JPH1171659A - アモルファス磁性材料およびそれを用いた磁気コア - Google Patents

アモルファス磁性材料およびそれを用いた磁気コア

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JPH1171659A
JPH1171659A JP17645898A JP17645898A JPH1171659A JP H1171659 A JPH1171659 A JP H1171659A JP 17645898 A JP17645898 A JP 17645898A JP 17645898 A JP17645898 A JP 17645898A JP H1171659 A JPH1171659 A JP H1171659A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可飽和コア、低損失コア、高透磁率コアなど
として用いるアモルファス磁性材料において、製造コス
トの低減を図った上で、高周波域での使用に適合するよ
うな磁気特性およびその熱安定性を高めることが求めら
れている。 【解決手段】 (Fe1-a-b Nia b 100-x-y Si
x y (MはMn、Cr、Co、Nb、V、Mo、T
a、WおよびZrから選ばれる少なくとも 1種の元素、
0.395≦ a≦0.7 、 0≦ b≦0.21、 1-a-b<a 、 6≦ x
≦18at% 、10≦ y≦18at% )で実質的に表される組成を
有するアモルファス磁性材料である。このようなNiリ
ッチなFe−Niをベースとするアモルファス磁性材料
は、 473〜573Kのキュリー温度Tc 、 0.5〜0.9Tの最大
磁束密度Bm を有する。残留磁束密度Br と最大磁束密
度Bm との比Br /Bm は、要求特性に応じて制御する
ことができ、可飽和コアなどに用いられる場合には 60%
以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可飽和リアクトル
やノイズ抑制素子などとして用いられる可飽和コア、あ
るいは加速器やレーザー電源などに用いられる磁気コア
に好適なアモルファス磁性材料、およびそれを用いた磁
気コアに関する。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源は、電子機器の安定化
電源として多用されている。特に、出力制御用としてマ
グアンプを組み込んだスイッチング電源は、多出力化の
容易さと低ノイズのために広く用いられている。
【0003】マグアンプは主として可飽和リアクトルに
より構成され、その主要部として可飽和コアが用いられ
ている。スイッチング電源では、ノイズ抑制素子などと
しても可飽和コアが使用されている。このような可飽和
コアの構成材料には、角形磁化特性に優れることが必要
とされるため、主にFe−Ni系の結晶質合金(パーマ
ロイ)やCo基アモルファス磁性合金が使用されてき
た。
【0004】ところで、最近の電子機器に対する小形軽
量化、高性能化などの要求に伴って、スイッチング電源
にも小形軽量化が強く要望されている。このため、スイ
ッチング電源ではスイッチング周波数の高周波化が進め
られている。しかし、従来から使用されてきたFe−N
i系の結晶質合金は、高周波域において保磁力が大きく
なり、うず電流損が著しく増大するという欠点を有して
いる。このため、高周波域での使用に適合するものでは
ない。
【0005】一方、Coをベースとするアモルファス磁
性合金は、優れた角形特性や熱安定性に加えて、高周波
域においても損失が小さいなどの優れた特性を有する。
しかしながら、高価なCoを多量に含有するため、可飽
和コアの製造コストが高くなるという難点を有してい
る。
【0006】Co基以外のアモルファス磁性材料として
は、Fe基アモルファス磁性合金が種々の分野で用いら
れており、さらに微結晶化したFe基軟磁性合金なども
知られている。しかし、これらの磁性材料は保磁力や最
大磁束密度Bm が大きく、その結果として高周波域での
損失が大きくなるため、可飽和コア材料としては不向き
である。
【0007】高周波域での損失の増大は、Fe基アモル
ファス磁性合金を可飽和コア以外の磁気コアに適用する
場合にも問題となる。Fe基アモルファス磁性合金は、
チョークコイルやトランスなどの構成材料として使用さ
れているが、使用周波数の高周波化により損失の増大が
問題となっている。Fe基アモルファス磁性合金は、磁
気特性の熱安定性が低いというような欠点も有してい
る。
【0008】さらに、従来のCo基アモルファス磁性合
金やFe基アモルファス磁性合金は、いずれも融点が高
く、その結果として液体急冷法などで薄帯化した場合
に、表面粗さが大きくなりやすいという欠点を有してい
る。アモルファス磁性合金薄帯の表面性の低下は、それ
を巻回または積層して磁気コアとした場合に、角形比な
どの磁気特性の劣化原因となる。
【0009】従来のアモルファス磁性材料としては、C
o基やFe基のアモルファス磁性合金以外に、Fe−N
iをベースとしたアモルファス磁性合金が知られてい
る。例えば、特開昭 58-193344号公報には、(Fe1-a
Nia 100-x-y Six y (0.2≦ a≦0.4 、20≦ x+
y≦25at% 、 5≦ x≦20at% 、 5≦ y≦20at% )で表さ
れる組成を有するアモルファス磁性合金が記載されてい
る。
【0010】さらに、特表平4-500985号公報には、Fe
a Nib c d Sie f (MはMo、Cr、39≦ a
≦41at% 、37≦ b≦41at% 、 0≦ c≦3at%、17≦ d≦19
at%、 0≦ e≦2at%、 0≦ f≦2at%)で表される組成を
有し、少なくとも 70%がガラス質である磁性金属ガラス
合金が記載されている。特開平5-311321号公報には、F
100-X-Y-Z NiX SiY Z ( 1≦ X≦30at% 、10≦
Y≦18at% 、 7≦ Z≦17at% 、 X+Y+Z<80at% )で表さ
れる組成を有する極薄軟磁性合金薄帯が記載されてい
る。
【0011】上記した各アモルファス磁性合金は、Fe
−Niを磁性合金のベース成分としているものの、Fe
を主成分とするFeリッチの磁性合金である。このた
め、上述したFe基アモルファス磁性合金と同様に損失
が大きく、さらに磁気特性の熱安定性が低いというよう
な欠点を有している。液体急冷法などで薄帯化した場合
に、表面粗さが大きくなりやすいという欠点についても
同様である。
【0012】なお、特公昭60-16512号公報には、(Fe
1-a Nia 100-y y (XはSiおよびB、 0.3≦ a
≦0.65、15< y≦30at% )で表される組成を有し、耐食
性がよく、かつ耐応力腐食割に優れるアモルファス磁性
合金が記載されている。特開昭 57- 13146号公報には、
(Fe1-a Nia 100-x-y Six y ( 0.2≦ a≦0.
