JPH1176830A - 有機ポリマー被覆イオン交換樹脂触媒およびその触媒を用いたオレフィンの水和方法 - Google Patents

有機ポリマー被覆イオン交換樹脂触媒およびその触媒を用いたオレフィンの水和方法

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JPH1176830A
JPH1176830A JP9248400A JP24840097A JPH1176830A JP H1176830 A JPH1176830 A JP H1176830A JP 9248400 A JP9248400 A JP 9248400A JP 24840097 A JP24840097 A JP 24840097A JP H1176830 A JPH1176830 A JP H1176830A
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JP
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catalyst
exchange resin
represented
chemical formula
organic polymer
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JP9248400A
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English (en)
Inventor
Naohiro Ueda
直浩 植田
Katsuhiko Matsuba
勝彦 松葉
Keiichi Ikeda
圭一 池田
Kaoru Inoue
薫 井上
Sadaaki Yamamoto
貞明 山本
Hirobumi Io
博文 井尾
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性の高い、かつ触媒寿命の長い強酸性陽イ
オン交換樹脂触媒を提供する。また、プロピレン等のオ
レフィン類を該触媒存在下に水と接触させてアルコール
類を製造する方法を提供する。 【解決手段】 有機ポリマーマトリックスに結合したス
ルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂に、イミド
結合を有する有機ポリマーによる被覆処理を施した触
媒。および該触媒の存在下において、反応器に原料とし
て水およびプロピレン等のオレフィンを供給、反応せし
めることにより、原料オレフィンに対応するアルコール
類を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イミド結合を有す
る有機ポリマー被覆イオン交換樹脂触媒を提供すること
にある。詳しくは、強酸性陽イオン交換樹脂にイミド結
合を有する有機ポリマーによる被覆処理を施した触媒を
提供することにある。また、本発明は、オレフィンの水
和反応によりアルコール類を製造する新規な方法を提供
することにもある。更に詳しくは、イミド結合を有する
有機ポリマー被覆処理を施すことによって活性が向上し
た強酸性陽イオン交換樹脂を用いることを特徴とするオ
レフィンの水和反応によるアルコール類の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、オレフィンの直接水和反応による
アルコール類の製造方法として、気相反応による製造方
法及び液相反応による製造方法が工業的に実施されてい
る。気相反応による製造方法に用いる触媒として、マク
ロポーラス型陽イオン交換樹脂(特開平3−20772
8号)、酸性層状粘土化合物(特開昭55−12454
1号)が開示されている。更に広く工業化されている方
法として、リン酸を担体に担持した触媒(特開昭53−
84906号、特開昭52−133095号、 特公昭
51−44915号等)を使用する方法が開示されてい
る。
【0003】これら、気相反応による製造方法は、一般
的に高温領域で反応を実施しており、更にプロピレンの
転化率も低い。従って、反応器単位体積当たりのアルコ
ール類の生成量が極めて低く、かつ未反応オレフィンを
大量にリサイクルする必要があり、設備的にもエネルギ
ー的にも有利な方法とは言えない。これに加え、広く工
業的に実施されている担持リン酸触媒で製造する方法で
は、反応とともに触媒成分であるリン酸の飛散等による
触媒の性能低下といった問題点も有している。ここにお
いて、気相法におけるアルコール類の生産性の低さ、未
反応オレフィンの大量循環といった欠点を克服する方法
として、もう一方の原料である水を液体状態としてオレ
フィンと接触させる、いわゆる液相反応も広く知られて
いる。液相均一反応による製造方法に用いる触媒とし
て、芳香族スルホン酸(特公昭43−8104号、特公
昭43−16123号)、ヘテロポリ酸(特公昭49−
166号、特公昭50−35051号、特公昭49−3
6204号、特開昭53−9746号等)を、均一触媒
として使用する方法が開示されている。
【0004】しかしながら、これら均一系触媒は、触媒
と原料(特に原料の一つである水)から生成アルコール
を分離回収することが煩雑となり、これに関わるエネル
ギー使用量が多大となる欠点を有している。加えて、こ
れら酸触媒が液相に均一に溶解し、反応器等の装置と液
接触をすることから、装置内壁の腐蝕の恐れがあり、高
価な装置材質の使用を余儀なくされるために経済的とは
言えない。
【0005】これらの欠点を克服する方法として、固体
触媒を液相不均一反応にて使用する方法が知られてい
る。液相不均一反応による製造方法に用いる触媒とし
て、強酸性型陽イオン交換樹脂(特公昭44−2665
6号、特開昭49−117412号、特開昭61−23
0744号、特公昭58−7614号、特公昭63−2
7332号等)、ゼオライト(特公表平3−50232
1号、特公表平3−503175号、特開平1−246
234号、特開平1−246233号、特開昭63−2
18251号等)を、不均一触媒として使用する方法が
