JPH1175893A - 植物プランクトン濃度の定量方法 - Google Patents

植物プランクトン濃度の定量方法

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JPH1175893A
JPH1175893A JP9262898A JP26289897A JPH1175893A JP H1175893 A JPH1175893 A JP H1175893A JP 9262898 A JP9262898 A JP 9262898A JP 26289897 A JP26289897 A JP 26289897A JP H1175893 A JPH1175893 A JP H1175893A
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JP
Japan
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phytoplankton
concentration
reagent
mixer
superoxide
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JP9262898A
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English (en)
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Ryoichi Asai
亮一 旭井
Masao Karube
征夫 軽部
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KOKUSAI KANKYO GIJUTSU ITEN KENKYU CENTER
MIE PREF GOV
YOTSUKAICHISHI
Original Assignee
KOKUSAI KANKYO GIJUTSU ITEN KENKYU CENTER
MIE PREF GOV
YOTSUKAICHISHI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、赤潮発生を早期に発見するため
の、赤潮原因藻類の濃度を迅速、且つ簡便な方法で検知
する定量方法を提供するものである。 【解決手段】 本発明は、少なくともスーパーオキシド
及び/又は過酸化水素を放出する植物プランクトンを含
有する試料に、ペルオキシダーゼ/ルミノール系試薬を
含有する検出試薬を接触させ、その際に生ずる化学発光
の発光量を測定することにより植物プランクトン濃度を
定量することを特徴とする植物プランクトン濃度の定量
方法に係わり、該試料は、混合器に移送されている移送
液流路中途に注入され、該試料を含有する移送液は混合
器でウミホタルルシフェリン誘導体及び/又はペルオキ
シダーゼ/ルミノール系試薬を含有する検出試薬と混合
され、混合液はフローセルで化学発光させ、生成した発
光量を測定することにより植物プランクトン濃度を定量
するフローインジェクション分析法による植物プランク
トン濃度の定量方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物プランクトン濃度
の定量方法に関するものである。特に、赤潮を引き起こ
す原因となる植物プランクトンの濃度を、化学発光によ
る定量法にフローインジェクション法を適用することに
よって迅速、且つ簡便に定量する方法を提供するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】プランクトン濃度の計測は、一般に、採
取した海水中に存在する植物プランクトンの数を、例え
ばヘモサイトメーターを用いて肉眼により直接計測する
方法により行われている。しかしながら、この方法は、
細胞濃度(約数万個/ml)が高濃度の場合は信頼性が
あるが、それ以下の比較的低濃度では信頼性に欠けるた
め、赤潮発生前の状態を把握するのには適さず、しか
も、この方法で、それぞれの藻類の種類を判別するに
は、専門的な知識と熟練した経験とを必要とし限られた
藻類専門家しか実施できなかった。
【0003】一方、赤潮発生の原因となる植物プランク
トンとしてはラフィド藻綱、珪藻綱、渦鞭毛綱などに属
する種々の藻類が知られている。これらの藻類の中に
は、活性酸素種であるスーパーオキシドや過酸化水素を
放出するものがある。本発明者は、先に植物プランクト
ンが放出する活性酸素種のうち、スーパーオキシドに着
目し、このスーパーオキシドと特異的に反応して化学発
光するウミホタルルシフェリン誘導体を試薬として用い
