JPH1178564A - プロペラシャフト - Google Patents

プロペラシャフト

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JPH1178564A
JPH1178564A JP24822597A JP24822597A JPH1178564A JP H1178564 A JPH1178564 A JP H1178564A JP 24822597 A JP24822597 A JP 24822597A JP 24822597 A JP24822597 A JP 24822597A JP H1178564 A JPH1178564 A JP H1178564A
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hollow shaft
load
frp
yoke
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克宏 鈴木
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和義 伴
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両(例えば、自動車)の動力伝達系を構成
するプロペラシャフトに関し、コストを低く抑えつつ、
設計を容易に行なえるようにしながら、車両の衝突時の
荷重による衝撃エネルギの吸収を確実に行なえるように
する。 【解決手段】 金属製中空軸2と、金属製中空軸2の少
なくとも一方の端部2bにその軸部4Aを嵌挿され、金
属製中空軸2に対して回転方向に拘束され、且つ軸方向
に所定以上の荷重が加わると変位するように固定された
ヨーク4とを備え、金属製中空軸2とヨーク4とを介し
てエンジンからの駆動力を伝達するとともに、金属製中
空軸2に嵌挿されたFRP製中空軸5と、FRP製中空
軸5の他方の端部には金属製中空軸2の軸方向への移動
を規制する規制手段3とを備え、軸方向に所定以上の荷
重が加わった場合に、ヨーク4と規制手段3との間でF
RP製中空軸5が破壊されることでこの荷重による衝撃
エネルギが吸収される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両(例えば、自
動車)の動力伝達系を構成する、プロペラシャフトに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両の動力伝達系においてプ
ロペラシャフトを採用したものがあり、例えばFR(フ
ロントエンジン・リアドライブ)方式の自動車では、エ
ンジンからの駆動力を後輪(駆動輪)へ伝達すべくプロ
ペラシャフトが設けられている。
【0003】このようなプロペラシャフト100は、一
般に、図6に示すように、鉄あるいはアルミニウム等の
金属製の中空軸101を備えて構成され、この金属製中
空軸101の両端部にはそれぞれ金属製のヨーク10
2,103が溶接等により固着されている。また、軽量
化を目的として中空軸を繊維強化プラスティック(FR
P)製としたものも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、FR方式の
自動車に備えられるプロペラシャフト100は、例えば
車両の正面衝突時(又は、追突時)に、図7(a)に示
すように、プロペラシャフト100の軸方向に荷重Fが
作用すると、図7(b)に示すように、プロペラシャフ
ト100の金属製中空軸101は座屈により変形し、破
壊されることになる。
【0005】このようにプロペラシャフト100の金属
製中空軸101が座屈により変形する場合、変形に至る
までに大きな荷重が作用することになるため、車両の衝
突時の荷重Fによる衝撃エネルギを十分に吸収すること
ができないことになる。このため、少なくとも一方のヨ
ークを、金属製中空軸とは回転方向に対しては拘束さ
れ、且つ軸方向には所定以上の荷重が加わると変位する
ように嵌挿して、車両の正面衝突時(又は、追突時)に
