JPH1175888A - 光学活性1,2−インダンジオールの製造方法 - Google Patents
光学活性1,2−インダンジオールの製造方法Info
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- JPH1175888A JPH1175888A JP23820897A JP23820897A JPH1175888A JP H1175888 A JPH1175888 A JP H1175888A JP 23820897 A JP23820897 A JP 23820897A JP 23820897 A JP23820897 A JP 23820897A JP H1175888 A JPH1175888 A JP H1175888A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 光学活性なシス−1,2−インダンジオール
を工業的かつ安価に製造する。 【解決手段】 シス−1,2−インダンジオールとエス
テル類とを、リパーゼの存在下で有機溶媒中で反応させ
て、(−)−(1S,2R)−1,2−インダンジオー
ルを優先的にモノエステル化して(+)−(1R,2
S)−1,2−インダンジオールと分離する。分離後、
得られた(−)−(1S,2R)−1,2−インダンジ
オールのモノエステルをインダンジオールとする。ある
いは、シス−1,2−インダンジオールとエステル類と
を、リパーゼの存在下で有機溶媒中で反応させて、
((−)−(1S,2R)−1,2−インダンジオール
をジエステル化、(+)−(1R,2S)−1,2−イ
ンダンジオールをモノエステル化させ、生成されたジエ
ステル、モノエステルを分離した後、それぞれのジエス
テル、モノエステルをインダンジオールとする。
を工業的かつ安価に製造する。 【解決手段】 シス−1,2−インダンジオールとエス
テル類とを、リパーゼの存在下で有機溶媒中で反応させ
て、(−)−(1S,2R)−1,2−インダンジオー
ルを優先的にモノエステル化して(+)−(1R,2
S)−1,2−インダンジオールと分離する。分離後、
得られた(−)−(1S,2R)−1,2−インダンジ
オールのモノエステルをインダンジオールとする。ある
いは、シス−1,2−インダンジオールとエステル類と
を、リパーゼの存在下で有機溶媒中で反応させて、
((−)−(1S,2R)−1,2−インダンジオール
をジエステル化、(+)−(1R,2S)−1,2−イ
ンダンジオールをモノエステル化させ、生成されたジエ
ステル、モノエステルを分離した後、それぞれのジエス
テル、モノエステルをインダンジオールとする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は工業的に有用な光学
活性なシス−1,2−インダンジオールおよびそのエス
テル誘導体の製造方法に関するものである。
活性なシス−1,2−インダンジオールおよびそのエス
テル誘導体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シス−1,2−インダンジオールは抗H
IV薬等の中間体であるシス−1−アミノインダン−2
−オールの製造原料として有用である。例えば、本発明
者らは先に特願平6−298619において、シス−
1,2−インダンジオールを酸性条件下にアセトニトリ
ルと反応させて、シス−オキサゾリン誘導体とした後で
加水分解することでシス−1−アミノインダン−2−オ
ールが得られることを示している。また本発明者らは特
願平9−195402においてシス−1,2−インダン
ジオールから容易に誘導できるシス−2−アセトキシイ
ンダン−1−オールやを酸性条件下にアセトニトリルと
反応させれば上記の条件よりさらに穏和な条件下で反応
が進行し、同様の処理でシス−1−アミノインダン−2
−オールが得られることを示している。
IV薬等の中間体であるシス−1−アミノインダン−2
−オールの製造原料として有用である。例えば、本発明
者らは先に特願平6−298619において、シス−
1,2−インダンジオールを酸性条件下にアセトニトリ
ルと反応させて、シス−オキサゾリン誘導体とした後で
加水分解することでシス−1−アミノインダン−2−オ
ールが得られることを示している。また本発明者らは特
願平9−195402においてシス−1,2−インダン
ジオールから容易に誘導できるシス−2−アセトキシイ
ンダン−1−オールやを酸性条件下にアセトニトリルと
反応させれば上記の条件よりさらに穏和な条件下で反応
が進行し、同様の処理でシス−1−アミノインダン−2
−オールが得られることを示している。
【0003】一方、シス−1,2−インダンジオールに
はシス−(1S,2R)−1,2−インダンジオールと
シス−(1R,2S)−1,2−インダンジオールの2
種類の光学活性体が存在し、前述の両反応条件下で光学
活性なシス−1,2−インダンジオールを用いた場合、
生成物も光学活性体となる。光学活性シス−1,2−イ
ンダンジオールを用いる光学活性シス−1−アミノイン
ダン−2−オールの合成は前記、特願平9−19540
2に示されている。
はシス−(1S,2R)−1,2−インダンジオールと
シス−(1R,2S)−1,2−インダンジオールの2
種類の光学活性体が存在し、前述の両反応条件下で光学
活性なシス−1,2−インダンジオールを用いた場合、
生成物も光学活性体となる。光学活性シス−1,2−イ
ンダンジオールを用いる光学活性シス−1−アミノイン
ダン−2−オールの合成は前記、特願平9−19540
2に示されている。
【0004】近年では医薬品では生理活性を有する単一
の光学活性体が使用されることが多く、中間体にも光学
活性体が求められるようになっている。光学不活性な原
料を用いて医薬品やその中間体を製造する場合には最終
工程あるいは中間工程で生理活性を有する光学活性体の
分離が必要になるので、可能な限り出発物質に近い中間
体が光学活性体であることが経済的に好ましい。従っ
