JPH1178222A

JPH1178222A - インクジェット記録用媒体

Info

Publication number: JPH1178222A
Application number: JP9264816A
Authority: JP
Inventors: Ayako Umehara; 綾子梅原; Masaya Higashiura; 真哉東浦; Tsuyoshi Hachitsuka; 剛志八塚
Original assignee: Toyobo Co Ltd
Current assignee: Toyobo Co Ltd
Priority date: 1997-09-11
Filing date: 1997-09-11
Publication date: 1999-03-23

Abstract

(57)【要約】【課題】インクの吸収能力が高く、鮮やかな画像を
得、耐ブロッキング性・保存性等に優れ、記録の高速
化、画像の高密度化、カラー化等の要求に対応すること
ができるインクジェット記録用媒体を提供すること。【解決手段】基材の少なくとも一方の面にインク受容
層を設けたインクジェット記録用媒体において、該イン
ク受容層は、二塩基酸成分の８０モル％以上が芳香族二
塩基酸であり、ポリアルキレングリコールを１５〜７０
重量％の割合で共重合した数平均分子量１０，０００〜
２００，０００の水不溶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記ポリアルキレングリコールは、８０重量％以上が数
平均分子量２，０００〜５００，０００のポリエチレン
グリコールであることを特徴とする

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用媒体、特に、水性インクを用いるプリンター、コピ
ー機等に用いるのに好適なインクジェット記録用媒体に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、インクジェット記録に用いられる
媒体としては、通常の紙からなるインクジェット記録用
媒体又は紙やフィルム等の基材上にインク受容層を設け
たインクジェット記録用媒体が使用されている。

【０００３】インク受容層を形成する重合体としては、
特公平３−２５３５２号公報や特公平３−２６６６５号
公報等にはポリビニルアルコールが、特公平３−２９５
９６号公報にはポリビニルピロリドンが、特開平６−２
３９０１５号公報にはポリ（メタ）アクリル酸とポリエ
チレングリコールとの付加物が、特開平７−９７５７号
にはエチレンオキサイド・アルキレンオキサイド共重合
体とガラス転移温度が７０℃以上のポリマーとの混合物
が、特開平５−１２４３３１号公報、特開平６−５５８
２８号公報には水溶性ポリエステルが記載されている。
また、でんぷん、ゼラチン、メチルセルロース、ポリ
（メタ）アクリル酸やその塩等の水溶性樹脂が知られて
いる。

【０００４】インクジェット記録用のインクは染料を各
種添加剤とともに水に溶解したものが一般的である。そ
のためインク吸収性が良いことが必要不可欠である。基
材が紙の場合でも、インクの吸収性を高め、記録を鮮や
かにするため、親水性のインク受容層を設けることがあ
る。水溶性樹脂からなるインク受容層はインク吸収性を
満足しても、インクを吸収することにより記録部が粘着
したり、耐水性が不足したり、記録部の周辺がぼけた
り、あるいはインクジェット記録用媒体自体が温度・湿
度の変化によりカールを起こしたりする。

【０００５】一方、これらの欠点を解消するため、イン
ク受容層のインク吸収性を小さくすると、インクの吸収
速度が遅くなるため、記録部に滞留したインクが他を汚
染することや、画像汚れや濃度ムラあるいは異なった色
の境界部での色汚れ等の画像品位の低下を生じる。

【０００６】また、特開平５−１２４３３１号公報、特
開平６−５５８２８号公報には水溶性ポリエステルをイ
ンク受容層のバインダーとすることが記載されている
が、高温、高湿度下ではインクジェット記録用媒体自体
がカールを生じる。また、特開平７−９７５８号公報に
はインク受容層にアルキレンオキシド部と芳香環部の両
方を含む重合体を必須成分とすることが記載されている
が、この公報に記載されている樹脂では基材がポリエス
テルフィルムの場合、密着性が悪く、またインク吸収性
も未だ不十分である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決しようとするものであって、親水性と疎水
性のバランスをポリエステル樹脂で鋭意検討し、インク
の吸収能力が高く、鮮やかな画像が得られ、耐ブロッキ
ング性・保存性等に優れており、記録の高速化、画像の
高密度化、カラー化等の要求に対応することができるイ
ンクジェット記録用媒体を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のインクジェット記録用媒体は、基材の少な
くとも一方の面にインク受容層を設けたインクジェット
記録用媒体において、該インク受容層は、二塩基酸成分
の８０モル％以上が芳香族二塩基酸であり、ポリアルキ
レングリコールを１５〜７０重量％の割合で共重合した
数平均分子量１０，０００〜２００，０００の水不溶性
ポリエステル樹脂を含有し、前記ポリアルキレングリコ
ールは、８０重量％以上が数平均分子量２，０００〜５
００，０００のポリエチレングリコールであることを特
徴とする。

