JP3578284B2 - プロペラシャフト - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車等のプロペラシャフト(駆動推進軸)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費の向上や環境保全といった観点から自動車の軽量化が強く望まれているが、それを達成する一手段としてプロペラシャフトのFRP(繊維強化プラスチック)化が検討され、一部で既に採用されるに至っている。そのようなFRP製プロペラシャフトは、FRP製本体と、この本体の各端部に接合して設けた金属製継手とを有している。
【0003】
ところで、自動車のプロペラシャフトは、エンジンで発生するトルクを捩りトルクとして駆動輪に伝達するものであるから、100〜400kgf・m程度の捩り強度を必要とする。また、高速回転時に共振を起こさないよう、危険回転数が5,000〜15,000rpm程度であることも要求される。そのため、これらの基本的要求が満たされるよう、FRP製プロペラシャフトの本体は、強化繊維の種類、含有量や、強化繊維の配列方向、層構成や、外径、内径、肉厚等のパラメータを考慮した設計がなされる。
【0004】
たとえば、強化繊維の配列方向の選定には、次のようなことが考慮される。すなわち、主として捩り強度に関しては、材料のせん断強度とFRP本体筒の捩り座屈強度に支配される。せん断強度に関しては、強化繊維を本体の筒軸方向に対して±45°の角度で配列するのが最も効果的である。また、捩り座屈強度は本体の周方向弾性率に大きく依存するため筒軸方向に対して±80〜90°の角度での配列も必要になる。また、危険回転数に関しては、強化繊維を筒軸方向に配列して、筒軸方向における曲げ弾性率を大きくし、高い危険回転数が得られるようにする。
【0005】
このように、本体においては、捩り強度と危険回転数といった基本的要求に関して最も効果的な強化繊維の配列方向が存在するので、これらの要求に好適な配列方向を組み合わせた層構成を採ることになるが、捩り強度の問題は外径や肉厚等の寸法面からも解決できることから、通常は、強化繊維の配列方向への依存性が大きい危険回転数を優先した設計がなされ、強化繊維が筒軸方向に対して小さな角度で配列された層の割合を多くしている。ところが、そのために以下において説明するような問題が起こっている。
【0006】
すなわち、軽量化とともに重要なことに、衝突時における乗員の安全確保の問題がある。この安全確保についての近年における自動車の設計思想は、ボディをクラッシャブル構造とし、衝突時の衝撃エネルギー(圧縮荷重)をボディの前後方向における圧縮破壊によって吸収し、もって乗員にかかる急激な加速度を緩和することに支配されているが、上述した、危険回転数を優先した思想の下に本体を設計すると、必然的に筒軸方向の圧縮荷重に対する強度が高くなり、衝突時にボディが破壊し、その破壊が逐次進行してプロペラシャフトに達したときに、プロペラシャフトがあたかもつっかい棒のように作用して衝撃エネルギーの吸収効果が損なわれるようになってしまう。
【0007】
かかる問題を解決しようとして、特開平3−37416号発明は、衝突時の圧縮荷重で継手が本体との接合面において筒軸方向に移動し、同時に継手が本体全体をその端部から徐々に押し拡げて破壊する構成のプロペラシャフトを提案している。しかしながら、この従来のプロペラシャフトは、継手の移動を確保するために本体と継手とを複雑な歯形や分離剤を介して接合しなければならず、構造が複雑になるばかりか、製造上の煩雑さも免れない。また、そのような構成のプロペラシャフトにおいて継手を圧入接合しようとすると、本体の端部に圧入時の力に耐える強度をもたせなければならないが、端部にそのための強度をもたせることは、圧縮荷重による押し拡げ、破壊を困難にする。すなわち、上述した基本的要求と押し拡げ、破壊という相反する要求を同時に満足させることはなかなか難しい。
【0008】
また、特開平4−339022号公報は、筒軸方向の圧縮荷重が負荷されたときに継手が本体との接合面上を本体の内部に向かって移動し、その移動抵抗によって衝撃エネルギーを吸収するようにしたプロペラシャフトを記載している。しかしながら、このような構成では、継手の外径を本体の内径よりも必ず小さくしなければならず、設計に自由度が低下するばかりか、継手の長さが移動量の限度となるから衝撃エネルギーの吸収効果もそれほど大きくない。
【0009】
