JPH1168240A - 半導体光アンプ - Google Patents

半導体光アンプ

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JPH1168240A
JPH1168240A JP9221420A JP22142097A JPH1168240A JP H1168240 A JPH1168240 A JP H1168240A JP 9221420 A JP9221420 A JP 9221420A JP 22142097 A JP22142097 A JP 22142097A JP H1168240 A JPH1168240 A JP H1168240A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体光アンプにおいて、偏光に依存しない
利得特性を得るとともに、飽和入力光強度レベルおよび
飽和利得特性を向上させる。 【解決手段】 半導体光アンプに、1×1マルチモード
干渉型(1×1−MMI)光導波路であるマルチモード
導波路領域1と、その両端部に接続されている1対のシ
ングルモード導波路領域2、3とからなる光導波路構造
が設けられている。マルチモード導波路領域1は、長さ
が340μm程度で導波路幅W1が12μmであり、シ
ングルモード導波路領域2、3は、それぞれ長さが20
μm程度で導波路幅W2が1μmである。1×1−MM
I光導波路を用いることにより偏光に依存しない利得特
性が得られ、しかも飽和入力光強度レベルおよび飽和利
得特性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光依存性がな
く、かつ、飽和入力光強度レベルおよび飽和利得特性に
優れた半導体光アンプに関する。
【0002】
【従来の技術】今日光ファイバ−を用いた光通信技術
は、大容量高速伝送を実現する技術として発展してい
る。この光通信技術を支えるデバイスとして、様々な光
デバイスが開発されており、中でも半導体光アンプは、
伝送信号を増幅する機能はもちろんのこと、電流非注入
時に吸収媒体として機能することによる消光作用を兼ね
備えた光スイッチ機能も注目されており、現在盛んに研
究が進められている。
【0003】光アンプは、偏光が全く制御されていない
状態で光ファイバー内を通過してきた信号光を増幅する
必要があり、このため、利得特性の偏光無依存性を有す
ることが必要である。
【0004】この利得特性の偏光無依存性を実現する方
法として、これまでいくつかの方法が提案されている。
例えば、「フォトニクス・テクノロジー・レターズ(Ph
otonics Technology Letters) Vol.6 199
4」第170〜172頁(著者:P.Doussiereなど)
に、偏光無依存の半導体光アンプの一例が報告されてい
る。これは、利得特性の偏光無依存化と、伝送信号にと
して必要とされるシングルモード光の出力とを両立する
ものである。具体的には、バルク結晶から構成される活
性層の形を正方形に近づけることによって利得特性の偏
光無依存化を達成するとともに、この活性層を0.5μ
m程度の極めて細いものとすることによってシングルモ
ード条件を満たすようにした構成である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、従来
は、利得特性の偏光無依存性とシングルモード光出力と
をともに達成するために、0.5μm程度と極めて細い
導波路幅を形成している。しかしながら、半導体を加工
してこのように極めて細い導波路幅を精度良く形成する
のは容易ではなく、再現性良く製作することが難しく、
また歩留まり良く素子を製造できないといった問題があ
る。
【0006】そこで本発明の目的は、偏光に依存しない
利得特性が得られるとともに、飽和入力光強度レベルお
よび飽和利得特性が向上した半導体光アンプを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、シング
ルモード光を出力する半導体光アンプであって、マルチ
モード導波路領域を含む光導波路構造を有することにあ
る。
【0008】前記マルチモード導波路領域は、1×1マ
ルチモード干渉型光導波路である。
【0009】前記光導波路構造は、前記マルチモード導
波路領域と、該マルチモード導波路領域の両端部に接続
されている1対のシングルモード導波路領域とからな
る。そして、前記マルチモード導波路領域は、前記シン
グルモード導波路領域よりも導波路幅が広い。
【0010】このような構成とすることにより、製造が
容易で比較的導波路幅が広く利得が偏光に依存しない半
導体光アンプが得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態について説明する。
