JPH1170397A - 排水の処理方法 - Google Patents

排水の処理方法

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JPH1170397A
JPH1170397A JP23347997A JP23347997A JPH1170397A JP H1170397 A JPH1170397 A JP H1170397A JP 23347997 A JP23347997 A JP 23347997A JP 23347997 A JP23347997 A JP 23347997A JP H1170397 A JPH1170397 A JP H1170397A
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祐介 塩田
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純一 三宅
Kiichiro Mitsui
紀一郎 三井
Yukihiro Yoneda
幸弘 米田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種産業プラントからの排水を加熱処理して
浄化する際に、加熱器(例えば、熱交換器)における排
水の濃度を低減して、加熱器の腐食やスケールの付着な
どの問題を効果的に防止し、長期にわたって安定的に排
水を処理して浄化する方法を提供する。 【解決手段】 排水の一部を希釈水とともに加熱器で加
熱して反応器に供給し、残りの排水は加熱することなく
反応器に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排水の処理方法に関
し、詳しくは各種産業プラントからの排水を加熱処理す
る際に、加熱器における排水の濃度を低減して、加熱器
の腐食やスケールの付着などを効果的に防止し、長期に
わたって安定的に排水を処理して浄化する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】化学プラント、食品加工設備、金属加工
設備、金属メッキ設備、印刷製版設備、発電設備、写真
処理設備などの各種産業プラントから排出される排水を
浄化処理することは湿式酸化法、湿式分解法、オゾン酸
化法、過酸化水素酸化法などの各種方法によって行われ
ている。
【0003】例えば、湿式酸化法の場合、排水を加熱器
により加熱した後、反応器に供給して処理するのが一般
的である。しかし、排水中には固形物、スケールなどの
付着の原因となる成分(以下、「スケール生成物質」と
いう)、塩類、加熱器の腐食の原因となる腐食性物質な
ど(以下、これらを総称して「固形物等」という場合も
ある)が含まれている。このため、加熱器が排水によっ
て腐食されたり、スケールなどが付着したりして、材質
の劣化、伝熱性能の低下、ひいては処理性能の低下、圧
力損失の上昇などの問題を招くことになる。特に、この
問題は、排水中に固形物等が高濃度で含まれている場
合、また加熱器における排水の加熱温度が高い場合など
に顕著なものとなる。なお、固形物等によって引き起こ
されるスケールの生成、腐食などを総称して「腐食等」
という場合もある。
【0004】現在、このような問題を解決する方法とし
て、例えば排水の希釈による固形物等の濃度の低減、排
水への薬剤の添加による温和な処理条件への変更、加熱
器の材質の向上、加熱器の容量のアップ、加熱器の形式
などの検討、加熱器の洗浄、排水の種々の前処理などの
方策が採られている。
【0005】また、特開平2−102788号公報に
は、排水を加熱器で加熱せずに直接反応器に供給し、加
熱した希釈水と反応器内で混合して排水を湿式酸化処理
する方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
排水の希釈、薬剤の添加、加熱器の材質の向上、加熱器
の容量のアップなどの方策は工業的に満足できるもので
はなかった。例えば、装置材質として高価なものを用い
たり、加熱器の容量および伝熱面積などを大きく設計す
ると、ランニングコストが上昇し、また広い設置面積が
必要となる。
【0007】特開平2−102788号公報記載の方法
は、加熱器での腐食等の問題を解決できる方法ではある
が、希釈水を多量に使用する必要があり、処理できる排
水は理論的酸素要求量が高濃度の排水に限られている。
希釈水の使用量が多い場合、処理後の液量が増加すると
いう問題がある。また、排水中の理論的酸素要求量の濃
度があまり高くない場合には、排水を反応器内で昇温
し、反応温度を維持して長時間連続的に排水処理を実施
することが困難となる。
【0008】かくして、本発明は、排水を加熱処理して
浄化する際の加熱器における腐食等の問題を解決し、長
期にわたり安定的に排水を処理するに適した方法を提供
しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、希釈水を
利用し、その添加方法を工夫して、加熱器における排水
の濃度、すなわち排水中の固形物等の濃度を低減させる
ことにより、加熱器の腐食等の問題を防止でき、長期に
わたり安定的に排水を処理できることを知り、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、排水を処理して浄化
するに当り、排水の一部を必要量の希釈水とともに加熱
器で加熱して反応器に供給し、残りの排水は加熱するこ
となく反応器に供給することを特徴とする排水の処理方
法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の方法によれば、化学プラ
ント、食品加工設備、金属加工設備、金属メッキ設備、
印刷製版設備、発電設備、写真処理設備などの各種産業
プラントから排出される排水を浄化処理することができ
る。
【0012】特に、本発明の方法は、固形物、スケール
生成物質、塩類、腐食性物質などを単独または2種類以
上含む排水を処理するのに好適に用いられる。本発明に
おける加熱器の腐食等とは、例えば腐食性物質のよる材
質の腐食、または固形物やスケール生成物質によるスケ
ールの生成のほかに、塩類の析出による塩類の堆積、腐
食と同時にスケールが生成するなどの複合したものも包
含する。
【0013】固形物とは、排水中に固形物として存在す
るものであり、例えば不溶性または難溶性の酸化物、塩
などを挙げることができる。
