JP2003096529A - Ni−Co−Ga系またはCo−Ni−Ga系ホイスラー型磁性形状記憶合金およびその製造方法 - Google Patents
Ni−Co−Ga系またはCo−Ni−Ga系ホイスラー型磁性形状記憶合金およびその製造方法Info
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Abstract
テンサイト相変態を起こし、巨大な磁気歪みを発現でき
る磁性形状記憶合金の開発。 【解決手段】 高い結晶異方性を有し、かつ、高頻度の
低エネルギー粒界が形成されていて、磁場によりマルテ
ンサイト相変態が誘起されることを特徴とするホイスラ
ー型Ni−Co−Ga系Co−Ni−Ga系の磁性形状
記憶合金。急冷凝固により製造した薄帯は曲げ延性試験
において優れた曲げ延性を示し、特に組成比がNi2C
oGaまたはCo2NiGaでは180°の曲げ角度で
も破断しない。よって、Ni2MnGa合金に存在する
脆性の問題を解消できる。
Description
ー付与に伴う磁気誘起マルテンサイト相変態を起こし、
巨大な磁気歪みを発現できるNi−Co−Ga系または
Co−Ni−Ga系ホイスラー型磁性形状記憶合金およ
び該合金の製造方法に関する。
て、移動(歪み)と力(応力)を発生できる機能性材料は、
固体アクチュエータと呼ばれ、その材料としては、圧電
材料、磁歪材料、形状記憶材料、電気粘性流体等があ
り、アクチュエータ機能発現には、いずれの場合も結晶
構造の相変態現象と、その際の物理化学的諸量(パラメ
ータ)と機械力学的なエネルギー変換作用がかかわって
いる。
属、Fe−Al合金、フェライトが従来用いられてきた
が、1980年代に入り、超磁歪材料と称され、磁歪定
数が従来のものより桁違いに大きい希土類合金が出現し
た。この希土類合金としてはTb−Fe,Te−Ni−
Fe、Te−Co−Fe,Dy−Fe,Pr−Co等各
種の合金が知られており、代表的なTb0.27〜0.
30Dy0.7〜0.73Fe1.9〜2合金では飽和
磁歪量は1500〜2000ppmを示す。
古屋、増本:日本金属学会報第32巻第7号、505〜507頁)
から、形状記憶効果は、材料の結晶異方性に強く影響さ
れており、液体急冷凝固法により微細柱状結晶化させた
TiNiCu系形状記憶合金で、大きな変態歪みが得ら
れることもわかっている。
大きな変形(歪み量)が得られるが、これら形状記憶効果
は、応力下での熱弾性型マルテンサイト相変態に伴う原
子集団(剪断型双結晶)の連携的再配列運動で発生す
る。しかしながら、温度変化による形状記憶現象を発現
させる場合は、熱的な加熱と冷却の制御が必要になる。
その場合、特に、試料からの熱放散で律速される冷却時
の遅い応答性が問題になり、薄膜化させても、5〜10
kHz程度が最大で、繰り返し作動の場合は、これが欠
点となって実用化への障害となってきている。
現象を熱ではなく、磁気的に制御して大きな磁歪と高速
応答性を得ようとする試みがなされている。米国、ロシ
ア、北欧諸国等で磁気的機能を兼ね備えている形状記憶
合金の探索が始まってきた。これは、外的磁気エネルギ
ー付与で形状記憶効果の現象を起こす原因となっている
マルテンサイト変態(双晶変形)を誘起、移動、さらには
再配列させようとする試みである。その磁歪発現機構
(メカニズム)を、従来の磁区(磁気ドメイン)移動とその
内部磁気モーメント回転により発生する強磁性体での磁
歪発生機構と比較して模式図として、図1に示す。
が変化し、作動時間を高速化できる形状記憶合金として
1997年に発表されて注目されている(「工業材料」
1997年11月号、108〜111頁、特開平10-259438号公報、
特表平11-509368号公報)。Ni2MnGa合金は単結晶