開示されている。
【0006】強酸性陽イオン交換樹脂触媒は、上記の液
相均一触媒に比較して低温、低圧反応条件下(150℃
前後、100気圧前後)で高活性を示すことが知られて
いる。しかしながら、これら陽イオン交換樹脂は水との
親和性が極めて高いことから、反応系に水が存在する際
に、触媒活性自体が低下し、望ましい活性を得ることは
困難である。更に、高い反応活性を維持するためには1
50℃以上の反応温度を必要とするために、恒常的な触
媒の劣化を伴い、スルホン酸基等の酸性成分が分解脱離
し、反応液中へ流出することは免れない。結果として、
触媒活性が大幅に低下するとともに、液相均一触媒と同
様、流出した酸性成分による装置腐食の恐れがあり、反
応装置は耐腐食性の高い高価な材質を使用せねばならず
経済的に不利である。
【0007】一方、ゼオライト触媒においては、触媒活
性が不充分であり、強酸性陽イオン交換樹脂ほどの触媒
活性は望めず、アルコール類の収率を高めるためには高
い反応温度を必要とする。しかしながら、ゼオライト化
合物はオレフィンの水和反応条件下では、ゼオライト成
分の分解・脱離を促進する。従って、好ましい生成速度
でアルコール類を製造することは、現実的に不可能であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】先に我々は、オレフィ
ンと水との水和反応によりアルコール類を製造するにあ
たり、液相反応条件における平衡的有利性及び生産性の
高さに注目し、かつ液相反応における強酸性陽イオン交
換樹脂触媒の比較的高い触媒活性に注目し、従来の液相
不均一触媒である強酸性陽イオン交換樹脂の持つ欠点を
克服すべく方法として、強酸性陽イオン交換樹脂触媒の
フッ素樹脂コーティング触媒(特開平7−16564
0)および、シリコーンコーティング触媒(特開平7−
165641)を開発してきた。更なる効果を求め鋭意
検討した結果、本発明に至ったものである。
【0009】本発明は、オレフィンの水和反応によりア
ルコール類を製造するに際し、強酸性陽イオン交換樹脂
表面をイミド結合を有する有機ポリマーにより被覆処理
したものを固体触媒として使用することによって、従
来、強酸性陽イオン交換樹脂触媒の欠点であった、反応
系に水が存在することによる触媒の活性低下を抑制し、
かつ高活性化することを見いだした。また、反応温度の
低温化を可能にするとともに、触媒の耐熱性を向上さ
せ、熱分解による酸性成分の脱離分解を抑制することに
より長寿命触媒となることを見いだし、本発明を完成す
るに至った。
【0010】即ち、本発明の課題は、イミド結合を有す
る有機ポリマーにより強酸性陽イオン交換樹脂を被覆処
理を施すことにより活性低下を抑制できる触媒を提供す
ることにある。また、本発明の更なる課題は、オレフィ
ンの水和反応において、液相で高効率でアルコール類を
製造し、かつ触媒と反応液の分離が容易であり、水の存
在による触媒の活性低下を抑制できる経済性の高いアル
コール類の製造方法を提供することにある。また、本発
明の他の課題は、該水和反応を気相及び液相何れの反応
形態においても、広い温度範囲で活性低下すること無く
実施可能な触媒を提供することでもある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機ポリマー
マトリックスに結合したスルホン酸基を有する強酸性陽
イオン交換樹脂に、イミド結合を有する有機ポリマーに
よる被覆処理を施した触媒を提供するものである。ま
た、本発明は、オレフィンの水和反応によりアルコール
類を製造するに際し、有機ポリマーマトリックスに結合
したスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂に、
イミド結合を有する有機ポリマーによる被覆処理を施し
た触媒を使用することを特徴とするアルコール類の製造
方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる強酸性陽イオン交換樹脂としては、
有機ポリマーマトリックスに結合したスルホン酸基を有
する強酸性陽イオン交換樹脂であることが好ましい。こ
こで記載する、有機ポリマーマトリックスに結合したス
ルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂とは、強酸
性官能基であるスルホン酸基を有する巨大網目状および
/またはゲルタイプの陽イオン交換樹脂である。このよ
うな樹脂においてスルホン酸基は、有機ポリマーマトリ
ックスに直接、または1個以上の炭素原子を介して、ま
たは炭素および酸素、硫黄等のヘテロ原子を介して結合
している。
【0013】具体的には、ロームアンドハース社製の陽
イオン交換樹脂である、アンバーライト−IR−11
8、IR−120B、IR−122、IR−124、2
52、XT−1026、アンバーリスト15、バイエル
社製のレバチット−K1131、K1221、K141
1、K2431、K2611、K2461、K2661
等が入手しやすい強酸性陽イオン交換樹脂として例示さ
れる。また、パーフルオロカーボンポリマーマトリック
スのスルホン酸基が結合したデュポン社製の耐熱性陽イ
オン交換樹脂であるナフィオン等も本発明に使用するこ
とが可能である。これら市販の陽イオン交換樹脂は、そ
の販売形態として金属塩タイプ及びプロトンタイプのも
のがある。金属塩タイプのものは、反応に使用する際に
は硫酸、硝酸または塩酸等を用いてプロトンタイプとし
て使用する。なお、本発明においては、強酸性陽イオン
交換樹脂表面を、さらにイミド結合を有する有機ポリマ
ー被覆処理を施す。
【0014】本発明のイミド結合を有する有機ポリマー
被覆処理に使用される、イミド結合を有する有機ポリマ
ーとしては、特に限定はされないが、高耐熱性、耐水性
を有するポリマーが望ましい。具体的には、一般式
(1)
【0015】
【化14】 (式中、R1 は、化学式(2)
【0016】
【化15】 から選ばれた少なくとも1種の2価の基を表し、R2
は、化学式(3)
【0017】
