JPH1171656A - 電磁シールド用網および電磁シールド用シート - Google Patents

電磁シールド用網および電磁シールド用シート

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JPH1171656A
JPH1171656A JP24993397A JP24993397A JPH1171656A JP H1171656 A JPH1171656 A JP H1171656A JP 24993397 A JP24993397 A JP 24993397A JP 24993397 A JP24993397 A JP 24993397A JP H1171656 A JPH1171656 A JP H1171656A
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JP
Japan
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atomic
electromagnetic shielding
δtx
soft magnetic
metallic glass
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Application number
JP24993397A
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English (en)
Inventor
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Akihisa Inoue
明久 井上
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で取り扱いやすく長期安定性に優れた電
磁波のシールド材を提供する。 【解決手段】 本発明の電磁シールド用網および電磁シ
ールド用シートは、Fe、Co、Niのうちの1種また
は2種以上の元素を主成分とし、Zr、Nb、Ta、H
f、Moのうちの1種または2種以上の元素とBを含
み、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温
度、Tgはガラス遷移温度を示す)の式で表される過冷
却液体領域の温度間隔ΔTxが20K以上である軟磁性
金属ガラス合金からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器から
の電磁波の漏洩放射を抑制するための電磁シールドに関
し、特に網状あるいはシート状に加工された電磁シール
ドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体技術の著しい進歩に伴い、
電子機器のさらなる小型化、薄型化が進行することで、
電子部品間の距離は狭まり、筐体内に電子部品が一杯に
詰め込まれるようになってきている。このため、例えば
電子機器内のスイッチング素子などから発生する電磁波
が、他の素子を誤動作させる、あるいは筐体の外まで漏
洩し、人体に悪影響を与えるなどとして問題となってい
る。
【0003】これまでに、電磁波吸収能力のある磁性金
属もしくはそれと同等の性能を有する磁性材料を利用し
て、以下のような試みが行われてきた。 これらの磁性材料を用いて電子機器筐体を構成する
ことにより、電子機器内から発生する電磁波の拡散を防
止する。 粉末形状あるいは短繊維形状をしたこれらの磁性材
料をプラスチックなどに分散させて電子機器筐体を構成
することにより、電子機器内から発生する電磁波の拡散
を防止する。 これらの磁性材料を細線状に加工した後、金網状に
織布してシールド網を作成し、電子機器筐体内壁面に配
置して電子機器内から発生する電磁波の拡散を防止す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の対策は、電子機
器内から発生する電磁波の筐体外への拡散を防止すると
いう観点からのものであるので、筐体内に閉じこめられ
た電磁波が他の電子部品へ悪影響を及ぼすという恐れが
あった。これまで、電磁波のシールド材としてはパーマ
ロイという金属が多く使われてきた。パーマロイはニッ
ケルと鉄との合金で、透磁率が大きいという特徴を有し
ており、電磁波のシールド材として適しているが、高価
で取り扱いが難しく経年変化をおこしてしまうという問
題点があった。上記の点に鑑み、本発明は、安価で取り
扱いやすく長期安定性に優れた電磁波のシールド材を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電磁シール
ド用網は、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以
上の元素を主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo
のうちの1種または2種以上の元素とBを含み、ΔTx
=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガ
ラス遷移温度を示す)の式で表される過冷却液体領域の
温度間隔ΔTxが20K以上である軟磁性金属ガラス合
金からなることを特徴とする。また、本発明に係る電磁
シールド用網は、前記ΔTxが60K以上であり、かつ
下記の組成式で表される軟磁性金属ガラス合金からなる
ことを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%であ