荷重Fが作用した場合には、ヨークと金属製中空軸との
間の摩擦抵抗を利用して車両の衝突時の荷重による衝撃
エネルギを吸収できるようにし、乗員の安全性を確保で
きるようにした技術が提案されている。
【0006】しかしながら、このような技術では、車両
の衝突時の荷重による衝撃エネルギを吸収するのに十分
な摩擦力が生じるようにヨークと中空軸とを設計する必
要があるが、どんなに正確に設計したとしても製造誤差
等により寸法のバラツキが生じるのは避けられないた
め、ヨークと中空軸との間の摩擦力を正確に調整するの
は困難である。
【0007】また、例えば、特開平4−339022号
公報には、繊維強化プラスティック(FRP)製のプロ
ペラシャフトにおいて、接続部材と中空軸の管端部との
間に結合部材を設け、接続部材と管端部と結合部材との
間の摩擦力によって車両の衝突時の荷重による衝撃エネ
ルギを吸収できるようにした技術が開示されている。こ
の技術は、接続部材と管端部と結合部材との間の摩擦力
によって車両の衝突時の荷重による衝撃エネルギを吸収
するものであるが、結合部材を介在させて製造誤差等に
よる寸法のバラツキを解消できたとしても、車両の衝突
時に発生する接続部材と管端部と結合部材との間の摩擦
力を正確に調整するのは難しく、車両の衝突時の荷重に
よる衝撃エネルギを確実に吸収するのは困難である。
【0008】一方、プロペラシャフトを構成する中空軸
を繊維強化プラスティック(FRP)により構成する場
合、車両の衝突時に所定以上の荷重が作用するとFRP
製中空軸が破壊されるように設計して衝撃エネルギを吸
収することも考えられる。この場合、プロペラシャフト
は、エンジンからの駆動力を伝達する役割を担うもので
あるとともに、車両の衝突時には、衝突時の荷重による
衝撃エネルギを吸収する役割を担うものである。
【0009】このため、プロペラシャフトを構成する中
空軸は、エンジンからの駆動力を確実に伝達できるよう
にねじり強度を大きくする必要がある一方、車両の衝突
時に確実に破壊されて衝撃エネルギを吸収できるように
軸圧縮強度を小さくする必要がある。しかしながら、こ
のような条件を満たすようにプロペラシャフトを設計す
るのは難しく、設計自由度も少ない。
【0010】また、プロペラシャフトの中空軸をFRP
により構成する場合、ねじり強度を大きくする必要があ
るため、例えば炭素繊維強化プラスティック(CFR
P)等を採用することになるが、このようなねじり強度
の大きい炭素繊維強化プラスティック(CFRP)は一
般に高価なものであるため、コストがかかることにな
る。
【0011】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、コストを低く抑えつつ、設計自由度を多くし
て設計を容易に行なえるようにしながら、車両の衝突時
の荷重による衝撃エネルギの吸収を確実に行なえるよう
にした、プロペラシャフトを提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明のプロペラシャフトでは、金属製中空軸とヨー
クとを備え、金属製中空軸の少なくとも一方の端部に、
金属製中空軸に対して回転方向に拘束され、且つ軸方向
に所定以上の荷重が加わると変位するようにヨークの軸
部が嵌挿されている。そして、金属製中空軸とヨークと
を介してエンジンからの駆動力が伝達される。また、金
属製中空軸にはFRP製中空軸が嵌挿されており、ま
た、金属製中空軸の他方の端部にはFRP製中空軸の軸
方向への移動を規制する規制手段も設けられている。そ
して、プロペラシャフトを構成する金属製中空軸の軸方
向に所定以上の荷重が加わった場合に、FRP製中空軸
の一端にヨークの軸部端部が当接する一方、FRP製中
空軸の他端に規制手段が当接し、ヨークと規制手段との
間でFRP製中空軸が破壊されることでこの荷重による
衝撃エネルギが吸収される。これにより、金属製中空軸
及びFRP製中空軸の設計自由度が多くなる。
【0013】請求項2記載の本発明のプロペラシャフト
では、FRP製中空軸の少なくとも一方の端部側に破壊