【化16】 から選ばれた少なくとも1種の4価の基を表す。)で表
されるポリイミドまたはポリイミド共重合体、および一
般式(4)
【0018】
【化17】 (式中、R1 は、化学式(2)から選ばれた少なくとも
1種の2価の基を表す。)で表されるポリアミドイミド
またはポリアミドイミド共重合体等があげられる。好ま
しくは、入手容易である化学式(5)
【0019】
【化18】 、化学式(6)
【0020】
【化19】 、化学式(7)
【0021】
【化20】 、化学式(14)
【0022】
【化21】 、化学式(15)
【0023】
【化22】 、化学式(16)
【0024】
【化23】 、化学式(17)
【0025】
【化24】 で表されるポリイミド、部分構造が化学式(5)と化学
式(8)
【0026】
【化25】 で表されるポリイミド共重合体、部分構造が化学式
(5)及び化学式(7)と化学式(9)
【0027】
【化26】 で表されるポリイミド共重合体、部分構造が化学式
(7)と化学式(18)
【0028】
【化27】 で表されるポリイミド共重合体、部分構造が化学式
(5)と化学式(19)
【0029】
【化28】 で表されるポリイミド共重合体、部分構造が化学式
(5)と化学式(20)
【0030】
【化29】 で表されるポリイミド共重合体、部分構造が化学式
(7)と化学式(21)
【0031】
【化30】 で表されるポリイミド共重合体、および化学式(10)
【0032】
【化31】 、化学式(11)
【0033】
【化32】 、化学式(12)
【0034】
【化33】 で表されるポリアミドイミド、部分構造が化学式(1
0)と化学式(13)
【0035】
【化34】 で表されるポリアミドイミド共重合体があげられる。
【0036】より好ましくは、化学式(5)、化学式
(6)または化学式(7)で表されるポリイミド、また
は、部分構造が化学式(5)と化学式(8)で表される
ポリイミド共重合体、または部分構造が化学式(5)と
化学式(7)と化学式(9)で表されるポリイミド共重
合体、または、化学式(10)、化学式(11)または
化学式(12)で表されるポリアミドイミド、または、
部分構造が化学式(10)と化学式(13)で表される
ポリアミドイミド共重合体があげられる。
【0037】ここにおいて、ポリイミドおよびポリイミ
ド共重合体原料モノマーとしては、4,4’−ビス(3
−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−
アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス[4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミ
ノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ
フェノキシベンゾフェノン、などのジアミン化合物、お
よびピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オ
キシジフタル酸無水物、4,4’−ビフタル酸無水物な
どの酸無水物が具体的な例としてあげられる。また、ポ
リアミドイミドおよびポリアミドイミド共重合体の原料
モノマーとしては、4,4’−ビス(3−アミノフェノ
キシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、2,2’−ビス[4−(3−アミノフェ
ノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフ
ェノン、などのジアミン化合物、およびトリメリット酸
無水物、無水トリメリット酸クロライドが具体的な例と
してあげられる。しかしながら本発明は、これらの原料
モノマーに限定されるものではない。
【0038】本発明においては、イミド結合を有する有
機ポリマーを強酸性陽イオン交換樹脂に被覆処理を施
す。強酸性陽イオン交換樹脂表面をイミド結合を有する
有機ポリマー被覆処理する方法は特に限定はされなく、
これら強酸性イオン交換樹脂表面上を被覆せしめる方法
であるなら如何なる方法で実施しても差し支えない。好
ましい被覆方法として例示すれば、イミド結合を有する
有機ポリマーを強酸性陽イオン交換樹脂表面に付着せし
めることによって被覆処理する方法、イミド結合を有す
る有機ポリマーを構成するモノマー成分を強酸性陽イオ
ン交換樹脂表面上での反応によって、イミド結合を有す
る有機ポリマーを形成させることにより、被覆処理する
方法があげられる。
【0039】イミド結合を有する有機ポリマーを強酸性
陽イオン交換樹脂表面に付着処理を施す実施し易い形態
としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメ
チルアセトアミド等の有機ポリマーを溶解せしめる有機
溶媒中に、付着処理に使用するイミド結合を有する有機
ポリマーを溶解させ、強酸性イオン交換樹脂と混合した
後、減圧除去等により溶媒を除去することによって有機
ポリマーを被覆する方法、また、ポリイミドおよびポリ
イミド共重合体に対応するポリアミドカルボン酸ワニス
をN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセ
トアミド等のポリアミドカルボン酸を溶解せしめる有機
溶媒に希釈し、強酸性陽イオン交換樹脂と混合した後に
溶媒を除去し、加熱処理を行うことによってポリマーの
重合反応を完結せしめることにより被覆処理を行う方法
が例示される。
【0040】強酸性陽イオン交換樹脂表面上での反応に
よってイミド結合を有する有機ポリマーを形成しながら
被覆させる実施し易い形態としては、イミド結合を有す
る有機ポリマーの構成モノマーを重合させる際に、強酸
性陽イオン交換樹脂を共存せしめることにより被覆処理
を行う方法が例示される。さらに具体的には、イミド結
合を有する有機ポリマーの構成モノマーであるジアミン
化合物または酸無水物のいずれかを、予め強酸性陽イオ
ン交換樹脂に付着させた後、有機溶媒に溶解せしめた他