【0014】スケール生成物質とは、加熱によって固形
物を生成し易いものであり、その代表例としては、重金
属類(例えば、カドミウム(Cd)、ニッケル(N
i)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、銅(C
u)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、鉄(Fe)、スズ
(Sn)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、タリウム
(Tl)、水銀(Hg)、ヒ素(As)、クロム(C
r)およびビスマス(Bi))、アルミニウム、ケイ
素、リン、カルシウムおよびマグネシウムなどを挙げる
ことができる。これらは2種以上含まれていてもよい。
また、このスケール生成物質の形態については特に制限
はなく、上記金属のイオン、または上記金属を含む有機
金属化合物などのいずれでもよい。
【0015】上記固形物およびスケール生成物質の濃度
については特に制限はないが、濃度が著しく低い場合に
は、加熱器で加熱しても問題が生じることはない。な
お、スケール生成物質および/または固形物の濃度が5
g/リットルを超える排水を処理する場合には、析出に
よってラインの閉塞が起こり易くなるので、予めその濃
度を低減させて、その加熱器内の濃度が5g/リットル
以下になるようにしておくのがよい。
【0016】塩類の代表例としては、硫酸ナトリウム、
塩化ナトリウム、臭化カリウム、硝酸カリウム、硫酸ア
ンモニウム、硝酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウ
ムなどを挙げることができる。これらは2種以上含まれ
ていてもよい。
【0017】上記塩類の濃度については特に制限はな
く、濃度が著しく低い場合には、加熱器で加熱しても問
題が生じることはない。なお、加熱器内の塩類の濃度
が、200g/リットルを超える排水を処理する場合に
は、析出によってラインの閉塞が起こり易くなるので、
予めその濃度を低減させて、その加熱器内の濃度が20
0g/リットル以下にしておくのがよい。
【0018】腐食性物質とは、加熱によって加熱器材質
の腐食を招き易いものであり、その代表例としては、ハ
ロゲン、ハロゲン化物などのハロゲン類;硫黄、硫酸、
亜硫酸、硫化物などの硫黄類;ギ酸、シュウ酸、クエン
酸などの有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、硫化ナトリウムなどのアルカリ類などを挙げること
ができる。これらは2種以上含まれていてもよい。
【0019】本発明の方法は、上記の排水を加熱条件下
に処理して浄化するものである。反応器内の処理条件に
ついては特に制限はないが、通常、100〜370℃、
好ましくは150〜300℃の範囲の温度で、かつ排水
が液相を保持する圧力下で処理を行う。処理温度が10
0℃未満の場合には、加熱器で加熱するにしても、加熱
器の腐食等の問題が起こる程度は少ない。一方、370
℃を超えると排水が液相を保持できなくなる。また、使
用する反応器については、排水処理に一般に用いられて
いる反応器を使用することができる。
【0020】排水の処理温度は種々の方法によって調整
することができる。例えば、反応器の外部からの加熱温
度、排水量、希釈水量、加熱器中の液流量、加熱器のバ
イパスを流れる液流量などの制御により調整することが
できる。これら制御の具体的手段については特に制限は
なく、例えばヒーター出力の変更、液供給ポンプのスト
ローク、インバーターなどの変更、バイパスラインおよ
び/またはメインラインなどの配管に設置された調節弁
開度の変更などによって制御することができる。
【0021】本発明は、反応器内で排水を処理するに先
だって、排水を加熱器で昇温するに当り、排水の一部を
必要量の希釈水とともに、加熱器に供給して加熱し、残
りの排水を加熱することなく供給することを特徴とす
る。これにより、加熱器における排水中の固形物等の濃
度(以下、単に「排水の濃度」という場合もある)を腐
食等が起こらない程度まで低減させることができる。
【0022】本発明の「加熱器」とは、排水を加熱し得
るものであればいずれでもよく、一般に使用されている
加熱器および熱交換器を包含する。なかでも、熱交換器
を用いて、排水の一部と希釈水との混合液を、反応器内
で処理した後の処理水と熱交換させて加熱するのがよ
い。これにより、処理水の廃熱を有効利用でき、加熱に
要するランニングコストを低減できるとともに、処理水
の冷却に要するランニングコストも低減させることがで
きる。加熱器および熱交換器は各々2個以上を用いて
も、またこれらを組み合わせて使用してもよい。なお、
加熱器の熱媒体としては、蒸気、熱媒油などのほかに、
電気ヒーターなども用いることができる。
【0023】希釈水としては、加熱器内での排水の濃度
を低下させ得るものであればいずれも使用することがで
きるが、通常、水が用いられる。そのほか、固形物等の
濃度の低い他の排水なども使用することができる。な
お、この希釈水は、一般に用いられている薬剤を含んで
いてもよい。この薬剤としては、排水のpHを調整する
ための酸またはアルカリ、排水処理を実施するために必
要な酸化剤または還元剤、排水処理を円滑に実施するた
めのキレート剤、有機酸などを挙げることができる。な
お、希釈水への添加のほかに、バイパスラインにおい
て、排水に若干の薬剤を添加してもよい。
【0024】希釈水の使用量は、基本的には、加熱器の
腐食等が起こらない程度まで排水の濃度を低下させるに
十分な量であればよい。希釈水の量が多すぎる場合、加
熱器での腐食等の問題は解決できるが、反応器での液量
が増加するなどの問題が生じるので好ましくない。希釈
水の使用量は、排水の種類、加熱器材質などによって変
わるので一概に特定できないが、下記式
【0025】
【数2】
【0026】(ここで、加熱した全液流量および加熱し
た排水流量とは、それぞれ、加熱器に供給する排水と希
釈水との合計流量および加熱器に供給する排水の流量を
意味し、また全液流量とは、全排水と希釈水との合計流
量を意味する)で表されるD値が1.1以上、好ましく
は1.2以上、更に好ましくは1.3以上となるように
するのがよい。なお、D値の上限は通常30以下であ
り、好ましくは20以下である。したがって、本発明の
方法においては、D値は1.1〜30、好ましくは1.
