JPH1176816A - 含塩溶液吸収用の吸収材料および吸収体 - Google Patents

含塩溶液吸収用の吸収材料および吸収体

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JPH1176816A
JPH1176816A JP9284393A JP28439397A JPH1176816A JP H1176816 A JPH1176816 A JP H1176816A JP 9284393 A JP9284393 A JP 9284393A JP 28439397 A JP28439397 A JP 28439397A JP H1176816 A JPH1176816 A JP H1176816A
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JP
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absorbing
salt
absorbent material
water
clay particles
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Application number
JP9284393A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Yui
浩 由井
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Frontier Co Ltd
Original Assignee
Frontier Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドリップ、血清溶液、体液、尿、海水等のイ
オンが高濃度で存在する含塩溶液に対して優れた吸収、
保持性能をもつ含塩溶液吸収用の吸収材料および吸収体
を提供する。 【解決手段】 第1の吸収材料を、層間膨潤性を有する
粘土粒子を主成分とするような吸収材料、あるいは、さ
らに粘土粒子100重量部に対して吸水性ポリマーを1
0〜500重量部の範囲で含有するような吸収材料と
し、第2の吸収材料を、吸水性ポリマーと層間膨潤性を
有する粘土粒子とを主成分とし、吸水性ポリマー100
重量部に対して粘土粒子を10〜500重量部の範囲で
含有するような吸収材料とし、透液性の担体シート上、
あるいは、担体シート間に上記の第1および第2のいず
れかの吸収材料を担持させて吸収体とし、また、透液性
の担体シートと不透液性フィルムとの間に上記の第1お
よび第2のいずれかの吸収材料を担持させて吸収体とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸収材料および吸収
体に係り、特にドリップ、血清溶液、体液、尿、海水等
の含塩溶液を吸収・保持するための吸収材料および吸収
体に関する。
【0002】
【従来の技術】吸水性ポリマーは、液体と接触すること
によりイオン浸透圧により液体を吸収し、一度吸収する
と、圧力をかけても液戻りを生じにくい特性を有し、こ
の特性を利用して衛生用品用、医療用、家庭用品用、食
品関連用等の種々の用途に用いられている。
【0003】しかし、従来の吸水性ポリマーでは、Na
+ 、K+ 等の1価金属イオンやMg2+、Ca2+等の多価
金属イオン等が存在する含塩溶液に対する吸収性能がイ
オン濃度の増大にともなって低下し、特に金属イオンが
存在する含塩溶液に対しては、金属イオンによる吸水性
ポリマーの架橋形成が生じてほとんど吸収しないという
問題があった。
【0004】このような問題を解消するために、イオン
が存在してもイオン架橋が生成しにくい耐塩性吸水性ポ
リマーが開発されている。しかし、このような耐塩性吸
水性ポリマーも、イオンが高濃度で存在する含塩溶液に
接触すると、耐塩性吸水性ポリマー自体が凝集しやす
く、吸収性能の大幅な低下を来すという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みてなされたものであり、ドリップ、血清溶
液、体液、尿、海水等のイオンが高濃度で存在する含塩
溶液に対して優れた吸収、保持性能をもつ含塩溶液吸収
用の吸収材料および吸収体を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、吸収材料の第1の発明は、層間膨潤性を有す
る粘土粒子を主成分とするような構成とした。
【0007】また、吸水性ポリマーを前記粘土粒子10
0重量部に対して10〜500重量部の範囲で含有する
ような構成とした。
【0008】さらに、前記吸水性ポリマーが耐塩性吸水
性ポリマーであるような構成とした。
【0009】吸収材料の第2の発明は、吸水性ポリマー
と層間膨潤性を有する粘土粒子とを主成分とし、吸水性
ポリマー100重量部に対して粘土粒子を10〜500
重量部の範囲で含有するような構成とした。
【0010】そして、上記の第1の発明および第2の発
明の吸収材料における粘土粒子を結晶層間に高極性の中