て、光学活性なシス−1,2−インダンジオールは極め
て有用な化合物である。
の光学活性体が使用されることが多く、中間体にも光学
活性体が求められるようになっている。光学不活性な原
料を用いて医薬品やその中間体を製造する場合には最終
工程あるいは中間工程で生理活性を有する光学活性体の
分離が必要になるので、可能な限り出発物質に近い中間
体が光学活性体であることが経済的に好ましい。従っ
て、光学活性なシス−1,2−インダンジオールは極め
て有用な化合物である。
【0005】これまで光学活性なシス−1,2−インダ
ンジオールの製造方法はいくつかの方法が知られてい
る。例えばWO96/37628ではメソ体の2−イン
ダノールを微生物で酸化してシス−1,2−インダンジ
オールを得ている。またWO96/11282では微生
物を利用してシス−1,2−インダンジオールを光学分
割して光学活性体を得る方法が開示されている。また、
J.Org.Chem.,58,1991(1993)
にはオスミウム錯体を用いて光学活性なシス−1,2−
インダンジオールを得る方法が示されている。後者はイ
ンデンから直接光学活性なシス−1,2−インダンジオ
ールを得る良い方法であるが、生成物の光学純度が80
%eeと低い欠点がある。またオスミウムを触媒として
使用するため有害な廃棄物が生じる恐れがある。一方、
前者の微生物を用いる方法は得られる光学活性体の光学
純度はよいものの、微生物の管理の困難さが伴うほか、
培養の容積効率は極めて悪く、簡便な方法とはいいがた
い。この様に光学活性なシス−1,2−インダンジオー
ルを得る簡便な方法は確立されていない。
ンジオールの製造方法はいくつかの方法が知られてい
る。例えばWO96/37628ではメソ体の2−イン
ダノールを微生物で酸化してシス−1,2−インダンジ
オールを得ている。またWO96/11282では微生
物を利用してシス−1,2−インダンジオールを光学分
割して光学活性体を得る方法が開示されている。また、
J.Org.Chem.,58,1991(1993)
にはオスミウム錯体を用いて光学活性なシス−1,2−
インダンジオールを得る方法が示されている。後者はイ
ンデンから直接光学活性なシス−1,2−インダンジオ
ールを得る良い方法であるが、生成物の光学純度が80
%eeと低い欠点がある。またオスミウムを触媒として
使用するため有害な廃棄物が生じる恐れがある。一方、
前者の微生物を用いる方法は得られる光学活性体の光学
純度はよいものの、微生物の管理の困難さが伴うほか、
培養の容積効率は極めて悪く、簡便な方法とはいいがた
い。この様に光学活性なシス−1,2−インダンジオー
ルを得る簡便な方法は確立されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光学活性な
シス−1,2−インダンジオールおよびそのエステル誘
導体を工業的かつ安価に製造する方法を提供することを
目的とする。
シス−1,2−インダンジオールおよびそのエステル誘
導体を工業的かつ安価に製造する方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは既にトラン
ス−2−ブロモインダン−1−オールを有機溶媒中、リ
パーゼの存在下にエステル類と反応させ、トランス−
(−)−(1R,2S)−2−ブロモインダン−1−オ
ールを優先的にエステル化してトランス−(1R,2
S)−1−アシルオキシ−2−ブロモインダンに転化し
て該インダンと光学活性なトランス−(+)−(1S,
2R)−2−ブロモインダン−1−オールとを分離する
ことで光学活性なトランス−2−ブロモインダン−1−
オールおよびそのエステル誘導体を製造する方法を発明
している。(特開平8−291095) しかし類似の
系を2つの水酸基を有するシス−1,2−インダンジオ
ールに適用するためには、立体選択性に加えて、1位と
2位の水酸基を区別する位置選択的反応でなければなら
ないため、シス−1,2−インダンジオールを有機溶媒
中、リパーゼ存在下にエステル類と反応させることは容
易ではない。本発明者らは特に反応物の組成と光学およ
び位置異性体の比率に着目し鋭意検討を進めた結果、本
発明を完成するに至った。
ス−2−ブロモインダン−1−オールを有機溶媒中、リ
パーゼの存在下にエステル類と反応させ、トランス−
(−)−(1R,2S)−2−ブロモインダン−1−オ
ールを優先的にエステル化してトランス−(1R,2
S)−1−アシルオキシ−2−ブロモインダンに転化し
て該インダンと光学活性なトランス−(+)−(1S,
2R)−2−ブロモインダン−1−オールとを分離する
ことで光学活性なトランス−2−ブロモインダン−1−
オールおよびそのエステル誘導体を製造する方法を発明
している。(特開平8−291095) しかし類似の
系を2つの水酸基を有するシス−1,2−インダンジオ
ールに適用するためには、立体選択性に加えて、1位と
2位の水酸基を区別する位置選択的反応でなければなら
ないため、シス−1,2−インダンジオールを有機溶媒
中、リパーゼ存在下にエステル類と反応させることは容
易ではない。本発明者らは特に反応物の組成と光学およ
び位置異性体の比率に着目し鋭意検討を進めた結果、本
発明を完成するに至った。
【0008】すなわち式1
【0009】
【化13】
【0010】で表されるシス−1,2−インダンジオー
ルと一般式2
ルと一般式2
【0011】
【化14】
【0012】(ただし式中、R1 、R2 は飽和または不
飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置
換または無置換のアラルキル基であり、同じでも異なっ
ていてもよい)で表されるエステル類をリパーゼの存在
下に有機溶媒中で反応させることにより、式3
飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置
換または無置換のアラルキル基であり、同じでも異なっ