る植物プランクトン濃度の定量方法を提案した(特開平
8−86756号)。しかしながら、この方法は、赤潮
原因藻類の一部の藻類、特にChattonella類
についての濃度を定量するのには有効であるが、多種類
の藻類に基づく赤潮発生を早期に検知するための方法と
しては必ずしも十分ではなかった。
【0004】一方、過酸化水素の定量方法としては、光
学的手法と電極法が知られている。光学的手法のうち、
蛍光法であるスコポレチン法は、蛍光物質が過酸化水素
と反応して非蛍光物質に変化するために、この蛍光強度
の減少から、過酸化水素を測定する方法であり、電極法
としては、過酸化水素をカタラーゼで分解し、その分解
により生ずる酸素を酸素電極により測定する方法である
(カタラーゼ法)。これらの方法は、測定装置が大がか
りであったり、検出感度が低く、さらには操作が煩雑で
あるため、海上の船舶やブイ等に設置して使用する方法
としては適当ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、赤潮発生を
早期に発見するための、赤潮原因藻類の濃度を迅速、且
つ簡便な方法で検知する定量方法を提供することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】ラフィド藻の一種である
Heterosigma akashiwoは、日本近海で発生する赤潮の
主な原因藻の一つであるので、赤潮発生を早期に予測す
るためには、このHeterosigma akashiwoの迅速な検知
が求められている。そして、このHeterosigmaakashiwo
がスーパーオキシドや過酸化水素などの活性酸素種を生
成することが知られている。そこで、本発明者等は、藻
類の放出する活性酸素種である過酸化水素に着目し、過
酸化水素に対して特異的に化学発光すると同時にスーパ
ーオキシドにも化学発光する試薬について検討を加えた
結果、ペルオキシダーゼ/ルミノール系試薬を使用する
ことにより過酸化水素とスーパーオキシドの両方に反応
して安定的、且つ選択的に化学発光し、両活性酸素種を
放出する植物プランクトンの濃度を定量し得ることを見
出し、更に検討を加えた結果、発光量を指標とするフロ
ーインジェクション分析法を適用することで簡便且つ迅
速に測定し得ることを見出し本発明を達成した。
【0007】即ち、本発明の第一の要旨は、少なくとも
スーパーオキシド及び/又は過酸化水素を放出する植物
プランクトンを含有する試料に、ペルオキシダーゼ/ル
ミノール系試薬を含有する検出試薬を接触させ、その際
に生ずる化学発光の発光量を測定することにより植物プ
ランクトン濃度を定量することを特徴とする植物プラン
クトン濃度の定量方法に存する。本発明の他の要旨は、
混合器に移送されている移送液流路中途に、少なくとも
スーパーオキシド及び/又は過酸化水素を放出する植物
プランクトンを含有する試料を注入し、該試料を含有す
る移送液は混合器でウミホタルルシフェリン誘導体及び
/又はペルオキシダーゼ/ルミノール系試薬を含有する
検出試薬と混合され、混合液はフローセルで化学発光さ
せ、生成した発光量を測定することにより植物プランク
トン濃度を定量することを特徴とする植物プランクトン
濃度の定量方法に存する。
【0008】
【発明の実施の態様】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の定量方法における検出試薬の一試薬として、ペ
ルオキシダーゼ/ルミノール系試薬を使用するが、ルミ
ノール(化学名:5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,
4−フタラジンジオン)は、アルカリ性で過酸化水素等
の酸化剤と触媒の存在下酸化されて化学発光(青白の
光:波長425nm)し、ペルオキシダーゼ(過酸化酵
素)は、この酸化反応の触媒の役目を果たすものであ
る。また、他の試薬であるウミホタルルシフェリン誘導
体は、スーパーオキシドとの反応特異性が高く、通常M
CLA(化学名:2−メチル−6−(4−メトキシ)フ
ェニル−3,7−ジヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラ
ジン−3−オン)として市販されているものを使用する
ことができる。このMCLAは、植物プランクトンのよ
うな生体から放出されるスーパーオキシドと反応し、2
−(N−アセチル)アミノ−5−(4−メトキシ)フェ
ニル−ピラジンに変換するが、その際化学発光(波長:
465nm)する。
【0009】本発明の定量方法では、検出試薬として主
に上記ペルオキシダーゼ/ルミノール系試薬を使用する