方のモノマーを添加し、強酸性陽イオン交換樹脂上にて
反応せしめることによりポリアミドカルボン酸を形成さ
せた後、溶媒の除去、加熱処理によってポリマーの重合
反応を完結せしめることによって被覆処理を行う方法が
例示される。
【0041】本発明において、強酸性陽イオン交換樹脂
のイミド結合を有する有機ポリマー被覆処理に使用する
ポリマーの量は特に限定されないが、強酸性陽イオン交
換樹脂表面被覆率がより高くなることが望ましい。好ま
しくは、強酸性陽イオン交換樹脂固体重量の0.001
〜2.0倍重量、さらに好ましくは0.005〜0.5
倍重量を使用することによって被覆処理を行うことが推
奨される。余りに少量の被覆処理では、実質的に被覆処
理効果は僅かであり、反対に、余りに多すぎれば、触媒
そのものの活性を阻害する恐れがある。
【0042】本発明のオレフィンの水和反応に用いられ
るオレフィンとは、脂肪族炭化水素または脂環式炭化水
素で少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する
直鎖、分枝、若しくは脂環式のモノオレフィン、ポリオ
レフィンである。またこれらのオレフィンは置換基とし
て、ハロゲン元素、水酸基、ニトロ基、アミノ基、シア
ノ基、カルボニル基、アセトキシ基、芳香族基、カルボ
キシル基、メルカプト基等を有しているものでも差し支
えない。好ましくは、炭素数2〜10の脂肪族オレフィ
ンである。さらに好ましくは、炭素数2〜6の脂肪族オ
レフィンである。
【0043】具体的には、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−
ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−
ブテン等の直鎖及び分枝ペンテン類、1−ヘキセン、2
−ヘキセン、3−ヘキセン、メチルペンテン類等の直鎖
及び分枝ヘキセン類、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキ
サジエン等のポリオレフィン類等が例示される。さら
に、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘ
キセン、メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、メチ
ルシクロオクテン類、シクロペンタジエン類、シクロヘ
キサジエン類、シクロオクタジエン類等の脂環式オレフ
ィン類を使用することも可能である。最も好ましくは、
オレフィンがエチレンまたはプロピレンのような、炭素
数2以上6以下の低級オレフィンよりなる群から選ばれ
た少なくとも1種であるものである。また、本発明にお
いて使用するオレフィンの純度は特に限定されることは
なく、一般試薬純度、工業純度もしくはアルカン等で希
釈されたオレフィンも使用することが可能である。
【0044】本発明においては、既に記したイミド結合
含有有機ポリマー被覆処理済の強酸性陽イオン交換樹脂
を触媒として使用する。イミド結合を有する有機ポリマ
ー被覆処理を施した触媒を使用することにより、触媒活
性、触媒寿命は格段に向上する。
【0045】本発明を実施するにあたり、原料であるオ
レフィンと水の使用量(量比)は特に限定はされない
が、好ましくは水/オレフィンのモル比で0.1〜50
の範囲、更に好ましくは0.3〜30の範囲で実施する
ことが推奨される。余りに水の量が少なければ、原料オ
レフィンの高い転化率を達成することは困難であり、ま
た余りに水の量が多ければ、オレフィンの転化率を高め
ることは出来るが、必要以上に水を用いるため反応器が
過大となり、また水の大量循環が必要であり、効率的に
製造し得ないためである。
【0046】反応温度は、特に限定されないが、好まし
くは0〜500℃、更に好ましくは30〜300℃の範
囲である。反応温度が極端に低すぎると、原料オレフィ
ンの転化率が低く、反応生成物の生産性が低下する。一
方、反応温度が500℃以上で実施すれば、好ましから
ざる副反応等が進行し副生成物の増大や、原料オレフィ
ン、更に生成物であるアルコール類の安定性にも好まし
くなく、反応選択率の低下をもたらし経済的ではない。
【0047】反応は減圧、加圧および常圧の何れの状態
で実施する事も可能である。反応効率(単位体積あたり
の反応効率)の観点から余りに低い圧力で実施する事は
好ましくない。また、反応装置等の設備的な経済性の観
点から余りに高い圧力で実施する事も好ましくない。通
常、好ましい実施圧力範囲は0.5〜500気圧であ
り、更に好ましくは1.0〜300気圧である。
【0048】本発明を実施するに当たり、反応系内に、
触媒および原料に対して不活性な溶媒もしくは気体を添
加することにより希釈した状態で行う事も可能である。
具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキ
サン、シクロヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素類、およ
び窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体等が例示さ
れる。
【0049】また、反応は液相、気相−液相または気相
の何れの状態で実施する事も可能であが、生産性、反応
器の規模の観点から、少なくとも水の一部が液体状態で
実施することが好ましい。しかしながら本発明において
はこれに限定されることはない。本発明は、通常のバッ
チ反応、一部の原料もしくは触媒等を連続的に供給する
ようなセミバッチ反応又は流通連続反応の何れの反応方
法においても実施可能である。また、反応原料および触
媒等の各成分の添加順序および添加方式等に制限される
事はない。更に、触媒充填方式としては、固定床、流動
床、懸濁床、棚段固定床等種々の方式が採用され、何れ
の方式で実施しても差し支えない。反応時間(流通反応
においては滞留時間もしくは触媒接触時間)は特に限定
されないが、通常0.1秒〜30時間、好ましくは0.