ていてもよい)で表されるエステル類をリパーゼの存在
下に有機溶媒中で反応させることにより、式3
【0013】
【化15】
【0014】で表される(−)−(1S,2R)−1,
2−インダンジオールを優先的にエステル化して、一般
式4
2−インダンジオールを優先的にエステル化して、一般
式4
【0015】
【化16】
【0016】(ただしR1 は一般式2のR1 と同義であ
る)で表される(1S,2R)−2−アシルオキシイン
ダン−1−オールに転化させ、該インダンと式5
る)で表される(1S,2R)−2−アシルオキシイン
ダン−1−オールに転化させ、該インダンと式5
【0017】
【化17】
【0018】で表される(+)−(1R,2S)−1,
2−インダンジオールを分離することにより各光学活性
体の製造が可能であることを見出した。
2−インダンジオールを分離することにより各光学活性
体の製造が可能であることを見出した。
【0019】また、式1
【0020】
【化18】
【0021】で表されるシス−1,2−インダンジオー
ルと一般式2
ルと一般式2
【0022】
【化19】
【0023】(ただし式中、R1 、R2 は飽和または不
飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置
換または無置換のアラルキル基であり、同じでも異なっ
ていてもよい)で表されるエステル類をリパーゼの存在
下に有機溶媒中で反応させることにより、式3
飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置
換または無置換のアラルキル基であり、同じでも異なっ
ていてもよい)で表されるエステル類をリパーゼの存在
下に有機溶媒中で反応させることにより、式3
【0024】
【化20】
【0025】で表される(−)−(1S,2R)−1,
2−インダンジオールを優先的にジエステル化して、一
般式6
2−インダンジオールを優先的にジエステル化して、一
般式6
【0026】
【化21】
【0027】(ただしR1 は一般式2のR1 と同義であ
る)で表される(1S,2R)−1,2−ジアシルオキ
シインダンに転化させ、一方、式5
る)で表される(1S,2R)−1,2−ジアシルオキ
シインダンに転化させ、一方、式5
【0028】
【化22】
【0029】で表される(+)−(1R,2S)−1,
2−インダンジオールをモノエステル化して一般式7
2−インダンジオールをモノエステル化して一般式7
【0030】
【化23】
【0031】(ただしR1 は一般式2のR1 と同義であ
る)で表される(1R,2S)−1−アシルオキシイン
ダン−2−オールと一般式8
る)で表される(1R,2S)−1−アシルオキシイン
ダン−2−オールと一般式8
【0032】
【化24】
【0033】(ただしR1 は一般式2のR1 と同義であ
る)で表される(1R,2S)−2−アシルオキシイン
ダン−1−オールの混合物とし、得られた(1S,2
R)−1,2−ジアシルオキシインダンと、(1R,2
S)−1−アシルオキシインダン−2−オールと(1
R,2S)−2−アシルオキシインダン−1−オールの
混合物とを分離することにより、各光学活性体の製造が
可能であることを見出した。
る)で表される(1R,2S)−2−アシルオキシイン
ダン−1−オールの混合物とし、得られた(1S,2
R)−1,2−ジアシルオキシインダンと、(1R,2
S)−1−アシルオキシインダン−2−オールと(1
R,2S)−2−アシルオキシインダン−1−オールの
混合物とを分離することにより、各光学活性体の製造が
可能であることを見出した。
【0034】さらに詳細に本発明を説明する。
【0035】本方法は(−)−(1S,2R)−1,2
−インダンジオールと(+)−(1R,2S)−1,2
−インダンジオールを有機溶媒中でリパーゼが触媒とし
てエステル化する際に、このリパーゼが合計4種類の水
酸基を高い選択性で認識しそのエステル化の反応速度に
著しい差が表れることを利用した速度論的光学分割方法
である。
−インダンジオールと(+)−(1R,2S)−1,2
−インダンジオールを有機溶媒中でリパーゼが触媒とし
てエステル化する際に、このリパーゼが合計4種類の水
酸基を高い選択性で認識しそのエステル化の反応速度に
著しい差が表れることを利用した速度論的光学分割方法
である。
【0036】つまりラセミのシス−1,2−インダンジ
オールの1つの水酸基をエステル化する場合にはリパー
ゼは4種類の水酸基のうち(−)−(1S,2R)−
1,2−インダンジオールの2位の水酸基を区別してこ
れを速い速度でエステル化する。その他の水酸基をエス
テル化する速度はそれに比べ著しく遅く結果として
(+)−(1R,2S)−1,2−インダンジオールが
得られる。また、2つの水酸基をエステル化する場合、
反応は段階的に起こると考えられる。つまり1段階目で
リパーゼは(−)−(1R,2S)−1,2−インダン
ジオールの2位の水酸基を速い速度でエステル化する。
次にこのモノエステル誘導体の1位の水酸基を再び速い
速度でエステル化する。一方、(+)−(1R,2S)
−1,2−インダンジオールの1段階目のエステル化は
前記の2段階の反応より遅く、モノエステル化される。
このものエステル誘導体が再びエステル化される速度は
さらに遅く、結果として(−)−(1R,2S)−1,
2−インダンジオールから誘導される光学活性ジエステ
ル体と(+)−(1R,2S)−1,2−インダンジオ
ールから得られる光学活性モノエステル体として区別さ
れる。 原料となる式1のラセミ体のシス−1,2−イ
ンダンジオールは種々の方法で製造可能である。例えば
特開平8−119891によればインデンにギ酸/過酸
化水素を作用させた後、ギ酸を留去し得られる中間体に
水を加えて加水分解して1,2−インダンジオールを得
る。この生成物は一部トランス体を含む場合もあるが精
製すれば容易にシス体を得ることができる。
オールの1つの水酸基をエステル化する場合にはリパー
