JPH1172094A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

ロータリ圧縮機

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JPH1172094A
JPH1172094A JP9270286A JP27028697A JPH1172094A JP H1172094 A JPH1172094 A JP H1172094A JP 9270286 A JP9270286 A JP 9270286A JP 27028697 A JP27028697 A JP 27028697A JP H1172094 A JPH1172094 A JP H1172094A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は耐摩耗性が良く、加工性の良い鋳物を
砂型に冷し金を併用して作り、これをロータリ圧縮機の
シリンダとして使うようにしたものである。 【解決手段】砂型鋳造法で作った鋳物を加工して、シリ
ンダとした圧縮機に於いて、上記シリンダの切削加工を
必要とする部分の材質を、部分的に共晶黒鉛素地(フェ
ライト素地)とし、ベーンスロット溝の加工性を向上す
ると共に、ベーンスロット溝内に配設されるベーン摺動
面の、摩耗量の低減を図るようにしたロータリ圧縮機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は耐摩耗性が良く、
加工性の良い鋳物を、砂型に冷し金を併用して作りこれ
をロータリ圧縮機のシリンダとして使うようにした発明
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロータリ圧縮機のシリンダはベーンを取
付けるベーンスロット溝をブローチ加工で形成してい
る。このブローチ加工に適した鋳物素材として金型鋳造
で製造した共晶黒鉛鋳鉄が一般的に採用されている。し
かし、この金型鋳造の共晶黒鉛鋳鉄は、金型コストが高
く、及び金型寿命が短く、製造コストが高い欠点があ
る。また、共晶黒鉛鋳鉄(フェライト素地)は、硬度が
パーライト素地より軟らかく、加工性が良いが、耐摩耗
性が劣る問題を有している。一方、シリンダの鋳物素材
として、比較的安価な砂型で作る片状黒鉛鋳鉄(パーラ
イト素地)は、硬度が高く、耐摩耗性は良いが、ブロー
チ加工性が極めて悪く、切削治工具コストが高い問題を
有している。
【0003】一般に、同じ主成分の溶湯を使っても、金
型で鋳物を鋳造した時と、砂型で鋳造した時では、硬度
が大きく変わることが知られている。この問題を解決す
べく、最近提案されているのが特開平06〜04167
4等である。この発明は、従来の共晶黒鉛鋳鉄よりも黒
鉛を均一かつ微細に素地内に分散したパーライト素地の
鋳物である。この鋳物はパーライト素地であるにも係わ
らず切削性は良いとしておりますが、この提案のものは
水アトマイズ法と云う工法を採用しなければない為割高
となる問題があった。
【0004】本発明は従来一般に使用されている成分
で、しかも一般的な砂型鋳造法に、冷し金を併用するこ
とにより、加工性(特にブローチ加工)が良く耐摩耗性
の良い鋳物を得るようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来一般に、ロータリ
圧縮機のシリンダに使用されている鋳物は、金型を用い
て作った共晶黒鉛鋳鉄(フェライト素地)であった為、
ベーンスロット溝加工(ブローチ加工)は、比較的容易
であったが、耐摩耗性が劣り、鋳造コストが高い問題が
あった。又、水アトマイズ法等を用いて加工しやすい片
状黒鉛鋳鉄(パーライト素地)を作ることが提案されて
いるが、この工法であると、鋳物自体を作るのに割高と
なってしまう等の問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべくなされたもので、従来一般に使用されている砂型
鋳造法に、冷し金を用いて、耐摩耗性が良く加工性の良
い安価な鋳物素材を作り、これをロータリ圧縮機のシリ
ンダ等に適用するようにしたものである。即ち、砂型鋳
造法で作った鋳物を加工してシリンダを組み込んだロー
タリ圧縮機に於いて、上記シリンダのベーンスロット溝
加工する部分の材質を、冷し金を用いて部分的に共晶黒
鉛素地(フェライト素地)としたものである。