【0012】図1は、本発明の実施形態である1.55
μm帯半導体光アンプの概略斜視図である。この半導体
光アンプは、マルチモード導波路領域1と、その両端に
接続されたシングルモード導波路領域2、3とから構成
される。各領域の長さは、マルチモード導波路領域1が
340μm程度、シングルモード導波路領域2および3
がそれぞれ20μm程度、合計で素子長は380μm程
度となっている。マルチモード導波路領域1は1×1−
MMI光導波路として設計されている。図2には、図1
の1点鎖線A−A’およびB−B’での断面の層構造を
示す。図2(a)および(b)に示す断面A−A’およ
びB−B’の層構造はほとんど同一であり、異なってい
る点は導波路幅だけである。図2(a)のマルチモード
導波路領域1の導波路幅W1および図2(b)のシング
ルモード導波路領域の導波路幅W2は、それぞれW1=
12μm、W2 =1μmとなっている。
【0013】以下、図3〜7を参照しながら本実施形態
の半導体光アンプの製造方法を説明する。図3に示すよ
うにn−InP基板上23に、n−InPバッファ層2
4と、1.55μm組成InGaAsP層25と、p−
InPクラッド層26とが、MOVPE法(有機金属気
相成長法)により順番に積層形成されている。各層の層
厚は、n−InPバッファ層24が200nm程度、
1.55μm組成InGaAsP層25が300nm程
度、p−InPクラッド層26が200nm程度であ
る。次に、図4に示すように通常のフォトリソグラフィ
法により、p−InPクラッド層26上にエッチング用
マスク31が形成される。その後、反応性イオンエッチ
ング法(RIE法)により、図5に示すように、p−I
nPクラッド層26と、1.55μm組成InGaAs
P層25と、n−InPバッファ層24が、部分的に
(マスク31が形成されていない部分のみ)除去され、
メサ構造が形成される。
【0014】次に通常の熱CVD法でSiO2膜が全面
に形成された後に、通常のフォトリソグラフィ法によ
り、図6に示すように、メサ周囲に選択的結晶成長法に
よる埋め込み層形成のためのSiO2マスク32が形成
される。その後、MOVPE法により、図7に示すよう
に、p−InP埋め込み層27およびp−InGaAs
キャップ層28が形成される。p−InP埋め込み層2
7は2μm程度、p−InGaAsキャップ層28は2
00nm程度の厚さである。
【0015】そして、図示しないが、素子裏面に研磨が
施され、裏面電極および表面電極が通常のスパッタリン
グ法により形成され、素子劈開後の両端面に通常の無反
射(AR)コーティングが施され、半導体素子の製造が
完了する。以上が、本実施形態の半導体光アンプの製造
方法の一例である。
【0016】本実施形態による半導体光アンプは、図1
に示すようにマルチモード導波路領域1を含んだ構造と
なっている。本実施形態のマルチモード領域は、MMI
(Multimode Interference)理論によって、1×1−M
MI光導波路として動作するように設計されている。す
なわち、主な光増幅領域は12μmと極めて幅の広い導
波路から構成されているにもかかわらず、シングルモー
ド(基本モード)出力光が得られる構造になっている。
【0017】従来の半導体光アンプにおいては、シング
ルモード光を出力するためには、その導波路は全域にわ
たって0.5μm程度の極めて細い導波路幅に形成する
必要があった。従来例においては、利得特性の偏光依存
性をなくすために、導波路厚さをある程度厚くして、T
Mモード光に対する利得を増加させ、TEモード光に対
する利得に近づけようとする方法が採られていた。この
場合、導波路厚さを厚くするに伴って導波路の光の閉じ
こめが強くなるために、導波路幅が1μm以上ではシン
グルモード光を出力することが難しくなる。そこで、シ
ングルモード光を出力し、かつ、TEモード光に対する
利得をTMモード光に対する利得と同等となるように、
導波路幅を全長にわたって0.5μm程度として利得特
性の偏光無依存性とシングルモード出力とを両立させて
いた。
【0018】しかしながら本実施形態の半導体光アンプ
では、主光増幅領域を導波路幅が比較的広い1×1−M
MI光導波路によって構成しているため、導波路幅を極
端に狭くすることなくシングルモード光出力が得られ
る。本実施形態の半導体光アンプの導波路は、従来の2
4倍の12μmの導波路幅であるが、シングルモード光
を出力することが可能である。その上で、TMモードに
対する利得がTEモードに対する利得とほぼ同等になる
ように導波路厚さを設計することによって、偏光に依存
しない利得特性を有する半導体光アンプが実現可能とな
る。
【0019】図8には、導波路がゲインを持つ場合の本