が、測定態様に応じウミホタルルシフェリン誘導体試薬
(MCLA)も用いて、プランクトンから放出されるス
ーパーオキシドと過酸化水素を同時に定量することを可
能にするものである。この検出試薬、MCLA、ルミノ
ール(Lum)及びペルオキシダーゼ/ルミノール系
(ARP/Lum)試薬の3種をそれぞれ個別に用い
て、各細胞濃度に調整された赤潮プランクトン(Hetero
sigma carterae:ヘテロシク゛マ カルテラエ類)を含む細胞懸濁液
と反応させ、反応により発生した発光強度を測定した結
果を第2図に示す。この結果によれば、MCLA及びル
ミノール試薬のいずれも単独で使用した場合、細胞濃度
(プランクトン数)と発光強度との間にほぼ直線性の相
関を示すが、発光量は低い。これに対し、ペルオキシダ
ーゼ/ルミノール系(ARP/Lum)試薬を使用した
場合、細胞濃度と発光強度が直線的相関性を示すと同時
にその発光強度は極めて高く、この試薬としての反応性
が優れていることは明らかである。この様に、細胞濃度
は発光量に依存し、数百個/ml〜数万個/mlの範囲
において直線的な相関性を有しており、その細胞濃度の
検出下限は数百個/mlであるので、スーパーオキシド
及び過酸化水素に特異的に反応するペルオキシダーゼ/
ルミノール系試薬を含む検出試薬により、優れた精度で
赤潮プランクトンの早期検知をすることができるのであ
る。場合により、測定の際スーパーオキシドに特異的に
反応するウミホタルルシフェリン誘導体試薬をペルオキ
シダーゼ/ルミノール系試薬と併用することも出来る。
【0010】本発明の検出試薬を用いた発光反応は、試
薬と試料の混合液のpHによってその強度が著しく変化
する(第3図)。従って、精度良く測定するためには、
適当なpH域で実施する必要があり、通常9.5〜1
0.5、好ましくはpH10.0付近が選定される。p
Hの調整は、緩衝溶液、例えばpH10.0の0.8M
の炭酸塩緩衝溶液を用いて行われる。検出試薬であるペ
ルオキシダーゼ/ルミノール系試薬は、pH10.0の
0.8M炭酸緩衝溶液中で、所定濃度となるようにルミ
ノール溶液及びペルオキシダーゼ溶液[ARP(Arthro
myces ramosus Peroxidase)溶液]を混合することに
より調製される。定量時に、試料との混合液中において
ペルオキシダーゼ/ルミノールの濃度が低いと十分な発
光量が得られないので、通常、溶液中のルミノールの濃
度は1〜35uMであり、又ペルオキシダーゼはその由
来源の種類にもよるが1〜6.25U/Lで用いられ
る。また、混合液中のウミホタルルシフェリン誘導体の
濃度は、あまりに多すぎると発光強度との相関性が失わ
れるので、通常1.5μmol/l以下、好ましくは
0.1〜0.8μmol/l範囲で用いられる。なお、
MCLAの濃度は、430nmにおける吸光係数(ε)
が9600(mol/l)-1cm-1であるものとして、MCLA
の溶液の吸光度から算出した。
【0011】本発明の定量方法は、発光反応による発光
量を指標とするフローインジェクション法に基づいて実
施するのが有利であり、その方法を実施するための検知
定量システムの一態様を第1図に従って説明する。図
中、人工海水等の移送液は容器(1)に蓄えられ、ポンプ
(3)により検出試薬との混合器(7)に連続的に移送される
が、その移送流路の中途に赤潮プランクトンを含む試料
(6)がインジェクター(5)により注入される。赤潮プラン
クトンを含む試料(6)は、予め保温設備を備えた容器
(図示せず)で培養されたものでも良く、その所定量が
インジェクター(5)により移送液中に供給され、混合器
に導かれる。試料の注入位置は、混合器の前であれば特
に制限されないが、試料の活性低下、発光強度に対する
応答時間の点からは混合器に近い方が有利である。
【0012】一方、検出試薬は、その容器(2)からポン
プ(4)により混合器(7)に送られ、試料を含む移送液と混
合される。検出試薬と試料液との混合は、回転流型混合
器で行うのが好ましく、混合器から得られる混合液は、
化学発光させるための装置であるフローセル(8)に送ら
れる。なお、移送液及び検出試薬の供給のためのポンプ
としてはペリスタポンプを使用するのが良い。また、検
出試薬は、MCLAとペルオキシド/ルミノール系試薬
はそれぞれ個別に調製し、使用されるが、場合により両
試薬を供給時に混合して使用しても良い。更に、試薬を
切り替えて定量する場合には、装置内の流路及び混合器
、フローセル等を脱イオン水で洗浄するのが好まし
い。
【0013】フローセルの典型的なものは、渦巻き状の
フローセルであり,このフローセルに流入する混合液量
が増加するに従って発光強度が増し、フローセル全体が