2〜20となるようにするのがよい。
【0027】なお、加熱器における腐食等の問題が起こ
らないような、固形物、スケール生成物質、塩類、腐食
性物質などの具体的濃度を特定するのは極めて困難では
あるが、一例として挙げるならば、例えば、スケール生
成物質および/または固形物の場合には、その濃度が、
加熱器内の排水および希釈水の合計量を基準として、1
mg/リットル〜5g/リットル、好ましくは2mg/
リットル〜1g/リットル、更に好ましくは5mg/リ
ットル〜500mg/リットルの範囲となるようにする
のがよい。
【0028】塩類の場合には、その濃度が、加熱器内の
排水および希釈水の合計量を基準として、1〜200g
/リットル、好ましくは3〜150g/リットル、更に
好ましくは10〜120g/リットルの範囲になるよう
にするのがよい。
【0029】腐食性物質の場合には、それが加熱器の腐
食を引き起こすような濃度は、加熱器の温度や液のp
H、加熱器の材質などの条件によって変動するので一概
に特定できないが、例えば湿式酸化条件での塩素イオン
の場合、加熱器内の排水および希釈水の合計量を基準と
して、その濃度が1mg/リットル以上の排水、また同
じく湿式酸化条件におけるアルカリ類の場合、そのpH
が12以上となるようにするのがよい。
【0030】加熱器に供給する排水の処理すべき全排水
に対する割合については、上記D値を満たすように適宜
決定すればよい。
【0031】加熱器として、通常、熱交換器が使用され
るが、この場合、排水と希釈水との混合液の温度は反応
器からの処理水との熱交換によって反応器出口温度近く
まで上昇する。そこで、この昇温した混合液をそのまま
反応器に供給してもよい。このケースは、排水の理論的
酸素要求量が大きく、反応が熱的に自立している場合に
行われることが多い。
【0032】また、反応器内の処理温度を考慮して、別
の加熱器を設け、これにより混合液を更に加熱して昇温
させてもよい。このケースは、排水の理論的酸素要求量
の濃度が低いか、あるいは処理効率が低く、反応が熱的
に自立していない場合に行うことが多い。
【0033】さらに、バイパスに流す残りの排水も問題
が生じない程度に加熱(加温)してもよい。ただし、こ
の場合、加熱器で加熱される混合液の温度のほうがバイ
パスを流れる排水の温度より必ず高いものである。この
ケースは、排水の理論的酸素要求量の濃度が低いか、あ
るいは処理効率が低く、反応が熱的に自立していない場
合に行うことがある。
【0034】次に、本発明の方法にしたがって、排水の
一部を希釈水とともに加熱器に供給し、残りの排水はそ
のまま直接反応器に供給する具体的方法について図1に
基づいて説明する。
【0035】図1は、本発明の一実施態様であり、排水
を湿式酸化法により処理する方法の系統図である。排水
をライン4から供給し、その一部をライン6から供給さ
れた希釈水と混合した後、熱交換器2、次いで加熱器1
6をへて反応器1に導入する。熱交換器2では、反応器
1の塔頂からライン12をへて供給される処理液との熱
交換によって排水の一部と希釈水とが加熱される。ま
た、必要に応じて、加熱器16で加熱される。一方、残
りの排水は、排水の一部と希釈水とを混合させるポイン
トよりも先にバイパスさせて反応器1に導入する。これ
により、排水の一部を希釈水とともに熱交換器2および
加熱器16に供給し、残りの排水はそのまま直接反応器
1に供給することができるので、熱交換器2および加熱
器16での排水の濃度が低下し、腐食等の問題を効果的
に防止することができる。
【0036】要するに、希釈水を排水の一部と混合する
位置は、排水が加熱器をバイパスするラインに分かれる
分岐部と、希釈水と排水の一部とが加熱器に供給される
加熱器の供給入口部との間にあるようにすればよい。こ
の位置に希釈水を供給することにより、希釈水は全量が
加熱器に供給され、排水は反応温度を維持するのに必要
な量しか加熱器に供給されないものである。すなわち排
水の一部は、加熱器をバイパスして反応器に供給され、
反応器温度を調節するのに使用される。したがって、加
熱器で加熱される排水の濃度は従来の方法と比較して薄
くなり、加熱器の腐食等の問題を解決することができ
る。なお、希釈水の添加位置は複数箇所設けてもよい。
【0037】本発明の方法は、各種の排水処理法、例え
ば湿式酸化法、湿式分解法、オゾン酸化法、過酸化水素
酸化法などに適用することができる。なかでも、湿式酸
化法および湿式分解法は、排水を高温に加熱して処理す
るので、本発明の方法が好適に用いられる。
【0038】特に、本発明の方法は、湿式酸化法による
排水の処理に好適に用いられる。湿式酸化法では酸素含
有ガスを供給しながら排水を高温に加熱し、なおかつ高
圧下で処理を実施する。一般に湿式酸化法では、排水の
