JPH1170568A - 透湿性に優れたプラスチックボトル - Google Patents

透湿性に優れたプラスチックボトル

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JPH1170568A
JPH1170568A JP23495897A JP23495897A JPH1170568A JP H1170568 A JPH1170568 A JP H1170568A JP 23495897 A JP23495897 A JP 23495897A JP 23495897 A JP23495897 A JP 23495897A JP H1170568 A JPH1170568 A JP H1170568A
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bottle
copolymer
cyclic olefin
ethylene
container
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Takeshi Saito
剛 斎藤
Kichiji Maruhashi
吉次 丸橋
Kiyoshi Kawaguchi
清 川口
Makoto Eto
誠 江藤
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  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 二軸延伸により耐衝撃性が向上していると共
に、水分等に対する耐気体透過性も優れたレベルに維持
されている環状オレフィン系共重合体製の延伸ボトルを
提供するにある。 【解決手段】 環状オレフィン系共重合体から形成され
たボトルにおいて、前記環状オレフィン系共重合体がエ
チレンとノルボルネンとの非晶質共重合体であり、該共
重合体は60℃乃至130℃の範囲のガラス転移点(T
g)を有し、且つ前記容器の胴部は二軸方向に延伸され
ていることを特徴とする透湿性に優れたボトル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環状オレフィン系共重
合体から形成されプラスチックボトルに関するもので、
より詳細には、透湿性の顕著に改良された環状オレフィ
ン系共重合体ボトルに関する。
【0002】
【従来の技術】環状オレフィン系共重合体は、透明性や
耐水分透過性に優れ、耐熱性や機械的特性にも優れたオ
レフィン系樹脂として、透明包装材料の分野で着目され
ている。
【0003】環状オレフィン系共重合体から、ボトル等
の中空成形容器を製造することも既に知られており、特
開平3−726号公報には、環状オレフィンとエチレン
とを付加重合して成る共重合体から成形されたブロー成
形品が記載されている。また、特開平7−80919号
公報には、環状オレフィン成分5乃至60モル%を有す
るポリオレフィンから成る延伸ブロー成形品が記載され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】環状オレフィン系共重
合体から成る容器には、インジェクションブロー法等に
よる未延伸のブロー成形容器と、コールドパリソン法等
による延伸ブロー成形容器とに大別されるが、未延伸の
ブロー成形容器では、落下衝撃に対する強度が低く、包
装容器の実用性の点では、延伸成形を行った容器が優れ
ている。
【0005】しかしながら、延伸成形を行った環状オレ
フィン系共重合体ボトルでは、耐衝撃性が向上する反
面、透湿性が未延伸の環状オレフィン系共重合体ボトル
に比して低下するという欠点があることが分かった。
【0006】従って、本発明の目的は、二軸延伸により
耐衝撃性が向上していると共に、水分等に対する耐気体
透過性も優れたレベルに維持されている環状オレフィン
系共重合体製の延伸ボトルを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、環状オ
レフィン系共重合体から形成されたボトルにおいて、前
記環状オレフィン系共重合体がエチレンとノルボルネン
との非晶質共重合体であり、該共重合体は60℃乃至1
30℃の範囲のガラス転移点(Tg)を有し、且つ前記
容器の胴部は二軸方向に延伸されていることを特徴とす
る透湿性に優れたボトルが提供される。本発明のボトル