性非プロトン物質を膨潤活性物質として保持させた活性
化ベントナイトとするような構成とした。
【0011】本発明の吸収体は、透液性の担体シート
上、あるいは、担体シート間に上記のいずれかの吸収材
料を担持したような構成とした。
【0012】また、本発明の吸収体は、透液性の担体シ
ートと不透液性フィルムとの間に上記のいずれかの吸収
材料を担持したような構成とした。
【0013】上記のような本発明では、第1の発明の吸
収材料を構成する粘土粒子が、含塩溶液中に高濃度で存
在するイオンにほとんど影響されることなく結晶層間に
含塩溶液を吸収保持し、あるいは、吸水性ポリマーと共
同して含塩溶液を吸収保持し、また、第2の発明の吸収
材料を構成する粘土粒子が、含塩溶液中に高濃度で存在
するイオンによる吸水性ポリマーの凝集を防止して吸水
性ポリマーの吸収性能を維持するとともに、粘土粒子自
体も結晶層間に含塩溶液を吸収保持する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。第1の発明の吸収材料 本発明の吸収材料は、層間膨潤性を有する粘土粒子を主
成分とするような構成である。
【0015】本発明で使用する層間膨潤性を有する粘土
粒子としては、結晶層間に交換性陽イオンと水分子層を
有する結晶性粘土鉱物であるスメクタイト、バーミュキ
ュライトの粒子を挙げることができ、中でもスメクタイ
トに属するモンモリロナイト、ヘクトライトが好まし
い。実用の点からはモンモリロナイトを主成分とするベ
ントナイトが好ましい。結晶層間に高極性の中性非プロ
トン物質を膨潤活性物質として保持させた活性化ベント
ナイトは、イオン濃度の高い含塩溶液においても結晶層
間に多量の水を吸収できるとともに、膨潤状態にあって
も結晶層間に作用する層間引力が存在するので、吸収し
た水を保持することができ特に好ましい。活性化ベント
ナイトは、例えば、豊順鉱業(株)製のマルチゲル(商
標)等として市販されているものを使用することができ
る。
【0016】上記のような粘土粒子の平均粒子径は、
0.1μm〜3mm、好ましくは0.1〜100μm、
さらに好ましくは0.1〜20μmの範囲内が望まし
く、吸収材料の使用目的、被吸収体である含塩溶液の種
類、吸収体の構造等を考慮して適宜設定することができ
る。尚、市販の粘土粒子の平均粒子径が大きい場合は、
超音波による微粉化の後、さらに乳鉢等で粉砕して好ま
しい粒径に微粉化することが望ましい。
【0017】本発明の吸収材料は、主成分である上記の
粘土粒子の他に、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、石
英、長石、クリストバライト、マイカ、酸化チタン、酸
化亜鉛、アパタイト、アルギン酸ナトリウム、アルギン
酸プロピレングリコールエステル、カゼイン、カゼイン
ナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム、繊維素グ
リコール酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウ
ム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロ
ース等を0.01〜10重量%の範囲で含有するもので
あってもよい。このような本発明の吸収材料は、含塩溶
液中に高濃度で存在するイオンにほとんど影響されるこ
となく粘土粒子が結晶層間に含塩溶液を吸収保持するの
で、含塩溶液に対して優れた吸収、保持性能を示す。ま
た、粘土粒子が食品衛生上安全であることから、食品関
連用の用途に有用である。
【0018】また、本発明の吸収材料は、上記の粘土粒
子100重量部に対して更に吸水性ポリマーを10〜5
00重量部の範囲で含有するような構成である。
【0019】本発明で使用する吸水性ポリマーとして
は、ポリアクリル酸、ポリ(イソブチレン−マレイン
酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
−スルホン酸)、ポリ(アクリロキシプロパンスルホン
酸)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポロビニルア
ルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリド
ン、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルメ
チルエーテル、ポリビニルピリジン、ポリ(メタクリロ
イロキシエチル四級化アンモニウムクロリド)等のポリ
マーを挙げることができる。中でも、ポリ(N−ビニル
アセトアミド)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパン−スルホン酸)、ポリ(アクリロキシプロパ
ンスルホン酸)等の耐塩性吸水性ポリマーは、多価金属
イオンが存在する含塩溶液と接触してもイオン架橋が生
成せず、含塩溶液中で徐々に収縮することがない吸水性
ポリマーであり、特に好ましいものである。
【0020】この吸水性ポリマーの平均粒子径は、0.