5秒〜15時間である。反応生成物の回収方法として
は、例えば、反応後に反応生成物を前記触媒等から濾過
分離、抽出、留去等の通常の分離方法によって分離回収
する事が可能である。
【0050】目的生成物であるアルコール類は上記分離
回収物から溶媒抽出、蒸留、アルカリ処理、酸処理等の
逐次的な処理方法、或いは、これらを適宜組み合わせた
操作等の通常の分離、精製法によって分離、精製し取得
する事が可能である。また、未反応原料は回収して、再
び反応系へリサイクルして使用する事も可能である。固
定床又は流動床流通連続反応方式で実施する場合には、
一部又は総てが失活もしくは活性低下した触媒を、反応
中断後、再生処理を行うことによって反応に供する事も
可能である。また、連続的もしくは断続的に触媒の一部
を抜き出し、再生後、再び反応器へリサイクルして、再
使用する事も可能である。更に、新たな触媒を連続的又
は断続的に反応器に供給する事も可能である。移動床式
流通連続反応、もしくは均一触媒流通反応方式で実施す
る際には、バッチ式反応と同様に触媒を分離、再生して
再使用する事が可能である。バッチ式反応の場合、反応
後に反応生成物を分離して回収された触媒はそのまま、
又はその一部もしくは全部を再生した後、繰り返して触
媒として反応に再度、使用する事も可能である。
【0051】
【実施例】以下本発明を実施例により、更に具体的に説
明する。しかしながら、本発明はこれら実施例のみに限
定されるものではない。
【0052】ポリアミドカルボン酸のN,N−ジメチル
ホルムアミド溶液調製以下の化合物を混合することによ
って、各種ポリアミドカルボン酸のN,N−ジメチルホ
ルムアミド溶液を調製した。 溶液1 2,2’−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパン0.01モルと3,3’,4,4’−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物0.01モルを混
合し、N,N−ジメチルホルムアミド1000gに溶解
せしめることにより溶液1を調製した。 溶液2 4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
0.01モルとピロメリット酸二無水物0.01モルを
混合し、N,N−ジメチルホルムアミド1000gに溶
解せしめることにより溶液2を調製した。 溶液3 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.01モルと
ピロメリット酸二無水物0.01モルを混合し、100
0gN,N−ジメチルホルムアミドに溶解せしめること
により溶液3を調製した。 溶液4 4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
0.01モルと4,4’−無水ビフタル酸0.01モル
を混合し、N,N−ジメチルホルムアミド1000gに
溶解せしめることにより溶液4を調製した。 溶液5 1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン0.0
1モルと3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物0.01モルを混合し、N,N−ジメ
チルホルムアミド1000gに溶解せしめることにより
溶液5を調製した。
【0053】触媒調製 触媒1:イオン交換樹脂のポリイミド付着被覆(1) 化学式(6)で表されるポリイミド(GE社製ウルテ
ム)0.3gをN−メチル−2−ピロリドン50mlに
溶解せしめた溶液中に、予めNa型にしておいたイオン
交換樹脂(アンバーリスト15)10gを懸濁させ、充
分に接触させた。その後、減圧下でN−メチル−2−ピ
ロリドンを除去後、得られた固体を200℃で2時間加
熱処理を行い被覆処理を行った。この被覆処理されたイ
オン交換樹脂を塩酸、次いでイオン交換水洗浄を行うこ
とによってプロトン型とし、100℃で6時間乾燥を行
うことによって触媒1を得た。
【0054】触媒2:イオン交換樹脂のポリイミド共重
合体付着被覆(1) 53gの溶液1と5.9gの溶液2を混合し、混合ポリ
アミドカルボン酸のN,N−ジメチルホルムアミド溶液
を調製した。混合溶液(ポリイミド換算で約0.4g)
に、予めNa型にしておいたイオン交換樹脂(アンバー
リスト15)10gを懸濁させ、充分に接触させた。そ
の後、減圧下でN,N−ジメチルホルムアミドを除去
後、得られた固体を200℃で2時間加熱処理を行うこ
とによって、化学式(7)と化学式(18)で表される
ポリイミド共重合体被覆処理を行った。この被覆処理さ
れたイオン交換樹脂を塩酸、次いでイオン交換水洗浄を
行うことによってプロトン型とし、100℃で6時間乾
燥を行うことによって触媒2を得た。
【0055】触媒3:イオン交換樹脂のポリイミド共重
合体付着被覆(2) 28.1gの溶液3と28.2gの溶液2と6.3gの
溶液4を混合し、混合ポリアミドカルボン酸のN,N−
ジメチルホルムアミド溶液を調製した。混合溶液(ポリ
イミド換算で約0.3g)に、予めNa型にしておいた
イオン交換樹脂(アンバーリスト15)10gを懸濁さ
せ、充分に接触させた。その後、減圧下でN,N−ジメ
チルホルムアミドを除去後、得られた固体を200℃で
2時間加熱処理を行うことによって、化学式(5)と化
学式(7)と化学式(9)の共重合体で表されるポリイ
ミド共重合体被覆処理を行った。この被覆処理されたイ
オン交換樹脂を塩酸、次いでイオン交換水洗浄を行うこ
とによってプロトン型とし、100℃で6時間乾燥を行
うことによって触媒3を得た。
【0056】触媒4:イオン交換樹脂のポリイミド共重