処理を熱的に自立した状態で処理運転できる場合が多
い。すなわち、排水を酸化および/または酸化分解処理
した際の発熱により、排水を特に加熱しなくても、処理
水との熱交換により、反応器に導入する排水および希釈
水を必要な温度まで加熱できることが多い。したがっ
て、加熱器で加熱する排水および希釈水の量と加熱器で
加熱しない排水の量とを調整することにより、反応の温
度を調節することが多い。本発明の方法においては、上
記温度の調節の際になるべく多くの排水を加熱器で加熱
せずに供給するものである。したがって、排水の処理を
熱的に自立した状態で運転するには、排水の理論的酸素
要求量の濃度が10g/リットル以上、さらには15g
/リットル以上、特に20g/リットル以上のときに効
果的である。
【0039】なお、排水の理論的酸素要求量が非常に大
きい場合には、希釈水量が増加するために、排水を加熱
器で加熱する必要がなくなる。しかしながら、この場
合、排水処理の制御、特に温度の制御が困難となること
が多く、排水を事前に希釈し、本発明の方法で処理する
のが効果的である。湿式酸化法においては、希釈した後
の排水の理論的酸素要求量が300g/リットル以下、
特に200g/リットル以下にするのがよい。
【0040】上記酸素含有ガスとは、分子状酸素または
オゾンを含有するガスであり、オゾンおよび酸素のガス
を用いる場合には、適宜不活性ガスなどにより希釈して
用いることができる。また、酸素富化ガスを使用するこ
ともでき、これらのガス以外にも他のプラントより生じ
る酸素含有の排ガスも、適宜使用することもできる。し
かしながら、最も好ましいものは、価格の安価な空気で
ある。また、酸素含有ガスの供給量は、特に限定される
ものではなく、排水の種類および処理の目的、その他の
処理条件などにより適宜適切な量とすることができる。
また酸素含有ガスの供給位置も特に限定されるものでは
なく、加熱器の前後どちらでもよく、また加熱器の前後
両方から供給してもよく、また反応器に直接供給しても
よく、また液が加熱器をバイパスするラインに分かれる
分岐部の前後どちらでもよく、またその分岐部の前後両
方など複数の供給位置を有してもよく、特に限定される
ものではない。
【0041】しかし、一般的には、ガス全量もしくは一
部が加熱器を通過するように供給されることが多い。特
に排水が加熱器をバイパスするラインに分かれる分岐部
と、加熱器の加熱側入口との間に供給されることが多
い。このため特に加熱器の加熱側の出口部では蒸気分圧
が上昇し、加熱された液が濃縮され、加熱器での腐食等
の問題が顕著になることが多い。このような場合、さら
に本発明が効果的なものである。なお、加熱器での排水
の濃縮が特に問題となる場合には、ガス全量を加熱器で
加熱しないように、ガスの供給位置を設けるほうが効果
的である。
【0042】加熱器は、その伝熱管および/または伝熱
面の間隔などが細く、スケール生成物質などにより閉塞
し易いものである。また、腐食性物質を含有する際に
は、加熱器の腐食による劣化を招く原因となる。加熱器
では、排水が高濃度である上、液および/またはガスの
線速度が速く、しかも加熱により高温となるため、腐食
し易いものである。本発明は、多くの排水を加熱器を通
すことなく処理できるため、加熱器の腐食等の問題を根
本的に解決、もしくは明らかに低減できるものである。
また、この効果は、排水の温度が高い程顕著なものであ
る。したがって、本発明によれば、加熱器の伝熱面積の
低減および安価な材質の選定を実施することができ、装
置費を低減することができる。
【0043】本発明において使用する処理装置は、通常
使用されているものが用いられ、反応器は、単管式、多
管式のいずれの形式であってもよいが、好ましくは単管
式のものである。また、反応器および加熱器はそれぞれ
複数設けることもできる。なお、本発明の「反応器」
は、反応管、反応塔、吸着器などと置き換えることがで
きるものである。また、固体触媒なども使用することが
できる。
【0044】本発明においては、必要に応じて、処理を
安定に実施するためのバイパスライン、調節弁、逆止
弁、オリフィスなどの適宜設けることができる。
【0045】
【発明の効果】本発明の方法によれば、加熱器内での排
水の濃度を低下させることができるので、加熱器の腐食
等を効果的に防止することができる。このため、加熱器
の腐食等によって引き起こされる材質の劣化、伝熱性能
の低下、ひいては処理性能の低下、圧力損失の上昇、装
置コストの上昇などの問題を解決することができる。
【0046】特に、排水の処理温度が100℃〜370
℃である際に、加熱器の腐食等による問題を解決でき
る。また、加熱器等を長期にわたり安定的に使用できる
ため、排水を安定して長期間処理することができる。
【0047】本発明の方法によれば、希釈水の供給量を
