JPH1172480A - 埋設金属管の防食被覆損傷位置探査方法とその装置 - Google Patents

埋設金属管の防食被覆損傷位置探査方法とその装置

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JPH1172480A
JPH1172480A JP24772897A JP24772897A JPH1172480A JP H1172480 A JPH1172480 A JP H1172480A JP 24772897 A JP24772897 A JP 24772897A JP 24772897 A JP24772897 A JP 24772897A JP H1172480 A JPH1172480 A JP H1172480A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 埋設金属管の防食被覆損傷位置を簡単な構成
で且つ高感度で探査できる磁界法による方法及び装置を
提供することである。 【解決手段】 埋設金属管1に発信器5より交流信号電
流を流して該埋設金属管1の防食被覆損傷位置2に流出
入する電流i1により磁界Hを発生させると共に上記金
属管の管軸に沿った垂直面内で地表面に対して傾斜させ
かつ互いの軸を直交させて配置した2つのコイルを管軸
に沿って走査することにより各々磁界強度を連続的に検
出する。これにより検出信号間の相関をとり、その相関
出力信号の二乗和の極大値の位置から上記損傷位置を探
査する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、埋設金属管の防食
被覆損傷位置の磁界法による探査方法及び装置の改良に
係り、より詳細には地中に埋められた塗覆装金属管の塗
装損傷位置並びに該金属管と他の金属構造物との接触位
置を、該金属管と地中に埋設した対極との間に交流信号
電流を流し、該金属管の防食被覆損傷位置に流出入する
電流によって発生する磁界強度の変化を少なくとも2つ
のコイルを使用して地表面上において非接触で探査する
方法並びに埋設金属管の防食被覆損傷位置探査装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に地中に敷設する金属管、例えば都
市ガス埋設鋼管の外面は土壌腐食や電食を防止するため
にポリエチレン等の塗覆装と電気防食との二重の防食処
置がとられている。しかし、これら塗覆装金属管を敷設
した後に第三者の工事等で塗覆装が損傷を受けると、電
気防食装置からの防食電流がこの損傷部分に集中して周
囲に防食電流が行き渡らなくなり防食機能が低下する。
特に、この塗覆装損傷部分で他の金属埋設物と接触する
と防食電流が本来防食対象とはなっていない金属埋設物
にも流入するために大幅な防食電流の不足が生じて塗覆
装金属管の土壌腐食や電食が起こるおそれがある。
【0003】このように塗覆装が損傷を受け電気防食の
効果が懸念される場合には、何らかの方法で損傷位置を
探査し、掘削して補修する等の処置を施さなければなら
ない。従来からこの塗覆装損傷位置の探査方法として、
損傷部に電流を通じて地表面の電位変化からその位置を
知る電位法と、損傷部における磁界の強さの変化からそ
の位置を知る磁界法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電位法には直流法と、
例えば特開昭61−210935号公報および特開昭6
3−191049号公報に開示されているような交流法
の2種類があり、磁界法と比べると一般に塗覆装の微小
損傷の探査に優れているが、いずれも地表面にセンサを
接触させて電位分布を検出する方法であるために、アス
ファルトなどの電気抵抗の高い舗装路面では散水して感
度をあげる必要があるなど作業性が悪いという欠点があ
る。
【0005】一方、磁界法として、例えば特開昭63−
300991号公報には図4に示すように、埋設金属管
の直上から側方にずれた位置に、管軸(x軸)、直角
(y軸)、垂直(x軸)に設置したコイルLx,Ly,
Lzを管軸方向に移動して金属管1から発生する磁界強
度の変化を捕らえ、この磁界強度の急変部分を他金属管
4との接触位置として探査する方法が開示されている
が、管内電流I0の変化から磁界強度の変化を検出する
方法はコイルを3個必要とするので、回路が複雑とな
り、更に一般に磁界の変化点が明瞭でないために他金属
管との接触位置の特定が困難という問題点がある。
【0006】また、例えば特開昭63−78063号公
報には図5に示すように、発信器5を金属管1と対極と