ゼは4種類の水酸基のうち(−)−(1S,2R)−
1,2−インダンジオールの2位の水酸基を区別してこ
れを速い速度でエステル化する。その他の水酸基をエス
テル化する速度はそれに比べ著しく遅く結果として
(+)−(1R,2S)−1,2−インダンジオールが
得られる。また、2つの水酸基をエステル化する場合、
反応は段階的に起こると考えられる。つまり1段階目で
リパーゼは(−)−(1R,2S)−1,2−インダン
ジオールの2位の水酸基を速い速度でエステル化する。
次にこのモノエステル誘導体の1位の水酸基を再び速い
速度でエステル化する。一方、(+)−(1R,2S)
−1,2−インダンジオールの1段階目のエステル化は
前記の2段階の反応より遅く、モノエステル化される。
このものエステル誘導体が再びエステル化される速度は
さらに遅く、結果として(−)−(1R,2S)−1,
2−インダンジオールから誘導される光学活性ジエステ
ル体と(+)−(1R,2S)−1,2−インダンジオ
ールから得られる光学活性モノエステル体として区別さ
れる。 原料となる式1のラセミ体のシス−1,2−イ
ンダンジオールは種々の方法で製造可能である。例えば
特開平8−119891によればインデンにギ酸/過酸
化水素を作用させた後、ギ酸を留去し得られる中間体に
水を加えて加水分解して1,2−インダンジオールを得
る。この生成物は一部トランス体を含む場合もあるが精
製すれば容易にシス体を得ることができる。
【0037】本反応で使用するエステル類はアシルドナ
ーとして作用している。本反応系においては酢酸ビニ
ル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニル等が用いられ、反応の選択性等の点から酢酸ビニ
ル、酢酸イソプロペニルが好ましい。
ーとして作用している。本反応系においては酢酸ビニ
ル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニル等が用いられ、反応の選択性等の点から酢酸ビニ
ル、酢酸イソプロペニルが好ましい。
【0038】有機溶媒としてはエーテル系溶媒、炭化水
素系溶媒が好ましい。その例としてはエーテル系の溶媒
としてジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、
ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン炭化水素
系の溶媒としてはベンゼン、トルエン、シクロヘキサ
ン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルペン
タン等があげられる。好ましくはエーテル系の溶媒があ
げられる。また反応の選択性や取扱の点からジイソプロ
ピルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、ジ
−n−ブチルエーテルが特に好ましい。有機溶媒の量は
特に規定しないが通常ラセミのシス−1,2−インダン
ジオールを溶かしかつスムーズに攪拌のできる量が望ま
しい。溶媒の量が少ない場合には攪拌不良になり、リパ
ーゼの不均一なスラリーとなって選択性が低下する可能
性がある。溶媒の量が多い場合には経済的に不利であ
る。
素系溶媒が好ましい。その例としてはエーテル系の溶媒
としてジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、
ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン炭化水素
系の溶媒としてはベンゼン、トルエン、シクロヘキサ
ン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルペン
タン等があげられる。好ましくはエーテル系の溶媒があ
げられる。また反応の選択性や取扱の点からジイソプロ
ピルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテル、ジ
−n−ブチルエーテルが特に好ましい。有機溶媒の量は
特に規定しないが通常ラセミのシス−1,2−インダン
ジオールを溶かしかつスムーズに攪拌のできる量が望ま
しい。溶媒の量が少ない場合には攪拌不良になり、リパ
ーゼの不均一なスラリーとなって選択性が低下する可能
性がある。溶媒の量が多い場合には経済的に不利であ
る。
【0039】本発明においてリパーゼはリパーゼPS
(シュードモナス属に属する菌(Pseudomona
ssp.)由来、天野製薬製)、リパーゼPPL(フル
カファインケミカルズ製)、リパーゼAK(Pseud
omonassp.由来、天野製薬製)、カンディダ
アンタルティカ(Candida antarctic
a)由来のリパーゼを用いることができる。特にシュー
ドモナス属に属する菌由来のリパーゼが好ましくその例
としてリパーゼPSがあげられる。
(シュードモナス属に属する菌(Pseudomona
ssp.)由来、天野製薬製)、リパーゼPPL(フル
カファインケミカルズ製)、リパーゼAK(Pseud
omonassp.由来、天野製薬製)、カンディダ
アンタルティカ(Candida antarctic
a)由来のリパーゼを用いることができる。特にシュー
ドモナス属に属する菌由来のリパーゼが好ましくその例
としてリパーゼPSがあげられる。
【0040】本発明でアシルドナーであるエステル類の
量は反応生成物の組成に影響する。エステル類をラセミ
のシス−1,2−インダンジオールに対して等モル使用
した場合、(+)−(1R,2S)−1,2−インダン
ジオールと(1S,2R)−2−アシルオキシインダン
−1−オールがほぼ1:1で得られる。この2種類の混
合物は物理化学的性質の違いを利用して蒸留、再結晶、
カラムクロマトグラフィー等の方法を組み合わせて分離
できる。
量は反応生成物の組成に影響する。エステル類をラセミ
のシス−1,2−インダンジオールに対して等モル使用