7 、 1≦ x≦20at% 、 5≦ y≦9.5at%、15≦ x+y≦30at
% )で表されるアモルファス合金が記載されている。
【0013】これらアモルファス磁性合金も上述したF
e−Ni基アモルファス磁性合金と同様に、基本的には
Feリッチの合金組成を有している。さらに、高周波域
で使用される可飽和コア、低損失コア、高透磁率コアな
どの構成材料を想定していないため、SiやBの組成比
は高周波域での使用に対応しておらず、さらにこれら基
本成分以外の添加元素についても十分に検討されていな
い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の可飽和コア材料として用いられてきたCo基アモルフ
ァス磁性合金は、高価なCoを多量に含有するため、磁
気コアの製造コストが高くなるという難点を有してい
る。一方、Co基以外の磁性材料のうち、Fe基アモル
ファス磁性合金やFeリッチのFe−Ni基アモルファ
ス磁性合金は、高周波域での損失が大きい、熱安定性が
低いというような欠点を有している。さらに、これら従
来のアモルファス磁性合金はいずれも融点が高く、その
結果として液体急冷法などで薄帯化した場合に、表面粗
さが大きくなりやすいという欠点を有している。
【0015】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、可飽和コア、低損失コア、高透磁率コ
アなどとして用いる場合に、高周波域での使用に適合す
るような磁気特性を有し、さらに磁気特性の熱安定性に
優れる、安価なアモルファス磁性材料、さらには液体急
冷法などで薄帯化した場合に、表面の平滑性を向上させ
ることが可能なアモルファス磁性材料を提供することを
目的としている。また、そのようなアモルファス磁性材
料を用いることによって、安価で磁気特性に優れる磁気
コアを提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のアモルファス磁
性材料は、請求項1に記載したように、 一般式:(Fe1-a-b Nia b 100-x-y Six y (式中、MはMn、Cr、Co、Nb、V、Mo、T
a、WおよびZrから選ばれる少なくとも 1種の元素を
示し、 a、 b、 xおよび yはそれぞれ 0.395≦ a≦0.7
、 0≦ b≦0.21、 1-a-b<a 、 6≦ x≦18at% 、10≦
y≦18at% を満足する値である)で実質的に表される組
成を具備することを特徴としている。
【0017】本発明のアモルファス磁性材料において、
M元素は例えば請求項2に記載したように、Mn、Cr
およびCoから選ばれる 2種以上の元素を含むことが好
ましく、さらに請求項3に記載したように、Mn、Cr
およびCoを含むことが好ましい。M元素の含有量b
は、請求項4に記載したように 0.001≦ b≦ 0.1を満足
することが好ましい。Siの含有量x およびBの含有量
y は、請求項5に記載したように15≦ x+y≦30at% を満
足することが好ましく、また請求項6に記載したように
x< yの関係を満足することが好ましい。
【0018】本発明のアモルファス磁性材料は、例えば
請求項7に記載したようにキュリー温度Tc が473K以上
573K以下、請求項8に記載したように最大磁束密度Bm
が0.5T以上0.9T以下、請求項9に記載したように残留磁
束密度Br と最大磁束密度Bm との比Br /Bm が 0.6
以上、あるいは請求項11に記載したように残留磁束密
度Br と最大磁束密度Bm との比Br /Bm が 0.5以
下、請求項12に記載したように融点が 1273K以下とい
うような特性を有する。
【0019】本発明のアモルファス磁性材料は、請求項
13に記載したように、例えばアモルファス磁性薄帯と
して使用される。この場合、請求項14に記載したよう
に、アモルファス磁性薄帯は、その両平マイクロ板厚を
重さから換算した板厚で割った値で表される表面粗さK
s が 1≦Ks ≦1.5 を満足するような表面平滑性を有す
る。また、アモルファス磁性薄帯は、請求項15に記載
したように30μm 以下の平均板厚を有することが好まし
い。
【0020】そして、本発明の磁気コアは、請求項16
に記載したように、上記した薄帯形状を有する本発明の
アモルファス磁性材料の巻回体または積層体を具備する
ことを特徴としている。
【0021】本発明の磁気コアのより具体的な形態とし
ては、請求項18に記載したように、コアの作製に用い
るアモルファス磁性材料は、キュリー温度Tc が473K以
上573K以下、最大磁束密度Bm が0.5T以上0.9T以下、残
留磁束密度Br と最大磁束密度Bm との比Br /Bm
0.6以上である磁気コアが挙げられる。他の形態として
は、請求項19に記載したように、コアの作製に用いる
アモルファス磁性材料は、キュリー温度Tc が473K以上
573K以下、残留磁束密度Br と最大磁束密度Bm との比
r /Bm が 0.5以下であるである磁気コアが挙げられ
る。
【0022】本発明においては、アモルファス磁性材料
のベース成分としてNiリッチなFe−Niを用いてお