合体付着被覆(3) 7.0gの溶液3と7.0gの溶液2と1.6gの溶液
4を混合し、更に、50gのN,N−ジメチルホルムア
ミドを添加することにより、混合ポリアミドカルボン酸
のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製した。混合
溶液(ポリイミド換算で約0.075g)に、予めNa
型にしておいたイオン交換樹脂(アンバーリスト15)
10gを懸濁させ、充分に接触させた。その後、減圧下
でN,N−ジメチルホルムアミドを除去後、得られた固
体を200℃で2時間加熱処理を行うことによって、化
学式(5)と化学式(7)と化学式(9)の共重合体で
表されるポリイミド共重合体被覆処理を行った。得られ
た固体に対して、同様に調製した混合ポリアミドカルボ
ン酸のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用いた被覆
処理を同様の方法で3回繰り返し、合計で4回ポリアミ
ドカルボン酸被覆処理を行った。この被覆処理されたイ
オン交換樹脂を塩酸、次いでイオン交換水洗浄を行うこ
とによってプロトン型とし、100℃で6時間乾燥を行
うことによって触媒4を得た。
【0057】触媒5:イオン交換樹脂のポリイミド共重
合体付着被覆(4) 8.9gの溶液3と80.6gの溶液5を混合し、混合
ポリアミドカルボン酸のN,N−ジメチルホルムアミド
溶液を調製した。混合溶液(ポリイミド換算で約0.5
g)に、予めNa型にしておいたイオン交換樹脂(アン
バーリスト15)10gを懸濁させ、充分に接触させ
た。その後、減圧下でN,N−ジメチルホルムアミドを
除去後、得られた固体を200℃で2時間加熱処理を行
うことによって、化学式(5)と化学式(8)の共重合
体で表されるポリイミド共重合体被覆処理を行った。こ
の被覆処理されたイオン交換樹脂を塩酸、次いでイオン
交換水洗浄を行うことによってプロトン型とし、100
℃で6時間乾燥を行うことによって触媒5を得た。
【0058】触媒6:イオン交換樹脂のポリイミド反応
形成被覆(1) 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.150gを
N,N−ジメチルホルムアミド50mlに溶解せしめた
溶液中に、予めNa型にしておいたイオン交換樹脂(ア
ンバーリスト15)10gを懸濁させ、充分に接触させ
た。その後、減圧下でN,N−ジメチルホルムアミドを
除去後、得られた固体にピロメリット酸二無水物0.1
63gをアセトン50mlに溶解せしめた溶液を加え、
充分に接触させた。50℃で24時間攪拌後、減圧下で
アセトンを除去し、得られた固体を200℃で2時間加
熱処理を行うことによって、化学式(5)で表されるポ
リイミド被覆処理を行った。この被覆処理されたイオン
交換樹脂を塩酸、次いでイオン交換水洗浄を行うことに
よってプロトン型とし、100℃で6時間乾燥を行うこ
とによって触媒6を得た。
【0059】触媒7:イオン交換樹脂のポリイミド反応
形成被覆(2) 4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
0.259gをN,N−ジメチルホルムアミド50ml
に溶解せしめた溶液中に、予めNa型にしておいたイオ
ン交換樹脂(アンバーリスト15)10gを懸濁させ、
充分に接触させた。その後、減圧下でN,N−ジメチル
ホルムアミドを除去後、得られた固体にピロメリット酸
二無水物0.153gをアセトン50mlに溶解せしめ
た溶液を加え、充分に接触させた。50℃で24時間攪
拌後、減圧下でアセトンを除去し、得られた固体を20
0℃で2時間加熱処理を行うことによって、化学式
(7)で表されるポリイミド被覆処理を行った。この被
覆処理されたイオン交換樹脂を塩酸、次いでイオン交換
水洗浄を行うことによってプロトン型とし、100℃で
6時間乾燥を行うことによって触媒7を得た。
【0060】触媒8:イオン交換樹脂のポリアミドイミ
ド共重合体付着被覆(1) 化学式(10)と化学式(13)の共重合体で表される
ポリアミドイミド共重合体(Amoco社製トーロン)
0.3gをN−メチル−2−ピロリドン50mlに溶解
せしめた溶液中に、予めNa型にしておいたイオン交換
樹脂(アンバーリスト15)10gを懸濁させ、充分に
接触させた。その後、減圧下でN−メチル−2−ピロリ
ドンを除去後、得られた固体を200℃で2時間加熱処
理を行い被覆処理を行った。この被覆処理されたイオン
交換樹脂を塩酸、次いでイオン交換水洗浄を行うことに
よってプロトン型とし、100℃で6時間乾燥を行うこ
とによって触媒8を得た。
【0061】触媒9:イオン交換樹脂のポリアミドイミ
ド反応形成被覆(1) 4,4’−ジアミノジフェニルメタン0.266gを
N,N−ジメチルホルムアミド50mlに溶解せしめた
溶液中に、予めNa型にしておいたイオン交換樹脂(ア
ンバーリスト15)10gを懸濁させ、充分に接触させ
た。その後、減圧下でN,N−ジメチルホルムアミドを
除去後、得られた固体にトリメリット酸無水物0.25
8gをアセトン50mlに溶解せしめた溶液を加え、充
分に接触させた。50℃で24時間攪拌後、減圧下でア
セトンを除去し、得られた固体を200℃で2時間加熱
処理を行うことによって、化学式(12)で表されるポ
リアミドイミド被覆処理を行った。この被覆処理された
イオン交換樹脂を塩酸、次いでイオン交換水洗浄を行う
ことによってプロトン型とし、100℃で6時間乾燥を
行うことによって触媒9を得た。
【0062】反応生成液分析 反応生成液は、ガスクロマトグラフィーにより分析を行
った。 反応結果 反応結果は、空時収率(触媒1Lを使用した際、1時間
当たりに生成されるアルコールのグラム数)で表した。