においては、 1.前記非晶質共重合体が80乃至55モル%のエチレ
ンを含み且つメタロセン系触媒を用いて製造された共重
合体であること、 2.ボトルの胴部について、微小X線回折装置を用いて
測定したX線回折像における角度(2θ)が7.271
度から23.271度までの範囲のピーク面積から算出
した半価幅が4.70度以上の範囲にあること、が好ま
しい。
【0008】
【発明の実施の形態】
[作用]本発明では、環状オレフィン系共重合体とし
て、エチレンとノルボルネンとの非晶質共重合体であっ
て、60℃乃至130℃の範囲のガラス転移点(Tg)
を有するものを選択したこと、及び容器の胴部を二軸方
向に延伸したことの組み合わせに特徴を有するものであ
り、このボトルは、意外なことに耐衝撃性と共に耐透湿
性も向上しており、透明性等の外観特性にも優れている
という利点がある。
【0009】既に指摘したとおり、環状オレフィン系共
重合体は、耐透湿性に優れたプラスチックであるが、環
状オレフィン系共重合体で形成された未延伸のボトルは
耐衝撃性に劣っており、落下の衝撃で容易に割れるとい
う欠点がある。この欠点を解消するため、環状オレフィ
ン系共重合体を二軸延伸ブロー成形すると、耐衝撃性は
確かに向上するが、透湿性が大きくなるという欠点が認
められる。例えば、後述する比較例1に示すとおり、環
状オレフィン系共重合体(エチレン−テトラシクロドデ
センコポリマー)の未延伸のボトルの透湿係数は0.0
644g・mm/m2 ・dayであるのに対して、延伸
ボトルでは、透湿係数が0.0888g・mm/m2
dayであり、透湿係数が逆に大きくなっているのであ
る。
【0010】これに対して、環状オレフィン系共重合体
として、エチレンとノルボルネンとの非晶質共重合体で
あって、60乃至130℃のガラス転移点(Tg)を有
するものを選択すると、後述する実施例1に示すとお
り、未延伸ボトルでは、透湿係数が0.0900g・m
m/m2 ・dayであるのに対して、延伸ボトルでは、
透湿係数が0.0724g・mm/m2 ・dayと小さ
く抑制することが可能となるのであって、しかもこの耐
透湿性の向上は耐衝撃性の向上と共にもたらされるので
ある。
【0011】この共重合体のガラス転移点(Tg)が上
記範囲よりも低い場合及び高い場合の何れにおいても、
上記範囲内にある場合に比して耐透湿性の改善が不十分
となる。これは、Tgが低い場合においては分子配向の
緩和が生じやすいこと、Tgが高い場合においては二軸
延伸そのものが困難となることと関係しているものと推
定される。更に、Tgが低い場合には、耐熱性が低下し
たり、耐内容物性の低下、特に内容品のオフ・フレーバ
ー等を招きやすいという傾向も認められる。一方、Tg
が高い場合には、容器が白化して透明性が低下するとい
う欠点も認められる。
【0012】本発明に用いる環状オレフィン系非晶質共
重合体は、80乃至55モル%のエチレンを含み且つメ
タロセン系触媒を用いて製造された共重合体であること
が好ましい。この特定の共重合体は、ボトルを二軸延伸
成形したときの分子配向性に優れていると共に、分子配
向による耐透湿性や耐衝撃性の向上効果が特に大きい。
エチレン含有量が上記範囲を下回ると、ボトルの耐透湿
性が低下し、耐衝撃性も低下する傾向がある。また、エ
チレン含有量が上記範囲を上回ると、やはり耐透湿性が
低下したり、透明性が損なわれる傾向がある。
【0013】環状オレフィン系共重合体の延伸ブロー成
形容器における分子配向の程度は、微小X線回折装置を
用いて測定したX線回折像における角度(2θ)が
7.271度から23.271度までの範囲のピーク面
積から算出した半価幅で評価できることが分かった。未
延伸の環状オレフィン系共重合体の半価幅は小さく、延
伸配向の程度が大きくなるほど半価幅は大きな値とな
る。図1は本発明による環状オレフィン系共重合体の延
伸ブロー成形ボトルのX線回折像である。 本発明で
は、微小X線回折装置を用いて測定したX線回折像にお
ける角度(2θ)が7.271度から23.271度ま
での範囲のピーク面積から算出した半価幅が4.70度
以上の範囲にあることが、耐衝撃性及び耐透湿性の向上
の見地から好ましい。
【0014】本発明のボトルを示す図2(側面図)にお
いて、このボトル1は、特定の環状オレフィン系共重合
体の延伸ブロー成形で形成されており、胴部2、閉塞底
部3及び首部4から成っており、首部4にはキャップ係
合用ネジ5が形成されている。ボトル胴部は二軸延伸に