した場合、(+)−(1R,2S)−1,2−インダン
ジオールと(1S,2R)−2−アシルオキシインダン
−1−オールがほぼ1:1で得られる。この2種類の混
合物は物理化学的性質の違いを利用して蒸留、再結晶、
カラムクロマトグラフィー等の方法を組み合わせて分離
できる。
【0041】また、エステル類を2倍モル使用すると生
成物は2つの水酸基がいずれもエステル化された(1
R,2S)−1,2−ジアシルオキシインダンと、水酸
基の1つだけが位置選択性を持たずにエステル化された
(1S,2R)−1−アシルオキシインダン−2−オー
ルおよび(1S,2R)−2−アシルオキシインダン−
1−オールのモノエステル混合物がやはり1:1で得ら
れる。この3種類の混合物は先の方法と同様にしてジエ
ステル誘導体と2種類のモノエステル誘導体の2つに分
離することができる。アシルドナーであるエステル類の
量は以上のような点からラセミ体のシス−1,2−イン
ダンジオールに対して0.5当量モルから1.1当量モ
ルあるいは1.8当量モルから2.2当量モル使用する
ことが好ましい。それ以外の量を使用した場合、反応の
生成物がジオール、モノエステル、ジエステルの3種類
の混合物になりこれらを完全に分離するのは困難さを伴
う場合があり、好ましくない。
成物は2つの水酸基がいずれもエステル化された(1
R,2S)−1,2−ジアシルオキシインダンと、水酸
基の1つだけが位置選択性を持たずにエステル化された
(1S,2R)−1−アシルオキシインダン−2−オー
ルおよび(1S,2R)−2−アシルオキシインダン−
1−オールのモノエステル混合物がやはり1:1で得ら
れる。この3種類の混合物は先の方法と同様にしてジエ
ステル誘導体と2種類のモノエステル誘導体の2つに分
離することができる。アシルドナーであるエステル類の
量は以上のような点からラセミ体のシス−1,2−イン
ダンジオールに対して0.5当量モルから1.1当量モ
ルあるいは1.8当量モルから2.2当量モル使用する
ことが好ましい。それ以外の量を使用した場合、反応の
生成物がジオール、モノエステル、ジエステルの3種類
の混合物になりこれらを完全に分離するのは困難さを伴
う場合があり、好ましくない。
【0042】得られた光学活性ジオールは特願平6−2
98619あるいは特願平9−195402の方法で容
易に光学活性シス−1−アミノインダン−2−オールに
誘導することができる。また、光学活性モノエステル誘
導体は単一でも2種類の位置異性体である(1S,2
R)−1−アシルオキシインダン−2−オールおよび
(1S,2R)−2−アシルオキシインダン−1−オー
ルのモノエステル混合物でも特願平9−195402の
方法で容易に光学活性シス−1−アミノインダン−2−
オールに誘導することができる。さらに、光学活性モノ
エステル誘導体、ジエステル誘導体は水酸化ナトリウム
水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液
中で容易に加水分解して立体配置を保持したまま光学活
性シス−1,2−インダンジオールに誘導することがで
きる。従って本発明によれば、得られる生成物は全て光
学活性ジオールとしても使用することができる。つま
り、本発明は(+)−(1R,2S)−1,2−インダ
ンジオールの製造方法や(1S,2R)−2−アシルオ
キシインダン−1−オールの製造方法および(1S,2
R)−1,2−ジアシルオキシインダンの製造方法を提
供すると同時に、容易でかつ工業的なシス−1,2−イ
ンダンジオールの光学分割方法を提供するものである。
98619あるいは特願平9−195402の方法で容
易に光学活性シス−1−アミノインダン−2−オールに
誘導することができる。また、光学活性モノエステル誘
導体は単一でも2種類の位置異性体である(1S,2
R)−1−アシルオキシインダン−2−オールおよび
(1S,2R)−2−アシルオキシインダン−1−オー
ルのモノエステル混合物でも特願平9−195402の
方法で容易に光学活性シス−1−アミノインダン−2−
オールに誘導することができる。さらに、光学活性モノ
エステル誘導体、ジエステル誘導体は水酸化ナトリウム
水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液
中で容易に加水分解して立体配置を保持したまま光学活
性シス−1,2−インダンジオールに誘導することがで
きる。従って本発明によれば、得られる生成物は全て光
学活性ジオールとしても使用することができる。つま
り、本発明は(+)−(1R,2S)−1,2−インダ
ンジオールの製造方法や(1S,2R)−2−アシルオ
キシインダン−1−オールの製造方法および(1S,2
R)−1,2−ジアシルオキシインダンの製造方法を提
供すると同時に、容易でかつ工業的なシス−1,2−イ
ンダンジオールの光学分割方法を提供するものである。
【0043】
【発明の効果】この発明により、工業的に容易に(+)
−(1R,2S)−1,2−インダンジオール、(1
S,2R)−2−アシルオキシインダン−1−オールお
よび(1S,2R)−1,2−ジアシルオキシインダン
が得られるようになったと同時に、両光学活性体を全く
無駄にすることなくシス−1,2−インダンジオールを
光学分割することが可能となった。
−(1R,2S)−1,2−インダンジオール、(1
S,2R)−2−アシルオキシインダン−1−オールお
よび(1S,2R)−1,2−ジアシルオキシインダン
が得られるようになったと同時に、両光学活性体を全く
無駄にすることなくシス−1,2−インダンジオールを
光学分割することが可能となった。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。
明する。
【0045】反応の経時変化の追跡や生成物の確認は次
の高速液体クロマトグラフィー条件で行った。
の高速液体クロマトグラフィー条件で行った。