で約6%(60000ppm)の巨大磁歪が発現することが報告さ
れているが、材料作製などのコストが高く実用化するに
は難しい。
膜や薄板はほとんど得られていない。規則格子を作るた
めには、溶解後、規則−不規則相転移温度直下の高温
(数100℃)で十分に長時間アニール処理を行う必要が
ある。アニール処理をしなければアモルファスとなって
しまい強磁性を喪失してしまい、アニール処理をした場
合には大きな結晶粒が成長しやすく、材料が大きな脆性
をもってしまう。そのため、Ni2MnGaをはじめホ
イスラー型合金を形状記憶材料に利用しやすい薄板(薄
帯)に加工するのは極めて困難であった。
おらず、その一方で規則化熱処理を行えば磁化は向上す
るが、大きな脆性を持ちやすくなる。この大きな障害を
抱えながらも、通常の生活環境温度でコスト的にも容易
に薄板(薄帯)化できる加工技術の開発、そして構造的
に単結晶に近くて脆性の問題をクリアできるホイスラー
型磁性形状記憶合金の開発という2つの難しい要求を両
立させるための探求が長く続けられてきた。
磁気的制御が可能になれば、外的磁場付与により、通常
の磁区回転による磁歪発現メカニズムよりも1オーダ以
上大きな歪みを発現でき、かつ、加熱法よりもずっと早
い応答性問題を克服できることになる。このような磁気
応答巨大磁歪型形状記憶合金を開発することで、形状記
憶合金系センサ、アクチュエータの新分野を拓くことが
でき、多機能インテリジェント材料として広い用途が期
待されている。
題を解決できる大磁歪現象を呈する合金の開発研究を鋭
意進めたところ、Ni−Co−Ga系またはCo−Ni
−Ga系組成によって形状記憶特性および磁歪特性に優
れ、Ni2MnGa合金に比べてはるかに延性に優れたホイス
ラー型合金が得られることを発見した。
ことによりホイスラー型規則格子が形成された組成比が
Ni2Co1+xGa1−xまたはCo2Ni1+xG
a1 −x(x=−0.2〜+0.2)で示され、磁場に
よりマルテンサイト双晶相変態が誘起されることを特徴
とするNi−Co−Ga系またはCo−Ni−Ga系ホ
イスラー型磁性形状記憶合金である。
することによりホイスラー型規則格子が形成された組成
比がNi2Co1+xGa1−xまたはCo2Ni
1+xGa1−x(x=−0.2〜+0.2)で示さ
れ、磁場によりマルテンサイト双晶相変態が誘起される
ことを特徴とするNi−Co−Ga系またはCo−Ni
−Ga系ホイスラー型磁性形状記憶合金である。
かつ高頻度の低エネルギー粒界が形成されてなることを
特徴とする上記のNi−Co−Ga系またはCo−Ni
−Ga系ホイスラー型磁性形状記憶合金である。また、
本発明は、強加工の後の再結晶加熱処理で強い結晶異方
性を有することを特徴とする上記のNi−Co−Ga系
またはCo−Ni−Ga系ホイスラー型磁性形状記憶合
金である。また、本発明は、磁気誘起型相変態に伴う磁
歪が、その材料での飽和磁場強さまでで100με(ス
トレイン)以上であることを特徴とする上記のNi−C
o−Ga系またはCo−Ni−Ga系ホイスラー型磁性
形状記憶合金である。
ールに連続的に供給して急冷凝固させることにより薄帯
または細線を製造する方法において、合金原料をロール
の上方に設けた原料溶解用の第一の電磁誘導コイルを用
いて浮遊溶解させるとともに、溶湯溜りから滴下する溶
湯流を原料溶解用の電磁誘導コイルの下部に位置する第
二の電磁誘導コイルにより絞り込んで細い定常流とし、
溶湯吹き出しノズルを使用しないで急冷凝固用ロールに
連続的に供給することを特徴とする上記のNi−Co−
Ga系またはCo−Ni−Ga系ホイスラー型磁性形状
記憶合金を製造する方法である。また、本発明は、上記
の方法で得られた急冷凝固材を焼鈍することを特徴とす