【０００９】上記の構成からなる本発明のインクジェッ
ト記録用媒体は、インクの吸収能力が高く、鮮やかな画
像が得られ、耐ブロッキング性・保存性等に優れてお
り、記録の高速化、画像の高密度化、カラー化等の要求
に対応することができる。

【００１０】本発明の好適な実施態様においては、イン
ク受容層は、２価以上の金属の水溶性化合物を含有する
ことができる。

【００１１】本発明の好適な実施態様においては、イン
ク受容層は、２価以上の分子内錯塩を含有することがで
きる。

【００１２】

【発明の実施の形態】次に本発明のインクジェット記録
用媒体の実施の形態を詳しく説明する。

【００１３】本発明において、インク受容層を形成する
重合体として使用するポリエステル樹脂は、二塩基酸成
分の８０モル％以上が芳香族二塩基酸で構成される。芳
香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、
オルソフタル酸、１，５−ナフタレンジカルボン酸、
２，６−ナフタレンジカルボン酸、４，４’−ジフェニ
ルジカルボン酸、２，２’−ジフェニルジカルボン酸、
４，４’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、無水トリ
メリット酸等があげられる。特にテレフタル酸、イソフ
タル酸、オルソフタル酸、２，６−ナフタレンジカルボ
ン酸、無水トリメリット酸等が望ましいものとして例示
される。

【００１４】本発明で使用するポリエステル樹脂の１５
〜７０重量％を占めるポリアルキレングリコールとして
は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等があげられる。

【００１５】本発明で使用するポリエステル樹脂を形成
するポリアルキレングリコール以外のグリコール成分と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
１，３−プロパンジオール、１，４−ブタンジオール、
１，３−ブタンジオール、１，２−ブタンジオール、２
−メチル−１，３−プロパンジオール、１，５−ペンタ
ンジオール、１，６−ヘキサンジオール、３−メチル−
１，５−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、
ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、２，
２，４−トリメチル−１，３−ペンタンジオール、シク
ロヘキサンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバ
リン酸エステル、ビスフェノールＡのエチレンオキサイ
ド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビ
スフェノールＡのエチレンオキサイド付加物およびプロ
ピレンオキサイド付加物、１，９−ノナンジオール、２
−メチルオクタンジオール、１，１０−ドデカンジオー
ル、２−ブチル−２−エチル−１，３−プロパンジオー
ル、トリシクロデカンジメタノール、２，２−ジメチル
−３−ヒドロキシプロピル−２，２−ジメチル−３−ヒ
ドロキシプロピオネート等があげられ、これらのうちエ
チレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレ
ングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルヒドロキシピバリン酸エステル、２−メチル−１，
３−プロパンジオール、２−ブチル−２−エチル−１，
３−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール
を用いるのが好ましい。

【００１６】また、ポリエステル樹脂を構成するジオー
ル成分には、必須成分としてポリアルキレングリコール
を共重合する。ポリアルキレングリコールのうち８０重
量％以上使用するポリエチレングリコールの数平均分子
量は２，０００〜５００，０００、好ましくは５，００
０〜２０，０００の範囲にある。ポリエステル樹脂中の
ポリアルキレングリコールの割合は１５〜７０重量％、
望ましくは２０〜６０重量％の範囲にある。ポリアルキ
レングリコールは、ポリエチレングリコールの他に、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル等を一部共重合してもよい。