【0046】 使用カラム YMC−C8 A−202 カラム温度 40℃ 検出波長 UV 254nm 移動相流量 1.0ml/min 移動相組成 5分間、0.01Mリン酸水溶液:アセト
ニトリル 8:2、その後10分間で1:9に変えて1
0分間その比率で保持した後、5分間で初めの組成に変
える。
ニトリル 8:2、その後10分間で1:9に変えて1
0分間その比率で保持した後、5分間で初めの組成に変
える。
【0047】光学純度の測定は生成物を全てアルカリ水
溶液中で加水分解してシス−1,2−インダンジオール
として下記の条件で行った。
溶液中で加水分解してシス−1,2−インダンジオール
として下記の条件で行った。
【0048】 使用カラム カラム温度 30℃ 検出波長 UV 254nm 移動相流量 0.8ml/min 移動相 n−ヘキサン:2−プロパノール 90:10 誘導したシス−1,2−インダンジオールの絶対配置は
H.Beckerらの方法(Angew.Chem.I
nt.Ed.Engl.1996,35(4),44
8)に従って決定した。その絶対配置から、ジエステ
ル、モノエステルの絶対配置を決定した。
H.Beckerらの方法(Angew.Chem.I
nt.Ed.Engl.1996,35(4),44
8)に従って決定した。その絶対配置から、ジエステ
ル、モノエステルの絶対配置を決定した。
【0049】実施例1 200mlのナス型フラスコに(±)−シス−1,2−
インダンジオール1.51g(10mmol)、酢酸ビ
ニル0.86g(10mmol)、LipasePS
2g、モレキュラーシーブス 5粒、ベンゼン50ml
を入れ35℃で攪拌した。4時間後に反応溶液を濾過
し、溶媒を減圧下に除いた後、カラムクロマトグラフィ
ー(移動相ヘキサン:酢酸エチル 1:1)によって生
成物を分離精製した。シス−2−アセトキシインダン−
1−オールとシス−1,2−インダンジオールをそれぞ
れ収率37%、52%で得た。各々の成分を直接、また
はジオールに誘導した後に、上記分析条件で光学純度を
測定した値はそれぞれ80%ee、54%eeだった。
得られた各生成物の旋光度、HPLCの保持時間から絶
対配置は(1S,2R)−2−アセトキシインダン−1
−オール、(1R,2S)−1,2−インダンジオール
だった。
インダンジオール1.51g(10mmol)、酢酸ビ
ニル0.86g(10mmol)、LipasePS
2g、モレキュラーシーブス 5粒、ベンゼン50ml
を入れ35℃で攪拌した。4時間後に反応溶液を濾過
し、溶媒を減圧下に除いた後、カラムクロマトグラフィ
ー(移動相ヘキサン:酢酸エチル 1:1)によって生
成物を分離精製した。シス−2−アセトキシインダン−
1−オールとシス−1,2−インダンジオールをそれぞ
れ収率37%、52%で得た。各々の成分を直接、また
はジオールに誘導した後に、上記分析条件で光学純度を
測定した値はそれぞれ80%ee、54%eeだった。
得られた各生成物の旋光度、HPLCの保持時間から絶
対配置は(1S,2R)−2−アセトキシインダン−1
−オール、(1R,2S)−1,2−インダンジオール
だった。
【0050】実施例2 同様の操作を溶媒をジイソプロピルエーテルにして行っ
た。同じくシス−2−アセトキシインダン−1−オール
とシス−1,2−インダンジオールをそれぞれ収率30
%、60%で得た。各々の成分を直接、またはジオール
に誘導した後に、上記の分析条件で求めた光学純度はそ
れぞれ93%ee、51%eeだった。生成物の絶対配
置は(1S,2R)−2−アセトキシインダン−1−オ
ール、(1R,2S)−1,2−インダンジオールだっ
た。
た。同じくシス−2−アセトキシインダン−1−オール
とシス−1,2−インダンジオールをそれぞれ収率30
%、60%で得た。各々の成分を直接、またはジオール
に誘導した後に、上記の分析条件で求めた光学純度はそ
れぞれ93%ee、51%eeだった。生成物の絶対配
置は(1S,2R)−2−アセトキシインダン−1−オ
ール、(1R,2S)−1,2−インダンジオールだっ
た。
【0051】実施例3 実施例2と同様の操作をリパーゼをNovozym43
5に変えて行った。シス−2−アセトキシインダン−1
−オールとシス−1,2−インダンジオールをそれぞれ
収率23%、63%で得た。各々の成分を直接、または
ジオールに誘導した後に、上記の分析条件で求めた光学
純度は50%ee、52%eeだった。生成物の絶対配
置は(1S,2R)−2−アセトキシインダン−1−オ
ール、(1R,2S)−1,2−インダンジオールだっ
た。
5に変えて行った。シス−2−アセトキシインダン−1
−オールとシス−1,2−インダンジオールをそれぞれ
収率23%、63%で得た。各々の成分を直接、または
ジオールに誘導した後に、上記の分析条件で求めた光学
純度は50%ee、52%eeだった。生成物の絶対配
置は(1S,2R)−2−アセトキシインダン−1−オ
ール、(1R,2S)−1,2−インダンジオールだっ
た。
【0052】実施例4 200mlのナス型フラスコに(±)−シス−1,2−
インダンジオール1.51g(10mmol)、酢酸ビ
ニル0.86g(10mmol)、LipasePS
2g、モレキュラーシーブス 5粒、ターシャリーブチ
ルメチルエーテル50mlを入れ35℃で攪拌した。1
時間後に反応溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除いた後、
カラムクロマトグラフィー(移動相ヘキサン:酢酸エチ
ル 1:1)によって生成物を分離精製した。シス−2
−アセトキシインダン−1−オールとシス−1,2−イ
ンダンジオールをそれぞれ収率48%、49%で得た。
各々の成分を直接、またはジオールに誘導した後に、上
記分析条件で光学純度を測定した値はそれぞれ 100
%ee、98%eeだった。生成物の絶対配置は(1
S,2R)−2−アセトキシインダン−1−オール、
(1R,2S)−1,2−インダンジオールだった。
インダンジオール1.51g(10mmol)、酢酸ビ