り、MはZr、Nb、Ta、Hf、Moのうちの1種ま
たは2種以上からなる元素である。
【0006】さらに、本発明に係る電磁シールド用網
は、前記ΔTxが60K以上であり、かつ下記の組成式
で表される軟磁性金属ガラス合金からなることを特徴と
する。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原
子%≦z≦5原子%であり、MはZr、Nb、Ta、H
f、Moのうちの1種または2種以上からなる元素、T
はCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、A
l、Si、Ge、C、Pのうちの1種または2種以上か
らなる元素である。これらのような軟磁性金属ガラス合
金からなる電磁シールド用網は、充分な透磁率と高い飽
和磁束密度を有しており、電磁波吸収能力に優れてい
る。
【0007】本発明に係る電磁シールド用シートは、F
e、Co、Niのうちの1種または2種以上の元素を主
成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、Moのうちの1種
または2種以上の元素とBを含み、ΔTx=Tx−Tg
(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度
を示す)の式で表される過冷却液体領域の温度間隔ΔT
xが20K以上である軟磁性金属ガラス合金からなるこ
とを特徴とする。また、本発明に係る電磁シールド用シ
ートは、前記ΔTxが60K以上であり、かつ下記の組
成式で表される軟磁性金属ガラス合金からなることを特
徴とする。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%であ
り、MはZr、Nb、Ta、Hf、Moのうちの1種ま
たは2種以上からなる元素である。
【0008】さらに、本発明に係る電磁シールド用シー
トは、前記ΔTxが60K以上であり、かつ下記の組成
式で表される軟磁性金属ガラス合金からなることを特徴
とする。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原
子%≦z≦5原子%であり、MはZr、Nb、Ta、H
f、Moのうちの1種または2種以上からなる元素、T
はCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、A
l、Si、Ge、C、Pのうちの1種または2種以上か
らなる元素である。これらのような軟磁性金属ガラス合
金からなる電磁シールド用シートは、充分な透磁率と高
い飽和磁束密度を有しており、電磁波吸収能力に優れて
いる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明について
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態例のみに
限定されるものではない。図1は、本発明の電磁シール
ド用網の実施形態例を示す平面図である。このような電
磁シールド用網を製造するには、まず前記組成範囲から
なる合金を用いて細線を作成し、次いでこの細線を網状
に織って織布1とすることが好ましい。ここで、細線を
形成するには、溶融金属をノズルから冷却流体中に噴射
して冷却固化する方法、液体冷却媒体を回転ドラムの中
に入れ、ドラムを回転させることでドラム内壁に液体層
を形成させ、ここに溶融金属を噴射して冷却固化する方
法などを例示することができる。これらの方法によれ
ば、円形の断面形状を有する細線が得られるが、本発明
においては細線の断面形状は円形でなくても差し支えな
い。得られた電磁シールド用網は、例えば電子機器の筐
体の内側全面に貼付する、あるいは積層状態に配置され
た基板と基板の間に配設するなどの態様で使用すること
ができる。
【0010】図2は、本発明の電磁シールド用シートの
実施形態の一例を示す斜視図である。本実施形態におい
ては、前記電磁シールド用網の製造において得られた細
線2を可撓性フィルム3などに並設状態に固定すること
で、電磁シールド用シートを得ることができる。得られ
た電磁シールド用シートは、例えば電子機器の筐体の内
面に貼付する、あるいは積層状態などに配置された基板
と基板の間に配設するなどの態様で使用することができ
る。
【0011】図3は、本発明の電磁シールド用シートの
実施形態の他の例を示す斜視図である。このような電磁
シールド用シート4を製造するには、例えば前記組成範
囲からなる合金を粉末状とし、次いでこの合金粉末を樹
脂などに分散させ、これをシート状に加工してもよい
し、後述する放電プラズマ焼結法により合金粉末を成型
してもよい。この時、好適に使用される樹脂としては、
PET樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂などを例示す
ることができる。
【0012】本発明の電磁シールド用シートは、平面状
のまま使用することもできるし、箱型などの立体的な形
状に加工して使用することもできる。図4は、本発明の
電磁シールド用シートの実施形態の別の例を示す斜視図
である。これは、上記の電磁シールド用シートを箱型に
組み上げたものであり、この箱5を例えばLSIなどの
電子部品を覆うようにかぶせることで、LSIから電磁
波が放出されてもこれをシールドすることができるとと
もに、他の電子部品から放出される電磁波からLSIを
保護することもできる。このように個々の電子部品を覆
う場合、本発明の電磁シールド用シートをそれぞれの電
子部品に適した形状に加工することで対応することがで