に接続し、金属管1の塗覆装の損傷部分2に流出入する
漏れ電流i1によって生じる磁界強度をコイル軸をxz
面に平行に設置したコイル3を管軸に沿って移動して検
出し、その検出信号の極大値を塗覆装損傷位置として探
査する方法が開示されている。しかし、漏れ電流i1
一般に微小であるので、塗覆装損傷位置の特定が不正確
なことが多いことやデータの解析が容易でないという問
題点がある。
【0007】また、従来の磁界法においては磁界の強さ
をコイルの受信信号の振幅を読み取ることにより検出し
ているために検出感度が低いことから、特開昭61−2
10935号公報で開示されているような送信信号の一
部を参照信号として高感度にする同期検波法もあるが、
同期信号を伝送するための回路が必要となるために回路
構成が複雑となる、などの欠点があった。
【0008】本発明は、以上述べた従来の埋設金属管の
防食被覆損傷位置探査方法の問題点を解決し、埋設金属
管の防食被覆損傷位置及び他埋設金属体との接触位置を
簡単な装置で容易且つ正確に探査することを目的とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者が研究を行なった結果、 従来xz面内の磁界の測定には、1測定点につきx
軸方向とz軸方向の2方向に各1個づつ計2個のコイル
を使用しているが、コイルを地表面に対してほぼ45°
傾斜させることにより、1個の磁界検出用コイルにx軸
とz軸の両方向の成分を持たせることができるので、従
来よりも磁界検出用コイルの数を半減することができ
る、 原理的には1個の磁界検出用コイルでも間に合う
が、地表面に対してほぼ45°傾斜させた1のコイルで
検出された信号と、このコイルに直交する別のコイルで
検出された信号との相関をとることにより、同期検波法
のように同期信号を伝送するための回路を設けなくとも
高感度で磁界強度の検出ができる、 更に、上記方法で検出された相関出力を二乗和すれ
ば、磁界の角度変化に対して従来方法よりも2倍の感度
が得られる、などの知見を得て本発明を成すに至った。
【0010】従って本発明の埋設金属管の防食被覆損傷
位置探査方法は、外面に防食被覆を施して地中に埋設し
た金属管に交流信号電流を流して該埋設金属管の防食被
覆損傷位置に流出入する電流により磁界を発生させ、上
記金属管の管軸に沿った垂直面内で地表面に対して45
°傾斜させ且つ互いの軸を直交させて配置した別のコイ
ルを設け、これら2つのコイルを上記管軸に沿って走査
することにより各々磁界強度を連続的に検出し、この2
つのコイルの出力間の相関をとり、その相関出力信号か
ら磁界強度の変化を計測することにより埋設金属管の防
食被覆損傷位置を探査することを要旨とする。
【0011】また本発明の埋設金属管の防食被覆損傷位
置探査装置は、地中に埋設した外面に防食被覆を施した
金属管と対極との間に交流信号電流を流す発信器と、該
発信器から上記埋設金属管の防食被覆損傷位置に流出入
する電流により発生する磁界強度を検出するための管軸
に沿った垂直面内に地表面に対して傾斜させ且つ互いに
直交させて配置した2つのコイルと、該コイルを上記金
属管の管軸に沿って走査することにより検出された出力
信号からノイズを除去する回路と、ノイズを除去した出
力信号を移相させる回路と、移相された信号を相関演算
する回路と、相関出力信号から埋設金属管の防食被覆損
傷位置を表示する表示装置とから構成されることを要旨
とする。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
により具体的に説明する。図1は本発明による埋設金属
管の防食被覆損傷位置の探査方法を示す概略図である。
図1において、1は電気防食対象物である埋設金属管、
4は埋設金属管に接触している他の金属構造物(例えば
水道管)であり、埋設金属管1と金属構造物4とは塗覆
装の損傷部分2で電気的接続状態にある。5は埋設金属
属管1に交流信号電流を流すための発信器であり、この
発信器の他極は地中に埋設された対極6(例えば電気防
食用マグネシウム陽極)と接続されている。3aおよび
3bは埋設金属管1に交流信号電流を流したときに塗覆
装の損傷部分から流出入する電流による地表面の磁界強
度を検出するコイルであり、コイル3aおよび3bは地
表面に対してそれぞれφ1=45°,φ2=45°の角度
で傾斜させられ、略V字形またはハ字形(φ1=135
°,φ2=135°)をなし、且つ、両コイルはコイル
軸の延長線上で直交するように配置されている。
【0013】本発明の方法では、発信器5より金属管1