【００１７】芳香族二塩基酸とグリコールとから得られ
るポリエステルに上記の範囲の分子量を有するポリエチ
レングリコールと他のポリアルキレングリコールとを上
記の範囲で共重合することにより、親水性と疎水性のバ
ランスが優れた樹脂が得られ、これをインク受容層に含
有させることによりインクの吸収能力が高い、耐ブロッ
キング性・保存性等に優れたインクジェット記録用媒体
を提供することが可能になる。ポリエステル樹脂中のポ
リエチレングリコールの分子量が２，０００未満では耐
ブロッキング性が悪化し、分子量が５００，０００を超
えると湿度変化によるカールの発生等の問題を生じる。
ポリエステル樹脂中のポリアルキレングリコールの重量
分率が１５％未満ではインクの吸収能力が低く、７０％
を超えると耐ブロッキング性、湿度変化によるカールの
発生等の問題を生じる。

【００１８】本発明でインク受容層に使用するポリエス
テル樹脂の数平均分子量は、１０，０００〜２００，０
００の範囲にある。分子量が１０，０００未満では耐ブ
ロッキング性が不十分であり、２００，０００を超える
と有機溶剤溶解品あるいは水分散体の粘度が高くなり塗
布時の作業性が低下する。

【００１９】また、本発明でインク受容層を形成するの
に用いるポリエステル樹脂は実質的に水不溶性である。
ここで、本発明でいう水不溶性とは２０℃の水１００ｇ
に溶解する量が５ｇ以下のことを云う。水溶性ポリエス
テル樹脂をインク受容層を形成するのに用いた場合には
耐ブロッキング性、特に記録部がインクを吸収すること
により粘着性を生じたり、湿度変化によるカールの発生
等がある。

【００２０】本発明において、インク受容層を形成する
ために用いるポリエステル樹脂は有機溶剤に溶解した溶
解品、有機溶剤と水からなる水系分散体あるいは完全水
系分散体の形で用いるのが通常である。インク受容層の
塗布厚（乾燥後）は、特に限定するものではないが、通
常、５〜１００μｍ、特に７〜５０μｍであるのが好ま
しい。

【００２１】本発明ではさらに、インク受容層に２価以
上の金属の水溶性化合物を含有させることが好ましい。
含有させる場合の含有量は、特に限定するものではない
が、通常、樹脂固形分に対して０．１〜２０重量％、特
に０．５〜１０重量％程度であるのが好ましい。これら
のものを含有させることにより、画像記録後の耐水性が
向上する。ここで、２価以上の金属の水溶性化合物とし
ては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミ
ニウム、塩化亜鉛、塩化バリウム、酢酸マグネシウム、
酢酸カルシウム、酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸ジ
ルコニウム、硫酸銅、硫酸アルミニウム等があげられ
る。

【００２２】本発明ではさらに、インク受容層に２価以
上の分子内錯塩を含有させることが好ましい。含有させ
る場合の含有量は、特に限定するものではないが、通
常、樹脂固形分に対して０．１〜２０重量％、特に０．
５〜１０重量％程度であるのが好ましい。これらのもの
を含有させることにより、インク受容層を塗布後の耐ブ
ロッキング性が向上する。さらにこれらのものを含有さ
せた系では、ポリエステル樹脂の酸価を高くしておくと
耐ブロッキング性がさらに向上する。ここで、２価以上
の分子内錯塩としては、ニッケル（II）、亜鉛（II）の
ジメチルグリオキシム錯体、コバルト（II）、銅（I
I）、亜鉛（II）の８−オキシキノリン錯体、アルミニ
ウム（III）、クロム（III）、鉄（III）、コバルト（I
I）、ニッケル（II）、銅（II）、亜鉛（II）、マグネ
シウム（II）のアセチルアセトン錯体、カルシウム（I
I）のサリチル酸錯体、アルミニウム（III）のｎ−ブタ
ノール、ｉ−プロパノール錯体等があげられる。特に、
アルミニウム（III）、亜鉛（II）、マグネシウム（I
I）のアセチルアセトン錯体が好ましい。