必要以上に多くすることがなく、また排水の濃度があま
り高濃度でない排水においても処理を実施できるうえ、
排水処理の制御、特に温度の制御が非常に容易である。
【0048】本発明の方法は、排水が固形物等を含有す
る際に特に効果的である。
【0049】本発明の方法は、排水を加熱して処理する
種々の排水処理に幅広く適用することができ、なかでも
湿式酸化法、湿式分解法、オゾン酸化法などの排水の処
理方法に有効に適用でき、特に湿式酸化法で効果的であ
る。
【0050】なお、湿式酸化法において酸素含有ガスを
供給する場合、ガス全量もしくは一部が加熱器を通過す
るように供給されることが多い。このため特に加熱器の
加熱側の出口部では温度が上がり蒸気分圧が上昇してい
るため、加熱された液が濃縮されて加熱器での腐食等の
問題が顕著になることが多い。このような場合、さらに
本発明が効果的である。
【0051】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0052】(実施例1)図1に示す湿式酸化処理装置
を使用し、下記の条件下で処理を合計で8000時間行
った。以下に詳細な実験方法および結果について記述す
る。
【0053】処理に使用した反応器は、直径600m
m、長さ6000mmの円筒状の反応器であった。また
この反応器1には、チタニアとマンガンを主成分とする
固体触媒を1m3充填した。
【0054】処理の方法は、排水供給ライン4より送ら
れてくる排水を排水供給ポンプ3を用い、1m3/hr
の流量で昇圧フィードした。また希釈水供給ライン6よ
り送られてくる希釈水を希釈水供給ポンプ5を用い、1
3/hrの流量で昇圧フィードした。該希釈水は、排
水が熱交換器2をバイパスするバイパスライン7への分
岐部と、熱交換器2における被加熱液の供給入口部との
間に供給し、排水と混合した。該希釈液は全量熱交換器
2で加熱し、排水は熱交換器2とバイパスライン7を経
由する液に分岐した。この分配比は、反応器入口温度を
170℃に制御するために、バイパス調節弁8を調節し
て決定された。その結果、バイパスラインに流れた排水
量は約0.86m3/hであった。また熱交換器で加熱
した希釈水と排水の合計量は約1.14m3/hであ
り、そのうち排水量は約0.14m3/hであった。こ
の場合のD値は4.1である。その後これらの液は反応
器1の手前で混合し、反応器1の底より供給した。また
酸素含有ガス供給ライン10より供給された空気は、コ
ンプレッサー9で昇圧した後、O2/COD(Cr)
(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.2の割合
となるように酸素含有ガス流量調節弁11で調節し、熱
交換器2の手前から混合液に供給混合した。湿式酸化処
理した処理液および排ガスは、処理水ライン12を経
て、熱交換器2および冷却器15で冷却した後、圧力調
節弁13を経て処理水排出ライン14から排出した。圧
力調節弁13は、圧力コントローラ(PC)により圧力
を検出して作動させ、25kg/cm2Gの圧力を保持
するように操作した。処理開始時の処理装置入口圧力
(PI)は、26kg/cm2Gであった。また処理開
始前には、希釈水と空気を供給した状態で、加熱器16
を用いて反応器入口温度を180℃に昇温しておいた。
定常処理運転時に該加熱器は使用しなかった。
【0055】処理に供した排水はエチレンプラントから
排出される廃ソーダ排水で、以下のような性状であっ
た。排水の理論的酸素要求量(ThOD)が76g/リ
ットル、COD(Cr)が75g/リットル、pHは1
3.4で、硫化ナトリウムを90g/リットル含有して
いた。なお、熱交換器2中の硫化ナトリウムの濃度は、
加熱器内の排水および希釈水の合計量を基準とし、水の
蒸発量を換算して、約15g/リットルであった。
【0056】8000時間後に得られた処理水の結果
は、COD(Cr)が0.75g/リットルであった。
また8000時間後の処理装置入口圧力(PI)は、2
6kg/cm2Gであった。そして8000時間処理し
た後、処理を停止し、熱交換器2を開放して内部を観察
した。その結果、熱交換器2の加熱側出口部において薄
く若干の固形物の付着が観察されたが、特に問題となる
ような量ではなかった。
【0057】(比較例1)図2に示す湿式酸化処理装置
を使用し、希釈水を排水供給ポンプ3と、液が熱交換器
2をバイパスするバイパスライン7への分岐部との間に
供給した。すなわちバイパスライン7を排水と希釈水の
混合液が流れるようにした以外は、実施例1と同様の処
理方法で処理を行った。その結果、バイパスラインに流
れた排水と希釈水の混合液の量は約0.86m3/hで
あり、そのうち排水量は約0.43m3/hであった。
また熱交換器で加熱した希釈水と排水の合計量は約1.
