアベルトの表層から所定深さの深層を該表
   層とは異なる色としたことを特徴とするエアベルト。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記エアベルトは、
   内部にガスが導入される袋状ベルトと、該袋状ベルトを
   覆っている伸縮性を有したカバーとを有しており、 該カバーの少なくとも一部において前記深層が前記表層
   とは異なる色となっていることを特徴とするエアベル
   ト。