混合液で充満したとき発光強度は最高値に達する。それ
故、発光強度の測定を迅速に行うためには、単位時間当
たりの流入量を制御して短時間でフローセルを充填する
のが望ましい。フローセルには、化学発光による発光強
度を検出する装置として光電子増倍管が付設され、この
装置で得られた検出結果は必要に応じで情報化(出力電
圧への定量化)される。このような装置としては、光電
子増倍管とフォトカウンターの組合せがある。検出結果
に基づく定量化情報は、予め植物プランクトン濃度と発
光強度との相関により別途作成された検量線情報に基づ
いて、演算処理され試料中のプランクトン濃度が算出さ
れる。化学発光後の反応液は、フローセルから排出され
廃棄される。なお、混合器(7)、フローセル(8)及び光電
子倍増管(9)等を含む検知域の装置は、遮光のための暗
箱内に設置されている。
【0014】試料と検出試薬を含む混合液がフローセル
に流入し、化学発光することによって得られる発光強度
に応答した検出記録が示す典型的な信号はピーク状であ
る。例えば、ESM培地で培養したChattonel
la marinaを含む懸濁液の試料を注入し、同時
にMCLA試薬を供給して回転流型混合器を通じて渦巻
き状のフローセルに流し込むと、その入ってきた液の量
が増加するにつれて発光強度が増加し、フローセル全体
がこの混合液で充満されると発光強度はピークに達し、
その応答曲線は、フローインジェクション分析法特有の
ピーク状応答曲線を示した。このように、発光強度の応
答曲線は、フローインジェクション分析法特有のピーク
状の応答曲線であり、そのピーク高が測定される成分濃
度と相関しており、応答時間(試料注入から最高ピーク
に達する時間)は通常、約1分以内で終了する。従っ
て、試料の注入から化学反応による発光、発光に対する
応答曲線の最高値に達する時間をそれぞれ最適値に設定
すれば、極めて迅速な応答が得られ、しかもその応答時
間を見計らって、試料を間欠的に連続して注入すること
を可能にする。この様に、本発明の定量方法では、化学
発光による定量法にフローインジェクション法適用した
ことにより、一定量の試料を、ある間隔で連続的に、移
送液にインジェクションすることで連続的に、しかも短
時間で迅速に赤潮プランクトンを測定することができる
のである。
【0015】本発明方法において、スーパーオキシド及
び/又は過酸化水素を生成する植物プランクトンを含む
試料は、例えば海水から採取したものをそのまま、或い
は適当な濃度に希釈したものを使用することができる。
具体的には、プランクトン濃度と発光強度との相関が成
立する範囲であれば良く、数百個〜数万個/ml、好ま
しくは数百個〜数千個/mlの範囲で測定される。
【0016】本発明方法における化学発光は、赤潮原因
の植物プランクトンの中でも、特にスーパーオキシド及
び/又は過酸化水素を生成する植物プランクトンCha
ttonella marina、Chattonel
la antiqua、Heterosiguma a
kashiwo、Gymnodium mikimot
oi NIES−680、Chaetoceros d
idymum NIES−586、Nitzshia
Closterium B−16等に対し、特異的に見
出されるので、これらのプランクトンを選択的に定量す
ることを可能にする。植物プランクトンの活性、即ち活
性酸素種を放出する能力を十分発揮させるためには、移
送液と試料との混合液の温度が約20〜25℃となるよ
うに操作するのが好ましい。移送液は、植物プランクト
ン含有試料をフローセルに送ると同時にフローセル内で
の化学発光を阻害しないものであれば、特に制限されな
いが、人工海水が適当である。人工海水としては、簡便
には例えばジャマリンS(商品名:(株)ジャマリンラ
ボラトリー製)として市販されているものを使用でき
る。
【0017】
【実施例】次に、本発明方法を実施例により更に詳細に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実
施例に制限されるものではない。
【0018】実施例 1 第1図に示す検知定量システムを用いて、植物プランク
トン(Heterosigma carterae:ヘテロシク゛マ カルテラエ類)の細
胞濃度(プランクトン数)を変えた試料について、MC
LA試薬、ルミノール(Lum)試薬、ペルオキシダー
ゼ/ルミノール(ARP/Lum)試薬の3種の試薬を
用いて波長465nm(MCLA試薬の場合)又は42
5nm(ルミノール含有試薬の場合)における化学発光
の強度を測定した。MCLA試薬は、Mili-Q PLU
S(商品名:Millipore社、アメリカ)で処理した超純