より配向されている。
【0015】[環状オレフィン系共重合体]ボトルを構
成する環状オレフィン系共重合体としては、オレフィン
とノルボルネンとの非晶質共重合体の内、ガラス転移点
(Tg)が60乃至130℃のものが使用される。ノル
ボルネン下記式(1)で表される構造を有する。
【化1】
【0016】共重合体を構成するオレフィンとしては、
エチレンが好適であるが、他にプロピレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1ーヘキセン、1−オクテン、3ー
メチル1−ペンテン、1−デセン等の炭素数3乃至20
のα−オレフィンが、単独或いはエチレンとの組み合わ
せで使用される。
【0017】この共重合体は、80乃至55モル%、特
に75乃至65モル%のエチレン含有量を有している。
また、60乃至130℃のガラス転移点(Tg)を有す
るのがよい。この共重合体の分子量は、特に制限はない
が、デカリン中135℃で測定して、0.1乃至20d
l/gの極限粘度[η]を有するのがよい。
【0018】本発明に用いるエチレン・ノルボルネン共
重合体は、エチレンとノルボルネンとの混合物を、メタ
ロセン系触媒の存在下に重合させることにより得られる
ものであり、前述した範囲のガラス転移点とエチレン含
有量とを有するものである。
【0019】メタロセン系触媒とは、メタロセン、即
ち、置換乃至未置換のシクロペンタジエニル環2個と各
種の遷移金属で構成されている錯体から成る遷移金属成
分と、有機アルミニウム成分、特にアルミノオキサンと
から成る触媒の総称であり、遷移金属成分としては、周
期律表第IVb族、第Vb族或いは第VIb族の金属、特に
チタニウム或いはジルコニウムが挙げられる。触媒中の
遷移金属成分としては、一般に下記式(2) (Cp)2 MR2 式中、Cpは置換または未置換のシクロペンタジエニル
環であり、Mは遷移金属であり、Rはハロゲン原子或い
はアルキル基である、で表されるものが一般的に使用さ
れている。
【0020】アルミノキサンとしては、有機アルミニウ
ム化合物を水と反応させることにより得られたものであ
り、線状アルミノキサン及び環状アルミノキサンがあ
る。これらのアルミノキサンは、単独でも或いは他の有
機アルミニウムとの組み合わせでも使用できる。
【0021】メタロセン系触媒を使用するエチレンとノ
ルボルネンとの重合法は、特開平6−336508号公
報をはじめとし、多数の公報で公知であり、前記メタロ
セン系触媒の存在下、有機溶剤中、液状単量体中或いは
気相法での重合により合成されるが、これらの公知の何
れの方法によるものでも、前記条件を満足するものは本
発明の目的に使用できる。
【0022】好適な共重合体は、三井石油化学株式会社
から、APSの商品名で入手でき、APEL8008X
C,APS8009XC等が適している。
【0023】環状オレフィン系共重合体は、単独で用い
ることが好ましいが、その本質を損なわない範囲、即ち
50重量%よりも少ない量、特に30重量%以下の量
で、他のオレフィン系樹脂とのブレンド物の形で使用す
ることもできる。他のオレフィン系樹脂としては、オレ
フィン系ホモポリマーやコポリマーが好適に使用され
る。例えば、低密度、中密度或いは高密度のポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン−1、ポリペンテン−1、ポリ4−メチルペンテン
−1、プロピレン−エチレン共重合体、アイオノマー、
エチレン−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共
重合体等を挙げることができる。勿論これらのオレフィ
ン系樹脂は単独でも二種以上の組み合わせでも使用する
ことができる。
【0024】ブレンドするこれらのオレフィン系樹脂
は、一般に0.1乃至50g/10min、特に0.2
乃至30g/10minのMFR(メルトフローレー
ト)を有しているのがよく、成形法に応じて、押出グレ
ードのものや射出グレードのものを適宜選択使用するこ
とができる。
【0025】上記環状オレフィン系共重合体には、それ
自体公知の配合剤、例えば顔料、充填剤、酸化防止剤、
滑剤、安定剤、紫外線吸収剤等をそれ自体公知の処方に
従って配合しうる。
【0026】[ボトル]環状オレフィン系共重合体或い
はその組成物を、射出機に供給し、溶融混練した後に予