り、このようなベース成分にアモルファス化に必須のS
iおよびBを所定の比率で配合している。このような合
金組成によれば、Coに比べて安価なFe−Niをベー
ス成分とした上で、Co基アモルファス磁性材料に匹敵
する可飽和磁気特性、低損失特性、高透磁率性などの優
れた磁気特性を得ることができる。
【0023】さらに、本発明のアモルファス磁性材料で
は、Mn、Cr、Co、Nb、V、Mo、Ta、Wおよ
びZrから選ばれる少なくとも 1種の元素のM元素を配
合することによって、上記したような磁気特性の熱安定
性を高めることができる。特に、M元素としてMn、C
rおよびCoから選ばれる 2種以上の元素を使用するこ
とによって、より一層良好な熱安定性が得られる。
【0024】NiリッチなFe−Niをベースとするア
モルファス磁性材料は、従来のCo基やFe基のアモル
ファス磁性材料に比べて融点が低い。従って、本発明の
アモルファス磁性材料は、液体急冷法などで薄帯化した
場合に、表面の平滑性を向上させることができる。表面
の平滑性に優れるアモルファス磁性材料は、それを巻回
または積層した磁気コアの特性向上に寄与する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0026】本発明のアモルファス磁性材料は、 一般式:(Fe1-a-b Nia b 100-x-y Six y ……(1) (式中、MはMn、Cr、Co、Nb、V、Mo、T
a、WおよびZrから選ばれる少なくとも 1種の元素を
示し、a、b、xおよびyはそれぞれ 0.395≦ a≦0.7
、 0≦ b≦0.21、 1-a-b< a、 6≦ x≦18at% 、10≦
y≦18at% を満足する値である)で実質的に表される組
成を有する。
【0027】(1)式から明らかなように、本発明のアモ
ルファス磁性材料(アモルファス磁性合金)は、Niリ
ッチなFe−Niをベース成分として含有するものであ
る。このようなアモルファス磁性材料は、単ロール法な
どの通常の液体急冷法を適用して、上記 (1)式の組成を
満足する合金溶湯を超急冷することにより得られる。本
発明のアモルファス磁性材料の具体的な形状としては薄
帯が挙げられる。
【0028】アモルファス磁性薄帯の平均板厚は、損失
の低減を図る上で30μm 以下とすることが好ましい。ア
モルファス磁性薄帯の平均板厚は、さらに20μm 以下と
することが好ましい。アモルファス磁性薄帯の平均板厚
を20μm 以下とすることにより、うず電流損を十分に小
さくすることができるため、特に高周波域での損失低減
を図ることができる。アモルファス磁性薄帯のより好ま
しい平均板厚は15μm以下である。なお、ここで言う平
均板厚とは、平均板厚=重量/(密度×長さ×薄帯の
幅)により求められる値を指すものである。
【0029】上記 (1)式において、NiおよびFeは磁
性合金のベースとなる元素である。本発明では、Niリ
ッチなFe−Niをベース成分としている。従って、N
iの配合比を示す aの値は、Feの配合比を示す (1-a-
b)の値より大きく設定されている。言い換えると、 aの
値は (1-b)/2<a を満足するものである。
【0030】ここで、Niのみをベースとするアモルフ
ァス磁性合金では、十分な磁束密度を得ることができ
ず、さらにはキュリー温度Tc が低くなりすぎて、磁性
合金としての安定性が得られない。Feのみをベースと
するアモルファス磁性合金では、前述したように、保磁
力や最大磁束密度Bm が大きくなりすぎて、損失の増大
などを招き、さらには熱安定性などが低下する。また、
液体急冷法などで薄帯化した場合に、表面の平滑性も低
下する。
【0031】そこで、本発明においては、高磁束密度化
などに寄与するFeを配合したNiを磁性合金のベース
成分として用いている。すなわち、本発明のアモルファ
ス磁性合金はNiリッチなFe−Niをベース成分とし
て含有する。このようなアモルファス磁性合金によれ
ば、従来のCo基アモルファス磁性合金に近い磁気特性
を、安価なFe−Niベースで得ることができる。さら
に、NiリッチなFe−Niベースのアモルファス磁性
合金は、Co基やFe基のアモルファス磁性合金に比べ
て低融点であるため、アモルファス磁性合金を液体急冷
法などで薄帯化した場合に、表面の平滑性を向上させる
ことができる。
【0032】上記 (1)式におけるNiの配合比a は、
(1-b)/2<a の条件を満足させた上で、 0.395≦ a≦0.7
の範囲としている。Niの配合比を示す aの値が 0.39
5未満であると、NiリッチなFe−Niベースによる
効果が得られない。すなわち、相対的にFe量が増加す
ることによって、磁歪が大きくなると共に、損失の増大
や熱安定性の低下などを招く。さらに、液体急冷法で薄
帯化した場合に薄帯表面の平滑性も低下する。一方、 a
の値が 0.7を超えると最大磁束密度Bm が低くなりすぎ
ると共に、キュリー温度Tc が低下して実用的な磁気特
性の安定性が得られない。
【0033】このように、アモルファス磁性合金のFe
−Niベース中のNi配合比a を、(1-b)/2<a かつ 0.