起点となる脆弱部が備えられており、この脆弱部はFR
P製中空軸の該一方の端部に向かうにしたがって肉厚が
減少するように形成されている。そして、プロペラシャ
フトの軸方向に所定以上の荷重が加わった場合には、こ
の脆弱部に応力が集中し、常に、FRP製中空軸の端部
から変形(破壊)が開始して、順に変形(破壊)が進行
することになり、衝撃エネルギを確実に吸収できるよう
になる。
【0014】
【発明の実施形態】以下、図面により、本発明の実施の
形態について説明する。本発明の一実施形態にかかるプ
ロペラシャフトは、例えばFR(フロントエンジン・リ
アドライブ)方式の自動車に備えられ、エンジンからの
駆動力を後輪(駆動輪)へ伝達するものである。
【0015】このプロペラシャフト1は、図1に示すよ
うに、アウタシャフト2と、アウタシャフト2の一端部
2aに溶接等により固着された固定ヨーク3と、アウタ
シャフト2の他端部2bに移動可能に組み付けられた可
動ヨーク4とを備えて構成され、これらの固定ヨーク
3,アウタシャフト2及び可動ヨーク4を介してエンジ
ン(図示せず)からの駆動力を伝達するようになってい
る。
【0016】また、このアウタシャフト2にはインナシ
ャフト5が嵌挿されており、プロペラシャフト1を構成
するアウタシャフト2の軸方向に所定以上の荷重Fが加
わった場合に、このインナシャフト5が破壊されて衝突
時の荷重による衝撃エネルギを吸収するようになってい
る。このうち、アウタシャフト2は、鉄あるいはアルミ
ニウム等の金属製の中空軸として構成される。
【0017】このアウタシャフト2は、エンジンからの
駆動力を伝達する役割のみを担うものであるため、その
設計に際しては、車両衝突時の荷重による衝撃エネルギ
を吸収するのに必要な強度(例えば、軸圧縮強度)をあ
まり考慮する必要はなく、主にエンジンからの駆動力を
伝達するのに必要な強度(例えば、ねじり強度)を考慮
すれば良い。このため、アウタシャフト2の設計自由度
が多くなり、容易に設計が行なえるようになる。
【0018】固定ヨーク3は、例えば金属製であり、先
端側に互いに対向する一対のアーム部3a,3bを備え
て構成され、これらのアーム部3a,3bにより構成さ
れるユニバーサルジョイントを介してプロペラシャフト
1がエンジンの出力軸(図示せず)に連結されている。
なお、この固定ヨーク3は、例えば車両の正面衝突時
(又は、追突時)に軸方向に所定以上の荷重が加わった
場合に、インナシャフト5の軸方向への移動を規制する
規制手段として機能することになる。
【0019】可動ヨーク(単に、ヨークともいう)4
は、例えば金属製であり、先端側に互いに対向する一対
のアーム部4a,4bを有し、基端側に軸部4Aを有し
て構成される。この可動ヨーク4の軸部4Aには、その
外周面の所定の位置にアウタシャフト2の軸方向に沿う
ようにセレーション4Bが形成されている。なお、セレ
ーション4Bの代わりにスプラインを軸部4Aの外周面
に設けた構造としても良い。
【0020】また、アウタシャフト2の他端部2bに
は、接合部材6が溶接等により固着されている。そし
て、この接合部材6を可動ヨーク4の軸部4Aに形成さ
れたセレーション4Bの位置でかしめることによって、
可動ヨーク4がアウタシャフト2の回転方向に対して拘
束され、且つ軸方向に対して所定以上の荷重が加わると
変位するように固定されている。
【0021】このように、可動ヨーク4の軸部4Aはア
ウタシャフト2の他端部2bに嵌挿され、可動ヨーク4
がアウタシャフト2の他端部2bに固定されている。な
お、可動ヨーク4の軸部4AのストロークLは、車両の
キャビンが潰れないような長さになるように車両毎に適
宜調整される。このように、可動ヨーク4は、アウタシ
ャフト2の回転方向に対して拘束されるように固定され
るため、エンジンからの駆動力を確実に伝達できること
になる。
【0022】一方、アウタシャフト2の軸方向に対して
所定以上の荷重が加わると接合部材6による可動ヨーク
4のセレーション4Bの位置での固定が外れ、可動ヨー