備成形体に熱成形し、次いで予備成形体を延伸成形する
ことにより任意の形状のボトルに成形する。この際、ガ
ラス転移温度+200℃以下の温度、特にガラス転移温
度+150℃以下の温度で溶融混練することが好まし
い。
【0027】射出機としては、射出プランジャまたはス
クリューを備えたそれ自体公知のものが使用され、ノズ
ル、スプルー、ゲートを通して前記混合物を射出型中に
射出する。これにより、樹脂が射出型キャビティ内に流
入し、冷却固化されてプリフォーム等の予備成形品が得
られる。
【0028】容器の製造に際して、コールドパリソン法
のように、一旦予備成形体を製造し、この予備成形体を
最終成形品に延伸成形することができる。例えば、射出
成形により、容器よりも小さい形状の有底プリフォーム
を成形し、この有底プリフォームに気体を吹き込むと共
に軸方向に引っ張り延伸して二軸延伸成形ボトルとす
る。
【0029】延伸成形は、樹脂のガラス転移点にもよる
が、一般に70乃至200℃、特に80乃至180℃の
範囲がよく、延伸倍率は、面積倍率で、1.2乃至20
倍、特に1.3乃至16倍の範囲が適当である。
【0030】本発明のボトルの胴部では、微小X線回折
装置を用いて測定したX線回折像における角度(2θ)
が7.271度から23.271度までの範囲のピーク
面積から算出した半価幅が4.70度以上の範囲にある
ように分子配向されている。
【0031】ボトルの分子配向は、偏光顕微鏡による複
屈折でも評価することができる。複屈折は切り出したボ
トル片を30μmの厚さにスライスして、厚み方向を基
準とした高さ方向及び周方向の複屈折をそれぞれ測定し
た。複屈折(Δn)は、下記式(3)により求められ
る。 Δn=R/d ‥(3) 式中、Rはレターデーション(nm)であり、dは試料
厚み(nm)である。レターデーション(R)は、下記
式(4)により与えれる。 R=Θ・λ/180 ‥(4) 式中、Θはアナライザーの回転角(deg)であり、λ
は使用波長(546nm)である。
【0032】ボトル胴部は、ボトルの周方向にも、高さ
方向にも4.3×10-3以上、特に4.4×10-3以上
の複屈折を有するのがよい。一例として、後述する実施
例1の未延伸の共重合体の複屈折は4.13×10-3
あり、実施例1の延伸ボトル胴部の複屈折は、周方向で
4.46×10-3であり、高さ方向で 4.48×10
-3である。
【0033】本発明のボトルは、錠剤瓶、飲料瓶等の任
意のものであってよい。また、このボトルは、環状オレ
フィン系共重合体の単層のボトルであっても、また、外
表面が環状オレフィン系共重合体で形成されている限
り、他の熱可塑性樹脂との積層ボトルであってもよく、
積層される他の熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポ
リエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいは
エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−
ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブ
ロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、
エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化
合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチ
レン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン
共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、
ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポ
リビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロ
ン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合
物を挙げることができる。
【0034】
【実施例】本発明を以下の例により具体的に説明する
が、本発明は以下の例に限定されるものではない。次の
要領で容器を製造し、以下の実験に供した。