ニル0.86g(10mmol)、LipasePS
2g、モレキュラーシーブス 5粒、ターシャリーブチ
ルメチルエーテル50mlを入れ35℃で攪拌した。1
時間後に反応溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除いた後、
カラムクロマトグラフィー(移動相ヘキサン:酢酸エチ
ル 1:1)によって生成物を分離精製した。シス−2
−アセトキシインダン−1−オールとシス−1,2−イ
ンダンジオールをそれぞれ収率48%、49%で得た。
各々の成分を直接、またはジオールに誘導した後に、上
記分析条件で光学純度を測定した値はそれぞれ 100
%ee、98%eeだった。生成物の絶対配置は(1
S,2R)−2−アセトキシインダン−1−オール、
(1R,2S)−1,2−インダンジオールだった。
【0053】実施例5 実施例4と同様の操作を溶媒をジ−n−ブチルエーテル
にして行った。シス−2−アセトキシインダン−1−オ
ールとシス−1,2−インダンジオールをそれぞれ収率
29%、56%で得た。各々の成分を直接、またはジオ
ールに誘導した後に、上記分析条件で光学純度を測定し
た値はそれぞれ99%ee、33%eeだった。生成物
の絶対配置は(1S,2R)−2−アセトキシインダン
−1−オール、(1R,2S)−1,2−インダンジオ
ールだった。
にして行った。シス−2−アセトキシインダン−1−オ
ールとシス−1,2−インダンジオールをそれぞれ収率
29%、56%で得た。各々の成分を直接、またはジオ
ールに誘導した後に、上記分析条件で光学純度を測定し
た値はそれぞれ99%ee、33%eeだった。生成物
の絶対配置は(1S,2R)−2−アセトキシインダン
−1−オール、(1R,2S)−1,2−インダンジオ
ールだった。
【0054】実施例6 200mlの3つ口フラスコに(±)−シス−1,2−
インダンジオール1.51g(10mmol)、酢酸ビ
ニル1.72g(20mmol)、LipasePS
2g、モレキュラーシーブス 5粒、ジ−iso−プロ
ピルエーテル50mlを入れ35℃で攪拌した。24時
間後に反応溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除いた後、カ
ラムクロマトグラフィー(移動相ヘキサン:酢酸エチル
1:1)によって生成物を分離精製した。シス−1,
2−ジアセトキシインダンとシス−1−アセトキシイン
ダン−2−オールおよびシス−2−アセトキシインダン
−1−オールの混合物をそれぞれ収率48%、36%で
得た。モノアセテートの混合物は1H−NMRから比率
はシス−1−アセトキシインダン−2−オール:シス−
2−アセトキシインダン−1−オール=44:56であ
った。両者とも誘導したシス−1,2−インダンジオー
ルの光学純度は上記分析条件で100%eeで(1R,
2S)−1,2−インダンジオールであった。またジア
セテートは100%eeで(1S,2R)−1,2−ジ
アセトキシインダンであった。
インダンジオール1.51g(10mmol)、酢酸ビ
ニル1.72g(20mmol)、LipasePS
2g、モレキュラーシーブス 5粒、ジ−iso−プロ
ピルエーテル50mlを入れ35℃で攪拌した。24時
間後に反応溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除いた後、カ
ラムクロマトグラフィー(移動相ヘキサン:酢酸エチル
1:1)によって生成物を分離精製した。シス−1,
2−ジアセトキシインダンとシス−1−アセトキシイン
ダン−2−オールおよびシス−2−アセトキシインダン
−1−オールの混合物をそれぞれ収率48%、36%で
得た。モノアセテートの混合物は1H−NMRから比率
はシス−1−アセトキシインダン−2−オール:シス−
2−アセトキシインダン−1−オール=44:56であ
った。両者とも誘導したシス−1,2−インダンジオー
ルの光学純度は上記分析条件で100%eeで(1R,
2S)−1,2−インダンジオールであった。またジア
セテートは100%eeで(1S,2R)−1,2−ジ
アセトキシインダンであった。
Claims (12)
- 【請求項1】式1 【化1】 で表されるシス−1,2−インダンジオールと一般式2 【化2】 (ただし式中、R1 、R2 は飽和または不飽和のアルキ
ル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置
換のアラルキル基であり、同じでも異なっていてもよ
い)で表されるエステル類をリパーゼの存在下に有機溶
媒中で反応させることにより、式3 【化3】 で表される(−)−(1S,2R)−1,2−インダン
ジオールを優先的にエステル化して、一般式4 【化4】 (ただしR1 は一般式2のR1 と同義である)で表され
る(1S,2R)−2−アシルオキシインダン−1−オ
ールに転化させ、該アシルオキシインダン−1−オール
と式5 【化5】 で表される(+)−(1R,2S)−1,2−インダン
ジオールを分離することを特徴とする(+)−(1R,
2S)−1,2−インダンジオールおよび(1S,2
R)−2−アシルオキシインダン−1−オールの製造方
法。 - 【請求項2】前記リパーゼがシュードモナス属由来のリ
パーゼであることを特徴とする請求項1記載の(+)−
(1R,2S)−1,2−インダンジオールおよび(1
S,2R)−2−アシルオキシインダン−1−オールの
製造方法。 - 【請求項3】前記有機溶媒がジイソプロピルエーテル、
ターシャリーブチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエ
ーテルからなる群の少なくとも1種類であることを特徴
とする請求項1または2記載の(+)−(1R,2S)
−1,2−インダンジオールおよび(1S,2R)−2
−アシルオキシインダン−1−オールの製造方法。 - 【請求項4】前記一般式2で表されるエステルが酢酸ビ