395≦ a≦0.7 とすることによって、実用的な磁気特性
の安定性を確保した上で、低損失、低磁歪などの優れた
磁気特性を、Co基アモルファス磁性合金に比べて安価
なFe−Niベースで実現することが可能となる。さら
に、アモルファス磁性合金を液体急冷法などで薄帯化し
た場合に、表面の平滑性を向上させることができる。N
iの配合比a は、特に 0.5〜 0.7の範囲とすることが好
ましい。
【0034】Mn、Cr、Co、Nb、V、Mo、T
a、WおよびZrから選ばれる少なくとも 1種のM元素
は、磁性合金の熱安定性や磁気特性の向上に寄与する成
分である。M元素は必ずしも添加しなければならないも
のではないが、アモルファス磁性合金の熱安定性を向上
させる上で添加することが望ましい。ただし、M元素の
配合比を示す bの値が0.21を超えると、安定した軟磁気
特性が得られにくくなるため、 bの値は0.21以下とす
る。一方、M元素による熱安定性の向上効果を有効に得
るためには、M元素の配合比b を 0.001以上とすること
が好ましい。さらに、M元素の配合比b は 0.001〜 0.1
の範囲とすることが望ましい。
【0035】M元素は上記した元素のうち 2種以上の元
素を併用することが好ましい。特に、Mn、Crおよび
Coから選ばれる 2種以上の元素を、M元素として使用
することが好ましい。これらのうち、さらにMnとCr
を使用することが望ましい。M元素としてMn、Crお
よびCoの 3元素の配合した組成であってもよい。この
ようなM元素によれば、特にNiリッチなFe−Niベ
ースのアモルファス磁性合金の熱安定性をより一層高め
ることができる。熱安定性が向上すると経時変化に強い
磁性合金となり、使用環境の変化、特に温度変化に強い
磁性材料が得られる。Mnは磁性合金の融点の低下に対
しても効果を発揮する。
【0036】ここで、経時変化とは磁気コアが使用され
る環境下での磁気特性の変化の度合いを示す。経時変化
特性に優れるということは、使用環境、特に温度が高い
環境下に放置された後でも所定の磁気特性が保たれるこ
とを意味する。経時変化特性は、例えば[{(一定時間
ある環境下に放置した後の常温での磁気特性)−(常温
で測定した初期の磁気特性)}/(常温で測定した初期
の磁気特性)]×100(%) で表すことができる。例えば
本発明のアモルファス磁性材料は、393Kで 200時間放置
した後の常温での直流保磁力Hc の経時変化率を5%以下
とすることができる。
【0037】本発明のアモルファス磁性材料は、温度変
化特性にも優れている。温度変化特性とは、常温から温
度を上げていったときの磁気特性の変化の割合である。
例えば、温度変化特性としての 50kHz,80A/m での磁束
密度B80の293Kと373Kでの変化率を 20%以下とすること
ができる。
【0038】M元素としてMnとCrを使用する場合、
これらの配合比はそれぞれ 0.001〜0.05の範囲とするこ
とが好ましい。すなわち、上記 (1)式において、Mnの
配合比をb1、Crの配合比をb2としたとき、 一般式:(Fe1-a-b Nia Mnb1Crb2100-x-y Six y ……(2) (式中、a、b1 、b2 、xおよびyはそれぞれ 0.395
≦ a≦0.7 、 0.001≦b1≦0.05、 0.001≦b2≦0.05、 1
-a-b< a、 6≦ x≦18at% 、10≦ y≦18at% を満足する
値である)で実質的に表される合金組成を適用すること
が好ましい。 (2)式で表される合金組成は、さらにCo
もしくはNb、V、Mo、Ta、WおよびZrから選ば
れる少なくとも 1種のM′元素を含有することができ
る。これら元素の配合比b3は、M元素としての配合比b
が0.21以内となるように設定する。すなわち、b1+b2+
b3≦0.21とする。
【0039】SiおよびBはアモルファス化のための必
須の元素である。Siの配合比x は6≦ x≦18at% 、B
の配合比y は10≦ y≦18at% とする。Siの配合比x が
6at%未満またはBの配合比y が10at% 未満の場合は薄帯
が脆くなり、良質の磁性薄帯を得難くなり好ましくな
い。一方、Siの配合比x が18at% 超える、またはBの
配合比y が18at% を超えると、最大磁束密度Bm および
熱安定性が低下する。
【0040】これらSiとBの合計量x+y は15〜30at%
の範囲とすることが好ましい。SiとBの合計量が 15a
t%未満であると、結晶化温度がキュリー温度と同等もし
くはそれ以下となり、低保磁力および高角形比が得られ
なくなるおそれがある。一方、SiとBの合計量が 30a
t%を超えると最大磁束密度Bm および熱安定性が低下す
る。SiとBの合計量のより好ましい範囲は18〜24at%
である。
【0041】さらに、SiとBの比率はBリッチ、すな
わち x< yとすることが好ましい。NiリッチなFe−
Niベースのアモルファス磁性材料においては、アモル
ファス元素をBリッチとすることによって、磁気特性を
より一層高めることができる。従って、 xおよび yは 7
≦ x≦9at%、12≦ y≦16at% とすることが望ましい。
【0042】上述したNiリッチなFe−Niをベース
とするアモルファス磁性材料は、473〜573Kの範囲のキ
ュリー温度Tc を有する。従って、実用的な磁気特性の
安定性を得ることができる。アモルファス磁性材料のキ
ュリー温度Tc が473K未満であると、熱安定性が大幅に
低下して可飽和コア、低損失コア、高透磁率コアなどの
磁気コアとしての実用性が損われる。一方、キュリー温
度Tc が573Kを超えると結晶化温度との兼合いから、所
望の磁気特性が得られにくくなる。