ク4の軸部4Aがアウタシャフト2の軸方向に沿ってア
ウタシャフト2内に進入していき、アウタシャフト2内
に嵌挿されたインナシャフト5によって衝撃エネルギが
吸収されるようになっている。
【0023】インナシャフト5は、FRP(繊維強化プ
ラスティック)製の中空軸、例えばGFRP(ガラス繊
維強化プラスチック)製の中空軸として構成される。こ
のようにインナシャフト5をFRP製としたのは、FR
Pは破壊したものがアウタシャフト2内に詰まらないよ
うにすべく肉厚を薄くできる一方、壊れる時の荷重の調
整、即ち軸圧縮強度の調整が容易に行なえるという特性
を有するからである。
【0024】このインナシャフト5は、車両衝突時の荷
重による衝撃エネルギを吸収する役割のみを担うもので
あるため、その設計に際しては、エンジンからの駆動力
を伝達するのに必要な強度(例えば、ねじり強度)を考
慮する必要はなく、車両衝突時の荷重による衝撃エネル
ギを吸収するのに必要な強度(例えば、軸圧縮強度)の
みを考慮すれば良い。このため、インナシャフト5の設
計自由度が多くなり、容易に設計が行なえるようにな
る。
【0025】具体的には、インナシャフト5は、車両の
衝突時の荷重による衝撃エネルギを確実に吸収するのに
必要な軸圧縮強度が得られるように、ガラス繊維の巻き
角度等の繊維配向が選定され、多数のガラス繊維を巻い
て積層した構造が採用される。なお、このガラス繊維の
巻き数や巻き角度を調整することによりインナシャフト
5の軸圧縮強度を調整することができる。
【0026】また、ここではコストがかからないGFR
P(ガラス繊維強化プラスチック)を採用しているが、
FRPの材質を変更することによってもインナシャフト
5の軸圧縮強度を調整することもできる。したがって、
インナシャフト5の軸圧縮強度の要求度合に応じてFR
Pの材質を変更すれば良い。例えば、多少コストがかか
っても軸圧縮強度を高めたい場合は、炭素繊維強化プラ
スティック(CFRP)を採用すれば良い。
【0027】このようにFRPはガラス繊維強化プラス
ティック(GFRP)に限られるものではなく、コスト
等の諸条件を満たすのであれば、炭素繊維強化プラステ
ィック(CFRP)やアラミド繊維強化プラスティック
(AFRP)等の他の強化繊維を用いたものであっても
良い。また、インナシャフト5の形状は、応力分布が均
一となり、軸圧縮強度の調整が容易である円筒状とする
のが好ましい。これは、角状であると衝突時に荷重が作
用した場合に角部に応力が集中してしまうため軸圧縮強
度の調整が難しくなるからであり、また、プロペラシャ
フト1は高回転で回転するものであるため、角状である
と回転中心が偏心しやすくガタツキの原因になるからで
ある。しかしながら、このような課題を解決できるので
あれば、必ずしも円筒状とする必要はない。
【0028】インナシャフト5は、上述のように構成さ
れるため、例えば車両の正面衝突時(又は、追突時)に
は、図2に示すように、インナシャフト5の一端に可動
ヨーク4の軸部端部4AAが当接する一方、インナシャ
フト5の他端に固定ヨーク3が当接し、可動ヨーク4と
固定ヨーク3との間でインナシャフト5が押し潰されて
破壊(圧壊)され、これにより、車両の衝突時の荷重F
による衝撃エネルギが吸収されることになる。
【0029】ところで、インナシャフト5の端部には、
インナシャフト5の破壊起点となるテーパ部(脆弱部)
5aが形成されている。このテーパ部5aは、例えばイ
ンナシャフト5の端部に向かうに従って肉厚が減少する
ように形成される。インナシャフト5の端部をこのよう
に形成することにより、荷重Fの入力時に強度的に弱く
なっているインナシャフト5のテーパ部5aに応力を集
中させて、常に、インナシャフト5の端部から変形(破
壊)が起きるようにすることができる。
【0030】これにより、インナシャフト5の強度の弱
いところから剪断破壊等により折れて衝突時の衝撃エネ
ルギを吸収できないという事態を防止し、インナシャフ
ト5の端部から順に変形(破壊)させながら衝撃エネル
ギを吸収することができることになる。なお、ここでは