ニルまたは酢酸イソプロペニルであることを特徴とする
請求項1から3何れか1項記載の(+)−(1R,2
S)−1,2−インダンジオールおよび(1S,2R)
−2−アシルオキシインダン−1−オールの製造方法。 - 【請求項5】前記一般式2で表されるエステルをラセミ
体のジオールに対して等モル使用することを特徴とする
請求項1から4何れか1項記載の(+)−(1R,2
S)−1,2−インダンジオールおよび(1S,2R)
−2−アシルオキシインダン−1−オールの製造方法。 - 【請求項6】請求項1から5何れか1項記載の方法によ
って得られた(1S,2R)−2−アシルオキシインダ
ン−1−オールをアルカリ水溶液中で加水分解すること
を特徴とする(−)−(1S,2R)−1,2−インダ
ンジオールの製造方法。 - 【請求項7】式1 【化6】 で表されるシス−1,2−インダンジオールと一般式2 【化7】 (ただし式中、R1 、R2 は飽和または不飽和のアルキ
ル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置
換のアラルキル基であり、同じでも異なっていてもよ
い)で表されるエステル類をリパーゼの存在下に有機溶
媒中で反応させることにより、式3 【化8】 で表される(−)−(1S,2R)−1,2−インダン
ジオールを優先的にジエステル化して、一般式6 【化9】 (ただしR1 は一般式2のR1 と同義である)で表され
る(1S,2R)−1,2−ジアシルオキシインダンに
転化させ、一方、式5 【化10】 で表される(+)−(1R,2S)−1,2−インダン
ジオールをモノエステル化して一般式7 【化11】 (ただしR1 は一般式2のR1 と同義である)で表され
る(1R,2S)−1−アシルオキシインダン−2−オ
ールと一般式8 【化12】 (ただしR1 は一般式2のR1 と同義である)で表され
る(1R,2S)−2−アシルオキシインダン−1−オ
ールの混合物とし、得られた(1S,2R)−1,2−
ジアシルオキシインダンと、(1R,2S)−1−アシ
ルオキシインダン−2−オールと(1R,2S)−2−
アシルオキシインダン−1−オールの混合物とを分離す
ることを特徴とする、(1S,2R)−1,2−ジアシ
ルオキシインダンおよび(1R,2S)−1−アシルオ
キシインダン−2−オールと(1R,2S)−2−アシ
ルオキシインダン−1−オールとの混合物の製造方法。 - 【請求項8】前記リパーゼがシュードモナス属由来のリ
パーゼであることを特徴とする、請求項7記載の(1
S,2R)−1,2−ジアシルオキシインダンとおよび
(1R,2S)−1−アシルオキシインダン−2−オー
ルと(1R,2S)−2−アシルオキシインダン−1−
オールとの混合物の製造方法。 - 【請求項9】前記有機溶媒がジイソプロピルエーテル、
ターシャリーブチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエ
ーテルからなる群の少なくとも1種類であることを特徴
とする、請求項7または8記載の(1S,2R)−1,
2−ジアシルオキシインダンとおよび(1R,2S)−
1−アシルオキシインダン−2−オールと(1R,2
S)−2−アシルオキシインダン−1−オールとの混合
物の製造方法。 - 【請求項10】前記一般式2で表されるエステルが酢酸
ビニルまたは酢酸イソプロペニルであることを特徴とす
る、請求項7から9何れか1項記載の(1S,2R)−
1,2−ジアシルオキシインダンおよび(1R,2S)
−1−アシルオキシインダン−2−オールと(1R,2
S)−2−アシルオキシインダン−1−オールとの混合
物の製造方法。 - 【請求項11】前記一般式2で表されるエステルをラセ
ミ体のジオールに対して2倍モル使用することを特徴と
する、請求項7から10何れか1項記載の(1S,2
R)−1,2−ジアシルオキシインダンと、(1R,2
S)−1−アシルオキシインダン−2−オールと(1
R,2S)−2−アシルオキシインダン−1−オールの
混合物の製造方法。 - 【請求項12】請求項7から11何れか1項記載の方法
によって得られた(1S,2R)−1,2−ジアシルオ
キシインダンおよび(1R,2S)−1−アシルオキシ
インダン−2−オールと(1R,2S)−2−アシルオ
キシインダン−1−オールの混合物の一方を、アルカリ
水溶液中で加水分解することを特徴とする光学活性なシ
ス−1,2−インダンジオールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23820897A JPH1175888A (ja) | 1997-09-03 | 1997-09-03 | 光学活性1,2−インダンジオールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23820897A JPH1175888A (ja) | 1997-09-03 | 1997-09-03 | 光学活性1,2−インダンジオールの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1175888A true JPH1175888A (ja) | 1999-03-23 |
Family
ID=17026766
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23820897A Pending JPH1175888A (ja) | 1997-09-03 | 1997-09-03 | 光学活性1,2−インダンジオールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1175888A (ja) |
-
1997
- 1997-09-03 JP JP23820897A patent/JPH1175888A/ja active Pending
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