14m3/hであり、そのうち排水量は約0.57m3
hであった。この場合のD値は1.0である。処理開始
時の処理装置入口圧力(PI)は、26kg/cm2
であった。なお、熱交換器2中の硫化ナトリウムの濃度
は、加熱器内の排水および希釈水の合計量を基準とし、
水の蒸発量を換算して、約62g/リットルであった。
【0058】8000時間後に得られた処理水の結果
は、COD(Cr)が0.85g/リットルであった。
また8000時間後の処理装置入口圧力(PI)が28
kg/cm2Gに上昇した。そして8000時間処理し
た後、処理を停止し、熱交換器2を開放して内部を観察
した。その結果、熱交換器2の内部には固形物がスケー
ルとして付着しており、特に熱交換器2の加熱側出口部
には多量に付着していた。(比較例2)下記の装置およ
び処理方法を行った以外は、実施例1と同様の処理条件
で処理を行った。装置は、図3に示すように、排水を加
熱器で加熱せずに直接反応器に供給し、希釈水のみを加
熱器で加熱し、反応器内で加熱した希釈水と排水とを混
合する形式の湿式酸化処理装置を使用した。以下に詳細
な実験方法および結果について記述する。
【0059】処理の方法は、排水供給ライン4より送ら
れてくる排水を、排水供給ポンプ3で1m3/hrの流
量で昇圧フィードし、反応器1の底より供給した。また
希釈水供給ライン6より送られてくる希釈水を、希釈水
供給ポンプ5で1m3/hrの流量で昇圧フィードし
た。そして反応器入口温度を170℃となるように、バ
イパス調節弁8でバイパスライン7に流れる希釈水量と
熱交換器2に流れる希釈水量とを調節できるようにして
反応器1の底より供給した。また酸素含有ガス供給ライ
ン10より供給された空気は、コンプレッサー9で昇圧
した後、O2/COD(空気中の酸素量/化学的酸素要
求量)=1.2の割合となるように酸素含有ガス流量調
節弁11で調節し、熱交換器2の手前から希釈水に供給
混合した。湿式酸化処理した処理液および排ガスは、処
理水ライン12を経て、熱交換器2および冷却器15で
冷却した後、圧力調節弁13を経て処理水排出ライン1
4から排出した。圧力調節弁13は、圧力コントローラ
(PC)により圧力を検出して作動させ、25kg/c
2Gの圧力を保持するように操作した。処理開始時の
処理装置入口圧力(PI)は、26kg/cm2Gであ
った。なお処理開始前には、希釈水と空気を供給した状
態で、加熱器16を用いて反応器入口温度を180℃に
昇温しておいた。
【0060】結果は、排水の供給を開始し、加熱器16
を停止した直後から反応器入口温度が低下し、170℃
に維持できなくなり、連続処理運転できなかった。すな
わち、スケールの付着などは生じないものの、加熱器1
6を停止した状態では、自立運転を実施することはでき
なかった。
【0061】(実施例2)図1に示す湿式酸化処理装置
と同じ形式の処理装置を使用し、下記の条件下で処理を
合計で500時間行った。以下に詳細な実験方法および
結果について記述する。
【0062】処理に使用した反応器は、直径300m
m、長さ1500mmの円筒状の反応器であり、特に内
部に固体触媒などの充填物は充填しなかった。
【0063】処理の方法は、排水供給ライン4より送ら
れてくる排水を排水供給ポンプ3を用い、40リットル
/hrの流量で昇圧フィードした。また希釈水供給ライ
ン6より送られてくる希釈水を希釈水供給ポンプ5を用
い、80リットル/hrの流量で昇圧フィードした。該
希釈水は、排水が熱交換器2をバイパスするバイパスラ
イン7への分岐部と、熱交換器2における被加熱液の供
給入口部との間に供給し、排水と混合した。該希釈液は
全量熱交換器2で加熱し、排水は熱交換器2とバイパス
ライン7を経由する液に分岐した。この分配比は、反応
器入口温度を240℃に制御するために、バイパス調節
弁8を調節して決定された。その結果バイパスラインに
流れた排水量は、約33.6リットル/hであった。ま
た熱交換器で加熱した希釈水と排水の合計量は約86.