【0043】さらに、上述した組成を満足するアモルフ
ァス磁性材料において、最大磁束密度Bm は 0.5〜0.9T
の範囲とすることができる。最大磁束密度Bm が0.9Tを
超えると損失の増大を招くことになる。一方、最大磁束
密度Bm が0.5T未満であると、アモルファス磁性合金を
例えば可飽和コアに適用する場合に、十分な角形比を得
ることができない。可飽和コア以外の用途に適用する場
合においても、最大磁束密度Bm が0.5T未満であると所
望の磁束を得るために、コア断面積を大きくする必要が
あり、その結果コアが大型化し、それを用いる磁性部品
をも大型化してしまうことになる。
【0044】本発明のアモルファス磁性材料の角形比、
すなわち残留磁束密度Br と最大磁束密度Bm との比
(Br /Bm )は、使用用途に応じて適宜設定可能であ
る。なお、ここで言う角形比は直流角形比のことであ
り、以後単に角形比と呼ぶ。角形比は後述する熱処理温
度などにより制御することができる。本発明のアモルフ
ァス磁性材料を可飽和性が要求される用途に使用する場
合、角形比は 60%以上に設定することが好ましい。可飽
和コアなどに使用する場合の角形比は 80%以上であるこ
とがさらに好ましい。
【0045】アモルファス磁性材料をチョークコイル、
高周波トランス、加速器やレーザ電源などに使用される
磁気コア、セキュリティーセンサやトルクセンサなどの
各種センサ用磁性材料などに用いる場合、角形比は各用
途に応じた値に設定される。具体的には、角形比を 50%
以下とすることができる。このような角形比も熱処理温
度などを制御することにより得られる。
【0046】さらに、本発明のアモルファス磁性材料
は、NiリッチなFe−Niをベース成分としているた
め、融点を 1273K以下とすることができる。このよう
に、アモルファス磁性材料の融点を 1273K以下とするこ
とによって、液体急冷法などで薄帯化する場合に、薄帯
の表面性を向上させることができる。
【0047】従来のCo基やFe基のアモルファス磁性
材料は、いずれも融点が1323〜1473K 程度と高い。液体
急冷法で表面性の高い薄帯を得るためには、通常、溶湯
の粘性が低い方がよい。従って、液体急冷法で薄帯を作
製する際に、溶湯温度は例えば1573〜 1773K程度に設定
する必要がある。しかし、溶湯温度が高いと冷却ロール
にかかる熱負荷が大きくなり、冷却が困難になるのみで
はなく、冷却ロールの表面が荒れ、結果として薄帯の表
面性が低下してしまう。
【0048】これに対して、本発明のアモルファス磁性
材料は、融点が 1273K以下と低いため、従来より溶湯温
度を下げた状態で薄帯を作製することができる。従っ
て、冷却ロールなどにかかる熱負荷が軽減され、液体急
冷法による薄帯の製造性を向上させることができると共
に、薄帯表面の平滑性を高めることができる。
【0049】本発明のアモルファス磁性材料によれば、
アモルファス磁性薄帯の表面粗さKs を 1≦Ks ≦1.5
の範囲とすることが可能となる。この表面粗さKs
は、 Ks =(両平マイクロ板厚/重さから換算した板厚) で表される値である。両平マイクロ板厚とは、両平マイ
クロメーターで測定した実測値で、具体的には薄帯の任
意の 5点を測定した各実測値の平均値であり、この値を
重さから換算した理論値の板厚で割ることによりKs
が算出される。
【0050】表面粗さKs が 1に近いほど表面性の高い
凹凸の少ない薄帯となる。アモルファス磁性薄帯のKs
値が 1.5を超えると、例えば可飽和コアとして用いた場
合の角形比などの磁気特性が低下する。可飽和コア以外
の用途に適用する場合においても、Ks 値が 1.5を超え
ると占積率が低下し見かけ上損失が増加する。このよう
に、表面粗さKs が 1≦Ks ≦1.5 の範囲のアモルファ
ス磁性薄帯によれば、優れた磁気特性を安定して得るこ
とが可能となる。
【0051】上述したように、本発明によれば製造コス
トの低減が可能な安価なFe−Niをベースとしたアモ
ルファス磁性材料で、Co基アモルファス磁性材料に匹
敵する磁気特性を得ることができる。具体的には、低損
失、低磁歪、高透磁率、また可飽和性が要求される用途
に使用する場合には高角形比などの優れた磁気特性が得
られ、さらにはそのような磁気特性の経時変化特性や温
度変化特性などの熱安定性を高めることができる。加え
て、液体急冷法などで薄帯化したアモルファス磁性薄帯
は、優れた製造性および表面平滑性を有する。これらの
特性に基づいて、本発明のアモルファス磁性材料は種々
の磁気部品に有効に利用することができ、汎用性に優れ
るものである。
【0052】本発明のアモルファス磁性材料は、例えば
液体急冷法などで薄帯化し、このアモルファス磁性薄帯
を所望の形状に巻回したり、あるいはアモルファス磁性
薄帯を所望の形状に打ち抜いた後に所望のコア形状に積
層することによって、磁気コアとして使用される。
【0053】図1および図2は本発明の磁気コアの実施
形態の構成をそれぞれ示す断面図である。図1に示す磁
気コアは、薄帯化した本発明のアモルファス磁性材料、
すなわちアモルファス磁性薄帯1を所望の形状に巻回し
た巻回体2からなる。図2に示す磁気コアは、薄帯化し
た本発明のアモルファス磁性材料を所望の形状に打ち抜
いたアモルファス磁性体片3を積層した積層体4からな
る。
【0054】巻回体2や積層体4からなる磁気コアに
は、歪取り熱処理を施すことにより、歪を取るだけでな
く角形比を制御することができる。この歪取り熱処理は
通常、キュリー温度〜結晶化温度の間で行われるが、例
えばキュリー温度に+20〜30K程度で行えば 60%以上の
高い角形比を得ることができ、結晶化温度より -20〜30
K の温度で行えば 50%以下の低い角形比を得ることがで