る上記のNi−Co−Ga系またはCo−Ni−Ga系
ホイスラー型磁性記憶合金を製造する方法である。
は、急冷凝固されたままでホイスラー型規則格子が形成
されることを特徴とし、平均結晶粒径が10μm以下の
柱状結晶粒の集合体からなる。このホイスラー型磁性形
状記憶合金は、磁気誘起型相変態(正方晶から立方晶)
に伴う磁歪が飽和磁場レベルで100με以上である。
は凝固後の圧延加工の方法として、本発明者らが先に発
明した電磁浮遊溶解急冷凝固法(特開平11-90584号公
報)を適用することができる。この方法は、合金原料を
ロールの上方に設けた原料溶解用の第一の電磁誘導コイ
ルを用いて浮遊溶解させるとともに、溶湯溜りから滴下
する溶湯流を原料溶解用の電磁誘導コイルの下部に位置
する第二の電磁誘導コイルにより絞り込んで細い定常流
とし、溶湯吹き出しノズルを使用しないで急冷用ロール
に連続的に供給する方法である。
そろった、微細単結晶粒の集合体からなる金属組織で、
大きな結晶方向性(異方性)を有する柱状結晶を形成する
ように溶湯冷却速度を選択することが望ましい。一般的
には、急冷凝固結晶粒が約10μm以下になるように微
細化して、材料基地の強度向上も行うことが有効であ
る。
は、熱処理なしで強磁性を示し、巨大磁歪を発現する磁
性形状記憶合金であり、同じ強磁性ホイスラー型合金で
あるNi2MnGa合金が強磁性の機能を発現するため
に熱処理が不可欠で、そのため、脆くなる問題を克服し
ている。
短時間焼鈍することによって、急冷時に導入されたミク
ロ的な内部歪みを除去し、ある程度の弱い再結晶過程を
起こさせて、非平衡不安定界面相を減らし、かつ結晶異
方性(配向性)を強めさせることにより、さらに磁歪特性
のみならず形状記憶特性を向上させることができる。
湯を凝固後に圧延加工することによりホイスラー型規則
格子を形成することもできる。
ある種の強磁性形状記憶合金では、その磁気エネルギー
により、マルテンサイト双晶(バリアント)界面が外部磁
場方向に移動し、再整列することが起き得る。このよう
な場合は、大きな磁気誘起型の相変態に伴う大歪が発現
でき、特に、その材料での結晶磁気異方性エネルギー(U
k)が、双晶界面移動エネルギー(Et)よりも同等か、もし
くは大きい場合にこのような現象が起こりえることにな
る。
(双晶界面移動再配列エネルギー)+W(材料から外部
へなす仕事量) さらに、磁気異方性エネルギーは、ある特定の結晶の方
位に沿った磁化方向で強められるので、その強磁性材料
でのある特定方向への結晶方位制御も、磁性形状記憶合
金での材料設計には重要になる。
数比A:B:C=2:1:1)の組成比で表され、代表
的なものとしてCu2AlMnが知られているが、強磁
性形状記憶合金としてNi2MnGaが知られている。
これまでの報告によると、上記のNi2MnGaホイス
ラ−合金は電子濃度比(Electrons/Atoms )が7.5〜
8.0付近に存在している。しかし、他のCo2NiG
a系およびNi2CoGa系合金の電子濃度比も同じよ
うな7.3〜8.2に存在し、そのマルテンサイト開始
変態温度と電子濃度比は図2に示すように、Ni2Mn
Gaと同じ直線関係上にあることが分かった。そこで、
本発明者は、Co2NiGa系の延性向上にも着目し
て、その好ましい組成範囲を見いだした。
1+xGa1−xまたはCo2Ni1+ xGa
1−x(x=−0.2〜+0.2)で示される。ホイス
ラー型合金はA2BCで表される金属間化合物であるの
で構成元素の組成比は整数値をとり、化学量論組成であ
る。しかし、完全な整数比をとらなくても結晶構造など
の相を特徴づける物性がほぼ同一になっている場合があ
り、本発明の合金ではx=−0.2〜+0.2の範囲で