1μm〜3mm、好ましくは0.1〜200μm、さら
に好ましくは0.1〜50μmの範囲内で設定すること
ができ、吸収材料の使用目的、被吸収体である含塩溶液
の種類、吸収体の構造等を考慮して適宜設定することが
できる。
【0021】吸水性ポリマーの粘土粒子100重量部に
対する含有量が10重量部未満であると、吸水性ポリマ
ーを添加した効果が発現されず、500重量部を超える
と、吸収材料の単位重量当たりの含塩溶液に対する吸収
性能が低下するので好ましくない。
【0022】粘土粒子と吸水性ポリマーとの混合方法は
特に制限はなく、乳鉢での混練、各種ミキサー等による
乾式混合等を用いることができる。
【0023】このような本発明の吸収材料は、含塩溶液
中に高濃度で存在するイオンにほとんど影響されること
なく粘土粒子と耐塩性吸水性ポリマーとが共同して含塩
溶液を吸収保持するので、含塩溶液に対して優れた吸
収、保持性能を示す。
【0024】上述のような本発明の吸収材料は、特にド
リップ(肉汁、魚汁)等のイオンが存在する含塩溶液に
対して優れた吸収、保持性能を有するものであり、ドリ
ップ吸収シートや食品脱水シート等の食品関連用等の種
々の用途に用いることができる。
【0025】本発明の吸収材料は、後述するような本発
明の吸収体等のようにシートに担持させた状態で使用す
ることができ、また、ビン等の容器に粉体のまま入れて
使用することも可能である。第2の発明の吸収材料 本発明の吸収材料は、吸水性ポリマーと層間膨潤性を有
する粘土粒子とを主成分とし、吸水性ポリマー100重
量部に対して粘土粒子を10〜500重量部の範囲で含
有するような構成である。
【0026】本発明で使用する吸水性ポリマーとして
は、ポリアクリル酸、ポリ(イソブチレン−マレイン
酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
−スルホン酸)、ポリ(アクリロキシプロパンスルホン
酸)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポロビニルア
ルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリド
ン、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルメ
チルエーテル、ポリビニルピリジン、ポリ(メタクリロ
イロキシエチル四級化アンモニウムクロリド)等のポリ
マーを挙げることができ、耐塩性吸水性ポリマーも使用
可能である。
【0027】上記の吸水性ポリマーの平均粒子径は、
0.1μm〜3mm、好ましくは0.1〜200μm、
さらに好ましくは0.1〜50μmの範囲内で設定する
ことができ、吸収材料の使用目的、被吸収体である含塩
溶液の種類、吸収体の構造等を考慮して適宜設定するこ
とができる。
【0028】本発明で使用する層間膨潤性を有する粘土
粒子は、上述の吸収材料の第1の発明において使用でき
る粘土粒子と同様である。
【0029】この粘土粒子の吸水性ポリマー100重量
部に対する含有量は、上述のように10〜500重量部
の範囲であり、好ましくは25〜200重量部、さらに
好ましくは50〜150重量部である。粘土粒子の含有
量が10重量部未満であると、金属イオンが高濃度で存
在する含塩溶液に接触することにより吸水性ポリマーの
凝集が生じて含塩溶液に対する吸収性能が大幅に低下す
る。一方、500重量部を超えると、吸収材料の単位重
量当たりの含塩溶液に対する吸収性能が低下するので好
ましくない。
【0030】吸水性ポリマーと粘土粒子との混合方法は
特に制限はなく、乳鉢での混練、各種ミキサー等による
乾式混合等を用いることができる。
【0031】本発明の吸収材料は、主成分である上記の
吸水性ポリマーおよび粘土粒子の他に、炭酸カルシウ
ム、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、アパタイト、セル
ロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレン
グリコールエステル、カゼイン、カゼインナトリウム、
繊維素グリコール酸カルシウム、繊維素グリコール酸ナ
トリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン
リン酸エステルナトリウム、メチルセルロース等を0.