きる。
【0055】本発明のアモルファス磁性材料は、歪取り
熱処理の温度を制御することにより角形比を制御するこ
とができるが、より角形比を制御するために歪取り熱処
理の後に磁場中で熱処理を行うことが効果的である。
【0056】この磁場中熱処理に関し、印加する磁場の
大きさは 1Oe 以上、好ましくは10Oe 以上であり、雰
囲気については窒素、アルゴンなどの不活性ガス中、真
空中や水素ガスなどの還元雰囲気中、大気中のいずれで
もよいが、好ましくは不活性ガス中である。熱処理時間
は10分〜 3時間程度が好ましく、特に好ましくは 1〜2
時間である。
【0057】このような磁場中熱処理を施す際、例えば
角形比(Br /Bm )を 80%以上と高める場合には、磁
性薄帯1の長さ方向Lに磁場Hを印加しながら熱処理を
行うと効果的である。また、角形比を磁気コアの用途に
応じて 50%以下、さらには40%以下とする場合には、例
えば図4に示すように、磁性薄帯1の幅方向Wに磁場H
を印加しながら熱処理を行うと効果的である。なお、磁
場を印加する方向を示す長さ方向Lおよび幅方向Wと
は、必ずしもその方向に水平である必要はなく、多少の
傾きは許されるが、好ましくは±20°の範囲である。
【0058】さらに、磁気コアの使用用途によっては、
歪取り熱処理や磁場中熱処理を省くこともできる。この
場合、磁気コアの製造工程を減らすことになるため、製
造コストを低減することが可能である。
【0059】上述したような磁気コアは、可飽和コア、
低損失コア、高透磁率コア、低磁歪コアなどの種々の用
途に使用される。本発明の磁気コアを適用した可飽和コ
アは、マグアンプの可飽和リアクトルやノイズ抑制素
子、また電流センサや方位センサなどに用いられる可飽
和コアに好適である。可飽和コアに適用する場合には、
前述したように角形比を 60%以上、さらには 80%以上に
設定する。
【0060】本発明の磁気コアは可飽和コア以外にも、
低損失性、高透磁率性、低磁歪などを利用して、大電力
用を含む高周波トランス、IGBT用コア、コモンモー
ドチョークコイル、ノーモルモードチョークコイル、加
速器やレーザ電源などに使用される磁気コア、セキュリ
ティーセンサやトルクセンサなどの各種センサ用磁性コ
アなどに使用することができる。
【0061】なお、本発明のアモルファス磁性材料は、
アモルファス磁性薄帯の巻回体や積層体からなる磁気コ
アに限らず、種々の形状の磁性部品として使用すること
ができる。本発明のアモルファス磁性材料は、薄膜磁気
ヘッドなどに使用することも可能である。
【0062】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例およびその評
価結果について述べる。
【0063】実施例1 表1に示す各組成の合金組成物をそれぞれ調合した。こ
れら各合金組成物を母合金として溶融した後、単ロール
法で超急冷することによって、それぞれ幅20mm、板厚18
μm のアモルファス合金薄帯を作製した。これら各アモ
ルファス合金薄帯のキュリー温度Tc 、励磁界10Oe で
の直流保磁力、磁界10Oe のときの最大磁束密度B10
測定した。その結果を表1に示す。
【0064】表中の比較例1は、Niのみをベースとし
たアモルファス合金薄帯、Feのみをベースとしたアモ
ルファス合金薄帯、本発明の組成範囲外のFe−Niを
ベースとしたアモルファス合金薄帯である。これら比較
例1の各アモルファス合金薄帯についても、実施例1と
同様に特性を評価した。それらの結果を併せて表1に示
す。
【0065】
【表1】 表1から明らかなように、本発明の組成を満足するアモ
ルファス合金薄帯は、磁性部品に適したキュリー温度T
c を有し、さらに低保磁力と適度な最大磁束密度を有す
ることが分かる。
【0066】実施例2 表2に示す各組成の合金組成物をそれぞれ調合し、これ
ら各合金組成物を溶融した。各合金のキュリー温度Tc
および融点は表2に示す通りである。これら各母合金の
溶湯を単ロール法で超急冷することによって、それぞれ
幅20mm、板厚18μm のアモルファス合金薄帯を作製し
た。これら各アモルファス合金薄帯の表面粗さKs を測
定した。その結果を表2に示す。表面粗さKs は前述し
たように、両平マイクロ板厚と重さから換算した板厚と
から求めたものである。
【0067】
【表2】 表2に示すように、本発明の組成を満足するアモルファ
ス合金は、従来のCo基やFe基のアモルファス合金に
比べて融点が低く、それに基づいて表面の平滑性に優れ
ることが分かる。
【0068】実施例3 表3に示す各組成の合金組成物をそれぞれ調合し、これ
ら各合金組成物を溶融した。これら各母合金の溶湯を単
ロール法で超急冷することによって、それぞれ幅20mm、
板厚18μm のアモルファス合金薄帯を作製した。
【0069】これら各アモルファス合金薄帯の 50kHz,
80A/m での磁束密度B80を測定した。磁束密度B80は、
まず293Kの温度環境下で測定した後、温度を373Kまで上
げて再度測定した。これら293Kでの磁束密度B80と373K
での磁束密度B80とから変化率を求め、温度変化特性を
評価した。これらの結果を表3に示す。
【0070】
【表3】 表3に示すように、本発明の組成を満足するアモルファ
ス合金は、従来のFe基アモルファス合金に比べて温度
変化特性に優れ、従来のCo基アモルファス合金と同等
の熱安定性を有することが分かる。
【0071】実施例4 表4に示す各組成の合金組成物をそれぞれ調合し、これ
ら各合金組成物を溶融した。これら各母合金の溶湯を単
ロール法で超急冷することによって、それぞれ幅20mm、
板厚18μm のアモルファス合金薄帯を作製した。