あれば同一の相と見なしうる。
げ延性試験において優れた曲げ延性を示し、特に組成比
がNi2CoGaまたはCo2NiGaでは180°の
曲げ角度でも破断しない。よって、Ni2MnGa合金
に存在する脆性の問題を解消できる。
溶解急冷凝固法」方法を、図3の模式図を用いて説明す
る。単ロールの急冷凝固用の高速回転ロールの上方に配
置した高周波電磁コイルの上方より連続的に供給される
ランダム方位の多結晶帯である合金インゴットを、該高
周波電磁コイル内で電磁浮遊溶解させて、そこに浮遊溶
解した溶湯溜りを作る。該電磁コイルは、らせん状に巻
かれている。電磁誘導コイルからは原料を定常的に供給
できるとともに、液の流動状態が時間によって変化しな
い流れとする。
を上方より電磁コイル内に供給すると、電磁コイルに流
れる電流が作るローレンツ力F(磁束方向B)により、
電磁コイルの内側の金属原料に上方への電磁浮遊力Wが
作用し、かつ高周波電磁誘導加熱(うず電流)効果によ
り、合金インゴットは加熱溶解されたままで電磁コイル
の中央部に浮遊した溶湯溜りとして保持され、さらに、
うず電流により撹拌されて均質・高純度化される。
ると電磁浮遊力Wより浮遊した溶湯溜りの重さが勝り、
また、溶湯自身の表面張力や粘性との関連性で溶湯は、
電磁コイルの下方に滴下していくが、滴下する溶湯は電
磁コイルの作用により細かく絞り込まれ、長い定常流と
して回転急冷ロールの所定箇所に流下する。急冷凝固さ
れた薄帯または細線は横方向に進行する。
凝固させて組織制御を行ない、材料の高性能、高機能化
を計ることができる。図2の右側の模式図は、ランダム
方位の多結晶である合金インゴットが急冷凝固により異
方性の組織制御合金となる様子を示している。図2のH
は、磁場、熱量、Lは元の長さ、ΔLは、変体の伸び、
ひずみ(磁歪、形状記憶変化)を示している。この方法に
よれば40〜300ミクロン厚さの薄帯や直径30〜2
00ミクロン程度の細線を製造できる。
明する。 〈試料の作成〉高純度のコバルト、ニッケルおよびガリ
ウムを所定の合金濃度の割合で混合し、(1)Ni50
Co25Ga25,(2)Co50Ni25Ga25,
(3)Co50Ni22.5Ga27.5,(4)Co
50Ni21.25Ga28. 75,(5)Co50N
i20.86Ga29.14の5つの合金のボタン状イ
ンゴットを作成した。また、インゴットの一部を切り出
し、縦横約7mm、厚さ1mmの試料を作成しこれをバ
ルク試料とした。さらに、合金インゴット6gをアルゴ
ン雰囲気中で、電磁浮遊溶解急冷凝固法により、単ロー
ルを用いて、凝固速度(ロール速度31.4m/s)で、厚さ
60〜90μm、幅5mmの薄帯を作成した。
料の結晶構造は、プレート状のままCukα1線を用い
てX線回折を行い、ホイスラー型合金であることが確認
された。得られたX線回折のデータを図3に示す。図4
から、2θ=43°に現れる{220}ピークが2本に分
離していることから、ホイスラー型正方晶であり、マル
テンサイト相が存在することが確認される。さらに、薄
帯における{200}ピークの分離がバルク試料より著し
いことから急冷凝固法がマルテンサイト相形成に有効に
作用することがわかる。
て問題となっている試料の脆性について調べるために上
記の急冷凝固法により作成された5つの薄帯試料におい
て曲げ延性試験を行った。試験の方法は図5に示されて
いるように、試料を0°〜180°まで曲げていき試料
が破断するかどうかを調べた。急冷凝固薄帯試料の曲げ
延性試験結果を表1に示す。試料はGaの含有量が増え
ると低角で破断するが、NiMnGa試料に存在する脆
性の問題は、全く解消されている。
型磁力計(VSM)を用い最大印加磁場(Hmax)=5kO