01〜10重量%の範囲で含有するものであってもよ
い。
【0032】このような本発明の吸収材料は、粘土粒子
が含塩溶液中に高濃度で存在するイオンによる吸水性ポ
リマーの凝集を防止して吸水性ポリマーの吸収性能を維
持するとともに、粘土粒子自体も結晶層間に含塩溶液を
吸収保持するので、含塩溶液に対して優れた吸収、保持
性能を示す。特に、血清溶液、体液、血液含有溶液(生
理液を含む)、尿等のイオンが極めて高い濃度で存在す
る含塩溶液に対して優れた吸収、保持性能を有するもの
であり、紙おむつや生理処理用品等の衛生用品用、医療
廃液固化や手術用シート等の医療用、清掃シートやペッ
ト用アンダーシート等の家庭用品用等の種々の用途に用
いることができる。さらに、本発明の吸収材料は、上記
のようにイオンが極めて高い濃度で存在する含塩溶液を
吸収すると同時に、尿、体液等の臭いを吸収する効果も
有し、動物の排泄物の固化、消臭剤等の用途にも極めて
適している。また、揮発性有機物の吸収剤としても有効
である。
【0033】本発明の吸収材料は、後述するような本発
明の吸収体等のようにシートに担持させた状態で使用す
ることができ、また、ビン等の容器に粉体のまま入れて
使用することも可能である。吸収体 本発明の吸収体は、透液性の担体シート上、あるいは、
担体シート間に上記の本発明の吸収材料を担持したよう
な構成である。
【0034】図1は本発明の吸収体の一実施形態の概略
構成を示す断面図である。図1において、吸収体1は透
液性の担体シート2上に、本発明の吸収材料からなる吸
収層4を備えている。
【0035】透液性の担体シート2としては、不織布、
紙等を使用することができる。
【0036】また、吸収層4は吸収材料として本発明の
吸収材料を使用することを特徴とするものであり、形成
方法、構造には特に制限はなく、従来から公知の吸収体
における吸収層と同様とすることができる。例えば、透
液性の担体シート2上に本発明の吸収材料を散布した
後、ローラーによる圧着で吸収材料を固定したもの、透
液性の担体シート2にホットメルト接着剤を塗布し、こ
の上に本発明の吸収材料を散布して形成したもの、本発
明の吸収材料に粘着剤粒子を混合したものを透液性の担
体シート2上に散布して形成したもの等であってよい。
また、紙等の基材に上記のようにして本発明の吸収材料
の層を形成したものを予め作成し、これを担体シート2
上に固着してもよい。
【0037】吸収層4における吸収材料の量は、被吸収
液であるイオンが高濃度で存在する含塩溶液の量に応じ
て設定することができ、例えば、含塩溶液1mlに対し
て本発明の吸収材料が少なくとも0.01〜0.5gの
範囲で存在するように設定することができる。
【0038】図2は本発明の吸収体の他の実施形態の概
略構成を示す断面図である。図2において、吸収体11
は透液性の担体シート12の間に本発明の吸収材料から
なる吸収層14を備えている。
【0039】透液性の担体シート12は、上述の担体シ
ート2と同様とすることができる。また、図示例では、
担体シート12を封筒状に折り曲げたシート間に吸収層
14を設けているが、周辺の少なくとも一部を接着した
2枚の担体シート12の間に吸収層14を設けてもよ
い。
【0040】また、吸収層14は、上述の吸収層4と同
様に形成することができ、吸収層14における本発明の
吸収材料の量も、上述のように設定することができる。
例えば、透液性の担体シート12上の所定箇所に吸収層
14を形成し、その後、担体シート12を折り曲げて吸
収層14を担体シート12間に位置させることができ、
また、吸収層14を設けた担体シート12に対して、吸
収層14を覆うように他の担体シート12を重ね、周辺
部の少なくとも一部を接着してもよい。
【0041】さらに、本発明の吸収体は、透液性の担体