【0035】容器:環状ポリオレフィン系共重合体を、
二軸延伸ブロー成形機(日精ASB‐50H、日精AS
B機械工業(株)製)を使用して、目付10.5g、延
伸倍率(面積倍率)4〜5倍の条件で、5K規格錠剤瓶
を延伸ブロー成形した。最適延伸温度は各樹脂によって
異なるが、後記の実施例の延伸温度よりも低温で二軸延
伸成形したものは、ボトル形状に成形できない、もしく
は過延伸による白化が発生してしまう。また、実施例の
延伸温度よりも高温で二軸延伸したものは、透明なボト
ル形状にはなるが、延伸不足のために十分な落下強度が
得られない。尚、延伸温度はブロー直前のプリフオーム
中央部を超高速赤外線カメラ600L(日本バーンズ
(株)製、波長域:8〜12μm、放射率:0.85)
で測定した値である。未延伸容器はインジェクションブ
ロー成形機(ISK881・F85、Kerplas社
製)により射出ブローして成形した。
【0036】水分透過試験 USPXXII<671>に準拠した。具体的には、試
験容器12個をとり、乾燥布で表面を清浄にし、各容器
を30回、毎回一様に開閉した。この中の10個を試験
容器として、残りの2個を比較対照容器として用いた。
金属スクリユーキヤップは、200N・cmのトルクで
閉めた。試験容器10個の各々に無水塩化カルシウムの
層が5cm以上になるようにガラスビーズと共に入れ、
無水塩化カルシウムを栓から13mm以内まで加えた。
比較対照容器2個には、試験容器の重量とほぼ等しくな
るようにガラスビーズを加え、同様の強さで閉めた。充
填した各容器の重量を、1mg単位まで精密に量り、相
対湿度75±3%、温度23±2℃で保存した。14日
間経過後、同様にそれぞれの容器の重量を精密に量っ
た。透湿係数は、下記式から算出した。 透湿係数=(保存容器重量−初期容器重量)/容器表面
積・容器平均肉厚・保存日数。
【0037】配向状態の測定法 環状ポリオレフィン系共重合体からなる容器の底部から
30mmの位置から10mm角にサンプルを切り出し、
微小X線回折装置(PSPC‐150C)(理学電気
(株)製)を用いて配向状態の測定を行った。サンプル
の向きは、容器の高さ方向を測定面の高さ方向にしてセ
ットした。測定条件は管電圧30kV、管電流100m
A、測定時間200秒の条件で行った。測定後、7.2
71度から23.271度の範囲で積分強度計算を行
い、半価幅を求めた。
【0038】落下試験 JIS Z0202に準拠した。具体的には、試料容器
に室温の水を満注し、金層キャツプで密封後これをコン
クリート床面に高さ120cmから落下させて行った。
落下テストは、それぞれの条件について10個の水充填
容器について行い(N=10)、室温の条件で容器1個
に対して垂直落下を10回行った後、水平落下を10回
行った。また、同様の試験を低温(5℃)においても行
った。評価基準は次の通りである。 A 破損容器無し。 B 破損容器が落下試験に供した全容器の80%未満。 C 破損容器が落下試験に供した全容器の80%以上。 D 全数破損。
【0039】外観評価 目視にて判断。次のように評価。 A・・良好(透明性に優れる)。 B・・容器の一部に白化が存在、または一部分成形不可
能。
【0040】実施例1 メタロセン触媒を用いて製造された、環状オレフィン系
共重合体(エチレン・ノルボルネンコポリマー)APS
8008XC(三井石油化学工業(株)製)を延伸ブロ
ー成形した。成形条件は、バレル温度250℃でプリフ
オームを射出成形し、プリフオーム温度121℃で延伸
ブロー成形した。得られた結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 透湿係数(g・mm/m2 ・day) X線半価幅 落下強度(室温) 未延伸ボトル 0.0900 4.501 D 延伸ボトル 0.0724 4.865 A 延伸したボトルの水分バリヤー性はかなり未延伸ボトル
より向上した。
【0042】実施例2 メタロセン触媒を用いて製造された、環状オレフィン系
共重合体(エチレン・ノルボルネンコポリマー)APS
8008XC、APS8009XC、S‐1460N、
S‐1660N(全て三井石油化学工業(株)製)を延
伸成形した。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】 注1・・・g・mm/m2 ・day エチレン含有量が多いものほど水分バリヤー性が高く、