4リットル/hであり、そのうち排水量は約6.4リッ
トル/hであった。この場合のD値は4.5である。そ
の後、これらの液は反応器1の手前で混合し、反応器1
の底より供給した。また酸素含有ガス供給ライン10よ
り供給された空気は、コンプレッサー9で昇圧した後、
2/ThOD(空気中の酸素量/理論的酸素要求量)
=1.1の割合となるように酸素含有ガス流量調節弁1
1で調節し、熱交換器2の手前から混合液に供給混合し
た。湿式酸化処理した処理液および排ガスは、処理水ラ
イン12を経て、熱交換器2および冷却器15で冷却し
た後、圧力調節弁13を経て処理水排出ライン14から
排出した。圧力調節弁13は、圧力コントローラ(P
C)により圧力を検出して作動させ、75kg/cm2
Gの圧力を保持するように操作した。処理開始時の処理
装置入口圧力(PI)は、76kg/cm2Gであっ
た。また熱交換器2の加熱側出口の内部にステンレスの
テストピースを設置した。また処理開始前には、希釈水
と空気を供給した状態で、加熱器16を用いて反応器入
口温度を250℃に昇温しておいた。定常処理運転時に
該加熱器は使用しなかった。
【0064】処理に供した排水は、ThODが128g
/リットル、COD(Cr)が104g/リットルであ
り、Feを260mg/リットル、塩化ナトリウムを3
500mg/リットル含有していた。このため希釈水で
希釈した反応器入口でのThODは42.7g/リット
ル、COD(Cr)が34.7g/リットルであったと
考えられる。なお、熱交換器2中のFeおよび塩化ナト
リウムの濃度は、加熱器内の排水および希釈水の合計量
を基準とし、水の蒸発量を換算して、それぞれ、約30
mg/リットルおよび約370mg/リットルであっ
た。
【0065】500時間後に得られた処理水の結果は、
COD(Cr)が1.7g/リットルであった。また5
00時間後の処理装置入口圧力(PI)は、76kg/
cm2Gであった。そして500時間処理した後、処理
を停止し、熱交換器2の開放して内部を観察した。その
結果、熱交換器2の加熱側出口部において薄く若干の固
形物の付着が観察されたが、特に問題となるような量で
はなかった。またテストピースも特に変化なかった。
【0066】(比較例3)図4に示す湿式酸化処理装置
を使用し、排水を希釈水供給ポンプ5の吸入側、すなわ
ち希釈水供給ライン6の希釈水中に排水供給ポンプ3を
用いて供給混合し、希釈した排水を熱交換器2を経由し
て反応器1の底から供給した以外は、実施例2と同様の
処理方法で処理を行った。その結果、バイパスラインに
流れた排水と希釈水の混合液の量は約33.6リットル
/hであり、そのうち排水量は約11.2リットル/h
であった。また熱交換器で加熱した希釈水と排水の合計
量は約86.4リットル/hであり、そのうち排水量は
約28.8リットル/hであった。D値は1.0であっ
た。処理開始時の処理装置入口圧力(PI)は、76k
g/cm2Gであった。また熱交換器2の加熱側出口の
内部にステンレスのテストピースを設置した。なお、熱
交換器2中のFeおよび塩化ナトリウムの濃度は、加熱
器内の排水および希釈水の合計量を基準とし、水の蒸発
量を換算して、それぞれ、約130mg/リットルおよ
び約1700mg/リットルであった。
【0067】500時間後に得られた処理水の結果は、
COD(Cr)が1.8g/リットルであった。また5
00時間後の処理装置入口圧力(PI)が79kg/c
2Gにまで上昇した。そして500時間処理した後、
処理を停止し、熱交換器2を開放して内部を観察した。
その結果、熱交換器2の内部には鉄を主成分とする固形
物がスケールとして付着していた。またテストピースに
もスケールが付着しており、さらにテストピースには塩
素イオンが原因と思われる腐食が若干観察された。
【0068】(実施例3)図1に示す湿式酸化処理装置
と同じ形式の処理装置を使用し、下記の条件下で処理を
合計で500時間行った。以下に詳細な実験方法および
結果について記述する。
【0069】処理に使用した反応器は、直径800m
m、長さ8000mmの円筒状の反応器であり、特に内
部に固体触媒などの充填物は充填しなかった。
【0070】処理の方法は、排水供給ライン4より送ら
れてくる排水を排水供給ポンプ3を用い、4m3/hr
の流量で昇圧フィードした。また希釈水供給ライン6よ
り送られてくる希釈水を希釈水供給ポンプ5を用い、
1.5m3/hrの流量で昇圧フィードした。該希釈水
は、排水が熱交換器2をバイパスするバイパスライン7
への分岐部と、熱交換器2における被加熱液の供給入口
部との間に供給し、排水と混合した。該希釈液は全量熱
交換器2で加熱し、排水は熱交換器2とバイパスライン
7を経由する液に分岐した。この分配比は、反応器入口
温度を220℃に制御するために、バイパス調節弁8を
調節して決定された。その結果、バイパスラインに流れ
た排水量は約2.3m3/hであった。また熱交換器で
加熱した希釈水と排水の合計量は約3.2m3/hであ
り、そのうち排水量は約1.7m3/hであった。この
場合のD値は1.4である。その後、これらの液は反応
器1の手前で混合し、反応器1の底より供給した。また
酸素含有ガス供給ライン10より供給された空気は、コ
ンプレッサー9で昇圧した後、O2/COD(Cr)
(空気中の酸素量/化学的酸素要求量)=1.5の割合
となるように酸素含有ガス流量調節弁11で調節し、熱
交換器2の手前から希釈水に供給混合した。湿式酸化処
理した処理液および排ガスは、処理水ライン12を経
て、熱交換器2および冷却器15で冷却した後、圧力調
節弁13を経て処理水排出ライン14から排出した。圧
力調節弁13は、圧力コントローラ(PC)により圧力
を検出して作動させ、60kg/cm2Gの圧力を保持
するように操作した。処理開始時の処理装置入口圧力
(PI)は、61kg/cm2Gであった。また処理開
始前には、希釈水と空気を供給した状態で、加熱器16
を用いて反応器入口温度を230℃に昇温しておいた。
定常処理運転時に該加熱器は使用しなかった。
【0071】処理に供した排水は、ThODが54.8
g/リットル、COD(Cr)が52.5g/リットル
であり、硫酸ナトリウムを150g/リットル含有して
いた。このため、希釈水で希釈した反応器入口でのTh
ODは39.9g/リットル、COD(Cr)が38.