肉厚を変えることによりテーパ部5aを形成するように
しているが、例えば肉厚を変えずに端部だけ強化繊維の
積層数を他の部分よりも少なくして脆弱部を形成するよ
うにしても良い。
【0031】また、ここでは、インナシャフト5の端部
のうち、可動ヨーク4側の端部(図1中、右側)にテー
パ部5aを形成するようにしているが、固定ヨーク3側
の端部(図1中、左側)にテーパ部5aを形成するよう
にしても良い。また、インナシャフト5の両方の端部に
テーパ部5aを形成するようにしても良い。また、イン
ナシャフト5の端部に形成される脆弱部の形状は、これ
に限られるものではなく、インナシャフト5の端部に向
かうに従って肉厚が減少するようになっていれば、例え
ば、図3(a)〜(d)に示すように形成することもで
きる。
【0032】つまり、図3(a)は、インナシャフト5
の端部にその断面が三角形状となるように脆弱部5bを
形成したものを示している。また、図3(b)は、イン
ナシャフト5の端部にその外周が尖るようなテーパ部と
して脆弱部5cを形成したものを示しており、図3
(c)は、インナシャフト5の端部にその断面がV溝に
なるように脆弱部5dを形成したものを示している。さ
らに、図3(d)は、インナシャフト5の端部にその断
面が円弧状になるように脆弱部5eを形成してものを示
している。
【0033】また、このように構成されるインナシャフ
ト5をアウタシャフト2に嵌挿する際には、高速回転す
るプロペラシャフト1にガタツキが生じないように、イ
ンナシャフト5とアウタシャフト2との間にはゴム等の
緩衝材を介在させるのが望ましい。このように緩衝材を
介在させることにより、インナシャフト5とアウタシャ
フト2との間の寸法誤差も許容されることになり、イン
ナシャフト5とアウタシャフト2とを確実に嵌合させる
ことができることになる。
【0034】また、このように構成されるプロペラシャ
フト1は、ここでは、固定ヨーク3が車両前方側、可動
ヨーク4が車両後方側になるように車両に配置している
が、この配置については、車両の重量配分を考慮して決
定すればよく、固定ヨーク3を車両後方側、可動ヨーク
4を車両前方側になるように配置しても良い。また、こ
こでは、アウタシャフト2の両端に組み付けられるヨー
クの構造を固定ヨーク3と可動ヨーク4として異なるも
のとしているが、これに限られるものではなく、図4に
示すように、両方とも可動ヨーク4として構成しても良
い。
【0035】本発明の一実施形態としてのプロペラシャ
フトは、上述のように構成されるため、以下に示すよう
な作用,効果がある。例えば、車両の正面衝突時に車体
の前方側から衝撃力が加わり、プロペラシャフト1に軸
方向から圧縮させるような所定以上の荷重Fが加わった
とする。この場合、接合部材6による可動ヨーク4のセ
レーション4Bの部分での固定が外れて、可動ヨーク4
の軸部4Aがアウタシャフト2内に進入し、可動ヨーク
4の軸部端部4AAが車両前方方向に向けて変位する。
【0036】これにより、可動ヨーク4の軸部端部4A
Aがインナシャフト5のテーパ部5aに当接して、強度
的に弱くなっているテーパ部5aに応力が集中するよう
に荷重Fが加わり、インナシャフト5の軸部に形成され
たテーパ部5aから変形(破壊)が起きる。このテーパ
部5aの破壊に続いて、可動ヨーク4の車両前方方向へ
の変位に従って逐次インナシャフト5の破壊が進行し、
この変位(破壊)は時間の経過とともに増大するから、
この破壊を利用して衝撃エネルギが確実に吸収されるこ
とになる。
【0037】実験によれば、図5の軸圧縮による荷重変
位曲線の線図中、破線Aで示される特性のように、その
端部にテーパ部5aがないGFPR製のインナシャフト
5の場合は大きな圧縮荷重を加えないと破壊しないこと
がわかる。しかも、変形は強度の弱い部分にだけ、例え
ばインナシャフト5の軸方向中央だけが折れるという現
象となって現れるから、衝撃エネルギの吸収には至らな
いこともわかる。
【0038】これに対し、本実施形態にかかるインナシ
ャフト5では、GFPR製のインナシャフト5の端部に