きる。
【0013】次に、本発明の電磁シールド用シートの、
放電プラズマ焼結法による成型について説明する。図5
は、放電プラズマ焼結装置の一例の要部を示すもので、
この例の放電プラズマ焼結装置は、筒型のダイ11と、
このダイ11の内部に挿入される上パンチ12および下
パンチ13と、下パンチ13を支え、後述するパルス電
流を流す際の一方の電極ともなるパンチ電極14と、上
パンチ12を下側に押圧し、パルス電流を流す他方の電
極となるパンチ電極15と、上下のパンチ12、13に
挟まれた粉末原料16の温度を測定する熱電対17を主
体として構成されている。
【0014】図7に、前記放電プラズマ焼結装置の全体
構造を示す。図7に示す放電プラズマ焼結装置20は、
住友石炭工業株式会社製のモデルSPS−2050と称
される放電プラズマ焼結機の一種であり、図5に示す構
造を要部とするものである。図7に示す装置において
は、上部基盤21と下部基盤22を有し、上部基盤21
に接してチャンバ23が設けられ、このチャンバ23の
内部に図6に示す構造の大部分が収納されて構成され、
このチャンバ23は図示略の真空排気装置および雰囲気
ガスの供給装置に接続されていて、上下のパンチ12、
13の間に充填される原料粉末(粉粒体)16を不活性
ガス雰囲気などの所望の雰囲気下に保持できるように構
成されている。なお、図5と図7では通電装置が省略さ
れているが、上下のパンチ12、13およびパンチ電極
14、15は別途設けた通電装置が接続されていて、こ
の通電装置から図6に示すようなパルス電流を上下のパ
ンチ12、13を介して通電できるように構成されてい
る。
【0015】前記記載の放電プラズマ焼結装置を用いて
電磁シールド用シートを製造するには、成型用の原料粉
末を用意する必要がある。この原料粉末は、所定の組成
の合金を、溶製してから鋳造法により、あるいは単ロー
ルもしくは双ロールによる急冷法によって、さらには液
中紡糸法や溶液抽出法によって、あるいは高圧ガス噴霧
法によって、バルク状、リボン状、線状体、粉末状など
の種々の形状として製造する工程と、粉末状以外のもの
は粉砕して粉末化する工程により得られる。
【0016】次に、前記組成の原料粉末16を図5ある
いは図7に示す放電プラズマ焼結装置の上下のパンチ1
2、13の間に投入し、チャンバ23の内部を真空引き
するとともに、上下のパンチ12、13で上下から圧力
を加えて成型すると同時に、例えば図6に示すようなパ
ルス電流を原料粉末に印加して加熱し、成型する。この
放電プラズマ焼結処理においては、通電電流により原料
粉末を所定の速度で素早く昇温することができ、また、
通電電流の値に応じて原料粉末16の温度を厳格に管理
できるので、ヒータによる加熱などよりも遥かに正確に
温度管理ができ、これによりあらかじめ設計した通りの
理想に近い条件で焼結ができる。
【0017】「組成限定理由」本発明に好適に用いられ
る軟磁性金属ガラス合金の組成系において、主成分であ
るFeとCoとNiは磁性を担う元素であり、高い飽和
磁束密度と優れた軟磁気特性を得るために重要である。
また、Feを多く含む成分系においてΔTxが大きくな
りやすく、Feを多く含む成分系においてCo含有量と
Ni含有量を適正な値とすることで、ΔTxの値を60
K以上にすることができる。具体的には、50Kないし
60KのΔTxを確実に得るためには、Coの組成比を
示すaの値を0≦a≦0.29、Niの組成比を示すb
の値を0≦b≦0.43の範囲、60K以上のΔTxを
確実に得るためには、Coの組成比を示すaの値を0.
042≦a≦0.29、Niの組成比を示すbの値を
0.042≦b≦0.43の範囲とすることが好まし
い。また、前記の範囲内において、良好な軟磁気特性を
得るためには、Coの組成比を示すaの値を0.042
≦a≦0.25の範囲とすることが好ましく、高い飽和
磁束密度を得るためには、Niの組成比を示すbの値を
0.042≦b≦0.1の範囲とすることがより好まし
い。
【0018】MはZr、Nb、Ta、Hf、Moのうち
の1種または2種以上からなる元素である。これらは非
晶質を生成させるために有効な元素であり、5原子%以
上20原子%以下であると良い。さらに、高い磁気特性
を得るためには、より好ましくは5原子%以上15原子
%以下にすると良い。これら元素Mのうち、特にZrが
有効である。Zrは、その一部をNbなどの元素と置換
することができる。
【0019】Bは、高い非晶質生成能があり、本発明で
は10原子%以上22原子%以下の範囲で添加すること
が好ましい。その理由は、Bが10原子%未満である
と、ΔTxが消滅するために好ましくなく、22原子%
よりも大きくなるとアモルファスが形成できなくなるた
めに好ましくないからである。より高い非晶質形成能と
良好な磁気特性を得るためには、Bを16原子%以上2
0原子%以下の範囲で添加することがより好ましい。
【0020】前記の組成系にさらに、Tで示される、C
r、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、
Si、Ge、C、Pのうちの1種または2種以上の元素
を添加することもできる。本発明に好適に用いられる軟
磁性金属ガラス合金においては、これらの元素を0原子
%以上5原子%以下の範囲で添加することができる。こ
れらの元素は主に耐食性を向上させる目的で添加するも
ので、この範囲を外れると軟磁気特性が低下したりガラ
ス形成能が劣化したりするので好ましくない。
【0021】前記組成系の軟磁性金属ガラス合金材を製
造するには、例えば、各成分の元素単体粉末を用意し、