シートと不透液性フィルムとの間に上記の本発明の吸収
材料を担持したような構成でもよい。
【0042】図3は、このような本発明の吸収体の実施
形態の概略構成を示す断面図である。図3において、吸
収体21は透液性の担体シート22と不透液性の担体シ
ート23の間に本発明の吸収材料からなる吸収層24を
備えている。
【0043】透液性の担体シート22は、上述の担体シ
ート2と同様とすることができる。また、不透液性の担
体シート23は、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニル
シート、ポリ塩化ビニリデンシート、ポリプロピレンシ
ート等を使用することができる。このような透液性の担
体シート22と不透液性の担体シート23は、周辺の少
なくとも一部が接着されている。
【0044】吸収層24は、上述の吸収層4と同様に形
成することができ、吸収層24における本発明の吸収材
料の量も、上述のように設定することができる。例え
ば、図示例では、紙等の基材に上記のようにして本発明
の吸収材料の層を形成したものを予め作成し、これを挟
持するように透液性の担体シート22と不透液性の担体
シート23とを重ねて、周辺部の少なくとも一部を接着
することができる。
【0045】このような吸収体21の使用の一例とし
て、図3に想像線で描いたように、透液性の担体シート
22が下側となるように発泡スチロールトレー31上に
載置し、不透液性の担体シート23上に冷凍肉32を載
置して使用することができる。これにより、冷凍肉32
が直接的に吸収材料に接触しない使い方が可能であり、
解凍が進んで発生したドリップは、不透液性の担体シー
ト23上を流れて吸収体21の周辺部に至り、その後、
透液性の担体シート22を通過して吸収層24に吸収さ
れる。したがって、解凍した肉がドリップに長時間漬か
ることがなく、かつ、トリップが強制的に肉から吸い取
られることもなく、理想的な解凍状態を維持することが
できる。
【0046】
【実施例】次に、具体的な実施例を示して本発明を更に
詳細に説明する。 (実施例1)層間膨潤性を有する粘土粒子として、結晶
層間に高極性の中性非プロトン物質を膨潤活性物質とし
て保持させた活性化ベントナイト(豊順鉱業(株)製の
マルチゲル(商標))を準備し、これを超音波で粉砕し
た後、さらに乳鉢で粉砕して平均粒径10μmに微粉化
した。また、吸水性ポリマーとして、耐塩性吸水性ポリ
マーであるポリ(N−ビニルアセトアミド)(昭和電工
(株)製PNVA NA−010(平均粒径50μm以
下))および通常の吸水性ポリマーであるポリアクリル
酸系の吸水性ポリマーとして、三菱化学(株)製アクア
パールI250Hを準備した。次いで、上記の粘土粒子
と耐塩性吸水性ポリマー、吸水性ポリマーとを下記の表
1に示される割合で秤量して乳鉢で混合して吸収材料
(試料1〜7、比較試料1〜3)を作成した。
【0047】次に、上記の各吸収材料(試料1〜7、比
較試料1〜3)を用いて吸収体(試料1〜7、比較試料
1〜3)を作成した。すなわち、9.0cm×7.0c
mのティッシュペーパー上に吸収材料0.8gを均一に
散布し、これを9.5cm×7.5cmの不織布上に載
置し、吸収材料を覆うように13.0cm×9.5cm
の不透水性のポリエチレンフィルムを重ね、周辺部にお
いて不織布とプラスチックフィルムとを熱融着して図3
に示されるような吸収体とした。
【0048】このように作成した吸収体(試料1〜7、
比較試料1〜3)を発泡スチロールトレー上にプラスチ
ックフィルム側が上となるように載置し、この吸収体上
に冷凍肉150gを乗せて室温で5時間解凍した後、肉
汁吸収性を下記の基準で評価し、また、解凍後に調理し
た肉の味を評価して、結果を下記表1に示した。
【0049】肉汁吸収性の評価基準 ◎:生じた肉汁が吸収体に吸収されてトレー上にはみら