このように、従来のプロペラシャフトは、いずれも、捩り強度や危険回転数といった基本的要求と衝突時における乗員の安全確保においてバランスのとれたものであるとはいい難い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のプロペラシャフトの上述した問題点を解決し、捩り強度や危険回転数といった基本的要求を満足しつつ、衝突時におけるボディの破壊にあわせて破壊を確実かつ円滑に進行させることができ、優れたエネルギー吸収効果を発現させることができるプロペラシャフトを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、複数層の強化繊維層を含むFRP製本体筒の端部に継手を接合したプロペラシャフトにおいて、前記継手と前記本体筒の端面との間の筒軸方向荷重伝達面を、前記複数層のうちの予め設定された特定の層上において周方向に部分的に延びる面として形成したことを特徴とするものからなる。
【0012】
上記筒軸方向荷重伝達面は、継手と本体筒端部の筒軸方向外端面との当接面として形成されるものであるが、プロペラシャフト製品状態で当初から当接されている面としてもよく、あるレベル以上の筒軸方向圧縮荷重が加わった際に当接する面としてもよい。
【0013】
また、上記筒軸方向荷重伝達面は、接合される継手の、本体筒端部の筒軸方向外端面への当接部または当接面形状を工夫するか、あるいは、本体筒端部の筒軸方向外端面の継手への当接部または当接面形状を工夫することにより、形成できる。
【0014】
たとえば、上記筒軸方向荷重伝達面は、継手に周方向に断続的に延びるフランジを設け、該フランジを、本体筒の外端面において本体筒を構成する層のうち特定の層のみに当接させることにより形成できる。
【0015】
また、上記筒軸方向荷重伝達面は、継手に本体筒の外端面に向けてテーパ状に突出するフランジを設け、該フランジの、本体筒の外端面側先端面を、本体筒の特定層のみに当接させることにより形成できる。
【0016】
また、上記筒軸方向荷重伝達面は、本体筒の外端面を周方向に断続的に切り欠き、該本体筒の外端面における、切り欠き間部分でかつ本体筒の特定層部分のみを、継手に当接させることによっても形成できる。
【0017】
さらに、上記筒軸方向荷重伝達面は、本体筒の外端面を周方向に部分的にテーパ状に肩落しし、該外端面における、肩落しされていない部分でかつ本体筒の特定層部分のみを、継手に当接させることによっても形成できる。
【0018】
上記特定の層としては、本体筒の最外層以外の層であることが好ましい。この特定層は、中間層で構成することも可能であるが、筒軸方向圧縮荷重に対して確実かつ円滑に破壊を進行させるには、最内層、それも本体筒端部のみに設けられた最内層とすることが好ましい。とくに、強化繊維のフープ巻層からなる最内層とすることが好ましい。また、フープ巻層が、本体筒の外端面に対応する内端面側の部分がくさび形に形成されているものであると、破壊をより一層円滑に進行させやすくなる。
【0019】
【作用】
このようなプロペラシャフトにおいては、継手に筒軸方向の圧縮衝撃荷重が加わると、その荷重は、筒軸方向荷重伝達面を介して、まず、FRP製本体筒の複数層のうち特定の層のみに伝達される。そして、この筒軸方向荷重伝達面は、周方向に部分的に延びる面として形成されているから、全周にわたって荷重が分散されて伝達される場合に比べ、荷重が直接伝達される周方向の部分的な特定部位の応力が高められる。この荷重伝達による応力は、上記特定層と、それに隣接する他の層との間に層間剪断応力を生じさせ、上記周方向特定部位の応力が高められることにより、上記層間剪断応力も局部的に高められる。層間剪断応力が局部的に高められると、その部位から層間剥離あるいは層間破壊が開始、進行されやすくなる。一旦局部的に層間破壊が生じると、その層間破壊が順次全周にわたって進行し、所望の破壊が確実かつ円滑に進行することになる。
【0020】
また、上記荷重は、FRP製本体筒の特定の層のみに伝達されるので、この特定層を上記破壊の進行に都合のよい構成とし、他の層を主として捩り強度や危険回転数といったプロペラシャフトの基本的要求を満足させる構成としておけば、基本的要求を満たすとともに、衝突時等に破壊を確実かつ円滑に進行させて優れたエネルギー吸収効果の得られるプロペラシャフトが実現される。
【0021】
【実施例】
以下に、本発明のプロペラシャフトの望ましい実施例を、図面を参照して説明する。