【0007】これを具体的に説明するならば、共晶黒鉛
素地をシリンダ外周より内側に5〜15mmの範囲で形
成するようにしたものである。このことにより、ブロー
チ加工をしなければならないベーンスロット溝部の大半
が加工のしやすいフェライト素地となるものである。
又、シリンダのベーンスロット溝周辺の外周面をフェラ
イト素地とし、中心部をパーライト素地とすると共に、
上記ベーンスロット溝及びバネ取付穴を、フェライト素
地と中心部のパーライト素地にまたがって設けるように
することにより、ベーン片当り部の耐摩耗性を向上する
と共に、ドリル加工等によりベーンの一端が当るパーラ
イト素地部を少なくしてブローチ加工がしやすいように
したものである。
【0008】以上のように本願は市場で販売されている
鋳物の材質に特に手を加えることなく、冷し金、と云う
特具費のかからない金属を砂型の一部に配設すること
で、所望の鋳物材を得られるようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明の詳細を図に示す一実
施例で説明する。図1は冷し金を組み込んだ砂型の説明
図で本発明を示す図、図2は図1の上型を除去した平面
図、図3はエアコン或いは冷蔵庫等に使われるロータリ
圧縮機の構造概略図、図4は図3に組み込まれたシリン
ダ部の説明図、図5は図4のシリンダ用鋳物を造る際
の、冷し金、当て方を示す図、図6は図5のB−B断面
図、図7は本発明を備えたシリンダにベーンを組み込ん
だ状態を示す図、図8は図7のC−C断面図である。
【0010】先ず図1に於いて、パーライト素地(片状
黒鉛)を部分的にフェライト素地(共晶黒鉛)に変える
鋳物の製造方法について説明する。1は砂型の上型を示
し、2は下型を示す。3はキャビティを示す。使用する
溶湯の成分は、JISG5501で規定される一般的特
性をもつものでC:2.5〜3.8wt% Si:1.
5〜3.0wt% Mn:0.5〜1.0wt% P:
0.03〜0.15wt% S:0.05〜0.15w
t%その他Feで構成されるねずみ鋳鉄品である。通常
この成分の溶湯を砂型内に注入して出来る素地は片状黒
鉛のパーライト素地となる。このパーライト素地はフェ
ライト素地(共晶黒鉛)に比較し、硬度が硬い為、耐摩
耗性は良くなる。しかし、このものに於いては加工性、
特にブローチ加工が難しいことは良く知られている。
4,5は上記上型1及び下型2に予め取付けられた、冷
し金である。この冷し金4、5は上記パーライト素地を
フェライト素地に部分的に変える目的で使用される。即
ち、この冷し金4,5を部分的に設け、冷却速度を変え
ることによりパーライト素地をフェライト素地に変える
ものである。尚、冷し金を使うことは従来よりヒケ対策
で良く使われていることは出願人も承知している。本発
明のロータリ圧縮機に使われるシリンダーは、この冷し
金を素地の変更と言う積極的施策に活用したものであ
る。又上記、冷し金の材質は、一般的な鋳鉄材で良い。
即ち、本願は、従来ヒケ対策等に利用されていた、冷し
金を利用し、切削加工性を必要とする部分の素地を部分
的に必要寸法分、フェライト素地に変えるものである。
【0011】例えば、厚さ40mm前後の鋳物に厚み方
向の上下面に5〜15mmのフェライト素地を作る際に
は、その上下面に、厚さ5〜15mmの冷し金を当てる
ものでその当てる部分は切削加工(例えばブローチ加
工)を必要とする部分に取付けるものである。尚、上
記、冷し金が薄いものではフェライト素地が薄くなり、
冷し金を厚くするとフェライト素地が厚くなる傾向にあ
ることは容易に想像できる。又、鋳物の厚さ、大きさに
もよるが、ロータリ圧縮機のシリンダ(外径120mm
×厚さ35mm)程度のものにあっては、図に示す如
く、5〜15mmの厚さを有す、冷し金とすることが、
パーライト素地を部分的にフェライト素地に変えるのに
丁度良いものである。
【0012】次に図1,図2を用いて、上記鋳物の素地
について説明する。図1に於いて、Fの範囲(斜線部)
はフェライト素地(共晶黒鉛)を示し、Pで示す範囲
(点々部)はパーライト素地(片状黒鉛)を示してい
る。図に於いて、フェライト素地はパーライト素地の外
周に5〜15mmの厚みで形成されている。次に図2に
於いて、6はブローチ加工等により形成される例えばベ
ーンスロット溝加工位置を示すものである。このベーン
スロット溝は先にも記述した如く、高価な切刃を数枚も