前記組成範囲になるようにこれらの元素単体粉末を混合
し、次いでこの混合粉末をArガスなどの不活性ガス雰
囲気中において、るつぼなどの溶解装置で溶解して所定
組成の合金溶湯を得る。次にこの合金溶湯を単ロール法
を用いて急冷することで、軟磁性金属ガラス合金材を得
ることができる。単ロール法とは、回転している金属ロ
ールに溶湯を吹き付けて急冷し、溶湯を冷却した薄帯状
の金属ガラスを得る方法である。
【0022】この方法を用いて、るつぼのノズル径を
0.4〜0.7mm、ノズル先端と金属ロール表面との
距離(ギャップ)を0.3〜0.45mm、金属ロール
の周速を2.6〜41.9m/s、射出圧力を0.32
〜0.42kgf/cm2の間で適宜調整することによ
り、Fe56Co7Ni7Zr4Nb620なる組成の厚さ2
0μm、40μm、100μm、195μmの4種類の
軟磁性金属ガラス合金の試料を製造した。図8にこれら
の試料のX線回折パターンを示す。これらの試料はいず
れもハローなパターンとなっており、アモルファス単相
組織を有していることが示された。
【0023】本発明に好適に用いられる軟磁性金属ガラ
ス合金は、アニールを施すことでその特性をさらに向上
させることができる。図9は、Fe56Co7Ni7Zr
10-wNbw20(w=0、2、4、6、8、10原子
%)なる組成の、急冷後の試料および527℃(800
K)の温度で5分間アニールした試料の飽和磁束密度
(Bs)、保磁力(Hc)、1kHzにおける透磁率
(μe)、磁歪(λs)のNb含有量依存性を示すグラ
フである。飽和磁束密度(Bs)は、急冷状態およびア
ニール後の試料ともに、Nbを添加するに従い低下し、
Nbを含まない試料が0.9(T)以上、Nbを2原子
%含む試料では約0.75(T)であった。
【0024】透磁率(μe)の値は、急冷状態の試料に
あっては、Nbを含まない試料が5031、Nbを2原
子%含む試料が2228であり、Nbを10原子%含む
試料においては906に低下した。しかし、アニールを
施すことにより透磁率(μe)は格段に向上し、特にN
bを2原子%含む試料においては、25000程度の透
磁率(μe)を得ることができる。保磁力(Hc)に関
し、急冷状態の試料にあっては、Nbを含まない試料と
Nbを2原子%含む試料はいずれも5A/m(=0.6
25(Oe))と良好な値を示しているが、Nbを4原
子%以上含む試料はいずれも40ないし46A/m程度
の値であった。しかし、アニールを施すと、Nbを4原
子%以上含む試料においても優れた保磁力(Hc)を得
ることが可能となる。磁歪(λs)は、Nbの添加量お
よびアニールの有無にあまり影響を受けていないことが
わかる。
【0025】以上のように、本発明の電磁シールド用網
および電磁シールド用シートは、充分な透磁率と高い飽
和磁束密度を有する軟磁性金属ガラス合金からなり、電
磁波吸収能力に優れている。本発明の電磁シールド用網
または電磁シールド用シートを、電子機器の筐体の内面
に貼付するなどの態様で使用することで、電子機器から
の電磁波の漏洩を効果的に防止することが可能となる。
また、上述のように本発明の電磁シールド用網もしくは
電磁シールド用シートに使用する軟磁性金属ガラス合金
は、100μm以上と厚くても、あるいは径が太くて
も、単相のアモルファスを得ることができ、磁気特性に
も優れているため、より高い電磁シールド効果が期待で
きる。さらに、本発明の電磁シールド用シートは、前記
の効果に加えて、種々の電子部品に適した形状に加工す
ることで、個々の電子部品を覆うようにすることができ
る。個々の電子部品を覆うことで、電磁波の放出を防ぐ
ことができるとともに、他の電子部品の放出する電磁波
から個々の電子部品を保護することもできる。なお、本
発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものでは
なく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変
更を加えることが可能である。
【0026】
【発明の効果】上述のごとく、本発明の電磁シールド用
網および電磁シールド用シートは、Fe、Co、Niの
うちの1種または2種以上の元素を主成分とし、Zr、
Nb、Ta、Hf、Moのうちの1種または2種以上の
元素とBを含み、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結
晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す)の式で表
される過冷却液体領域の温度間隔ΔTxが20K以上で
ある軟磁性金属ガラス合金からなることを特徴とするも
のであって、充分な透磁率と高い飽和磁束密度を有し、
電磁波吸収能力に優れ、安価で取り扱いやすく長期安定
性に優れている。この電磁シールド用網または電磁シー
ルド用シートを、電子機器の筐体の内面に貼付するなど
の態様で使用することで、電子機器からの電磁波の漏洩
を効果的に防止することが可能となる。
【0027】また、本発明の電磁シールド用シートは、
種々の電子部品に適した形状に加工することで、個々の
電子部品を覆うようにすることができる。個々の電子部
品を覆うことで、電磁波の放出を防ぐことができるとと
もに、他の電子部品の放出する電磁波から個々の電子部
品を保護することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電磁シールド用網の実施形態例を示
す平面図である。
【図2】 本発明の電磁シールド用シートの実施形態の
一例を示す斜視図である。