2g/リットルであったと考えられる。なお、熱交換器
2中の硫酸ナトリウムの濃度は、加熱器内の排水および
希釈水の合計量を基準とし、水の蒸発量を換算して、約
150g/リットルであった。
【0072】500時間後に得られた処理水の結果は、
COD(Cr)が0.76g/リットルであった。また
500時間後の処理装置入口圧力(PI)は、61kg
/cm2Gであった。そして500時間処理した後、処
理を停止し、熱交換器2を開放して内部を観察したが、
特に問題となる変化はなかった。
【0073】(比較例4)図2に示す湿式酸化処理装置
を使用し、希釈水を排水供給ポンプ3と、液が熱交換器
2をバイパスするバイパスライン7への分岐部との間に
供給した。すなわちバイパスライン7を排水と希釈水の
混合液が流れるようにした以外は、実施例3と同様の処
理方法で処理を行った。その結果、バイパスラインに流
れた排水と希釈水の混合液の量は約2.3m3/hであ
り、そのうち排水量は約1.7m3/hであった。また
熱交換器で加熱した希釈水と排水の合計量は約3.2m
3/hであり、そのうち排水量は約2.3m3/hであっ
た。この場合のD値は1.0である。なお、熱交換器2
中の硫酸ナトリウムの濃度は、加熱器内の排水および希
釈水の合計量を基準とし、水の蒸発量を換算して、約2
00g/リットルであった。処理開始時の処理装置入口
圧力(PI)は、61kg/cm2Gであった。
【0074】結果は、85時間後に処理装置入口圧力
(PI)が上昇し、処理できなくなった。このため、処
理を連続処理運転できなかった。また熱交換器2を開放
して内部を観察した結果、特に加熱側出口部に硫酸ナト
リウムを主とした固形物が多量に閉塞していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施態様の一つである。
【図2】従来の方法を説明するための実施態様一つであ
る。
【図3】従来の方法を説明するための実施態様一つであ
る。
【図4】従来の方法を説明するための実施態様一つであ
る。
【符号の説明】
1.反応器 2.熱交換器 3.排水供給ポンプ 4.排水供給ライン 5.希釈水供給ポンプ 6.希釈水供給ライン 7.バイパスライン 8.バイパス調節弁 9.コンプレッサー 10.酸素含有ガス供給ライン 11.酸素含有ガス流量調節弁 12.処理水ライン 13.圧力制御弁 14.処理水排出ライン 15.冷却器 16.加熱器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米田 幸弘 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水を処理して浄化するに当り、排水の
    一部を希釈水とともに加熱器で加熱して反応器に供給
    し、残りの排水は加熱することなく反応器に供給するこ
    とを特徴とする排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 排水を温度100〜370℃、かつ排水
    が液相を保持する圧力下で処理する請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 希釈水を排水の一部と混合する位置は、
    排水が加熱器をバイパスするラインに分かれる分岐部
    と、希釈水と排水の一部とを加熱器に供給する加熱器の
    供給入口部との間である請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 下記式 【数1】 (ここで、加熱した全液流量および加熱した排水流量と
    は、それぞれ、加熱器に供給する排水と希釈水との合計
    流量および加熱器に供給する排水の流量を意味し、また
    全液流量とは、全排水と希釈水との合計流量を意味す
    る)で表されるD値が1.1以上である請求項1〜3の
    いずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 排水が固形物、スケール生成物質、塩類
    および腐食性物質の少なくとも1種を含む請求項1〜4
    のいずれかに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015123395A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 太平洋セメント株式会社 スケール付着防止方法

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