に交流信号電流を流すと共にコイル3a,3bを金属管
1の管路付近を矢印方向に走査する。塗覆装の損傷がな
い金属管1上では管内電流I0のみであるから発生磁界
は管軸に沿った方向でほぼ一定である。そして塗覆装の
損傷部分に近づくにつれてその部分に流出入する電流の
密度が大きくなるので発生磁界は管軸に沿った方向で大
きさが変化し、その変化割合は大きくなって損傷部分の
直上付近で極大となる。従ってコイル3a,3bの走査
により磁界強度を連続的に検出し、その各検出信号間の
相関をとり、各相関出力信号の二乗和の値を求めると、
その値の極大値となるコイルの走査位置が埋設金属管1
の防食被覆損傷位置である。
【0014】図2は上記方法を実施するための埋設金属
管の防食被覆損傷位置探査装置の概略構成を示す。同図
において、7a,7bはコイル3a,及び3bのリード
線、8a,8bは増幅器、9a,9bはバンドパスフィ
ルタ、10a,10bは移相回路、11a,11bは相
関をとるための掛算回路、12a,12bはローパスフ
ィルタである。また、13a,13bは相関出力E1
2をそれぞれ二乗する二乗回路、14は二乗和を得る
ための加算回路、15は加算回路14の出力信号を表示
する記録計などの表示器である。なお、12a,12b
と13a,13bとを合わせた回路は、包絡線検波器ま
たは全波整流回路でも二乗回路と同様の効果が得られ
る。なお、図2において、埋設金属管、発信器等の図示
は省略した。
【0015】この装置において、xz平面に沿ってφ1
=φ2=π/4(45°)の傾きを持たせたコイル3a
及び3bを、埋設金属管に交流信号電流を流すことによ
り発生する傾きθの磁界H内で走査して得られた誘導信
号(検出信号)は、増幅器8a及び8bで増幅された
後、バンドパスフィルタ9a、9bで信号周波数以外の
雑音が除去されてから、移相回路10a、10bで位相
をそれぞれ45°づつ移相され、掛算回路11a、11
bに与えられ、該回路によりコイル3a、3bの出力を
移相した各信号間の相関演算が行われ、ローパスフィル
タ12a、12bで掛算回路の相関出力信号から交流分
が除去されて直流分が抽出される。このようにして得ら
れた直流分の相関出力E1及びE2は二乗回路13a、
13bで二乗され加算器14で加算されて二乗和出力η
が得られ、表示装置15に表示される。
【0016】ここでコイル3a及び3bの出力の大きさ
は、 esa=Hcos(θ+π/4) esb=Hcos(θ−π/4) に比例する。よって、相関後の出力E1及びE2は E1=A・H2cos(θ+π/4)cos(θ−π/
4)cosπ/4 E2=A・H2cos(θ+π/4)cos(θ−π/
4)cos(−π/4) (Aは増幅器8a、8bの利得) となるので、E1,E2の二乗和出力ηは η=(E12+(E22=k・H4(cos2θ)2 …(1) のように表わされる。なお、kは比例定数である。
【0017】塗覆装の損傷がない埋設金属管上では管内
電流I0のみであるのでH≒0となりη=0であるが、
塗覆装の損傷部分に近づくにつれて塗覆装の損傷部分に
流出入する電流i1電流密度が大きくなってxz面内に
磁界Hが傾きθをもって生じるのでηは次第に大きくな
り、更に損傷部分の直上では磁界のz成分が無くなるた
めにθ=0°になってηは極大値を示す。
【0018】従って表示装置15の画面上で二乗和出力
ηが極大となる管軸(x軸)1上の位置が損傷部分を表
示していることになり、容易に埋設金属管の塗覆装の損
傷部分を探査することができる。
【0019】なお、本発明では損傷位置探査のためにコ
イルによる検出信号の相関出力の二乗和をとっているの
で、式(1)から分かるように磁界Hの角度θに対して
二乗和出力ηはcos2θで変化し、磁界角度θの変化
に対する感度は従来の方法の2倍となるので、磁界強度
の変化が明瞭に表れるから探査が容易である。なお、二
乗和をとることなく、ローパスフィルタ12a,12b
の出力E1,E2を直接に2チャンネル表示器またはレコ
ーダに表示させても、埋設金属管の塗覆装の損傷部分を
探査することができる。
【0020】
【実施例】地表面から1.5mの深さに水平に埋設した
直径100mmのポリエチレンライニング鋼管の給電点
から23m地点に100cm2(10cm×10cm)
の模擬塗覆装損傷部を作り、信号周波数がハムの影響の
少ない725Hzの交流信号電流を上記鋼管に流し、図
2に示した装置のコイル3a,3bを図1に示すように
該埋設管に沿って走査して損傷部の探査を行なった。そ
の探査結果を図3に示す。実験結果の二乗和出力ηの波