れなかった ○:生じた肉汁が吸収体に吸収されてトレー上にはほと
んどみられなかった △:生じた肉汁の一部が吸収体に吸収されがトレー上に
肉汁の残りがみられた ×:生じた肉汁は吸収体に吸収されずトレー上に溜った
【0050】
【表1】 表1から明らかなように、粘土粒子からなる吸収材料、
および、粘土粒子100重量部に対して10〜500重
量部の割り合いで吸水性ポリマーを含有する吸収材料を
用いた吸収体(試料1〜7)は、肉汁の吸収性に優れ、
解凍された肉の調理味は良好であった。
【0051】これに対して、比較の吸収体(比較試料1
〜3)はいずれも肉汁吸収性が低く、解凍された肉が長
時間肉汁に漬かっていたため、調理後の味は本来の肉が
もつ調理味から大きく劣るものであった。 (実施例2)吸水性ポリマーとして、ポリアクリル酸系
の吸水性ポリマー(三菱化学(株)製アクアパール I
250H)を準備した。また、層間膨潤性を有する粘土
粒子として、実施例1に使用したのと同じ活性化ベント
ナイト(豊順鉱業(株)製のマルチゲル(商標))を準
備し、これを超音波で粉砕した後、さらに乳鉢で粉砕し
て平均粒径10μmに微粉化した。
【0052】次いで、上記の粘土粒子と吸水性ポリマー
とを下記の表2に示される割合で秤量して乳鉢で混合し
て吸収材料(試料1〜5、比較試料1〜3)を作成し
た。
【0053】次に、上記の各吸収材料(試料1〜5、比
較試料1〜3)0.2gをシャーレに入れ、牛血清水溶
液4mlをシャーレ内に注いで吸収材料の吸収特性を下
記基準で評価し、結果を下記表2に示した。
【0054】吸収特性の評価基準 ◎:牛血清水溶液との接触により吸収材料全体がゲル化
した ○:牛血清水溶液との接触により吸水性ポリマーの一部
が凝集したが吸収材料全体がゲル化した △:牛血清水溶液との接触により吸水性ポリマーが凝集
し、吸収材料の一部しかゲル化しなかった ×:牛血清水溶液と接触しても吸収材料が全くゲル化し
なかった
【0055】
【表2】 表2から明らかなように、吸水性ポリマー100重量部
に対して10〜500重量部の割り合いで粘土粒子を含
有する吸収材料(試料1〜5)は、牛血清水溶液を吸収
してゲル化を生じ、吸収性に優れることが確認された。
【0056】これに対して、比較の吸収材料(比較試料
1〜3)は牛血清水溶液に対する吸収能がほとんどなく
実用に供し得ないものであった。 (実施例3)吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸系の
吸水性ポリマー(三菱化学(株)製アクアパール I2
50H)を100g、層間膨潤性を有する粘土粒子とし
て実施例1に使用したのと同じ活性化ベントナイト(豊
順鉱業(株)製のマルチゲル(商標))を超音波で粉砕
し、さらに乳鉢で粉砕して平均粒径10μmに微粉化し
たものを100g、さらに、アルギン酸ナトリウムを2
gの割合で秤量して乳鉢で混合して吸収材料(試料1)
を作成した。
【0057】次に、上記の吸収材料(試料1)0.2g
と、吸水性ポリマー(三菱化学(株)製アクアパール
I250H)0.2gとを、それぞれシャーレに入れ、
ハムスターの尿4mlをシャーレ内に注いだ。
【0058】その結果、試料1では尿との接触により吸
収材料全体がゲル化するとともに、ハムスターの尿特有
の臭いがなくなった。
【0059】これに対して、吸水性ポリマーは、尿との
接触により凝集して一部のみゲル化しただけで吸収特性
が不十分であり、また、ハムスターの尿特有の臭いが強
く感じられた。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば吸
収材料を、層間膨潤性を有する粘土粒子を主成分とする
ような吸収材料、あるいは、さらに粘土粒子100重量