使用して形成する、ブローチ加工で作られる。本願の場
合、切刃は表面より厚み方向の中央に向かって進入す
る。換云すると、切刃の食い付き時には、硬度的にパー
ライト素地よりも低いフェライト部より切削される形に
なる。このことにより、当該切刃の寿命は大巾にアップ
するものである。
【0013】次に図3,図4を用いて、上記鋳物を製品
に応用した例を説明する。7はエアコン,冷蔵庫等に搭
載されるロータリ圧縮機の構造を示す縦断面図である。
密閉ケーシング8内の上部に電動機部9と下部に圧縮機
部10が、収納されている。電動機部9は、ステータ1
1とロータ12とから構成され、ステータ11は、密閉
ケーシング8に固着されており、ロータ12は、回転シ
ャフト13に軸装され回転自在に支持される。17はシ
リンダ、15,16は軸受を示し、シリンダ17の両側
にそれぞれ軸受15,16を配設し、シリンダ室20を
形成する。21はローラピストン、23はベーンを示
し、ローラピストン21は、回転シャフト13の偏心ピ
ン部に嵌合し、ベーン23と当接しながら、シリンダ室
20内を転動する。シリンダ17には、上記ベーン23
が往復摺動するベーンスロット溝22が設けられてお
り、又、ベーン23を弾性支持するバネ24がバネ取付
穴27に収納されている。以上の様に、構成された圧縮
機において、電源端子14を電源に接続し、電動機部9
に通電されることによりロータ12が回転駆動し、ロー
タ12に直結された回転シャフト13に駆動伝達され、
ローラピストン21が、シリンダ室20内を転動するこ
とにより、吸込口25より冷媒ガス(図示せず)が、シ
リンダ室20内に吸い込まれ、吐出口26から高圧の冷
媒ガスが、吐出されて冷凍サイクルに循環させる機能を
有している。尚、上記シリンダ17は、図にも示すよう
に、密閉ケーシング8の内周に部分的に溶接されてい
る。
【0014】次に上記シリンダ17を鋳物で作る際の冷
し金4,5の当て方について図5,6を用いて説明す
る。22は鋳物の加工仕上後ベーンスロット溝となる部
分を示し27はバネ24が取付けられる取付穴を示す。
冷し金4,5は、ベーンスロット溝22を形成する部分
の上下に、図に示す如く配設され、図1,2で説明した
作用によりベーンスロット溝22となる部分のパーライ
ト素地外周をフェライト素地へと変える。尚、フェライ
ト素地とは100%フェライト素地は勿論であるが50
%以上フェライト素地であっても良い。要はベーンスロ
ット溝22の切削加工性が良くなれば良いのである。
【0015】次に図7,図8を用いてベーンスロット溝
22とバネ24取付穴27との関係を説明する。図8に
於いて、Fで示す斜線部はフェライト素地を示し、Pで
示す点々部はパーライト素地を示す。ベーンスロット溝
22は、上記フェライト素地から中心のパーライト素地
部にかけてブローチ加工により形成されている。従って
ベーンスロット溝22の一端22aはパーライト素地部
に達している。先のブローチ加工時、切刃(図示せず)
は、このパーライト素地を切削することになるが、ある
程度、フェライト素地F部を切削した後、このパーライ
ト素地に至るので、上記切刃は安定した状態でパーライ
ト素地を切削できるものである。27のバネ取付穴は、
ドリル等で図に示す如く明けられるもので、その刃はブ
ローチ加工ほど問題とはならない。このバネ取付穴27
には、先のベーンスロット溝22内に組み込まれるベー
ン23を常にシリンダ17の中心側に押しているバネ2
4が収納される。通常このバネ取付穴27はブローチ加
工前に明けられるのでベーンスロット溝22の一端22
a部のパーライト素地部は、ドリルにより加工されるこ
とになるので、ブローチ加工の切刃の寿命は、この分延
命することとなるものである。換云するとベーンスロッ
ト溝22の一端22a部は、耐摩耗性の良いパーライト
素地になっていると云うことである。従って、図7に示
すベーン23に、矢印Q方向の力が加わりベーンスロッ
ト溝のD部が摩耗する。本発明の場合、D部はフェライ
ト素地であるのでパーライト素地に比較し摩耗量は大き
くなろうとし、ベーン23はベーンスロット溝の一端2
2a部に片当りする形になるが、この部分はフェライト
素地でなく耐摩耗性の良いパーライト素地であるので上
記ベーン23の傾きは最小限に押さえられるものであ
る。
【0016】このように本発明は砂型に、冷し金を併用
することによりパーライト素地の外周にフェライト素地