図1ないし図4は、本発明の第1実施例に係るプロペラシャフトを示している。図1において、1はFRP製本体筒を示しており、本体筒1は、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアラミド繊維等の高強度、高弾性率強化繊維でエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアラミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の熱可塑性樹脂を強化してなるものである。本体筒1の一端部および他端部には、金属製継手2が圧入接合されている。このプロペラシャフトは、長さ方向中心からみて対称形であり、図は一方の端部側のみを示している。
【0022】
本体筒1の少なくとも端部は、強化繊維の配列が互いに異なる複数の層で構成されている。本体筒は、一様な内径を有するとともに、その全長にわたって設けた、筒軸方向に対して強化繊維が±5〜30°の角度で配列されたヘリカル巻層1aと、このヘリカル巻層1aの内側で、かつ、本体筒1の一端部および他端部に設けた、強化繊維のフープ巻層(筒軸方向に対して強化繊維が±80〜90°の角度で配列された層)1bとを有している。ヘリカル巻層1aは、本体筒1の、主として、筒軸方向における曲げ弾性率を向上させてプロペラシャフトの曲げ共振周波数を高くし、危険回転数を高くするとともに、捩り強度を向上させるように作用する。また、フープ巻層1bは、本体筒1の、主として、継手2が圧入接合される各端部に、後述するような破壊の進行を妨げることなく圧入時の力に耐える強度を与えるように作用する。このような本体筒1はFRPの成形法として周知の、たとえばフィラメントワインディング法によって成形することができる。
【0023】
すなわち、樹脂を含浸した強化繊維束を用い、マンドレルの一端部に所望の厚み、所望の長さのフープ巻層を形成した後、そのまま強化繊維束をマンドレルの他端部に走らせてその他端部に同様のフープ巻層を形成する。引き続き、他端部から始めてその他端部と一端部との間を往復しながら所望の厚みのヘリカル巻層を形成する。ヘリカル巻層の形成を他端部で終えた後、引き続いて一端部に向かって強化繊維束を移動させて薄いフープ巻層を形成することもでき、そうすると、余分な樹脂が絞り出されて強化繊維の体積含有率が高くなり、本体の各種強度や弾性率等がさらに向上するようになる。このようにして、強化繊維束を中途で切断することなく連続して巻層を形成することができる。巻層の形成後は、好ましくは回転させながら樹脂を硬化ないし固化させ、マンドレルを引き抜いて本体を得る。
【0024】
フープ巻層1bは、複数の層構造の中間層として設けることも可能であるが、後述の如き破壊の進行を円滑にかつ確実に行わせるには、本実施例のように最内層として設けることが好ましい。このフープ巻層1bは、筒軸方向外端面1cに対応する内端面側の部分1dが、くさび形の縦断面形状を有している。このくさび形の縦断面形状は、外端面からその外端面に対応する内端面に向かってフープ層の厚みが徐々に薄くなる形状としてもよい。
【0025】
一方、継手2は、フープ巻層1bに内接し、かつ、そのフープ巻層1bよりもやや短い接合面2aを有する。接合面2aが形成されている部分の外径は、圧入前における本体筒1の内径よりもやや大きく、したがって、継手2を本体筒1に圧入すると、継手2の接合面2aには圧縮応力が、また、本体筒1には周方向の引張応力がそれぞれ作用し、これら圧縮応力と引張応力とで本体筒1と継手2とが強固に接合されるようになる。そして、本体筒1の各端部には、内側にフープ巻層1bが存在し、外側にヘリカル巻層1aが存在するので、圧入接合によって本体筒1に生ずる周方向の引張応力は、主としてフープ巻層1bが受け持つことになる。また、本体筒1の周方向の歪は、内側で最も大きく、外側ほど小さくなるが、強化繊維がフープ巻されているために引張破断伸度が大きいフープ巻層1bをそれよりも破断伸度が小さいヘリカル巻層1aの内側に位置させているから、効果的な接合状態が現出されることになる。
【0026】
接合前における、継手2の、接合面2aが形成されている部分の外径の本体筒1の内径に対する差、すなわち圧入代は、大きいほど強い接合力が得られ、捩り強度が向上するので捩りトルクの伝達には都合がよいが、接合力は、接合面2aの面積や表面状態によっても変わる。通常、圧入代の本体筒1の内径に対する比を0.001〜0.02の範囲に選定し、接合面2aの本体筒1の筒軸方向における長さを本体の内径の1/10以上にする。また、接合面2aに、本体筒1の筒軸方向に延びるセレーション2bを設けておくのも大変都合がよい。なお、接合力を向上させたり、滑りをよくして圧入を容易にしたり、接合面とフープ巻層1bの内面との間隙を埋めたり、接合面を外気から遮断して保護する等の目的で、接合面2aに接着剤を塗布しておいてもよい。