しかも延伸ブローすると、水分バリヤー性が向上した。
【0044】実施例3 メタロセン触媒を用いて製造された、環状オレフィン系
共重合体(エチレン・ノルボルネンコポリマー)APS
8008XC(三井石油化学工業(株)製)を延伸ブロ
ー成形した。成形条件は、バレル温度250℃でプリフ
オームを射出成形した後、延伸温度を変えて延伸ブロー
成形した。得られた結果を表3に示す。
【0045】
【表3】 延伸温度 〜112℃ 112〜125℃ 125℃〜 落下強度(室温) A A C (5℃) A A C 外観 B A A X線半価幅 4.717 4.865 4.690 透湿係数 0.0836 0.0724 0.0900 延伸温度が低いと容器が白化し、延伸温度が高いと落下
強度が低下した。X線半価幅が大きいものが水分バリヤ
ー性はもとより落下強度、透明性にも優れる。
【0046】比較例1 バナジウム触媒を用いて製造された、環状オレフィン系
共重合体(エチレン・テトラシクロドデセンコポリマ
ー、エチレン含有量78モル%)APL6508(三井
石油化学工業(株)製)を延伸ブロー成形した。成形条
件は、バレル温度210℃でプリフオームを射出成形
し、プリフオーム温度95℃で延伸ブロー成形した。結
果を表4に示す。
【0047】
【表4】 透湿係数(g・mm/m2 ・day) X線半価幅 落下強度(室温) 未延伸ボトル 0.06441 5.638 D 延伸ボトル 0.08881 5.872 A 延伸したボトルの水分バリヤー性は極端に低下した。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、環状オレフィン系共重
合体として、エチレンとノルボルネンとの非晶質共重合
体であって、60℃乃至130℃の範囲のガラス転移点
(Tg)を有するものを選択し、胴部に二軸方向延伸を
付与することにより、耐衝撃性と共に、水分等に対する
耐気体透過性をも顕著に向上させることができ、このボ
トルは透明性等の外観にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による環状オレフィン系共重合体の延伸
ブロー成形ボトルのX線回折像である。
【図2】本発明のボトルを示す側面図である。
【記号の説明】
1 ボトル 2 胴部 3 閉塞底部 4 首部 5 キャップ係合用ネジ
【手続補正書】
【提出日】平成9年11月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】好適な共重合体は、三井石油化学株式会社
から、APELの商品名で入手でき、APS8008X
C,APS8009XC等が適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 232:04)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状オレフィン系共重合体から形成され
    たボトルにおいて、前記環状オレフィン系共重合体がエ
    チレンとノルボルネンとの非晶質共重合体であり、該共
    重合体は60℃乃至130℃の範囲のガラス転移点(T
    g)を有し、且つ前記容器の胴部は二軸方向に延伸され
    ていることを特徴とする透湿性に優れたボトル。
  2. 【請求項2】 前記非晶質共重合体が80乃至55モル
    %のエチレンを含み且つメタロセン系触媒を用いて製造
    された共重合体である請求項1記載のボトル。
  3. 【請求項3】 ボトルの胴部について、微小X線回折装
    置を用いて測定したX線回折像における角度(2θ)が
    7.271度から23.271度までの範囲のピーク面
    積から算出した半価幅が4.70度以上の範囲にある請
    求項1または2記載のボトル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001064321A (ja) * 1999-06-21 2001-03-13 Mitsui Chemicals Inc 硬化性樹脂用保存容器
JP2010274950A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Daiwa Tokushu Glass Kk 自立性容器とその製造方法

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