水に溶かし、1mlずつ分注して−80℃に冷凍保存
し、化学発光の分析に際し、この冷凍保存したMCLA
溶液を、0.8M炭酸緩衝液(pH10.0)で希釈し
たものを用いた。MCLA溶液の濃度は430nmにおける
吸光係数(ε)が9600(mol/l)-1cm-1であるとして計算し
た。
【0019】ルミノール試薬は、ルミノール(和光純薬
社製)を0.8M炭酸緩衝液(pH10.0)に溶解
し、ルミノール濃度35uMとしたものである。又ペル
オキシダーゼ/ルミノール試薬は、微生物由来のペルオ
キシダーゼ(POD:ナカライタスク社製)を該炭酸緩
衝液に溶解し、濃度25mg/ml(6.25U/L)
としたものと先に調製した該ルミノール試薬を混合して
使用した。上記発光試薬溶液は失活しないように氷水で
冷やして測定に用いた。試料の植物プランクトンの懸濁
液の温度は恒温槽で20℃に制御した。
【0020】試料の測定前後は、各装置及び装置間の流
路に低濃度の酸性溶液を流し、次いで脱イオン水で測定
系の流路を洗浄した。測定は、発光試薬溶液とキャリヤ
ー溶液として人工海水をそれぞれ4ml/minで送液し
た。人工海水は、ジャマリンS(商品名:(株)ジャマ
リンラボラトリー製)を使用した。植物プランクトンの
懸濁液は、インジェクターにより100μlを流路中の
人工海水に注入した。注入されたプランクトン懸濁液
は、キャリヤー溶液により混合器に移送される。移送さ
れた懸濁液と発光試薬は、回転流型混合器で回転流によ
る乱流によって混合し、渦巻状のフローセルまで送液し
た。混合された液体から発した化学発光の強度は、光電
子倍増管(R1332、浜松フォトニックス)とフォトンカ
ウンター(C5410、浜松フォトニックス)を組み合わせ
て測定した。その結果を第2図に示した。同図に於い
て、縦軸は発光強度の測定値(mV)を示し、横軸はプ
ランクトン濃度(細胞数/ml)を示す。
【0021】又、上記植物プランクトン(Heterosigma
carterae)懸濁液に活性酸素消去酵素であるスーパーオ
キシドジスムターゼ(SOD:ウシ由来酵素;和光純薬
社製)及びカタラーゼを入れて測定した場合には、発光
が抑制された。これにより、プランクトン懸濁液の発光
がスーパーオキシドや過酸化水素に由来することが確認
された。同様な試験を、Chattonella marina,Chattonel
la antiqua,Heterosigma akashiwo及びOlisthodiscuc l
uteusの各プランクトンについても行い、同様な結果を
得た。尚、この試験では、植物プランクトンの懸濁液は
恒温槽で25℃に制御し、発光試薬と人工海水は各々
1.6ml/minで送液し、更に化学発光の強度は、
光電管を含んだ発光強度測定器(CHEMI-GLOW J4-7441,A
MERICAN INSTRUMENT COMPANY,USA)とレコーダー(SP-J
SC,RIKEN DENSHI Co.LTD)とを組合せて測定したこと以
外は、上記方法と同様にして操作した。
【0022】
【発明の効果】本発明方法によれば、赤潮の原因藻類で
あるスーパーオキシドや過酸化水素のような活性酸素を
放出するChattonella属等の藻類を迅速、且
つ簡便に高い精度で測定することができるので、赤潮被
害の発生を未然に防ぐための有効手段として利用可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を実施するための検知システムの
一態様を示す模式図である。
【図2】 本発明方法における3種の試薬を用いた場合
の化学発光の発光強度とプランクトン濃度(細胞数)と
の相関を示す。
【図3】 本発明方法における化学発光の発光強度と試
料のpHとの相関を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年9月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】 試料の測定前後は、各装置及び装置間
の流路に低濃度の酸性溶液を流し、次いで脱イオン水で
測定系の流路を洗浄した。測定は、発光試薬溶液とキャ
リヤー溶液として人工海水をそれぞれ4.0ml/mi
nで送液した。人工海水は、ジャマリンS(商品名:
(株)ジャマリンラボラトリー製)を使用した。植物プ
ランクトンの懸濁液は、インジェクターにより100μ
lを流路中の人工海水に注入した。注入されたプランク
トン懸濁液は、キャリヤー溶液により混合器に移送され
る。移送された懸濁液と発光試薬は、回転流型混合器で
回転流による乱流によって混合し、渦巻状のフローセル
まで送液した。混合された液体から発した化学発光の強