【0063】実施例1 上記調製法により調製された触媒1を、流通式反応装置
においてプロピレン水和反応によるイソプロピルアルコ
ールの合成に用いた。触媒50ccを内径10mmのス
テンレス鋼製反応管に充填し、圧力100Kg/cm2
G、温度160℃、水を毎時30g(1.66モル)、
プロピレンを毎時30g(0.713モル)触媒層に供
給しプロピレンの水和反応を行った。所定時間経過後の
反応生成液を捕集し、ガスクロマトグラフィーにより分
析を行った。反応開始後20時間、100時間、200
時間経過後の空時収率(STY)を表1に掲げた。その
結果から、反応初期での活性低下は若干見られるが、そ
の後は活性を維持したまま反応が推移していることが判
る。
【0064】実施例2 触媒を触媒2に代えた以外は、実施例1と同様に実施し
た。反応開始後20時間、100時間、200時間経過
後の空時収率(STY)を表1に掲げた。200時間後
においても活性低下は殆ど認められなかった。
【0065】比較例1 実施例1において、触媒をイミド結合を有する有機ポリ
マー被覆処理処理を行わないアンバーリスト15(AL
−15と略称する。)とした以外は総て実施例1と同一
の条件で反応を実施した。反応開始後20時間、100
時間、200時間経過後の空時収率(STY)を表1に
掲げた。その結果から、被覆処理していない触媒は、活
性も低く、初期および、その後の活性低下が著しいこと
が判り、被覆処理が触媒活性、触媒寿命両方に有効であ
ることが判る。
【0066】
【表1】 表1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経過時間(hr) 20 100 200 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例1 STY 187 181 178 (触媒1) (g/l・hr) 実施例2 STY 162 158 155 (触媒2) (g/l・hr) 比較例1 STY 160 108 98 (AL−15) (g/l・hr) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0067】実施例3〜4 触媒3または4を、流通式反応装置においてプロピレン
水和反応によるイソプロピルアルコールの合成に用い
た。水を毎時45g(2.50モル)に代えた以外は、
実施例1と同様に行った。反応開始後20時間、100
時間、200時間経過後の空時収率(STY)を表2に
掲げた。200時間後においても活性低下は殆ど認めら
れなかった。
【0068】
【表2】 表2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経過時間(hr) 20 100 200 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例3 STY 187 176 165 (触媒3) (g/l・hr) 実施例4 STY 195 191 187 (触媒4) (g/l・hr) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0069】実施例5〜7 触媒5、6または7を、流通式反応装置においてプロピ
レン水和反応によるイソプロピルアルコールの合成に用
いた。水を毎時60g(3.33モル)に代えた以外
は、実施例1と同様に行った。反応開始後20時間、1
00時間、200時間経過後の空時収率(STY)を表
3に掲げた。200時間後においても活性低下は殆ど認
められなかった。
【0070】
【表3】 表3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経過時間(hr) 20 100 200 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例5 STY 222 219 220 (触媒5) (g/l・hr) 実施例6 STY 225 218 211 (触媒6) (g/l・hr) 実施例7 STY 215 208 199 (触媒7) (g/l・hr) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0071】実施例8 触媒8を、流通式反応装置においてプロピレン水和反応
によるイソプロピルアルコールの合成に用いた。条件
は、実施例1と同様に行った。反応開始後20時間、1
00時間、200時間経過後の空時収率(STY)を表
4に掲げた。
【0072】
【表4】 表4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経過時間(hr) 20 100 200 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例8 STY 166 148 137 (触媒8) (g/l・hr) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0073】実施例9 触媒9を、流通式反応装置においてプロピレン水和反応
によるイソプロピルアルコールの合成に用いた。条件
は、実施例3と同様に行った。反応開始後20時間、1
00時間、200時間経過後の空時収率(STY)を表
5に掲げた。
【0074】
【表5】 表5 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経過時間(hr) 20 100 200 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例9 STY 183 171 166 (触媒9) (g/l・hr) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0075】