を作りブローチ加工がしやすく、且つ耐摩耗性の良いシ
リンダを得ることが出来るものである。尚、密閉ケーシ
ング8内周に部分的に溶接されるシリンダ17に於いて
は、溶接部がフェライト素地でなくパーライト素地であ
ることより、強度的にも一段と有利なものとなるもので
ある。
【0017】
【発明の効果】本発明は以上説明した如く、圧縮機のシ
リンダのようにブローチ加工により、ベーンスロット溝
等を切削、加工するものに於いて、パーライト素地の片
状黒鉛鋳鉄の一部を、冷し金を使って共晶黒鉛鋳鉄に変
え、これをシリンダに適用することにより、ロータリ圧
縮機として、次の効果を得ることが出来るものである。 (1)シリンダの加工性をベーンスロット部分だけを共
晶黒鉛の素地としたのでブローチ加工の加工性が良く、
切刃の寿命が長く、加工コストを安くすることが出来
る。 (2)ベーンスロット摺動面は、フェライト素地と耐摩
耗性の良いパーライト素地の両方の組織を形成している
ため、金型鋳造で製造したオールフェライト素地シリン
ダに比べ耐摩耗性を向上することが出来る。尚、ベーン
スロットの加工性は、切刃の食い付き部となるシリンダ
の表面側がフェライト素地であるため、従来の金型共晶
黒鉛鋳鉄と同等の加工性を有したロータリ圧縮機のシリ
ンダ鋳物素材にすることが出来る。 (3)鋳物を作るのに砂型を利用したので、金型費用は
最小限に抑えられ、しかも素材自体市販品を使うので低
コストの材料とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷し金を組み込んだ砂型の説明図で本発明を示
す図。
【図2】図1の上型を除去した平面図。
【図3】エアコン或いは冷蔵庫等のロータリ圧縮機の構
造概略図。
【図4】図3に組み込まれたシリンダ部の説明図。
【図5】図4のシリンダ用鋳物を造る際の、冷し金具当
て方を示す図。
【図6】図5のB−B断面図。
【図7】本発明を備えたシリンダにベーンを組み込んだ
状態を示す図。
【図8】図7のC−C断面図。
【符号の説明】
1……砂型の上型 15,16……
軸受 2……砂型の下型 17……シリン
ダ 3……キャビティ 18……締付ボ
ルト 4……冷し金(上) 20……シリン
ダ室 5……冷し金(下) 21……ローラ
ピストン 6……ベーンスロット溝加工位置 22……ベーン
スロット溝 7……ロータリ圧縮機 23……ベーン 8……密閉ケーシング 24……バネ 9……電動機部 25……吐出口 10…圧縮機部 26……吸込口 11…ステータ 27……バネ取
付穴 12…ロータ F……フェライ
ト素地 13…回転シャフト P……パーライ
ト素地 14…電源端子 Q……力方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F04C 18/356 F04C 18/356 W

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砂型鋳造法で作った鋳物を加工してシリン
    ダとした圧縮機に於いて、上記シリンダの切削加工を必
    要とする部分の材質を、部分的に共晶黒鉛素地(フェラ
    イト素地)としたことを特徴とするロータリ圧縮機。
  2. 【請求項2】共晶黒鉛素地をシリンダの外周より内側に
    5〜15mmの範囲で形成するようにしたことを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載のロータリ圧縮機。
  3. 【請求項3】ベーンスロット溝を形成する部分に共晶黒
    鉛素地(フェライト素地)を形成したことを特徴とする
    特許請求の範囲第1及び第2項記載のロータリ圧縮機。
  4. 【請求項4】シリンダのベーンスロット溝周辺を共晶黒
    鉛素地(フェライト素地)とし、中心部側を片状黒鉛素
    地(パーライト素地)とすると共に、上記ベーンスロッ
    ト溝及びバネ取付穴をフェライト素地と、中心部のパー
    ライト素地にまたがって、設けたことを特徴とするロー
    タリ圧縮機。
JP27028697A 1997-08-28 1997-08-28 ロータリ圧縮機 Expired - Lifetime JP3443763B2 (ja)

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