【００２３】本発明のインク受容層には上記のポリエス
テル樹脂の他に、他の熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱
可塑性樹脂としては、アルブミン、ゼラチン、カゼイ
ン、澱粉、カチオン澱粉、アラビアゴム、アルギン酸ソ
ーダ等の天然樹脂、ポリアミド、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン、４級化ポリビニルピロリドン、
ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジリウムハライ
ド、メラミン樹脂、ポリウレタン、カルボキシメチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビ
ニルアルコール、ポリエステル、ポリアクリル酸ソー
ダ、酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合
成樹脂が挙げられる。

【００２４】本発明のインク受容層には上記のポリエス
テル樹脂の他に架橋剤を混合して用いることができる。
架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、ポリエス
テルの末端イソシアネート変性品、エポキシ樹脂、メラ
ミン樹脂、尿素樹脂、酸無水物等があり、特にこれらの
中でポリイソシアネート化合物、ポリエステルの末端イ
ソシアネート変性品が好ましい。

【００２５】本発明のインクジェット記録用媒体のイン
ク受容層には上記のポリエステル樹脂の他に各種フィラ
ー、添加剤を含んでもよい。フィラーとしては、シリ
カ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウ
ム、炭酸マグネシウム、タルク、クレイ、炭酸カルシウ
ム、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム等があげら
れ、添加剤としては界面活性剤、染料固着剤、消泡剤、
酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、分散剤、粘度
調整剤、防かび剤、可塑剤等があげられる。

【００２６】本発明のインクジェット記録用媒体を構成
する基材としては、上質紙、中質紙、アート紙、ボンド
紙、再生紙、バライタ紙、キャストコート紙、ダンボー
ル紙等の紙や、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レン、アクリル、ナイロン、セロファン等のフィルムあ
るいはシート、木綿、ポリエステル、ナイロン、絹等の
布、ガラス板、あるいはアルミ箔、ステンレス箔等の金
属箔があげられる。受容層はこれらの素材に直接あるい
はアンカー処理を施した後に、少なくとも片面に設けら
れる。

【００２７】本発明のインクジェット記録用媒体は、基
材の少なくとも一方の面に設けたインク受容層は、二塩
基酸成分の８０モル％以上が芳香族二塩基酸であり、ポ
リアルキレングリコールを１５〜７０重量％の割合で共
重合した数平均分子量１０，０００〜２００，０００の
水不溶性ポリエステル樹脂を含有し、前記ポリアルキレ
ングリコールは、８０重量％以上が数平均分子量２，０
００〜５００，０００のポリエチレングリコールであ
る。この共重合ポリエーテル・ポリエステル樹脂は親水
性と疎水性のバランスが良好なため、この樹脂をインク
受容層に用いることにより、インク受容層のインク吸収
速度が速いにも拘らず、インクジェット記録用媒体の湿
度変化によるブロッキングやカール、記録部の輪郭のぼ
やけ等が少なく実用性の高いものとなる。

【００２８】

【実施例】以下実施例及び比較例を用いて本発明を更に
詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるものでは
ない。また、各種特性は以下の方法によって評価した。

【００２９】（１）インク吸収性日本電気（株）製パーソナルコンピュータＰＣ９８２１
Ｘａ９にキャノン（株）バブルジェットプリンタＢＪＣ
−４００Ｊを連結させ、イエロー、シアン、マゼンタ、
ブラックのフルドットで画像を印刷し、印刷直後記録画
像に指触したときに、インクがインク受容層内部に取り
込まれて指に付着しなくなるか否かで判断した。 ○：印刷直後でも指に付着しなかった △：５分後に指に付着しなかった ×：１０分経過しても指に付着した

【００３０】（２）耐ブロッキング性２軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム（厚さ５
０μｍ；東洋紡績（株）製）に乾燥後の塗布厚が１０μ
ｍになるように塗布した後、１２０℃にて５分間熱風乾
燥した。その直後、コート面と非コート面を重ね合わ
せ、４０℃で１０Ｋｇ／ｃｍ²の加圧下で１日放置後、
フィルムを引っ張り速度２００mm／分、測定温度２０℃
でＴ型剥離した。 ○：剥離強度が２ｇ／ｃｍ未満 △：剥離強度が２〜２０ｇ／ｃｍ ×：剥離強度が２０ｇ／ｃｍを越える