テーパ部5aが形成された構造となっているため、図5
の軸圧縮による荷重変位曲線の線図中、実線Bで示され
る特性のように、小さな圧縮荷重でインナシャフト5は
破壊を起こし、しかもこの変位(破壊)は時間の経過と
ともに増大するから、この破壊を利用して衝撃エネルギ
の吸収が確実に行なわれることになるのである。
【0039】したがって、本実施形態にかかるプロペラ
シャフトによれば、エンジンからの駆動力伝達はアウタ
シャフト2に行なわせる一方、車両の正面衝突時(又
は、追突時)の荷重による衝撃エネルギの吸収はインナ
シャフト5に行なわせるようにしているため、アウタシ
ャフト2及びインアシャフト5の設計自由度が多くな
り、設計が容易になるという利点がある。
【0040】つまり、アウタシャフト2は、エンジンか
らの駆動力を伝達する役割のみを担うものであり、その
設計に際しては、エンジンからの駆動力を伝達するのに
必要な強度(例えば、ねじり強度)のみを考慮すれば良
いため、アウタシャフト2の設計自由度が多くなり、容
易に設計が行なえるという利点がある。一方、インナシ
ャフト5は、車両衝突時の荷重による衝撃エネルギを吸
収する役割のみを担うものであり、その設計に際して
は、車両衝突時の荷重による衝撃エネルギを吸収するの
に必要な強度(例えば、軸圧縮強度)のみを考慮すれば
良いため、インナシャフト5の設計自由度が多くなり、
容易に設計が行なえるという利点がある。
【0041】また、車両の衝突時の荷重による衝撃エネ
ルギの吸収をコストを低く抑えながら確実に行なえると
いう利点がある。つまり、車両衝突時の荷重による衝撃
エネルギを吸収するのに必要な強度(例えば、軸圧縮強
度)のみを考慮すればよいため、例えばコストがかから
ないGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を採用す
ることができ、コストを低く抑えることができるという
利点もある。
【0042】また、インナシャフト5の端部に向かうに
したがって肉厚が減少するようにテーパ部5aを形成す
ることにより、プロペラシャフト1の軸方向に所定以上
の荷重が加わった場合には、このテーパ部5aに応力を
集中させるようになっているため、常に、インナシャフ
ト5の端部から変形(破壊)が開始し、順に変形(破
壊)が進行するようにして衝撃エネルギを確実に吸収で
きるようにすることができるという利点がある。
【0043】なお、本実施形態にかかるプロペラシャフ
トでは、1本のプロペラシャフトを備える場合について
説明してきたが、例えば、プロペラシャフトを複数本に
分割して配置する場合には、そのうちの少なくとも1本
を上述のような構成のプロペラシャフトとすれば良い。
また、本プロペラシャフトでは、アウタシャフト2の他
端部2bと可動ヨーク4の軸部4Aとは接合部材6をか
しめることにより固定しているが、これに限られるもの
ではなく、アウタシャフト2の他端部2bと可動ヨーク
4の軸部4Aとにそれぞれ孔を形成し、この孔にピンを
挿入しておいて、このピンが所定以上の荷重Fが作用し
た場合に折れるように構成しても良い。
【0044】また、本プロペラシャフトでは、FRP製
中空軸5を金属製中空軸2に内挿しているが、逆に、F
RP製中空軸5を金属製中空軸2に外挿してもよい。こ
の場合、可動ヨーク4の軸部4Aは金属製中空軸2の端
部の外周に嵌挿し、車両の衝突時には、可動ヨークの軸
部4Aが金属製中空軸2の軸方向に沿って変位するよう
にする必要がある。また、金属製中空軸2の固定ヨーク
3側の端部には、規制手段として、例えば突起部のよう
なものを設け、車両の衝突時にFRP製中空軸5の端部
が当接するようにする必要もある。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のプロペラシャフトによれば、エンジンからの駆動
力伝達は金属製中空軸に行なわせる一方、車両の正面衝
突時の荷重による衝撃エネルギの吸収はFRP製中空軸
に行なわせるようにしているため、金属製中空軸及びF