実施形態と同じ層構造の1×1−MMI光導波路につい
て2次元BPM(ビーム伝搬法:Beam Propagation Met
hod)によってシミュレーションした結果を示してい
る。図8(a)はTEモードに関して、図8(b)はT
Mモードに関してそれぞれ計算した結果である。この図
8から、本発明による半導体光アンプの光導波路は、1
×1−MMI光導波路として動作することがわかる。特
に、本計算例においてはTEモード、TMモードの両モ
ードにおいてシミュレーションを行っているが、1×1
−MMI光導波路を設計した場合、TEモードおよびT
Mモードの両モードにおいて、シングルモード光出力が
同時に得られることが分かる。しかも本計算例による
と、偏光に依存する利得特性の差は0.3dB以下と殆
ど生じず、利得特性の偏向無依存性が達成されている。
【0020】このように、本実施形態による半導体光ア
ンプは、製造が比較的容易な幅の広い導波路を主光増幅
領域として利用しており、利得特性の偏光無依存性を達
成しつつ、再現性および歩留まりよく製造可能なもので
ある。しかも、12μmと広い幅の導波路が採用できる
ことにより、飽和注入電流値が向上するため、飽和利得
特性が改善される上、広い利得導波路領域が得られるこ
とによって飽和入射光強度レベルも向上する。
【0021】なお、本実施形態は単純な埋め込み構造の
半導体光アンプであるが、本発明はこれに限定されるわ
けではなく、他の層構造に対しても適用可能である。ま
た、光アンプの波長帯を1.55μm帯としたが、もち
ろんこれに限るわけではなく、1.3μm帯であっても
よいし、近赤外光帯や可視光帯域に対する半導体光アン
プであっても、本発明は適用可能である。
【0022】製造方法として、本実施形態では結晶成長
法にMOVPE法が、メサ形成方法にRIE法がそれぞ
れ採用されているが、もちろんこれに限定されるわけで
はなく、結晶成長方法として、例えばMBE法を用いる
ことも可能であり、また、メサ形成方法として、ウェッ
トエッチング法を用いても構わない。
【0023】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明による半
導体光アンプは、幅の広い1×1−MMIマルチモード
導波路を用いることにより、偏光に依存しない利得特性
が得られる。従って、製造が容易で、再現性および歩留
まりに優れた半導体光アンプが得られる。しかも、主光
増幅領域が幅の広いマルチモード導波路から構成されて
いるため、飽和入力光強度レベルおよび飽和利得特性が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である半導体光アンプの概略
斜視図である。
【図2】図1に示す半導体光アンプの断面図である。
【図3】図1に示す半導体光アンプの第1の製造工程の
説明図である。
【図4】図1に示す半導体光アンプの第2の製造工程の
説明図である。
【図5】図1に示す半導体光アンプの第3の製造工程の
説明図である。
【図6】図1に示す半導体光アンプの第4の製造工程の
説明図である。
【図7】図1に示す半導体光アンプの第5の製造工程の
説明図である。
【図8】本発明による半導体光アンプの動作をBPMに
よってシミュレーションした結果を示す模式図である。
【符号の説明】
1 マルチモード導波路領域 2 シングルモード導波路領域 3 シングルモード導波路領域 23 n−InP基板 24 n−InPバッファ層 25 1.55μm組成InGaAsP層 26 p−InPクラッド層 27 p−InP埋め込み層 28 p−InGaAsキャップ層 31 エッチング用マスク 32 SiO2マスク W1 マルチモード導波路領域の幅 W2 シングルモード導波路領域の幅

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シングルモード光を出力する半導体光ア
    ンプであって、マルチモード導波路領域を含む光導波路
    構造を有する半導体光アンプ。
  2. 【請求項2】 前記マルチモード導波路領域が、1×1
    マルチモード干渉型光導波路である請求項1に記載の半
    導体光アンプ。
  3. 【請求項3】 前記光導波路構造が、前記マルチモード
    導波路領域と、該マルチモード導波路領域の両端部に接
    続されている1対のシングルモード導波路領域とからな
    る請求項1または2に記載の半導体光アンプ。
  4. 【請求項4】 前記マルチモード導波路領域が、前記シ
    ングルモード導波路領域よりも導波路幅が広い請求項3
    に記載の半導体光アンプ。
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