部に対して吸水性ポリマーを10〜500重量部の範囲
で含有するような吸収材料とするので、この第1の発明
の吸収材料を構成する粘土粒子が、含塩溶液中に高濃度
で存在するイオンにほとんど影響されることなく結晶層
間に含塩溶液を吸収保持し、あるいは、吸水性ポリマー
と共同して含塩溶液を吸収保持し、これにより含塩溶液
に対して優れた吸収、保持性能を発現する。また、吸収
材料を、吸水性ポリマーと層間膨潤性を有する粘土粒子
とを主成分とし、吸水性ポリマー100重量部に対して
粘土粒子を10〜500重量部の範囲で含有するような
吸収材料とするので、この第2の発明の吸収材料を構成
する粘土粒子が、含塩溶液中に高濃度で存在するイオン
による吸水性ポリマーの凝集を防止して吸水性ポリマー
の吸収性能を維持するとともに、粘土粒子自体も結晶層
間に含塩溶液を吸収保持し、これにより含塩溶液に対し
て優れた吸収、保持性能を発現することが可能となり、
このような第1および第2の発明の吸収材料のいずれか
を透液性の担体シート上、あるいは、担体シート間に担
持させ、あるいは、透液性の担体シートと不透液性フィ
ルムとの間に担持させて吸収体とするので、ドリップ、
血清溶液、体液、尿、海水等のイオンが高濃度で存在す
る含塩溶液に対して優れた吸収、保持性能をもつ吸収体
が可能となり、また、上記の含塩溶液の臭いを吸収する
効果も奏され、さらに、揮発性有機物に対して優れた吸
収、保持性能をもつ吸収体が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収体の一実施形態の概略構成を示す
断面図である。
【図2】本発明の吸収体の他の実施形態の概略構成を示
す断面図である。
【図3】本発明の吸収体の他の実施形態の概略構成を示
す断面図である。
【符号の説明】
1,11,21…吸収体 2,12,22…透水性シート 4,14,24…吸収層 23…不透水性シート

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層間膨潤性を有する粘土粒子を主成分と
    することを特徴とする含塩溶液吸収用の吸収材料。
  2. 【請求項2】 さらに、吸水性ポリマーを前記粘土粒子
    100重量部に対して10〜500重量部の範囲で含有
    することを特徴とする請求項1に記載の含塩溶液吸収用
    の吸収材料。
  3. 【請求項3】 前記吸水性ポリマーが耐塩性吸水性ポリ
    マーであることを特徴とする請求項2に記載の含塩溶液
    吸収用の吸収材料。
  4. 【請求項4】 吸水性ポリマーと層間膨潤性を有する粘
    土粒子とを主成分とし、吸水性ポリマー100重量部に
    対して粘土粒子を10〜500重量部の範囲で含有する
    ことを特徴とする含塩溶液吸収用の吸収材料。
  5. 【請求項5】 前記粘土粒子が結晶層間に高極性の中性
    非プロトン物質を膨潤活性物質として保持させた活性化
    ベントナイトであることを特徴とする請求項1乃至請求
    項4のいずれかに記載の含塩溶液吸収用の吸収材料。
  6. 【請求項6】 透液性の担体シート上、あるいは、担体
    シート間に請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の吸
    収材料を担持したことを特徴とする含塩溶液吸収用の吸
    収体。
  7. 【請求項7】 透液性の担体シートと不透液性フィルム
    との間に請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の吸収
    材料を担持したことを特徴とする含塩溶液吸収用の吸収
    体。
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