RP製中空軸の設計自由度が多くなり、設計が容易にな
るという利点がある。また、FRP製中空軸の設計に際
しては、車両衝突時の荷重による衝撃エネルギを吸収す
るのに必要な強度(例えば、軸圧縮強度)のみを考慮す
ればよいため、例えばコストがかからないGFRP(ガ
ラス繊維強化プラスチック)を採用することができ、コ
ストを低く抑えることができるという利点もある。
【0046】請求項2記載の本発明のプロペラシャフト
によれば、FRP製中空軸の端部に向かうにしたがって
肉厚が減少するように脆弱部が形成されており、プロペ
ラシャフトの軸方向に所定以上の荷重が加わった場合に
は、この脆弱部に応力を集中させるようになっているた
め、常に、FRP製中空軸の端部から変形(破壊)が開
始し、順に変形(破壊)が進行するようにして衝撃エネ
ルギを確実に吸収できるようにすることができるという
利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるプロペラシャフト
の全体構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるプロペラシャフト
の荷重作用時の状態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるプロペラシャフト
のインナシャフトの破壊起点となる脆弱部の形状を示す
模式的断面図であり、(a)はその断面が三角形状にな
るように脆弱部を形成したもの、(b)はその外周が尖
るように脆弱部を形成したもの、(c)はその断面がV
溝になるように脆弱部を形成したもの、(d)はその断
面が円弧状になるように脆弱部を形成したものをそれぞ
れ示している。
【図4】本発明の一実施形態にかかるプロペラシャフト
の変形例の全体構成を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるプロペラシャフト
の軸圧縮による荷重変位曲線を示す図である。
【図6】従来のプロペラシャフトの全体構成を模式的に
示す断面図である。
【図7】従来のプロペラシャフトの荷重作用時の破壊状
態を説明するための模式的な断面図であり、(a)は荷
重作用前の状態、(b)は荷重作用後の座屈した状態を
それぞれ示している。
【符号の説明】
1 プロペラシャフト 2 アウタシャフト(金属製中空軸) 2a アウタシャフトの一端部 2b アウタシャフトの他端部(端部) 3 固定ヨーク(規制手段) 4 可動ヨーク(ヨーク) 4A 軸部 4AA 軸部端部 4B セレーション 5 インナシャフト(FRP製中空軸) 5a〜5e 脆弱部 6 接合部材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製中空軸と、 該金属製中空軸の少なくとも一方の端部に軸部を嵌挿さ
    れ、該金属製中空軸に対して回転方向に拘束され、且つ
    軸方向に所定以上の荷重が加わると変位するように固定
    されたヨークとを備え、 該金属製中空軸と該ヨークとを介してエンジンからの駆
    動力を伝達するとともに、 該金属製中空軸に嵌挿されたFRP製中空軸と、 該金属製中空軸の他方の端部に設けられ、該FRP製中
    空軸の軸方向への移動を規制する規制手段とを備え、 該軸方向に所定以上の荷重が加わった場合に、該FRP
    製中空軸の一端に該ヨークの軸部端部が当接する一方、
    該FRP製中空軸の他端に該規制手段が当接し、該ヨー
    クと該規制手段との間で該FRP製中空軸が破壊される
    ことで該荷重による衝撃エネルギを吸収することを特徴
    とする、プロペラシャフト。
  2. 【請求項2】 該FRP製中空軸が、少なくとも一方の
    端部側に破壊起点となる脆弱部を備え、 該脆弱部が、該FRP製中空軸の該一方の端部に向かう
    にしたがって肉厚が減少するように形成されていること
    を特徴とする、請求項1記載のプロペラシャフト。
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