eとし、磁化−印加磁場曲線(M-Hループ)を測定する
ことにより行われた。得られたM−Hループを図6に示
す。図5は、Co50Ni21.25ga28.75のバルク試料と
急冷薄帯試料の0°と90°方向別のM−Hループであ
る。0°のM−Hループは5kOeで飽和し、約45e
mu/gの磁化を持ち、強磁性体であることがわかる。
と急冷薄帯試料の方向別の保磁力Hcの値を図7に示
す。バルク試料の保磁力は方向に依らず等方的で、ラン
ダム方位結晶材料であるのに対し、急冷試料の保磁力は
θ=70°〜80°で約1400Oeもの保磁力を示
し、この方向に極めて強い結晶異方性をもっていること
を示している。この現象は他の4種類の合金薄帯でも現
れた。
中、室温(293K)で8kOeまでの磁場中で試料表面に
貼付した歪ゲージを用いて行なった。測定中、試料はア
クリルの棒状ホルダーに固定され、磁場中心にくるよう
に上部架台より吊下げられた。また急冷試料は試料作製
時の長手方向(RD方向)を回転軸として固定し、Bul
k試料は平面内の1方向に回転軸を固定し、それぞれ試
料面に対し垂直な方向(厚さ方向)が印加磁場方向と平
行のときを、測定方向、θ=90°と定義している。
た。使用条件は、磁極間隔30mmで使用し、60V−
30Aで8kOeの磁場を得る。供給電圧は、一次測定
電圧装置により行い、電流一定制御での電流は手動によ
り設定した値を供給する。図8(b)に印加磁場方向θの
説明と室温でのCo50Ni21.25Ga28.75の(a-1)Bu
lkk試料、(a-2)急冷薄帯試料の磁歪の方向依存性のグ
ラフを示す。
く、等方的で、ランダム方位結晶材料であるのに比べ、
(a-2)の急冷薄帯試料の磁歪は、θ=80°で最大磁歪
90ppmが出現し、強い結晶異方性があることがわか
る。これは図7に示す保磁力の方向依存性と一致し、急
冷凝固法により生じた強い結晶異方性によりマルテンサ
イト双晶界面が一方向に移動しやすいことを示す。
た磁化の強さと磁歪の関係を示す。同じ磁化の強さに対
する磁歪量は、バルク試料に比べ急冷薄帯が5〜10倍
以上の大きな磁歪現象を誘起できる。
果を発現するCoGa系合金でのマルテンサイト双晶の
発生・移動・消滅を伴う相変態温度を挟む各温度での磁
歪測定を行なうために、熱電対を歪ゲージ張り付け部の
近傍に固定し、温度一定制御下での磁歪を測定した。試
料の温度制御はジュワー瓶の中の液体窒素と銅製の試料
台に巻かれたヒータ電流を調節することにより行われ
た。図10における磁場の印加方向は、室温で大きな磁
歪の現れたθ=50°に固定された。
性を示す。この図は、350K付近でピークを示し、磁
歪は大きくなる。さらに、約150K以下の温度で−1
00ppmを遥かに越える大きな磁歪を示し、8kOe
の印加磁場でも、まだ飽和しない。また150Kの磁歪
量を比較するとGa量の減少に比例して増加し、150
Kよりも低温領域では、磁場によりマルテンサイト双晶
界面の移動が活発化する相変態が存在している。故に、
140K以下の温度で8kOe以上の印加磁場の条件下
では、さらに大きい巨大磁歪が得られる可能性がある。
磁歪のピークが現れる温度が上昇する傾向がみられる。
これより、現段階では140K以下の低温で磁歪のピー
クが現れているが、Gaの含有量を調節することにより
室温近傍で巨大磁歪を発生させることが可能となる。
状記憶合金の中で、従来からの加熱で形状回復を起こす
熱弾性型と同様に、外部磁気エネルギーにより磁気誘起
マルテンサイト双晶の発生やその界面の移動により、大
きな磁歪現象を起こし得るホイスラー型合金である。
ェノールD等〕での磁化過程終盤期での磁区回転機構と
は異なるメカニズムで磁場中変形が誘起されるわけで、
理論的には強磁場中では感熱型形状記憶合金のように数