【００３１】（３）印刷性それぞれのインクジェット記録用媒体に対して前記のプ
リンタを用いて記録した画像を目視して評価した。 ○：画像が鮮明なもの △：○と×の中間の評価 ×：インクの滲み、滲み出し、はじきが発生し、画像が
著しく劣っているもの

【００３２】（４）記録画像の耐湿性それぞれのインクジェット記録用媒体に対して前記のプ
リンタを用いて記録した画像を４０℃×９０％ＲＨ条件
下に一日保存後に、保存前の画像と比較評価した。 ○：変化が認められないもの △：○と×との中間の評価 ×：保存前の画像に比べ、インクの滲み、滲み出しが発
生し、画像が著しく劣っているもの

【００３３】（５）インクジェット記録用媒体の耐湿性それぞれのインクジェット記録用媒体を４０℃×９０％
ＲＨ条件下に一日保存後に、上記のプリンタを用いて画
像を記録し評価した。 ○：変化が認められないもの △：○と×との中間の評価 ×：保存前のインクジェット記録用媒体に印刷した画像
に比べ、インクの滲み、滲み出しが発生し、画像が著し
く劣っているもの

【００３４】（合成例１）ジメチルテレフタレート１９
４重量部、ジメチルイソフタレート１９４重量部、エチ
レングリコール１４９重量部、ネオペンチルグリコール
１６６重量部、テトラブチルチタネート０．０７重量部
をオートクレーブに仕込み、１８０〜２１０℃で３時間
エステル交換反応を実施した。次いで数平均分子量が２
０，０００のポリエチレングリコール３４５重量部、チ
バ・ガイギー社製酸化防止剤「イルガノックス１３３
０」０．５重量部を仕込み、３０分間２１０℃で反応
後、反応系を２０分かけて５ｍｍＨｇまで減圧し、この
間２５０℃まで昇温し、２５０℃で重縮合反応を１００
分間行った。チッ素ガスにより常圧にもどし、さらに反
応系を２２０℃まで冷却した後、無水トリメリット酸
７．７重量部を添加し２２０℃で３０分間酸付加反応を
行い、ポリエステル樹脂（１）を得た。得られたポリエ
ステル樹脂は、わずかに白色不透明であった。このポリ
エステル樹脂の組成分析をＮＭＲ測定により、数平均分
子量をテトラヒドロフラン（ＴＨＦ）溶液でのゲル浸透
クロマトグラフィーにより、また、樹脂の酸価を１／１
０規定ＫＯＨエタノール溶液での滴定による分析により
求めた。分析結果を表１に示す。

【００３５】（合成例２〜合成例４）使用した単量体を
表１に示すようにした他は合成例１と同様の条件で合成
し、ポリエステル樹脂（２）〜（４）を得た。得られた
ポリエステル樹脂の分析結果をそれぞれ表１に示す。

【００３６】（比較合成例１）合成例１で用いたポリエ
チレングリコールの代わりに、親水性成分としてジメチ
ルー５−ナトリウムスルホーイソフタレートを共重合す
ることにより、スルホン酸金属塩を有するポリエステル
樹脂（５）を得た。得られたポリエステル樹脂の分析結
果を表１に示す。

【００３７】（比較合成例２〜４）使用した単量体を表
１に示すようにした他は合成例１と同様の条件で合成
し、ポリエステル樹脂（６）〜（８）を得た。得られた
ポリエステル樹脂の分析結果をそれぞれ表１に示す。

【００３８】

【表１】

【００３９】表中の略号は以下の通り。Ｔ：テレフタル酸Ｉ：イソフタル酸Ｏ：オルソフタル酸ＡＡ：アジピン酸ＤＳＮ：ジメチル５−ナトリウムスルホーイソフタレ
ートＴＭＡ：無水トリメリット酸ＥＧ：エチレングリコールＮＰＧ：ネオペンチルグリコールＣＨＤＭ：シクロヘキサンジメタノール２ＭＧ：２−メチル−１，３−プロパンジオールＰＥＧ：ポリエチレングリコール