【0027】
上述した継手2には、接合面2aに隣接して、外径が本体筒1の内径よりも大きく、かつフープ巻層1bの外径と同等かそれよりも若干小さいフランジ2cが設けられている。したがって、フランジ2cはフープ巻層1bの本体筒1の外端面1cのみに当接する。このフランジ2cは、図2に示すように、周方向に複数に分割されて、周方向に断続的に延びている。このフランジ2cとフープ巻層1bの本体筒1の外端面1cとの当接面が、本発明で言う筒軸方向荷重伝達面3として形成される。すなわち、この筒軸方向荷重伝達面3は、特定の層としてのフープ巻層1bの本体筒1の外端面1cでかつ周方向に部分的に延びる面として形成されている。
【0028】
上記のように構成されたプロペラシャフトにおいては、筒軸方向にあるレベル以上の圧縮荷重が加わると、本体筒1に図3および図4に示すような破壊が開始、進行する。
すなわち、ピン4等を介して継手2から加わる筒軸方向の圧縮荷重Pは、フープ巻層1bに当接するフランジ2cからそのフープ巻層1bに伝達され、さらにヘリカル巻層1aに伝達される。したがって、ヘリカル巻層1aも圧縮変形するが、フープ巻層1bとヘリカル巻層1aとではポアソン比の差が大きいので両者の層間にそれを破壊させようとする剪断応力が作用し、この剪断応力と、圧縮荷重によって層間に生ずる剪断応力と、継手2の圧入によって生じている引張応力との2次元応力状態の下で層間が剥離、破壊し、以後、図4に示すようにヘリカル巻層1aの破壊が進行する。
【0029】
この破壊の進行過程を詳述するに、まず、筒軸方向荷重伝達面3を介して継手2のフランジ2cから本体筒1のフープ巻層1bに圧縮荷重Pが伝達される。フランジ2cは、周方向に断続的に延びており、フランジ2cが存在する部分を介して荷重Pがフープ巻層1bに伝達されるから、フープ巻層1bに発生する応力は、周方向にみて、フランジ2cに対応する部位では局部的に高くなり、その他の部位では相対的に低くなる。このフープ巻層1bに生じる応力は、前述の如く、フープ巻層1bとヘリカル巻1aとの間に層間剪断応力を発生させる。したがって、上記周方向にみて局部的に応力が高くなる部位では、層間剪断応力も高くなる。つまり、その部位では、他の部位に比べ層間破壊が開始されやすくなる。
【0030】
周方向に局部的に層間破壊が開始すると、それが比較的容易に周方向の他の部位にも伝幡されるので、残りの部位でも層間破壊が進行していく。この層間破壊(層間剥離)に伴い、引張破断伸度が高く継手2と接合されているフープ巻層1bは、それ自身実質的に破壊することなく、図4に示すように継手2とともにヘリカル巻層1aを破壊しながら本体筒1中を軸方向に移動する。この移動に伴って、たとえば図4に示すようなパターンの破壊5が、一層進行することになる。このようにして筒軸方向の衝撃エネルギーが円滑にかつ確実に吸収されていく。
【0031】
上記破壊の進行過程においては、とくに破壊の開始時および開始直後において、破壊が円滑に進む。すなわち、筒軸方向荷重伝達面3が周方向に断続的に形成され荷重Pによる層間剪断応力が周方向に局部的に高められることにより、全周に均一に分散されて荷重が伝達された場合に比べ、応力が集中した分層間剥離が開始されやすくなり、周方向に局部的に生じた層間剥離が全周に広がった後、フープ巻層1bが上述の如く移動して破壊が進行していくから、破壊の開始および開始直後の破壊の進行が極めて円滑に行われる。また、同じ大きさの荷重Pに対し、上記の如く応力が集中する分破壊しやすくなる。
【0032】
また、フープ巻層1bの内端側がくさび形に形成されていることにより、フープ巻層1bが筒軸方向に移動する際ヘリカル巻層1aを押し拡げやすくなるので、破壊が一層円滑に進行される。
【0033】
上記のような作用、効果を奏するための筒軸方向荷重伝達面は、各種形態に形成できる。
【0034】
図5は、本発明の第2実施例に係るプロペラシャフトの片方の端部を示している。本実施例においては、本体筒1の構成は前記第1実施例と実質的に同一であるが、継手12に、本体筒1端部の外端面1cに向けてテーパ状に突出するフランジ12cが設けられ、フランジ12cの先端面がフープ巻層1bにのみ、かつその周方向に部分的に当接されている。この当接面が、筒軸方向荷重伝達面13として形成されている。
【0035】