%の回復ひずみも予測されるが、現段階でも、ここでの
ホイスラー型合金でランダム方位結晶材料よりも6〜1
0倍程度の大幅な磁歪量増大が発見された。
ンサ・アクチュエータのネックとなっていた、遅い応答
性(せいぜい5Hz)よりもずっと早く、高速(〜20kHz)
で応答できる巨大磁歪アクチュエータが実現できること
になり、高性能磁気センサや非接触型磁気アクチュエー
タ等のホイスラー型磁性記憶合金という新素材を提供す
るものである。大変形磁歪材料としての、宇宙構造物位
置制御、エンジンバルブ制御、精度位置決めセンサ、微
小機械部品制御、生体内非接触マイクロマシン、高周波
弾性波振動子、ソナーなど非破壊検査などへの応用材料
として著しい技術革新をもたらすものである。
ある。
イト変態開始温度の変化を示すグラフである。
溶解急冷凝固法の模式図である。
スペクトルである。
試験概略図である。
ク試料との磁気曲線方向依存を示すグラフである。
ク試料との保磁力の方向依存性を示すグラフである。
ク試料とのの方向依存性を示すグラフである。
ク試料との磁歪の磁化依存を示すグラフである。
依存性を示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 溶湯を急冷凝固することによりホイスラ
ー型規則格子が形成された組成比がNi2Co1+xG
a1−xまたはCo2Ni1+xGa1−x(x=−
0.2〜+0.2)で示され、磁場によりマルテンサイ
ト双晶相変態が誘起されることを特徴とするNi−Co
−Ga系またはCo−Ni−Ga系ホイスラー型磁性形
状記憶合金。 - 【請求項2】 溶湯を凝固後に圧延加工することにより
ホイスラー型規則格子が形成された組成比がNi2Co
1+xGa1−xまたはCo2Ni1+xGa
1−x(x=−0.2〜+0.2)で示され、磁場によ
りマルテンサイト双晶相変態が誘起されることを特徴と
するNi−Co−Ga系またはCo−Ni−Ga系ホイ
スラー型磁性形状記憶合金。 - 【請求項3】 強い結晶異方性を有し、かつ高頻度の低
エネルギー粒界が形成されてなることを特徴とする請求
項1または2記載のNi−Co−Ga系またはCo−N
i−Ga系ホイスラー型磁性形状記憶合金。 - 【請求項4】 強加工の後の再結晶加熱処理で強い結晶
異方性を有することを特徴とする請求項3記載のNi−
Co−Ga系またはCo−Ni−Ga系ホイスラー型磁
性形状記憶合金。 - 【請求項5】 磁気誘起型相変態に伴う磁歪が、その材
料での飽和磁場強さまでで100με(ストレイン)以
上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
に記載のNi−Co−Ga系またはCo−Ni−Ga系
ホイスラー型磁性形状記憶合金。 - 【請求項6】 金属の溶湯を急冷用ロールに連続的に供
給して急冷凝固させることにより薄帯または細線を製造
する方法において、合金原料をロールの上方に設けた原
料溶解用の第一の電磁誘導コイルを用いて浮遊溶解させ
るとともに、溶湯溜りから滴下する溶湯流を原料溶解用
の電磁誘導コイルの下部に位置する第二の電磁誘導コイ
ルにより絞り込んで細い定常流とし、溶湯吹き出しノズ
ルを使用しないで急冷凝固用ロールに連続的に供給する
ことを特徴とする請求項1〜5記載のNi−Co−Ga
系またはCo−Ni−Ga系ホイスラー型磁性形状記憶
合金を製造する方法。 - 【請求項7】 請求項6記載の方法で得られた急冷凝固
材を焼鈍することを特徴とする請求項1〜5のいずれか
に記載のNi−Co−Ga系またはCo−Ni−Ga系
ホイスラー型磁性記憶合金を製造する方法。
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