度は、光電管を含んだ発光強度測定器(CHEMI−G
LOW J4−7441,AMERICAN INST
RUMENTCOMPANY,USA)とレコーダー
(SP−JSC,RIKEN DENSHI Co.L
TD)とを組合せて測定した。その結果を第2図に示し
た。同図に於いて、縦軸は発光強度の測定値(mV)を
示し、横軸はプランクトン濃度(細胞数/ml)を示
す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】 又、上記植物プランクトン(Hete
rosigmacarterae)懸濁液に活性酸素消
去酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD:
ウシ由来酵素;和光純薬社製)及びカタラーゼを入れて
測定した場合には、発光が抑制された。これにより、プ
ランクトン懸濁液の発光がスーパーオキシドや過酸化水
素に由来することが確認された。同様な試験を、Cha
ttonella marina,Chattonel
la antiqua,Heterosigma ak
ashiwo及びOlisthodiscuclute
usの各プランクトンについても行い、同様な結果を得
た。尚、この試験では、植物プランクトンの懸濁液は恒
温槽で25℃に制御したこと以外は上記方法と同様にし
て操作した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 594166937 四日市市 三重県四日市市諏訪町1番5号 (72)発明者 旭井 亮一 東京都目黒区駒場四丁目6番1号 東京大 学先端科学技術研究センター内 (72)発明者 軽部 征夫 東京都目黒区駒場四丁目6番1号 東京大 学先端科学技術研究センター内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともスーパーオキシド及び/又は
    過酸化水素を放出する植物プランクトンを含有する試料
    に、ペルオキシダーゼ/ルミノール系試薬を含有する検
    出試薬を接触させ、その際に生ずる化学発光の発光量を
    測定することにより植物プランクトン濃度を定量するこ
    とを特徴とする植物プランクトン濃度の定量方法。
  2. 【請求項2】 混合器に移送されている移送液流路中途
    に、少なくともスーパーオキシド及び/又は過酸化水素
    を放出する植物プランクトンを含有する試料を注入し、
    該試料を含有する移送液は混合器でウミホタルルシフェ
    リン誘導体及び/又はペルオキシダーゼ/ルミノール系
    試薬を含有する検出試薬と混合され、混合液はフローセ
    ルで化学発光させ、生成した発光量を測定することによ
    り植物プランクトン濃度を定量することを特徴とする植
    物プランクトン濃度の定量方法。
  3. 【請求項3】 植物プランクトン濃度は、前記発光量の
    測定値から、予め設定された化学発光の発光量と植物プ
    ランクトン濃度との検量線情報に基づいて算出されるこ
    とよりなる請求項1又は2に記載の定量方法。
  4. 【請求項4】 スーパーオキシド及び/又は過酸化水素
    を放出する植物プランクトンがChattonella
    marina、Chattonella antiq
    ua、Heterosiguma akashiwo、
    Gymnodium mikimotoi NIES−
    680、Chaetoceros didymum N
    IES−586、Nitzshia Closteri
    um B−16から選ばれる少なくとも一種である請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の定量方法。
  5. 【請求項5】 前記検出試薬のpHは9.5〜10.5
    に調整されることよりなる請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の定量方法。
  6. 【請求項6】 前記試料は、20〜25℃の温度で培養
    したものを使用する請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の定量方法。
  7. 【請求項7】 混合器は回転流型混合器であり、フロー
    セルは渦巻き型フローセルである請求項2記載の定量方
    法。
  8. 【請求項8】 移送液は人工海水であることよりなる請
    求項2に記載の定量方法。
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