このような、テーパ状のフランジ12cに構成すれば、フランジ12cの先端面による荷重伝達によって、周方向に局部的に高い層間剪断応力が発生し、それによって局部的な層間剥離が効率よく生じるとともに、その層間剥離が周方向に拡がる際、フランジ12c先端面両側のテーパ部が徐々にフープ巻層1bを押していくことになるので、層間剥離が一層円滑に拡げられていく。したがって、一層円滑かつ確実な破壊の進行が期待できる。
【0036】
図6は、本発明の第3実施例に係るプロペラシャフトの片方の端部を示している。本実施例においては、継手22には全周にわたって延びるリング状のフランジ22cが設けられ、本体筒21の外端面21cに、該外端面21cを周方向に断続的に切り欠いた複数の切り欠き21dが形成されている。外端面21cの切り欠き21d間部分でかつ内側のフープ巻層21bの外端面にのみフランジ22cが当接され、該当接面が筒軸方向荷重伝達面23として形成されている。このように本体筒21側の形状を工夫して筒軸方向荷重伝達面23を形成しても、前記第1実施例と同様の作用、効果が得られる。
【0037】
図7は、本発明の第4実施例に係るプロペラシャフトの片方の端部を示している。本実施例においては、継手22は上記第3実施例と実質的に同一のものであり、本体筒31の外端面31cが、周方向に部分的に、筒軸方向にテーパ状に肩落し31dされている。肩落しされていない外端面31c部分でかつ内側のフープ巻層31bの外端面のみにフランジ22cが当接され、該当接面が筒軸方向荷重伝達面33として形成されている。このような構成においても、前記第2実施例と同様の作用、効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプロペラシャフトによるときは、継手とFRP製本体筒との間の筒軸方向荷重伝達面を、本体筒の特定の層上にのみ、かつ、周方向に部分的に形成するようにしたので、圧縮荷重負荷時に周方向に局部的に大きな層間剪断応力を発生させて、FRP製本体筒の破壊の開始および破壊の進行を、より確実にかつより円滑に行わせることができ、優れたエネルギー吸収効果を有するプロペラシャフトを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るプロペラシャフトの部分縦断面図である。
【図2】図1のプロペラシャフトの部分斜視図である。
【図3】図1のプロペラシャフトの破壊開始時の状態を示す部分縦断面図である。
【図4】図1のプロペラシャフトの破壊進行時の状態を示す部分縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施例に係るプロペラシャフトの部分斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例に係るプロペラシャフトの部分斜視図である。
【図7】本発明の第4実施例に係るプロペラシャフトの部分斜視図である。
【符号の説明】
1、21、31 本体筒
1a ヘリカル巻層
1b、21b、31b フープ巻層
1c、21c、31c 外端面
1d くさび形の部分
2、12、22 継手
2a 接合面
2b セレーション
2c、12c、22c フランジ
3、13、23、33 筒軸方向荷重伝達面
4 ピン
5 破壊部
21d 切り欠き
31d 肩落し部分
P 圧縮荷重
Claims (7)
- 複数層の強化繊維層を含むFRP製本体筒の端部に継手を接合したプロペラシャフトにおいて、前記継手と前記本体筒の端面との間の筒軸方向荷重伝達面を、前記複数層のうちの予め設定された特定の層上において周方向に部分的に延びる面として形成したことを特徴とするプロペラシャフト。
- 前記筒軸方向荷重伝達面が、継手に設けられた、周方向に断続的に延びるフランジにより形成されている、請求項1のプロペラシャフト。
- 前記筒軸方向荷重伝達面が、継手に設けられた、本体筒の外端面に向けてテーパ状に突出するフランジにより形成されている、請求項1のプロペラシャフト。
- 前記筒軸方向荷重伝達面が、本体筒の外端面を周方向に断続的に切り欠くことにより形成されている、請求項1のプロペラシャフト。
- 前記筒軸方向荷重伝達面が、本体筒の外端面を周方向に部分的にテーパ状に肩落しすることにより形成されている、請求項1のプロペラシャフト。
- 前記特定の層が、本体筒の端部に最内層として設けられた強化繊維のフープ巻層である、請求項1ないし5のいずれかに記載のプロペラシャフト。
- 前記フープ巻層の、本体筒の外端面に対応する内端面側の部分がくさび形に形成されている、請求項6のプロペラシャフト。
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