【図3】 本発明の電磁シールド用シートの実施形態の
他の例を示す斜視図である。
【図4】 本発明の電磁シールド用シートの実施形態の
別の例を示す斜視図である。
【図5】 本発明の電磁シールド用シートの製造に用い
ることのできる放電プラズマ焼結装置の一例の要部構造
を示す断面図である。
【図6】 図5に示す放電プラズマ焼結装置で原料粉末
に印加するパルス電流波形の一例を示す図である。
【図7】 放電プラズマ焼結装置の一例の構成を示す正
面図である。
【図8】 Fe56Co7Ni7Zr4Nb620なる組成の
合金を用いて製造した4種類の厚さの試料のX線回折パ
ターンを示すグラフである。
【図9】 Fe56Co7Ni7Zr10-wNbw20(w=
0、2、4、6、8、10原子%)なる組成の試料の飽
和磁束密度(Bs)、保磁力(Hc)、1kHzにおけ
る透磁率(μe)、磁歪(λs)のNb含有量依存性を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 織布 2 細線 3 可撓性フィルム 4 電磁シールド用シート 5 箱
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe、Co、Niのうちの1種または2
    種以上の元素を主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、
    Moのうちの1種または2種以上の元素とBを含み、Δ
    Tx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tg
    はガラス遷移温度を示す)の式で表される過冷却液体領
    域の温度間隔ΔTxが20K以上である軟磁性金属ガラ
    ス合金からなることを特徴とする電磁シールド用網。
  2. 【請求項2】 前記ΔTxが60K以上であり、かつ下
    記の組成式で表される軟磁性金属ガラス合金からなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の電磁シールド用網。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
    ≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%であ
    り、MはZr、Nb、Ta、Hf、Moのうちの1種ま
    たは2種以上からなる元素である。
  3. 【請求項3】 前記ΔTxが60K以上であり、かつ下
    記の組成式で表される軟磁性金属ガラス合金からなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の電磁シールド用網。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
    ≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原
    子%≦z≦5原子%であり、MはZr、Nb、Ta、H
    f、Moのうちの1種または2種以上からなる元素、T
    はCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、A
    l、Si、Ge、C、Pのうちの1種または2種以上か
    らなる元素である。
  4. 【請求項4】 Fe、Co、Niのうちの1種または2
    種以上の元素を主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、
    Moのうちの1種または2種以上の元素とBを含み、Δ
    Tx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tg
    はガラス遷移温度を示す)の式で表される過冷却液体領
    域の温度間隔ΔTxが20K以上である軟磁性金属ガラ
    ス合金からなることを特徴とする電磁シールド用シー
    ト。
  5. 【請求項5】 前記ΔTxが60K以上であり、かつ下
    記の組成式で表される軟磁性金属ガラス合金からなるこ
    とを特徴とする請求項4記載の電磁シールド用シート。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
    ≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%であ
    り、MはZr、Nb、Ta、Hf、Moのうちの1種ま
    たは2種以上からなる元素である。
  6. 【請求項6】 前記ΔTxが60K以上であり、かつ下
    記の組成式で表される軟磁性金属ガラス合金からなるこ
    とを特徴とする請求項4記載の電磁シールド用シート。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
    ≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原
    子%≦z≦5原子%であり、MはZr、Nb、Ta、H
    f、Moのうちの1種または2種以上からなる元素、T
    はCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、A
    l、Si、Ge、C、Pのうちの1種または2種以上か
    らなる元素である。
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