【0072】これら各アモルファス合金薄帯の初期保磁
力Hc1と393Kで 200時間放置した後の保磁力Hc2をそれ
ぞれ常温下で測定した。これら初期保磁力Hc2と高温放
置後の保磁力Hc2とから変化率を求め、経時変化特性を
評価した。これらの結果を表4に示す。
【0073】
【表4】 表4に示すように、本発明の組成を満足するアモルファ
ス合金は、従来のFe基アモルファス合金に比べて経時
変化特性に優れ、従来のCo基アモルファス合金と同等
の熱安定性を有することが分かる。
【0074】実施例5 表5に示す各組成の合金組成物をそれぞれ調合し、これ
ら各合金組成物を溶融した。これら各母合金の溶湯を単
ロール法で超急冷することによって、それぞれ幅20mm、
板厚18μm のアモルファス合金薄帯を作製した。
【0075】これら各アモルファス合金薄帯を幅 5mmに
スリットした後、それぞれ外径12mm×内径 8mmとなるよ
うに巻回して、上記した各組成のアモルファス合金薄帯
からなるトロイダルコアを作製した。これら各トロイダ
ルコアに683K×20分の条件で歪取り熱処理を施した後、
さらに励磁界10Oe の条件下で、各コアの薄帯の長さ方
向に磁場を印加しながら熱処理を行い、角形比(Br
10)を測定した。その結果を表5に示す。
【0076】また、上記した磁場中熱処理を行わず、表
5の試料1と同様の組成(キュリー温度549K、結晶化温
度742K)で歪取り熱処理を593K(試料8)、663K(試料
9)、713K(試料10)と変えたコアについても角形比
を測定した。その結果を併せて表5に示す。
【0077】
【表5】 表5に示すように、本発明の組成を満足するアモルファ
ス合金薄帯を用いたコアは高角形比を有し、従来のCo
基アモルファス合金と同等の可飽和特性を示すことが分
かる。このような磁気コアは可飽和コアに好適である。
また、歪取り熱処理の温度を変えることにより、角形比
の制御が可能であることが分かる。
【0078】実施例6 表6に示す各組成の合金組成物をそれぞれ調合し、これ
ら各合金組成物を溶融した。これら各母合金の溶湯を単
ロール法で超急冷することによって、それぞれ幅25mm、
板厚15μm のアモルファス合金薄帯を作製した。
【0079】これら各アモルファス合金薄帯を、表6に
示す層間絶縁用フィルムと共に巻回して、それぞれ外径
70mm×内径34mmの加速器用コアを作製した。これら各コ
アの角形比、比透磁率μrおよび同価損失抵抗Rを測定
した。さらに、比透磁率μrと同価損失抵抗RとからR
/μr値を求めた。ここでは、コア形成後の歪取り熱処
理を行った場合と行わない場合とで、比透磁率μrおよ
び同価損失抵抗Rを測定した。
【0080】また、本発明との比較例として、一般に鉄
損が低いCo基アモルファス合金薄帯を用いて、同形状
のコアを作製した。これら比較例のコアについても比透
磁率μrと同価損失抵抗Rを測定し、さらにR/μrを
求めた。これらの測定結果を表6に併せて示す。
【0081】
【表6】 ここで、R/μr値は一般に加速器の損失と同意であ
り、この値が小さいほど損失が小さい。表6に示すよう
に、本発明の組成を満足するアモルファス合金薄帯を用
いた磁気コアはR/μr値が小さく、加速器の低損失化
に有効であることが分かる。
【0082】さらに、本発明のアモルファス合金薄帯を
用いた磁気コアは、歪取り熱処理の有無にかかわらず、
良好な特性を示すことが分かる。このように、本発明に
よれば歪取り熱処理を施すことなく、低損失化した加速
器用コアを提供することができる。熱処理工程を省くこ
とは磁気コアの製造工程の簡素化につながるため、磁気
コアのより一層の低コスト化が達成される。
【0083】なお、加速器用コアとして用いた実施例6
の磁気コアは、いずれも 45%以下の角形比を有するもの
である。このように角形比の低い材料の方が適する分野
においても良好な結果を示す。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアモルフ
ァス磁性材料によれば、高周波域での使用に適合する磁
気特性、熱安定性、表面平滑性などを、安価なFe−N
iベースのアモルファス磁性材料で実現することができ
る。従って、そのようなアモルファス磁性材料を用いる
ことによって、各種用途に求められる特性を満足させた
上で、製造コストの低減を図った磁気コアなどを提供す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による磁気コアの構成を
示す断面図である。
【図2】 本発明の他の実施形態による磁気コアの構成
を示す断面図である。
【図3】 本発明の磁場中熱処理における磁場印加方向
である薄帯の長さ方向を示す図である。
【図4】 本発明の磁場中熱処理における磁場印加方向
である薄帯の幅方向を示す図である。
【符号の説明】
1……アモルファス磁性薄帯 2……巻回体 3……アモルファス磁性体片 4……積層体

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:(Fe1-a-b Nia b
    100-x-y Six y (式中、MはMn、Cr、Co、Nb、V、Mo、T
    a、WおよびZrから選ばれる少なくとも 1種の元素を
    示し、a、b、xおよびyはそれぞれ 0.395≦ a≦0.7
    、 0≦ b≦0.21、 1-a-b<a 、 6≦ x≦18at% 、10≦
    y≦18at% を満足する値である)で実質的に表される組
    成を具備することを特徴とするアモルファス磁性材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアモルファス磁性材料に