【発明の効果】本発明に従えば、以下の効果が得られ
る。 (1)イミド結合を有する有機ポリマー被覆イオン交換
樹脂触媒を提供することが可能である。 (2)イミド結合を有する有機ポリマー被覆イオン交換
樹脂触媒を使用することによって、オレフィンを直接水
和して、アルコール類を収率および選択率良く製造する
ことが可能である。 (3)従来の方法に比較して、アルコール類を低温、低
圧の温和条件でも直接水和して製造することが可能であ
る。加えて反応装置等の腐蝕の殆どない条件で実施する
事が可能である。 (4)工業上重要なアルコール類を安全上、プロセス
上、経済上著しく優位に生産することが可能である。 (5)触媒の熱分解を防ぎ、反応液の中和処理を省いて
アルコール類を製造することが可能である。 (6)安定なアルコール類製造用不均一固体触媒を提供
可能である。 上述のように、本発明によって、イミド結合を有する有
機ポリマー被覆イオン交換樹脂触媒を提供すること、お
よびイミド結合を有する有機ポリマー被覆イオン交換樹
脂触媒を使用することにより、工業上著しく優れたオレ
フィンの水和によるアルコール類の製造方法を提供する
ことが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C09D 179/08 C09D 179/08 Z (72)発明者 井上 薫 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 山本 貞明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 井尾 博文 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ポリマーマトリックスに結合したス
    ルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂に、イミド
    結合を有する有機ポリマーによる被覆処理を施した触
    媒。
  2. 【請求項2】 イミド結合を有する有機ポリマーを、強
    酸性陽イオン交換樹脂の表面に付着せしめた請求項1記
    載の触媒。
  3. 【請求項3】 イミド結合を有する有機ポリマーを、強
    酸性陽イオン交換樹脂の表面上で反応形成させることを
    特徴とする請求項1記載の触媒。
  4. 【請求項4】 イミド結合を有する有機ポリマーが、一
    般式(1) 【化1】 (式中、R1 は、化学式(2) 【化2】 から選ばれた少なくとも1種の2価の基を表し、R2
    は、化学式(3) 【化3】 から選ばれた少なくとも1種の4価の基を表す。)で表
    されるポリイミド、またはポリイミド共重合体である請
    求項2または請求項3記載の触媒。
  5. 【請求項5】 イミド結合を有する有機ポリマーが、一
    般式(4) 【化4】 (式中、R1 は、化学式(2)から選ばれた少なくとも
    1種の2価の基を表す。)で表されるポリアミドイミド
    またはポリアミドイミド共重合体である請求項2または
    請求項3記載の触媒。
  6. 【請求項6】 上記、一般式(1)で表されるポリイミ
    ドが、化学式(5) 【化5】 、化学式(6) 【化6】 または化学式(7) 【化7】 で表され、ポリイミド共重合体が、その部分構造が化学
    式(5)と化学式(8) 【化8】 で表されるポリイミド共重合体、またはその部分構造が
    化学式(5)および化学式(7)と化学式(9) 【化9】 で表されるポリイミド共重合体である請求項4記載の触
    媒。
  7. 【請求項7】 上記、一般式(4)で表されるポリアミ
    ドイミドが、化学式(10) 【化10】 、化学式(11) 【化11】 または化学式(12) 【化12】 で表され、ポリアミドイミド共重合体が、その部分構造
    が化学式(10)と化学式(13) 【化13】 で表されるポリアミドイミド共重合体である請求項5記
    載の触媒。
  8. 【請求項8】 オレフィンの水和反応によりアルコール
    類を製造するに際し、請求項1記載の触媒を使用するこ
    とを特徴とするアルコール類の製造方法。
  9. 【請求項9】 オレフィンの水和反応を、水が液体状態
    で存在する条件下に行う請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 オレフィンが、炭素数2以上10以下
    の低級オレフィンよりなる群から選ばれた少なくとも一
    種である請求項8または9記載の方法。
  11. 【請求項11】 オレフィンが、プロピレンである請求
    項10記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017217279A1 (ja) * 2016-06-17 2017-12-21 株式会社トクヤマ イソプロピルアルコールの製造方法及び不純物が低減されたイソプロピルアルコール

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017217279A1 (ja) * 2016-06-17 2017-12-21 株式会社トクヤマ イソプロピルアルコールの製造方法及び不純物が低減されたイソプロピルアルコール
JPWO2017217279A1 (ja) * 2016-06-17 2019-04-04 株式会社トクヤマ イソプロピルアルコールの製造方法及び不純物が低減されたイソプロピルアルコール

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