【００４０】以上のポリエステル樹脂（１）〜（８）に
ついて、それぞれポリエステル樹脂６０重量部、トルエ
ン６０重量部、メチルエチルケトン６０重量部を１リッ
トルのフラスコに仕込み、７０℃で３時間攪拌し均一溶
解液を得た。得られた溶液に高速攪拌下で水２０重量部
を徐々に滴下し、乳白色である固形分濃度３０％の水分
散体を得た。

【００４１】（実施例１〜４）合成例１〜４で得られた
ポリエステル樹脂（１）〜（４）の水分散体に、水分散
体中の樹脂固形分重量に対して酢酸カルシウムを５重量
％、アルミニウム（III）アセチルアセトナートを２重
量％添加し溶解したものを、基材としての２軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルム（厚さ５０μｍ；東洋
紡績（株）製）のコロナ放電処理面に乾燥後の塗布厚が
１０μｍになるように上記水分散体を塗布した後１２０
℃にて５分間熱風乾燥して、本発明のインクジェット用
記録シートを得た。かくして得られた記録シートの特性
は、表２に示す通りであった。

【００４２】（実施例５）実施例１で得られたポリエス
テル樹脂（１）の水分散体に、水分散体中の樹脂固形分
重量に対して酢酸カルシウムは５重量％添加したが、分
子内錯塩アルミニウム（III）アセチルアセトナートは
添加しないもので、以下実施例１と同一手法によりイン
クジェット用記録シートを得た。かくして得られた記録
シートの特性は、表２に示す通りであった。

【００４３】（比較例１）実施例１において水分散体を
塗布していない２軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムに印刷を行った。この記録シートの特性は表２に
示す通りであり、インク吸収性、印刷性に劣るものであ
った。

【００４４】（比較例２）実施例１においてポリエステ
ル樹脂の代わりに数平均分子量２００００のポリエチレ
ングリコールの水溶液を塗布して、インクジェット用記
録シートを得た。かくして得られた記録シートの特性
は、表２に示す通りであった。

【００４５】（比較例３）比較合成例１で得られたポリ
エステル樹脂（５）の水分散体で、実施例１と同一手法
によりインクジェット用記録シートを得た。かくして得
られた記録シートの特性は、表２に示す通りであった。

【００４６】（比較例４〜６）比較合成例２〜４で得ら
れたポリエステル樹脂（６）〜（８）の水分散体に、水
分散体中の樹脂固形分重量に対して酢酸カルシウムを５
重量％、アルミニウム（III）アセチルアセトナートを
樹脂分の２重量％添加し溶解したものを用い、以下実施
例と同一手法によりインクジェット用記録シートを得
た。かくして得られた記録シートの特性は、表２に示し
た通りであった。

【００４７】

【表２】

【００４８】

【発明の効果】本発明のインクジェット記録用媒体によ
れば、インクの吸収能力が高く、鮮やかな画像が得ら
れ、耐ブロッキング性・保存性等に優れており、記録の
高速化、画像の高密度化、カラー化等の要求に対応する
ことができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材の少なくとも一方の面にインク受容
層を設けたインクジェット記録用媒体において、該イン
ク受容層は、二塩基酸成分の８０モル％以上が芳香族二
塩基酸であり、ポリアルキレングリコールを１５〜７０
重量％の割合で共重合した数平均分子量１０，０００〜
２００，０００の水不溶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記ポリアルキレングリコールは、８０重量％以上が数
平均分子量２，０００〜５００，０００のポリエチレン
グリコールであることを特徴とするインクジェット記録
用媒体。
【請求項２】インク受容層は、２価以上の金属の水溶
性化合物を含有することを特徴とする請求項１記載のイ
ンクジェット記録用媒体。
【請求項３】インク受容層は、２価以上の分子内錯塩
を含有することを特徴とする請求項１又は２記載のイン
クジェット記録用媒体。