形はほぼ23m付近で極大値を示し、式(1)と良い一
致が見られた。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、従
来の装置よりも少ないコイル数で、且つ同期検波法をと
ることなく簡単な回路構成で埋設金属管の防食被覆損傷
位置を高感度で探査できるので、定期的に或いは電気防
食効果の低減が発見された時などに埋設金属管の診断を
行なうことにより損傷位置を正確に把握できて、塗覆装
を補修する際の掘削位置の誤認による無駄な費用の大幅
な削減ができ、また、都市ガス埋設鋼管からのガス漏れ
等の事故を未然に防ぐことができるなどの優れた効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による埋設金属管の防食被覆損傷位置の
探査方法を示す概略図である。
【図2】本発明の埋設金属管の防食被覆損傷位置検知装
置の検知器の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の試験結果により埋設金属管の防食被覆
損傷位置を探査した際の出力波形を示すグラフである。
【図4】従来の埋設金属管の防食被覆損傷位置探査方法
の一例を示す概略図である。
【図5】従来の埋設金属管の防食被覆損傷位置探査方法
の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 埋設金属管 2 塗覆装の損傷部分 3,3a,3b コイル 4 他の金属構造物 5 発信器 6 対極 7a,7b リード線 8a,8b 増幅器 9a,9b バンドパスフィルタ 10a,10b 移相回路 11a,11b 掛算回路 12a,12b ローパスフィルタ 13a,13b 二乗回路 14 加算回路 15 表示装置 I0 管内電流 i1 漏れ電流 E1,E2 相関出力 H 磁界 η 出力 θ 磁界の傾き φ1,φ2 コイルの傾き Lx,Ly,Lz コイル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外面に防食被覆を施して地中に埋設した
    金属管に交流信号電流を流して該埋設金属管の防食被覆
    損傷位置に流出入する電流により磁界を発生させるとと
    もに、上記金属管の管軸に沿った垂直面内で地表面に対
    して45°傾斜させ且つ互いの軸を直交させて配置した
    2つのコイルを上記管軸に沿って走査することにより各
    々磁界強度を連続的に検出し、この2つのコイルの出力
    間の相関をとり、その相関出力信号から磁界強度の変化
    を計測することにより埋設金属管の防食被覆損傷位置を
    探査することを特徴とする埋設金属管の防食被覆損傷位
    置探査方法。
  2. 【請求項2】 地中に埋設した外面に防食被覆を施した
    金属管と対極との間に交流信号電流を流す発信器と、該
    発信器から上記埋設金属管の防食被覆損傷位置に流出入
    する電流により発生する磁界強度を検出するための管軸
    に沿った垂直面内に地表面に対して45°傾斜させ且つ
    互いに直交させて配置した2つのコイルと、該コイルを
    上記金属管の管軸に沿って走査することにより検出され
    た出力信号からノイズを除去する回路と、ノイズを除去
    した出力信号を移相させる回路と、移相された信号を相
    関演算する回路と、相関出力信号から、埋設金属管の防
    食被覆損傷位置を表示する表示装置とから構成されるこ
    とを特徴とする埋設金属管の防食被覆損傷位置探査装
    置。
  3. 【請求項3】 上記表示装置は、相関出力信号の二乗和
    を計算する回路と、その二乗和を表示する装置とから成
    ることを特徴とする請求項2に記載の防食被覆損傷位置
    探査装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009505322A (ja) * 2005-08-22 2009-02-05 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 高周波中央開口トラッキング
JP2014199227A (ja) * 2013-03-29 2014-10-23 大阪瓦斯株式会社 埋設管探知装置の受信器
CN106104306A (zh) * 2014-03-17 2016-11-09 富士地探株式会社 埋地金属的探测方法及探测装置

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