    おいて、 前記M元素は、Mn、CrおよびCoから選ばれる 2種
    以上の元素を含むことを特徴とするアモルファス磁性材
    料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のアモルファス磁性材料に
    おいて、 前記M元素は、Mn、CrおよびCoを含むことを特徴
    とするアモルファス磁性材料。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のアモルファス磁性材料に
    おいて、 前記M元素の含有量bは 0.001≦ b≦ 0.1を満足するこ
    とを特徴とするアモルファス磁性材料。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のアモルファス磁性材料に
    おいて、 前記Siの含有量x および前記Bの含有量y は15≦ x+y
    ≦30at% を満足することを特徴とするアモルファス磁性
    材料。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のアモルファス磁性材料に
    おいて、 前記Siの含有量x と前記Bの含有量y は x< yの関係
    を満足することを特徴とするアモルファス磁性材料。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のアモルファス磁性材料に
    おいて、 キュリー温度Tc が473K以上573K以下であることを特徴
    とするアモルファス磁性材料。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のアモルファス磁性材料に
    おいて、 最大磁束密度Bm が0.5T以上0.9T以下であることを特徴
    とするアモルファス磁性材料。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のアモルファス磁性材料に
    おいて、 残留磁束密度Br と最大磁束密度Bm との比Br /Bm
    が 0.6以上であることを特徴とするアモルファス磁性材
    料。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のアモルファス磁性材料
    において、 前記Br /Bm 比が 0.8以上であることを特徴とするア
    モルファス磁性材料。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のアモルファス磁性材料
    において、 残留磁束密度Br と最大磁束密度Bm との比Br /Bm
    が 0.5以下であることを特徴とするアモルファス磁性材
    料。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のアモルファス磁性材料
    において、 前記アモルファス磁性材料の融点は 1273K以下であるこ
    とを特徴とするアモルファス磁性材料。
  13. 【請求項13】 請求項1記載のアモルファス磁性材料
    において、 前記アモルファス磁性材料は薄帯形状を有することを特
    徴とするアモルファス磁性材料。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のアモルファス磁性材
    料において、 前記薄帯形状を有するアモルファス磁性材料は、その両
    平マイクロ板厚を重さから換算した板厚で割った値で表
    される表面粗さKs が 1≦Ks ≦1.5 を満足することを
    特徴とするアモルファス磁性材料。
  15. 【請求項15】 請求項13記載のアモルファス磁性材
    料において、 前記薄帯形状を有するアモルファス磁性材料は30μm 以
    下の平均板厚を有することを特徴とするアモルファス磁
    性材料。
  16. 【請求項16】 請求項13記載の薄帯形状を有するア
    モルファス磁性材料の巻回体または積層体を具備するこ
    とを特徴とする磁気コア。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の磁気コアにおいて、 前記アモルファス磁性材料は、前記M元素としてCo、
    CrおよびMnから選ばれる 2種以上の元素を含むこと
    を特徴とする磁気コア
  18. 【請求項18】 請求項16記載の磁気コアにおいて、 前記アモルファス磁性材料は、キュリー温度Tc が473K
    以上573K以下、最大磁束密度Bm が0.5T以上0.9T以下、
    残留磁束密度Br と最大磁束密度Bm との比Br /Bm
    が 0.6以上であることを特徴とする磁気コア。
  19. 【請求項19】 請求項16記載の磁気コアにおいて、 前記アモルファス磁性材料は、キュリー温度Tc が473K
    以上573K以下、残留磁束密度Br と最大磁束密度Bm
    の比Br /Bm が 0.5以下であることを特徴とする磁気
    コアア。
  20. 【請求項20】 請求項13記載の薄帯形状を有するア
    モルファス磁性材料であって、キュリー温度Tc が473K
    以上573K以下、最大磁束密度Bm が0.5T以上0.9T以下、
    残留磁束密度Br と最大磁束密度Bm との比Br /Bm
    が 0.6以上であるアモルファス磁性材料の巻回体または
    積層体を具備することを特徴とする可飽和コア。
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